レジや決済、予約管理、Web会議——いまの業務の多くは、インターネット回線が止まった瞬間に止まります。主回線が1本だけの環境では、通信障害や回線工事のトラブルがそのまま売上と信用の損失に直結しかねません。
障害が起きても通信を止めないためには、回線を二重化してもう1本の副回線(バックアップ回線)を用意する「回線冗長化」が有効です。ただし、副回線に何を使うのか、障害時にどう切り替わるのか、既存の回線やルーターにそのまま追加できるのかは、サービスによって大きく異なります。自社にはどの方式が合い、どのサービスを選べばよいのでしょうか。
本記事では、回線冗長化・バックアップ回線サービスおすすめ10選を横並びで比較・解説します。障害時の切り替え方式(自動/手動)、副回線の種類(内蔵モバイル回線・別事業者の光回線・拠点間WAN)、既存環境への後付け可否、料金感まで同じ基準で整理しました。通信が止まると困る業務を抱える企業が、資料請求の当たりを付けるための判断材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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回線冗長化(バックアップ回線)とは?サーバー・機器の冗長化との違い
回線冗長化とは、インターネット回線を2系統以上用意し、主回線に障害が起きたときに副回線(バックアップ回線)へ通信を切り替えて、業務を止めない仕組みです。「冗長化」は、同じ役割を果たす予備を用意して片方が止まっても全体が動き続けるようにする考え方を指します。回線冗長化は、その対象をインターネット回線に絞ったものにあたります。
通信障害は特別な事業者だけの例外ではありません。総務省の情報通信白書でも、2024年度に四半期ごとの報告を要する電気通信事故が6,713件報告されています。
出典・参考資料(1件)
サーバー・機器の冗長化との違い
冗長化という言葉は、サーバーの二重化(本体やハードディスクの予備を持つRAID構成、待機系サーバーへの切り替え)や、電源・ネットワーク機器の予備化など、さまざまな対象に使われます。これらは機器そのものの故障に備える仕組みで、守る対象が回線とは異なります。
本記事が扱うのは、このうちインターネット回線の二重化に絞った範囲です。社内システムやサーバー機器の冗長化は別に検討する領域として切り分けておくと、自社に本当に必要なのが「回線の二重化」なのか「機器の二重化」なのかを見極めやすくなります。以降では、回線をどの方式で二重化し、どのサービスを選ぶかに話を絞って解説します。
回線を冗長化するメリットと、止まると困る業務
ここからは、回線を冗長化することで何を守れるのか、どの業務が止まると影響が大きいのかを整理します。
回線障害で止まる業務と損失(ダウンタイム・BCP)
インターネット回線が止まると、その回線に依存する業務は一斉に動かなくなります。店舗ではPOSレジやキャッシュレス決済で会計ができず、クリニックではオンライン資格確認や電子カルテが参照できず、オフィスではクラウド会計・予約管理・Web会議・メールが止まります。
いずれも通信の復旧を待つしかないダウンタイムに陥り、販売機会の損失だけでなく、顧客対応の遅れによる信用の低下にもつながります。
回線の冗長化は、緊急時にも中核事業の継続あるいは早期復旧を可能にするために平常時から備える事業継続計画(BCP)の一環にあたります。回線障害はBCPが想定する緊急事態の一つであり、副回線の確保はその備えの具体的な手段です。
出典・参考資料(1件)
通信を止めない回線の冗長化と並んで、サーバーやPCの中のデータそのものを失わないための備えがバックアップです。データ保全までBCPの一環として検討したい場合は、以下の記事で法人向けのバックアップサービスを料金・対応範囲ごとに比較しています。
自社の切迫度を見極める(冗長化を優先すべきか)
回線冗長化はどの企業にも一律に必要なわけではなく、通信が止まったときの損失が大きい環境ほど優先度が高くなります。自社が次のどれに当てはまるかを確認すると、投資の優先度を見極めやすくなります。
- 回線が数十分止まっただけで売上や信用に直結する業務(POSレジ・キャッシュレス決済・オンライン資格確認など)がある
- 夜間・休日など人が常駐しない時間帯にも通信を止められない
- 本社と支店・店舗など複数拠点をつなぐ通信に業務が依存している
- 障害時に手作業で復旧できるネットワーク担当が社内にいない
当てはまる項目が多いほど、冗長化の優先度は高くなります。特に複数拠点をまたぐ通信は、1拠点の障害が全拠点に波及するため、拠点間の経路も含めた冗長化が検討対象になります。
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障害時の切り替え方式の違い(自動フェイルオーバー/手動)
副回線を用意していても、主回線が止まったときに副回線へどう切り替わるかで、復旧までの時間と運用の手間が変わります。切り替え方式は大きく自動と手動に分かれます。

自動で切り替わる方式(自動フェイルオーバー)では、主回線の障害を機器が検知し、人の操作を介さずに副回線へ通信を切り替えます。担当者が障害に気づく前に通信が維持されるため、復旧対応の手間が小さく、専任のネットワーク担当がいない環境に向きます。
切り替えにかかる時間は製品によって幅があり、障害検知から数秒以内で副回線へ切り替わるものもあります。
ただし実測値や保証値まで公表している製品は多くありません。固定回線バックアップ時の切り替え仕様を公開資料で確認できない製品もあります。瞬断を許容できない業務では、切り替え時間と通信を途切れさせない動作の有無を導入前に確認してください。
手動で切り替える方式では、障害に気づいた担当者がルーターの設定変更や副回線への接続作業を行います。機器や契約の費用を抑えられる反面、障害の検知と切り替え作業に人手と時間がかかり、夜間や休日の障害では復旧が遅れやすくなります。通信を止めたくない時間帯に人が常駐しているかどうかが、手動方式を選べるかの分かれ目になります。
バックアップ回線(副回線)の種類
副回線は「何の回線で用意するか」で性質が変わります。ここでは主な3つの系統を整理し、自社の環境に合う方式を見極められるようにします。

内蔵モバイル回線型(LTE/5G・クラウドSIM/既存ルーターに後付け)
携帯電話と同じLTEや5Gのモバイル回線を副回線に使う方式です。モバイル回線に対応したルーターや切り替え装置を主回線の経路に組み込み、主回線が止まるとモバイル回線へ切り替えます。有線の引き込み工事が不要で、既存の回線やルーターに後付けしやすいのが特徴です。複数の通信事業者のSIMを束ねて使うクラウドSIMを採用し、電波状況に応じて事業者を自動で選ぶ製品もあります。
副回線の通信速度はベストエフォートで、モバイル回線型は副回線利用時の速度やデータ容量に制限がある場合があります。容量の上限を公開していない製品もあるため、障害中に必要な業務が副回線の帯域で回るかを事前に見積もっておくと安心です。
別事業者の光回線型(もう1本別系統の回線を引く二重化)
主回線とは別の通信事業者の光回線をもう1本引き、2系統の有線回線で二重化する方式です。複数の通信事業者のサービスを併用して障害に備える考え方は、キャリア・ダイバーシティと呼ばれます。モバイル回線より通信速度や容量の面で主回線に近い副回線を確保できる一方、新たな回線の引き込み工事が必要になります。
ただし、同じ通信網(光コラボレーション)を借りている事業者同士を2本選ぶと、元の網で障害が起きたときに両方が同時に止まる可能性があります。副回線は主回線と別系統の網を選ぶことが前提になります。
拠点間WAN型(複数拠点のWAN冗長化)
本社と支店、店舗と本部のように複数拠点を専用線や広域イーサネットでつなぐ企業では、拠点間をつなぐ経路そのものを二重化する方式があります。拠点をまたいだ基幹システムや在庫・受発注のやり取りが止まらないように、WAN(拠点間を結ぶ広域ネットワーク)の経路を冗長化します。単一拠点のインターネット接続を守る前の2つとは対象範囲が異なり、拠点間の通信全体を守る位置づけになります。
回線冗長化サービスの選び方(比較のポイント)
ここまで整理した切り替え方式と副回線の種類を踏まえ、自社の環境にどう当てはめて優先順位を付けるかを、4つの観点から確認します。
1. 自社環境に合う副回線の種類はどれか
まず、守りたいのが単一拠点のインターネット接続か、拠点間の通信かを決めることが出発点です。単一拠点なら内蔵モバイル回線型か別事業者の光回線型、複数拠点の経路ごと守るなら拠点間WAN型に絞られます。各方式の性質は前節のとおりで、自社の拠点構成に当てはめて候補を絞り込むとよいでしょう。
2. 障害時の切り替えは自動か手動か
次に、障害時の切り替えを自動と手動のどちらにするかは、通信を止めたくない時間帯に対応できる人がいるかが判断の軸になります。夜間・休日も無人で通信を維持したいなら自動、営業時間内に担当者が対応でき費用を抑えたいなら手動が当てはまります。
同じ自動でも、装置やサービス側で切り替えまで完結する型(内蔵モバイル回線型や、複数回線を1台にまとめて束ねるマルチホーミング型)と、回線提供が主で自動化は自社のルーター構成が前提になる別事業者の光回線型とでは、導入後の手間が変わります。比較表の切り替え方式の列で、どちらの型かを見分けてください。
3. 既存のルーター・回線に後付けできるか、工事は必要か
導入のしやすさは、既存の回線やルーターをそのまま使えるかで大きく変わります。内蔵モバイル回線型の装置は既存の経路に挟み込む形で後付けでき、工事を伴わない製品が多くあります。
別事業者の光回線型は新たな回線の引き込み工事が必要で、工事日の調整や宅内工事の可否の事前確認が求められます。自社の配線やルーターの構成に組み込めるか、設定を代行してもらえるかも、導入後の手離れを左右します。
4. 費用に見合う効果が得られるか(月額・初期費用と、止まった時の損失)
回線冗長化の費用は、副回線の種類と切り替え方式で幅があります。月額数千円から始められるモバイル回線型のバックアップもあれば、光回線をもう1本契約する分の月額と工事費がかかる構成もあります。判断材料は料金そのものだけでなく、回線が止まったときに失う売上や信用とのバランスです。短時間の停止でも損失が大きい業務なら、自動切り替えや主回線に近い副回線に費用をかける意味があります。
料金が公表されていないサービスは資料請求で見積もりを取り、自社の構成での総額を確認してください。
ここまで副回線の種類と切り替え方式、選び方の観点を整理しましたが、自社の環境にどの方式が合うかの判断は迷いやすいところです。既存ルーターの有無や拠点の数、予算などの質問に答えるだけで、貴社に合う方式・サービスを提示する「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しました。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】回線冗長化・バックアップ回線サービスを横並びで比較
ここからは、回線冗長化・バックアップ回線サービス10製品を横並びで整理しました。切り替え方式(自動/手動)・副回線の種類・対象範囲・提供エリア・既存環境への後付け可否・料金感を同じ基準で見比べられます。
ただし料金は2026年10月時点の各社公表情報に基づくもので、税込・税抜や当初料金・通常料金の別が各社で異なります。横並びの目安として見たうえで、正確な総額は各社の資料で確認してください。まずは全体像を俯瞰し、気になるサービスの個別紹介へ進んでください。
| サービス名 | DualLink Guard | DoRACOON | スカイベリーpro | ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ | オフィスeo光 | 法人BIGLOBE光 | ビジネスコミュファ | NUROアクセス | USEN DUAL CONNECT | EtherLINK ad |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 切り替え方式 | 自動フェイルオーバー (装置側で完結) | 自動(キャリア障害時) 固定回線の切替は要問い合わせ | 自動(装置側で切替) | 自動(アクティブ−スタンバイ) 装置側で完結/負荷分散も可 | 手動 (回線提供のみ・自動化はルーター側) | 手動 (回線提供のみ・自動化はルーター側) | 自動(アクティブ・スタンバイ対応) 負荷分散構成も可 | 手動 (回線提供のみ・自動化はルーター側) | 自動(光回線の切断を検知しLTEへ切替) | 自動(障害時に経路を切替) |
| 副回線の種類 | 内蔵モバイル回線(クラウドSIM・3キャリア) | 内蔵モバイル回線(クラウドSIM・複数キャリア) | 内蔵モバイル回線(3キャリア) ※pro Xは光・衛星も対応 | 別事業者の回線(複数ISP回線を束ねる) | 別事業者の光回線(独自光) | 別事業者の光回線(光コラボ) | 別事業者の光回線(独自光) | 別事業者の光回線 | 内蔵モバイル回線(LTE) | 拠点間WAN(広域イーサネット) |
| 対象範囲 | 拠点全体/特定機器 | 拠点全体 | 拠点全体 | 拠点全体 | 拠点全体 | 拠点全体 | 拠点全体 | 拠点全体 | 拠点全体(固定回線のバックアップ) | 拠点間 |
| 提供エリア | 全国(モバイル副回線) | 全国(モバイル) | 全国(モバイル) | 全国(全都道府県) | 関西エリア中心 | 全国(NTTエリア) | 中部エリア中心 | 全国(エリア要確認) | 全国(要確認) | 要問い合わせ(公式に明記なし) |
| 既存環境への後付け・工事要否 | 既存ルーターに後付け可(工事不要) | 工事不要(モバイル回線を併設) | 工事不要(装置を設置/受注生産) | 専用機器の設置と複数ISP回線の契約が必要 | 光回線の引き込み工事が必要 | 光回線の引き込み工事が必要 | 光回線の引き込み工事が必要 | 光回線の引き込み工事が必要 | 予備設備の設置が必要(詳細は要問い合わせ) | 拠点間WANの敷設が必要 |
| 料金感 | 要問い合わせ (端末はオープン価格、構成で変動) | 月額550円〜4,950円(税込) | 要問い合わせ(受注生産・個別見積) | 要問い合わせ | 月額2,900円〜(当初12か月・10Gプラン例/税抜) | 月額1,680円〜(1ギガ当初12か月/税抜) | 月額数千円〜(具体額は要問い合わせ) | 要問い合わせ | 初期33,000円/月額1,650円〜2,200円 | 月額10,000円〜(エントリーアクセス。SLA・完全二重化は上位プラン対象) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
回線冗長化・バックアップ回線サービスおすすめ10選
ここからは、比較表で取り上げた回線冗長化・バックアップ回線サービスを1つずつ紹介します。障害時の切り替え方式や副回線に使う回線の種類、対象範囲がそれぞれ異なるため、自社の環境と守りたい業務に照らしながら読み進めてください。
1. DualLink Guard(株式会社フーバーブレイン)

株式会社フーバーブレインのDualLink Guardは、光回線が止まったときに通信を端末内蔵のモバイル回線へ自動で切り替える、専用端末とサービスを組み合わせたバックアップ回線です。ONU(壁の差込口)と既存ルーターの間に専用端末を挟む形で接続し、既存ルーターの設定変更をせずケーブルの差し替えのみで後付けできます。
副回線はドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアに対応したクラウドSIMで、設置場所で電波の強い回線を自動で選びます。主回線である光回線の状態を24時間365日監視し、障害を検知すると人の操作を介さずに副回線へ切り替え、光回線が復旧すると自動で元に戻ります。
公式は切り替えを「数秒以内(最短0.5秒〜数秒)」と説明しています(実測値・保証値は非公開)。副回線の速度は上り最大50Mbps・下り最大150Mbps(ベストエフォート)です。
拠点全体の通信を冗長化するほか、POSレジなど特定の通信だけを対象にする設置構成も選べます。端末価格はオープン価格で、初期費用と月額のサービス料金は要お問い合わせです。
2. DoRACOON(NTTメディアサプライ株式会社)

DoRACOONは、クラウドSIM技術を使い、1枚のSIMでドコモ・au・ソフトバンク系の複数キャリアを利用できる法人向けのモバイル通信サービスです。提供元はNTTメディアサプライ株式会社で、使っているキャリアで障害が起きても正常な別キャリアに切り替えられます。
光回線が止まったときの副回線としても、モバイルの主回線としても利用できます。月額は用途に応じて選べ、普段使わない期間の料金を月550円(税込)に抑えられる休止プランがバックアップ用途に向きます。常時利用するプレミアムプランは月4,950円(税込)です。
固定回線のバックアップ用途で障害を検知してから切り替わるまでの具体的な仕様は公開資料で確認できないため、切り替え時間を重視する場合は導入前の確認が必要です。
3. スカイベリーpro(a2network株式会社)

スカイベリーproは、ドコモ・au・ソフトバンクの3大キャリアのSIMを1台に収容する通信装置です。提供元はa2network株式会社で、利用中のキャリアで障害が起きると、別のキャリアへ自動で切り替えて通信を維持します。
上位モデルのスカイベリーpro Xは、モバイル回線に加えて有線(光回線)や衛星回線も束ね、最大5回線まで冗長化できる設計です。Wi-Fi 6の内蔵、10Gbps対応ポート、遠隔でのファームウェア更新にも対応します。
端末は受注生産で、価格や納期は個別見積もりとなります。導入にあたっては自社の構成に合わせた見積もりの取得が必要です。
4. ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ(株式会社USEN ICT Solutions)

ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズは、株式会社USEN ICT Solutionsが手がける法人向けサービスで、複数のインターネットプロバイダー回線を1台に接続し、回線の冗長化(マルチホーミング)とUTM(複数のセキュリティ機能を1台に集約する統合脅威管理)を統合します。
障害時に待機回線へ切り替えるアクティブ−スタンバイ構成と、平常時から複数回線へ通信を振り分けるアクティブ−アクティブ構成を選べます。ファイアウォールやウイルス対策、コンテンツフィルター、VPNといったセキュリティ機能も1台に備えます。
24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までをカバーし、全都道府県で利用できます。初期費用・月額費用は要問い合わせです。
5. オフィスeo光(株式会社オプテージ)

オフィスeo光は、関西電力グループの株式会社オプテージが自社保有の光ファイバー網で提供する法人向け光回線です。NTT網(フレッツ光・光コラボ)とは局設備・回線設備が別系統のため、NTT網側の障害の影響を受けにくい副回線として、もう1本引く二重化構成に使えます。
回線の切り替えは利用者側で行う手動運用が基本で、自動で切り替えたい場合はルーターやマルチホーミング機器側で構成します。10Gプランの月額は当初12か月が2,900円、13か月目以降が6,800円(いずれも税抜)で、キャンペーン期間中は初期費用が無料です。
提供エリアはオプテージの独自光が届く関西エリアが中心のため、導入前に自社拠点が提供範囲に含まれるかの確認が必要です。
6. 法人BIGLOBE光(ビッグローブ株式会社)

法人BIGLOBE光は、NTT東西の光回線とプロバイダーをセットにした、ビッグローブ株式会社の法人向け光コラボ回線です。別事業者で使っている主回線に対してもう1本引くことで、回線を二重化する副回線として位置づけられています。
ただし、主回線も副回線も同じNTT網を借りる光コラボ同士だと、網側の障害で両方が同時に止まる可能性があるため、回線設備が別系統になる組み合わせを選ぶ必要があります。回線の切り替えは手動運用が基本で、自動化する場合はルーター側で構成します。
全国のNTTエリアで導入でき、複数回線ではボリュームディスカウントに対応します。月額は10ギガが当初12か月2,850円、マンションタイプの1ギガが当初12か月1,680円(いずれも税抜)です。
7. ビジネスコミュファ(中部テレコミュニケーション株式会社)

ビジネスコミュファは、中部テレコミュニケーション株式会社(ctc)が独自に保有する光ファイバー回線・設備を使う、プロバイダー一体型の法人向けインターネット接続サービスです。NTT網とは別系統の回線のため、主回線の障害に備えるバックアップ回線として使えます。
障害時に待機回線へ自動で切り替えるアクティブ・スタンバイ型と、複数回線へ負荷を分散するアクティブ・アクティブ型のどちらにも対応します。プロとライトのプランがあり、最大10Gbpsの高速プランも選べます。
公式には月額数千円でバックアップ回線を導入できると案内されていますが、プラン別の具体的な月額・初期費用は要問い合わせです。提供エリアはctcの独自回線が届く中部エリアが中心です。
8. NUROアクセス(ソニービズネットワークス株式会社)

NUROアクセスは、ソニービズネットワークス株式会社が提供する法人向けの光回線で、主回線・副回線のいずれにも使われます。標準のNUROアクセス 2Gと、上下最大10Gbpsの帯域確保型であるNUROアクセス 10Gがあります。
自社のバックボーンが局舎間をリング状につなぐ構成のため、一部の経路で不具合が起きても迂回して通信を継続します。帯域確保型の10Gは、混雑時でも速度が落ちにくい点が標準回線との違いです。
主回線と副回線を二重化したときの回線間の切り替えは、利用者側のルーターやマルチホーミング構成に依存します。初期費用・月額は公式サイトに記載がなく要問い合わせで、導入事例は1,000名を超える大企業から50名以下の小規模医療機関まで幅があります。
9. USEN DUAL CONNECT(株式会社USEN NETWORKS)

USEN DUAL CONNECTは、株式会社USEN NETWORKSが2024年1月に提供を開始した法人向けのバックアップ通信サービスです。固定回線である主回線が障害や故障で止まったときに、あらかじめ用意した予備設備へ切り替えて業務を継続することを目的としています。
公式サービスサイトによると、光回線の通信切断を検知してLTE回線(モバイル回線)へ自動で切り替える方式で、バックアップ用に2回線目の固定回線を用意する必要はありません。料金は初期費用が33,000円(事務手数料・設置設定費込み)、月額は単独で2,200円、USEN光 Plusとのセットで1,650円(いずれも初月無料)と明示されています。
最低利用期間は24か月で、通信量が超過した分は1GBあたり550円の超過料金がかかります。
10. EtherLINK ad(中部テレコミュニケーション株式会社)

EtherLINK adは、複数拠点を結ぶ広域イーサネット(WAN)を使った、中部テレコミュニケーション株式会社(ctc)のネットワークサービスです。単一拠点のインターネット接続ではなく、本社と支店などの拠点間をつなぐ経路そのものを冗長化する点が、オフィス単体向けのバックアップ回線と異なります。
通信事業者2社の広域イーサネットを使って経路を二重化し、障害が起きると自動的に経路を切り替えて通信を確保します。バックボーンの完全二重化とSLA(品質保証)は上位プランが対象で、最安のエントリーアクセスは一部が対象外です。復旧対応は中部5県に置く6拠点のエンジニアリングセンターが担います(サービスの提供エリアは公式に明記がないため、自社の拠点で使えるかは問い合わせでの確認が必要です)。
月額はアクセス回線のグレードに応じて、エントリーアクセスが10,000円から、スタンダードアクセスが40,000円から、プレミアムアクセスが80,000円からの3段階です。
回線冗長化を導入する際の注意点
最後に、導入後に後悔しないための確認点を整理します。いずれも、いざ障害が起きたときに副回線が期待どおり機能するかに関わる観点です。
第一に、別事業者の光回線で二重化するときは、2本が同じ通信網を共有していると網側の障害で両方が同時に止まります。前述のとおり、副回線は主回線と別系統の網を選ぶのが前提です。
第二に、自動切り替えに対応していても、検知条件や切り替えにかかる時間は製品ごとに異なります。瞬断を許容できない業務では、切り替え時間と通信を途切れさせない動作の有無を導入前に確認しておくとよいでしょう。
第三に、副回線は平常時ほとんど使われないため、いざというときに正しく切り替わるかを定期的に試す運用が必要です。導入時に切り替えテストやサポートの範囲を確認しておくと、障害時に副回線が機能しない事態を避けられます。
第四に、モバイル回線型では副回線利用時のデータ容量や速度に制限がある場合があるため、障害中に必要な業務が副回線の帯域で回るかを見積もっておくことが求められます。
複数拠点をまたぐ通信を全国規模で冗長化したい場合、本記事で単一拠点向けに挙げたサービスだけでは候補が限られます。拠点間WANサービスには提供エリアを公式に明記しないものもあり、自社の拠点で使えるかは問い合わせでの確認が必要です。
拠点間WANの選択肢自体がこの一覧では限られるため、全国で探すときはキャリア各社の広域WAN・閉域網サービスを軸に、各サービスの提供エリアが自社の全拠点をカバーするかを1拠点ずつ確認していくとよいでしょう。
まとめ
回線冗長化は、インターネット回線をもう1本の副回線で二重化し、障害時も業務を止めないための備えです。選ぶ際の観点は、障害時の切り替えが自動か手動か、副回線の種類(内蔵モバイル回線・別事業者の光回線・拠点間WAN)、既存環境への後付け可否と工事の要否、料金と止まったときの損失のバランスです。
これらを自社の環境に当てはめて優先順位を付けることが、サービス選びの出発点になります。
単一拠点のインターネット接続を手早く守りたいなら既存回線に後付けできるモバイル回線型、主回線と同等の副回線が要るなら別系統の光回線型、拠点間の通信を守りたいなら拠点間WAN型というように、守りたい対象から方式を絞り込めます。具体的なサービスの料金や切り替え方式、対象範囲は比較表と診断ツールで確認し、気になるサービスの資料を取り寄せて、自社の構成での導入可否と総額を見極めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 副回線が正しく切り替わるか、定期的にテストすべきですか?
A. はい。副回線は平常時ほとんど使われないため、いざというときに切り替わらないことがあり、定期的な切り替えテストが有効です。頻度に決まった基準はありませんが、機器やルーター構成・回線契約を変更したときや、BCPの点検・防災訓練に合わせて実施すると無理なく続けられます。
テストでは、実際に主回線を落として副回線へ切り替わるかを確認します。導入時に、テストの手順やサポートの範囲も確認しておくと、障害時に副回線が機能しない事態を避けられます。
Q. 全国に拠点があります。関西・中部など地域限定の光回線は副回線に使えますか?
A. NTT網と別系統の地域限定の独自光回線は、提供エリア内の拠点でのみ副回線に使えます。網をまたいだ冗長化ができる利点がある一方、エリア外の拠点では契約できないため、全国で統一したい場合には向きません。
全国の拠点を同じ方式でそろえたいときは、全国のNTTエリアで引ける光コラボ、電波が届けば場所を選ばない内蔵モバイル回線型、拠点間を結ぶ広域WANサービスが候補です。拠点ごとに提供エリアを確認して組み合わせると、全国でも無理なく冗長化できます。
Q. 回線冗長化でいうマルチホーミングとは何ですか?ロードバランサーとは違いますか?
A. マルチホーミングとは、複数の回線を1台の機器に接続して通信経路を冗長化する構成で、通信の負荷を複数の経路に振り分けるロードバランサーとは目的が異なります。マルチホーミングは主回線が止まったときに別回線で通信を維持することを狙い、ロードバランサーは平常時の負荷分散を狙います。
製品によっては両方の機能を併せ持ち、障害時に待機回線へ切り替えるアクティブ−スタンバイ構成と、平常時から複数回線へ振り分けるアクティブ−アクティブ構成のどちらも選べるものがあります。
Q. 回線冗長化の副回線は、モバイル回線と別の光回線のどちらを選べばよいですか?
A. 副回線は、有線工事を避けて既存環境に手早く後付けしたいならLTE/5Gのモバイル回線型、主回線と同等の速度・容量を求めるなら別事業者の光回線型が向きます。モバイル回線型は切り替え装置を既存の経路に挟むだけで導入でき、災害対策や店舗ネットワークの冗長化で広く使われますが、副回線利用時のデータ容量や速度に制限がある場合があります。
別の光回線型は主回線に近い品質を確保できる一方、新たな引き込み工事が必要で、主回線と別系統の通信網を選ばないと網側の障害で両方が同時に止まる点に注意が必要です。
Q. 回線冗長化は自動切り替えと手動切り替えのどちらを選べばよいですか?
A. 回線冗長化の切り替えは、専任のネットワーク担当がいない環境や夜間・休日も通信を止めたくない業務なら自動(自動フェイルオーバー)、コストを抑えたく障害時に人が対応できる体制があるなら手動が選択肢になります。
自動方式は主回線の障害を機器が検知して人の操作なしに副回線へ切り替えるため復旧対応の手間が小さく、手動方式は機器や契約の費用を抑えられる反面、障害の検知と切り替え作業に人手と時間がかかります。通信を止めたくない時間帯に人が常駐しているかどうかが選択の分かれ目です。
Q. 回線冗長化サービスは既存の光回線やルーターにそのまま後付けできますか?工事は必要ですか?
A. 後付けできるかは副回線の種類によって異なり、モバイル回線型は切り替え装置を既存の経路に挟む形で工事なしに後付けしやすく、別事業者の光回線型は新たな回線の引き込み工事が必要になります。モバイル回線型には、ONU(壁の差込口)と既存ルーターの間に専用端末を挟み、ケーブルの差し替えだけで導入できる製品もあります。
光回線型を選ぶ場合は、工事日の調整や宅内工事の可否、既存の配線・ルーター構成に組み込めるか、設定を代行してもらえるかを事前に確認すると、導入後の手離れがよくなります。
Q. 回線冗長化の費用(月額・初期費用)はどのくらいかかりますか?
A. 回線冗長化の費用は副回線の種類と切り替え方式で幅があり、月額数千円から始められるモバイル回線型のバックアップもあれば、光回線をもう1本契約する分の月額と工事費がかかる構成もあります。
たとえばバックアップ用途で普段使わない期間の料金を月550円(税込)に抑えられるプランや、月2,200円前後の固定回線バックアップサービスがある一方、拠点間のWANを冗長化する構成では月額1万円以上かかる場合もあります。料金が公表されていないサービスは資料請求で見積もりを取り、回線が止まったときに失う売上や信用とのバランスで判断してください。
Q. 専任のネットワーク担当がいなくても回線冗長化を運用できますか?
A. 専任のネットワーク担当がいない環境では、障害を自動で検知して副回線へ切り替える自動フェイルオーバー型を選ぶと、人の操作なしに通信が維持され運用できます。設定や導入を支援するサービスや、障害の検知から復旧対応までを24時間365日カバーするサービスもあり、こうした運用支援の有無は比較の重要なポイントです。
手離れのよさを重視するなら、切り替えの自動化に加えて、設定代行や障害時のサポート範囲を資料で確認するとよいでしょう。
Q. 中小企業や小規模な店舗・クリニックでも回線冗長化を導入できますか?
A. 回線冗長化は、中小企業や小規模な店舗・クリニックでも導入できます。クラウド管理型や小規模向けの製品、既存ルーターに後付けできるモバイル回線型があり、大がかりなネットワーク構築を伴わずに始められます。
まずは数十分止まっただけで売上や信用に跳ね返る業務がどれかを整理し、その業務が使う回線から優先して冗長化すると、規模に見合った無理のない投資になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。














