個人事業主やフリーランスとして事業を始めると、経費の支払いをプライベートのクレジットカードで済ませてしまい、確定申告のたびに利用明細の仕分けに追われる方は少なくありません。事業用のビジネスカードを1枚持てば、事業とプライベートの支出が自然に分かれ、経費管理や会計ソフトへの取り込みが一気に楽になります。
ビジネスカードは年会費・ポイント還元率・利用限度額・会計ソフト連携・審査の通りやすさがカードごとに大きく異なります。開業したばかりで実績が浅い場合でも、決算書や登記簿謄本が不要で本人確認だけで申し込めるカードが増えており、自分の事業規模と使い方に合った1枚を選べる環境が整っています。
本記事では、個人事業主・フリーランスが申し込めるビジネスカード21枚を、年会費・還元率・会計ソフト連携・開業直後でも作れる審査条件といった観点で横断的に比較します。カードの選び方に加え、個人カードと分けるメリット、開業直後の審査、年会費の経費計上や記帳のポイントまで、事業用カードを選ぶ前提になる疑問もあわせて解説します。
また、自分の事業規模や重視したいポイントに合うカードを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
本記事の対象範囲
本記事が扱うのは、個人事業主・フリーランス本人が申し込める「事業用のビジネスカード」です。個人名義(屋号を併記できるカードもあります)で発行され、経費決済や会計ソフト連携、出張などのビジネス向け付帯サービスを備えたカードを対象にしています。
券面上は個人カードでも屋号付き口座を引き落とし先に指定できるものや、クレジットカードではない多通貨アカウント型のサービスなど、個人事業主が事業用に使える形のカードを幅広く対象にしています。
一方で、登記した法人だけが申し込めるコーポレートカードや、事業用途の設計がない純粋な消費者向けカードは扱いません。判断の軸は、個人事業主が事業用に使えるかどうかに置いています。
従業員を雇う規模になった場合や、法人を設立して法人カードを検討する段階では、法人カード全体を比較した記事もあわせて参考になります。個人事業主という絞り込みを外して、中小企業向けも含めた法人カード全般を年会費・還元率・会計ソフト連携で見比べたい場合は、次の記事をご覧ください。
個人事業主のビジネスカードの選び方(6つの軸)
ここからは、自分の事業に合うビジネスカードを絞り込むための6つの軸を解説します。すべてを満たす1枚を探すより、自分の事業で優先度が高い軸から見ていくと候補を早く絞れます。
年会費が事業規模に見合っているか
年会費は固定費として毎年かかるため、事業規模が小さいうちは永年無料または条件付き無料のカードが選びやすい選択肢です。年会費が永年無料のカードなら、持っているだけのコストは発生しません。
一方で、ゴールドやプラチナは年会費がかかる代わりに、空港ラウンジや高い還元率、付帯保険といった特典が付きます。年間の経費決済額が大きく、特典を年会費以上に使い切れる見込みがあるかどうかが、有料カードを選ぶかどうかの分岐点になります。「年間100万円の利用で翌年以降の年会費が無料」といった条件が付くゴールドカードもあり、決済額が読める場合は実質無料で上位カードを持てます。
ポイント還元で経費をどれだけ取り戻せるか
事業用カードは経費の支払いが集中するため、還元率の差が年間のポイント額に大きく響きます。基本還元率が0.5%か1.0%かで、年間200万円を決済すると1万円分の差が生まれます。仕入れや広告費など決済額が大きい事業ほど、高還元カードを選ぶ効果は大きくなります。
還元率は基本の数字だけでなく、ポイントが貯まる場面と使い道もあわせて確認しておくと、実質的な還元を見極めやすくなります。特定のモール利用時に還元が上がるカードや、貯めたポイントを年会費の支払いに充てられるカードもあり、自分が普段どこで経費を使うかによって実質的な還元は変わります。
利用限度額が事業の支払額に足りるか
広告費や仕入れをまとめてカード決済する場合、個人向けカードの限度額では足りなくなることがあります。ビジネスカードは事業用途を前提に限度額が高めに設定される傾向があり、大口の支払いにも対応しやすい設計です。
ただし、開業直後は事業実績が乏しく、限度額が低めに設定されることも珍しくありません。1枚の限度額にこだわらず、支払いが重なる時期に備えてサブカードを用意しておくと、限度額の一時的な不足で決済が止まるリスクを避けられます。
会計ソフトと自動で連携できるか
経理も自分で担う個人事業主にとって、会計ソフトとの連携は記帳の手間を大きく左右します。freeeやマネーフォワード クラウドといった会計ソフトと連携できるカードなら、利用明細が自動で取り込まれ、仕訳候補まで作られるため、確定申告前の作業が軽くなります。
特定の会計ソフトと一体で使うことを想定したカードもあります。すでに使っている会計ソフトがある場合は、そのソフトと連携できるカードを選ぶと、明細の取り込みから仕訳までの流れがそのまま自動化できます。
屋号付きの口座・名義に対応しているか
個人事業主のビジネスカードは基本的に個人名義で発行されますが、屋号を併記できるカードや、屋号付きの事業用口座を引き落とし先に指定できるカードがあります。取引先へ屋号で活動している場合は、屋号に対応したカードを選ぶと事業用としての体裁が整います。
屋号付き口座を引き落とし先にできると、事業用の資金の流れがカードと口座で一貫し、私用の口座と混ざりません。屋号名義そのものでの発行は法人ではないため基本的にできない点は、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。
海外決済・多通貨で使いたいか
越境ECや海外の仕入れ・サブスクリプションが多い事業では、海外決済にかかる為替コストが利益を圧迫します。一般的なクレジットカードは海外事務手数料が上乗せされるため、海外決済の比率が高い場合はこのコストを軽く見られません。
多通貨アカウント型のサービスのように、実際の為替レートに近いレートと明示された手数料で外貨を扱える選択肢もあります。国内決済が中心か海外決済が多いかで、重視すべきカードは変わります。海外取引が多い事業なら、通常のポイント還元よりも為替コストの低さを優先して選ぶ判断もあります。
(まとめ)メイン1枚+サブの組み合わせ方
ここまでの軸を踏まえると、1枚ですべてを満たそうとするより、役割の違う2枚を組み合わせる持ち方が現実的です。日常の経費決済に使うメインカードを1枚決め、限度額の不足や国際ブランドの相性、海外決済といった特定の場面に備えてサブカードを1枚持つ構成が使い分けしやすくなります。
メインは還元率と会計ソフト連携を重視した年会費無料カード、サブは異なる国際ブランドや海外決済に強いカードを選ぶと、決済が止まる場面を減らせます。年会費無料のカードを組み合わせれば、複数枚持ってもコストはかかりません。
次の診断ツールでは、重視したいポイントに答えるだけで、自分の事業に合うカードの候補を絞り込めます。
【比較表】個人事業主向けビジネスカードを比較
ここからは、個人事業主が申し込めるビジネスカード21枚を、年会費・ポイント還元率・国際ブランド・利用限度額・会計ソフト連携・ETCカード・審査条件で横並びに比較します。気になるカードは、表のカード名から個別紹介へ移動して詳細を確認できます。会計ソフト連携の列は、公式に対応会計ソフト名が明記されているものを●、連携の仕組みはあるものの対応ソフト名が公式に公開されていないものを△として区別しています。
| サービス名 | マネーフォワード ビジネスカード | Wise Business | 三井住友カード ビジネスオーナーズ | JCB Biz ONE | セゾンコバルト・ビジネス・アメックス | freee Mastercard | Airカード | 楽天ビジネスカード | ライフカードビジネスライトプラス | JCB CARD Biz | JCB法人カード 一般 | ANA JCB法人カード 一般 | EX Gold for Biz S | 三菱UFJカード ビジネス | アメックス・ビジネス・グリーン | アメックス・ビジネス・ゴールド | アメックス・ビジネス・プラチナ | セゾンプラチナ・ビジネス・アメックス | UCプラチナカード | ダイナースクラブ ビジネス・カード | ラグジュアリーカード チタンカード |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年会費 | 無料 (前年利用実績なしの場合、2年目以降1,000円+税) | 無料 (法人デビットカード、1枚目無料) | 一般: 永年無料 ゴールド: 5,500円(年100万円利用で翌年以降無料) | 一般: 永年無料 ゴールド: 5,500円(初年度無料・年100万円利用で翌年度無料) | 永年無料 (追加カード9枚まで無料) | 無料 (ゴールドは2年目以降2,200円) | 5,500円(税込) (追加カード3,300円/枚) | 2,200円(税込) +楽天プレミアムカード11,000円が別途必須(実質13,200円) | スタンダード: 永年無料 ゴールド: 2,200円(初年度無料) | 一般1,375円/ゴールド11,000円/プラチナ33,000円(税込) | 1,375円(税込) (オンライン入会で初年度無料) | 2,475円(税込) (初年度無料。マイル移行手数料5,500円/年) | 初年度無料、次年度以降3,300円(税込) | 1,375円(税込) (Visa/Mastercard両方は1,650円) | 13,200円(税込) | 49,500円(税込) | 165,000円(税込) | 初年度無料、次年度以降33,000円(税込) | 16,500円(税込) | 33,000円(税込) | 55,000円(税込) |
| ポイント還元率 | 通常1% (MF関連サービス3%、税金等0.5%) | なし (デビットのため) | 一般・ゴールド: 0.5% プラチナプリファード: 1.0% | 1% (200円=J-POINT2pt、優待店最大21倍) | 通常0.5%相当 (対象Webサービスで2%相当) | 標準: なし ゴールド: 約0.5%相当 | 1.5% (一部支払いは0.5%) | 1.0% (楽天市場で3倍〜、条件により変動) | 0.5% (要確認、公式は数値明記なし) | 0.5% (200円=1pt) | 0.5% (200円=J-POINT1pt) | 0.5% (200円=J-POINT1pt、1pt=2マイル) | 0.6% (会員特典適用時) | 1,000円=1pt (月10万円以上で加算) | 100円=1pt (対象加盟店で最大3pt) | 100円=1pt (対象加盟店で最大3.0%) | 100円=1pt (対象加盟店で最大3pt) | 国内1,000円=1pt (海外2pt、永久不滅ポイント) | 1.00% (通常時) | 0.4〜1.0%目安 (要確認) | 1.0% |
| 国際ブランド | Visa | Mastercard (要確認) | Visa・Mastercard (プラチナはVisaのみ) | JCB | American Express | Mastercard | JCB | 要確認 | Visa・Mastercard・JCB (ゴールドはMastercard・JCB) | JCB | JCB | JCB | Mastercard・Visa・JCB | Visa・Mastercard | American Express | American Express | American Express | American Express | Visa | Diners Club | Mastercard (World Elite) |
| 利用限度額 | 最大10億円 (制度上の上限。実際の枠は審査による) | – (残高からの即時決済) | ~500万円 (プラチナは~9,999万円) | ~500万円 (個別設定) | 最高500万円 (審査による) | 10万〜500万円 | 10万〜500万円 (入会時上限100万円) | 最大300万円 (プレミアムカードと合算) | 最高500万円 (審査による) | 個別審査による | 10万〜500万円 (審査による) | 10万〜500万円 | 審査による (公式に上限記載なし) | 40万〜80万円 (審査による) | 一律上限なし (利用実績に応じ個別設定) | 一律上限なし (利用実績に応じ個別設定) | 一律上限なし (利用実績に応じ個別設定) | 最大9,990万円 (審査による) | 最大700万円 | 一律上限なし (利用実績に応じ個別設定) | 事前入金で最大9,990万円 |
| 会計ソフト連携 | ●マネーフォワード クラウド | △海外ソフト中心(国内ソフトは公式未掲載) | △freeeと提携(対象カードは要確認) | △自動入力あり(対応ソフト名は公式未明記) | △かんたんクラウド優待(連携は要確認) | ●freee会計に自動取込 | ●弥生・freee・MF・ソリマチ | △楽天カードは対応(本カード名の明記は未確認) | △連携可(対応ソフト名は公式未明記) | ●弥生・freee・ソリマチ | ●弥生・freee・MF | △共通サービスで対応(本カード単体は要確認) | △mitosel連携(会計ソフトは要確認) | △freee側で対応(範囲は要確認) | ●弥生・freee(API連携) | ●弥生・freee(API連携) | ●弥生・freee(API連携) | △通常版は公式明記なし(freee版は別商品) | △対象カードか要確認(弥生API連携) | ●freee会計(要確認) | △弥生・マネーフォワード(freeeは未言及) |
| ETCカード | ●900円+税/枚 | ×(デビット/海外ブランド) | ●無料(前年度利用なしで翌年度550円) | ●1枚(初年度無料) | ●発行可(年会費は公式未明記) | ●年会費無料 | △発行可否は要確認 | ●1枚目無料(2枚目以降550円、最大9枚) | ●1枚無料 | ●550円(初年度)、年1回利用で翌年度無料 | ●無料(複数枚可) | ●無料(複数枚可) | ●無料 | ●新規発行手数料1,100円 | △公式未明記(無料との情報あり) | ●年会費無料 | ●記載あり(年会費は公式未明記) | ●無料(5枚まで) | ●無料 | ●無料(2枚まで、要確認) | 要確認 |
| 開業直後の申込 | ●本人確認書類のみ | ●登記書類不要 | ●決算書・登記簿不要 | ●登記簿・決算書不要 | ●開業前・設立1年未満でも可 | ●赤字決算・申告でも可 | △審査条件は公式未明記 | ●開業届・屋号なしでも可 | ●決算資料不要 | △登記簿不要(開業前の可否は公式未明記) | △審査書類の要否は公式未明記 | △個人事業主対象(審査基準は非公開) | ●登記簿・決算書不要 | △原則黒字決算が条件 | △開業初年度でも可(公式未確認) | ●起業直後でも可(公式明記) | ●開業直後でも可(公式明記) | ●決算書・登記簿不要 | △個人カード(法人カードではない) | ●登記簿・決算書不要(要確認) | ●経営者・個人事業主も可 |
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※2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。年会費・還元率・特典は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
個人事業主におすすめのビジネスカード
ここからは、比較したカードを1枚ずつ、年会費・還元率・利用限度額・会計ソフト連携・審査条件などの特徴とあわせて紹介します。紹介する順番はおすすめ順位ではないため、気になる軸から、比較表や前述の診断とあわせてご覧ください。
2枚目のWise Businessはクレジットカードではなく、海外決済や多通貨での支払いが多い事業向けの選択肢です。国内決済が中心でクレジットカードを探している場合は、3枚目以降を中心にご覧ください。
1. マネーフォワード ビジネスカード(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード ビジネスカードは、会計ソフト「マネーフォワード クラウド」を提供する株式会社マネーフォワードが発行する、法人・個人事業主向けのVisaクレジットカードです。初期費用・年会費は無料で、屋号でのカード表記や屋号入り口座からの引き落としにも対応しています。
個人事業主は本人確認書類のみで申込でき、決算書や登記事項証明書の提出は不要です。年会費は無料ですが、直前1年間にカード利用実績がない場合は2年目以降に1,000円+税が発生します。国際ブランドはVisaで、与信限度額は最大10億円(公式表記)とされています。
ポイント還元率は2026年1月1日の改定後で、通常利用1%、マネーフォワード関連サービスの利用で3%、税金・公共料金等は0.5%です。マネーフォワード クラウド会計・確定申告とリアルタイム連携し、カード利用明細が自動で仕訳候補になるため、日々の記帳や確定申告の負担を抑えたい個人事業主に向いています。
2. Wise Business(ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社)

Wise Business は、クレジットカードではなく、多通貨アカウントに紐づく法人デビットカードです。英国 Wise 社の送金基盤を、日本ではワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社が資金移動業者として提供しています。残高から即時決済するデビット方式のため、分割払いやクレジットカード型のポイント還元はありません。
アカウント開設と口座維持費は無料で、1枚目のカード発行も年会費・サブスクリプション料金なしです(設定手数料として一回限り3,000円、追加カードは1枚640円)。円・米ドル・ユーロなど40種類以上の通貨を無料で保有でき、両替は上乗せのないミッドマーケットレート(仲値)に手数料0.27%〜を加えた料率で行います。
個人事業主も登記書類なしで本人確認と事業内容の登録により法人アカウントを開設できます。海外取引や越境ECで外貨の受取・支払いをまとめたい個人事業主に向く一方、会計ソフト連携はXero・QuickBooks等の海外ソフトが中心で、freee・マネーフォワード等の国内会計ソフトとの直接連携は公式ページに掲載がない点は確認しておきたいところです。
3. 三井住友カード ビジネスオーナーズ(三井住友カード株式会社)

三井住友カード ビジネスオーナーズは、「一般」「ゴールド」「プラチナプリファード」の3種類を展開する中小企業・個人事業主向けのカードです。いずれも決算書・登記簿謄本の提出が不要で、本人確認書類だけで申し込め、設立間もない事業者や開業直後の個人事業主も対象としています。
一般カードは年会費が永年無料、ゴールドは5,500円(税込)で年間100万円の利用があれば翌年以降は永年無料になります。通常のポイント還元率は一般・ゴールドが0.5%相当、プラチナプリファードは1.0%です。国際ブランドは一般カードがVisaかMastercardから選べ、プラチナプリファードはVisaのみです。
利用限度額はショッピングで最大500万円(プラチナプリファードは所定の審査により最大9,999万円)です。パートナー(追加)カードは18枚まで年会費無料で発行でき、複数の事業用決済を1枚のカード請求にまとめられます。
4. JCB Biz ONE(株式会社ジェーシービー)

JCBが発行するJCB Biz ONEは、個人事業主・フリーランス・副業を申込対象に掲げるビジネスカードです。法人の登記簿謄本や決算書の提出が不要で、代表者個人の信用情報に基づいて審査される点が特徴で、一般とゴールドの2グレードを展開しています。
一般カードは年会費が永年無料、ゴールドは5,500円(税込)で初年度無料、年間100万円以上の利用で翌年度も無料になります。ポイントは200円につきJ-POINTが2ポイント(還元率1%相当)貯まり、Amazonや楽天などの優待店では倍率が上がります。国際ブランドはJCB、利用限度額は最大500万円(個別設定)です。
インターネット申込と対象金融機関での口座設定により、最短5分でカード番号が発行されます。利用明細を会計ソフトへ自動入力する機能を訴求していますが、対応する具体的な会計ソフト名は公式サイトでは明示されていないため、連携を重視する場合は申込前に確認しておくと安心です。
5. セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

副業・個人事業主・フリーランスに向けたカードとして、クレディセゾンが発行する年会費永年無料のビジネスカードです。決算書・登記簿謄本・法人口座を求めず、代表者個人の本人確認書類だけで審査を受けられるため、開業前や設立1年未満の事業者でも申し込めます。
国際ブランドはAmerican Expressで、有効期限のない永久不滅ポイントが1,000円ごとに1ポイント貯まります。AWSやエックスサーバー、クラウドワークス、マネーフォワードなど対象のビジネス系ウェブサービスの利用では、ポイントが通常の4倍(最大2%相当)になります。
追加カードは9枚まで無料で発行でき、支払いサイクルは最長56日です。利用限度額は個人向けカードより高めに設定されるとされ、具体的な枠は審査によって決まります。
6. freee Mastercard(freee finance lab株式会社)

freee Mastercardは、クラウド会計ソフト「freee会計」を提供するfreeeグループが、ライフカードと共同開発した個人事業主・法人向けのカードです。カードの利用明細がfreee会計へ自動で取り込まれ、経理の手入力を減らせる点を軸にしています。
標準カードは年会費が無料(初年度・2年目以降とも)で、ETCカードも年会費無料、従業員カードを最大3枚まで無料で発行できます。国際ブランドはMastercard、利用限度額はショッピング枠が10万〜500万円です。ゴールドは初年度無料・2年目以降2,200円(税込)で、1,000円につき1ポイントが貯まります。
決算書・登記簿謄本の提出が不要なうえ、赤字決算・申告でも申し込めると公式に明記されており、開業直後や創業間もない事業者でも申し込みやすい設計です。すでにfreee会計を使っている個人事業主なら、明細取り込みから仕訳までを一体で自動化できます。
7. Airカード(株式会社リクルート)

Airカードは、リクルートがJCBと提携して提供する法人・個人事業主向けのビジネスカードです。Airレジ・Airペイなど「Air」シリーズの経費管理や会計ソフト連携と組み合わせ、経費精算の手間を減らすことを訴求しています。
年会費は本会員が5,500円(税込)、追加カードが1枚あたり3,300円(税込)です。ポイント還元率は通常の決済で一律1.5%(税金・公共料金・通話料など一部の支払いは0.5%)と、法人カードのなかでは高めの水準です。国際ブランドはJCBで、貯まったポイントはdポイント・Pontaポイントと等価交換できます。
弥生会計・freee会計・マネーフォワード クラウド・ソリマチといった主要なクラウド会計ソフトとの連携に公式に対応しています。利用限度額は10万〜最大500万円で、入会時は上限100万円です。
8. 楽天ビジネスカード(楽天カード株式会社)

楽天ビジネスカードは、楽天カードが発行する事業用カードで、個人向けの「楽天プレミアムカード」の追加カードとして発行される点が他社と大きく異なります。単体では申し込めず、本会員として楽天プレミアムカードを保有している(または同時に申し込む)ことが前提です。
楽天ビジネスカード自体の年会費は2,200円(税込)ですが、必須となる楽天プレミアムカードの年会費11,000円(税込)が別途かかるため、実質の年間負担は合計13,200円(税込)になります。通常のポイント還元率は1.0%で、楽天市場の利用では3倍以上に上がります(上乗せ倍率はSPUなどの条件により変動します)。
利用限度額は楽天プレミアムカードと合算で最大300万円です。開業届や屋号がなくても申し込める間口の広さがある一方、従業員用の追加カードは発行できない点に注意が必要です。
9. ライフカードビジネスライトプラス(ライフカード株式会社)

ライフカードビジネスライトプラスは、法人代表者・個人事業主向けの事業費決済用カードで、契約は法人ではなく申込者個人との契約になります。決算書・登記簿謄本などの財務資料の提出が不要で、本人確認書類だけで審査を受けられます。
年会費が永年無料の「スタンダード」と、2,200円(税込・発行初年度無料)の「ゴールド」の2種類から選べます。スタンダードは国際ブランドをVisa・Mastercard・JCBの3種類から選べ、利用可能枠は審査により最高500万円です。従業員カードを最大3枚まで無料で発行でき、申込から最短3営業日で発行されます。
ポイントサービスも付帯します(還元率0.5%との情報は第三者メディアによるもので、公式サイトでは具体的な数値の記載が確認できませんでした)。年会費無料クラスとしては利用可能枠の上限が高く、ブランド選択の幅も広いカードです。
10. JCB CARD Biz(株式会社ジェーシービー)

JCB CARD Biz は、ジェーシービーが発行する中小企業の代表者・個人事業主向けのビジネスカードです。法人の登記簿謄本などは不要で、代表者本人の本人確認書類だけで申し込めます。名称の似た「JCB Biz ONE」(個人事業主専用の別シリーズ)とは年会費もポイント還元率も異なる別商品なので、混同しないよう注意が必要です。
一般・ゴールド・プラチナの3ランクがあり、年会費は一般が1,375円(税込)です(年会費無料のランクはありません)。基本のポイント還元率は0.5%で、弥生・freee・ソリマチの各会計ソフトへ利用明細を連携できます。全ランクにサイバーリスク保険が付帯し、ゴールド以上では国内外の旅行傷害保険が加わります。
代表者本人の利用を前提とした本人利用型のカードで、引き落とし口座は個人名義・法人名義のどちらも指定できます。上位のプラチナには、プライオリティ・パスや24時間対応のコンシェルジュデスクが付帯します。
11. JCB法人カード 一般(株式会社ジェーシービー)

JCB法人カード「一般」は、同じくジェーシービーが発行する法人カードの一般ランクです。中小企業の代表者・従業員のほか個人事業主も対象で、従業員向けの追加カードを複数枚発行できる点が、本人利用型の JCB CARD Biz と異なります。
本会員の年会費は1,375円(税込)で、オンライン入会に限り初年度無料です。追加カードも年会費1,375円(税込、本会員が無料の年は追加カードも無料)、ETCカードは年会費無料で複数枚発行できます。基本のポイント還元率は0.5%(200円ごとに1ポイント)で、弥生会計・freee会計・マネーフォワード クラウド会計などと明細連携できます。
資金管理ポータル「Cashmap」を無料で利用でき、銀行口座・カード利用明細・請求書情報を一元管理できます。付帯保険は国内・海外旅行傷害保険(各最高3,000万円、利用付帯などの条件あり)やショッピングガード保険などです。
12. ANA JCB法人カード(株式会社ジェーシービー)

ANA JCB法人カードは、ジェーシービーが発行するANAマイレージクラブ連携型の法人カードです。公式ページで「法人・個人事業主様向け」と明記されており、出張でANAをよく利用する事業者に向けてマイルを貯めやすくしています。
一般カードの年会費は2,475円(税込)で初年度無料、追加カードは825円(税込)です。入会時と毎年の継続でそれぞれ1,000マイルのボーナスがあり、ANA便の搭乗時には区間マイルの10%が搭乗ボーナスとして加算されます。貯めたJ-POINTは1ポイント=2マイルでANAマイルに移行できます。
ただしマイル移行には年間5,500円(税込)の移行手数料がかかります(上位のワイドゴールドカードでは無料)。海外旅行傷害保険は最高1,000万円が付帯しますが、一般カードには国内旅行傷害保険は付帯しません。
13. EX Gold for Biz S(株式会社オリエントコーポレーション)

EX Gold for Biz S は、オリエントコーポレーション(オリコ)が発行する個人事業主向けのビジネスゴールドカードです。法人代表者向けの「EX Gold for Biz M」と対になるラインで、こちらは個人として事業所得を申告している人が対象です。
登記簿謄本や決算書の提出は不要で、個人の信用情報に基づいて審査されます。年会費は初年度無料、次年度以降は3,300円(税込)で、ETCカードは年会費無料で発行できます。国際ブランドはMastercard・Visa・JCBの3種類から選べ、いずれもタッチ決済に対応します。
ゴールドカードの特典として空港ラウンジを無料で利用でき、海外・国内の旅行傷害保険やショッピングガード保険が付帯します。基本のポイント還元率は0.5%で、EX Gold for Biz 会員特典の適用時は0.6%です。家族カードの設定はなく、追加できるのはETCカードのみです。
14. 三菱UFJカード ビジネス(三菱UFJニコス株式会社)

三菱UFJカード ビジネスは、三菱UFJニコスが発行する法人・個人事業主向けの一般ランクのビジネスカードです。申込対象は公式に「原則黒字決算の法人(個人事業主を含む)」と明記されており、開業直後で決算実績のない事業者は対象になりにくい点に注意が必要です。
年会費はVisa・Mastercardのどちらか1つで1,375円(税込)、両方を申し込む場合は1,650円(税込)です。利用限度額は40万〜80万円(審査により決定)で、ETCカードは新規発行手数料1,100円(税込)がかかります。ポイントは1,000円ごとに1ポイントで、月間利用10万円以上のときはグローバルPLUSにより加算されます。
上位の「三菱UFJカード ゴールド ビジネス」(年会費11,000円〜)へ切り替えると旅行傷害保険などが付帯しますが、こちらは業歴3年以上・2期連続黒字決算が条件です。会計連携はfreee会計側で「MUFGカード」として明細を同期できます。
15. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・グリーン・カード(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)

アメリカン・エキスプレスが自社発行するプロパー型のビジネスカードで、公式サイトの一覧では「中小規模企業の経営者/個人事業主様」向けと案内されています。ビジネス・ゴールドやプラチナと同じシリーズのなかで、年会費が最も低い位置づけの1枚です。
年会費は13,200円(税込)で、決済は100円につき1ポイントが貯まります。年間参加費3,300円(税込)の「メンバーシップ・リワード・プラス」に登録すると、ポイントの有効期限が無期限になり、Amazonなど対象加盟店では100円につき3ポイントに引き上がります。国際ブランドはアメリカン・エキスプレスの単独発行です。
特典として、freee会計・弥生とのAPI連携が案内されており、カード利用情報を会計ソフトへ自動で取り込めます。海外旅行傷害保険やビジネスマッチング、補助金・助成金検索サービスなども付帯します。ETCカードの年会費や利用可能枠の設定方式は公式ページで確認できないため、申込前に問い合わせて把握しておくとよいでしょう。
16. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)

中小規模企業の経営者・個人事業主を対象にした、アメリカン・エキスプレス自社発行の法人カードです。起業直後や個人事業主でも申し込めるとされ、キャッシュフロー管理や出張・接待関連の特典を組み合わせた設計になっています。
年会費は49,500円(税込)で、ポイントは100円につき1ポイント、「メンバーシップ・リワード・プラス」に自動登録され対象加盟店では最大3ポイントまで上がります。利用可能枠はカード種別で一律の上限を設けず、利用実績・支払実績に応じて個別に設定される方式です。ETCカードは年会費無料、追加カードは最大99枚まで発行できます。
弥生・freee会計とのAPI連携でカード利用明細を自動連携できます(freee会計向けのカード会員特典は2025年11月30日で終了し、API連携自体は継続利用できます)。国内13空港とハワイ1空港の空港ラウンジを同伴者1名まで無料で利用でき、最高1億円の旅行傷害保険や宿泊特典も付帯します。
17. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・プラチナ・カード(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)

アメリカン・エキスプレスが直接発行する法人向けプラチナランクのビジネスカードです。空港ラウンジや出張・接待の手配代行を中心に、会計ソフト連携やキャッシュフロー管理など経理業務を支える機能を併せ持ちます。公式の個人事業主向け案内では、開業直後・創業期でも申し込める設計であることが訴求されています。
年会費は165,000円(税込)で、付帯特典ありの追加カードは4人まで無料、5人目以降は1枚13,200円(税込)です。ポイントは100円につき1ポイントで、「メンバーシップ・リワード・プラス」に無料で登録でき、対象加盟店では100円につき3ポイントになります。
空港ラウンジはセンチュリオン・ラウンジ、グローバル・ラウンジ・コレクション、プライオリティ・パスに対応し、出張・接待を手配代行するプラチナ・セクレタリー・サービスが付きます。弥生・freee会計とのAPI連携や、Moneytreeによるキャッシュフロー管理も利用できます。旅行傷害保険の補償額やETCカードの年会費は公式ページに記載がないため、契約前に個別に確かめておくと安心です。
18. セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、クレディセゾンが発行する個人事業主・経営者・会社員向けのプラチナクラスのカードです。国際ブランドはアメリカン・エキスプレスで、決算書・登記簿謄本の提出が不要で、個人の信用力で審査を受けられる点を特徴としています。
年会費は初年度無料、次年度以降は33,000円(税込)です。永久不滅ポイントは国内1,000円につき1ポイント、海外は2ポイントで有効期限がありません。年会費5,500円(税込)のSAISON MILE CLUBに登録すると、利用額に応じてJALマイルが自動で貯まります。プライオリティ・パスを年会費無料で利用でき、利用可能枠は個別審査により最大9,990万円です。
会計ソフト連携については、通常版の本カードで freee やマネーフォワードとの専用連携機能が公式ページに明記されていません。freee優待が付くのは別商品の「freeeセゾンプラチナ・ビジネス・カード」で、申込商品が異なるため、freee連携を重視する場合はどちらのカードかを確認することをおすすめします。
19. UCプラチナカード(ユーシーカード株式会社)

UCプラチナカードは、みずほ銀行グループのユーシーカードが発行する個人向けプラチナカードです。法人名義で発行されるビジネスカードではなく、屋号付き口座を含む法人口座を引落口座に指定できる個人カードという位置づけで、個人事業主向けにはこの点と、役員・従業員に配れる追加カードが訴求されています。
年会費は16,500円(税込)で、国際ブランドはVisaです。家族カードやビジネスパートナーカードを1枚あたり3,300円(税込)で追加でき、ETCカードは年会費無料です。プライオリティ・パスは年6回まで無料で付帯し、通常時のポイント還元率は1.00%です。
経費精算システム連携や部門別の明細管理といった、法人カード専業サービスにある機能は公式ページで確認できません。会計ソフトとの連携可否も公式の対象カード一覧では確定できないため、経費管理機能を重視する場合はこの商品設計の違いをふまえて検討することをおすすめします。
20. ダイナースクラブ ビジネス・カード(三井住友トラストクラブ株式会社)

ダイナースクラブ ビジネス・カードは、三井住友トラストクラブが発行する国際ブランド「Diners Club」のビジネス専用カードです。法人代表者・役員に加え、個人事業主も申込対象とされ、社用経費の決済に特化した付帯サービスを備えています。
年会費は基本カードで33,000円(税込)です。利用可能枠は一律の上限を設けず、会員ごとの利用状況・支払実績に応じて個別に設定される方式とされています。Mastercardブランドのコンパニオンカードを年会費無料で追加でき、freee会計とのカード連携で利用履歴を自動取込できます。
個人事業主も、登記簿謄本や決算書の提出なしに法人代表者と同じ資格で申し込めるとされ、間口の広さが特徴です。年会費・追加カード条件・ポイント還元率など一部の情報は公式ページで最新の内容を確認することをおすすめします。
21. ラグジュアリーカード チタンカード(ラグジュアリーカード合同会社)

ラグジュアリーカード チタンカードは、金属製の券面で知られるラグジュアリーカードが展開するMastercard「World Elite」ステータスのカードです。チタン・ブラック・ゴールドの3グレードのうち年会費が最も低いエントリーグレードで、経営者・個人事業主も申し込めると公式に明記されています。
年会費は55,000円(税込)、ポイント還元率は1.0%です。コンシェルジュサービスは24時間365日対応で、電話は自動音声を介さず直接オペレーターに接続されます(チャット対応はブラック・ゴールドのみで、チタンカードには非搭載です)。プライオリティ・パスは回数制限なく無料で利用でき、海外旅行傷害保険は自動付帯で最高1.2億円です。
従業員用の追加カードを最大4名まで発行でき、ポイントは合算して管理できます。会計ソフトは弥生会計・マネーフォワードとの連携が公式ページに記載されています(freeeへの言及は同ページにないため、freee連携が必要な場合は事前の確認をおすすめします)。事前入金により最大9,990万円までの高額決済にも対応します。
個人事業主にビジネスカードは必要?個人カードと分けるメリット
ここからは、そもそも事業用にビジネスカードを分ける必要があるのか、個人カードとの違いと分けることで変わる点を解説します。
個人カードとの違いと分けるべき理由
個人事業主は個人向けカードを事業用に使うこともできますが、事業とプライベートの支出が1枚に混ざると、確定申告のたびに明細を1件ずつ事業分と私用分に仕分ける必要が生じます。事業用のビジネスカードを分けておけば、そのカードの利用明細がほぼそのまま経費の記録になり、仕分けの手間が大きく減ります。
ビジネスカードは個人向けカードより利用限度額が高めに設定されやすく、追加カードやETCカードの発行、ビジネス向けの付帯サービスなど、事業で使うことを前提とした機能が備わっています。名義は個人事業主本人となりますが、事業用途を想定した設計が個人カードとの主な違いです。
事業用に分けると変わること
事業用にカードを分ける最大の効果は、経費管理と確定申告の効率化です。会計ソフトと連携すれば、事業用カードの明細だけが自動で取り込まれるため、私用の支出が混ざらず、仕訳の確認だけで記帳が進みます。
公私の区別が明確になることで、税務調査の際にも事業用の支出を説明しやすくなります。加えて、経費決済で貯まるポイントは実質的な経費削減につながり、支払日がまとまることで手元資金に一定の余裕が生まれる効果もあります。
開業直後・実績が浅くても作れる?審査の通りやすさと対策
ここからは、開業したばかりで事業実績が乏しくてもビジネスカードを作れるのか、審査の条件と通過のための対策を解説します。
個人事業主向けのビジネスカードの多くは、決算書や登記簿謄本の提出が不要で、本人確認書類だけで申し込めます。審査では事業そのものより、申込者個人の信用情報や支払能力が重視される傾向があり、開業直後でも申し込めるカードは少なくありません。ただし、会社員時代と比べると審査のハードルはやや上がるため、申込内容を正確に整えることが通過の近道です。
開業前に作るメリット
会社員から独立して個人事業主になる場合は、退職前の会社員のうちにカードを申し込む方法があります。カードの審査は勤務先や年収などの属性と信用情報をもとに支払能力を判断するため、安定した給与収入がある会社員の段階の方が、審査を受けやすい面があります。
開業前にかかった費用は「開業費」として扱い、開業後に必要経費へ算入できます。開業準備のために特別に支出した費用が対象で、事業用として先にカードを用意しておけば、開業準備段階の支出を1枚にまとめて記録しやすくなります。
開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)
出典:所得税法施行令 第七条第一項第一号|e-Gov 法令検索
申し込みに必要な書類
個人事業主がビジネスカードを申し込む際に必要になるのは、多くの場合、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類です。法人カードのような登記簿謄本や決算書の提出を求めないカードが主流で、開業届を出していない段階でも申し込めるカードもあります。
申込フォームの勤務先欄には屋号や事業名を記入し、事業形態として「個人事業主」や「自営業」を選びます。年収欄は、売上から経費を差し引いた所得金額を記入するのが一般的です。開業初年度で確定申告前の場合は、直近の月商から見込みの所得を算出して記入します。
審査に通りやすいカードの特徴・審査対策
審査に通りやすいカードには、年会費無料で本人確認書類だけで申し込めるものが多い傾向があります。開業直後や副業段階でも申し込める設計のカードを選ぶと、事業実績が浅くても発行できる可能性が高まります。
審査対策としては、事前に自分の信用情報を確認し、他社の借入やクレジットの支払い遅延がない状態を整えることが基本です。短期間に複数のカードへ同時に申し込むと、審査に不利に働くことがあるため、1枚ずつ間隔を空けて申し込むのが無難です。審査に落ちた直後の再申込は避け、しばらく期間を空けてから再挑戦するのが現実的な進め方です。
ビジネスカードを持つ前に押さえる注意点
ここからは、ビジネスカードを申し込む前に理解しておきたい注意点を整理します。
ビジネスカードには、リボ払いや分割払いに対応していないカードがあります。事業用は一括払いが基本という考え方によるもので、支払い方法の柔軟さを重視する場合は、対応可否を事前に確認しておくと安心です。
事業用に分けたカードをプライベートの買い物にも使ってしまうと、公私混同が起きて経理を分けた意味が薄れます。年会費のかかるカードは、特典を年会費以上に活用できるか見極めないと、コストだけがかさむこともあります。
将来的に法人化した場合、個人事業主向けのビジネスカードはそのまま使えないことが多く、法人カードを新たに発行し直す必要があります。事業の成長段階に応じてカードを見直す前提で選んでおくと、切り替えの負担を抑えられます。
年会費の経費計上と確定申告・経費管理のポイント
ここからは、ビジネスカードの年会費や利用分の経費計上、開業費の扱い、カード払いの記帳について、税務・会計の考え方を解説します。
事業のために支出した費用は必要経費に算入できます。国税庁は、事業所得の必要経費に算入できる金額として「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」を挙げています。事業専用のビジネスカードの年会費は、この業務上の費用として経費に計上できます。
その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
出典:No.2210 必要経費の知識|国税庁
1枚のカードを事業と私用の両方で使っている場合は、支出のうち業務に必要な部分だけが経費になります。国税庁は、家事上と業務上の両方にかかわる費用(家事関連費)について、業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる部分に限って必要経費になるとしています。事業専用のカードにしておくと、この区分(按分)の手間がかからず、年会費や利用分をそのまま経費として扱えます。
開業前に支出した開業準備の費用は「開業費」として、開業後に必要経費へ算入できます。開業費は繰延資産として、60か月の均等償却または任意償却のいずれかで経費化でき、任意償却には下限がないため、支出した年に全額を償却することも可能です。
任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。
出典:償却期間経過後における開業費の任意償却|国税庁
クレジットカードで経費を支払ったときの記帳は、決済時と引き落とし時の2段階で行います。会計ソフトのマネーフォワード クラウドは、事業用カードの決済時に勘定科目「未払金」で計上し、利用料金の引き落とし時に「未払金」を消し込む方法を案内しています。引き落とし時は、借方に「未払金」、貸方に引き落とし口座の勘定科目(事業用の普通預金など)を使って仕訳します。
会計ソフトとカードを連携しておけば、この2段階の仕訳がほぼ自動で作られるため、最後に内容を確認するだけで記帳が完了します。事業用にカードを分けておくことが、記帳の自動化の前提になります。
出典・参考資料(4件)
- 出典:No.2210 必要経費の知識|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm)
- 出典:償却期間経過後における開業費の任意償却|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/08.htm)
- 出典:所得税法施行令 第七条|e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)
- 出典:事業用のクレジットカードを使用した場合の支払いから引き落としまでの流れ|マネーフォワード クラウド確定申告サポート(https://biz.moneyforward.com/support/tax-return/journal-knowledge/dj08.html)
まとめ
個人事業主のビジネスカードは、年会費・還元率・利用限度額・会計ソフト連携・審査の通りやすさ・海外決済といった軸で、自分の事業規模と使い方に合う1枚を選ぶことが基本です。開業直後で実績が浅くても、本人確認だけで申し込めるカードが多く、事業用に分けるだけで経費管理と確定申告の負担が大きく軽くなります。
迷ったときの絞り込み方の一例として、開業直後で実績が浅いなら本人確認だけで申し込める年会費無料のカード、freeeやマネーフォワード クラウドで記帳しているならその会計ソフトと連携できるカードが挙げられます。還元率を重視するなら還元率の高いカード、出張が多いならマイルが貯まるカード、海外決済が多いなら多通貨で使えるサービスという分け方も考えられます。
まずは自分が最優先する軸を1つ決めると、候補が一気に絞れます。
そのうえで、年会費無料で会計ソフトと連携できるメインカードを1枚決め、限度額の不足や海外決済に備えてサブカードを組み合わせる持ち方が、多くの個人事業主にとって使いやすい構成です。気になるカードは、資料や公式情報で最新の年会費・還元率・特典を確認したうえで申し込みましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人事業主のビジネスカードとは何ですか?
A. 個人事業主のビジネスカードとは、個人事業主・フリーランス本人が事業用の決済に使うことを前提に発行される、個人名義のクレジットカードです。法人の登記簿謄本や決算書がなくても、多くは本人確認書類だけで申し込め、個人向けカードより利用限度額が高めに設定される傾向があります。会計ソフト連携やETCカード、追加カードといった事業向けの機能を備えている点が個人向けカードとの主な違いです。
Q. 個人事業主にビジネスカードは本当に必要ですか?
A. ビジネスカードは必須ではありませんが、事業用に1枚分けておくと確定申告や経費管理の手間が大きく減るため、持っておく利点は大きいといえます。個人向けカードを事業用に使うこともできますが、明細に私用の支出が混ざり、申告のたびに1件ずつ事業分と私用分を仕分ける負担が生じます。年会費無料のカードを選べば、持つことによる金銭的なデメリットはほとんどありません。
Q. 個人事業主のビジネスカードは開業前でも作れますか?
A. 開業届を出していない開業前の段階でも申し込めるビジネスカードがあります。 特に会社員から独立する場合は、安定した給与収入がある在職中のほうが審査を受けやすい面があるため、退職前に申し込んでおく方法もあります。副業段階で作っておき、本業化するときに引き落とし口座を事業用へ切り替える進め方も可能です。
Q. 開業前に使った支出は経費にできますか?
A. 開業準備のために特別に支出した費用は「開業費」として、開業後に必要経費へ算入できます。 開業費は繰延資産にあたり、60か月の均等償却か任意償却を選べ、任意償却には下限がないため支出した年に全額を経費化することもできます。事業用のカードを先に用意しておくと、開業準備段階の支出を1枚にまとめて記録しやすくなります。具体的な処理は所轄の税務署や税理士に確認すると確実です。
Q. ビジネスカードの年会費は経費にできますか?
A. 事業専用のビジネスカードの年会費は、業務上の費用として必要経費に計上できます。 1枚を事業と私用の両方で使っている場合は、業務に必要な部分だけが経費となり、事業分と私用分を区分(按分)する必要があります。事業専用にしておくと按分の手間がかからず、年会費や利用分をそのまま経費として扱えます。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
Q. 個人事業主のビジネスカードの名義は個人名ですか、屋号ですか?
A. 個人事業主のビジネスカードは、基本的に個人事業主本人の個人名義で発行されます。 券面に屋号を併記できるカードもありますが、屋号単独の名義は法人ではないため原則として発行できません。屋号で活動している場合は、屋号を併記できるカードや、屋号付き口座を引き落とし先に指定できるカードを選ぶと事業用としての体裁が整います。
Q. 屋号付きの口座や名義に対応したカードはありますか?
A. 屋号を券面に併記できるカードや、屋号付きの事業用口座を引き落とし先に指定できるカードがあります。 対応の有無はカードによって異なるため、屋号での運用を重視する場合は申込前に各カードの対応状況を確認してください。屋号付き口座を引き落とし先にすると、カードと口座で事業資金の流れが一貫し、私用の口座と混ざりません。
Q. 申込時の勤務先欄や年収はどう書けばよいですか?
A. 勤務先欄には屋号や事業名を記入し、事業形態は「個人事業主」や「自営業」を選び、年収欄には売上から経費を差し引いた所得金額を記入するのが一般的です。 屋号がない場合、勤務先欄は氏名と同じで構いません。開業初年度で確定申告前の場合は、直近の月商から見込みの所得を算出して記入します。
Q. 開業直後や実績が浅くても審査に通りますか?
A. 開業直後でも申し込めるカードは多く、審査に通る可能性は十分あります。 個人事業主向けカードの多くは決算書や登記簿謄本が不要で、事業実績より申込者個人の信用情報や支払能力が重視される傾向があるためです。ただし会社員時代と比べると審査のハードルはやや上がるため、信用情報に延滞がない状態を整え、申込内容を正確に記入することが通過の近道です。
Q. 審査に落ちたらどうすればよいですか?
A. 審査に落ちた場合は、落ちた直後に別のカードへ申し込むのは避け、数か月ほど間隔を空けてから再挑戦するのが現実的です。 短期間に複数のカードへ同時に申し込むと、審査に不利に働くことがあります。手元の個人カードを事業用の決済に使って支払い実績を積み、信用情報を整えてから再申込する方法もあります。
Q. ビジネスカードは何枚持つのが理想ですか?
A. 日常の経費決済に使うメインカード1枚に、限度額の不足や決済シーンに備えたサブカード1枚を加えた2枚が、使い分けしやすい基本の構成です。 メインは還元率と会計ソフト連携を重視した年会費無料カード、サブは異なる国際ブランドや海外決済に強いカードを選ぶと、決済が止まる場面を減らせます。年会費無料のカード同士を組み合わせれば、複数枚持ってもコストはかかりません。
Q. 個人事業主のビジネスカードはどのくらいの利用限度額が必要ですか?
A. 必要な利用限度額は事業の決済額によりますが、広告費や仕入れをまとめてカード決済するなら、月々の支払額に一定の余裕をもった限度額を確保しておくと安心です。 開業直後は事業実績が乏しく、限度額が低めに設定されることも珍しくありません。1枚の限度額にこだわらず、サブカードを併用して支払いが重なる時期に備えると、限度額不足で決済が止まるリスクを避けられます。
Q. 事業用に分けたビジネスカードをプライベートの支払いに使ってもよいですか?
A. 物理的には使えますが、経理を楽にする目的では事業用の決済に絞るのがおすすめです。 事業用に分けたカードを私用にも使うと公私混同が起き、経費と生活費を分けた意味が薄れて、確定申告のたびに仕分けが必要になります。事業専用にしておくと、カードの利用明細がほぼそのまま経費の記録になります。
Q. カードの利用明細は領収書の代わりになりますか?
A. カードの利用明細は、原則として領収書の代わりにはなりません。 経費の証拠書類としては、店舗が発行した領収書やレシートを別途保管しておく必要があります。カード明細は支払いの記録として補助的に使えますが、購入内容を示す領収書とあわせて残しておくのが基本です。
Q. 確定申告のとき、カード払いの仕訳はどうしますか?
A. クレジットカードで経費を払ったときは、決済時と引き落とし時の2段階で記帳します。 決済時に勘定科目「未払金」で計上し、引き落とし時に「未払金」を消し込む方法が一般的です。会計ソフトとカードを連携しておけば、この2段階の仕訳はほぼ自動で作られるため、内容を確認するだけで記帳が完了します。
Q. 事業用カードで貯めたポイントは個人で使えますか?
A. 事業の決済で貯まったポイントは、カードの名義が個人事業主本人であるため、規約上は個人の買い物などにも使えるのが一般的です。 ただし事業の経費決済で得たポイントを事業用に使った場合は、その分を収入として扱う考え方もあります。金額が大きくなる場合は、会計処理を税務署や税理士に確認しておくと安心です。
Q. 法人化したら今のビジネスカードはどうなりますか?
A. 個人事業主として作ったビジネスカードは、法人化するとそのまま使えないことが多く、法人カードを新たに発行し直す必要があります。 カードが個人事業主本人の名義で発行されているためです。事業の成長段階に応じてカードを見直す前提で選んでおくと、法人成りのときの切り替えの負担を抑えられます。
Q. ビジネスカードでETCカードや追加カードは発行できますか?
A. 多くのビジネスカードはETCカードや追加カードを発行でき、年会費無料でETCカードを持てるカードもあります。 ETCカードを使えば高速道路料金も事業用カードの明細にまとまり、経費管理を一本化できます。発行できる枚数やETCカードの年会費はカードごとに異なるため、比較表や公式情報で確認してください。
Q. 審査なしで使えるデビットカードやガソリンカードはありますか?
A. クレジットカードの審査に不安がある場合は、口座残高から即時に支払う事業用のデビットカードという選択肢があり、審査なしや簡易な手続きで発行できるものがあります。 給油費を事業用にまとめたい場合は、ガソリンスタンド系の事業用カード(ガソリンカード)もあります。いずれも分割払いやクレジットカード型のポイント還元は付かないことが多い点は理解しておきましょう。
Q. 個人事業主のビジネスカードで税金は払えますか?
A. 所得税や消費税などの国税、住民税や事業税などの地方税は、クレジットカードで納付でき、事業用のビジネスカードでも支払えます。 国税庁の専用サイトや各自治体の窓口を通じて納付でき、納付額に応じた決済手数料がかかります。カードのポイント還元率より手数料のほうが高くなる場合もあるため、還元と手数料を比べて判断すると無駄がありません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















