社用車のETC利用料を社員が立て替え、月末にまとめて精算している。高速道路の請求が道路会社ごとにバラバラで、経費計上に手間がかかる。こうした課題を抱える運送・建設・営業部門を持つ企業では、法人名義のETCカードへの切り替えが有効な選択肢になります。
ただし「法人ETCカード」と一口に言っても、発行元とクレジット機能の有無によって性質は大きく異なります。クレジット審査が必要な法人カード付帯型もあれば、審査なしで多数枚を発行できる協同組合発行のカードや、高速道路の利用額が大きい事業者向けの大口・多頻度割引カードもあります。自社の信用状況や車両台数、月間の高速利用額によって、適したタイプが変わります。
本記事では、法人向けETCカードを「付帯型・協同組合発行・ETCコーポレートカード」の3タイプ横断で、年会費・ETCカードの発行手数料・発行可能枚数・審査の有無・割引を同じ物差しで比較します。各カードの費用条件と、経理・総務担当者が自社に合うカードを判断するための選定軸を整理しました。
目次
本記事の対象範囲
本記事は、営業車・配送車・建設現場への移動車両など、業務で高速道路を使う機会が多い中小企業・個人事業主を対象にしています。クレジット機能の有無・審査の要否・発行できる枚数・利用額に応じた割引という観点で、法人が持てるETCカードを比較します。
個人利用のETCカードや、ETC以外の給油カード・経費管理機能を主目的とするサービスは対象外とし、あくまで「法人がETCの支払いに使うカード」に絞って解説します。
ETCカードでの絞り込みを設けず、年会費・還元率・会計ソフトとの連携なども含めて法人カードそのものを幅広く比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
また、自社の車両台数・信用状況・月間の高速利用額に合わせて向くタイプと候補カードを見つけられるよう、「法人ETCカード選定診断」もご用意しています。あわせてご活用ください。
法人がETCカードを持つメリット
ここからは、法人がETCカードを導入する主なメリットを、経理・現場それぞれの視点から3つに分けて解説します。
社員の立替精算をなくし、経理と現場の手間・ミスを減らせる
社員個人のETCカードや現金で高速代を支払うと、社員が立て替えた金額を後から申請し、経理が領収書と突き合わせて精算する作業が毎月発生します。法人名義のETCカードを使えば、利用額は法人へ直接請求されるため、社員の立替と精算のやり取りそのものがなくなります。
現場のドライバーや営業担当は立替の負担がなくなり、経理は申請ごとの確認・振込作業から解放されます。利用明細はカードごとに記録されるため、どの車両・どの担当が使ったかも把握しやすく、経費の透明性も高まります。
社員による立替をなくすうえで、そもそも立替経費をどう仕訳し、インボイス制度や電子帳簿保存法にどう対応するかを整理しておきたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
道路会社ごとに分かれる請求を一本化し、インボイスにも対応できる
高速道路はNEXCO東日本・中日本・西日本や各都市高速など複数の道路事業者が運営しており、個別に支払うと請求や記録が分散します。ETCカードを使えば利用額がカード会社や発行団体からまとめて請求されるため、支払いと記帳を一本化でき、月次の締め作業が簡潔になります。
経費計上で注意したいのが、インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応です。国税庁は、クレジットカードの利用明細書は一般的に適格請求書には該当しないとの見解を示しています。
ETCの高速道路利用については、付帯型カードなどでは「ETC利用照会サービス」で発行できる利用証明書とクレジットカード会社の利用明細書の保存により、仕入税額控除の要件を満たす扱いが案内されています。ETCコーポレートカードでは道路事業者から交付される請求書が適格請求書に対応します。タイプによって必要な書類が異なるため、自社の経理処理に合う形を確認しておくと安心です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:多く発行されるETC利用について(適格請求書等保存方式に関するQ&A 問103)|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/103.pdf)
- 参考資料:インボイス制度への対応について|ETC利用照会サービス(https://www.etc-meisai.jp/news/230915.html)
割引・ポイント還元で高速道路のコストを抑えられる
ETCカードでは、時間帯や利用頻度に応じた各種割引が受けられます。代表的なものが、平日の朝夕(6〜9時・17〜20時)に地方部を利用した場合に割引が受けられる平日朝夕割引や、0時から4時までの深夜割引(約30%割引)です。
平日朝夕割引はETCマイレージサービスへの事前登録が前提のため、付帯型・協同組合発行のカードが対象で、マイレージに登録できないETCコーポレートカードは対象外です。深夜割引は登録不要で受けられます。
高速道路の利用額が大きい事業者は、ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引が有力な選択肢になります。1台ごとの月間利用額に応じた車両単位割引と、契約単位の利用額に応じた契約単位割引があり、利用が多いほど割引率が高くなります。これらは主にNEXCO各社が発行するETCコーポレートカードで適用される制度です。
このほか、ETCマイレージサービスに登録すると、道路事業者ごとの利用額に応じてポイントが貯まり、無料通行分に交換できます。ただしETCコーポレートカードはETCマイレージサービスの対象外で、大口・多頻度割引との併用はできません。付帯型カードでは、これらの道路料金割引に加えてカード自体のポイント還元も受けられるため、経費のポイント化を狙えます。
出典・参考資料(3件)
- 出典:大口・多頻度割引|NEXCO東日本 ドラぷら(https://www.driveplaza.com/etc/dis/etc_dis_frequency/)
- 出典:平日朝夕割引|NEXCO東日本 ドラぷら(https://www.driveplaza.com/etc/dis/etc_dis_weekday/)
- 参考資料:ポイントの付き方/還元額への交換|ETCマイレージサービス(https://www.smile-etc.jp/service/point.html)
法人向けETCカードの3タイプと向き不向き
ここからは、法人が発行できるETCカードを、発行元とクレジット機能の有無で3つのタイプに分けて解説します。それぞれ審査の要否や発行できる枚数、割引の仕組みが異なるため、自社に向くタイプを見極める材料にしてください。

法人カード付帯型ETCカード(クレジット機能あり)
法人クレジットカードに追加して発行するETCカードです。カードの利用限度額の範囲でETCを使い、高速料金はクレジットカードの請求とまとめて支払います。年会費無料や高いポイント還元率のカードも多く、経費のポイント化と請求の一本化を両立しやすいのが特徴です。
一方で、発行にはクレジットカードの審査が必要です。発行できるETCカードの枚数はカードによって異なり、社員数分を複数枚発行できるものもあれば、代表者名義の1枚に限られるものもあります。車両台数分のカードが必要な場合は、発行可能枚数を必ず確認しておきましょう。
協同組合発行の法人ETCカード(クレジット機能なし・クレジット審査なし)
事業協同組合が発行する、クレジット機能を持たない法人ETCカードです。クレジットカードの審査がないため、設立して間もない法人や信用実績が浅い個人事業主でも発行しやすく、車両台数分の複数枚を用意しやすい点が支持されています。
利用にあたっては、組合への加入と出資金の払い込みが必要で、カード発行手数料や年間手数料、走行料金に対する事務手数料(数%)がかかります。クレジットカード付帯型のような「年会費無料・ポイント還元」とは費用構造が異なるため、出資金・手数料率・解約時の条件まで含めて総額で比較することが大切です。見えにくいコストの詳細は、後述の「導入・運用時の注意点」で整理します。
ETCコーポレートカード(NEXCO発行・大口多頻度割引)
NEXCO東日本・中日本・西日本の高速道路会社が発行する法人向けETCカードで、クレジット機能は持たず、走行料金は口座振替で支払います。最大の特徴は大口・多頻度割引で、月間の高速道路利用額が大きい事業者ほど高い割引率が適用されます。運送業など高速利用が多く車両台数も多い事業者に向いています。
カードは車両ごとに登録して発行し、NEXCOへの直接契約のほか、事業協同組合を通じて申し込むこともできます。前述のとおりETCマイレージサービスの対象外である点、車両単位での運用が前提となる点には注意が必要です。
車両台数・審査・利用額で見る向き不向き(早見)
3タイプは、自社の信用状況・必要枚数・高速利用額によって向き不向きが分かれます。次の目安を参考に、自社が当てはまるタイプを絞り込んでください。
- クレジット審査を通せて、年会費無料やポイント還元を重視したい:法人カード付帯型が向きます。少数の車両を経費のポイント化とあわせて運用したい企業に適しています。
- 設立間もない・信用実績が浅い、または車両台数分の複数枚を審査なしで持ちたい:協同組合発行のカードが向きます。出資金・手数料はかかりますが、審査のハードルを避けて多数枚を用意できます。
- 高速道路の月間利用額が大きく、割引でコストを抑えたい:ETCコーポレートカードが向きます。大口・多頻度割引の恩恵が利用額に比例して大きくなります。
なお、利用額が大きくてもクレジット審査を通せる場合は、複数枚を発行できる付帯型でポイント還元を受けながらコストを抑える選び方もあります。利用額・審査の通しやすさ・必要枚数を組み合わせて判断しましょう。
法人向けETCカードの選び方
タイプの見当がついたら、次の観点で個別のカードを比較すると、自社に合う一枚を絞り込みやすくなります。いずれも後述の比較表で具体的な数値を確認できるため、ここでは各観点がなぜ効くかを押さえておきましょう。
- 年会費とETCカードの費用:本体カードの年会費に加え、ETCカードの年会費・発行手数料がかかる場合があります。ETCの利用がないと手数料が発生するカードもあるため、条件付き無料か完全無料かを確認します。
- 発行可能枚数:車両台数分のETCカードが必要な場合、代表者1枚のみのカードでは足りません。複数枚発行に対応するか、上限枚数はいくつかを必ず確認します。
- 審査の有無と申込対象:法人カード付帯型はクレジット審査が必要で、法人・個人事業主・開業前で申込可否が分かれます。審査を避けたい場合は協同組合発行が選択肢になります。
- ポイント還元・割引:付帯型はカードのポイント還元、コーポレートは大口・多頻度割引と、コスト削減の効き方が異なります。月間利用額と照らして効果の大きい方を選びます。
- 出資金・保証金・手数料率(協同組合):協同組合発行では、出資金・支払保証金・走行料金に対する事務手数料率など、クレジットカードにはない費用がかかります。総額で比較します。
導入・運用時の注意点
タイプごとに、見落とすと想定と違う結果になりやすい注意点があります。
法人カード付帯型では、ETCカードの発行可能枚数がカードによって大きく異なります。社員数分のETCカードを希望枚数発行できるカードがある一方、代表者名義の1枚のみ、あるいは本人カードにしか付けられないカードもあります。複数の車両を運用する場合は、必要枚数を発行できるカードかどうかを申込前に確認してください。
協同組合発行のカードでは、年会費無料の付帯型と比べて費用構造が複雑です。加入時の出資金に加え、カード発行手数料・年間手数料・走行料金に対する事務手数料がかかり、組合によっては支払保証金を求められる場合もあります。解約・脱退時の条件も組合ごとに異なるため、加入前に費用の総額と解約条件を確認しておくと安心です。具体的な金額は各サービスの紹介と比較表で示します。
ETCコーポレートカードは車両ごとの登録・運用が前提で、ETCマイレージサービスの対象外です。少数の車両で時間帯割引やマイレージを重視する場合は、付帯型や協同組合発行のカードのほうが合うこともあります。
自社に合う法人ETCカードのタイプを診断する
いくつかの質問に答えると、車両台数・審査の通しやすさ・月間の高速利用額から、自社に向くタイプと候補カードの当たりをつけられます。
【比較表】法人向けETCカードを横断比較
ここからは、主要な法人向けETCカードを3タイプ別に、年会費・ETCカードの費用・発行可能枚数・還元や割引・申込対象という統一の物差しで比較します。3つの表は同じ比較項目で並べているため、付帯型・協同組合発行・コーポレートを同じ観点で見比べ、自社の条件に合うカードを絞り込めます。
法人カード付帯型ETCカードの比較
| サービス名 | マネーフォワード ビジネスカード | セゾンコバルト・ビジネス・アメックス | JCB法人カード(一般) | JCB Biz ONE(一般) | ライフカードビジネスライトプラス(スタンダード) | 法人カード「UPSIDER」 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| クレジット機能・審査 | クレジット機能あり 与信審査あり(決算書提出不要) | クレジット機能あり 審査あり(登記簿謄本・決算書不要) | クレジット機能あり 審査あり | クレジット機能あり 審査あり(書類提出不要・最短5分でカード番号発行) | クレジット機能あり 審査あり(決算書原則不要・本人確認書類のみ) | クレジット機能あり 与信審査あり(前払い利用は審査なし) |
| 年会費(本体) | 無料 (直近1年間の利用がない場合のみ1,000円+税) | 無料 | 初年度無料(オンライン入会) 2年目以降1,375円(税込) | 永年無料 | 無料(本会員・従業員カードとも) | 無料 |
| ETCカード費用 | 年会費:無料 発行手数料:900円+税/枚 | 発行・年会費:無料 入会月から1年間ETC利用がないとサービス手数料2,200円(税込) | ETCスルーカードN:発行・年会費無料 ETCスルーカードは2026年11月10日振替分〜条件付き有料化(前年利用なしで550円税込) | 初年度無料 2年目以降は前年にETC利用1回以上で無料・未達550円(税込) 発行手数料は公式に明記なし | 年会費・発行手数料とも無料 | 年会費:無料 発行手数料:550円(税込)/枚 (2026年8月提供開始) |
| ETC発行可能枚数 | 法人は複数枚 個人事業主は1枚まで | 最大5枚 | ETCスルーカードNは本体の枚数と無関係に複数枚可(上限の公式明記なし) | 1枚まで (追加カードは本人のみ・従業員カード発行不可) | 代表者名義の1枚のみ (従業員カードには発行不可) | 原則無制限 |
| ポイント還元・ETC割引 | ポイント還元1〜3% ETC割引・ETCマイレージ対象 | 通常0.5%相当(特約店で最大2%) ETC専用の還元優遇はなし | 0.5%(優待店で最大20倍) 休日・深夜・平日朝夕割引に対応 | 通常1.0%(優待店で最大21倍=実質10.5%相当) 休日・深夜・平日朝夕割引に対応 | 0.5%相当(公式に数値の明記なし) ETC割引の公式言及なし | 基本1.0% ETC割引の公式個別記載なし |
| 申込対象 | 法人・個人事業主 (あと払い機能=与信枠の利用が申込条件) | 個人事業主・フリーランス・経営者 | 中小企業の代表者・従業員 (個人事業主も想定) | 法人代表者・個人事業主(フリーランス・副業含む) | 法人代表者・個人事業主 | 法人のみ (個人事業主・フリーランスは対象外) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
協同組合発行の法人ETCカードの比較
| サービス名 | ETC協同組合 | 高速情報協同組合 |
|---|---|---|
| クレジット機能・審査 | クレジット機能なし クレジット審査なし(組合加入) | クレジット機能なし クレジット審査なし(組合独自審査) |
| 年会費(本体) | 出資金:1社10,000円 (脱退時に返金) | 出資金:1社10,000円 (脱退時に返金) |
| ETCカード費用 | 発行手数料:880円/枚 年間手数料:880円/枚 走行料金の8%(事務手数料) | 法人ETCカード:発行手数料550円/枚・年間手数料550円/枚 走行料金の8%(事務手数料) |
| ETC発行可能枚数 | 登録車両1台につき最大4枚 | 追加申請で複数枚発行可 (車両を限定せず使い回し可) |
| ポイント還元・ETC割引 | 平日朝夕・休日・深夜割引に対応 ETCマイレージは組合が代行登録 | 平日朝夕・休日・深夜割引+ETCマイレージ割引に対応 |
| 申込対象 | 法人・個人事業主・開業前 (事業確認書類が必要) | 法人・個人事業主 (新設法人・小規模事業者も可) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
協同組合発行の2社を比べると、カード1枚あたりの発行手数料・年間手数料は高速情報協同組合(各550円)のほうがETC協同組合(各880円)より抑えられ、ETCマイレージ割引にも対応します。一方、ETC協同組合は登録車両1台につき最大4枚までという枠が明確です。
ただし、走行料金に対する8%の事務手数料は両社に共通してかかります。この手数料は利用額に比例するため、月間の高速利用額が大きい場合は、年会費・ETCカードが無料の付帯型のほうが総額で安くなることもあります。審査を通せるかどうかとあわせて、月間の利用額から総額で見比べるのがおすすめです。
ETCコーポレートカードの比較
| サービス名 | ETCコーポレートカード(NEXCO発行) |
|---|---|
| クレジット機能・審査 | クレジット機能なし クレジット審査なし(保証金または金融機関保証書が必要) |
| 年会費(本体) | 保証金:要確認 (月間利用見込みに応じた保証金または保証書) |
| ETCカード費用 | 発行手数料・年間手数料:要確認(NEXCO直接契約は公式に金額の明記なし) 取扱協同組合経由の一例では各629円(税込) |
| ETC発行可能枚数 | 車両ごとに発行(車番限定) 複数車両を登録可 |
| ポイント還元・ETC割引 | 大口・多頻度割引(車両単位10〜30%+ETC2.0上乗せ/契約単位割引) ETCマイレージは対象外 |
| 申込対象 | 法人・個人事業主 (NEXCO直接またはコーポレート取扱の協同組合経由) |
| 詳細情報 | 公式サイト |
法人向けETCカードおすすめ9選をタイプ別に紹介
比較表で挙げたカードを、タイプ別に個別紹介します。各カードの費用条件や発行枚数、審査・申込対象を整理しました。
法人カード付帯型ETCカード(クレジット機能あり)
まずは、クレジット審査を通せる企業向けの、法人カード付帯型ETCカードを紹介します。
1. マネーフォワード ビジネスカード(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計と利用明細をリアルタイムに連携できる、法人・個人事業主向けのVisaクレジットカードです。決算書の提出が不要な独自の与信審査で発行でき、本体カードの年会費は無料です(直近1年間に利用がない場合のみ1,000円・税抜)。
法人ETCカードは2025年11月に発行対応が始まり、年会費は無料、発行手数料は1枚あたり900円+税です。法人は複数枚、個人事業主は1枚まで発行でき、あと払い機能(与信枠)の利用が申込条件になります。
発行したETCカードの利用明細は、カード別・車両番号別にクラウド会計へ自動連携され、自動仕訳ルールで勘定科目を入力できます。本体カードを解約すると、紐づくETCカードも連動して解約されます。
2. セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

個人事業主・フリーランス・経営者を対象とした、年会費が永年無料の法人カードです。登記簿謄本や決算書の提出なしで申し込めます。追加カードは最大9枚(新規入会時の同時申込は3枚まで)まで無料で発行でき、利用明細は本会員に一括請求されます。
ETCカードは最大5枚まで発行でき、発行・年会費とも無料です。ただし入会月から翌年入会月の前月末までにETCカードの利用が一度もない場合、ETCカードサービス手数料として年2,200円(税込)がかかります。
申込にあたっては所定の審査があります。ポイントは1,000円(税込)につき1ポイントが貯まり、特約店の利用で最大2%相当が還元されます。
3. JCB法人カード(一般)(株式会社ジェーシービー)

中小企業の代表者・従業員を対象とした法人カードです。年会費はオンライン入会の場合に初年度無料、2年目以降は1,375円(税込)で、使用者カードを複数発行して従業員ごとの経費を分けて精算できます。
ETC専用の「ETCスルーカードN」は発行手数料・年会費とも無料で、本体カードの発行枚数と関係なく希望枚数を発行できます。一方、クレジットカードに付帯する「ETCスルーカード」は、2026年11月10日の振替分から順次、条件付き有料化の対象になります。
有料化後は、前年1年間にETCスルーカードの利用が1回以上あれば無料、利用がない場合は1枚あたり550円(税込)です。本カード(一般)はこの有料化の対象で、ゴールド以上の上位カードは条件を問わず無料が続きます。
4. JCB Biz ONE(一般)(株式会社ジェーシービー)

事業関連書類の提出なしで、最短5分でカード番号が発行される「モバ即入会」に対応した法人カードです。年会費は永年無料で、法人代表者に加え、個人事業主(フリーランス・副業を含む)も申し込めます。
追加カードは本人名義のみで、家族カードや従業員用の追加カードは発行できません。ETCカードは1枚まで発行でき、初年度は無料、2年目以降は前年にETCスルーカードの利用が1回以上あれば無料、なければ550円(税込)です。
ポイント還元率は通常1.0%で、優待店の利用とポイントアップ登録により最大21倍(実質10.5%相当)まで上がります。
5. ライフカードビジネスライトプラス(スタンダード)(ライフカード株式会社)

決算書などの財務資料が原則不要で、本人確認書類のみで申し込める法人カードです。スタンダードは本会員・従業員カードとも年会費無料で、従業員カードは最大3枚まで発行できます。
ETCカードは年会費・発行手数料とも無料ですが、発行できるのは代表者名義の1枚のみで、従業員カードにETCカードを追加することはできません。複数の車両で使いたい場合は、この発行枚数の制約に注意が必要です。
支払いは毎月5日締めで、引き落としは金融機関により27日または翌月3日、支払期間は最大60日です。
6. 法人カード「UPSIDER」(株式会社UPSIDER)

法人のみを対象とし、独自の与信モデルで最大10億円(月次)の利用限度額を設定できる法人カードです。個人事業主・フリーランスは申込対象外で、カード本体・追加カードは年会費・発行手数料とも無料、発行枚数は原則無制限です。
法人ETCカードは2026年8月に提供が始まり、年会費は無料、発行手数料は1枚あたり550円(税込)です。社用車の台数に応じて原則無制限で発行でき、利用分は既存のUPSIDERカードの請求と合算されます。
利用先ごとの上限設定や証憑の自動回収、会計ソフトとのAPI連携など、経費管理に使える機能を備えます。ポイント還元率は基本1.0%です。
協同組合発行の法人ETCカード(クレジット機能なし・審査なし)
続いて、クレジット審査なしで複数枚を発行しやすい、協同組合発行の法人ETCカードを紹介します。
7. ETC協同組合(法人ETCカード)

ETC協同組合は、中小企業等協同組合法にもとづく事業協同組合が、クレジット機能を持たない法人ETCカードを発行するサービスです。信販会社のクレジット審査を経ずに発行するため、設立して間もない法人や確定申告済みの個人事業主でも申し込め、開業前の事業者も事業確認書類の提出により対象になります。
利用には組合への加入が必要で、出資金は1社10,000円(脱退時に返金)です。カードは1枚あたり発行手数料880円(税込)と年間手数料880円がかかり、毎月の走行料金に対して8%の事務手数料が発生します。出資金は複数枚を発行しても1社10,000円のままで追加負担がなく、登録車両1台につき最大4枚まで発行できます。
走行料金は口座振替で、月末締めののち翌々月に引き落とされます。クレジットカードのようなショッピング枠・キャッシング枠はなく、用途は高速道路の通行料金に限られます。
8. 高速情報協同組合(法人ETCカード)

高速情報協同組合は、法人ETCカードとETCコーポレートカードの2種類を扱う事業協同組合です。1993年(平成5年)に設立され、いずれもクレジット機能を持たず、組合独自の審査で発行するため、法人クレジットカードの審査に通りにくい新設法人や小規模事業者でも申し込めます。
法人ETCカードは車両を限定せず複数台で使い回せるカードで、クレディセゾンのUCブランドと提携して発行します。出資金は1社10,000円で、カード1枚あたり発行手数料550円(税込)・年間手数料550円(税込)と、走行料金に対する8%の事務手数料がかかります。割引は平日朝夕割引・休日割引・深夜割引に加え、ETCマイレージ割引の対象にもなります。
もう一方のETCコーポレートカードは車両ごとに発行する車両限定型で、出資金1社10,000円、発行手数料・年間手数料はいずれも1枚629円(税込)です。高速道路の利用額が大きい事業者向けの大口・多頻度割引が適用される一方、ETCマイレージ割引の対象外となる点が法人ETCカードとの違いです。
ETCコーポレートカード(NEXCO発行・大口多頻度割引)
最後に、高速道路の利用額が大きい事業者向けの、ETCコーポレートカードを紹介します。
9. ETCコーポレートカード(東日本・中日本・西日本高速道路株式会社)

ETCコーポレートカードは、東日本・中日本・西日本高速道路株式会社(NEXCO3社)が共同で運営する大口・多頻度割引制度の適用を受けるためのETC専用カードです。クレジット機能を持たず、高速道路の通行料金は1か月分をまとめて翌月末までに口座振替で支払う後払い方式を採ります。
特徴は大口・多頻度割引の適用を受けられる点です。車両単位割引は、1台ごとの月間利用額に応じて段階的に割引率が上がります。月間利用額のうち5,000円超〜10,000円の部分が10%、10,000円超〜30,000円の部分が20%、30,000円超の部分が30%です。
ETC2.0(渋滞回避などに対応した新しいETC規格)を搭載した事業用車両では、これらの割引率がそれぞれ20%・30%・40%となります(2027年3月末までの措置)。
高速道路の利用額が大きい車両ほど割引率が高くなるため、運送業など多頻度・大口の利用に向いています。契約単位の利用額に応じた契約単位割引もあわせて適用されます。
また、契約全体の月間利用額が500万円超などの条件を満たすと、契約単位割引として高速国道10%・一般有料道路5%が上乗せされます。カードは車両ごとに登録して発行し、ETCマイレージサービスの対象外です。申込はNEXCOへの直接契約のほか事業協同組合経由でも行え、クレジット審査は不要な一方、保証金や発行手数料などの条件は申込先で確認してください。
法人向けETCカードの作り方・発行の流れ
ここからは、タイプ別に法人ETCカードの申込から発行までの流れを解説します。必要な準備や審査の有無が異なるため、自社が選ぶタイプに合わせて確認してください。
法人カード付帯型の作り方
法人クレジットカードを申し込み、審査に通過したうえで、ETCカードを追加発行する流れです。申込時に本人確認書類や、カードによっては登記事項証明書などを求められます。ETCカードは本体カードの申込と同時、または発行後に追加で申し込みます。複数枚が必要な場合は、発行可能枚数の範囲で希望枚数を申請します。
協同組合発行の作り方
発行元の事業協同組合に加入を申し込み、出資金を払い込んだうえでカードを発行してもらう流れです。クレジット審査はありませんが、組合ごとに加入審査や必要書類が定められています。車両台数分の枚数を申し込め、発行後は走行料金が口座振替などで請求されます。
ETCコーポレートカードの作り方
NEXCOへ直接契約するか、取扱いのある事業協同組合を通じて申し込みます。車両ごとに登録して発行し、月間利用額に応じて大口・多頻度割引が適用されます。契約にあたっては保証金や必要書類などの条件があるため、申込先の案内を確認してください。
まとめ
法人向けETCカードは、発行元とクレジット機能の有無で「付帯型・協同組合発行・ETCコーポレートカード」の3タイプに分かれます。クレジット審査を通せて経費のポイント化を狙うなら付帯型、審査なしで複数枚を持ちたいなら協同組合発行、高速利用額が大きく割引を重視するならコーポレートカードが基本の選び分けです。
自社の車両台数・信用状況・月間の高速利用額を踏まえ、年会費・発行手数料・発行枚数・審査・割引の観点で比較して選びましょう。付帯型なら法人カードそのものの比較も判断材料になります。MCB FinTechカタログでは、法人カードの資料をまとめて請求して見比べられます。
よくある質問(FAQ)
Q. 法人ETCカードとは何ですか?
A. 法人ETCカードとは、法人や個人事業主が社用車の高速道路料金をまとめて支払うために発行するETC専用カードです。発行元により、法人クレジットカードに付帯するタイプ、事業協同組合が発行するクレジット機能なしのタイプ、NEXCO3社が発行するETCコーポレートカードの3種類に大きく分かれます。いずれも利用額が法人へ直接請求されるため、社員による立替精算をなくし、経費を車両単位で管理できます。
Q. 法人ETCカードはクレジット審査なしでも作れますか?
A. 法人ETCカードは、事業協同組合が発行するタイプを選べばクレジット審査なしで作れます。事業協同組合が発行する法人ETCカードは、信販会社のクレジット審査を経ず組合独自の確認で発行するため、設立して間もない法人や信用実績が浅い事業者でも申し込めます。
ただし組合への加入と出資金の払い込み、走行料金に対する事務手数料などが必要です。一方、法人クレジットカードに付帯するETCカードは、本体カードのクレジット審査が必要になります。
Q. 個人事業主や開業前でも法人ETCカードを申し込めますか?
A. 個人事業主や開業前の事業者でも、タイプや発行元の条件を満たせば法人ETCカードを申し込めます。協同組合発行のカードは、確定申告済みの個人事業主なら申告書の控え、開業前なら開業届や契約書類の写しなどの事業確認書類で申し込める場合があります。付帯型でも個人事業主が申し込める法人カードは多くありますが、開業前の発行可否や必要書類はカード会社ごとに異なるため、申込前の確認が欠かせません。
Q. 法人ETCカードは車両台数分の複数枚を発行できますか?
A. 法人ETCカードを車両台数分だけ複数枚発行できるかは、カードのタイプと発行元によって異なります。協同組合発行のカードやETCコーポレートカードは車両台数に応じた複数枚発行を前提とし、出資金を追加せず必要枚数を用意しやすいのが特徴です。
一方、法人カード付帯型は、社員数分を発行できるカードもあれば、代表者名義の1枚に限られるカードもあります。多くの車両で使う場合は、発行可能枚数の上限を申込前に確認してください。
Q. 協同組合発行の法人ETCカードの出資金や手数料はどのくらいかかりますか?
A. 協同組合発行の法人ETCカードでは、出資金として1社あたり10,000円前後、走行料金に対して数%(おおむね5〜8%程度)の事務手数料がかかるのが一般的です。出資金は脱退時に返金され、複数枚を発行しても1社10,000円のまま追加されない組合が多くあります。
これに加えて1枚あたりのカード発行手数料・年間手数料や、組合によっては支払保証金がかかる場合があります。組合ごとに手数料率や解約・脱退の条件が異なるため、総額と解約条件を比較して選ぶことが大切です。
Q. 法人ETCカードの利用料金は経費に計上でき、インボイスにも対応できますか?
A. 法人ETCカードの高速道路利用料は、事業用であれば旅費交通費などの経費として計上でき、必要な書類をそろえればインボイス制度にも対応できます。国税庁は、高速道路のETC利用について、「ETC利用照会サービス」で発行する利用証明書とクレジットカード会社の利用明細書の保存により仕入税額控除の要件を満たす扱いを案内しています。
ETCコーポレートカードでは、道路事業者から交付される請求書が適格請求書に対応します。タイプによって必要書類が異なるため、自社の経理処理に合う形を確認してください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:多く発行されるETC利用について(適格請求書等保存方式に関するQ&A 問103)|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/103.pdf)
Q. クレジット機能なしの法人ETCカードはどうやって支払うのですか?
A. クレジット機能なしの法人ETCカードは、毎月の高速道路利用額を口座振替でまとめて後払いする方式が基本です。協同組合発行のカードやETCコーポレートカードはクレジットカードのようなショッピング枠を持たず、用途は高速道路の通行料金に限られます。走行料金は月ごとに集計され、組合や道路事業者から法人へ請求されて指定口座から引き落とされるため、社員の立替や現金精算なしで支払いを一本化できます。
Q. 法人ETCカードでETCマイレージサービスは法人名義でも登録できますか?
A. ETCマイレージサービスは、法人名義のETCカードでも登録でき、道路事業者ごとの利用額に応じてポイントが貯まります。貯まったポイントは無料通行分に交換できます。ただしETCコーポレートカードは大口・多頻度割引が適用される代わりにETCマイレージサービスの対象外で、両者を併用することはできません。
付帯型や協同組合発行の法人ETCカードでは、マイレージのポイントとカードや割引の恩恵を組み合わせられます。
Q. 1枚の法人ETCカードを複数の車両で使い回せますか?
A. 法人ETCカードを複数の車両で使い回せるかは、カードのタイプによって異なります。法人カード付帯型や協同組合発行の法人ETCカードは特定の車両に紐づかないため、車載器に差し替えれば複数の車両で使えます。
一方、ETCコーポレートカードは1台ごとに車両を登録する車両限定カードで、登録外の車両では使えません。大口・多頻度割引を車両単位で正しく適用するための仕組みで、使い回しはできない点に注意が必要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















