脱炭素の目標を掲げたものの、カーボンクレジットを「どこで・どうやって買えばよいのか」で手が止まっていませんか。2026年度からは排出量取引制度(GX-ETS)が本格的に始まり、CDP(環境情報の開示)やSBT(科学的根拠に基づく削減目標)、RE100(再エネ100%の取り組み)への報告でクレジットの活用を検討する企業も増えています。
ところが、いざ調達しようとすると、プロバイダーに頼むのか、オンラインの取引所を使うのか、選択肢の全体像がつかみにくいのが実情です。
カーボンクレジットの買い方は、大きく分けて「プロバイダーに仲介してもらう」「マーケットプレイス・取引所で自分で買う」「保有者や市場から直接調達する」の3つのルートがあります。自社の調達量や目的、予算によって向くルートは変わり、事業者ごとに扱うクレジットの種類や手続きの代行範囲も異なります。
本記事では、カーボンクレジットの調達・購入を担う15のサービスを、調達ルート別に比較・解説します。対応するクレジットの種類(J-クレジット・海外ボランタリークレジット)、最小購入単位、無効化や報告の代行範囲、価格帯といった調達先を選ぶうえで欠かせない観点を横並びで整理しました。サステナビリティ推進や調達の担当者が、自社に合う調達先を見極める材料としてご活用ください。
また、自社の調達量や目的に合う調達ルート・事業者を手早く絞り込めるよう、調達先の選定診断ツールもご用意しました。あわせてご活用ください。
目次
カーボンクレジット調達・購入プラットフォームとは
カーボンクレジット調達・購入プラットフォームは、企業が脱炭素の目標達成のために、J-クレジットや海外のボランタリークレジットを「買う」ための事業者や仕組みの総称です。クレジットを仲介・代理購入するプロバイダー、オンラインで複数の銘柄を売買できるマーケットプレイスや取引所、保有者や市場から直接調達するルートなどが含まれます。
国内で最も広く使われているのがJ-クレジットです。J-クレジット制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用による排出削減量、適切な森林管理による吸収量を、国がクレジットとして認証する仕組みで、経済産業省・環境省・農林水産省の3省によって運営されています。
J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
出典:制度について(概要)|J-クレジット制度(japancredit.go.jp)
購入したクレジットは、無効化(償却)の手続きを行うことで、自社の排出量の相殺や、温対法・省エネ法・CDP・SBT・RE100といった報告での活用につなげられます。どのルートで・どの事業者から買うかによって、扱えるクレジットの種類や手続きの手間が変わるため、まずは調達ルートの違いから押さえていきます。
調達ルート別に見るカーボンクレジットの買い方
ここからは、カーボンクレジットの主な調達ルートを3つに分けて解説します。それぞれ向いている企業像や手続きの負担が異なるため、自社の調達スタイルに近いものを見極める手がかりにしてください。

プロバイダー(仲介)型|手続き代行・伴走で初めての調達に向く
プロバイダー型は、J-クレジットなどの仲介事業者(J-クレジット・プロバイダー)が、自社に代わってクレジットを調達し、無効化や報告までを伴走するルートです。J-クレジット制度の公式サイトでも、購入方法の一つとして仲介事業者の活用が案内されています。
活用ニーズに合致するクレジットの調達を仲介事業者に依頼できます。カーボン・オフセット等に関するコンサルティングサービスも併せて依頼できます。クレジットの購入価格は仲介事業者との相対取引で決定することになります。
出典:購入方法の概要|J-クレジット制度(japancredit.go.jp)
クレジットの選定から口座開設が不要な代理無効化、報告書類の整備までをまとめて任せられるため、初めて調達する企業や、社内に専任担当を置きにくい企業に向いています。価格は仲介事業者との相対取引で決まり、コンサルティングをあわせて依頼できる事業者も少なくありません。本記事ではこのルートの事業者を8社紹介します。
マーケットプレイス・取引所型|複数銘柄をオンラインで比較・購入
マーケットプレイス・取引所型は、オンラインのプラットフォーム上で複数の銘柄を比較しながら購入できるルートです。銘柄ごとの種類や産地、価格を見比べて選べるため、調達の透明性を重視する企業や、継続的に一定量を調達する企業に向いています。
民間が運営するマーケットプレイスに加え、公設の市場として東京証券取引所のカーボン・クレジット市場があります。両者は運営主体も仕組みも異なるため、混同しないよう注意が必要です。本記事ではこのルートの事業者・市場を7つ紹介します。
相対取引型|保有者や政府保有分から直接調達する
仲介事業者を介さず、クレジットの保有者や市場から直接調達するルートもあります。J-クレジット制度の「売り出しクレジット一覧」には購入可能な銘柄や量、実施場所が掲載されており、保有者と相対取引で価格を決めて購入できます。
大量・継続的に調達したい場合は、この相対取引に加え、経済産業省による政府保有J-クレジットの売払いも選択肢になります。かつてJ-クレジット制度事務局が実施していた入札販売は現在は行われておらず、政府保有分の売払いは経済産業省が窓口です。
オンラインで売買したい場合は、前述のマーケットプレイス・取引所型(東京証券取引所のカーボン・クレジット市場を含む)が候補になります。このルートは特定の事業者を介さないため、本記事の事業者比較の対象には含めていません。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:購入方法の概要/売り出しクレジット一覧|J-クレジット制度(japancredit.go.jp/market/buy)
- 参考資料:入札販売|J-クレジット制度(japancredit.go.jp/tender)
自社に合う調達先の選び方
ここからは、調達先を絞り込むための観点を4つに整理します。数量・目的・伴走の要否・予算のどれを重視するかで、向くルートや事業者が変わります。
調達する数量はどれくらいか?
少量から試したい場合は、1トン単位で購入できるマーケットプレイスや、小口対応のプロバイダーが向きます。一方、数千トン規模を継続的に調達する場合は、相対取引や取引所、大口の調達実績を持つプロバイダーのほうが、銘柄の確保や価格交渉の面で有利になりやすいです。まずは初年度に必要な数量の目安を立て、単発か継続かを整理すると、ルートを絞りやすくなります。
調達の目的は何か?
カーボンオフセットの公表、GX-ETSへの備え、CDP・SBT・RE100への報告など、目的によって選ぶべきクレジットの種類が変わります。たとえばRE100の報告には再生可能エネルギー電力由来のJ-クレジットが必要で、すべての種類が使えるわけではありません。目的から逆算し、対応クレジットが合致する事業者を選びましょう。活用条件は後述の手続き節で解説します。
手続きの代行・伴走はどこまで必要か?
社内に脱炭素の専任担当がいない場合や、初めて調達する場合は、クレジット選定から無効化・報告書類の整備まで代行してくれるプロバイダー型が安心です。逆に、社内に知見があり、銘柄を自分で選んで調達したい場合は、オンラインで完結するマーケットプレイス・取引所型のほうが手数料を抑えやすく、スピードも出ます。自社でどこまで手を動かせるかを判断の基準にするとよいでしょう。
予算と価格の見通しは立っているか?
クレジットの価格は種類や銘柄によって幅があり、相対取引では定価がありません。森林由来は再エネや省エネ由来より高い傾向があるため、目的と予算のバランスで種類を選ぶことが望まれます。料金を公開しない事業者も多いので、複数の調達先に見積もりを取り、クレジット代金に仲介手数料や無効化手数料が含まれるかまで確認すると、総額を見誤りにくくなります。価格の目安は後述の「価格相場」で種類別に整理しています。
ここまでの観点をふまえ、自社の数量・目的・予算に合う調達ルートと事業者を、以下の診断ツールで手早く絞り込めます。
【比較表】カーボンクレジット調達・購入プラットフォーム比較
ここからは、本記事で紹介する15サービスを調達ルート別に比較します。対応するクレジットの種類、最小購入単位、無効化・報告の代行範囲、価格・料金形態を横並びで整理しました。価格は相対取引で決まるため非公表の事業者が多く、その場合は対応クレジットの種類と手続き代行の範囲が比較の主軸になります。種類別の価格の目安は後述の価格相場を参照してください。
3つ目の相対取引型は特定の事業者を介さないため、表では扱いません。まずは手続き代行・伴走に強いプロバイダー(仲介)型の8社です。
| サービス名 | バイウィル | ブルードットグリーン | カーボンフリーコンサルティング | ウェイストボックス | more trees | クレアトゥラ | Permanent Planet | EARTHSTORY |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応クレジット種別 | J-クレジット、非化石証書、グリーン電力証書、海外クレジット(VCM) | J-クレジット、海外クレジット(VCS・GS・CER)、FIT非化石証書、グリーン電力証書、海外電力証書(I-REC) | J-クレジット(再エネ・省エネ・森林吸収)、グリーン電力証書、非化石証書、I-REC、VCU(Verra)、VER(Gold Standard) | J-クレジット、VCS・ゴールドスタンダード・JCM・CDM(海外) | 森林由来のJ-VER・J-クレジット | J-クレジット、JCM、カーボンクレジット・再エネ証書(国内外) | J-クレジット(森林吸収・再エネ)、海外グリーン電力証書・カーボンクレジット | ボランタリークレジット(15種類以上の方法論)、J-クレジット、JCM |
| 最小購入単位 | 要お問い合わせ | 1kWh〜(証書、最低購入価格あり) | 要お問い合わせ | kg・ロット単位から(提携SaaS) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 手続き代行(無効化・報告) | 要お問い合わせ | 口座管理等の事務を代行 | 算定〜調達〜無効化・証書発行まで代行 | 選定〜調達〜無効化・証書発行を代行 | 無効化(償却)・証書発行を代行 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 価格・料金形態 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※各社の公式サイトの公開情報をもとに作成(2026年9月時点)。最新の料金・条件は各社にご確認ください。
続いて、オンラインで複数の銘柄を比較・購入できるマーケットプレイス・取引所型の7サービスです。
| サービス名 | Carbon EX | カーボンリンク マーケットプレイス | e-dash Carbon Offset | 東京証券取引所 カーボン・クレジット市場 | 日本気候取引所 JCEX | JGX/日本カーボンクレジット取引所 | Susport |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応クレジット種別 | J-クレジット、ボランタリークレジット(国内外)、非化石証書、海外再エネ証書 | J-クレジット、JCM | J-クレジット、ボランタリークレジット、グリーン電力証書、海外再エネ証書(I-REC・GO・TIGR) | J-クレジット、GX-ETS超過削減枠 | J-クレジット、非化石証書(FIT・非FIT)、グリーン電力証書、海外ボランタリークレジット・再エネ証書(I-REC・REC・GO) | J-クレジット(主に) | J-クレジット(再エネ・省エネ・森林)、Gold Standard、VCS(Verra)、グリーン電力証書 |
| 最小購入単位 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 1t-CO2〜 | 1t-CO2 | 要お問い合わせ | 1t-CO2〜 | 0.1kg-CO2e〜 |
| 手続き代行(無効化・報告) | 調達代行あり(無効化代行は要お問い合わせ) | 口座開設不要・代理無効化に対応 | 無効化を代行し証明書・通知書を交付 | 代行なし(自社で登録簿口座を開設) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 証明書発行・履歴管理、第三者検証に対応 |
| 価格・料金形態 | 要お問い合わせ | 案件ごとの個別価格(会員登録後に確認) | 1t-CO2あたり5,500〜13,008円(税込・商品により変動) | 市場の約定価格(日報で公開) | 要お問い合わせ | 取引手数料5%(クレジット代金は市場価格) | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※各社の公式サイトの公開情報をもとに作成(2026年9月時点)。最新の料金・条件は各社にご確認ください。
カーボンクレジット調達・購入プラットフォームの個別紹介
ここからは、各サービスの特徴を調達ルート別に紹介します。自社の買い方に近いルートから読み進めると、候補を絞り込みやすくなります。
プロバイダー(仲介)型のサービス(8社)
クレジットの選定から無効化・報告までを代行・伴走してもらいたい企業に向くルートです。手続きの負担を抑えて調達したい場合に検討したい8社を紹介します。森林由来に特化した事業者、排出量の算定とセットで支援する事業者、小口購入に対応する事業者など得意分野が分かれるため、自社の目的に近い特徴を持つ社に注目すると絞り込みやすくなります。
1. バイウィル(株式会社バイウィル)

株式会社バイウィルは、J-クレジットをはじめ非化石証書・グリーン電力証書・海外クレジットまで幅広い環境価値を扱う調達支援サービスです。買い手企業の目的をもとに最適な商材を選び、調達までを仲介するプロバイダー仲介型のルートを提供しています。
同社はクレジットを仲介するだけでなく、自らJ-クレジットを創出する立場も持ちます。そのため、産地や供給時期を指定した調達に対応できる点が、仲介に専念する事業者との違いです。全国の自治体・地域金融機関を中心とした連携パートナーは393団体にのぼります(2026年9月時点、公式サイト記載)。
料金体系や最小購入単位は公表されておらず、買い手向けの手数料は要お問い合わせです。調達に加え、伴走型のコンサルティングを組み合わせて依頼することもできます。
2. ブルードットグリーン(株式会社エスプールブルードットグリーン)

ブルードットグリーンは、東証プライム上場のエスプールの完全子会社で、CO2排出量算定やCDP・TCFD開示などの環境経営コンサルティングを主軸とする会社です。その一環として、クレジット調達支援と証書・クレジット調達支援の2つのサービスを提供しています。
J-クレジット制度事務局のプロバイダー認定を受けており、海外クレジット(VCS・ゴールドスタンダード・CER)やFIT非化石証書、グリーン電力証書、I-RECなどの海外電力証書まで扱います。入会や口座管理といった事務作業をすべて代行するため、利用企業は入会費・年会費の負担を抑えられるとしています。
証書・クレジット調達支援は1kWhから購入できる一方、最低購入価格が設けられており、具体額は非公表です。料金体系も公式サイトに掲載がなく、要お問い合わせとなります。
3. カーボンフリーコンサルティング(カーボンフリーコンサルティング株式会社)

2007年設立のカーボンフリーコンサルティングは、環境コンサルティングを出発点にカーボンオフセットを手がけてきた事業者です。CO2排出量の算定からクレジット調達、無効化、証書発行までを請け負う伴走型の調達代行を強みとしています。
公式サイトでは、企画・測定、排出権調達、証書発行、フォローアップの4段階のプロセスを示しています。排出量の算定から調達、無効化、調達後の広報活動までを一気通貫で支援する点が、純粋な仲介事業者との違いです。
対応するクレジットは、J-クレジット(再エネ・省エネ・森林吸収由来)に加え、グリーン電力証書や非化石証書、海外のI-REC・VCU・VERまで幅広くカバーします。料金は公式サイトに記載がなく、目的・納期・予算のヒアリングを経た個別見積もりとなります。
4. ウェイストボックス(株式会社ウェイストボックス)

ウェイストボックスは、J-クレジット制度の認定プロバイダーとして、企業の目的に合わせたクレジットの選定・調達から無効化手続きまでを代行する事業者です。国内のJ-クレジットに加え、VCS・ゴールドスタンダード・JCM・CDMといった海外クレジットにも対応します。
2025年1月からは、TOPPANエッジと共同で提供するSaaS「みんなのカーボンオフセット™」を通じて、kg単位・ロット単位の小口からオンラインでオフセットできる仕組みを用意しています。排出量の算定から必要量の算出、証書発行までをオンライン上で進められます。
無効化申請は毎週木曜17時30分締切・翌週処理という運用が公式FAQに示されています。クレジット単価や調達手数料は非公表で、料金は個別見積もりとなります。
5. more trees(一般社団法人more trees)

more trees(モア・トゥリーズ)は、音楽家・坂本龍一の呼びかけで2007年に設立された森林保全団体です。決済プラットフォームを運営する事業者ではなく、森林保全を主目的とする一般社団法人が、付随事業として森林由来クレジットの調達を仲介しています。
全国25以上の提携地域が管理する森林由来のJ-VER/J-クレジットを扱い、企業のニーズに応じて地域のクレジットとのマッチングを担います。いつ・どこで創出されたかがわかる森林由来クレジットに特化している点が特徴で、クレジット販売の収益は地域の森林保全活動に充てられます。
購入は問い合わせ・申込・支払・完了(償却と証書発行)の4段階で進み、オンラインで即時に完結する仕組みではありません。最小購入単位や単価は公表されておらず、個別の見積もり対応となります。
6. クレアトゥラ(クレアトゥラ株式会社)

クレアトゥラは2022年に設立された事業者で、2023年2月にJ-クレジット制度のプロバイダーとして登録認定を受けています。自社開発したクレジットに加え、国内外のクレジットホルダーから仕入れたカーボンクレジット・再エネ証書を企業に販売する調達仲介を主軸としています。
自社でもJ-クレジットやJCMなどのカーボンプロジェクト開発を手がけており、クレジットを調達する側と創出する側の両面を持つ事業者です。2026年8月には東京ガスと資本業務提携を締結しています(東京ガス公式発表)。
料金体系や最小購入単位は公式サイトに掲載がなく、要お問い合わせとなります。取扱実績などの数値は公表資料によって表記に差があるため、具体的な条件は個別に確認することをおすすめします。
7. Permanent Planet(Permanent Planet株式会社)

Permanent Planet(パーマネントプラネット)は、企業・自治体向けに脱炭素戦略の立案から実行までを支援するESGコンサルティング会社です。「排出量を把握し、削減し、削減しきれない分をオフセットする」という流れのなかで、クレジットの調達・仲介を担います。
オフセットには森林吸収・再エネ由来のJ-クレジットを用い、企業のニーズに応じて海外のグリーン電力証書やカーボンクレジットも調達します。オンラインで完結する取引所型ではなく、コンサルティングに付随した相談・提案型の仲介である点が、マーケットプレイス型のサービスとの違いです。
料金体系や最小購入単位、購入までの流れは公式サイトに明記されておらず、要お問い合わせとなります。鳥取県とカーボン・オフセットのパートナー協定を結ぶなど、自治体との連携実績もあります。
8. EARTHSTORY(株式会社Linkhola)

EARTHSTORY(アースストーリー)は、株式会社Linkholaが運営する、ボランタリークレジットの創出から取引までを扱うプラットフォームです。買い手向けには、企業・自治体がプロジェクトを選んでクレジットを購入できるマッチングサービスを用意しています。
購入はオンラインで即時に完結するのではなく、選んだプロジェクトの事業者との相対商談を同社が仲介する方式です。太陽光・バイオマス・森林・畜産など15種類以上の方法論によるボランタリークレジットに加え、J-クレジットやJCMも取り扱うとしています。
最小購入単位や料金・手数料は公表されておらず、要お問い合わせとなります。企業からの大口購入の相談にも対応しています。
マーケットプレイス・取引所型のサービス(7社)
オンラインで複数の銘柄を比較しながら、自社の判断で購入したい企業に向くルートです。民間のマーケットプレイスと公設の取引所を含む7つを紹介します。
9. Carbon EX(Carbon EX株式会社)

Carbon EX株式会社が運営する、カーボンクレジットと排出権のオンライン取引プラットフォームです。2023年10月に取引を開始し、2025年3月にはCO2排出量の見える化クラウドを手がけるアスエネ株式会社の連結子会社となりました(出資比率はアスエネ51%・SBIホールディングス49%)。
取引所とマーケットプレイスの両形式を備え、購入企業とクレジット創出事業者の双方を登録制・KYC(本人確認)審査のうえで受け入れます。東京証券取引所のカーボン・クレジット市場がJ-クレジットに限定されるのに対し、国内クレジットと海外クレジットを横断して扱える点が特徴で、ボランタリークレジットや非化石証書、海外の再エネ証書まで取り扱います。
非化石証書や海外再エネ証書の調達代行、クレジット創出支援、アドバイザリーも手がけます。2026年8月末時点で登録企業は1,800社を超え、累計取扱高は200万t-CO2に達したと公表しています。取引手数料や最小購入単位は公開されていないため、調達量に応じた条件は問い合わせで確認するとよいでしょう。
10. カーボンリンク マーケットプレイス(カーボンリンク株式会社)

カーボンリンク株式会社が運営する、法人向けのJ-クレジット・JCM調達プラットフォーム「カーボンオフセットデスク」です。無料の会員登録後、在庫案件ごとの価格と残数量を確認し、案件を選んで購入を申請する流れで調達します。
入金後は運営会社が登録簿上の無効化(償却)を代行し、標準5〜10営業日で無効化通知書を発行します。買い手企業は登録簿の口座を開設せずに、購入から無効化通知書の受領まで完結できる点が特徴です。
取り扱うのは国内のJ-クレジットと海外のJCMで、掲載前の銘柄や将来発行分の探索、2035年までの複数年度にわたる調達計画の相談にも応じます。案件ごとの価格は会員登録後に会員ページで確認する方式で、手数料率や最小購入単位は公開されていません。
11. e-dash Carbon Offset(e-dash株式会社)

三井物産からのスピンアウトで生まれたe-dash株式会社が提供する、カーボンクレジットのオンラインマーケットプレイスです。GHG排出量算定サービス「e-dash」の調達版にあたり、算定サービスを利用していない企業でも単独で使えます。
サイト上でクレジットをカートに入れて注文すると、e-dashが手配し、各種証明書がメールで届く流れです。民間主導では国内初とされるJ-クレジットのオンラインマーケットプレイスとして2022年7月に始まり、J-クレジットやボランタリークレジット、グリーン電力証書、海外の再生可能エネルギー証書(I-REC・GO・TIGR)まで取り扱います。
価格は商品ごとの個別表示で、2026年9月時点では1トンあたり5,500〜13,008円(税込)の商品が掲載されていました。購入後はe-dash発行のオフセット証明書、またはJ-クレジット制度事務局発行の無効化通知書が交付され、無効化手続きの負担を抑えられます。
12. 東京証券取引所 カーボン・クレジット市場(株式会社東京証券取引所)

東京証券取引所(日本取引所グループの完全子会社)が2023年10月に開設した、公設の取引所型市場です。経済産業省の実証事業を経て開設された公的な市場で、日本気候取引所やJGX、Carbon EXといった民間のプラットフォームとは運営主体も仕組みも異なる別の市場です。
認証済みのJ-クレジットを売買対象とし、近年はGX-ETSの超過削減枠も取引対象に加わっています。参加者として登録した法人・地方公共団体・任意団体が、証券会社を介さず直接注文を出す仕組みで、個人は参加できません。売買単位は1トン、注文は指値のみで、1日1〜2回の板寄せで約定します。
決済では東証が売買当事者の間に入り、クレジットの移転と資金の振込を東証口座を介して行うことで元本リスクを抑えます。区分別の約定価格と出来高は日報として毎営業日公開され、価格の目安を確認できます。累計売買高は2025年9月8日時点で100万トンに達したと公表されています。
13. 日本気候取引所 JCEX(株式会社enechain)

エネルギー卸取引を手がける株式会社enechainが運営する、環境価値のオンライン売買プラットフォームです。2023年4月に始まり、売買の気配値と直近の約定価格をリアルタイムで表示する板情報型の取引の場として提供されています。
国内のJ-クレジット・非化石証書(FIT・非FIT)・グリーン電力証書に加え、海外のボランタリークレジットや再エネ証書(I-REC・REC・GO)を同一プラットフォームで扱います。2026年5月には国際的な環境価値の取引所「Xpansiv CBL」とリアルタイムデータ連携を開始し、別途登録なしにJCEXの画面上で海外クレジットの市況を確認できるようになりました。
あおぞら銀行やGHG算定サービスのゼロボードと協業するほか、市況レポートやeラーニングなどの周辺サービスも併設しています。取引手数料や最小取引単位は公開されておらず、条件は問い合わせで確認が必要です。公設市場である東京証券取引所のカーボン・クレジット市場とは別の取引の場です。
14. JGX/日本カーボンクレジット取引所(日本GXグループ株式会社)

GXコンサルティングやクレジット創出支援を手がける日本GXグループ株式会社が運営する、カーボンクレジットの取引プラットフォームです。買い手向けの調達機能は同社の「日本カーボンクレジット取引所(JCX)」が担い、法人向けのWeb版と個人向けのモバイル版があります。
JCXでは、同社が提示する価格で購入する「販売所」と、利用者どうしで売買する「取引所」の2通りで、主にJ-クレジットを1トン単位から調達できます。法人口座を持たない個人でも取引できる点を独自性として掲げ、取引手数料は一律5%と公開しています(キャンペーンやクーポンの利用で変動する場合あり)。
2026年2月にはJ-POWER(電源開発株式会社)から出資を受け、個人が参加する炭素経済圏の構築を共同で進めています。社名やサービス名は紛らわしいものの、JGX・JCXは東京証券取引所とは関係のない別の事業者です。購入後の無効化や報告の代行範囲は公開情報では確認できないため、問い合わせでの確認が必要です。
15. Susport(Sustineri株式会社)

Sustineri株式会社(サスティネリ)が提供する「Susport」は、GHG排出量の算定からカーボンクレジット購入によるオフセットまでを、ひとつのクラウドサービスで完結できるプロダクトです。
0.1kg-CO2e単位という小口から注文できるのが特徴で、少量のオフセットにも対応します。取り扱うのはJ-クレジット(再エネ・省エネ・森林由来)に加え、Gold StandardやVCS(Verra認証)といった海外ボランタリークレジット、グリーン電力証書です。
購入履歴や証明書発行履歴を管理する機能、オフセットプロセスの第三者検証にも対応します。自社のWebサービスやアプリに算定・オフセット機能を組み込めるAPIも提供しており、大規模・複数年契約は個別見積もりとなります。料金は公開されていないため、詳細は問い合わせでの確認が必要です。
カーボンクレジットの価格相場【種別別】
ここからは、調達の予算を組むうえで欠かせない価格相場を、クレジットの種類別に整理します。相対取引では定価がなく、銘柄や取引量によって価格に差が生じるため、以下はあくまで目安として捉えてください。
J-クレジットの種別別の価格
公的な価格の目安として参考になるのが、東京証券取引所のカーボン・クレジット市場の約定価格です。市場開設(2023年10月11日)以降2026年8月31日までの累計では、種類別の加重平均価格に次のような差が出ています。
- 森林由来(J-クレジット):加重平均5,393円/t-CO2(安値〜高値は4,300〜9,900円)
- 再生可能エネルギー(電力):加重平均4,664円/t-CO2(1,500〜6,600円)
- 再生可能エネルギー(熱):加重平均3,758円/t-CO2(2,000〜5,500円)
- 省エネルギー:加重平均2,933円/t-CO2(1,510〜5,450円)
森林由来が最も高く、省エネルギー由来が最も安いという傾向が読み取れます。同期間の累計売買高は約111万トンでした。これは市場開設からの累計・加重平均であり、現在のスポット価格とは異なる点に留意してください。相対取引やプロバイダー経由では、銘柄や数量によってこれと異なる価格になります。
海外ボランタリークレジット(VCM)の価格傾向
海外のボランタリークレジットは、プロジェクトの種類や品質によって価格差が大きいのが特徴です。世界銀行の調査では、多くのプロジェクト類型で価格が下落する一方、大気中からCO2を除去するタイプ(除去系)は価格が下がりにくく、品質による価格の差が広がっていると報告されています。
桁感の目安として、海外の格付事業者Sylveraは、価格が1トンあたり数ドルのものから50ドルを超えるものまで幅広いと説明しています。削減系より除去系のほうが高くなる傾向があり、単一の平均価格を示すのは難しいため、調達時点で相場を確認することが欠かせません。
GX-ETSの排出枠の価格水準
2026年度から始まる排出量取引制度(GX-ETS)では、排出枠の価格に一定の目安が設けられています。令和8年度(2026年度)については、上限側の目安となる参考上限取引価格が1トンあたり4,300円、下限側の目安となる調整基準取引価格が1,700円と示されています。クレジットと排出枠は別物ですが、制度設計上の価格帯を知っておくと、調達コストの見通しを立てやすくなります。
出典・参考資料(4件)
- 出典:カーボン・クレジット市場 日報(市場開設以降の売買状況 2023年10月11日〜2026年8月31日)|日本取引所グループ(jpx.co.jp)
- 出典:令和8年度の参考上限取引価格及び調整基準取引価格に関する意見|産業構造審議会 排出量取引制度小委員会(経済産業省)
- 出典:State and Trends of Carbon Pricing 2024|World Bank(openknowledge.worldbank.org)
- 出典:企業はどのようにカーボンクレジットを購入するのか|Sylvera(sylvera.com)
購入から無効化・報告までの手続きと活用
ここからは、クレジットを購入してから実際に自社の脱炭素の成果として活用するまでの流れを解説します。初めての調達でつまずきやすい口座開設や無効化のポイントもあわせて押さえます。

購入先の選定から契約まで
まず、調達ルートと事業者を選び、必要なクレジットの種類・量・予算を伝えて見積もりを取るのが一般的です。プロバイダー型なら要望に合う銘柄を提案してもらえ、マーケットプレイス型では掲載銘柄から自分で選ぶ形になります。価格や量に合意すれば契約・支払いへ進みます。
クレジット管理用口座の開設と代理無効化
J-クレジットを自社の口座で保有・無効化するには、登録簿システムの口座開設が必要です。口座開設は法人が対象で、個人では開設できません。口座を持たない場合でも、プロバイダーやクレジット保有者に無効化を代理してもらう「代理無効化」で活用は可能です。少量の調達や初回の場合は、口座を開かず代理無効化で済ませる選択肢もあります。
無効化の手続き
クレジットは、無効化(償却)して初めて自社の環境価値として主張できます。自社の口座を持つ場合、登録簿システム上で無効化を実行すると、その直後から無効化通知書をダウンロードできます。無効化の際に指定された者だけがその環境価値を主張できる仕組みで、購入しただけ・保有しているだけでは主張できない点に注意が必要です。
温対法・省エネ法・CDP・SBT・RE100での活用
無効化したJ-クレジットは、各種の報告制度で活用できます。ただし、使えるクレジットの種類や範囲には条件があるため、目的に合った種類を選ぶことが前提です。
- 温対法:無効化した量を差し引いた調整後の排出量として報告できます。
- 省エネ法:共同省エネルギー事業の報告に使えるのは省エネルギープロジェクト由来のクレジットに限られます。2023年の法改正により、非化石エネルギー使用量の報告にも一部のJ-クレジットが使えるようになりました。
- CDP・SBT:再エネ電力・再エネ熱由来のJ-クレジットを、他者から供給された電力・熱(Scope2)の再エネ調達量として報告できます。
- RE100:再エネ電力由来のJ-クレジットを再エネ調達量として報告できます。基準改定により、稼働から15年を超えたプロジェクト由来や、石炭混焼を含む電力由来のクレジットは使えなくなった点に注意が必要です。
このように、報告制度ごとに使えるクレジットの種類が決まっているため、「どの制度に使うか」を先に決めてから調達すると、目的に合わないクレジットを買ってしまう失敗を避けられます。
出典・参考資料(2件)
- 出典:クレジット管理用口座・無効化関連手続|J-クレジット制度(japancredit.go.jp)
- 出典:温対法・省エネ法での活用/CDP・SBT・RE100での活用|J-クレジット制度(japancredit.go.jp/case/law)
低品質クレジット・グリーンウォッシュを避ける品質の見極め方
クレジットは種類や銘柄によって品質に差があり、選び方を誤ると「対策として不十分」との批判を受けるリスクがあります。ここでは、低品質なクレジットやグリーンウォッシュを避けるための見極めの観点を整理します。
認証・追加性を確認する
信頼できるクレジットは、J-クレジットのような公的な認証制度や、Verra・ゴールドスタンダードといった国際的な認証を受けています。あわせて、そのプロジェクトがクレジット収入なしには実現しなかったといえる「追加性」があるかも品質を左右します。認証の有無と、削減・吸収が確かに追加的かを確認することが出発点です。
Verra(運営する基準がVCS)やゴールドスタンダード(GS)は、海外ボランタリークレジットの代表的な認証機関・基準です。比較表の「対応クレジット種別」に出てくるVCS・GS・VCU・VERはこれらに関連する呼称で、I-RECは再生可能エネルギー電力の国際的な証書を指します。海外クレジットを検討する場合は、どの認証を受けたクレジットかを確認すると品質を見極めやすくなります。
削減型か除去型かを区別する
クレジットには、排出を減らす「削減型」と、大気中のCO2を取り除く「除去型」があります。近年は除去型の価格が下がりにくい傾向にあります。自社の脱炭素戦略のなかでクレジットをどう位置づけるかに応じて、種類を選ぶことが望ましいです。
環境価値の二重主張を避ける
クレジットの環境価値を主張できるのは、無効化の際に対象として指定された者だけです。同じクレジットを複数の主体が主張することはできません。
クレジット分の環境価値(排出削減・除去・吸収量)を主張できる主体はクレジットの無効化時に無効化対象に指定された者のみであり、その他の者が主張してはいけません。
出典:よくあるご質問|J-クレジット制度(japancredit.go.jp)
調達の際は、購入先が無効化まで確実に手続きし、通知書などの証跡を残せるかを確認しておくと、後から主張の正当性を問われても対応しやすくなります。
GX-ETS本格稼働に向けた調達の考え方
2026年度から始まる排出量取引制度(GX-ETS)は、二酸化炭素の直接排出量が前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者が対象です。政府が排出枠を割り当て、過不足を事業者間で取引できる仕組みで、対象となる大規模排出事業者にとっては、排出枠の管理が新たな実務となります。
GX-ETSの排出枠とカーボンクレジットは別物ですが、東京証券取引所のカーボン・クレジット市場ではJ-クレジットと超過削減枠の両方が扱われるなど、制度と市場は連動して整備が進んでいます。対象事業者は、自社の排出見通しと排出枠の割り当てを見ながら、クレジットの調達も含めて計画的に準備することが求められます。
対象外の企業でも、CDPやSBTへの対応を見据えるなら、早めに調達ルートを確保しておくと、需要の高まりによる価格変動の影響を受けにくくなります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:排出量取引制度|経済産業省(meti.go.jp)
炭素会計・GHG算定SaaSとの違い
調達先を探すなかで、カーボンクレジットの購入プラットフォームと、炭素会計・GHG算定のSaaSを混同してしまうケースがあります。検索結果には両者が並ぶことも多いですが、役割はまったく異なります。
炭素会計・GHG算定SaaSは、自社の温室効果ガス排出量を「測る・可視化する・開示する」ためのツールです。SSBJ基準やTCFDに沿った報告を支援するもので、クレジットそのものを売買する機能は主目的ではありません。一方、本記事で扱う調達・購入プラットフォームは、算定した排出量を相殺するためのクレジットを「買う」手段です。
実務では、まず算定SaaSで排出量を把握し、削減しきれない分を調達プラットフォームでクレジット化して相殺する、という流れで両者を使い分けます。自社が今必要なのは「測る」ことなのか「買う」ことなのかを整理すると、選ぶべきツールを取り違えずに済みます。
まとめ
カーボンクレジットの調達は、プロバイダー(仲介)型・マーケットプレイス・取引所型・相対取引型の3つのルートに大別され、自社の数量・目的・予算・伴走の要否によって向く選択肢が変わります。初めての調達なら手続きを代行してもらえるプロバイダー型、銘柄を自分で選びたいならマーケットプレイス・取引所型が起点になります。
調達先を選ぶ際は、対応するクレジットの種類が自社の報告目的に合うか、無効化や報告まで代行してもらえるか、総額の見通しが立つかを確認することが重要です。まずは複数の調達先に資料請求や見積もりを依頼し、条件を見比べるところから始めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. カーボンクレジット調達・購入プラットフォームとは何ですか?
A. カーボンクレジット調達・購入プラットフォームとは、企業がJ-クレジットや海外のボランタリークレジットを「買う」ための事業者や仕組みの総称です。クレジットを仲介するプロバイダー、オンラインで売買できるマーケットプレイスや取引所、保有者・市場から直接調達するルートが含まれます。排出量を「測る」炭素会計SaaSとは異なり、算定した排出量を相殺するクレジットを調達する手段です。
Q. カーボンクレジットは最低何t-CO2から購入できますか?
A. カーボンクレジットは、マーケットプレイスやプロバイダーを利用すれば1t-CO2程度の少量から購入できる場合が多いです。J-クレジット制度に購入の最低単位を定めた規定はなく、最小購入単位は各サービスの運用によって異なります。1トン単位で買えるものに加え、kg単位や0.1kg-CO2e単位の小口に対応するサービスもあります。少量から試すなら、最小購入単位の小さいサービスを選ぶとよいでしょう。
Q. カーボンクレジットの購入にはどのような費用がかかりますか?
A. カーボンクレジットの購入費用は、クレジット本体の代金に加え、仲介手数料や無効化手数料などの手続き費用がかかるのが一般的です。プロバイダーに選定から無効化・報告書類の整備まで依頼する場合は代行費用も上乗せされます。多くの事業者が料金を公開せず価格は相対取引で決まるため、複数の調達先から見積もりを取り、手数料が含まれるかまで確認すると総額を見誤りにくくなります。
Q. 個人でもカーボンクレジット(J-クレジット)を購入できますか?
A. カーボンクレジットの購入自体は個人でも可能ですが、J-クレジットを保有・無効化するための登録簿システムの口座開設は法人に限られます。口座を持たない場合でも、プロバイダーやクレジット保有者に無効化を任せる「代理無効化」で活用できます。また、一部のマーケットプレイスには個人向けの取引機能を用意するサービスもあります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:クレジット管理用口座|J-クレジット制度(japancredit.go.jp)
Q. 購入したカーボンクレジットはどのくらいで利用できるようになりますか?
A. カーボンクレジットは、契約・支払い後にクレジットの移転と無効化(償却)の手続きが完了すれば、自社の環境価値として利用できます。所要期間は口座の有無や在庫、無効化の依頼範囲によって変わり、マーケットプレイスでは入金後5〜10営業日程度で無効化通知書が発行される例もあります。締切日を設けて週次でまとめて処理する事業者もあるため、報告の期限から逆算して調達時期を決めると安心です。
Q. J-クレジットに有効期限はありますか?
A. J-クレジット自体に有効期限は定められておらず、無効化するまで保有し続けられます。ただし、CDPやRE100などの報告制度で活用する場合は、創出年度や対象プロジェクトに関する使用条件が設けられていることがあります。制度側の期限ではなく、活用先の制度ごとの条件を確認することが重要です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:よくあるご質問|J-クレジット制度(japancredit.go.jp)
Q. J-クレジットとJCM・非化石証書の違いは何ですか?
A. J-クレジットは国内の排出削減・吸収量を国が認証したもの、JCMは海外での削減活動から創出される二国間クレジット、非化石証書は電力の非化石価値を証明するものです。J-クレジットがCO2の削減量・吸収量を対象とするのに対し、非化石証書は電力が非化石電源由来であることを示す点で対象が異なります。報告制度で使える種類が決まっているため、目的に合うものを選ぶ必要があります。
Q. カーボンクレジットは排出削減の前と後、どちらのタイミングで購入すべきですか?
A. カーボンクレジットは、まず自社で排出の回避・削減に取り組み、それでも削減しきれない分をオフセットする「削減後」の位置づけで購入するのが基本です。クレジットの購入は自社の削減努力を代替するものではなく、残った排出量を相殺する最後の手段と位置づけることで、グリーンウォッシュとの批判を避けやすくなります。
Q. カーボンクレジット調達・購入プラットフォームと炭素会計・GHG算定SaaSはどう違いますか?
A. 炭素会計・GHG算定SaaSは排出量を「測る・可視化する」ツール、調達・購入プラットフォームは排出量を相殺するクレジットを「買う」手段です。検索結果には両者が並びますが役割は異なります。自社に今必要なのが「測る」ことなら算定SaaS、「買う」ことなら調達プラットフォームと見分けられます。使い分けの流れは本文「炭素会計・GHG算定SaaSとの違い」で解説しています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。













