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J-クレジットとは?仕組み・種類・価格相場・買い方をわかりやすく解説

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脱炭素やGXへの対応を任されて情報を集めはじめると、必ずと言っていいほど出てくるのが「J-クレジット」という言葉です。取引先からの要請や自社の削減目標のために調べているのに、制度の全体像がつかめず、自社にどう関係するのかが見えないまま止まってしまう、という声は少なくありません。

J-クレジットは、ひとことで言えば「省エネ・再エネ・森林管理などで減らした、あるいは吸収したCO2の量を、国が認証して売り買いできるようにした制度」です。そして、この制度には「クレジットを作る側(創出者)」と「クレジットを買って使う側(購入者)」という2つの立場があります。自社がどちら側で関わるのかが分かると、次に何をすればよいかが整理しやすくなります。

本記事では、J-クレジット制度の定義と仕組みからはじめて、3つの種類、自社が「買う側」か「作る側」かの見分け方、使い道とメリット、買い方・作り方の流れ、価格相場、そして非化石証書やグリーン電力証書といった似た制度との違いまでを、順番に解説します。制度を理解したうえで、実際に調達・創出を支援するサービスの選択肢まで見通せる状態を目指します。

J-クレジットとは?

J-クレジットとは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2などの排出削減量や、適切な森林管理によるCO2の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。認証されたクレジットは、1トンのCO2(t-CO2)を単位として、企業や自治体のあいだで売り買いできます。

運営しているのは経済産業省・環境省・農林水産省の3省で、有識者による運営委員会・認証委員会の審議を踏まえて運営されています。「カーボンクレジット」はCO2の削減・吸収量を取引可能にした証書全般を指す総称で、J-クレジットはそのうち日本国内で国が認証するものを指します。

J-クレジット制度とは、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジットとして認証する制度であり、2013年度より国内クレジット制度とJ-VER制度を一本化し、経済産業省・環境省・農林水産省が運営。

出典:J-クレジット制度について(2026年6月)|J-クレジット制度事務局

J-クレジットは、まったく新しく作られた制度ではありません。2013年度に、それまで別々に運用されていた「国内クレジット制度」と「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を統合し、国が運営する形に整えたものです。

取引の対象になるのは製品でもお金でもなく、「CO2をどれだけ減らした・吸収したか」という環境価値そのものです。この点が、通常の商取引と大きく異なります。

出典・参考資料(2件)

J-クレジットの仕組み(「作る人=創出者」と「買う人=購入者」の2者構造)

ここからは、J-クレジットがどのように取引されるのか、その仕組みを見ていきます。制度を理解するうえで最も大事なのが、「クレジットを作る側」と「買う側」という2つの立場に分かれているという点です。

J-クレジットの2者構造を示した図解。国(経済産業省・環境省・農林水産省)が削減・吸収量を認証・発行し、作る側の創出者から買う側の購入者へクレジットが渡り、購入者から創出者へ代金が支払われる関係を示す。

創出者(作る側)は、省エネ設備の導入や再エネの利用、森林の管理などでCO2を減らし、その削減・吸収量を国に認証してもらってクレジットを手に入れる立場です。手に入れたクレジットを売れば、環境への取り組みが売却益という形で戻ってきます。ランニングコストの低減やPR効果、取引ネットワークの広がりも、創出者側のメリットとして公式に挙げられています。

購入者(買う側)は、自社だけでは減らしきれないCO2を埋め合わせる(オフセットする)ために、クレジットを買って使う立場です。買ったクレジットは自社の目標達成やオフセットに使えます(詳しい用途は後述します)。購入代金は創出者に支払われるため、買う側の行動が、地域や他社の削減活動を資金面で後押しする関係になっています。

出典・参考資料(1件)

J-クレジットの3つの種類(再エネ由来・省エネ由来・森林由来)

次に、J-クレジットにはどんな種類があるのかを整理します。クレジットは「何をしてCO2を減らした・吸収したか」によって分かれており、代表的なのは次の3つです。

  • 省エネ由来: 高効率なボイラーやヒートポンプ、空調設備、LED照明、コージェネレーションの導入・更新など、エネルギーの使用量を減らす取り組みで生まれるクレジット
  • 再エネ由来: 太陽光・水力・風力発電設備やバイオマスボイラーの導入など、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換える取り組みで生まれるクレジット
  • 森林由来: 間伐や植林といった適切な森林管理によって、CO2の吸収量を増やす取り組みで生まれるクレジット

「3種類」と紹介されることが多いものの、J-クレジット制度の方法論(クレジットを認証するためのルール)は、省エネルギー・再生可能エネルギー・森林に加えて、工業プロセス・農業・廃棄物の分野も対象にしています。

実際に、東証カーボン・クレジット市場では農業分野(水田の中干し期間の延長やバイオ炭の施用)由来のクレジットも取引されています。まずは主要な3つを押さえつつ、「これら以外の分野もある」と理解しておくと、個別のクレジットを見たときに戸惑いません。

出典・参考資料(1件)

自社は「買う側」か「作る側」か(早見表でチェック)

ここまでで、J-クレジットには作る側と買う側があることが分かりました。自社がどちらで関わるのかを先に決めておくと、この後の使い道・買い方・価格の読み方がはっきりします。次の早見表で当たりを付けてみてください。

観点買う側(購入者)作る側(創出者)
主な動機自社で減らしきれないCO2をオフセットしたい/制度・取引先要請に対応したい自社の削減・吸収の取り組みを収益や評価につなげたい
必要な取り組み特になし(クレジットを購入するだけ)省エネ・再エネ・森林管理などの削減/吸収活動と、方法論に沿ったプロジェクト
次のアクション購入経路(仲介事業者・市場)を選んで調達するプロジェクトを登録し、モニタリング・認証を経てクレジットを発行する
費用の向きクレジット代金を支払う審査費用などを負担し、売却益を得る

多くの企業は、まず「買う側」として関わります。一方、太陽光発電やLED化などの設備投資をすでに進めている企業、森林や農地を持つ事業者・自治体は「作る側」になれる可能性があります。両方に当てはまる場合は、自社の取り組みでクレジットを作りつつ、足りない分を買って補うという関わり方もできます。

「作る側」に向くかどうかは、削減・吸収の規模がある程度見込めるか、方法論に沿った取り組み(設備投資や森林・農地の管理など)があるかが目安になります。小規模な取り組みは単独ではクレジット化できる量が小さく、後述する審査費用に見合わないこともあります。

その場合でも、複数の事業者の取り組みをまとめる「プログラム型」で創出する方法や、手続きを代行する創出支援サービスを使う選択肢があります。まずは自社が主に買う側か作る側かの見当を付けて、続く各節を読み進めてください。

J-クレジットの使い道・メリット

ここからは、買ったクレジットが実際に何に使えるのかを見ていきます。J-クレジット制度事務局は、クレジットの活用先を用途ごとに整理して公表しています。主な使い道は次のように分けられます。

  • 制度への報告: 地球温暖化対策推進法(温対法)に基づく排出量の報告や、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の報告に活用できます
  • イニシアチブへの対応: GXリーグにおける排出量実績の報告、CDP質問書・SBT・RE100といった国際的な枠組みへの報告に使えます(ただし用途によって使えるクレジットの種類が限られ、たとえばRE100への報告は再エネ電力由来など特定の種類のみが対象です)
  • カーボンオフセット: 自社の製品・サービスやイベント、事業活動で出るCO2を埋め合わせる用途に使えます
  • 企業PR・企業価値の向上: 環境に貢献する企業としての評価につなげ、製品・サービスの差別化やビジネス機会の獲得に活かせます

排出量取引をめぐる制度は、現在も整備が進んでいる分野です。とくにGXリーグ・GX-ETS(排出量取引制度)は対象や年次の枠組みが更新されていきます。報告や義務対応にクレジットを使う予定がある場合は、経済産業省など所管当局の最新情報で、その時点の取り扱いを確認することをおすすめします。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:J-クレジットの活用方法(クレジット種別による活用先一覧)|J-クレジット制度(japancredit.go.jp/case/outline)

J-クレジットの買い方と作り方

ここからは、実際にクレジットを手に入れる手順を、買う側と作る側それぞれに分けて説明します。自分の立場に近いほうから読んでください。

買い方:3つの購入経路

クレジットを買う側の経路は、大きく3つに整理できます。うち2つは制度事務局が仲介・売買を後押しする「マッチングコーナー」で用意されているもの、残る1つが東証カーボン・クレジット市場です。

J-クレジットの3つの購入経路を示した図解。価格が当事者間の交渉で決まる相対取引(プロバイダーによる仲介、売り出しクレジット一覧)と、日々の約定価格が公表される市場取引(東証カーボン・クレジット市場)に分かれる。
  1. J-クレジット・プロバイダーによる仲介: クレジットの仲介事業者(プロバイダー)を通じて購入する方法です。購入価格は仲介事業者との相対取引で決まります。登録簿システムの口座を持たない購入者でも、プロバイダー経由で購入・活用できます
  2. 「売り出しクレジット一覧」からの購入: 制度のサイトに掲載された、クレジット保有者が売りに出しているクレジットを購入する方法です。こちらも価格は保有者との相対取引で決まります
  3. 東証カーボン・クレジット市場での売買: 日本取引所グループ(JPX)が運営する市場で、取引参加者を通じて売買する方法です。上記2つが当事者どうしの相対取引であるのに対し、こちらは市場を介した取引で、日々の約定価格が公表される点が特徴です

少量から手軽に始めたい場合は、オンラインで少額購入に対応した民間のマーケットプレイスを使う方法もあります。目安としては、少額・お試しで始めたい中小企業は民間マーケットプレイス、大口の調達や継続的な購入を見込むならプロバイダーや市場、と考えると選びやすくなります。具体的なサービスは後半の「調達・創出を支援するサービス」で紹介します。

出典・参考資料(2件)

作り方:創出の手続き(プロジェクト登録→モニタリング→認証)

クレジットを作る側の手続きは、大きく「プロジェクトの登録」と「モニタリングの実施」の2ステップを経て、認証・発行に至ります。公式に示されている流れは次のとおりです。

J-クレジット創出(作り方)の手続きを3ステップで示した図解。STEP1プロジェクト登録(計画書作成・妥当性確認・国が登録)、STEP2モニタリング実施(削減量・吸収量を計測し検証)、STEP3認証・発行(委員会審議を経て国がクレジットを発行)の順に進む。
  1. プロジェクトを登録する: プロジェクト計画書を作成し、審査機関による妥当性確認を受けたうえで、登録を申請します。有識者委員会の審議を経て、国が正式にプロジェクトを登録します
  2. モニタリングを実施する: 削減量・吸収量を計測してモニタリング報告書を作成し、審査機関による検証を受けます。認証・発行を申請し、有識者委員会の審議を経て認証されると、国がクレジットを発行します

手続きには、審査機関による妥当性確認・検証の費用がかかります。制度事務局が公表している審査費用の平均額(2023〜2025年度の審査費用支援申請案件の平均値、税込)は、たとえば省エネの通常型で妥当性確認が約86万円・検証が約82万円です。

森林の通常型では妥当性確認が約111万円・検証が約121万円です。これらは参考値で、プロジェクトの内容・規模や審査機関によって異なり、近年は上昇傾向にあると注記されています。費用に見合うクレジットが得られるかは規模しだいで、負担が大きい場合は後述の創出支援サービスを使う選択肢もあります。

出典・参考資料(1件)

J-クレジットの価格相場(種類別×時点×出所)

ここでは、多くの人が最も知りたい「結局いくらなのか」を見ていきます。企業が買うことの多い省エネ由来・再エネ由来・森林由来は、直近の市場の基準値段でみると、おおむね1トンあたり5,000円前後が一つの目安です。ただし種類・時点・取引経路によって水準は変わるため、以下では価格が公表されている東証カーボン・クレジット市場(JPX)の数字を、時点と出所を添えて紹介します。

2026年9月18日時点の基準値段(税抜、1トンCO2あたり)は、省エネルギー由来が4,950円、再エネ(電力)由来が4,850円、森林由来が5,500円でした。これに対し、農業(バイオ炭)由来のように4万円と突出して高い特殊な種類や、種類が特定されない「その他」の1,150円といった例外もあります。まず押さえるべきは主要3種類の5,000円前後という水準です。

市場が開設された2023年10月11日から2026年8月31日までの累計で見ると、加重平均価格は省エネルギー由来が2,933円(安値1,510円〜高値5,450円)、再エネ(電力)由来が4,664円(1,500円〜6,600円)、森林由来が5,393円(4,300円〜9,900円)でした。同じ種類でも取引時点によって幅があることが分かります。

注意したいのは、ここで示した価格はあくまで市場を介した取引の数字であり、プロバイダーの仲介や売り出し一覧を通じた相対取引の価格は、当事者どうしの交渉で決まる点です。相場を社内で説明するときは、「いつ時点の・どの経路の・どの種類の価格か」をセットで示すと、数字の意味が正しく伝わります。市場価格は日々更新されるため、実際の検討時には最新の数値を確認してください。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:カーボン・クレジット市場 日報・売買状況(2026年9月18日時点/2023年10月11日〜2026年8月31日累計)|日本取引所グループ(jpx.co.jp/equities/carbon-credit)

他の環境価値制度との違い(非化石証書・グリーン電力証書との比較)

脱炭素の情報を集めていると、J-クレジットと並んで「非化石証書」や「グリーン電力証書」といった言葉も目にします。いずれも環境価値を取引する仕組みですが、認証する主体や対象が異なります。自社の目的に合うものを選べるよう、主な違いを表で整理します。

制度認証・所管対象となる環境価値主な取引の場
J-クレジット国(経済産業省・環境省・農林水産省)が認証省エネ・再エネ・森林管理などによるCO2の削減量・吸収量(電力に限らない)プロバイダー仲介・売り出し一覧・東証カーボン・クレジット市場
非化石証書経済産業省(資源エネルギー庁)が所管非化石電源(再エネ・原子力など)で発電された電気の「非化石価値」非化石価値取引市場
グリーン電力証書民間認証(現在の認証機関は日本品質保証機構〔JQA〕)再生可能エネルギーで発電された電気の環境価値認証事業者を通じた相対取引

大きな違いは対象の広さです。非化石証書とグリーン電力証書が「電力」の環境価値に限られるのに対し、J-クレジットは省エネや森林管理も含めた幅広い削減・吸収量を対象とします。電力の実質的な再エネ化が目的なら電力系の証書、事業全体で出るCO2を幅広くオフセットしたいならJ-クレジット、というように、目的に応じて選ぶのが基本です。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:非化石証書(非化石価値取引市場)|資源エネルギー庁(enecho.meti.go.jp)
  • 出典:グリーン電力証書の概要について|日本品質保証機構(JQA)(jqa.jp)

紛らわしい呼び名の整理(カーボンクレジット/J-クレジット/J-ブルークレジット/非化石証書)

似た言葉が多いので、関係を一度整理しておきます。「カーボンクレジット」は、CO2の削減・吸収量を取引可能にした証書の総称で、いちばん上位の概念です。J-クレジットは、そのカーボンクレジットのうち日本国内で国が認証するものを指します。

「J-ブルークレジット」は、藻場や干潟など海洋・沿岸の生態系(ブルーカーボン)による吸収量を対象としたクレジットで、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が認証します。国が運営するJ-クレジットとは制度が異なります。

「非化石証書」は、前述のとおり電力の非化石価値を対象とする別の仕組みで、カーボンクレジットとは区別されます。名前が似ていても、認証する主体と対象が違うと覚えておくと混同を避けられます。

J-クレジットの調達・創出を支援するサービス

ここからは実務の話です。まだ制度理解の段階で、サービス選びは先でよいという方は、この節は読み飛ばして構いません。買う側であれば購入経路となるプラットフォーム、作る側であれば煩雑な創出手続きを代行する支援サービスが、それぞれ選択肢になります。

ここでは代表的なサービスを、買う側・作る側に分けて紹介します。自社の立場(買う側か作る側か)と、少額から始めたいか継続調達かで、見るべきサービスを絞り込んでください。まずは概要を比較表で見てみましょう。

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サービス名Carbon EXe-dash Carbon OffsetCarbonlinkバイウィルGreen Carbon
立場買う側買う側買う側作る側・買う側作る側
提供形態マーケットプレイス
/取引所
オンライン購入
マーケットプレイス
J-クレジット
調達プラットフォーム
創出支援・調達
(総合型)
創出支援
(農業・自然由来特化)
取扱クレジットJ-クレジット・ボランタリー
クレジット・非化石証書
J-クレジット・国際認証
ボランタリークレジット
J-クレジット・JCM
・GXリーグ排出枠
J-クレジット
(70超の方法論に対応)
J-クレジット・JCM
・Verra等(農業・自然由来)
初期費用の目安要問い合わせ無料
(登録・月額とも無料)
要問い合わせ0円
(完全成果報酬型)
要問い合わせ
特徴SBI×アスエネ合弁で信用基盤が厚く
幅広い種類を1つで売買できる
10kg-CO2からの少量購入に対応
可視化SaaS「e-dash」と連携
スポット〜複数年の調達設計と
保有クレジットの買取換金に対応
初期費用ゼロの成果報酬型
登録〜認証〜買い手探索まで一気通貫
水田メタン削減で日本初の
第1号案件承認。農業・自然由来に特化
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※各サービスの料金・仕様は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

買う側の選択肢:クレジットを調達・購入できるサービス

Carbon EX(Carbon EX株式会社)

Carbon EXのウェブサイト

Carbon EXは、脱炭素支援のアスエネとSBIホールディングスの合弁で運営される、カーボンクレジット・排出権のマーケットプレイスです。J-クレジットに限らず、国内外のボランタリークレジットや非化石証書まで幅広い種類を1つのプラットフォームで売買でき、買い手・売り手・仲介事業者が参加します。

大手金融グループ(SBI)とカーボンクレジット専業企業(アスエネ)の合弁が運営し、扱う種類の幅広さが特徴です。「まずどこで買えるか」を広く見比べたい買い手の入口になります。

e-dash Carbon Offset(e-dash株式会社)

e-dash Carbon Offsetのウェブサイト

三井物産発のスタートアップe-dashが運営する、カーボンクレジットのオンライン購入マーケットプレイスがe-dash Carbon Offsetです。国際認証のボランタリークレジットとJ-クレジットを、10kg-CO2相当という少量から購入でき、登録無料・月額費用なしで始められます。

排出量可視化クラウド「e-dash」と連携しており、CO2の可視化からオフセットまでを一続きで進められます。少額から手軽に始めたい中小企業・自治体にとって、ハードルの低い入口です。

Carbonlinkのウェブサイト

J-クレジットの調達・買取・仲介に特化したプラットフォームが、Carbonlinkです。スポット購入から2035年までの複数年にわたる調達設計までを扱う「Carbon Offset Desk」、保有するクレジットをオンラインで換金できる「J-クレジット買取センター」、相対取引を仲介する「OTC Hub」の3つを提供します。

単発の購入だけでなく、中長期の調達計画やクレジットの売却まで見据えて相談したい企業に向く選択肢です。

作る側の選択肢:クレジット創出を支援するサービス

バイウィル(株式会社バイウィル)

バイウィルのウェブサイト

バイウィルは、クレジットを「作る側」と「買う側」の双方を支援する環境価値の総合サービスです。創出支援では、プロジェクト計画書の作成から妥当性確認・登録、モニタリング・検証、認証後の買い手探しまでを一気通貫で代行します。

特徴は初期費用ゼロの完全成果報酬型で、登録・モニタリングの費用を立て替え、クレジット売却後に回収するモデルのため、費用倒れのリスクを抑えて創出に踏み出せます。太陽光や水稲、LEDなどをプログラム型で束ねる仕組みも複数運営しています。

Green Carbon(Green Carbon株式会社)

Green Carbonのウェブサイト

農業・自然由来のクレジット創出に強みを持つスタートアップが、Green Carbonです。水田の中干し期間の延長によるメタン削減など、森林・再エネ・省エネ中心の他社とは異なる領域の方法論を扱い、申請手続きからプロジェクト実施、クレジット販売までを農業者・自治体・企業に代わって支援します。

水田の中干し期間の延長によるメタン削減の方法論で、日本初の第1号案件として承認された実績を同社は公表しています。国内のJ-クレジットに加え、国際的な認証基準にも対応しています。

創出支援を依頼できる会社はほかにもあり、支援実績や任せられる範囲(発行・申請・登録のどこまでを代行するか)は各社で異なります。作る側として複数の会社を比べて選びたい場合は、次の記事で創出支援会社を詳しく比較しています。

まとめ

J-クレジットは、省エネ・再エネ・森林管理などで減らした・吸収したCO2の量を国が認証し、売り買いできるようにした制度です。関わり方は「作る側(創出者)」と「買う側(購入者)」の2つに分かれ、自社がどちらかを見極めることが、使い道・買い方・価格の理解につながります。

買う側は仲介事業者や市場を通じて調達し、作る側はプロジェクトの登録・モニタリング・認証を経てクレジットを発行します。価格は種類・時点・経路で変わるため、数字は必ず出所とセットで確認しましょう。

制度を理解できたら、次は自社に合った調達・創出の手段を具体的に比べる段階です。購入プラットフォームや創出支援サービスの資料を見比べれば、費用や対応範囲の違いがつかめ、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. J-クレジットとは何ですか?

A. J-クレジットとは、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理などで生まれたCO2の削減量・吸収量を、国(経済産業省・環境省・農林水産省)が認証し、売り買いできるようにした制度です。

取引の対象になるのは製品でもお金でもなく、1トンのCO2(t-CO2)を単位とする「削減・吸収した環境価値そのもの」です。2013年度に、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度を一本化して始まりました。

Q. J-クレジットの購入はすべての企業の義務ですか?

A. J-クレジットの購入は、すべての企業に一律で課された義務ではありません。基本は任意の取り組みで、自社で減らしきれないCO2のオフセットや、温対法・省エネ法の報告、CDP・SBT・RE100といったイニシアチブへの対応などに、必要に応じて活用します。

ただし排出量取引制度(GX-ETS)など企業の排出削減に関わる制度は現在も整備が進んでいる分野のため、報告や義務対応での利用を検討する場合は、経済産業省など所管当局の最新情報で、その時点の取り扱いを確認してください。

Q. J-クレジットは少額・小規模からでも購入できますか?

A. J-クレジットは大量購入に限らず、少量から購入できる経路があります。制度事務局のマッチング(プロバイダー仲介・売り出しクレジット一覧)や東証カーボン・クレジット市場に加えて、オンラインで少額購入に対応した民間のマーケットプレイスもあります。

なかには10kg-CO2相当といった小さな単位から購入できるサービスもあります。登録簿システムの口座を持たない購入者でも、プロバイダー経由であれば購入・活用が可能です。

Q. J-クレジットを購入すれば自社のCO2排出をゼロにできますか?

A. J-クレジットは、自社で減らしきれずに残ったCO2を埋め合わせる(カーボンオフセットする)ための手段であり、購入するだけで排出そのものが消えるわけではありません。

基本の考え方は、まず省エネや再エネの導入などで自社の排出を減らし、それでも残る分をクレジットの購入で相殺するというものです。オフセットに使ったクレジットは、温対法・省エネ法の報告や各種イニシアチブへの対応、企業価値の向上などにも活用できます。

Q. J-クレジットの最新の価格はどこで確認できますか?

A. J-クレジットの市場価格は、日本取引所グループ(JPX)が運営する東証カーボン・クレジット市場の日報・売買状況で確認できます。市場価格は種類(省エネ由来・再エネ由来・森林由来など)ごとに水準が異なり、日々更新されます。

一方、プロバイダーの仲介や売り出しクレジット一覧を通じた購入価格は当事者どうしの相対取引で決まるため、市場価格とは別物です。相場を引用する際は、その価格がいつ時点で、どの経路の、どの種類のものかを添えると、数字の意味が正しく伝わります。

Q. J-クレジットに有効期限はありますか?

A. J-クレジット制度側では、クレジットの活用に係る有効期限は今のところ特段の定めがありません。認証されたクレジットはJ-クレジット登録簿システムで管理され、無効化(使用)するまで保有できます。

ただし、活用先によっては期限が定められている場合があります。報告やオフセットの用途で使う際は、その活用先のルールをあわせて確認してください。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:よくあるご質問(Q1-7 有効期限について)|J-クレジット制度(japancredit.go.jp/faq)

Q. J-クレジットと非化石証書は何が違いますか?

A. J-クレジットが省エネ・再エネ・森林管理などによるCO2の削減・吸収量を幅広く対象とするのに対し、非化石証書は非化石電源で発電された電気の「非化石価値」に対象が限られます。

J-クレジットは国(経済産業省・環境省・農林水産省)が認証し、非化石証書は資源エネルギー庁が所管して非化石価値取引市場で取引されます。電力の実質的な再エネ化が目的なら電力系の証書、事業全体で出るCO2を幅広く埋め合わせたいならJ-クレジット、と目的に応じて選び分けるのが基本です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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