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決済代行の乗り換えを検討すべきサインと失敗しない進め方|並行運用・カード情報引き継ぎ・解約実務まで

決済代行の乗り換えを検討すべきサインと失敗しない進め方のサムネイル画像

「決済手数料が3.5%で頭打ち、月商が伸びても料率が下がらない」「入金が翌々月20日で資金繰りが厳しい」「後払いやQRコード決済に対応していなくて機会損失が出ている」——現行の決済代行に対する具体的な引っかかりから、乗り換えを検討し始める事業者は少なくありません。

ただし、乗り換えには決済を止めない順序・既存カード情報の扱い・定期購入への影響・解約予告や違約金といった、動く前に押さえておきたい実務があります。順序を間違えると数日単位で決済が受け付けられない期間が発生し、事業に直接影響します。

読み終える頃には、自社の手数料・入金日・対応決済手段・サポート応答・業者側リスクを業界水準と数字で照合して「乗り換えるべき状況か」を判断できる状態を目指します。動くと決めた場合には、「何を・いつ・どの順で」進めれば決済を止めずに切り替えられるか、道筋を引ける形にします。

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決済代行を乗り換えるべきサインを数字と状況で照合する

ここからは、乗り換えを検討する起点になる代表的な5つのサインを整理します。抽象的な「不満があるとき」ではなく、自社の手数料や入金日、対応決済手段、サポート応答時間、業者側の状況を具体の数字と状況で照合できる形にしました。当てはまる項目が増えるほど、乗り換えを本格的に検討する材料が揃っていると判断できます。

手数料水準のサイン

クレジットカードの決済手数料は業界横断的に3%前後が中心の水準で、取扱高や業種によってレンジが分かれます。目安として、EC汎用向けの中小規模契約は3%台半ば〜3%台後半、対面小売の中小契約は3%台前半〜半ば、月商規模が伸びた法人契約は交渉で2%台まで下がるケースがあります。

既存契約の実効料率がこのレンジの上限側で頭打ちになっている、あるいは月商・取引件数が伸びているのに料率が据え置きのままなら、見直しのタイミングです。

確認方法は、直近3か月の決済手数料合計を「決済金額の合計」で割って実効料率を算出することです。カードブランド別に別料率が適用される契約もあるため、ブランド別の内訳と、月額固定費・端末代・振込手数料などの周辺費用を合算した「総コスト」を出しておくと、他社見積との比較で漏れが出ません。手数料の相場や下げ方の詳細は、加盟店手数料の相場を扱った関連記事に譲ります。

入金サイクルのサイン

決済代行各社が公開している入金サイクルの一般値を並べると、「翌々月20日入金」を標準とする体系、「月2回入金(15日締め・末締め)」の体系、対応銀行が限定されるが「翌営業日入金」まで縮められる体系、さらに追加手数料を払うことで「最短即日」に短縮する仕組みが存在します。自社の現状がどの位置にいるかを、まず把握してください。

たとえば、GMOイプシロンは翌々月20日振込を基本に、月2回締め・翌月15日入金の早期入金オプション、最短3営業日入金の随時入金サービスを持ちます。SBペイメントサービスの月2回払いは「N月1日〜15日締め・N月末日支払/N月16日〜末日締め・N+1月15日支払」の運用です。

Squareでは、三井住友銀行・みずほ銀行なら翌営業日振込、その他銀行は毎週水曜締め・金曜振込という体系で、追加手数料を負担すれば即時入金も選べます。

出典・参考資料(3件)

資金繰りが厳しい局面、繁忙期の仕入れが先行する事業、月次で借入返済がある事業では、翌々月入金と翌営業日入金の差は資金効率に直結します。自社の現状の入金日と、乗り換え候補が提供する体系の差を、日数で数値化して見積依頼に添えるのが確実です。

主要な決済代行18社の締め日・入金日と、資金繰りへの影響を横並びで見たい場合は、以下の記事で入金サイクル単位で一覧にしています。自社の現状の位置を把握し、乗り換え候補との差を数値化する参照に使えます。

対応決済手段の穴のサイン

顧客が希望する決済手段が現行の契約に無いと、そのぶん機会損失が積み上がります。ECサイトで希望する決済方法がない場合、GMOペイメントゲートウェイの調査では約7割のユーザーが決済せずに離脱するとされ、決済手段の不足は売上の直接的な取りこぼしにつながるという指摘があります。

出典・参考資料(1件)

自社サイトのカゴ落ちログ、顧客からの問い合わせ内容、業種で標準的に使われている決済手段の3点を照合し、扱っていない決済手段(QRコード決済、後払い、キャリア決済、コンビニ決済、海外カードブランド、掛け払い等)が売上機会に影響していないかを棚卸ししてください。特定の1手段の不足が顧客離脱に直結しているなら、乗り換えを検討する強い材料になります。

海外顧客が一定数いる事業や越境ECを扱う場合は、国ごとに実際に使われている決済手段が異なり、乗り換え候補の選び方も国内取引と変わってきます。国別の傾向と対応する決済代行の候補は、以下の記事で整理しています。

サポート応答・運用のサイン

決済障害・チャージバック・システム連携トラブルが起きたときに、サポートに一次回答が来るまでの時間、技術サポートの対応範囲(電話・チャット・メール・専任担当の有無)、営業時間、日本語で解決まで運用できるかは、決済代行の実務品質に大きく影響します。契約時点の期待と実運用で差がある、あるいは事業規模が拡大してサポート応答が追いつかなくなっているなら、乗り換え検討の理由になります。

確認方法は、直近半年に発生したサポート依頼の件数・一次応答時間・解決時間を集計し、自社が業務上許容できる水準と比較することです。技術連携がある場合はAPI仕様書の日本語提供やサンプルコードの充実度も選定材料になります。

業者側リスクのサイン

決済代行の業績悪化・破産・使用回線の終了・端末サポート終了は、いずれも加盟店側で対応せざるを得ない業者側リスクです。2026年には決済代行の株式会社全東信が破産開始決定を受け、加盟店との決済代行サービスが即日中止となる事例がありました。破産管財人の告知は次のように事実関係を明記しています。

破産手続開始により、加盟店と当社との間のクレジットカード決済代行及びこれに付帯する一切のサービス(以下「本件サービス」といいます。)は中止いたします。したがって、当社のクレジット端末機は今後一切使用することができません。

破産手続開始までの間にご利用いただいた本件サービスに係るクレジット売上金のうち、破産手続開始までに当社からの立替支払を受け取られていない売上金(以下「未収売上金」といいます。)は、法律上、破産手続における破産債権として取り扱われ、従前当社がお約束していた期限に弁済することはできません。

出典:破産管財人からのお知らせ|株式会社全東信(2026-07-06 破産手続開始決定)

加盟店の規模は「全国で20万以上」と報じられ、負債総額は2025年3月末時点で1259億円という規模でした。業績悪化に関する報道が出ているのに動かず、端末の使用停止と未入金の売上の債権化に直面してから対応する形になると、事業への影響は大きくなります。

出典・参考資料(2件)

回線・端末の終了も同じ性質のリスクです。NTTドコモは第3世代移動通信方式のFOMAサービスを2026年3月31日に終了しており、モバイル通信で3G回線を使う旧型の決済端末は、以後の利用に影響が出ます。旧回線・旧端末を前提にした契約のままなら、乗り換え検討の理由になります。

出典・参考資料(1件)

乗り換えで失うもの・怖いこと(動く前に知っておく)

ここからは、乗り換えを実行する前に把握しておきたい「失うもの・怖いこと」を、なぜそうなるかの構造とともに整理します。動いた後で気付くと事業に直接影響する要素なので、動機の確認と同じくらい早い段階で見ておきたい内容です。

カード情報が引き継げない前提と例外

結論から言えば、決済代行を他社に乗り換える際、既存顧客のクレジットカード情報を新しい決済代行に移すのは原則として困難です。これは業者側の意地悪ではなく、日本のクレジットカード・セキュリティガイドラインが定める「非保持化」の建付けから来ています。ガイドラインはEC加盟店における非保持化を次のように定義しています。

本ガイドラインで示す加盟店における「非保持化」とは、「自社で保有する機器・ネットワークにおいて『カード情報』を『保存』『処理』『通過』のいずれも行わないこと」を言い、カード情報に含まれる「機密認証データ」の保持も認められない。

EC 加盟店は、PCI DSS 準拠済みの PSP が提供する非通過型(「リダイレクト(リンク)型」又は「JavaScript 型(トークン型)」)等の決済システムを導入して非保持化を実現することができる。

出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】|クレジット取引セキュリティ対策協議会(2026年3月改訂)

加盟店側にはそもそもカード番号が保存されておらず、決済代行(PSP)がPCI DSSに準拠した環境で管理する仕組みになっています。そのため他社への移管は、新旧のPSP間の業務提携やカード会社との調整が別途必要になり、一般的な乗り換えでは実施できません。実務としては、「乗り換え時に既存顧客のカード情報を引き継げるか」は各社の仕様に依存するので、旧・新の両社に個別確認するのが安全です。

PCI DSS v4.0 のSAQ A(加盟店向け自己評価質問票)は、決済処理をすべてPCI DSS準拠のTPSP(Third-Party Service Provider)に外部委託した加盟店の要件を次のように整理しており、加盟店側にカード情報が無い構造が国際基準の前提としても明記されています。

出典・参考資料(1件)

非保持化の建付けと、EC事業者が実際にどの方式(リンク型・JavaScript型/トークン型)で対応するかは、以下の記事で仕組みと対応方法までまとめて解説しています。乗り換え検討時に、なぜカード情報が引き継げないのかを構造として理解する参照にできます。

定期購入・継続課金の中断リスク

サブスクリプション・定期購入を運営している場合、乗り換えは特に慎重に設計する必要があります。既存顧客のカード情報が新しい決済代行に引き継がれないと、切り替えのタイミングで既存の定期課金が止まり、再登録に応じない顧客の分は解約と同じ結果になります。KOMOJUは実務注意として次のように整理しています。

定期購入(サブスクリプション)を導入しているEC事業者において、既存顧客のカード情報引き継ぎ問題に対処するため、旧システムを一定期間並行稼働させるケースは珍しくありません。

万が一、データの引き継ぎができずに顧客がカード番号を再入力することになれば、購入途中で離脱してしまうリスクが高まります。

出典:決済代行会社の乗り換え方法とは?|KOMOJU

継続課金では、有効期限切れカードの更新(洗い替え)・再登録用URLの自動送信・決済失敗時のリトライといった仕組みが乗り換え時の離脱を左右します。既存顧客数が多いほど、再登録のオペレーションと通知タイミングを事前に設計しておかないと、再登録率がそのまま既存売上の毀損に直結します。

有効期限切れによる決済失敗を防ぐカード情報の洗い替えは、乗り換え候補の中でも対応状況が分かれる機能の一つです。洗い替えの仕組みと、対応している決済代行の見分け方は、以下の記事で詳しく扱っています。

決済不可期間・繁忙期の落とし穴

乗り換えで最も避けたいのは、旧サービス解約から新サービス稼働までの間に決済を受け付けられない期間が発生することです。Squareは自社の乗り換え解説記事で、この危険性を次のように指摘しています。

先に解約手続きを進めてしまうと、加盟店審査や端末配送を待つ間にクレジットカードなどの決済を受け付けられなくなってしまいます。

出典:決済代行の乗り換えとは?失敗しない切り替えのコツを解説|Square

加盟店審査は乗り換えでも新規と同じく必要で、Squareは審査全体で3週間から1か月ほどを見込むよう案内しています。繁忙期に切り替えを重ねると、想定外の審査差し戻しや端末発送遅延が売上機会を直撃するので、乗り換え時期は繁忙期を避け、余裕をもって計画するのが実務の要点です。

解約違約金と二重支払い期間

旧サービスの解約には、契約書に定められた解約予告期間・違約金・二重支払い期間の3点がついて回ります。KOMOJUは実務観点として次のように整理しています。

解約の申し出から実際にシステムが停止するまでに、1〜2ヵ月程度の予告期間が設定されているケース

システム利用料が二重に発生する期間を短くするためにも、まずは正しい解約スケジュールを割り出す作業から始めましょう。

旧決済代行会社が提供するトランザクションレンディングなどの事業向け融資を受けている場合、決済代行会社によっては解約と同時に一括返済を求められるケース

出典:決済代行会社の乗り換え方法とは?|KOMOJU

実装例として、GMOイプシロンは公式サイトで「申し込みが受理された月の翌月末日で解約となります」と明記しており、解約予告のスケジュールは会社ごとに具体的な運用が異なります。トランザクションレンディング型の融資を受けている場合は、解約と同時に一括返済を求められるケースもあるため、契約書に加えて融資条件も見落とさないよう確認してください。

出典・参考資料(1件)

BtoBとBtoCで異なる乗り換え論点

ここからは、以降の手順・比較軸・代表候補・顧客通知の各節を、自社の取引形態(BtoC/BtoB)に合わせて読み替えるためのレンズを整理します。決済代行の乗り換えは、消費者向け(BtoC)で扱うクレジットカード決済主体の設計と、企業間取引(BtoB)で扱う掛け払い主体の設計で、論点の重心が異なります。

BtoC側の乗り換え論点

BtoC側の乗り換えでは、既存顧客のカード情報の扱い・定期購入の中断・カートシステム連携が中心論点になります。カード情報は原則として新業者に移管できないため、既存顧客への案内、再登録の導線、対応カードブランドの差異を先に設計する必要があります。

カート(自社EC・SaaS型ECカート)との連携仕様は各社で異なるので、API仕様書とサンプルコードの提供状況、既存カートの実装との適合を、見積依頼と併せて確認します。

実店舗側では、端末の互換性と発送日数、端末に対応する決済手段(QRコード決済・電子マネー)が実務の焦点になります。定期購入の運用がある場合は、洗い替え・有効期限通知・リトライの仕組みがある決済代行を選ぶかどうかで、乗り換え後の再登録率と失敗リカバリの負担が変わります。

BtoB側の乗り換え論点

BtoB側では、掛け払い・請求代行・与信の再取得・入金保証といった、BtoC側にはない論点が中心になります。新しい業者に切り替えると、取引先ごとに与信を取り直す必要があり、旧業者と与信基準・限度額が異なると既存の掛け払い取引が通らないケースが発生します。

請求書発行と代金回収を旧業者に委託していた場合、切り替え時期をまたぐ請求サイクルの扱いと、既存の未収債権の引き継ぎを事前に整理しなければなりません。

掛け払い専業のBtoB決済代行は、与信・請求書発行・入金管理・督促を一体で提供し、未回収時に代金保証する仕組みを備えている業者が主流です。切り替えの際は、経理システム・会計ソフト・売上管理システムとの連携仕様、および入金消込のオペレーション再構築を計画に組み込んでください。

乗り換え手順のステップ表(新業者稼働→並行運用→旧解約)

ここからは、決済を止めずに乗り換えるための手順を、順序と目安期間つきのステップ表で整理します。最も重要なのは「旧サービスを先に解約しないこと」で、新業者の稼働を確認し並行運用期間を挟んでから旧サービスを解約するのが基本です。

全部乗り換え/一部併用の切替パターン

切替の方法は大きく「全解約(すべて新業者に移す)」と「一部解約(特定の決済手段だけ先行して切り替え、残りは旧業者に残す)」の2パターンに分かれます。KOMOJUは両者を次のように定義しています。

全解約:決済代行会社との契約を完全に終了し、すべての決済手段を一括で新システムに移行する手続き

一部解約:クレジットカード決済のみなど特定の決済手段を先行して新しい代行会社に切り替え、残りの決済手段は旧システムに残す移行方法

出典:決済代行会社の乗り換え方法とは?|KOMOJU

手数料改善が目的なら全解約、対応決済手段の追加が目的なら一部併用が選ばれることが多い一方、定期購入の既存顧客が多い場合は、既存契約を旧業者に残しつつ新規契約から新業者に流す一部併用がリスクを下げる選択肢になります。自社の目的と、切り替えられる決済手段の範囲を照らして選んでください。

ステップ表(やること・確認ポイント・目安期間)

Squareの解説記事が示す6ステップを踏襲しつつ、各ステップに「やること」「確認ポイント」「目安期間」を対応させました。「新業者の稼働開始まで」は加盟店審査を含めて3週間〜1か月が目安で、「旧サービスの解約完了まで」は解約予告期間(1〜2か月)を含めて全体で1〜2か月ほどを見込みます。解約予告期間と新業者の稼働準備は時間軸で重ねられるので、並行運用のウィンドウは同じ期間内で確保できます。

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ステップ1. 現状課題と必要条件の整理2. 候補の決済代行を比較3. 新業者に申込4. 加盟店審査5. 端末・システム設定とテスト決済6. 並行運用してから旧サービスを解約
やること手数料実効料率・入金サイクル・対応決済・サポート応答時間・既存カード情報引き継ぎ可否など要件を一覧化2〜3社に、実請求件数・取扱高・業種を添えた見積依頼契約書・必要書類(法人登記・代表者確認資料等)を提出新業者側の加盟店審査を受ける。カードブランドごとに個別審査があるケースもある端末の設定・EC側の決済モジュール入替・テスト決済で挙動確認新業者で数日〜数週間の並行運用を行い実会計の問題を確認したうえで旧サービスに解約申請
確認ポイント現契約書の契約期間・自動更新条項・解約予告期間・違約金を並行確認総コストで比較(手数料+月額固定+端末代+振込手数料)。API仕様書・サンプルコード・カートシステム対応を確認契約後の解約予告期間・違約金・トランザクションレンディング等の条件を旧契約と比較書類不備で差し戻された場合の再提出。乗り換えでも新規と同じ審査が必要本番切替前に社内で試験取引を通し、承認・キャンセル・返金の一連フローを確認旧サービスの解約予告期間(1〜2か月)と並行運用の重なりウィンドウを利用。未入金の売上残の入金スケジュールも確認
目安期間1〜2週間2〜4週間1〜2週間3週間〜1か月1〜2週間解約予告1〜2か月+並行運用数日〜数週間

※Square「決済代行の乗り換えとは?」・KOMOJU「決済代行会社の乗り換え方法とは?」・GMOイプシロン「決済代行会社は乗り換えたほうがいい?」の各公式記述をもとに構成。

順序を崩したら起こること

ステップ表の順序を守ることが、乗り換えを成功させる要点です。特に「先に解約」と「並行運用を省略」の2つは、順序を崩したときに事業に直接影響する結果が起きます。

先に旧サービスを解約すると、新業者の加盟店審査(3週間〜1か月)や端末発送が終わるまで、決済を受け付けられない期間が生まれます。並行運用を省略すると、実際の会計で問題が発生したときに戻る先が無くなり、決済失敗・入金遅延・顧客対応がすべて新業者だけに集中します。

並行運用は数日〜数週間で十分ですが、旧サービスの解約予告期間(1〜2か月)とウィンドウを重ねられるので、時間軸としてはむしろ余裕があります。

乗り換え先を選ぶ7つの比較軸

ここからは、新業者を選ぶときに押さえる7つの比較軸を整理します。うち「既存カード情報引き継ぎ可否」と「並行運用のしやすさ」は乗り換え時にとくに効く軸で、他5軸は乗り換え文脈での読み方を添えました。

対応決済手段・カードブランドの範囲

クレジットカードの国際ブランド、電子マネー・QRコード決済、コンビニ払い、後払い、キャリア決済、掛け払いのうち、自社の顧客層が実際に使う手段を過不足なく揃えているかを確認します。乗り換え時にカードブランドの対応範囲が変わると、顧客側で使用できないブランドが発生し、案内文の追加や離脱のリスクにつながります。

初期・月額・決済手数料と入金サイクル

「決済手数料が最も安い」だけで選ぶと、月額固定費・端末代・振込手数料の合計で結局高くつくケースがあります。決済手数料と月額固定を合算した総コストで比較し、そこに入金サイクル(翌々月/月2回/翌営業日)の差を加えて、資金効率まで含めて評価します。

セキュリティ(PCI DSS・カード情報非保持化・トークン化)

クレジットカード・セキュリティガイドラインは、EC加盟店に対して「カード情報を保持しない非保持化、又はカード情報を保持する場合はPCI DSSに準拠する。さらに、EC加盟店のシステム及びWebサイトの『脆弱性対策』を講じる」ことを求めています。加えて不正利用対策として、EMV 3-Dセキュアの導入を指針対策に位置付けています。

乗り換え候補が、非保持化を実現する仕組み(リダイレクト型・JavaScript型/トークン型)と3-Dセキュアの導入を提供しているかは、比較軸として必ず確認します。

非保持化について、SBペイメントサービスは「事業者さまが保有する機器・ネットワークにおいて、カード情報を保存・処理・通過しないこと」と平易に定義し、「リンク型」(決済画面自体を決済代行が提供)と「トークン型」(カード情報をトークンに変換して決済処理)の2実装を紹介しています。

制度側の裏付けは、割賦販売法第35条の16「クレジットカード番号等の適切な管理」に基づく監督の実務指針として、クレジットカード・セキュリティガイドラインが位置付けられている点にあります。

出典・参考資料(3件)

PCI DSSの12要件・SAQタイプ・非保持化スコープの詳細は、以下の記事で1本にまとめて解説しています。乗り換え候補の準拠状況を問い合わせる際、どこまで自社で満たし、どこから決済代行側に委ねられるかを判断する参照として使えます。

サポート・審査スピード・端末互換

加盟店審査の目安期間、日本語サポートの対応範囲(電話・チャット・メール・専任担当)、営業時間、既存端末との互換性を確認します。実店舗を持つ場合は、端末の発送日数と設定サポート、既設端末の再利用可否を、乗り換え計画の目安期間に組み込みます。

既存カード情報の引き継ぎ可否

既存顧客のカード情報を新業者に引き継げるか、引き継げない場合の代替(再登録用URLの提供・案内メール送信の仕組み・洗い替え)はあるかを、旧・新の両社に個別確認します。定期購入・継続課金を運営している場合は、この軸が既存売上の維持に直結します。

並行運用のしやすさ

新業者の稼働開始から旧サービスの解約までの数日〜数週間の並行運用期間に、両サービスを併存させて運用できる仕組みかを確認します。実店舗であれば端末の切替方式、EC・SaaSであればカート側で決済モジュールを共存させられるかが判断材料です。

カートシステム・基幹システム連携

ECカート・自社EC・会計ソフト・売上管理システム・基幹システムとの連携仕様を、実運用の担当者(開発・情シス・経理)と一緒に確認します。GMOペイメントゲートウェイは、乗り換え時の確認ポイントの一つとして次を挙げています。

API連携の仕様書が日本語で提供されているか、サンプルコードは存在するか、開発サポートがあるかといった点を確認しておくと、スムーズな導入につながります

出典:決済代行会社の乗り換えで注意したいことは?|GMOペイメントゲートウェイ

乗り換え先の代表候補(BtoC汎用/BtoB掛け払い/サブスク継続課金の3タイプ)

ここからは、乗り換え検討で候補に挙がりやすい3タイプについて、代表的なサービスを紹介します。各タイプで2社ずつを選び、乗り換え文脈で押さえるべき位置づけを示しました。

BtoC汎用型は他にもPGマルチペイメントサービス(GMOペイメントゲートウェイ)、GMOイプシロン、SBペイメントサービス、KOMOJUなど国内EC向けの選択肢があります。本節に取り上げていない候補を含む全体比較は、以下の関連記事にまとめています。

以下は、本節で紹介する3タイプ×2社=6社の乗り換え文脈での位置づけを一覧化した比較表です。

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サービス名SquareStripeNP掛け払いPaid(ペイド)サブスクペイPaysys(ペイシス)
対応事業タイプBtoC汎用型(対面+EC)BtoC汎用型(EC・SaaS・越境EC)BtoB掛け払い型(企業間後払い・請求代行)BtoB掛け払い型(企業間後払い・請求代行)サブスク・継続課金特化型サブスク・継続課金特化型(BtoB/BtoC対応・請求URL型)
初期・月額費用初期0円/月額0円初期0円/月額0円(従量課金)初期0円/月額=手数料+固定費
(料率は個別提案・公式非開示)
初期0円/月額0円〜(個別見積)初期 要問い合わせ/月額 要問い合わせBtoB限定プラン初期0円/月額 要見積
決済手数料対面2.5%〜(SMBプログラム適用時)/標準3.25%〜
電子マネー・QR 3.25%
オンライン3.6%〜
国内カード3.6%(ブランド一律)
コンビニ3.6%+¥120
銀行振込1.5%/PayPay3.98%〜
公式非開示
(取扱商材・販売方法に応じ個別提案)
保証料 請求金額の0.5〜3.5%
+事務手数料125円/件
カード2.5%〜+トランザクション7円/件
口座振替85円/件
BtoB限定プラン〜1.99%
BtoCは個別見積
対応決済手段カード7ブランド
電子マネー(iD・QUICPay・交通系IC)
QR(PayPay・d払い・楽天ペイ・au PAY・メルペイ等)
Apple Pay・Google Pay
カード(Visa・Master・JCB・Amex等)
コンビニ/銀行振込
PayPay/Apple Pay・Google Pay
買い手はコンビニ払い/銀行振込/口座振替
(会員はクレジットカード払いも可)
買い手は銀行振込/口座振替/コンビニ払い
/請求書クレジットカード払い
カード/口座振替(紙・Web)
コンビニ/銀行振込(バーチャル口座)
掛け払い/タブレット 等
カード5ブランド/PayPay
コンビニ/ペイジー/バーチャル口座
WEB口座振替(法人口座非対応)
入金サイクル三井住友・みずほは翌営業日
他行は毎週水曜締め・金曜振込
(振込手数料無料)
既定は手動(日次不可)
週次(曜日選択可・4営業日前締め)/月次選択可
売り手入金=月末締め翌々月10日払い
(40日サイト、10日サイト選択可)
月末締め翌々月5日払い
(翌月末払いは保証料+0.2%)
要問い合わせ月1回または月2回
継続課金・洗い替えSquareサブスクリプション対応(3.6%)Billingで対応(取引額に対し+0.7%)×BtoB掛け払い専業(対象外)×BtoB掛け払い専業(対象外)決済失敗時7日ごと2回リトライ、有効期限切れ月の2日にカード更新URL自動送付クレカ・WEB口座振替で対応(WEB口座振替は法人口座非対応)
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト公式資料を見るサービス詳細を見る公式資料を見る公式資料を見る

BtoC汎用型

BtoC汎用型は、消費者向けのクレジットカード決済を中心に、実店舗・EC・モバイルまで幅広い接点で使えるタイプです。SMB・EC・実店舗ハイブリッドの乗り換え候補として第一想起されやすい代表として、SquareとStripeを取り上げます。

1. Square(Square株式会社/Block, Inc.)

Squareのウェブサイト

Squareは対面決済とECの両方に対応するBtoC汎用型で、実店舗の乗り換え検討で候補に上がるサービスです。三井住友銀行・みずほ銀行を利用する加盟店は「0:00から23:59の間に発生した売上は翌営業日に振り込まれる」体系を提供し、その他の銀行では「毎週水曜締め・同じ週の金曜振込」で運用します。追加手数料(入金金額の1.5%)を負担すれば即時入金にも対応します。

公式に乗り換え専用の解説記事を公開しており、加盟店審査は乗り換え時も必要であること、審査期間は3週間〜1か月ほどを見込むことも明記しています。乗り換え検討の初期段階から候補に入りやすい選択肢です。

2. Stripe(ストライプジャパン株式会社)

Stripeのウェブサイト

Stripeは、API・開発者向けのモジュールが充実した決済プラットフォームで、SaaS・サブスクリプション・グローバル決済の乗り換え候補に挙がりやすいサービスです。決済処理のCore Payments、継続課金のBilling、不正検知のRadar、実店舗決済のTerminalなど、必要な機能をモジュールで組み合わせて使う設計になっています。

多通貨・多カードブランドへの対応が広く、越境ECや海外顧客が一定数いる事業の乗り換え候補として、Squareとは違う層に強みがあります。API開発型ECを運営していて、決済の実装を自社側で細かく制御したい場合に、乗り換え先候補として検討する価値があります。

BtoB掛け払い型

BtoB掛け払い型は、企業間取引(BtoB)で発生する請求書払い・掛け売りを、決済代行が与信・請求書発行・入金管理・督促・未回収保証まで一体で担うタイプです。BtoB取引を扱う事業者の乗り換え候補として、NP掛け払いとPaidを取り上げます。

3. NP掛け払い(株式会社ネットプロテクションズ)

NP掛け払いのウェブサイト

NP掛け払いは、未回収保証型の企業間後払い決済サービスで、公式サイトでは「与信債権保証・請求書発行・代金回収・入金管理・督促」を一体で提供し、未入金は100%保証すると案内しています。累計取扱高1兆円・年間ユニーク購入企業74万社の実績が公開されており、既存の請求業務オペレーションと接続する運用設計になっています。

掛け払い専業ゆえの与信基準や、業種による適否があるため、既存の取引先・与信通過率・限度額を先に共有して見積依頼を出すのが、乗り換え検討の実務に沿った進め方です。

Paidのウェブサイト

Paidは、BtoB取引に特化した企業間決済・請求代行サービスで、公式サイトでは「取引前の与信から、取引中の請求書発行、取引後の回収・督促まで、8つの業務をワンストップで」と位置付け、「未入金時も100%代金保証」を明記しています。2009年に提供を開始した日本初のBtoB専門決済サービスで、与信〜請求〜回収〜100%代金保証の一体提供を長年運用しています。

NP掛け払いと同様に、掛け払い専業型の共通構造(与信→請求書発行→代金回収→保証)を持つ一方、業種・取引規模による与信の通り方や、経理システムとの連携仕様が異なるため、両社に見積依頼を出して総合的に比較するのが実務の要点です。

サブスク・継続課金特化型

サブスク・継続課金特化型は、定期購入・月額会員・会費徴収・SaaSライセンスといった継続的な決済に必要な、カード有効期限の更新(洗い替え)・失敗時のリトライ・請求書自動発行の仕組みを、決済代行が標準機能として備えるタイプです。サブスクリプションを運営していて、決済失敗率と再登録の運用を改善したい事業者の乗り換え候補として、サブスクペイとPaysysを取り上げます。

5. サブスクペイ(株式会社ROBOT PAYMENT)

サブスクペイのウェブサイト

サブスクペイを提供する株式会社ROBOT PAYMENTは、継続課金システムの機能について公式サイトで次のように示しています。

引落失敗時とカードの有効期限が切れる月の2日に、カード更新用のURLをメールで自動送信します。

決済ができなかった場合、1週間ごとに2回リトライを行います(周期が毎週・隔週の場合は1日ごとに2回リトライを行います)

毎週・隔週・毎月・隔月・3ヵ月毎・半年毎・毎年から選択

出典:継続課金システム|株式会社ROBOT PAYMENT

洗い替え・有効期限通知・リトライを標準機能として持ち、決済周期も細かく設定できる設計は、既存の定期購入運用の再登録オペレーションと接続できます。会員管理・請求管理まで一体で運用できるため、乗り換え時にオペレーションを一本化したい事業者の候補になります。

6. Paysys(株式会社ペイメントフォー)

Paysysのウェブサイト

Paysysは、開発不要で導入できる請求URL型の決済サービスで、メール送信によるリンク型決済からフォーム連携・API連携まで、実装工数を抑えて始められる設計が特徴です。継続課金にも対応するため、乗り換え時に既存のカート・基幹システムに手を入れずに導入したい事業者の候補として検討できます。

実装形態が軽量なぶん、既存のオペレーションを大きく変えずに導入したい局面や、開発リソースを別業務に振り向けたい場合の候補になります。

顧客通知と契約実務のチェックポイント

ここからは、乗り換えに伴う顧客への通知と、契約実務のチェックポイントを整理します。既存顧客への影響と、旧・新契約書の見落としを埋める内容で、実際に動く前の準備段階で押さえておくと、乗り換え全体のスケジュールが崩れにくくなります。

顧客への通知(カード再登録案内文の要素と送るタイミング)

既存顧客への通知は、実務上不可避のオペレーションです。GMOイプシロンは「カード情報を引き継げない場合、クレジットカード情報の再入力は顧客の負担となる可能性があるため、事前に告知し、十分なフォローを徹底させましょう」と案内し、KOMOJUは「技術的な理由で移行が難しい場合は、顧客への事前告知を手厚く行うといったフォロー体制を整えておきましょう」と案内しています。

案内文には次の要素を含めるのが基本です。乗り換えの背景(決済代行の変更)、再登録が必要になる理由の平易な説明、再登録用のリンクと期限、対応が可能な問い合わせ窓口、定期購入者への影響と再登録手順、対応カードブランドが変わる場合はその影響。送るタイミングは、新業者稼働の1〜2週間前を目安に第一報を送り、切替直前と切替後に段階的なリマインドを送ります。

出典・参考資料(2件)

定期購入者へのフォロー(洗い替え/再登録/問い合わせ導線)

定期購入者へのフォローは、通常の顧客通知よりも一歩踏み込んだ設計が必要です。新業者側で洗い替え・自動的な有効期限通知・失敗時リトライの仕組みが備わっているかを確認し、備わっている場合はその機能を活かした案内文(自動的にカード更新用URLが届く旨、届いた際の操作手順)を用意します。

再登録の負担を減らすには、案内メール・マイページ・LINEなど複数チャネルで告知し、問い合わせ窓口を明示することが有効です。並行運用期間中は、旧サービスで課金される既存顧客と、新サービスに移行済みの顧客が混在するため、社内の顧客サポートにも状況を共有して、問い合わせに一貫した回答ができる体制を整えます。

現契約書のチェックポイント

旧サービスの契約書は、乗り換えを決めた段階で必ず開いて次の4点を確認してください。契約期間と自動更新条項、解約予告期間(申請から実解約までの月数)、違約金の有無と算定式、トランザクションレンディングなど付帯融資を受けている場合の一括返済条項です。

解約予告期間は業者ごとに大きく異なり、GMOイプシロンのように「申し込みが受理された月の翌月末日で解約」と定めている業者もあれば、1〜2か月の予告を求める業者もあります。トランザクションレンディングを受けている場合は解約と同時に一括返済を求められるケースがあるため、契約書に加えて融資条件書もあわせて確認します。

解約申請〜実解約までの月数と二重支払い期間

解約申請から実解約までの期間は、新業者の稼働開始と重ねられるので、並行運用期間を挟むほど二重支払い期間は短くできます。KOMOJUは「システム利用料が二重に発生する期間を短くするためにも、まずは正しい解約スケジュールを割り出す作業から始めましょう」と案内しており、解約スケジュールを先に決めてから新業者の稼働日を逆算するのが実務の順序です。

未入金の売上残がある場合、旧サービス側の入金サイクルに従って解約後も入金が続きます。GMOイプシロンは「未入金の売上がある場合は、解約日以降も入金サイクルに基づいて入金されます」と案内しており、解約直後に売上の未回収が発生することはありません。それでも、資金繰り上の計上タイミングは把握しておく必要があります。

よくある失敗パターン(失敗×起こる問題×回避策)

ここからは、乗り換えの実務で起こりやすい失敗を「よくある失敗」「起こる問題」「回避策」の3列で整理します。順序と手順を守っていても、細部の設計で見落とすと事業に影響が出るポイントを、事前に潰しておくための一覧です。

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失敗並行運用せず先に解約既存カード情報の引き継ぎ確認漏れ繁忙期に切り替え顧客通知の遅れ端末・システム設定の検証不足解約予告期間・違約金の見落とし対応カードブランドが変わることの案内漏れ
起こる問題加盟店審査・端末配送・設定完了までの数週間、決済を受け付けられない期間が発生定期購入の既存顧客が切替タイミングで課金停止、再登録に応じない顧客の分が売上毀損審査差し戻し・端末発送遅延・トラブル対応が売上機会を直撃切替直前の駆け込み再登録・問い合わせ集中でサポート応答遅延、離脱率上昇本番切替後にテスト漏れの決済フローで承認・返金が正常に処理されず、経理と顧客対応が二重負担想定より二重支払い期間が長引く、または解約時点で違約金や融資一括返済の請求が発生切替後に一部の顧客が決済不能になり、決済失敗・カゴ落ちが発生
回避策新業者の稼働と実会計の確認を終えてから旧サービスに解約申請。並行運用は数日〜数週間で十分旧・新の両社に個別確認し、再登録の導線と案内文を先に設計。洗い替え・リトライがある新業者を選定繁忙期の1〜2か月前までに新業者稼働を完了。乗り換えの計画は繁忙期を避けて逆算新業者稼働の1〜2週間前に第一報、切替直前・切替後にリマインドを送信。複数チャネルで告知本番切替前に承認・キャンセル・返金・エラーハンドリングの一連フローを試験取引で確認契約書の解約予告期間・違約金・トランザクションレンディング条件を旧契約段階で確認し、解約スケジュールを先に確定新業者の対応ブランドと現行契約の対応ブランドを差分確認し、変わる部分は事前告知に含める

※Square・KOMOJU・GMOイプシロン・GMOペイメントゲートウェイの各公式解説と、決済代行会社の公式ブログでの事例をもとに構成。

まとめ

本記事では、決済代行を乗り換えるべきサインを5観点(手数料水準・入金サイクル・対応決済手段の穴・サポート応答・業者側リスク)で照合する形に落とし、動く前に押さえる「失うもの・怖いこと」、決済を止めない順序と目安期間のステップ表、乗り換え文脈で抜けやすい7つの比較軸、3タイプ×2社の代表候補、顧客通知と契約実務のチェックポイント、よくある失敗パターンを整理しました。

最も重要なのは、新業者の稼働と実会計での検証を経てから旧サービスに解約申請するという順序と、繁忙期を避けて逆算する計画です。並行運用は数日〜数週間で足り、旧サービスの解約予告期間(1〜2か月)と時間軸を重ねられるので、二重支払い期間を短くしつつ決済を止めない乗り換えが実現できます。

自社の現状の実効料率・入金日・対応決済手段を数字で棚卸ししたうえで、候補となる決済代行2〜3社に、実請求件数と業種を添えた見積依頼を出す——ここまで進めれば、乗り換えの是非と、動く場合の道筋がはっきり見えてきます。

よくある質問(FAQ)

Q. 決済代行の乗り換えとは何ですか?

A. 決済代行の乗り換えとは、現在契約している決済代行会社を別の会社に切り替え、決済処理の委託先を変更することです。手数料水準・入金サイクル・対応決済手段・サポート体制・業者側リスクといった点で現状に不都合が出た際に検討されます。

実務では新業者の稼働確認と並行運用期間を経て旧業者を解約する順序が基本で、決済を止めずに切り替えるための順序と目安期間の設計が要点になります。

Q. 決済代行の乗り換えにはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 決済代行の乗り換えは、申込から加盟店審査・端末設定・並行運用・旧サービス解約までを含めておおむね1〜2か月が目安です。Squareは加盟店審査だけで3週間〜1か月ほどを見込むよう案内しており、そこに現行契約の解約予告期間(1〜2か月)が重なります。

並行運用は数日〜数週間で十分ですが、旧サービスの解約予告期間とウィンドウを重ねられるため、時間軸としては余裕を持って計画できます。繁忙期の1〜2か月前までに新業者の稼働を完了させる逆算が実務の要点です。

Q. 決済代行を乗り換えるとき、旧サービスはいつ解約すればよいですか?

A. 旧サービスの解約は、新業者で数日〜数週間の並行運用を行い、実会計での問題が起きないことを確認してから申請するのが安全です。先に解約すると新業者の加盟店審査(3週間〜1か月)や端末発送を待つ間、決済を受け付けられない期間が発生します。

旧サービスの解約予告期間(一般に1〜2か月。GMOイプシロンは「申し込みが受理された月の翌月末日で解約」と明記)と並行運用期間はウィンドウを重ねられるので、二重支払い期間を短くする観点でも解約スケジュールを先に確定してから逆算するのが実務の順序です。

Q. 決済代行を乗り換えるとき、既存顧客への告知は必要ですか?

A. 既存顧客のクレジットカード情報が新業者に引き継げない前提のため、再登録が必要になる場合は事前告知と再登録導線の設計が必須です。特に定期購入・継続課金では、再登録に応じない顧客の分がそのまま解約と同じ結果になります。

新業者稼働の1〜2週間前に第一報、切替直前と切替後にリマインドを送る段階的な通知が有効で、対応カードブランドが変わる場合はその影響も案内文に含めます。案内メール・マイページ・LINEなど複数チャネルで告知し、問い合わせ窓口を明示することで、再登録の負担を減らせます。

Q. 決済代行を乗り換える際、旧サービス側で未入金の売上はどうなりますか?

A. 未入金の売上は、旧サービス側の入金サイクルに従って解約日以降も入金されるのが一般的です。GMOイプシロンも公式サイトで「未入金の売上がある場合は、解約日以降も入金サイクルに基づいて入金されます」と案内しており、解約直後に売上の未回収が発生することはありません。ただし、資金繰り上の計上タイミングは把握しておく必要があります。

旧業者が業績悪化・破産に至った場合は未入金分が破産債権として扱われ、従前の期限で弁済されないケースがある(2026年の全東信破産の告知参照)ため、業者側リスクのサインが出ている段階で動くことが重要です。

Q. 決済代行の乗り換えで、既存の決済端末はそのまま使えますか?

A. 端末の互換性は決済代行会社ごとに異なり、多くの場合は新業者が指定する端末に置き換える必要があります。一部のサービスは既設端末の再利用に対応しますが、旧回線・旧世代端末を前提にした契約では、モバイル通信の3G回線終了(NTTドコモのFOMAは2026年3月31日終了)や端末サポートの終了に合わせて更改が必要です。

乗り換え時は端末の発送日数・設定サポート・既設端末の再利用可否を、乗り換え計画の目安期間に組み込んでください。

Q. 決済代行は複数の会社を併用できますか?

A. 決済代行は複数社を併用できます。「クレジットカード決済のみを新業者に切り替え、コンビニ払い・キャリア決済など残りは旧業者に残す」といった一部併用は、対応決済手段の追加や、定期購入の既存顧客の中断リスクを避けたい局面で選ばれます。

手数料改善を目的にすべての決済手段を一括で移行する全解約と、目的に応じて使い分けます。ただし併用は経理・売上管理・入金消込のオペレーションが複線化するため、社内側の受け入れ体制を先に整理してから判断してください。

Q. 決済代行の解約違約金や解約予告期間は交渉できますか?

A. 解約予告期間・違約金は契約書で個別に定められており、交渉の余地があるかは業者と契約内容によります。標準的には解約申請から実解約まで1〜2か月の予告期間が求められ、契約更新前の解約は違約金の対象になるケースがあります。トランザクションレンディング型の融資を受けている場合、解約と同時に一括返済を求められる契約もあるため、契約書と融資条件書を必ず併読してください。

交渉は取引実績や乗り換え理由(対応決済手段の不足・サポート応答の問題など)を代替提案とあわせて業者側に伝えることで、条件緩和の判断材料になります。

Q. 決済代行の乗り換えでも加盟店審査は改めて必要ですか?

A. 乗り換えでも新規契約と同じく加盟店審査が必要で、Squareの案内では3週間〜1か月ほどを見込むよう示されています。カードブランドごとに個別審査になるケースもあり、書類不備で差し戻されると期間はさらに延びます。乗り換えの申込段階で必要書類(法人登記・代表者確認資料など)を揃え、書類不備を防ぐことが、スケジュール通り切り替えるための要点です。

Q. 既存顧客のクレジットカード情報を新しい決済代行に引き継げますか?

A. 既存顧客のクレジットカード情報を他社の決済代行に引き継ぐことは、原則として困難です。日本のクレジットカード・セキュリティガイドラインは加盟店に「非保持化」(自社の機器・ネットワークでカード情報を保存・処理・通過のいずれも行わないこと)を求めており、加盟店側にカード番号は保存されず、決済代行(PSP)がPCI DSS準拠環境で管理する構造になっています。

他社への引き継ぎには新旧PSP間の業務提携やカード会社との調整が別途必要で、一般的な乗り換えでは実施できません。定期購入・継続課金がある場合は、旧・新の両社に個別確認したうえで、再登録の導線と案内文を先に設計するのが実務の順序です。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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