後継者が見つからない、あるいは会社を良い形で譲りたいと考えたとき、M&A仲介会社という選択肢が思い浮かぶ経営者は少なくありません。とはいえ、大手から独立系、業種特化の会社まで数多く存在し、「自社の規模や業種にはどこが合うのか」「そもそも仲介とFA(アドバイザリー)は何が違うのか」で迷いがちです。
依頼先を誤ると、手数料の負担が想定より重くなったり、売り手・買い手のどちらに立つ会社なのかが曖昧なまま話が進んだりと、会社の将来を左右する取引で不利益を被りかねません。数あるM&A仲介会社から、自社に合う依頼先をどう見極めればよいのでしょうか。
本記事では、主要なM&A仲介会社を対応規模・業種・料金体系・実績の観点で比較・解説します。仲介とFAの違いや手数料相場(レーマン方式)の考え方に加え、両手仲介と片手FAの使い分けや、悪質な会社を避けるための信頼性の見分け方まで整理しました。会社の売却・事業承継を任せる依頼先を選ぶための判断材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて相性の良い依頼先を最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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M&A仲介会社とは(役割と依頼できる業務)
M&A仲介会社は、会社や事業の譲渡を検討する売り手と、譲り受けを検討する買い手の間に立ち、相手探しから条件交渉、契約締結までの一連の手続きを支援する専門会社です。後継者不在による事業承継や、成長を目的とした会社売却など、当事者だけでは進めにくい取引を、専門知識と買い手・売り手のネットワークで橋渡しします。
依頼できる業務は幅広く、譲渡価格の目線を定めるための企業評価(バリュエーション)、匿名での相手探し、秘密保持契約や基本合意書などの書面作成の支援、デューデリジェンス(買収監査)への対応、最終契約の締結までを一貫して任せられます。売り手にとっては、日常業務を続けながら、専門性の高い交渉プロセスを並行して進められる点が利用の中心的な価値です。
M&Aを支援する会社には、後述する「仲介者」と「FA(フィナンシャル・アドバイザー)」という立場の違いがあります。呼び名として「M&A仲介会社」が広く使われますが、実際には仲介とFAの両方を含めて検討することが、自社に合う依頼先を選ぶ第一歩となります。
本記事では、この仲介・FAに加え、売り手と買い手が直接つながるマッチングプラットフォームまでを、会社の売却・事業承継を任せられる相手という意味で「依頼先」とまとめて呼び、幅広く取り上げます。
M&A仲介会社に依頼するメリット
ここでは、専門会社に依頼することで得られる価値を、自力で相手を探す場合と比べながら整理します。
最大のメリットは、自社だけではたどり着けない相手候補に出会える点です。M&A仲介会社は買い手・売り手の情報を数多く抱えており、条件に合う相手を匿名性を保ったまま探せます。取引の検討が社内外に漏れると、従業員の動揺や取引先の不安につながるため、情報管理をしながら相手を探せる体制は大きな安心材料となります。
加えて、譲渡価格の妥当性の検討や、複雑な契約書のチェック、買い手による監査への対応など、専門知識を要する場面で助言を受けられます。経営者は本業を続けながら交渉を進められ、価格や条件の交渉を第三者に委ねることで感情的な対立を避けやすくなる点も、当事者間だけで進める場合との違いです。
M&A仲介とFA(アドバイザリー)の違いと使い分け
ここからは、依頼先を選ぶうえで最初に理解しておきたい「仲介」と「FA」の違いを解説します。同じM&A支援でも、どちらの立場に立つかで受けられる助言の性質が変わります。
仲介者は、売り手と買い手の双方と契約を結び、両者の間を取り持って成約を目指す立場です。両当事者の事情を把握しながら着地点を探れるため、中小企業のM&Aで成約に至りやすいとされ、後継者不在の事業承継などで広く利用されています。
一方のFA(フィナンシャル・アドバイザー)は、売り手か買い手のどちらか一方とだけ契約し、依頼者の利益を最大化する立場で助言します。売り手だけに付くFAは「セルサイドFA(売主専任)」と呼ばれ、譲渡価格や条件を依頼者に有利に進めることに重きを置きます。
両者の性質の違いは、手数料の受け取り方にも表れます。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」でも、契約前に交付する重要事項の説明として、次の項目を筆頭に挙げています。
仲介者・FAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A|中小企業庁(https://www.meti.go.jp/files/900016282.pdf)
仲介者は双方から手数料を受け取る形が一般的で、売り手にとっては買い手候補が見つかりやすい反面、価格交渉で自社の利益だけを一方的に押し出しにくい構造があります。売却価格を少しでも高めたい、条件面で妥協したくないという意向が強い場合は、依頼者の側にだけ立つセルサイドFAが選択肢になります。
この手数料の受け取り方から、双方から報酬を得る仲介は「両手」、依頼者の一方だけに付くセルサイドFAは「片手」とも呼ばれます。片手のFAは一方からのみ報酬を得るため、会社によっては料率や総額の考え方が両手の仲介と異なることがあり、費用の詳細は比較表や各社への問い合わせで確認するとよいでしょう。
どちらが優れているという話ではなく、「成約のしやすさを重視するのか」「自社の利益の最大化を重視するのか」という優先順位で使い分けるのが基本です。

また、事業承継や会社売却に限らず、資金調達・財務戦略や事業再生まで含めて相談先を幅広く検討したい場合は、M&AアドバイザリーやセルサイドFAも扱う金融コンサル会社全体を専門領域別に比較した以下の記事も参考になります。
金融コンサル会社徹底比較|専門領域別おすすめ19選と選び方【費用相場も解説】
資金繰りや財務戦略、事業承継やM&Aといった経営の重要局面では、社内の知見だけで最適解にたどり着くのが難しい場面が少なくありません。「専門家に相談したいが、どの金融コンサルに頼めばよいのか分からない」と迷う方も多いでしょう。 金融コ…
失敗しないM&A仲介会社の選び方
ここからは、複数のM&A仲介会社を比べるときに確認したい観点を整理します。自社の状況に照らして、次の点を順に確かめると依頼先を絞り込みやすくなります。
- 対応する会社の規模が合っているか:M&A仲介会社にはそれぞれ得意とする取引規模があります。譲渡額が数千万円規模の小規模案件を多く扱う会社もあれば、数十億円以上の大型案件を中心とする会社もあります。自社の規模に合わない会社に依頼すると、着手はしても案件の優先度が下がり、相手探しが進みにくくなることがあります。
- 自社の業種・地域に強みがあるか:買い手候補をどれだけ持っているかは業種や地域によって差が出ます。製造業・建設業・医療介護・ITなど特定業種に特化した会社は、その領域の買い手ネットワークや相場観に強みがあります。地方の中小企業では、地域金融機関と連携した会社が地元の買い手を見つけやすい場合もあります。
- 成約実績が十分にあるか:成約件数や過去の取引事例は、相手探しの力と交渉の経験値を測る目安になります。件数の多さだけでなく、自社と近い規模・業種の成約事例があるかを確認すると、実態に即した判断ができます。
- 料金体系が明確か:着手金・中間金・成功報酬・最低手数料の有無と金額を、契約前に書面で確認することが重要です。着手金無料をうたう会社もあれば、成約に至らなくても費用が発生する会社もあり、総額は大きく変わります。最低手数料の水準は、小規模案件ほど負担感に直結します。
- 仲介かFAか、立場が自社の意向に合うか:前述のとおり、双方の間に立つ仲介か、自社だけに付くFAかで助言の性質が変わります。売却価格を重視するのか、確実な成約を重視するのかという自社の優先順位に、会社の立場が合っているかを確かめておきたい点です。
- 担当者の専門性と相性:M&Aは半年から一年以上かかることも多く、担当者と長く付き合うことになります。財務・税務・法務の知識を備えているか、疑問に丁寧に答えるか、自社の事情をよく理解しようとするかは、面談の段階で見極めておきたい点です。
これらの観点は、後半の比較表で各社の具体的な条件を並べて確認できます。まずは「規模・業種・実績・料金・立場」の5点で候補を絞り、そのうえで担当者との面談で相性を確かめる流れが、失敗を避けやすい進め方です。
タイプ別に見るM&A仲介会社
M&Aを支援する会社は、規模や上場の有無に加え、成り立ちや役割によって性格が分かれます。ここでは主要なタイプを5つに整理し、それぞれがどんな売り手に向くかを示します。自社の規模や重視する点に照らして、相性の良い系統を見つける手がかりにしてください。

上場大手・総合仲介
全国規模で買い手・売り手のネットワークを持ち、あらゆる業種・規模に対応する総合型の仲介会社です。成約実績が豊富で、上場企業も多く、社内に多数のコンサルタントを抱えます。相手候補の母数を重視したい売り手や、初めてのM&Aで実績と体制の安心感を求める場合に向きます。手数料は相応の水準になりやすく、小規模案件では最低手数料の負担が相対的に大きくなる点は確認が必要です。
独立系・中堅仲介
金融機関や事業会社の系列に属さず、独立した立場で仲介を手がける会社です。大手に次ぐ実績を積みながら、着手金無料など料金面で利用しやすさを打ち出す会社が多く見られます。大手ほどの規模は求めないものの、一定の実績と、案件ごとの柔軟な対応の両方を求める中小企業の売り手に向きます。
金融機関系・士業系
銀行・信託銀行・証券会社などの金融機関や、税理士・会計士といった士業のネットワークを基盤とする会社です。日頃から取引のある金融機関経由で相談したい売り手や、財務・税務の専門性を重視する場合に向きます。地域金融機関と連携する会社は、地元の買い手を見つけやすい強みがあります。
特化・専任型(業種特化/セルサイドFA)
特定の業種に絞って買い手ネットワークと相場観を深めた会社や、売り手だけに付いて利益の最大化を目指すセルサイドFAがこのタイプです。自社と同じ業種の買い手に確実に届けたい売り手や、譲渡価格・条件を自社に有利に進めることを最優先する場合に向きます。総合型では埋もれがちなニッチな事業でも、専門特化の会社なら適切な買い手に出会える可能性が高まります。
プラットフォーム型
Web上のマッチングサイトに案件を登録し、売り手と買い手が直接つながる仕組みです。売り手は無料で利用できるサービスが多く、担当者が間に入る仲介と比べて費用を抑えやすいのが特徴です。譲渡額が小さい小規模事業や、まずは自分で買い手候補の反応を見たい売り手に向きます。一方で、交渉や契約手続きを当事者が主体的に進める必要があるため、専門家の伴走をどこまで求めるかで向き不向きが分かれます。
自社に合うM&A仲介会社のタイプ診断
ここまで見てきた5つのタイプのうち、自社にどれが近いかを手早く確かめられるよう、規模・業種・立場・費用などの数問に答えると相性の良いタイプを判定できる「30秒で終わる選定診断ツール」を以下に用意しました。ぜひご活用ください。
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【比較表】M&Aの依頼先を対応規模・業種・料金・実績で比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・検討できるよう、主要なM&A仲介会社を対応規模・得意業種・料金体系・成約実績の観点で横並びに整理します。料金は着手金・中間金・成功報酬・最低手数料の有無を各社の公表情報にもとづいて示しています。
| サービス名 | 日本M&Aセンター | M&Aキャピタルパートナーズ | ストライク | M&A総合研究所 | fundbook | M&Aロイヤルアドバイザリー | M&Aベストパートナーズ | 経営承継支援 | 山田コンサルティンググループ | M&A Lead | Web3業界特化M&Aアドバイザリー | BATONZ | TRANBI |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 上場大手・総合仲介 | 上場大手・総合仲介 | 上場大手・総合仲介 | 上場大手・総合仲介 | 独立系・中堅仲介 | 独立系・中堅仲介 | 独立系・中堅仲介 | 金融機関系・士業系 | 金融機関系・士業系 | 特化・専任型 | 特化・専任型 | プラットフォーム型 | プラットフォーム型 |
| 対応形態 | 仲介(両手) | 仲介 | 仲介 | 仲介 | 仲介 | 仲介 | 仲介 | 仲介 | 仲介・FA | FA(セルサイド専任) | FA(アドバイザリー) | マッチング | マッチング |
| 得意な規模・業種 | 中堅・中小/業種不問 地銀9割・信金8割と提携で地方にも強い | 売上1億円未満〜50億円以上 中小〜中堅(カーブアウト・クロスボーダーも) | 中堅・中小 後継者不在の事業承継が主軸 | 売上約1億〜100億円の中堅・中小 | 中堅・中小のオーナー企業 業種不問 | 中堅・中小 建設・IT・医療・設備工事・運送など業種別対応 | 中堅・中小 製造・建設・不動産・医療ヘルスケア・物流・ITの6業種特化 | 中堅・中小 年商1億円未満の小規模企業も積極対応 | 中堅・中小 事業承継・M&A・事業再生・会計税務を横断 | 業種不問 事業承継〜上場子会社の譲渡(カーブアウト)まで | Web3・ブロックチェーン業界特化 (GameFi・NFT・DeFi等) | 小規模事業 幅広い業種 | 小規模事業 幅広い業種 |
| 料金体系 | 着手金100万〜500万円 成功報酬レーマン方式 (譲渡側の最低手数料2,000万円) | 着手金・月額報酬無料 株価レーマン方式 (中間報酬 約10%+成功報酬 約90%) | 着手金無料 基本合意報酬100万〜300万円 成功報酬レーマン方式(最低2,000万円、オーナー受取額基準) | 完全成功報酬制(着手金・中間金・月額無料) レーマン方式(料率区分は非公開) | 完全成功報酬制(相談料・着手金・月額無料) レーマン方式(譲渡対象資産5億円以下は定額2,500万円) | 完全成功報酬型(着手金・中間金・月額・株価算定無料) 株価レーマン方式(5億円以下5%) | 完全成功報酬型(着手金・月額0円、基本合意時に中間報酬) 株式価値レーマン方式(5億円以下5%) | 完全成功報酬制(着手金・月額無料) 最低報酬額1,000万円(譲渡側) | 料金表・料率は非公開 案件ごとの個別見積り(プロジェクト型・顧問型・成功報酬型) | 完全成功報酬制 着手金・中間金0円 レーマン方式(譲渡対価の1〜5%) | 要問い合わせ (着手金・成功報酬とも非公開) | 売り手無料 買い手のみ成約価格の2%(税込2.2%、最低35万円〜) | 売り手完全無料 買い手は月額サブスク制(3,980円〜19,800円、税抜) |
| 成約・登録実績 | 累計成約11,000件超 成約件数ギネス世界記録™5年連続 | 累計成約1,000組以上 M&A支援機関登録制度に登録 | 創業以来3,700件以上の成約 公認会計士・税理士が多数在籍 | 平均成約期間7.2ヶ月・最短43日 年間問い合わせ15,000件超(2024年度) | 独自システム「fundbook cloud」で進行を可視化 M&A支援機関登録制度に登録 | 従業員258名(2026年8月時点) M&A仲介協会 正会員 | ネットワーク企業数15,000社超 全国8支店 | 三井住友トラストグループの一員 事業承継・引継ぎ支援センター30か所以上・地域金融機関と連携 | 年間2,000件超の事業承継・資本政策・相続相談を支援 | 複数の成約事例を公式に公表 (累計成約数は非公表) | ブロックチェーン開発実績100件以上を基盤 (M&A成約数は非公開) | 掲載案件10,000件以上 買い手登録30万人以上(2026年8月時点) | 会員数の公表値は要問い合わせ 有償の交渉サポート・専門家紹介あり |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は2026年8月時点で各社が公表している情報にもとづく整理です。料金体系・実績・対応範囲は変動する場合があるため、実際の依頼にあたっては各社の最新の公表情報や資料・問い合わせで必ずご確認ください。
比較の際は、自社の譲渡規模との相性にも目を向けてください。譲渡額が数千万円〜1億円程度の小規模な譲渡では、最低手数料が高い大手に依頼すると手数料の負担が相対的に重くなりやすく、小規模案件に対応する会社やプラットフォーム型のほうが現実的な選択肢になりやすい傾向があります。
M&Aの依頼先(各社)の個別紹介
ここからは、比較表で取り上げた各社について、対応する規模や得意業種、料金体系、成約実績、強みを個別に紹介します。前述のタイプごとに順に見ていきます。
上場大手・総合仲介のM&A仲介会社
全国規模の買い手ネットワークと豊富な成約実績を持ち、業種・規模を問わず対応する総合型の会社です。
1. 日本M&Aセンター(株式会社日本M&Aセンターホールディングス)

日本M&Aセンターは、1991年創業のM&A仲介業界最大手で、東証プライム市場に上場しています(証券コード2127)。後継者不在に悩む中堅・中小企業の事業承継を主戦場とし、売り手・買い手の双方を支援する仲介モデルで成約を目指します。
強みは全国の金融機関ネットワークで、地方銀行の約9割・信用金庫の約8割と提携し、地方やニッチな業種の案件でも買い手情報が集まりやすい体制を築いています。累計成約件数は11,000件を超え、2020年から5年連続でM&A成約件数のギネス世界記録™に認定されています(いずれも公式サイト記載)。
料金は着手金・成功報酬とも公式サイトで公開されています。着手金は簿価総資産額に応じて100万〜500万円(税抜)、成功報酬はレーマン方式で、譲渡側の最低手数料は2,000万円です。売り手・買い手の双方から手数料を受け取る点は、着手金無料の完全成功報酬型を掲げる会社との違いとして確認しておきたいところです。
2. M&Aキャピタルパートナーズ(M&Aキャピタルパートナーズ株式会社)

M&Aキャピタルパートナーズは、着手金・月額報酬を無料とし、基本合意に至るまで費用が発生しない料金設計を特徴とするM&A仲介会社です。2005年設立で、東証プライム市場に上場しています(証券コード6080)。
マッチングから交渉、デューデリジェンスの進行、クロージングまでを1人の専任アドバイザーが一貫して担当する体制を掲げ、中小企業オーナーの事業承継・会社売却を主戦場としています。案件規模は売上1億円未満から50億円以上まで幅広く、上場企業のカーブアウト(子会社・事業の切り出し売却)やクロスボーダー(国境をまたぐ)案件にも対応します。
料金は株式譲渡対価を基準とする株価レーマン方式で、売り手・買い手で同一の体系です。手数料総額のうち約10%を譲渡先候補の決定時に中間報酬として受領し、残り約90%を成約時の成功報酬として受け取ります。累計成約は公式サイトで1,000組以上と記載され、中小企業庁のM&A支援機関登録制度にも登録しています。
3. ストライク(株式会社ストライクグループ)

ストライクは、公認会計士の荒井邦彦氏が1997年に創業したM&A仲介会社で、東証プライム市場に上場しています(証券コード6196)。社内に公認会計士・税理士などの有資格者が多数在籍することを強みに掲げています。
1998年には国内初のインターネットM&A市場「SMART」を開設し、現在も自社で運営しています。専任担当制に加え、担当者個人だけでなく社内全体で買い手候補を探す「オールストライクでのマッチング」を導入し、後継者不在の中堅・中小企業の事業承継M&Aを主軸に、創業以来3,700件以上の成約を公式サイトで公表しています。
料金は着手金無料で、基本合意締結までは費用がかかりません。基本合意報酬は資産総額に応じて100万〜300万円(税抜)、成功報酬はレーマン方式で最低手数料は2,000万円です。譲渡側オーナーが実際に受け取る金額を基準とする「オーナー受取額レーマン方式」を採用している点を公式に説明しています。
4. M&A総合研究所(株式会社M&A総合研究所)

M&A総合研究所は、売上規模およそ1億円〜100億円の中堅・中小企業を対象とする独立系のM&A仲介会社です。2018年に設立し、2022年6月に東証グロース市場へ上場しました(現在は事業会社として、東証プライム上場の親会社クオンツ総研ホールディングスの傘下でM&A仲介事業を担います)。
独自のAIマッチングシステムと企業データベースを活用したスピード成約を訴求しており、公式サイトでは平均成約期間7.2ヶ月・最短43日、年間問い合わせ件数15,000件以上(2024年度)といった数値を公表しています。
譲渡企業(売り手)向けは、着手金・中間金・月額報酬をすべて無料とする完全成功報酬制です。成功報酬はレーマン方式(譲渡代金ベース)ですが、具体的な料率区分や最低手数料は公式サイトでは公開されておらず、無料相談を通じた個別提示となります。中小企業庁のM&A支援機関登録制度にも登録しています。
独立系・中堅仲介のM&A仲介会社
系列に縛られない独立した立場で、一定の実績と柔軟な料金・対応を両立する会社です。
5. fundbook(株式会社fundbook)

fundbookは、東証プライム上場の株式会社チェンジホールディングスをグループ親会社に持つ、2017年設立のM&A仲介会社です。中堅・中小企業のオーナーを主な対象に、譲渡側・譲受側の双方を担う仲介モデルで事業承継や会社売却を支援します。
特徴は、独自のM&A特化型システム「fundbook cloud」を仲介プロセスに組み込んでいる点です。企業概要書(IM)の閲覧、契約手続きの申請、書類のやり取りをクラウド上でオンライン化し、マッチングから交渉までの進行を可視化します。
譲渡側の料金は、相談料・企業価値算定費用・着手金・月額報酬が発生しない完全成功報酬制です(合意により中間報酬が発生する契約形態を選ぶ場合があります)。成功報酬はレーマン方式で、譲渡対象資産額の5億円以下の部分は定額2,500万円、5億円超〜10億円以下が4%と、以降段階的に逓減します。中小企業庁のM&A支援機関登録制度にも登録しています。
6. M&Aロイヤルアドバイザリー(M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社)

M&Aロイヤルアドバイザリーは、中堅・中小企業のオーナーを対象に、事業承継や企業売却・買収を支援するM&A仲介会社です。建設・IT・医療・設備工事・運送など、業種別の専門対応を掲げ、2026年8月1日時点で従業員258名の体制を公表しています。
譲渡企業向けの料金は、着手金・中間金・月額報酬・株価算定をいずれも無料とする完全成功報酬型です。成功報酬は負債を含まない譲渡対価を基準とする「株価レーマン方式」で、5億円以下の部分が5%、以降段階的に逓減します。移動総資産ベースで算出する方式と比べて手数料の基準額を抑えやすい設計です。
相談から成約まで同一の担当者が対応する専任アドバイザー制を敷き、公認会計士・税理士などの有資格者が在籍します。2024年12月にはM&A仲介協会へ正会員として加入しました。また、買い手企業には、条件合意の段階で成功報酬の10%が中間報酬として発生します。
7. M&Aベストパートナーズ(株式会社M&Aベストパートナーズ)

M&Aベストパートナーズは、製造業・建設業・不動産・医療・ヘルスケア業・物流業・IT業界の6業種に特化したアドバイザー体制を敷く、独立系のM&A仲介会社です。2018年設立で、各業界の商慣習や評価ポイントに精通した専任担当が案件を担当します。
本社(東京)に加えて札幌・仙台・金沢・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄の全国8支店を構え、地方の中堅・中小企業にも対応します。公式サイトでは、ネットワーク企業数15,000社超、譲渡契約の締結・資金決済まで5〜8ヶ月以内といった数値を公表しています。
料金は着手金・月額報酬が0円の完全成功報酬型で、基本合意の締結時に中間報酬が発生します。成功報酬は株式価値を基準とするレーマン方式で、5億円以下の部分が5%、以降段階的に逓減します。公式サイトでは、譲渡金額8億円で成功報酬3,700万円という計算例を示しています。
金融機関系・士業系のM&A仲介会社
金融機関や士業のネットワークを基盤に、財務・税務の専門性と地域の買い手網に強みを持つ会社です。
8. 経営承継支援(株式会社経営承継支援)

三井住友信託銀行が発行済株式の23.8%を保有する持分法適用会社で、三井住友トラストグループの一員として中堅・中小企業のM&Aを手がける仲介会社です。2015年の設立以来、事業承継コンサルティングとM&A仲介・アドバイザリーの両輪でサービスを提供しています。
報酬は着手金・月額報酬が無料の完全成功報酬制で、M&A仲介業務の最低報酬額は譲渡企業側で1,000万円です。公式サイトでは、これを大手M&A仲介会社と比べて概ね半額の水準と説明しています。
年商1億円未満の小規模企業も積極的に支援対象とし、事業承継・引継ぎ支援センター30か所以上や地域金融機関との連携で案件情報を集めています。レーマン方式の料率区分や中間金の有無は公表されていないため、個別の問い合わせで確認が必要です。
9. 山田コンサルティンググループ(山田コンサルティンググループ株式会社)

山田コンサルティンググループは、東証プライムに上場する(証券コード4792)独立系の総合コンサルティングファームです。1989年設立で、事業承継・M&A・事業再生・会計税務・海外事業支援といった経営課題を横断的に支援する体制を特徴としています。
公認会計士・税理士・司法書士・中小企業診断士などの有資格者を擁し、M&Aだけでなく事業再生や税務まで一気通貫で対応できます。公式サイトでは、年間2,000件超の事業承継・資本政策コンサルティングおよび相続相談の支援実績を掲げています。
M&A・事業承継の報酬体系は公式サイトで料金表・料率が公開されておらず、案件ごとの個別見積りとなります。契約形態もプロジェクト型・顧問型・成功報酬型などから案件に応じて選ぶ形のため、費用感は問い合わせ時の確認が必要です。
特化・専任型(業種特化/セルサイドFA)のM&A仲介会社
自社と同じ業種の買い手に確実に届けたい、あるいは売り手だけに付いて価格・条件を有利に進めたいという売り手に向くタイプです。
10. M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Leadは、売り手だけに付いて譲渡を支援するセルサイド専任のアドバイザリーです。売り手・買い手の双方から手数料を受け取る両手仲介とは異なり、手数料を売り手からのみ受領する片手取引を採用し、自社を「M&A仲介会社ではない」と位置づけています。
費用は完全成功報酬制で、着手金・中間金・月額報酬はいずれも0円です。譲渡が成立するまで費用が発生しない仕組みです。成功報酬はレーマン方式で、譲渡対価の1〜5%を料率とします。買い手から手数料を受け取らないため、譲渡価格や雇用・契約条件など売り手に有利な条件の追求に専念できる立場を明確にしています。
買い手探しでは、自社アドバイザーに加えて他社の仲介会社・独立系アドバイザーとも連携する「100を超えるM&Aネットワーク」を活用し、相談は全国対応・オンラインにも応じます。公表されている成約事例には、中小企業の事業承継から会社・事業の売却まで、さまざまな業種・規模のケースが含まれます。
11. Web3業界特化M&Aアドバイザリー(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイス株式会社が2023年に立ち上げた、Web3・ブロックチェーン業界に特化したM&Aアドバイザリーです。ブロックチェーンの受託開発・技術コンサルティングを主力とする同社が、その技術理解をM&Aの評価プロセスに持ち込んでいる点が土台になっています。
支援は、買収・売却・提携先の探索(ロングリスト作成)からLOI(基本合意書)、デューデリジェンスのマネジメント、契約交渉、統合後のPMI(買収後の統合作業)まで一気通貫で対応します。とくにGameFiやNFT、DeFiといった領域では、スマートコントラクト監査の観点を含む技術デューデリジェンスや、トークンの取扱いに関する法務的整理まで支援範囲に含めています。
こうした技術評価は、ブロックチェーン開発で積み上げた100件以上の実績(M&Aの成約件数ではなく開発・プロジェクトの実績)をベースにしたもので、法律事務所や一般的な仲介会社では対応が難しいWeb3特有の論点をカバーします。料金体系は公開されておらず、着手金・成功報酬とも要問い合わせです。初期の相談は無料で受け付けています。
プラットフォーム型のM&Aサービス
Web上で売り手と買い手が直接つながる仕組みで、費用を抑えて小規模な譲渡を進めたい売り手に向くサービスです。
12. BATONZ(株式会社バトンズ)

BATONZは、株式会社バトンズが運営するオンラインのM&A・事業承継マッチングプラットフォームです。専任の担当者が売り手と買い手の間に立つ仲介型とは異なり、登録された案件を買い手候補に広く公開し、当事者どうしがマッチングして交渉を進める仕組みを取ります。同社は2018年に日本M&Aセンターから分社化し、2026年4月に東京証券取引所グロース市場へ上場しています。
料金は売り手側が着手金・月額・中間金・成約手数料のすべて無料で、買い手のみ成約時に成約価格の2%(税込2.2%、最低35万円〜)を負担します。相手探しから交渉まで当事者主体で進める設計のため、専任コンサルタントによる伴走支援が必要な場合は、有料のサポートサービスを別途契約する形になります。
公式サイト(2026年8月時点)では掲載案件10,000件以上、買い手登録者数30万人以上を掲げています。士業や金融機関などの支援専門家に一部または全工程を委託できる仕組みもあり、プラットフォーム利用と専門家の支援を組み合わせられます。
13. TRANBI(株式会社トランビ)

TRANBIは、株式会社トランビが運営するM&Aプラットフォームで、売り手と買い手がインターネット上で直接つながる仕組みが特徴です。TRANBI自身は仲介者として当事者の間に入らず、匿名交渉から実名交渉(NDA締結)、基本合意、デューデリジェンスまでを基本的に当事者どうしで進めます。
売り手は案件掲載から成約まで完全無料で、買い手は案件規模に応じた月額のサブスクリプション制です。プランはベーシック月額3,980円(税込4,378円)からエンタープライズ月額19,800円(税込21,780円)まであり、成約金額の大小にかかわらず月額費用が固定される点が、成功報酬型の仲介との違いになります。
当事者間の交渉に不安がある場合は、有償の交渉サポート(30万円/案件、税別)や交渉代行プラン(月額5万円、税別)を追加でき、分野別の専門家を探せる紹介ページも利用できます。問い合わせは電話を設けずフォーム経由のみとなります。
M&A仲介の手数料相場と体系(着手金・中間金・成功報酬)
ここからは、M&A仲介にかかる費用の内訳と、成功報酬の算定に使われるレーマン方式の考え方を解説します。各社の具体的な金額は前掲の比較表で確認できるため、ここでは費用がどのタイミングで、どのような基準で発生するのかという体系を整理します。
M&A仲介の費用は、複数の項目で構成されます。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」でも、依頼者へ説明すべき手数料に関する事項として次の要素を挙げています。
報酬率/報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)/最低手数料の額/報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)概要資料|中小企業庁(https://www.meti.go.jp/files/900016273.pdf)
それぞれの費用の性格は次のとおりです。
- 相談料:正式な依頼前の相談にかかる費用です。無料としている会社が多くを占めます。
- 着手金:正式に依頼する段階で支払う費用です。着手金無料の会社もあれば、数十万円から数百万円を求める会社もあります。成約に至らなくても返金されないのが一般的です。
- 中間金:基本合意の締結など、取引が一定段階まで進んだときに支払う費用です。成功報酬の一部を前払いする位置づけの会社もあります。
- 成功報酬:M&Aが成約したときに支払う費用で、費用全体の中心を占めます。後述のレーマン方式で算定されるのが一般的です。
- 最低手数料:成功報酬の下限として設定される金額です。譲渡額が小さい案件では、レーマン方式で計算した額よりこの最低手数料が適用されることが多く、小規模案件ほど負担感に直結します。

続いて、レーマン方式による成功報酬の計算方法を見ていきます。成功報酬は、譲渡額などの基準額に応じて料率を段階的に下げていく「レーマン方式」で算定されるのが一般的です。
基準額が大きくなるほど超過部分の料率が下がる仕組みで、区分ごとに次の料率を掛けて合算します。
- 5億円以下の部分:5%
- 5億円超〜10億円以下の部分:4%
- 10億円超〜50億円以下の部分:3%
- 50億円超〜100億円以下の部分:2%
- 100億円超の部分:1%
この料率区分は多くのM&A仲介会社で採用されていますが、区分の刻みや基準額の取り方(譲渡額・株式価値・移動総資産など)は会社によって異なるため、実際の金額は各社の料金表と計算基準を確認する必要があります。
また、仲介の場合は売り手・買い手の双方から手数料を受け取るのが一般的で、ガイドラインでも相手方(譲り受け側)の手数料に関する事項を依頼者へ説明することが求められています。総額を把握するうえでは、自社が支払う費用だけでなく、取引全体でどのように手数料が発生するかを確認しておくと安心です。
M&A仲介の利益相反・注意点と信頼できる会社の見分け方
M&Aは専門性が高く、当事者と支援会社の間で情報や知識の差が生まれやすい取引です。ここでは、悪質な会社や不利な取引を避けるために知っておきたい注意点と、信頼できる会社を見分けるための具体的な手がかりを解説します。
まず理解しておきたいのが、仲介という形態がもつ構造的な利益相反です。仲介者は売り手・買い手の双方から依頼を受けるため、どちらか一方に肩入れすると、もう一方の不利益につながりかねません。この点について、中小企業庁のガイドラインは仲介者の義務を次のように明記しています。
仲介者は、両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行ってはならない。特に、仲介者自身又は第三者の利益を図る目的で当該利益相反行為を決して行ってはならない。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)概要資料|中小企業庁(https://www.meti.go.jp/files/900016273.pdf)
2024年8月に改訂された第3版では、こうした利益相反にあたる行為がより具体的に示されました。禁止される行為として挙げられているのは、買い手から追加で手数料を得て便宜を図る行為や、一方の当事者から伝えるよう求められた事項を他方に伝えない、あるいは偽って伝える行為などです。加えて、一方にだけ有利または不利な情報を認識しながら、当事者に伝えず秘匿する行為も禁じられています。
依頼を検討する会社が、こうした点について契約前に明確な説明をするかどうかは、信頼性を測る一つの基準になります。
あわせて確認したいのが、料金や契約条件の説明の丁寧さです。着手金や中間金の有無、成功報酬の計算方法、途中で解約した場合の扱いなどを、書面で明確に説明する会社を選ぶとよいでしょう。相場から大きく外れた高額な手数料や、契約を急がせる姿勢が見られる場合は、いったん立ち止まって複数の会社を比較することが大切です。
M&A支援機関登録制度・中小M&Aガイドライン
信頼できる会社かどうかを客観的に確かめるうえで、公的な制度が手がかりになります。国は、中小企業が安心してM&Aに取り組めるよう、支援会社を対象とした登録制度を設けています。
令和3年8月に中小企業庁が創設した制度です。登録ができるのは中小企業等を対象としてM&AのFA(フィナンシャル・アドバイザー)業務又は仲介業務を行う者であり、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言することを登録の要件としています。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A|中小企業庁(https://www.meti.go.jp/files/900016282.pdf)
登録制度に登録していなくても仲介やFAの業務は行えますが、登録会社はガイドラインの遵守を宣言しており、手数料体系などの情報を国に報告することが求められます。また、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)では、支援会社に支払う手数料が補助対象となるために、その会社が登録制度に登録していることが要件とされています。
依頼を検討している会社が登録支援機関かどうかは、中小企業庁のM&A支援機関登録制度のデータベースで確認できます。契約前には、あわせて公表されている「仲介契約・FA契約締結時のチェックリスト」や重要事項説明書のサンプルに目を通しておくと、確認すべき点を漏らさずに済みます。
出典・参考資料(3件)
- 参考資料:M&A支援機関に係る登録制度の申請受付について|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2025/250530m_and_a.html)
- 参考資料:M&A支援機関登録制度 登録支援機関データベース(https://ma-shienkikan.go.jp/search)
- 参考資料:中小M&Aガイドライン|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/m_and_a_guideline.html)
まとめ
M&A仲介会社を選ぶときは、対応する会社の規模、得意な業種・地域、成約実績、料金体系、そして仲介かFAかという立場の5点を軸に、自社の状況と照らし合わせて絞り込むのが基本です。成約のしやすさを重視するなら双方の間に立つ仲介、価格や条件を自社に有利に進めたいなら売り手だけに付くセルサイドFAというように、自社の優先順位に合った立場を選ぶことが、納得のいく取引につながります。
そのうえで、料金や利益相反への向き合い方を契約前に丁寧に説明するか、M&A支援機関登録制度に登録しているかといった点を確かめれば、悪質な会社や不利な取引を避けやすくなります。まずは気になる会社の資料を取り寄せ、対応規模や料金体系、成約実績を比べることから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. M&A仲介会社とは何ですか?
A. M&A仲介会社とは、会社や事業の売り手と買い手の間に立ち、相手探しから条件交渉、契約締結までの一連の手続きを支援する専門会社です。後継者不在による事業承継や、成長を目的とした会社売却など、当事者だけでは進めにくい取引を、専門知識と買い手・売り手のネットワークで橋渡しします。
企業評価から相手探し、契約書面の作成支援、デューデリジェンス対応までを一貫して任せられる点が中心的な価値です。
Q. M&A仲介とFA(アドバイザリー)はどちらを選ぶべきですか?
A. M&A仲介とFAのどちらを選ぶべきかは自社の優先順位によって決まり、確実な成約を重視するなら売り手・買い手の双方の間に立つ「仲介」、譲渡価格や条件を自社に有利に進めたいなら売り手だけに付く「セルサイドFA」が向きます。
仲介は双方の事情を踏まえて着地点を探れるため中小企業の事業承継で成約に至りやすく、FAは依頼者の側にだけ立つため価格交渉で有利に働きます。
どちらが優れているという話ではなく、成約のしやすさと利益の最大化のどちらを重視するかで使い分けるのが基本です。
Q. 大手と中小のM&A仲介会社では何が違いますか?
A. 大手と中小のM&A仲介会社の主な違いは、大手は全国規模の買い手ネットワークと豊富な実績・手厚い体制を持つ反面で最低手数料が高めになりやすく、中小・独立系は着手金無料など柔軟な料金や特定業種・地域へのきめ細かい対応を強みとする点です。
相手候補の母数や初めてのM&Aでの安心感を重視するなら大手、譲渡額が小さめで料金負担を抑えたい、あるいは自社の業種に精通した担当に任せたいなら中小・特化型が候補になります。比較する際は手数料の金額だけでなく、企業評価や契約書作成、PMI支援などがどこまで料金に含まれるかも確認するとよいでしょう。
Q. M&A仲介会社の手数料の相場はどのくらいですか?
A. M&A仲介会社の手数料は、成功報酬を「レーマン方式」(譲渡額などの基準額のうち5億円以下の部分に5%、5億円超の部分は段階的に料率を下げる)で算定するのが一般的で、最低手数料を数百万円〜2,000万円程度に設定する会社が多いです。
これに加えて着手金や中間金がかかる会社と、着手金・中間金を無料とする完全成功報酬制の会社があり、総額は会社によって大きく変わります。基準額の取り方(譲渡額・株式価値・移動総資産など)や料率区分も各社で異なるため、契約前に各社の料金表と計算基準を書面で確認することが重要です。
Q. 着手金無料のM&A仲介会社なら本当に費用はかからないのですか?
A. 着手金無料であっても、M&Aが成約すればレーマン方式の成功報酬が発生するため、費用が完全にかからないわけではありません。「完全成功報酬制」は着手金・中間金・月額報酬をゼロとし、成約するまで費用が発生しない仕組みを指しますが、成約時にはまとまった成功報酬(最低手数料を含む)を支払います。
逆に、着手金が発生する会社でも成約に至らなければ成功報酬はかかりません。「無料」がどの費用を指すのか、途中で解約した場合の扱いはどうかを含めて、料金の全体像を確認しておくと安心です。
Q. 小規模な会社や赤字企業でもM&Aで売却できますか?
A. 小規模な会社や赤字企業でも、M&Aで売却できる可能性は十分にあります。年商1億円未満の小規模企業を積極的に支援する仲介会社や、売り手が無料で使えるマッチングプラットフォームがあり、規模が小さくても依頼先は選べます。
赤字であっても、技術・顧客基盤・人材・許認可などに価値があれば買い手が見つかることは珍しくありません。ただし小規模案件では最低手数料の負担が相対的に重くなりやすいため、料金体系と対応規模が自社に合う会社を選ぶことが大切です。
Q. M&Aの相談から成約までどのくらいの期間がかかりますか?
A. M&Aの相談から成約までの期間は、一般的に半年から1年程度が目安で、案件によっては数ヶ月で成約するケースもあれば、相手探しや交渉が長引いて1年以上かかることもあります。譲渡額や業種の特殊性、買い手候補の見つかりやすさ、デューデリジェンスの内容によって変動します。担当者と長く付き合うことになるため、スピードだけでなく、相手探しの進め方や進捗の共有が丁寧かどうかも見極めておくとよいでしょう。
Q. M&A支援機関登録制度に登録したM&A仲介会社を選ぶべきですか?
A. M&A支援機関登録制度への登録は依頼先選びの安心材料になり、登録会社は中小M&Aガイドラインの遵守を宣言しており、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)を使うには支援会社が登録機関であることが要件となります。登録の有無は中小企業庁の登録支援機関データベースで確認できます。
ただし未登録でも仲介・FA業務自体は行えるため、登録は絶対条件ではなく、料金や利益相反への説明の丁寧さ、成約実績とあわせて総合的に判断するのが実務的です。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:M&A支援機関登録制度 登録支援機関データベース(https://ma-shienkikan.go.jp/search)
- 参考資料:中小M&Aガイドライン|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/m_and_a_guideline.html)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















