取引先から届いた契約書に押印する前に、その内容をどこまで確認すればよいか判断に迷う場面は少なくありません。契約書チェック(リーガルチェック)とは、契約を締結する前に、契約書へ自社に不利な条項や抜け漏れがないかを確認する作業です。
法務の専任担当がいない中小企業や、契約実務の経験が浅い担当者にとっては、そもそも「どこを・何を見ればよいのか」が分かりにくいのが実情です。確認すべき観点を知らないまま締結すると、後から損害賠償や契約解除といったトラブルに発展しかねません。
本記事では、契約書で必ず確認したい基本のチェック項目を一覧で整理します。あわせて、NDA・業務委託・売買といった契約類型別の注意点、社内でチェックする進め方、弁護士やAI契約書レビューサービスへ依頼する場合の費用相場までを解説します。自社の契約書を見直す際の手がかりとしてご活用ください。
目次
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契約書チェック(リーガルチェック)とは
契約書チェックとは、契約を締結する前に、契約書の内容に法的な問題がないか、自社にとって不利な点や抜け漏れがないかを確認する作業を指します。リーガルチェック、契約書レビューとも呼ばれます。
目的は大きく3つあります。法令に違反する条項を含んでいないかを確かめること、自社に一方的に不利な条項を見つけて是正すること、そして将来トラブルが起きたときの備えが契約書に盛り込まれているかを確認することです。取引の内容と契約書の記載が食い違っていないかを見るのも、この作業に含まれます。
契約書チェックを怠ると起こる不利益
契約書の確認を怠ると、いざトラブルになったときに自社が不利な立場に立たされます。たとえば、相手が約束どおりに履行しなかった場合、契約書の書き方によっては損害賠償を十分に請求できないことがあります。民法は債務不履行について次のように定めています。
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
出典:民法第415条第1項|e-Gov法令検索
賠償を請求できる範囲も、契約書の定め方で変わります。上限や範囲を定めていなければ、通常の損害に加え予見できた特別の損害まで対象となり(第416条)、想定外の負担を負いかねません。契約を打ち切れるかも解除条項次第で、軽微な不履行では解除できないのが原則です(第541条)。次の一覧で、具体的に契約書のどこを見ればよいかを確認していきましょう。
出典・参考資料(2件)
契約書チェックの基本項目【一覧表】
まず、契約の種類を問わず共通して確認したい基本項目を一覧にまとめます。手元の契約書と照らし合わせ、「見るべき観点」と「見落とすと危険な状態」を1項目ずつ確認してみてください。
| 確認する条項・項目 | 当事者・契約の目的 | 履行内容・納品/検収 | 対価・支払条件 | 契約期間・更新・解除 | 損害賠償 | 不可抗力 | 秘密保持 | 知的財産・成果物の権利帰属 | 表明保証・反社条項 | 準拠法・裁判管轄 | 完全合意 | 形式面(条ズレ・別紙・押印) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 見るべき観点 | 契約当事者の名称・住所が正確か。何のための契約かが明記されているか | 提供する物・役務の範囲、納期、検収の基準と方法が具体的か | 金額・支払時期・支払方法・遅延時の扱いが明確か | 期間、自動更新の有無、中途解約や解除の条件が定められているか | 賠償の範囲・上限、間接損害の扱い、自社の責任が過大でないか | 天災・災害・供給網の途絶など不可抗力時の免責範囲と通知義務が定められているか | 秘密情報の定義範囲、目的外使用の禁止、存続期間が適切か | 成果物の著作権・特許などの帰属先が明記されているか | 事実の表明保証、反社会的勢力の排除条項が入っているか | どの国・地域の法律を適用し、どの裁判所で争うかが定められているか | この契約書が合意のすべてであり、従前の口頭合意・メール・提案書に優先すると定めているか | 条番号のズレ、別紙の添付漏れ、署名・押印欄、誤字がないか |
| 見落とすと危険な状態 | 当事者が特定できず、責任の所在があいまいになる | 「何をもって完了か」が不明確で、追加作業や検収トラブルの原因になる | 支払期日や遅延損害金の定めがなく、入金遅延に対応できない | 抜けたいときに抜けられず、不利な契約が自動で続く | 上限のない賠償責任を負い、想定外の負担が発生する | 想定外の事態で履行できないときの責任分担があいまいになる | 重要情報が保護されず、あるいは自社の情報利用が過度に制限される | 作った成果物を自社で自由に使えない、または権利を主張される | 取引先のリスクを見抜けず、後から契約を解消しにくい | 紛争時に不利な地の裁判所での対応を強いられる | 交渉過程の口頭約束が蒸し返され、契約内容の解釈が争いになる | 条項の参照先がずれ、契約内容の解釈に食い違いが生じる |
※上記は一般的な確認観点の例です。たとえば損害賠償条項に上限の記載がない、解除条件が相手方にだけ有利、といった状態は要注意のサインになります。妥当な内容は契約の種類・取引の状況によって異なるため、判断に迷う条項は弁護士などの専門家に確認してください。
契約類型別のチェックポイント(NDA・業務委託・売買)
基本項目に加えて、契約の種類ごとに特に注意したい条項があります。ここでは相談の多いNDA(秘密保持契約)、業務委託契約、売買契約の3つについて、見るべきポイントを整理します。自社が扱う契約の種類に合わせて確認してください。
NDA(秘密保持契約)のチェックポイント
NDA(秘密保持契約)では、秘密情報の範囲と扱い方に関わる条項を確認します。
- 秘密情報の定義範囲:口頭で伝えた情報を含むのか、書面で「秘密」と明示したものに限るのか。広すぎると管理負担が重く、狭すぎると守りたい情報が保護されない
- 目的外使用の禁止:受け取った秘密情報を、契約の目的以外に使わない定めがあるか
- 存続期間:契約終了後も秘密保持義務が何年続くか
- 返還・破棄:契約終了時に情報を返還・破棄する取り決めがあるか
同じ条項でも、自社が情報を「受け取る側」か「開示する側」かで有利・不利は逆になります。受け取る側なら、秘密情報の定義が広すぎて管理しきれないか、存続期間が長すぎて負担が重くないかを確認します。開示する側なら、定義が狭すぎて守りたい情報が漏れないか、目的外使用の禁止と存続期間が十分かを、自社の立場から読み直すことが大切です。
業務委託契約のチェックポイント
業務委託契約では、委託の性質と成果物・体制に関わる条項が要点です。
- 請負か準委任か:仕事の完成に責任を負う請負か、業務の遂行を引き受ける準委任かで、成果物の責任範囲と報酬の考え方が変わる
- 再委託の可否:第三者へ再委託できるか、できる場合の責任分担が明確か
- 成果物の知的財産権の帰属:作成した成果物の著作権・特許が、委託者・受託者のどちらに帰属するか
- 偽装請負のリスク:契約が業務委託でも、発注者が受託者の労働者へ直接指揮命令する実態があると労働者派遣とみなされうる。指揮命令の関係と業務の独立性を実態で確認する
偽装請負にあたるかは、契約書のタイトルではなく実態で判断されます。労働省告示第37号は、請負の形式でも、受託者が自ら雇用する労働者を直接指揮監督し、かつ資金の調達や事業主としての責任を負って独立して業務を処理していなければ、労働者派遣とみなすとしています。発注者が受託者の担当者へ直接指示を出していないかを確認しましょう。
また、委託者と受託者の資本金や従業員数が一定の基準を満たす取引には、下請法(2026年1月に「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改称)が適用されます。代金の支払期日を受領日から起算して60日以内に定めること(第3条)や、発注時に給付内容・代金額・支払期日などを書面で明示すること(第4条)が求められます。
すべての業務委託がこの法律の対象になるわけではないため、自社の取引が該当するかを確認したうえで、支払条件や発注書の交付を見ておきましょう。
出典・参考資料(4件)
2026年1月施行の取適法(旧・下請法)で、支払期日や書面交付を含め具体的に何がどう変わったのかは、以下の記事で改正のポイントを条文とともに整理しています。自社の取引が対象になるかを確認したい方はあわせてご覧ください。
【2026年1月施行】下請法改正のポイント|取適法で変わる6つの点を条文で解説
2026年1月1日、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が改正され、新たに「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」として施行されています。 既に下請法対応を回している委託事業者にとっての要点は、法律名称の刷新から適用対象拡大・面的執行の強化ま…
売買契約のチェックポイント
売買契約では、引き渡された物が契約どおりでない場合の責任と、危険の移転時期が要点です。
- 契約不適合責任:種類・品質・数量が契約に適合しないとき、修補・代替物・代金減額・損害賠償・解除のどこまでを請求できるか。買主は通知期間、売主は責任の範囲・期間が過大でないかを見る
- 危険負担・所有権移転の時期:引渡し・検収・所有権移転をどの時点とするか。引渡し後は、双方の責任によらず物が滅失・損傷しても買主は代金の支払いを拒めないのが原則
これらの根拠となる民法の規定は、次のとおりです。まず契約不適合責任について、民法は次のように定めています。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
出典:民法第562条第1項(買主の追完請求権)|e-Gov法令検索
引渡し後の危険負担についても、民法は次のように定めています。
売主が買主に目的物(略)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
出典:民法第567条第1項(目的物の滅失等についての危険の移転)|e-Gov法令検索
引渡し・検収・所有権の移転をどの時点とするかで、事故が起きたときの負担者が変わります。とくに高額な物品や輸送を伴う取引では、この時期の定めを丁寧に確認しておきましょう。
契約書を社内でチェックする流れ
ここからは、社内で契約書チェックを進めるときの一般的な流れを紹介します。特別な法令で決まった手順ではありませんが、多くの法務担当者が実務で踏んでいる進め方です。全体像は次の6ステップです。

まず、契約書を受け付けたら、取引の背景と目的を把握することから始めます。誰と・何のために・どんな条件で結ぶ契約なのかを、依頼元の部署に確認しながら全体像をつかむとよいでしょう。次に、前掲の基本項目と契約類型別のポイントに沿って条項を1つずつ読み、自社に不利な点や抜け漏れ、あいまいな表現を洗い出していきます。
洗い出したリスクは、修正案やコメントの形にまとめていきます。相手に修正を求める箇所と社内で判断が必要な箇所を分けておくと、その後の交渉が進めやすくなります。合意した内容を反映した最終版を作成したら、修正が正しく反映されているか、条番号のズレや別紙の添付漏れがないかを確認してから締結する、という流れです。
一人で契約実務を担っている場合や、個人事業主・フリーランスとして自分の契約を自分で確認する場合は、この流れを自分の中で順に踏み、相手方との交渉も自分で進めることになります。体制の大小にかかわらず、内容の把握・リスクの洗い出し・修正案の作成という順序を飛ばさないことが大切です。
この流れの中で、自社だけでは判断がつかない条項が残ることもあります。その場合は、次に説明する外部の依頼先やツールの活用を検討します。
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自社対応・弁護士・AI契約書レビューの使い分けと費用相場
契約書チェックは、必ずしもすべてを社内で完結させる必要はありません。契約の重要度やリスクに応じて、自社対応・弁護士への依頼・AI契約書レビューサービスの利用を使い分けるのが現実的です。それぞれの特徴を整理します。
| チェック方法 | 自社(社内)でチェック | 弁護士に依頼 | AI契約書レビューサービス |
|---|---|---|---|
| 費用の目安 | 担当者の人件費のみ | スポットで数万円〜十数万円、顧問契約は月額制 | 月額1万円台〜 |
| スピード | 即日〜数日 | 数日〜2週間程度 | 数分〜 |
| 精度・カバー範囲 | 担当者の知識・経験に依存 | 高い(法的判断・交渉方針まで相談できる) | 確認観点の網羅・標準化に強い(最終判断は人が行う) |
| 向いているケース | 定型的でリスクの低い契約、日常的に多数発生する契約 | 高額・複雑な契約、リスクが大きい契約、紛争性のある案件 | 契約量が多く、チェックの標準化・スピードを重視する場合 |
※費用・スピードは依頼先やサービス、契約の内容によって異なります。詳細は各依頼先・各社の情報をご確認ください。
依頼先別の費用相場
弁護士に契約書チェックを依頼する場合、費用は契約書の分量や種類、依頼の形態によって変わります。まず、単発(スポット)で依頼するケースを見てみます。実際に料金を公表している法律事務所の例では、次のような水準です。
契約書チェック手数料:分量2ページまで55,000円
出典:料金体系|小島法律事務所
別の事務所では、業務委託契約書のリーガルチェックを1契約あたり5万円〜、IT関係の契約書を6万円〜と公表しています。いずれも分量や契約の種類に応じて金額が変わる点が共通しており、短くて定型的な契約なら数万円台から、複雑な契約になるほど費用は上がる傾向です。
費用に幅が出る背景には、弁護士報酬の考え方があります。かつては弁護士会が定める報酬基準がありましたが、2004年4月1日にこの基準は廃止され、現在は各弁護士が依頼者との間で自由に報酬を定められます。そのため、同じ「契約書チェック」でも事務所ごとに料金が異なります。
継続的に相談したい場合は、月額制の顧問契約という選択肢もあります。顧問料は事務所や相談頻度によって幅がありますが、中小企業向けでは月額3万〜5万円程度を目安とするケースが多く、事業規模が大きいほど高くなります。
出典・参考資料(4件)
一方、AI契約書レビューサービスは月額制が中心で、月額1万円台から利用できるものもあります。契約書をアップロードすると、自社に不利な条項や抜け漏れをAIが指摘してくれるため、日常的に発生する契約のチェックを効率化・標準化したい場合に向いています。
料金は利用人数や機能構成によって変わるため、金額を公表しているサービスと、個別見積もりで「要問い合わせ」となるサービスがあります。導入前に自社の想定利用規模を伝え、見積もりを取って比較するとよいでしょう。具体的なサービスは後ほど紹介します。
自分で確認できる範囲と専門家に任せる線引きの目安
すべての契約を弁護士に依頼するのは、コストの面でも時間の面でも現実的ではありません。定型的で金額の小さい契約や、過去に同種の契約を何度も締結している場合は、社内のチェックで対応できることが多いといえます。前掲の基本項目に沿って確認し、あいまいな表現を修正するだけでもリスクは下げられます。
一方で、取引金額が大きい契約、これまで扱ったことのない類型の契約、損害賠償や知的財産の帰属など交渉の余地が大きい条項が含まれる契約は、専門家に相談する価値があります。とくに紛争になったときの影響が大きい契約は、締結前に弁護士の目を通しておくと安心です。
AI契約書レビューサービスは、この線引きの前段として役立ちます。まずAIで確認観点を網羅的にチェックし、そのうえで判断が難しい条項だけを弁護士に相談すれば、コストを抑えつつ精度を保てます。ただし、AIの指摘はあくまで確認の補助であり、最終的な法的判断は人が行う点は押さえておきましょう。
契約書チェックを効率化するAI契約書レビューサービス
契約量が多く、チェックの標準化やスピードを重視する場合は、AI契約書レビューサービスの活用が選択肢になります。契約書をアップロードすると、自社に不利な条項や抜け漏れをAIが指摘し、修正案を提示してくれるサービスです。ここでは、代表的な3つのサービスを紹介します。
以下は、ご紹介するAI契約書レビューサービスの比較表です。
| サービス | CLOUD LEGAL(クラウドリーガル) | OLGA(オルガ) | LAWGUE(ローグ) |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | MOLTON株式会社 | GVA TECH株式会社 | FRAIM株式会社 |
| 提供形態 | クラウド(AIと弁護士による法務支援型) | クラウド(法務プラットフォーム) | クラウド(ドキュメントワークスペース) |
| AIレビュー機能 | ●Word上で完結(CloudLegal AIエディター) | ●自社基準でリスクを自動検知 | ●自社ナレッジ反映・不足条項の提案 |
| 弁護士サポート | ●弁護士相談・監修体制 | △弁護士監修ひな型ベースのAIレビュー | ×AIレビュー・文書支援が中心 |
| 主な特徴 | 生成AIと弁護士体制を組み合わせ、契約書作成・レビューから法務相談まで一括で依頼できる | 依頼受付からレビュー・契約管理・ナレッジ活用まで法務業務全体を一元化する | 契約書・規程など各種文書の作成・編集・レビューとバージョン管理に強い |
| 料金の目安 | 初期費用0円/月額11,000円〜(税込) | 標準プランは要問い合わせ/中小企業向けプランは初期10万円・月額1万円〜(税別) | 要問い合わせ(個別見積もり) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | オンライン相談を予約 |
※料金・機能は2026年9月時点の各社公式情報等に基づきます。最新の内容は各社の資料・公式サイトでご確認ください。
1. CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)は、MOLTON株式会社が運営する、生成AIと弁護士体制を組み合わせた法務ソリューションです。AIによる契約書レビューに加え、弁護士監修の契約書作成や法務相談までをオンラインで利用できる点が特徴で、社内に法務の専任者がいない企業でも活用しやすい設計になっています。
契約書チェックの面で注目したいのが、普段使うMicrosoft Word上で作業を完結できる「CloudLegal AIエディター」です。WordのサイドバーでAIと対話しながら、不利な条文や欠落した条項の検出と修正案の提示を受けられます。同社は、この機能により契約書レビューにかかる時間を3分の1に短縮したとしています。
月額11,000円(税込)から利用でき、情報管理では国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得しています。
従来、契約書チェックを弁護士に依頼すると回答までに時間がかかる点が課題でした。同社は、従来の顧問弁護士への依頼と比べた対応スピードについて、次のように述べています。

従来の顧問弁護士だと回答に1〜2週間かかることがありましたが、クラウドリーガルの弁護士相談や契約書レビュー・リーガチェックは1日、2日でお返しできています。また、クラウドリーガルで搭載しているリーガルAIも活用してさらに対応スピードを上げています。
2. 法務オートメーション「OLGA」

法務案件の受付から契約書のレビュー、契約管理、ナレッジの活用までを一元化するのが、GVA TECH株式会社が提供する法務プラットフォーム「OLGA(オルガ)」です。法務業務全体の効率化を狙える点が特徴で、事業部門はメールやSlack、Teamsといった普段のツールのまま法務へ依頼できるため、専用アカウントを配らずに運用を始められます。
契約書チェックにあたるのはAI契約レビューのモジュールで、過去のナレッジを踏まえてリスクを自動検知し、契約書からの項目抽出にも対応します。標準プランの料金は要問い合わせですが、2026年7月には中小企業向けの契約管理プラン(初期費用10万円・月額1万円〜、いずれも税別)も新設され、小規模から始めやすくなっています。
OLGAは事業部門も含めて契約業務に関われる設計を採っています。同社は、契約書のチェックを担う法務部門と、実際に契約を結ぶ事業部門との間で起きやすいすれ違いについて、次のように話しています。

実は、法務の方も事業部門のことをあまり知らないことが多いです。法務の方は現場を知る時間を作りたいと思っていても、業務的な連絡が多くて時間が取れないという状況があります。一方で、現場は法務の知識がないために対応を丸投げしがちです。
3. LAWGUE(ローグ)

契約書に加え、社内規程やマニュアルなど各種文書の作成・検索・レビューをAIで支援するのが、FRAIM株式会社のクラウドサービス「LAWGUE(ローグ)」です。契約書の編集やバージョン管理、差分比較といった文書作業の効率化を得意とし、法務・総務部門のほか法律事務所や自治体でも導入されています。
契約書チェックの面では、自社の過去文書(ナレッジ)を反映したAIレビューや、頻出条項の漏れを検出する不足条項の提案、送り仮名や漢字の表記ゆれを見つけるアラートが役立ちます。AIの位置づけについて同社は「『AI』が見つけて『あなた』が判断していく」とし、人の判断を支援する設計だと説明しています。料金は利用人数や用途に応じた個別見積もり方式です。
ここで取り上げた3サービスのほかにも、契約書レビューを支えるサービスにはAIによるレビュー型から弁護士によるレビュー型まで幅広い選択肢があります。以下の記事では、それぞれの違いや使い分け、費用相場、選び方までまとめて比較しています。導入を検討される方は、あわせてご覧ください。
まとめ
契約書チェックは、締結前に自社に不利な条項や抜け漏れがないかを確認する作業です。まずは基本項目の一覧に沿って手元の契約書を見直し、NDA・業務委託・売買など契約の種類ごとの注意点を押さえることで、大きなリスクの多くは事前に見つけられます。
そのうえで、自分では判断がつかない条項が残ったときは、契約の重要度に応じて弁護士への相談やAI契約書レビューサービスの利用を検討しましょう。日常的な契約はAIでチェックを標準化し、リスクの大きい契約は専門家に相談するといった使い分けが、コストと精度のバランスをとる近道になります。自社の状況に合った方法で、契約実務の負担とリスクを減らしていきましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 契約書チェック(リーガルチェック)とは何ですか?
A. 契約書チェック(リーガルチェック)とは、契約を締結する前に、契約書へ自社に不利な条項や抜け漏れ、法的な問題がないかを確認する作業です。リーガルチェック、契約書レビューとも呼ばれます。法令に違反する条項を含んでいないかの確認、自社に一方的に不利な条項の是正、将来トラブルが起きたときの備えが盛り込まれているかの確認を主な目的とし、社内の法務担当者または弁護士が行います。
Q. 契約書チェックの費用はどれくらいかかりますか?
A. 契約書チェックの費用は、誰に依頼するかで変わり、社内対応なら担当者の人件費のみ、弁護士へのスポット依頼で数万円〜十数万円、AI契約書レビューサービスは月額1万円台からが目安です。弁護士費用は契約書の分量や種類、依頼の形態(スポットか顧問契約か)によって増減し、業務委託契約書のリーガルチェックを1契約5万円〜と公表している事務所もあります。
日常的に発生する契約はAIでチェックを標準化し、リスクの大きい契約だけ弁護士に相談すると、コストと精度のバランスをとりやすくなります。
Q. 契約書チェックは社内でどのように進めればよいですか?
A. 契約書チェックを社内で行うときは、「受付・目的の把握 → 条項ごとのリスク抽出 → 修正案・コメントの作成 → 交渉 → 最終確認 → 締結」という流れで進めるのが一般的です。まず取引の背景と目的をつかみ、契約書の基本項目と契約類型別のポイントに沿って条項を一つずつ読み、自社に不利な点やあいまいな表現を洗い出します。具体的な進め方は本文「契約書を社内でチェックする流れ」で解説しています。
Q. 契約書チェックはどこまで自分で行い、どこから専門家に任せるべきですか?
A. 契約書チェックは、定型的で金額の小さい契約や過去に何度も締結している類型は社内で対応するのが基本です。一方、取引金額が大きい契約・初めて扱う類型・損害賠償や知的財産の帰属など交渉の余地が大きい条項を含む契約は、弁護士に相談するのが線引きの目安になります。
すべての契約を専門家に依頼するのはコスト・時間の面で現実的ではないため、基本項目に沿って一次確認したうえで、判断に迷う条項だけを外部に相談すると効率的です。
とくに紛争になったときの影響が大きい契約は、締結前に弁護士の目を通しておくと安心です。
Q. AI契約書レビューサービスの精度はどこまで信頼できますか?
A. AI契約書レビューサービスは、確認観点の網羅や抜け漏れの検出、チェックの標準化に強い一方、最終的な法的判断は人が行うことを前提とした「確認の補助」と位置づけるのが適切です。契約書をアップロードすると、自社に不利な条項や欠落した条項を短時間で指摘してくれるため、属人化しやすいチェックを効率化・標準化できます。
ただしAIの指摘がそのまま正解とは限らないため、重要な契約や判断の難しい条項については、弁護士など専門家の確認と組み合わせることが大切です。
Q. 業務委託契約の契約書チェックで、下請法(取適法)は関係しますか?
A. 業務委託契約では、委託者と受託者の資本金や従業員数が一定の基準を満たす取引に下請法(現・取適法)が適用され、支払期日や発注時の書面交付にルールがかかります。この法律は2026年1月に「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改称されました。
同法が適用される取引では、代金の支払期日を受領日から起算して60日以内に定める必要があります(第3条)。発注時には給付の内容・代金額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示しなければなりません(第4条)。
すべての業務委託が対象になるわけではないため、自社の取引が該当するかを確認したうえで、支払条件や発注書の交付を見ておくと安心です。
契約書レビューサービスの料金・手数料を一括チェック
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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