従業員数が数百名を超えて事業が拡大すると、手当や雇用形態が多様になり、グループ会社ごとに給与の締めや支給日が異なるなど、給与計算は複雑になります。担当者の異動や退職のたびに業務が止まるリスクを抱えたまま、月次の計算と法改正対応に追われている管理部門も少なくありません。
こうした規模の給与計算を安定して回すには、大企業の複雑な給与体系や大量の従業員データを扱ってきた実績のある「大手」の代行会社に委託するという選択肢があります。ただし一口に給与計算代行といっても、対応できる従業員規模や委託できる業務範囲、料金体系は会社ごとに大きく異なります。
本記事では、実績や対応規模の大きい大手の給与計算代行会社13社を比較し、各社が対応できる従業員規模・導入実績・委託できる業務範囲・セキュリティ認証を整理します。大手を選ぶときに確認したい比較ポイントや、委託する費用の考え方、委託する際の注意点、導入までの流れもあわせて解説しますので、自社の給与計算を任せられる委託先を見極める材料としてご活用ください。
また、自社の従業員規模や委託したい業務範囲に合う委託先を最短で見つけられるよう、「大手の給与計算代行会社の比較表」や、「30秒で終わる選定診断ツール」もご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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大手の給与計算代行(アウトソーシング)とは
給与計算代行(給与計算アウトソーシング)とは、毎月の給与・賞与の計算や給与明細の発行、年末調整などの業務を外部の専門会社に委託する仕組みです。給与計算ソフトが自社の担当者による入力・運用を前提とするのに対し、代行は計算そのものを含めた運用を外部の担当者が引き受ける点が異なります。
「大手の給与計算代行」とは何を指すか(対応規模・実績の目安)
給与計算代行における「大手」に、法律や業界で統一された定義はありません。本記事では、数百名から数千名規模の従業員を抱える企業の給与計算を継続して受託してきた実績があり、大量のデータや複雑な給与体系に対応できる体制を持つ代行会社を大手として扱います。対応できる従業員規模の一つの目安として、1,000名以上に対応できるかどうかが挙げられます。
判断の手がかりになるのは、公表されている受託社数や処理人数、上場企業・大企業の導入実績、運用を担うスタッフの人数です。これらの規模や実績が大きいほど、自社の複雑な給与計算や急な従業員数の増減にも対応できる可能性が高まります。
自社が「大手」の目安に当てはまるか迷う場合や、規模を問わず給与計算アウトソーシング全体から委託先を見比べたい場合は、業務範囲・料金体系とあわせて規模別の選び方まで整理したカテゴリ全体の比較記事もご確認ください。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
大手が給与計算を外部委託する理由・検討タイミング
一定の規模を超えた企業が給与計算の外部委託を検討する背景には、業務の複雑化と人材の有効活用という2つの事情があります。従業員数が増えるほど手当や控除のパターンが増え、雇用形態やグループ会社ごとの違いも重なって、社内の担当者だけで正確に処理し続けることが難しくなります。
給与計算の担当者が異動・退職すると業務が属人化し、引き継ぎに時間がかかる点も課題です。限られた人材をより付加価値の高い業務に振り向けたい企業にとって、定型的な計算業務を外部に任せる意義は大きくなります。給与システムの入れ替えや保守コストの増加をきっかけに、システムごと委託先に移すことを検討するケースもあります。
大手の給与計算代行に委託できる業務範囲
大手の給与計算代行に委託できる業務は、月々の給与計算にとどまりません。委託できる範囲は会社やプランによって異なりますが、一般的には次のような業務を任せられます。
- 勤怠データの集計と、基本給・残業代・各種手当・社会保険料などの控除計算
- 給与明細・賞与明細の作成と配付、金融機関への振込データの作成
- 年末調整と源泉徴収票の発行、住民税の年度更新への対応
- 社会保険・労働保険の各種手続き(提携する社会保険労務士が対応)
- 従業員からの問い合わせに応じるヘルプデスクの運営
ここで押さえておきたいのが、給与計算に付随する手続きの一部が、特定の国家資格者だけに認められた業務(独占業務)である点です。給与の計算そのものを代行することに資格は必要ありませんが、社会保険・労働保険の手続きや税務に関わる業務は、代行会社が提携する社会保険労務士・税理士と連携して提供する形が一般的です。
社会保険・労働保険の手続きについては、社会保険労務士法が社会保険労務士の業務を定め、資格を持たない者が報酬を得て業として行うことを制限しています。
社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等…を作成すること。
一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。(第2条)社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。(第27条)
出典:社会保険労務士法 第2条・第27条|e-Gov法令検索(デジタル庁)
同様に、年末調整に伴う税務書類の作成や税務代理は、税理士法が税理士の業務と定め、資格を持たない者が行うことを制限しています。
税理士は、他人の求めに応じ、租税…に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
出典:税理士法 第2条・第52条|e-Gov法令検索(デジタル庁)
一 税務代理
二 税務書類の作成
三 税務相談(第2条)
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。(第52条)
つまり、どこまでをワンストップで任せられるかは、代行会社が社会保険労務士・税理士とどのような連携体制を持っているかで変わります。社会保険手続きや年末調整までまとめて委託したい場合は、提携士業を含めた対応範囲を確認しておくことが重要です。
大手の給与計算代行を選ぶときの比較ポイント
ここからは、大手の給与計算代行を選ぶときに確認したいポイントを解説します。規模の大きい企業ほど、料金の安さよりも「自社の複雑な給与計算に安定して対応できるか」が選定の軸になります。
複雑な給与体系・雇用形態の多様さに対応できるか
大企業では、職種や等級ごとに異なる手当、変形労働時間制、裁量労働制、正社員と契約社員・パートで異なる計算ルールなどが混在します。自社固有の給与体系をそのまま再現できるか、同程度に複雑な企業を受託した実績があるかが見極めどころです。標準的な計算ルールしか想定していない会社では、例外処理のたびに追加の調整が必要になり、かえって運用が煩雑になることがあります。
担当者の異動やグループ会社にも対応できる運用体制か
自社で給与計算を抱えていると、担当者の異動・退職で品質が不安定になりがちです。委託先を選ぶ際は、特定の担当者に依存せずチームで運用し、担当者が代わっても処理品質が保たれる体制かどうかが重要です。複数のグループ会社を抱える企業であれば、会社ごとに異なる締め日・支給日・就業規則をまとめて処理できるか、グループ全体の給与データを一元的に扱えるかも判断材料になります。
対応できる従業員規模と導入実績はどれくらいか
大量の従業員データを扱う大手では、委託先が対応できる従業員規模の上限と、同規模の企業を受託した実績が重要です。公表されている受託社数・処理人数や、自社と近い規模・業種の導入実績を確認すると、自社の給与計算を任せても処理が破綻しないかを見極めやすくなります。本記事の比較表で、各社が対応できる従業員規模と導入実績を横並びで確認できます。
セキュリティ認証(ISMS・プライバシーマーク)を取得しているか
給与計算の委託では、従業員の氏名・住所・口座情報・給与額といった重要な個人情報を外部に預けます。情報の取り扱い体制を客観的に確認する手がかりが、第三者機関による認証の取得状況です。
情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISMS(ISO/IEC 27001)や、個人情報の適切な取り扱いを示すプライバシーマークを取得しているかが確認のポイントです。あわせて、データの受け渡し方法や、アクセス権限の管理方法も事前の確認事項になります。
既存の勤怠・人事システムと連携できるか、システムごと見直すか
給与計算代行には、自社が使っている勤怠・人事システムのデータを受け取って計算する形と、委託先が提供する給与計算システムに移行してシステムごと委託する形があります。既存システムを使い続けたい場合は、データ連携の方法(API連携やCSVでの受け渡し)に対応しているかがポイントになります。
給与システムの入れ替え時期が近いなら、代行とシステム提供を一体で任せられる会社を選ぶことで、導入と運用を一度に見直せます。
料金体系と、従業員からの問い合わせ窓口・サポートはどうか
料金は従業員1名あたりの従量課金制、一定範囲までの月額固定制、繁忙期だけ依頼するスポット対応など、会社によって体系が異なります。自社の従業員数や委託したい業務範囲に対して、どの料金体系が見合うかが判断の軸になります。あわせて、給与に関する従業員からの問い合わせに委託先が直接対応してくれるか、法改正があったときに運用へどう反映されるかなど、導入後のサポート体制も選定の軸になります。
自社がどの条件を重視すべきか判断が難しい場合は、以下の選定診断ツールで、従業員規模や委託したい業務範囲から自社に合う委託先の候補を確認できます。
自社に合う大手の給与計算代行を診断する
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大手の給与計算代行会社を比較
ここからは、大手の給与計算代行会社を、提供形態の違いで2つのタイプに分けて比較します。1つは、給与計算から各種手続きまで運用ごと引き受ける「運用までまるごと任せるフルアウトソーシング型」です。もう1つは、委託先が提供する給与計算システムへの移行も含めて任せる「給与計算システムも含めて任せるシステム一体型」です。
この2タイプは、委託先の給与計算システムに乗り換えるかどうかで分かれます。既存の勤怠・人事システムを使い続けたいなら運用までまるごと任せるフルアウトソーシング型、システムの入れ替えとあわせて委託したいなら給与計算システムも含めて任せるシステム一体型が候補になります。

運用までまるごと任せるフルアウトソーシング型の比較
| サービス名 | ペイロール | BPOソリューション(日本郵政CS) | エコミック | NOC(FOC) | BBS(ビジネスブレイン太田昭和) | MHCトリプルウィン | COMIT HR | アクタス | トライアンフ | イージーネット |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応できる従業員規模 | 大企業向け(具体的な下限は非公表) | 大規模対応型(具体的な規模は非公表) | 規模を問わず対応(大企業まで実績あり) | 300名以上が目安(300名以下も相談可) | 大企業・上場企業中心 | 小規模〜大規模(事例は200〜3,000名規模) | 事例は400〜1,100名規模(上限・下限の明示なし) | 事例は100名〜1,000名超(規模制限の明示なし) | 1,000名未満が中心(事例は約300〜1,200名) | 100〜5,000名規模(中堅〜大企業) |
| 導入実績(社数・人数) | 279社・123万人超 | 非公表(日本郵政グループ約40万名の処理の知見が背景) | 毎月550社・14万人 | 30年・1,000社 | 非公表(オリンパスなど大企業・上場企業の人事給与BPO事例) | 156社・受託55,000人 | 非公表(BPO運営20年) | グループ顧問先1,600社(上場70社・上場関連250社) ※BPO単体の社数は非公表 | 非公表(公式事例に約300〜1,200名規模の企業) | 非公表 |
| 委託できる業務範囲 | 給与・賞与計算/年末調整補助/住民税/マイナンバー管理/入退社手続き/勤怠管理/仕訳計算/従業員問い合わせ窓口 | 給与・賞与計算/社会保険手続き/年末調整/住民税/マイナンバー管理/総務・経理など周辺業務 | 給与・賞与計算/年末調整/住民税(基本)+有給・通勤手当・マイナンバー収集・退職金・仕訳など(オプション) | 給与・賞与計算/年末調整/社会保険・労働保険業務(社労士法人連携)/入退社対応・勤怠管理(オプション) | 給与計算を含む人事業務を運用ごと委託(人事給与BPO。詳細は要お問い合わせ)※経理・財務BPOも提供 | 給与・賞与計算/社会保険・労働保険(社労士連携)/年末調整・住民税/入退社/勤怠管理/会計仕訳データ作成 | 給与・賞与計算/勤怠管理/年末調整/住民税/入退社/社会保険(提携社労士法人)※部分委託も可 | 給与・賞与計算/社会保険・労働保険手続きの代理(社労士法人が実施)/年末調整/マイナンバー管理/国際税務対応 ※部分委託も可 | 給与・賞与計算/社会保険手続き(提携社労士法人)/年末調整/マイナンバー管理/社員問い合わせ窓口 | 給与・賞与計算/年末調整・住民税/社会保険手続き/マイナンバー管理/勤怠管理/Web明細/助成金申請(社労士法人併設) |
| セキュリティ認証 | プライバシーマーク | 非公表 | プライバシーマーク/ISO/IEC 27001 | プライバシーマーク/ISO/IEC 27001/ISO 9001 | 非公表 | プライバシーマーク/ISO/IEC 27001/SOC1 Type2 | 非公表 | ISO/IEC 27001/プライバシーマーク(グループ) | 非公表 | 非公表 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※上記は2026年10月時点で各社が公式に公表している情報に基づきます。料金・対応規模・導入実績などは変更される場合があり、非公表の項目もあります。最新かつ詳細な条件は各社の公式情報や資料でご確認ください。
給与計算システムも含めて任せるシステム一体型の比較
| サービス名 | ラクラス | PROSRV | 給与DX(エムザス) |
|---|---|---|---|
| 対応できる従業員規模 | 従業員1,000名以上の大企業中心(事例は1,700〜22,300名) | 中小〜大企業 | 〜4,000名規模(中堅〜大企業) |
| 導入実績(社数・人数) | 760社・86万人以上 | 約2,000社・月間55万人(給与処理) | 非公表(給与BPO約20年) |
| 委託できる業務範囲 | 給与計算/社会保険手続き/年末調整/入退社手続き/勤怠管理(クラウド「Tokiwagi」+BPO一体)※社労士独占業務は提携先 | 人事給与システム(PROSRV on Cloud)+給与・賞与計算/年末調整/社会保険事務(社労士法人代行)/地方税年度更新/マイナンバー事務 ※システムのみ〜フル代行まで選択可 | 給与・賞与計算/kintoneアプリ「EMクラウド」でのデータ共有/DX診断・計画・企画支援(アウトソーシング+システムのセット提供) |
| セキュリティ認証 | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※上記は2026年10月時点で各社が公式に公表している情報に基づきます。料金・対応規模・導入実績などは変更される場合があり、非公表の項目もあります。最新かつ詳細な条件は各社の公式情報や資料でご確認ください。
大手の給与計算代行会社の個別紹介
ここからは、比較表で取り上げた各社について、対応できる規模や委託できる業務範囲、特徴を個別に紹介します。
運用までまるごと任せるフルアウトソーシング型
1. ペイロール(株式会社ペイロール)

1989年の設立から従業員数の多い大企業向けに給与計算のアウトソーシングを手がけてきたのが、株式会社ペイロールです。給与・賞与計算に加え、年末調整補助・仕訳計算・マイナンバー管理・入退社手続きから、従業員の問い合わせに応じるコールセンターの運営まで一括して請け負います。
既存の人事・勤怠システムとは、コネクタ連携・API連携・個別開発の3方式で接続できます。公式サイトでは279社・123万人超の受託実績を掲げており、大量のデータや複雑な給与体系を扱う企業の委託先として検討できます。情報の取り扱いについてはプライバシーマークを取得しています。
2. BPOソリューション(日本郵政コーポレートサービス株式会社)

日本郵政グループの業務代行で培った知見を基盤とするのが、日本郵政コーポレートサービス株式会社の給与計算業務アウトソーシングです。給与・賞与計算のほか、社会保険手続き・年末調整・住民税・マイナンバー管理に対応し、給与明細のWeb配信も付帯サービスとして用意しています。
背景にあるのは、日本郵政グループ約40万名の業務を代行してきた大量処理の実績です。「自動化」「二重化」「単純化」の徹底で品質を担保するとしており、給与計算に限らず総務・経理など周辺業務までまとめて委託できる点も特徴です。
3. エコミック 給与計算アウトソーシング(株式会社エコミック)

株式会社エコミックは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する給与計算アウトソーシングの専業会社です。給与・賞与計算、年末調整、住民税徴収額の更新を基本業務とし、有給休暇管理や通勤手当管理、マイナンバー収集代行などをオプションで組み合わせて委託できます。
委託範囲を企業ごとに設計する「オーダーメイド導入」と、用意されたテンプレートで短期間に始める「テンプレート導入」の2パターンから選べます。年末調整では、従業員がスマートフォンで証明書を撮影・送信して申告できるクラウド「簡単年調」を提供しています。
実績は公式サイト掲載の毎月550社・14万人の給与計算処理です。プライバシーマークとISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントの国際規格)を取得し、複数拠点によるバックアップ体制で業務停止のリスクを抑えています。
4. NOC給与計算アウトソーシング(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社/FOC)

NOC給与計算アウトソーシングは、芙蓉総合リースグループの芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社(FOC、旧NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社)が提供するサービスです。給与・賞与計算、住民税年度更新、年末調整、マイナンバー管理などを基本サービスとし、社会保険・労働保険の手続きはNOC社会保険労務士法人または提携する社労士事務所が担います。
勤怠管理や人事ワークフロー、従業員からの問い合わせ窓口、入退社対応はオプションで追加でき、自社開発のクラウド「SMART LINKシリーズ」との統合提供にも対応します。公式サイトでは30年・1,000社の業務改善実績を掲げています。
対応規模の目安は従業員300名以上で、300名以下も相談に応じるとしています。プライバシーマークのほか、ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)とISO 9001(品質マネジメント)を取得しています。
5. 給与計算代行(株式会社ビジネスブレイン太田昭和/BBS)

給与計算代行を提供する株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS)は、経営会計コンサルティングやBPOを手がける会社です。経理・財務BPOと人事給与BPOを扱い、人事給与領域では「ビジネスプロセスフルアウトソーシング」を掲げて、給与計算を含む人事業務の運用ごと引き受けます。
BPO拠点は国内10拠点・海外1拠点に広がり、公認会計士・税理士や上場企業での経理経験者が運用にあたります。公式サイトには、オリンパスなど大企業・上場企業の人事給与BPO事例が掲載されています。
委託前には、BPOセンターの視察を含む無料相談会や、対象業務を精査する有料の業務調査を用意しています。料金は委託する業務範囲に応じた個別見積もりです。
6. MHCトリプルウィン(MHCトリプルウィン株式会社)

MHCトリプルウィン株式会社は、三菱HCキャピタルグループで給与計算・人事BPOを専業とする会社です(旧・日立トリプルウィン株式会社、2021年7月に商号変更)。給与・賞与計算から年末調整、住民税処理、入退社の身上異動管理までを受託し、社会保険・労働保険の手続きは提携する社会保険労務士と契約して進めます。
委託の形は、上流工程から受託する「オーダーメイド型」、コア業務を標準化した「パッケージ型(GrowAssist給与計算)」、システム環境を提供する「SaaS型」の3方式から選べます。人事給与システム「POSITIVE」や就業管理システム「LYSITHEA」を既に使っている企業は、そのまま運用を引き継げます。
プライバシーマーク・ISO/IEC 27001・SOC1®Type2報告書を取得し、日立グループのデータセンターに専用サーバを設置して24時間365日監視する体制です。本稼働までの導入期間は平均6か月程度としています。
7. COMIT HR(株式会社InfoDeliver)

COMIT HRは、株式会社InfoDeliverが提供する人事労務BPOサービスです。給与計算を基盤に、勤怠管理・社会保険手続き・年末調整・入退社手続き・従業員からの問い合わせ対応までを、委託したい業務を組み合わせて利用できます。
社会保険の申請・手続き代理は提携する社会保険労務士法人が、年末調整に伴う法定調書の電子申告は提携税理士法人が担います。勤怠・給与システムの移行支援にも対応し、JobcanやKing of Time、マネーフォワード クラウドなどからの乗り換え実績があります。
公式サイトには、対象人数や業務件数を入力して概算費用を試算できる価格シミュレーションがあり、委託前にコスト感を確認できます。公式の導入事例は従業員400〜1,100名規模の企業が中心です。
8. 給与計算アウトソーシング(アクタス社会保険労務士法人)

アクタスの給与計算アウトソーシングは、社会保険労務士法人であるアクタス社会保険労務士法人が契約主体となって提供する点に特徴があります。給与・賞与計算に加え、社会保険労務士の独占業務である社会保険・労働保険の手続き代理まで自法人で受託し、年末調整やマイナンバー管理、外国人従業員の国際税務にも対応します。
給与計算だけ・社会保険手続きだけといった業務単位の部分委託にも応じます。導入時はグループのアクタスITコンサルティング株式会社がシステム構築に伴走し、稼働開始までの目安は約3か月です。
給与奉行クラウドのBPaaS(業務とシステムを一体で提供する形態)認定事業者で、RPA(定型業務の自動化ツール)やクラウドを使った定型業務の処理に対応します。情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001とプライバシーマークを取得しています。
9. 給与計算アウトソーシング(株式会社トライアンフ)

組織・人事・採用領域のコンサルティングとアウトソーシングを手がける株式会社トライアンフ(PKSHA Technologyグループ)が提供するサービスです。給与計算に加え、従業員からの問い合わせに応じる社員窓口、年末調整、マイナンバー管理までまとめて委託でき、社会保険関連の手続きは提携する社会保険労務士法人が担当します。
運用プロセスは1社ごとに設計し、顧客ごとに原則2名以上の担当者が固定でつく体制を敷いています。給与計算システムの指定はなく、既存の勤怠システムやマイナンバーシステムとの連携に対応します。
公式サイトでは、従業員1,000名未満の企業を主な対象として、社員窓口まで含めたフルアウトソーシングを提供すると説明しています。
10. 給与計算アウトソーシング(社会保険労務士法人イージーネット)

社会保険労務士法人イージーネットが運営する給与計算アウトソーシングは、毎月発生する労務業務の代行に対応します。月次の給与・賞与計算、年末調整、住民税の年度更新に加え、社会保険労務士法人を併設しているため、資格取得・喪失などの社会保険手続きや助成金申請まで請け負います。
勤怠データの吸い上げから給与計算、Web明細の発行までを一貫して引き受け、マイナンバー管理にも対応します。対応規模は従業員100〜300名を中心に、最大5,000名規模まで想定しています。
公式サイトでは、従業員数と委託したい業務を選ぶと概算の見積もりを取得できます。
給与計算システムも含めて任せるシステム一体型
11. ラクラス(ラクラス株式会社)

ラクラスは、総合人材サービスのパーソルグループに属するラクラス株式会社が提供する、クラウド型の人事管理システム「Tokiwagi(常盤木)」と業務代行を組み合わせた人事BPaaSです。給与計算に加え、社会保険手続き・年末調整・入退社手続き・勤怠管理まで、労務領域の業務をシステムと運用の両面でまとめて委託できます。
対象は従業員1,000名以上の大企業が中心で、公式サイトには受託実績として760社・86万人以上と記載されています。公開されている導入事例では、受託人数が1,700名から22,300名規模の企業まで並びます。
対応する業務は給与計算・社会保険手続き・年末調整・入退社手続き・勤怠管理で、記帳や請求といった経理業務は対象外です。社会保険労務士・税理士の独占業務は提携先との別契約で担う仕組みのため、どこまでをまとめて任せられるかは事前に確認しておくとよいでしょう。従業員からの問い合わせに応じるコンタクトセンターも備えています。
12. PROSRV(三菱総研DCS株式会社)

PROSRVは、三菱総研DCS株式会社が1970年の創業以来、主力事業のひとつとして給与計算サービスを提供してきたシステム一体型のサービスです。クラウド型の人事給与システム「PROSRV on Cloud」を軸に、月々の人事給与事務を代行する月例事務サービスと、年末調整などを代行するスポット事務サービスを組み合わせて提供します。
システムのみの導入から人事給与業務全般の委託まで、予算や検討段階に応じて委託範囲を段階的に広げられる点が特徴です。導入社数は約2,000社、月間の給与処理人数は55万人と公式サイトに記載されています。
社会保険ではマイナポータルAPIに対応し、算定基礎届や月額変更届など健康保険・厚生年金保険の5帳票を電子申請できます。サポートは専門スタッフ400人以上の体制で、電話受付は平日9時から17時30分までです。
13. 給与DX(株式会社エムザス)

給与業務のアウトソーシングと、kintoneアプリ「EMクラウド」を使ったデジタル化を一体で進められるのが、株式会社エムザスの「給与DX」です。給与・賞与計算の代行と、現場とのデータ共有・業務改善をセットで提供します。
給与計算とシステムの両方を本業として約20年の実績があり、従業員4,000名規模までの給与・賞与計算に対応します。給与業務のDXに向けた診断・計画・企画の相談にも、継続顧問型とプロジェクト型で応じています。
大手に給与計算を委託する費用の考え方と料金体系
大手の給与計算代行の料金は、従業員数・委託する業務範囲・処理の頻度によって変わるため、公表されている定価は多くありません。料金体系はおおむね次の3つに分かれます。

- 従量課金制:基本料金に加え、従業員1名あたりの単価を従業員数に応じて支払う。従業員数が多いほど総額は上がるが、1名あたりの単価は規模が大きいほど下がる傾向があります。
- 月額固定制:一定の処理量までを定額で契約する。処理量が安定している企業で見通しを立てやすい体系です。
- スポット・部分委託:年末調整や繁忙期だけなど、特定の業務・時期に限って委託する。通年の全面委託より対象を絞った契約です。
大手が対象とする数百名〜数千名規模では、自社固有の給与体系や連携するシステムによって見積もりが変わるため、多くの会社が個別見積もりとなります。委託範囲(給与計算のみか、年末調整・社会保険手続きまでか)と、問い合わせ窓口やシステム利用の有無を揃えたうえで、複数社の資料を取り寄せて料金体系を比べると、自社の条件での費用感を把握しやすくなります。
大手に給与計算を委託するメリット
大手の給与計算代行に委託することで、次のような効果が期待できます。
- コストの最適化:給与計算の専任担当者の人件費や、給与システムの保守費用を抑えられます。大量処理の実績がある大手では、規模に応じた効率的な運用が見込めます。
- 法改正への追従:税率や社会保険料率、各種制度の改正に、委託先の運用で対応できます。自社で改正内容を追い続ける負担が軽くなります。
- 属人化・異動リスクの解消:チームで運用する委託先に任せることで、担当者の異動・退職があっても給与計算が止まりにくくなります。
- コンプライアンスの強化:専門の体制による処理で、計算ミスや手続きの漏れを防ぎやすくなります。
- コア業務への集中:定型的な計算業務を外部に移すことで、限られた人材を採用・制度設計などの業務に振り向けられます。
大手への委託で押さえたい注意点
一方で、委託する前に理解しておきたい点もあります。導入後に想定と食い違わないよう、次の点を確認しておきます。
- 急な例外対応に時間がかかることがある:イレギュラーな計算や急ぎの変更は、社内で処理する場合より委託先とのやり取りの分だけ時間を要することがあります。
- 社内にノウハウが蓄積されにくい:計算業務を外部に任せる分、給与計算の知識や経験が社内に残りにくくなります。
- 個人情報を外部に預けるリスク:従業員の重要な個人情報を委託先に渡すため、セキュリティ認証の取得状況やデータの取り扱い方法を事前に確認する必要があります。
- 自社独自ルールのカスタマイズに限界がある場合がある:委託先の標準的な処理の枠を超える要件は、対応できる範囲が会社ごとに異なります。
大手が給与計算代行を導入するまでの流れ
給与計算代行の導入は、おおむね次の順で進みます。大手では給与体系が複雑なため、現状の整理とテスト稼働に時間をかけるのが一般的です。
- 現状の給与計算業務の課題と、委託で解決したい目的を整理する
- 給与計算のみか、年末調整・社会保険手続きまでかなど、委託する業務範囲を明確にする
- 複数社の資料を取り寄せ、対応規模・実績・料金体系を比較して候補を絞る
- 既存の計算結果と委託先の計算結果を突き合わせるテスト稼働(並行運用)を行う
- 問題がないことを確認して本稼働に移行する
導入までの期間は一般的に2〜3か月程度ですが、従業員規模が大きくシステム移行を伴う場合は、半年から1年ほどかかることもあります。繁忙期や年度の切り替えを避けて、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
まとめ
大手の給与計算代行を選ぶときは、料金の安さよりも、自社の複雑な給与体系や従業員規模に安定して対応できるかを軸に見極めることが大切です。対応できる従業員規模・導入実績・委託できる業務範囲・セキュリティ認証・料金体系を横並びで比べ、既存システムを使い続けるか、システムごと見直すかもあわせて検討すると、自社に合う委託先が絞り込めます。
気になる会社が見つかったら、委託範囲や料金体系を揃えて複数社の資料を取り寄せ、具体的な条件で比較してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 給与計算代行と給与計算アウトソーシング、BPOに違いはありますか?
A. 給与計算代行・給与計算アウトソーシング・BPOは、いずれも給与計算業務を外部の専門会社に委託することを指し、ほぼ同じ意味で使われます。厳密には、年末調整など特定の業務をその都度請け負う「代行」と、給与計算を含む人事労務業務の運用全体を継続的に引き受ける「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」を区別して呼ぶ場合があります。
従業員数の多い大手向けでは、給与計算に加えて社会保険手続きや従業員からの問い合わせ窓口までまとめて引き受けるBPO型の委託が中心になります。
Q. 給与計算代行の利用は違法ではないですか?
A. 給与計算そのものを外部の会社に委託すること自体は違法ではなく、特別な資格も必要ありません。ただし、給与計算に付随する社会保険・労働保険の手続き(申請書等の作成・提出代行)は社会保険労務士、年末調整に伴う税務書類の作成・税務代理は税理士の独占業務とされ、資格を持たない者が報酬を得て業として行うことは法律で制限されています。
そのため、大手の給与計算代行会社はこれらの手続きを、提携する社会保険労務士・税理士と連携して提供するのが一般的です。社会保険手続きや年末調整までまとめて委託したい場合は、提携士業を含めた対応体制を事前に確認しておくとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
Q. 大手の給与計算代行にはどこまでの業務を委託できますか?
A. 給与・賞与計算を基本に、年末調整・住民税の年度更新・給与明細の発行・振込データの作成のほか、社会保険手続きや従業員からの問い合わせ窓口まで幅広く委託できます。委託できる範囲は会社やプランによって異なり、給与計算だけを任せる部分委託から、人事労務の運用全体をまとめて任せるフルアウトソーシングまで選べます。
繁忙期の年末調整だけを依頼するといったスポット委託に対応する会社もあるため、自社が任せたい範囲を整理したうえで、各社の対応範囲を確認するとよいでしょう。
Q. グループ会社の給与や海外拠点を含めて、1社にまとめて委託できますか?
A. 多くの大手の給与計算代行は、複数のグループ会社をまとめた給与計算に対応しており、海外拠点を含む給与計算に対応する会社もあります。グループ会社ごとに締め日・支給日・就業規則が異なる場合でも、全体のデータを一元的に扱える体制を持つ会社を選べば、グループ横断でまとめて委託できます。
ただし、海外拠点の給与や多通貨への対応は会社によって差があります。対象の国・地域や通貨、まとめたいグループ会社の数を整理したうえで、各社が対応できる範囲を確認しておきましょう。
Q. 大手に給与計算を委託する場合、導入期間はどれくらいかかりますか?
A. 導入までの期間は一般的に2〜3か月程度ですが、従業員規模が大きくシステム移行を伴う場合は、半年から1年ほどかかることもあります。大手は給与体系が複雑なため、現状業務の整理や、既存の計算結果と委託先の計算結果を突き合わせるテスト稼働(並行運用)に時間をかけるのが一般的です。繁忙期や年度の切り替えを避け、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
Q. 大手の給与計算代行に預ける個人情報の安全性はどう確認すればよいですか?
A. 第三者機関による認証の取得状況を確認することが、客観的な判断材料になります。具体的には、情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISMS(ISO/IEC 27001)や、個人情報の適切な取り扱いを示すプライバシーマークを取得しているかを確認します。
給与計算の委託では、従業員の氏名・住所・口座情報・給与額といった重要な個人情報を外部に預けるため、認証の有無にあわせて、データの受け渡し方法やアクセス権限の管理方法も把握しておくと、より確実に判断できます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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