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【令和8年度】社会保険料率改定を一覧で解説|都道府県別の健康保険料率・介護・子ども・子育て支援金と適用時期

【令和8年度】社会保険料率改定のサムネイル画像
給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)のプレビュー

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給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)

給与計算を担当していると、年度が替わるたびに社会保険料率の改定を給与へ反映する作業が発生します。令和8年度(2026年度)は、協会けんぽの健康保険料率が都道府県ごとに見直され、介護保険料率が引き上げられたうえ、新たに子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。

本記事では、令和8年度の社会保険料率の確定値を、協会けんぽの都道府県別一覧で確認できる形で整理します。あわせて、いつの給与から控除額を変えるのか(適用開始の時期と、当月徴収・翌月徴収による給与への反映月のずれ)、計算方法と本人負担の目安、料率改定と前後して確認したい実務までを解説します。

来月の給与計算に向けて今年度の料率をそのまま使える形で押さえたい担当者の方に向けて、確定値と適用時期を先に示し、計算と実務の順に進みます。

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【令和8年度】社会保険料率改定の確定値一覧

ここからは、令和8年度の社会保険料率の確定値を、健康保険・介護保険・厚生年金・子ども・子育て支援金の順に確認します。給与計算で使うのは全国平均ではなく自社の加入先の値なので、協会けんぽ加入の場合は都道府県別の一覧から自社の支部を見てください。

まず、令和8年度に何がどう変わるのかを保険の種類ごとに整理すると、次のとおりです。

令和8年度の社会保険料率改定の全体像。健康保険料率は全国平均9.90%で40都道府県が引き下げ・7県据え置き、介護保険料率は1.59%から1.62%へ引き上げ、厚生年金保険料率は18.3%で据え置き、子ども・子育て支援金0.23%が新設されたことを保険の種類ごとに示した図。

健康保険料率(協会けんぽ・都道府県別)

協会けんぽ(全国健康保険協会)の健康保険料率は、都道府県の支部ごとに決まります。令和8年度の全国平均は前年度から0.1ポイント引き下げられて9.90%となりましたが、実際に給与計算で使うのは自社が加入する支部の料率です。

令和8年度は47都道府県のうち40都道府県で引き下げ、7県で据え置きとなり、引き上げはありませんでした。最も高いのは佐賀県の10.55%、最も低いのは新潟県の9.21%です。

下表は、協会けんぽが公表している令和8年度の都道府県単位保険料率(健康保険単体の率。介護保険料率と子ども・子育て支援金は含みません)を、令和7年度からの増減とともにまとめたものです。

都道府県令和7年度令和8年度増減(ポイント)
北海道10.31%10.28%-0.03
青森県9.85%9.85%±0(据え置き)
岩手県9.62%9.51%-0.11
宮城県10.11%10.10%-0.01
秋田県10.01%10.01%±0(据え置き)
山形県9.75%9.75%±0(据え置き)
福島県9.62%9.50%-0.12
茨城県9.67%9.52%-0.15
栃木県9.82%9.82%±0(据え置き)
群馬県9.77%9.68%-0.09
埼玉県9.76%9.67%-0.09
千葉県9.79%9.73%-0.06
東京都9.91%9.85%-0.06
神奈川県9.92%9.92%±0(据え置き)
新潟県9.55%9.21%-0.34
富山県9.65%9.59%-0.06
石川県9.88%9.70%-0.18
福井県9.94%9.71%-0.23
山梨県9.89%9.55%-0.34
長野県9.69%9.63%-0.06
岐阜県9.93%9.80%-0.13
静岡県9.80%9.61%-0.19
愛知県10.03%9.93%-0.10
三重県9.99%9.77%-0.22
滋賀県9.97%9.88%-0.09
京都府10.03%9.89%-0.14
大阪府10.24%10.13%-0.11
兵庫県10.16%10.12%-0.04
奈良県10.02%9.91%-0.11
和歌山県10.19%10.06%-0.13
鳥取県9.93%9.86%-0.07
島根県9.94%9.94%±0(据え置き)
岡山県10.17%10.05%-0.12
広島県9.97%9.78%-0.19
山口県10.36%10.15%-0.21
徳島県10.47%10.24%-0.23
香川県10.21%10.02%-0.19
愛媛県10.18%9.98%-0.20
高知県10.13%10.05%-0.08
福岡県10.31%10.11%-0.20
佐賀県10.78%10.55%-0.23
長崎県10.41%10.06%-0.35
熊本県10.12%10.08%-0.04
大分県10.25%10.08%-0.17
宮崎県10.09%9.77%-0.32
鹿児島県10.31%10.13%-0.18
沖縄県9.44%9.44%±0(据え置き)
令和8年度 協会けんぽ 都道府県単位保険料率(健康保険単体の率。増減は令和7年度との差=ポイント。介護保険料率・子ども・子育て支援金は全国一律のため別掲)

この率は労使折半のため、従業員の給与から控除する本人負担分は表の率の半分です。健康保険組合に加入している場合は料率が協会けんぽと異なるため、自社が加入する組合の料率表で確認してください(後述)。

出典・参考資料(2件)

介護保険料率 1.62%(40〜64歳・全国一律)

介護保険料率は、40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に対して、健康保険料に上乗せして徴収します。令和8年度は全国一律で1.62%です。

前年度(令和7年度)の1.59%から0.03ポイント引き上げられており、都道府県による差はありません。協会けんぽの都道府県別料率ページでも、40歳から64歳までの被保険者には、健康保険料率と子ども・子育て支援金に加えて全国一律の介護保険料率1.62%が加わると案内されています。

出典・参考資料(2件)

厚生年金保険料率 18.3%(据え置き)

厚生年金保険料率は、令和8年度も18.3%で変わりません。平成16年の年金制度改正で段階的に引き上げたのち、平成29年9月分(10月納付分)以降は18.3%で固定されています(保険料水準固定方式)。全国一律で、都道府県による差はありません。労使折半のため本人負担分は9.15%です。日本年金機構が公表する令和8年度の保険料額表にも、次のとおり記載されています。

厚生年金保険料率(平成29年9月1日~ 適用) 一般・坑内員・船員の被保険者等 …18.300%

出典:保険料額表(令和2年9月分~)|日本年金機構

この料率表は平成29年以降の固定値を示すもので、保険料水準固定方式により令和8年度の保険料額表にも同じ18.300%が掲載されています。

【新設】子ども・子育て支援金 0.23%

令和8年度から、子ども・子育て支援金の徴収が新たに始まりました。被用者保険(健康保険・厚生年金に加入する会社員などの保険)では、国が示す全国一律の支援金率0.23%を、健康保険料に上乗せして徴収します。負担は労使折半で、従業員の本人負担は標準報酬月額に0.23%を掛けた額の半分(0.115%相当)です。こども家庭庁は、支援金について次のように説明しています。

被用者保険については、国が一律の支援金率(保険料率)を示すこととしており、R8年度の一律の支援金率は0.23%です。また、基本的に支援金額の半分は企業が負担いたします。したがって、実際の支援金額(月額)は、個人の給与明細に記載されている標準報酬月額に0.0023を乗じた金額の半分の額になります。令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より拠出いただきます。

出典:子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁

支援金は賞与(標準賞与額)からも徴収され、育児休業中は免除されます。健康保険料に上乗せする形のため、協会けんぽ加入か健康保険組合加入かにかかわらず、被用者保険では令和8年度の率0.23%が適用されます。支援金率は今後、制度が本格的に運用される段階に向けて段階的に引き上げられる見込みですが、令和8年度に給与計算で使う率は0.23%です。

健康保険組合に加入している場合の料率確認

自社が協会けんぽではなく健康保険組合に加入している場合、健康保険料率は組合ごとに独自に決められているため、上記の協会けんぽの都道府県別料率は使えません。加入する組合が通知する令和8年度の料率表で、健康保険料率と労使の負担割合(組合によっては折半でない場合があります)を確認してください。

一方で、子ども・子育て支援金率(0.23%)と厚生年金保険料率(18.3%)は被用者保険で共通のため、組合健保でもこの2つはそのまま確定できます。介護保険料率も原則は全国一律の1.62%ですが、組合が独自に設定しているケースもあるため、あわせて組合の料率を確かめます。組合健保で確認が必要になるのは、主に健康保険料率と労使の負担割合です。

令和7年度からの増減のまとめ

令和8年度の改定の方向を保険の種類ごとに整理すると、協会けんぽの健康保険料率は多くの支部で引き下げ(引き上げはなし)、介護保険料率は1.59%から1.62%へ引き上げ、厚生年金保険料率は18.3%で据え置き、そこに子ども・子育て支援金0.23%が新しく加わる、という形です。

健康保険料率が下がった支部でも、介護保険料率の引き上げと子ども・子育て支援金の新設が重なるため、40歳から64歳までの従業員では、控除額の合計が前年度より増えるケースがあります。合計でどう変わるかは、健康保険料率の下げ幅と、新設の支援金分(本人0.115%相当)を合わせて確認してください。

社会保険料率改定はいつから?適用時期と給与への反映月

確定値を押さえたら、次に気をつけたいのが「いつの給与から控除額を変えるか」です。令和8年度は、健康保険・介護保険と、新設の子ども・子育て支援金とで、変更のタイミングが1か月ずれます。ここを取り違えると、控除を1か月間違えてあとから訂正することになるため、2段階で設定を変える前提で確認します。

健保・介護は3月分(4月納付分)、支援金は4月分(5月納付分)から

協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率は、令和8年3月分(4月納付分)から新しい率に変わります。これに対して、新設の子ども・子育て支援金は令和8年4月分(5月納付分)から加わります。

協会けんぽの都道府県別料率ページでも、健康保険料率と介護保険料率は本年3月分(4月納付分)から、子ども・子育て支援金は令和8年4月分(5月納付分)から加わると案内されています。これにより、健康保険・介護保険の料率改定(3月分)と、支援金の追加(4月分)は、1か月ずれた2段階の変更になります。

ここでいう「○月分」はその月の保険料、「納付分」は事業主が納める月を指します。従業員の給与から実際に控除するタイミングは、事業所が当月徴収か翌月徴収かによって変わります。

令和8年度の社会保険料率改定が1か月ずれた2段階であることを示した図。STEP1として健康保険・介護保険の料率改定が令和8年3月分(4月納付分)から、STEP2として子ども・子育て支援金0.23%の追加が1か月後の令和8年4月分(5月納付分)から適用されることを示す。
出典・参考資料(2件)

当月徴収・翌月徴収で給与の控除月がどうずれるか

社会保険料を前月分の保険料として当月の給与から控除する「翌月徴収」の事業所は、3月分の保険料を4月支給の給与から控除します。この場合、健康保険・介護保険の新料率は4月支給分の給与から反映し、子ども・子育て支援金(4月分)は5月支給分の給与から反映します。こども家庭庁の案内も、支援金は令和8年4月保険料を5月に給与天引きすると、翌月徴収を前提に説明しています。

一方、その月の保険料をその月の給与から控除する「当月徴収」の事業所は、控除月が1か月前倒しになります。健康保険・介護保険は3月支給分から、支援金は4月支給分から新しい内容で控除します。自社が当月徴収か翌月徴収かによって反映月が変わるため、まず自社の徴収方式を確認したうえで、健保・介護と支援金の2段階で反映月を決めてください。

徴収方式健康保険・介護保険(3月分)の反映子ども・子育て支援金(4月分)の反映
翌月徴収(前月分を当月給与から控除)4月支給の給与から5月支給の給与から
当月徴収(その月分をその月の給与から控除)3月支給の給与から4月支給の給与から
令和8年度の料率改定を給与へ反映する月(事業所の徴収方式別)
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社会保険料の計算方法と給与額別の本人負担シミュレーション

ここからは、料率を使った実際の計算方法と、給与額別の本人負担の目安を確認します。自社の支部の料率で計算し直すための考え方として読んでください。

標準報酬月額×料率・労使折半・端数処理

毎月の社会保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。標準報酬月額とは、基本給のほか役付手当・勤務地手当・家族手当・通勤手当・住宅手当・残業手当など、労働の対償として事業所から支給されるものを含めた毎月の報酬の月額を、区切りの良い幅で区分したものです。

この標準報酬月額に、健康保険料率・介護保険料率・子ども・子育て支援金率・厚生年金保険料率をそれぞれ掛け、労使で折半した額が、従業員の給与から控除する本人負担分になります。

給与から控除する本人負担率は、都道府県別一覧表で確認した自社支部の健康保険料率に全国一律の率を足して折半すると求められます。40歳から64歳までの従業員は「(支部の健康保険料率+介護1.62%+子ども・子育て支援金0.23%)÷2+厚生年金18.3%÷2」、40歳未満・65歳以上は介護1.62%を含めずに計算します。

折半した1円未満の端数は、給与から控除する場合、50銭以下は切り捨て、50銭を超えると切り上げて処理します(事業所が被保険者負担分を給与から控除する場合の原則的な取り扱い)。正確な額は、協会けんぽや日本年金機構が公表する保険料額表で、自社の支部・標準報酬月額の行を確認するのが確実です。

出典・参考資料(2件)

給与額(標準報酬月額)別の本人負担の目安

東京都の協会けんぽ(健康保険料率9.85%)に加入し、40歳から64歳までの従業員(介護保険第2号被保険者)の場合の、本人負担(労使折半後)の目安は次のとおりです。健康保険料・介護保険料(1.62%)・子ども・子育て支援金(0.23%)・厚生年金保険料(18.3%)を、それぞれ折半した概算額で示します。

標準報酬月額健康保険+介護+支援金(本人)厚生年金(本人)本人負担 合計(月額)
200,000円約11,700円約18,300円約30,000円
280,000円約16,380円約25,620円約42,000円
360,000円約21,060円約32,940円約54,000円
500,000円約29,250円約45,750円約75,000円
東京都・協会けんぽ・40〜64歳の場合の本人負担の目安(労使折半後の概算。健康保険料率9.85%で試算)

40歳未満または65歳以上の従業員は介護保険料がかからないため、上表から介護分(標準報酬月額の0.81%相当。200,000円なら約1,620円)を差し引いた額になります。健康保険料率は支部ごとに異なるので、自社が東京都以外の支部であれば、該当する支部の料率で計算し直してください。端数処理により1円単位で前後するため、給与計算では保険料額表の値を用いるのが確実です。

賞与(標準賞与額)への適用と年間の上限

賞与にも社会保険料がかかります。賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた「標準賞与額」に、毎月の給与と同じ保険料率(健康保険・介護・子ども・子育て支援金・厚生年金)を掛けて計算し、労使で折半します。令和8年度の料率改定は賞与にも同じように反映されるため、改定後に支給する賞与の計算でも新しい率を使います。

標準賞与額には上限が定められています。日本年金機構の案内によると、上限は保険の種類で単位が異なります。

標準賞与額の上限は、健康保険は年度(4月~翌年3月)の累計額573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円です。

出典:標準報酬月額・標準賞与額の決定・改定(賞与の届出)|日本年金機構

子ども・子育て支援金も健康保険料に上乗せして徴収するため、健康保険と同じ年度累計573万円の上限の範囲で計算します。厚生年金保険料は1か月あたり150万円を超える部分には保険料がかからないため、賞与額が大きい場合は上限の扱いにも注意してください。

給与計算ソフト・給与計算表の料率設定を更新する手順と2段階変更のチェックリスト

料率を把握したら、給与計算ソフトや自社の給与計算表に設定し直します。令和8年度は健康保険・介護保険と子ども・子育て支援金で変更の時期が1か月ずれるため、一度にすべてを変えるのではなく、2段階で設定を見直すのが確実です。手順の目安は次のとおりです。

  1. 自社が加入する健康保険(協会けんぽの支部、または健康保険組合)の令和8年度の健康保険料率を確認する。
  2. 介護保険料率(1.62%)を、40歳から64歳までの従業員に適用する設定になっているか確認する。
  3. 厚生年金保険料率(18.3%)は据え置きのため、設定変更は不要。念のため登録値を確認する。
  4. 健康保険料率・介護保険料率の改定(3月分=4月納付分)を、自社の徴収方式に合わせて正しい給与支給月から反映する。
  5. 子ども・子育て支援金(0.23%)は、健康保険・介護保険より1か月遅れ(4月分=5月納付分)で追加する。健康保険料に上乗せする設定になっているかを確認する。
  6. 更新後、本人負担額と事業主負担額を、保険料額表の値と1〜2名分で突き合わせて検算する。

クラウド型の給与計算ソフトの中には、健康保険料率や支援金率の改定に合わせて設定値が自動で更新されるものもあります。自社のソフトが自動更新に対応しているか、対応していない場合はどこで料率を設定するかを、改定前に確認しておくと、反映漏れや控除月の間違いを防げます。

料率の設定変更そのものを減らしたいなら、料率が自動で更新されるクラウド型の給与計算ソフトへの切り替えも選択肢になります。機能や料金をふまえた自社に合うソフトの選び方は、以下の記事で解説しています。

料率改定とあわせて確認したい、控除額・対象が変わるタイミングの実務

社会保険料は、料率が変わるときだけでなく、従業員ごとの標準報酬月額や加入資格が変わるときにも控除額が変わります。料率改定と前後して確認しておきたい実務を整理します。

標準報酬月額が変わる時期(定時決定・随時改定)

標準報酬月額は、毎年の定時決定(算定基礎届)で見直します。4月・5月・6月に支払った報酬をもとに標準報酬月額を決め直し、その年の9月分(原則10月納付分)から翌年8月分まで使います。算定基礎届は、例年6月中旬以降に用紙が順次送られ、7月10日が提出期限の目安です。

控除額に反映する時期も料率改定と同じ考え方です。たとえば定時決定で見直した標準報酬月額は9月分の保険料から適用されるため、翌月徴収の会社なら10月に支給する給与、当月徴収の会社なら9月に支給する給与の控除額から変わります。

昇給や降給などで報酬が大きく変わったときは、定時決定を待たずに随時改定(月額変更届)で標準報酬月額を見直します。固定的賃金の変動があった月から3か月間の報酬の平均が、それまでの標準報酬月額と2等級以上変わった場合などが対象です。料率改定とは別のタイミングで控除額が変わるため、該当する従業員がいないかを合わせて確認します。

出典・参考資料(3件)

40歳到達・65歳到達による介護保険料の控除開始・終了

介護保険料(1.62%)は、40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者が対象です。従業員が40歳に到達すると介護保険料の控除が始まり、65歳に到達すると給与からの控除は終了します。

資格の起算は「到達日=誕生日の前日」で考えます。40歳の誕生日が月の初日の従業員は前月に40歳到達とみなされる扱いになるため、介護保険料の控除開始月を1か月間違えやすい点に注意してください。

65歳到達後は、介護保険料は原則として市区町村が年金からの天引きなどで徴収する形に切り替わり、給与からの控除は行いません。料率改定の設定と合わせて、年度内に40歳・65歳に到達する従業員の控除開始・終了も確認しておくと、過不足を防げます。

出典・参考資料(1件)

厚生年金の標準報酬月額の上限引き上げ(2027年以降)

厚生年金保険の標準報酬月額には上限があり、現在は32等級の65万円が上限です(令和2年9月分から)。令和7年の年金制度改正により、この上限は2027年(令和9年)以降に段階的に引き上げられる予定です。料率そのものの改定ではありませんが、上限に近い報酬の従業員がいる場合は、将来の控除額に影響するため、改正の施行時期とあわせて把握しておくとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

2026年「10月」の社会保険の話題は料率改定ではない

令和8年度は、社会保険料率の改定(4月)とは別に、2026年「10月」をキーワードにした制度改正の話題がいくつか重なります。これらは保険料率の改定ではなく、加入対象や別の制度の変更です。料率改定と混同して給与計算の控除額を直さないよう、内容を切り分けておきます。

社会保険の適用拡大(賃金要件の撤廃):短時間労働者が社会保険に加入する要件のうち、月額8.8万円(年収106万円相当)という賃金要件が、2026年10月1日に撤廃されます。これは保険料率の変更ではなく、加入する人の範囲(被保険者の対象)の拡大です。企業規模の要件は10年をかけて段階的に撤廃される別の見直しで、すべての適用拡大が2026年10月に完了するわけではありません。

保険料調整制度の開始:日本年金機構は、2026年10月1日以降に新たに任意特定適用事業所(短時間労働者の社会保険加入を任意で選んだ事業所)となった事業所を対象に、短時間労働者の就業調整を防ぐための保険料調整制度を始めました。制度の利用から通算3年間、対象となる従業員の社会保険料を軽減する仕組みで、料率の改定とは異なります。

カスタマーハラスメント対策の義務化:2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策などが全事業主に義務化されます。社会保険とは別の労働施策の改正ですが、同じ時期の「2026年10月」の話題として語られることがあります。給与計算の料率とは無関係です。

給与計算で控除額を直す必要があるのは、あくまで4月の料率改定(健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金)です。10月の話題は、加入対象の拡大や別制度の変更として分けて把握してください。

出典・参考資料(3件)

毎年の料率改定・2段階変更・算定基礎届の負担を軽くする方法

社会保険料率は毎年のように見直され、令和8年度のように健康保険・介護保険と子ども・子育て支援金で変更時期がずれる年もあります。さらに、算定基礎届による定時決定や随時改定、40歳・65歳到達の判定など、給与計算には年間を通じて細かな確認作業が続きます。これらの反映や確認を自社だけで抱えるのが難しい場合は、給与計算を外部に委託するという方法があります。

給与計算をアウトソーシングすると、毎月の給与計算に含まれる社会保険料の控除計算を委託先が担うため、料率改定の反映や2段階の設定変更を任せられます。ここでは、給与計算を委託範囲に含むサービスを紹介します。委託できる業務の範囲はサービスによって異なるため、社会保険の手続き(届出)まで任せたいか、給与計算だけを任せたいかで選び方が変わります。

以下は、給与計算を委託できるサービスの比較表です。

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サービス名Wheat AccountingTenbook(テンブック)マネーフォワード おまかせ経理
給与計算の委託●標準で対応△オプション対応●標準で対応
賞与計算△オプション対応△オプション対応●標準で対応
社会保険の手続き・届出△連携社労士が対応×公式に記載なし×公式に記載なし
料金体系月額30,000円〜(規模別3プラン)
初期費用:要問い合わせ
月額29,500円〜(免税)/43,500円〜(課税)
初期費用:0円
個別見積もり
(従業員5名で月額10万円の例)
提供形態経理アウトソーシング
オンライン完結・全国対応
経理代行+自社会計ソフト「10book」を無料提供
オンライン完結・全国対応
経理BPO(マネーフォワード クラウド前提)
実務はグループ会社キャシュモが対応
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※料金・委託範囲は2026年10月時点の各社公式情報によります。最新の内容は各社の公式サイトでご確認ください。

ここで挙げた3サービスのほかにも、給与計算を委託できるサービスは数多くあります。委託できる業務の範囲や料金体系、自社の従業員規模に合った選び方まで比べて検討したい場合は、以下の記事で給与計算アウトソーシングを詳しく解説しています。

1. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingのウェブサイト

株式会社Wheatが提供する、記帳・請求書発行・経費精算・振込対応・給与計算・月次決算まで経理業務全般を代行する経理アウトソーシングサービスです。給与計算を基本業務に含み、社会保険や労務の手続きについては連携する社会保険労務士とともに対応する体制をとっています。

過去のやり方にツールを後付けするのではなく、クラウド会計を活かせるように業務フローをゼロから設計し、その設計に沿って実運用まで担う点を特徴としています。経理を含めたバックオフィス全体をまとめて任せたい中小企業・スタートアップに向いています。

給与計算を委託することで実務の負担がどの程度変わるかについて、同社代表取締役の佃誠吾氏は、ある企業の給与計算業務を引き継いだ事例を次のように挙げています。

佃誠吾氏
株式会社Wheat 代表取締役
佃誠吾氏
独自インタビューより

業務効率化の事例としては、従業員100名規模のお客様で、Excelを用いた手作業で、完了までに1週間を要していた給与計算業務の事例です。システムの最適化と人員配置の再設計を徹底した結果、2〜3日での完了を実現。コスト・工数ともに50%以上の削減に繋がりました。これは個人のスキルに頼るのではなく、業務プロセスを正しく組み立て直したことによる成果です。

2. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)のウェブサイト

公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービス株式会社が、自社開発のクラウド会計ソフト「10book」を活用して、記帳から決算・税務申告までをオンライン完結で代行するサービスです。経理専任者を置かない中小企業・スタートアップ向けに、原則3名のチーム体制で対応します。

月額料金は免税事業者で29,500円から、課税事業者で43,500円から(いずれも税別)で、記帳・決算書作成・税務相談・申告書作成を含みます。給与計算・賞与計算・年末調整はオプションでの対応となるため、給与計算も任せたい場合は対応範囲を確認するとよいでしょう。

3. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理のウェブサイト

「マネーフォワード クラウド」の導入支援から記帳代行・請求書発行・支払管理・入金消込・給与計算・賞与計算・税金納付・月次試算表作成までをオンラインで一括対応する、中小企業向けの経理BPO(経理業務の外部委託)サービスです。実務はグループ会社の株式会社キャシュモが担い、マネーフォワードのクラウドサービスとキャシュモの経理BPOのノウハウを組み合わせて提供しています。

給与計算・賞与計算を委託範囲に含みます。年末調整や住民税の特別徴収手続きなど給与関連の個別業務が範囲に含まれるかは公式ページに明記がないため、必要な業務が対応範囲かを問い合わせて確認してください。サービスの利用には「マネーフォワード クラウド」への切り替えが前提となります。料金は業務内容・業務量に応じた個別見積もりです。

まとめ

令和8年度の社会保険料率改定は、協会けんぽの健康保険料率が都道府県ごとに見直され(47都道府県のうち40都道府県で引き下げ、7県で据え置き)、介護保険料率が1.59%から1.62%へ引き上げ、厚生年金保険料率は18.3%で据え置き、新たに子ども・子育て支援金0.23%が加わる、という内容です。

給与計算で使うのは全国平均ではなく自社が加入する支部・組合の料率なので、都道府県別の一覧で自社の値を確認してください。

適用は、健康保険・介護保険が3月分(4月納付分)から、子ども・子育て支援金が4月分(5月納付分)からと1か月ずれるため、2段階で設定を変える前提で進めるのが確実です。実際に給与へ反映する月は、当月徴収か翌月徴収かで変わります。毎年の料率改定や2段階の変更、算定基礎届などの負担が大きい場合は、給与計算を外部に委託して反映作業を任せる方法も検討してみてください。

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社会保険料率改定に関するよくある質問(FAQ)

Q. 自社が当月徴収か翌月徴収かは、どうやって見分ければよいですか?

A. 社会保険料の徴収方式は、入社後の給与明細で保険料がいつの給与から控除され始めたかを見れば判別できます。入社した月の給与からすぐに保険料が引かれていれば当月徴収、翌月の給与から引かれ始めていれば翌月徴収です。

法律上は前月分の保険料を当月の給与から控除するのが原則のため、多くの事業所は翌月徴収をとっています。給与規程や賃金規程に徴収方式が明記されている場合もあるため、料率改定の反映月を決める前に自社の方式を確かめてください。

Q. 子ども・子育て支援金は、これまでの子ども・子育て拠出金と何が違うのですか?

A. 子ども・子育て支援金は、令和8年度から新しく始まった労使折半の負担で、従業員の給与からも控除される点が、全額を事業主が負担する従来の子ども・子育て拠出金と異なります。拠出金は厚生年金の適用事業所が全額を負担し、従業員の給与からは差し引かれません。

一方、支援金は健康保険料に上乗せして徴収し、負担を労使で折半するため、従業員の本人負担分(令和8年度は0.115%相当)を給与から控除します。給与計算では、拠出金とは別に支援金の控除を設定する必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 料率改定の反映を1か月間違えて控除してしまった場合はどうすればよいですか?

A. 控除月を間違えた場合は、過不足となった保険料を翌月以降の給与で精算して調整します。本来より多く控除していたときは差額を返金し、不足していたときは不足分を追加で控除します。

事業主が年金事務所へ納める保険料は正しい「○月分」で計算されるため、納付額と給与からの控除額がずれないよう、どの月分の料率を反映したかを給与明細と突き合わせて確認してください。処理の仕方に迷う場合は、管轄の年金事務所や顧問の社会保険労務士に確認すると確実です。

Q. 令和9年度(来年度)の社会保険料率はいつ確認できますか?

A. 協会けんぽの翌年度の健康保険料率・介護保険料率は、例年2月から3月ごろに公表され、3月分(4月納付分)から改定されます。令和8年度と同じく、新年度の料率が公表されたら、協会けんぽの都道府県単位保険料率ページで自社支部の値を確認し、給与計算ソフトや給与計算表の設定を改定月に合わせて更新します。

子ども・子育て支援金率は段階的な引き上げが見込まれているため、年度が替わるたびに最新の率もあわせて確認してください。

Q. 雇用保険料率も4月の社会保険料率改定で変わりますか?

A. 雇用保険料率は、健康保険・厚生年金などの社会保険とは別の労働保険の料率で、厚生労働省が年度ごとに定めます。本記事で扱う協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率・厚生年金保険料率・子ども・子育て支援金とは制度が異なり、改定の有無や幅も別に決まります。

雇用保険料率は例年4月に改定されるため、給与計算では社会保険の料率改定とあわせて、その年度の雇用保険料率を厚生労働省の公表で確認して設定してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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