2026年1月1日、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が改正され、新たに「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」として施行されています。
既に下請法対応を回している委託事業者にとっての要点は、法律名称の刷新から適用対象拡大・面的執行の強化まで6点にわたります。
目次
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2026年の下請法改正で変わる6つの点
2026年1月1日に施行された改正法(新法名:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律、略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)で変わった主な点は、以下の6つです。
- 法律名称と関連用語の刷新:法律名が「下請代金支払遅延等防止法」から「中小受託取引適正化法(取適法)」へ変更されました。「親事業者→委託事業者」「下請事業者→中小受託事業者」「下請代金→製造委託等代金」に用語も置き換わっています。
- 適用対象の拡大(従業員基準の追加):従来の資本金基準に加え、「常時使用する従業員数」による基準(製造委託等300人・役務提供委託等100人)が追加されました。資本金・従業員数のいずれかを満たせば適用対象となるため、これまで対象外だった取引が新たに規制対象となる可能性があります。
- 特定運送委託の追加:対象取引に「特定運送委託」(販売・製造・修理・情報成果物作成の目的物を第三者に運送させる委託)が加わりました。従来は独占禁止法の物流特殊指定でしか捕捉できなかった発荷主から元請運送事業者への委託が、取適法の対象となっています。
- 価格協議義務の明文化と「協議に応じない一方的な代金決定」の禁止:中小受託事業者が費用変動を理由に代金の協議を求めたにもかかわらず、協議に応じず、必要な説明・情報提供もせずに一方的に代金額を決定する行為が、新第5条第2項第4号として明示的に禁止されました。
- 手形払い等の禁止:約束手形での支払いが本法上の支払手段として認められなくなりました。電子記録債権・ファクタリング等も、支払期日までに代金相当額の金銭を得ることが困難な場合は違法(支払遅延に該当)となります。
- 面的執行の強化:従来の公正取引委員会・中小企業庁長官に加え、事業所管省庁の主務大臣が指導・助言・報告徴収・立入検査を行える体制になりました。中小受託事業者の申告先(報復措置禁止の申告先)にも事業所管大臣が追加されています。
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施行日はいつから?(令和8年=2026年1月1日)
改正法の施行日は令和8年(2026年)1月1日です。改正法は令和7年に公布されており、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日として、2026年1月1日が施行期日として指定されました。
この日以降に行われた取引から、新法(取適法)が全面的に適用されています。施行日前に行われた取引については、附則の経過措置により従前の下請法(下請代金支払遅延等防止法)の規定によることとされています。
この法律は、令和八年一月一日から施行する。ただし、附則第五条の規定は、公布の日から施行する。
出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 附則|e-Gov法令検索
旧法(下請法)と新法(取適法)の差分対照表
改正の全体像を、6つの軸(用語・適用基準・対象取引・禁止行為の追加・支払手段・執行体制)で旧法と新法を並べて整理します。
| 軸 | 用語 | 適用基準 | 対象取引 | 禁止行為の追加 | 支払手段 | 執行体制 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 旧法(下請代金支払遅延等防止法) | 親事業者/下請事業者/下請代金 | 資本金基準のみ (3億円・1千万円・5千万円) | 製造委託/修理委託/情報成果物作成委託/役務提供委託(4類型) | 受領拒否・支払遅延・減額・返品・買いたたきなど11項目(従前) | 約束手形払いを認める(60日以内の満期・割引困難でないことが条件) | 公正取引委員会・中小企業庁 |
| 新法(中小受託取引適正化法/取適法) | 委託事業者/中小受託事業者/製造委託等代金 (新第2条第8項・第9項) | 資本金基準+従業員基準 (製造委託等300人/役務提供委託等100人)。いずれかを満たせば対象 | 上記4類型+特定運送委託(新第2条第5項)の5類型 | 「協議に応じない一方的な代金決定」を新設(新第5条第2項第4号)。11項目の号立てを整理 | 手形払い等を禁止(新第5条第1項第2号)。電子記録債権・ファクタリング等も割引困難な場合は違法 | 公取委・中企庁+事業所管省庁の主務大臣 (指導・助言・立入検査、新第8条・第12条) |
出典・参考資料(2件)
変更点①:法律名称と関連用語の見直し
法律の題名は「下請代金支払遅延等防止法」から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」へ変更されました。略称は「中小受託取引適正化法」、通称は「取適法(とりてきほう)」です。「下請」という言葉に含まれる主従関係のニュアンスを排し、取引の対等性を用語レベルで示す趣旨で見直されています。
これに伴い、法令上の当事者呼称も次のように置き換わっています。契約書・発注書・社内規程で当事者を旧呼称で書いている場合は、施行日以降の取引を対象とする文書から順次改訂が必要です。
- 親事業者 → 委託事業者(新第2条第8項)
- 下請事業者 → 中小受託事業者(新第2条第9項)
- 下請代金 → 製造委託等代金
出典・参考資料(1件)
変更点②:適用対象の拡大(従業員基準300人/100人の追加)
従来の資本金基準に加え、「常時使用する従業員数」による基準が新設されました。取引類型に応じて、委託事業者と中小受託事業者の要件は以下のとおりです。資本金基準と従業員基準のいずれかを満たせば取適法の適用対象となります。
これまでの資本金基準に加え、従業員数による基準(常時使用する従業員数300人(製造委託等の場合)又は100人(役務提供委託等の場合))が新たに追加されます。委託事業者・中小受託事業者が資本金基準又は従業員基準のいずれかの基準を満たす場合、取適法の適用対象となります。
出典:2026年1月から下請法が「取適法」に|政府広報オンライン
委託事業者・中小受託事業者の判定基準(資本金+従業員基準の併用)
取引類型ごとの判定基準は次のとおりです。委託事業者側の要件と中小受託事業者側の要件が一組(ペア)で成立し、両方が満たされる場合に取適法が適用されます。
| 取引類型 | 委託事業者(発注側) | 中小受託事業者(受注側) |
|---|---|---|
| 製造委託等(製造委託・修理委託・特定運送委託・政令で定める情報成果物作成委託/役務提供委託) | 資本金3億円超 | 資本金3億円以下(個人含む) |
| 資本金1千万円超〜3億円以下 | 資本金1千万円以下(個人含む) | |
| 常時使用する従業員数300人超 | 常時使用する従業員数300人以下(個人含む) | |
| 役務提供委託等(情報成果物作成委託/役務提供委託のうち上記以外) | 資本金5千万円超 | 資本金5千万円以下(個人含む) |
| 資本金1千万円超〜5千万円以下 | 資本金1千万円以下(個人含む) | |
| 常時使用する従業員数100人超 | 常時使用する従業員数100人以下(個人含む) |
具体例で示すと、資本金1,500万円・従業員150人のA社が資本金500万円のB社に製造委託した場合、A社は資本金基準(1千万円超〜3億円以下)で委託事業者に該当します。資本金1千万円以下・従業員400人のC社が個人事業者D氏に製造委託した場合は、資本金基準を満たさなくても従業員基準(製造委託等300人超)を満たすためC社が委託事業者となり、取適法が適用されます。
出典・参考資料(1件)
「常時使用する従業員」の範囲
従業員基準の「常時使用する従業員」は、労働基準法第9条に規定する労働者のうち、日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)以外を指します。人数は事業者の賃金台帳の調製対象となる労働者の数で算定します。事業者単位で判断するため、グループ会社の従業員は含まれません。
「常時使用する従業員」の例としては、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、1か月を超えて引き続き使用される日雇い労働者などが含まれる。
出典:中小受託取引適正化法 テキスト(令和7年11月)Q8|公正取引委員会・中小企業庁
逆に、含まれない典型例は次のとおりです。派遣労働者は派遣元事業者との労働契約に基づいて派遣先で就業する立場であり、派遣先の賃金台帳の調製対象ではないため、派遣先の「常時使用する従業員」には計上しません(派遣元でカウントされます)。
一人親方は雇用契約ではなく請負契約で就業する個人事業者であり、労働基準法上の労働者に該当しないため、発注側の従業員数にも計上されません。1か月未満の日雇い労働者も、上記の「日々雇い入れられる者」に該当するため対象外です。
自社が今回の改正で新しく対象になるかを判定するフロー
従業員基準の追加により、これまで資本金基準では対象外だった取引が新たに規制対象となる可能性があります。自社の各取引について、次の順で確認します。

- 取引類型を特定する:その取引が製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託のいずれに当たるかを確認します。該当しなければ取適法の対象外です。
- 資本金基準で判定する:上記の判定表で、自社と取引相手の資本金が委託事業者・中小受託事業者の要件を満たすかを確認します。満たせば従来どおり適用対象です。
- 資本金基準を満たさない場合は従業員基準で判定する:常時使用する従業員数を賃金台帳ベースで算定し、発注側が300人超(製造委託等)または100人超(役務提供委託等)で、受注側が300人以下または100人以下(いずれも取引類型に応じた基準、個人事業者を含む)にあたるかを確認します。従業員基準で該当すれば、新たに取適法の適用対象となります。
なお、特定運送委託は改正で新規追加された類型(発荷主から元請運送事業者への運送委託は、改正前は取適法の対象外でしたが、改正後は対象となります。詳細は変更点③)であり、上記の第1手順「取引類型を特定する」で必ず確認します。
新たに対象となった取引がある場合は、支払期日(60日以内)・書面交付・書類保存2年・手形払い禁止といった各義務・禁止行為が施行日から適用されているため、発注書のフォーマットや支払サイトの点検を早急に進める必要があります。
変更点③:対象取引に「特定運送委託」が追加
従来の対象取引は、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の4類型でしたが、改正で特定運送委託が加わり5類型となりました。特定運送委託とは、事業者が業として販売する物品や業として請け負って製造・修理する物品、業として請け負って作成する情報成果物が化体された物品の運送を、他事業者に委託する行為を指します(新第2条第5項。「業として」は反復継続的な事業活動を意味)。
従来、発荷主から元請運送事業者への運送委託は独占禁止法の物流特殊指定でしか捕捉できず、荷役・荷待ちを無償で強いられるといった物流事業者側の不利益が顕在化していました。物流の2024年問題(トラックドライバーの時間外労働上限規制の適用)を背景に、機動的な対応を可能にするため、取適法の対象取引に追加されました。
実務上、次のような委託が新たに対象となります。
- 販売する商品を運送事業者に配送させる委託(EC事業者や卸売業者の配送委託など)
- 請け負って製造した物品(例:受託製造したペットボトル飲料)を運送事業者に配送させる委託
- 建設資材の運送を運送事業者に委託する場合など、他の事業者に運送行為を任せる場面全般
出典・参考資料(2件)
変更点④:価格協議義務の明文化と「協議に応じない一方的な代金決定」の禁止
原材料費・エネルギー費・人件費などの費用が変動しているにもかかわらず、委託事業者が価格協議に応じない、あるいは十分な説明・情報提供をせずに一方的に代金額を決めてしまう行為が、新第5条第2項第4号として明示的に禁止されました。
中小受託事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合において、中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、当該協議に応じず、又は当該協議において中小受託事業者の求めた事項について必要な説明若しくは情報の提供をせず、一方的に製造委託等代金の額を決定すること。
出典:取適法 第5条第2項第4号|e-Gov法令検索
実務上、誤解されやすいのはこの規定の性質です。条文が委託事業者に求めているのは「協議に応じる義務」であって、「値上げ要求に応じる義務」ではありません。中小受託事業者から代金の見直しを求められた場合、委託事業者はその協議に応じ、代金決定にあたって求められた事項について必要な説明や情報提供を行う必要があります。協議した結果として据え置きや部分的な引き上げに落ち着くこと自体は、条文上禁止されていません。
禁止に当たる典型パターンは次の2つです。第一に、中小受託事業者から協議を求められたにもかかわらず、協議自体を拒否したうえで一方的に代金を据え置く(もしくは引き下げる)場合。第二に、協議の場は設けたものの、コスト構造や算定根拠についての説明を尽くさず、実質的に一方的な決定と評価できる場合です。
変更点⑤:手形払い等の禁止と代替決済の適否
取適法では、約束手形による代金支払いが本法上の支払手段として認められなくなりました。これは、支払遅延を禁止する新第5条第1項第2号の中で、手形交付および「金銭及び手形以外の支払手段のうち、支払期日までに代金額に相当する金銭と引き換えることが困難であるもの」の使用が明示的に禁止行為に含まれる形で整理されたものです。
製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、手形を交付すること並びに金銭及び手形以外の支払手段であつて当該製造委託等代金の支払期日までに当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む。)。
出典:取適法 第5条第1項第2号|e-Gov法令検索
禁止の対象範囲(約束手形・電子記録債権・ファクタリング)
禁止の対象は、約束手形の交付だけではありません。公取委の改正ポイント説明会資料では、電子記録債権(「でんさい」等)や一括決済方式(ファクタリングを含む)についても、支払期日までに手数料等を含む代金相当額の金銭を受託事業者が得ることが困難であるものは認めないとしています。
- 約束手形:本法上の支払手段として一律禁止
- 電子記録債権(でんさい等)・一括決済方式:満期日が支払期日「以前」であり、支払期日に受託事業者が代金相当額の金銭を得られる設計であれば許容。満期日が支払期日より「後」で、受託事業者が割引や手数料負担をして初めて期日に現金化できる場合は違法(支払遅延に該当)
- ファクタリング:同様に、受託事業者が支払期日までに手数料等を除いた満額の金銭を得られない設計であれば認められない
出典・参考資料(1件)
施行日と業界の完全廃止目標(法令と自主行動計画は別枠)
取適法上の手形払い禁止は、2026年1月1日の施行日から即時全面禁止となりました。法令上の経過措置は設けられていません(附則第2条〜第4条は施行前に行われた取引・行為への従前の例による処理を定めるのみで、手形払い固有の猶予期間は規定されていません)。
これと並行して、全国銀行協会(全銀協)の「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画〜約束手形等の利用の廃止等に向けた自主行動計画〜」が、2026年度末(2027年3月末)を目途として電子交換所で交換される紙の手形・小切手の交換枚数をゼロとする目標を掲げて進行しています。ただしこれは業界の物理的な紙手形廃止に向けた自主的な取り組みであり、取適法上の禁止規定とは別枠のスケジュールです。

実務上、両者を混同して「取適法の経過措置により2027年3月末までに段階的に廃止すれば足りる」と読むと、2026年1月1日以降の手形払いが直ちに違法となるため、支払遅延として勧告・公表の対象となり得ます。取適法対応のスケジュールは2026年1月1日を軸に組み立てる必要があります。
出典・参考資料(1件)
代替決済の選択肢(銀行振込・電子記録債権・ファクタリング)
手形払いを廃止する場合の代替決済としては、次の3系統が実務上の候補となります。それぞれ取適法上の適否を確認する必要があります。
- 銀行振込:支払期日(受領日から60日以内)に代金全額を振り込む方式。手数料負担のルール(発注時に取り決めた分担どおり)に留意すれば、取適法上の懸念は最も少ない
- 電子記録債権(でんさい等):満期日が支払期日以前で、割引料を委託事業者が負担する等、中小受託事業者が支払期日に代金相当額の金銭を得られる設計であれば許容される
- ファクタリング(一括決済方式):同上。受託事業者側で割引・手数料を負担して初めて期日に現金化できるスキームは違法となるため、負担配分と実行タイミングの設計が要点となる
変更点⑥:面的執行の強化(事業所管省庁への権限付与)
従来、取引の指導・助言や立入検査は公正取引委員会と中小企業庁が担ってきましたが、改正後は事業所管省庁の主務大臣にも同種の権限が付与されました。改正の柱は次の4層です。
- 指導・助言権限の付与(新第8条):公取委・中小企業庁長官と並んで、事業所管大臣が委託事業者に対して指導・助言を行えるようになる
- 報告徴収・立入検査権限の追加(新第12条第3項):事業所管大臣が、中小企業庁長官の調査に協力するため必要と認めるときに、報告徴収と立入検査を行える
- 相互情報提供(新第13条):公取委・中小企業庁・事業所管大臣の3者間で必要な情報を相互に提供できる
- 報復措置禁止の申告先の追加(新第5条第1項第7号):中小受託事業者が違反事実を知らせた先に事業所管大臣が追加され、より申告しやすい環境が整えられた
事業所管省庁の例としては、運送分野は国土交通省、テレビ放送分野は総務省が該当します。実務担当者としては、自社の主たる事業を所管する省庁が新たに執行主体になり得る点を認識しておく必要があります。
出典・参考資料(1件)
委託事業者の4つの義務(第3・4・6・7条)
取適法が委託事業者に課している義務は、支払期日・書面交付・遅延利息・書類保存の4つです。それぞれの条番号と数値要件を条文どおりに整理します。

支払期日を定める義務(第3条・受領日から60日以内)
製造委託等代金の支払期日は、給付を受領した日(役務提供委託・特定運送委託の場合は役務の提供を受けた日)から起算して60日の期間内において、かつできる限り短い期間内に定めなければなりません(第3条)。60日の起算点は「検査をするかどうかを問わず」受領日とされている点に注意が必要です。
発注内容等の明示義務(第4条・書面/電磁的方法での交付)
委託事業者は、製造委託等をした場合、直ちに給付内容・代金額・支払期日・支払方法などを、書面または電磁的方法により中小受託事業者に明示しなければなりません(第4条第1項)。改正で重要なのは、旧・下請法で必要だった電磁的方法による交付への受託者承諾が不要になった点で、取適法では承諾なしに電子メール等で交付できるようになりました。
ただし、電磁的方法で明示した後に受託事業者から書面での交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する必要があります(第4条第2項)。
遅延利息の支払義務(第6条・年率14.6%)
支払期日までに代金を支払わなかった場合、委託事業者は受領日から起算して60日を経過した日から実際の支払日までの日数に応じ、未払金額に年率14.6%を乗じた金額を遅延利息として中小受託事業者に支払わなければなりません(第6条第1項、遅延利息率規則第1条)。
書類等の作成・保存義務(第7条・保存2年)
委託事業者は、給付・受領・支払など取引に関する事項を書類または電磁的記録として作成し、記載または記録をした日から2年間保存しなければなりません(第7条、第7条の書類等の作成及び保存に関する規則第3条)。発注書面のほか、給付内容・支払記録なども保存対象に含まれます。
出典・参考資料(3件)
委託事業者の11の禁止行為(第5条・全項目に条番号)
委託事業者が中小受託事業者に対して行ってはならない行為は、第5条第1項に7号、第2項に4号の計11項目が定められています。役務提供委託・特定運送委託の場合は第1項第1号(受領拒否)・第4号(返品)と第2項第1号(有償支給原材料等の対価の早期決済)を除きます。
- 受領拒否(第5条第1項第1号):中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付の受領を拒むこと。(役務提供委託・特定運送委託には適用なし)
- 支払遅延(第5条第1項第2号):代金を支払期日の経過後なお支払わないこと。手形交付および割引困難な支払手段(金銭・手形以外で期日までに代金相当額の金銭と引き換えることが困難なもの)の使用を含みます。
- 減額(第5条第1項第3号):中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、代金の額を減ずること。
- 返品(第5条第1項第4号):中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付を受領した後、その給付に係る物を引き取らせること。直ちに発見できない不適合がある場合は受領後6か月以内(一般消費者向け保証期間が6か月を超える場合は最長1年以内)の返品は認められます。(役務提供委託・特定運送委託には適用なし)
- 買いたたき(第5条第1項第5号):同種または類似の給付に通常支払われる対価に比し著しく低い代金額を不当に定めること。
- 購入・利用強制(第5条第1項第6号):正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、または役務を強制して利用させること。
- 報復措置(第5条第1項第7号):違反事実を中小受託事業者が公取委・中小企業庁長官・事業所管大臣に知らせたことを理由として、取引数量を減じ・停止し・その他不利益な取扱いをすること(改正で申告先に事業所管大臣が追加)。
- 有償支給原材料等の対価の早期決済(第5条第2項第1号):有償で支給した原材料等の対価を、その原材料等を用いた給付に対する代金の支払期日より早い時期に控除・支払わせること。(役務提供委託・特定運送委託には適用なし)
- 不当な経済上の利益の提供要請(第5条第2項第2号):自己のために金銭・役務その他の経済上の利益を提供させること。
- 不当な給付内容の変更・やり直し(第5条第2項第3号):中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付内容を変更させ、または受領後に給付をやり直させること。
- 協議に応じない一方的な代金決定(第5条第2項第4号・改正で新設):費用変動その他の事情が生じた場合において、代金額に関する協議を求められたにもかかわらず、協議に応じず・必要な説明や情報の提供をせず、一方的に代金額を決定すること。
実務上「主要な禁止事項」として本数を絞って紹介されることがありますが、いずれの号も適用は等価であり、社内チェックリストは11項目を漏らさず組む必要があります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:取適法 第5条第1項・第2項|e-Gov法令検索
- 出典:中小受託取引適正化法 テキスト(令和7年11月)|公正取引委員会・中小企業庁(返品の6か月・1年ルールを含む)
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違反したらどうなるか(勧告・公表・罰則)
取適法の執行構造は、勧告・公表と刑事罰で条番号の系列が分かれています。第5条違反(11禁止行為)そのものに直接の刑事罰は科されず、公取委が勧告し、勧告に従わない場合や重大な違反の場合に公表・独占禁止法上の措置につながる二段階の構造です。罰則(刑事罰)は書面交付・書類保存・報告・立入検査に関する義務違反に限定されます。
勧告と公表(第10条)
公正取引委員会は、第5条の規定に違反する行為があると認めるときは、当該違反行為をした委託事業者に対し、給付の受領・代金の支払・遅延利息の支払その他必要な措置をとるべきことを勧告するものとされています(第10条)。中小企業庁長官・事業所管大臣もそれぞれ調査権限を有し、公取委への措置請求などの形で執行に加わります。
勧告に至った案件は公表されるのが実務上の運用で、令和7年にも複数の企業に対して勧告と社名公表が実施されています(公取委「勧告等の公表」)。公表は違反企業のレピュテーションに直接影響するため、実質的なペナルティとして機能します。
罰則(第14条・50万円以下の罰金)
刑事罰の対象は、次の3類型の義務違反です(第14条各号)。いずれも書面・記録に関する義務であり、11禁止行為(第5条)の違反そのものは直接の対象ではありません。
- 第4条第1項の規定に違反して明示すべき事項を明示しなかったとき(発注内容等の明示義務違反)
- 第4条第2項の規定に違反して書面を交付しなかったとき(書面交付を求められた場合の交付義務違反)
- 第7条の規定に違反して書類・電磁的記録を作成せず、保存せず、または虚偽の書類・電磁的記録を作成したとき(書類等の作成・保存義務違反)
これらに該当した場合、違反行為をした委託事業者の代表者・代理人・使用人その他の従業者は50万円以下の罰金に処されます。第15条では、報告徴収に対する報告拒否・虚偽報告、立入検査の拒否・妨害・忌避も同じく50万円以下の罰金の対象と定められています。
両罰規定(第16条・法人と行為者の双方)
第16条は両罰規定を定めており、法人の代表者や、法人・人の代理人・使用人その他の従業者が業務に関して第14条・第15条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても各本条の刑(50万円以下の罰金)が科されます。担当者個人だけでなく、法人としても罰金の対象となる点に注意が必要です。
出典・参考資料(3件)
今すぐ確認すべき実務の見直しポイント
変更点を掴んだあとは、自社の実務に落とし込む作業に入ります。施行日(2026年1月1日)から新法が適用されているため、次の観点で発注書・契約書・支払サイト・社内規程・電磁的交付の状態を点検します。
発注書(4条書面)12項目の再確認
取適法第4条第1項に基づき明示すべき事項は、明示規則第1条第1項および公取委テキストで12項目として整理されています。自社の発注書テンプレート・注文請書に、以下がすべて含まれているかを確認します。
- 委託事業者および中小受託事業者の名称(番号・記号による明示も可)
- 製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託をした日
- 中小受託事業者の給付の内容(役務の場合は提供される役務の内容)
- 給付を受領する期日(役務の場合は役務の提供を受ける期日または期間)
- 給付を受領する場所(役務の場合は役務の提供を受ける場所)
- 検査をする場合は、その検査を完了する期日
- 代金の額
- 代金の支払期日
- 代金の全部・一部を一括決済方式で支払う場合は、金融機関名・貸付または支払を受けることができる額・期間の始期・決済日
- 代金の全部・一部を電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額・支払を受けることができる期間の始期・満期日
- 原材料等を有償支給する場合は、品名・数量・対価・引渡しの期日・決済期日・決済方法
- 1〜11のうち内容が定められないことについて正当な理由があり記載しない事項(未定事項)がある場合は、その理由と内容を定める予定期日
出典・参考資料(1件)
契約書ひな型の用語更新(親事業者→委託事業者ほか)
基本取引契約書・業務委託契約書・注文請書などの契約書ひな型で、旧法の用語(親事業者・下請事業者・下請代金)を使用している箇所を、新法の用語(委託事業者・中小受託事業者・製造委託等代金)に置き換えます。
特に、下請法の遵守を条項として盛り込んでいる契約書では、法律名の参照(「下請代金支払遅延等防止法」→「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)も併せて更新が必要です。
支払サイトの点検(60日以内の設定・手形払い廃止対応)
自社の支払サイト(受領日から代金支払日までの期間)が第3条の60日以内に収まっているかを、実際の受領日ベースで再点検します。月末締め翌々月末払いのような慣行的なサイトは、締日と受領日のずれで60日を超え得るためです。約束手形払いを行っている取引先については、銀行振込・電子記録債権(適法な設計)等への切り替えを進めます。
社内規程・稟議フローへの改正内容の反映
社内規程(取引管理規程・購買規程・稟議規程)で下請法対応を定めている場合は、条番号・用語・数値要件(60日・年14.6%・保存2年)を新法基準に更新します。価格協議の取扱いは新設事項のため、協議申入れの受付部署・回答期限・記録の残し方まで明文化が必要です。従業員基準の追加で新規に対象となる取引がある部門への周知も計画します。
電磁的方法での書面交付(受託側の承諾なしに可能に)
改正で第4条の電磁的方法による明示が受託側の承諾なしに可能となるため、これまで紙の発注書運用を続けていた企業も、電子発注システムや契約管理システムへの移行障壁が下がります。ただし、受託事業者から書面交付を求められた場合は遅滞なく書面を交付する必要があるため(第4条第2項)、書面と電磁的方法の両方に対応できる運用設計が求められます。
電磁的交付を実際の運用に落とし込む段階では、立会人型・当事者型の署名方式の使い分けや電子帳簿保存法への対応まで含めて、自社に合う電子契約サービスを選ぶことが実務上の入口になります。以下の記事では料金・タイプ別の選び方を含めて比較しています。
書面交付・保存・期限管理を仕組みで運用する
取適法対応で新たに求められる作業——「4条書面の適時交付」「取引記録の2年保存」「支払期日60日以内の遵守」——を、Excel台帳と紙・メールの組み合わせで担保し続けるのは、取引件数が増えるほど運用負荷が高まります。書面交付の期日管理、契約書の保存年限の追跡、価格協議記録の紐付けなど、人手での運用は抜け漏れが発生しやすい領域です。
支払期日60日以内(第3条)や書類の2年保存(第7条)といった取適法上の期日追跡は、契約更新期限の管理と同種の運用課題です。実際の運用がどうなりがちかは、契約管理システムの提供側からも次のように語られています。

契約期限の管理は会社によって運用が異なりまして、総務や法務がExcelで管理して各事業部にアラートを飛ばしているケースもあれば、事業部側がそれぞれ管理しているケースもあります。どちらの場合も漏れが発生しやすいのですが、Hubble miniでは「期限がいつまでですよ」というアラートメールが自動で担当の方に届きますので、管理の部分が非常に楽になったというお声をいただきます。
契約管理システムを導入すると、次の3点が仕組みで担保しやすくなります。第一に、AI・OCRによる自動読み取り・項目抽出で締結後の書類まで一元管理する台帳化。第二に、設定期日の一定日数前に自動通知が届くアラート通知(契約期間・支払期日・更新期限)。第三に、価格協議記録・変更契約書・原契約を条件横断で参照する全文検索です。
これらは、取適法上の書類作成・保存義務(第7条・2年)や、支払期日を守るための期日追跡(第3条・60日)を、担当者の記憶や個別のExcel管理に頼らず組織的に運用する接点になります。
以下では、書面交付・書類保存・期限管理の運用に強い契約管理システムを比較します。
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン | Hubble mini | 法務オートメーション「OLGA」 |
|---|---|---|---|---|
| 4条書面の電子交付 | ● | ● | ×(電子契約サービスと連携) | ●(電子署名はオプション) |
| 期限アラート | ● | ● | ●(月1回メール通知) | ● |
| 台帳管理・全文検索 | ●(メタ情報検索・AI自動入力) | ●(メタ情報検索・AI自動入力) | ◎(AI台帳自動作成+全文検索・紙もOCR) | ●(受付・案件から台帳自動生成+全文検索) |
| 電帳法対応 | ●(認定タイムスタンプ標準付与) | ●(JIIMA電子取引ソフト法的要件認証・契約印&実印プラン) | ●(JIIMA認証・オプション) | △(公式に明示なし) |
| 料金/開始プラン | フリープラン月2件無料 有料は月11,000円〜(税抜、Light) | フリープラン月5件無料 有料は月8,800円〜(税抜・年契約、ライト) | 要問い合わせ (第三者掲載で月60,000円〜) | 要問い合わせ (1名分ライセンス+管理契約書数の従量) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | オンライン相談を予約 |
1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が提供する電子契約サービスです。書類のアップロードから電子署名・認定タイムスタンプの付与、契約書の保管・検索までをオンラインで完結させる仕組みで、導入社数は250万社以上、累計送信件数は4,000万件超(2024年度実績、公式トップページ記載)です。
取適法第4条の書面交付は電磁的方法でも可能ですが、クラウドサインは事業者署名型(立会人型)の電子署名と総務大臣認定タイムスタンプを全プランで標準付与する設計のため、そのまま電磁的交付の運用手段として使えます。マイナンバーカードに搭載された電子証明書を用いる当事者署名型(マイナンバーカード署名)も2023年から提供しており、当事者性を強めたい取引にも対応します。
締結後の運用では、AI契約書管理で締結先企業名・契約期間などを自動読み取りして台帳化でき、解約通知期限などの年月日データに対するアラート設定で更新漏れを防げます。契約書名・会社名・契約期間・金額での検索にも対応するため、支払期日60日以内の運用(第3条)や書類の2年保存(第7条)を担当者の記憶に頼らず追跡できます。
電子帳簿保存法への対応としては、全プランで認定タイムスタンプが標準付与され、真実性・検索要件に対応しています。セキュリティ認証はISO/IEC 27001・ISO/IEC 27017を取得、SOC 2 Type 1保証報告書を受領、ISMAPクラウドサービスリストに登録済みです。
2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインは、立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の2方式に対応する電子契約サービスです。両者を組み合わせた「ハイブリッド署名」により、自社側は実印タイプ・相手方はメール認証の契約印タイプという運用ができ、取引先に電子契約サービスの契約や電子証明書の取得を求めずに4条書面の電磁的交付を成立させられます。
取適法対応の観点では、電子署名法の有効性についてデジタル庁・法務省・財務省の3省庁から2021年10月に照会回答が示されている点、電子帳簿保存法についてJIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証、契約印&実印プラン向け)を取得している点が実務上の裏付けになります。総務省認定タイムスタンプは標準付与されるため、2年保存(第7条)の真実性確保もそのまま満たせます。
締結後の期限管理は契約更新通知機能で自動化でき、文書検索・フォルダ管理・AI自動入力・CSVダウンロードといった台帳運用機能も備えます。ワークフロー(承認フロー)・ユーザーグループ管理・役割権限設定・操作ログ管理を有料プランで利用でき、社内規程の稟議フローや価格協議記録(変更点④)の管理にも組み込めます。
料金は送信料が立会人型100円/件(税込110円)、当事者型300円/件(税込330円)で、有料プランはユーザー数無制限です。「お試しフリープラン」(月5件・1ユーザー・契約印タイプのみ)で実際の送信を試したうえで有料プランへ移行することもできます。導入実績は350万社以上(公式トップページ、時点の記載なし)、累計送信件数は5,000万件超です。
3. Hubble mini(株式会社Hubble)

Hubble miniは、締結済み契約書PDFから契約台帳を半自動作成できる、締結後の契約書管理に特化したクラウドサービスです。PDFをアップロードするとOpenAIの生成AI(GPT-4系、Azure OpenAI Service利用)が契約書名・相手方・契約期間・自動更新の有無・反社条項など7項目を抽出。株式会社Hubbleが法務向け本体「Hubble」で培った運用ノウハウを反映しています。
取適法対応で新たに管理対象となる契約群を、既存のExcel台帳から段階的に移行できます。
更新期限は月1回、任意のユーザーへ自動でメール通知される仕組みのため、支払期日60日以内(第3条)や契約更新のタイミングを担当者の記憶に頼らず管理できます。全文検索・条項タイトル検索は紙の契約書もOCRでテキスト化して対応するため、書類の2年保存(第7条)を電子・紙が混在する環境で運用しつつ、必要な条項を横断的に参照できます。
電子帳簿保存法への対応はオプションで、JIIMA認証を取得しています。加えて2026年1月施行の取適法(下請法改正)対応支援機能が2026年2月にリリースされており、Hubble miniおよび本体Hubbleの双方で利用可能です。既存の電子契約サービス(クラウドサイン・GMOサイン・Docusign等)と連携し、締結までの経路は変えずに締結後管理だけをデジタル化する構成にもできます。
権限管理はフォルダ・ドキュメント単位で設定でき、法務部門以外のメンバーが自分に関連する契約書のみを参照するといった細分化された運用に対応します。ISMS認証(登録番号IS742235)を取得しています。料金は公式サイト上では要問い合わせです。
4. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

OLGA(オルガ)は、法務案件の依頼受付から契約書のレビュー、締結後の管理、ナレッジ活用までを1つの環境でまとめて扱える、クラウド型の法務業務統合プラットフォームです。「AI法務アシスタント」「法務データ基盤」「AI契約レビュー」「契約管理」の4モジュール構成で、リーガルテック領域で複数サービスを展開してきたGVA TECH株式会社が提供しています。
事業部はメール・Slack・Teamsのまま法務部へ依頼でき、専用アカウントを持たずに案件のやりとりが可能な設計です。
取適法対応の観点では、受付段階から契約書のバージョン・コメント・参考資料・やりとり履歴が案件単位で構造的に蓄積されるため、変更点④で求められる価格協議記録の受付部署・回答期限・記録の紐付けを担当者依存を減らして運用できます。締結後は受付・案件情報から管理台帳が自動生成され、契約更新期限のアラート・期限通知にも対応します。
2025年5月にリリースされた全文検索機能により、過去の契約書・案件履歴を条件横断で参照でき、書類の2年保存(第7条)で蓄積された契約群からの原契約・変更契約書の参照も可能です。AI契約レビューモジュール(旧GVA assist/AI-CON Pro)で契約書のリスク箇所を自動検出し修正案を提示する機能も、同一プラットフォーム上で利用できます。
SSOはOkta・Microsoft Azure(Entra ID)・Google Workspaceに対応し、Salesforce AppExchange上で「OLGA for Salesforce」も提供されています。運営会社のGVA TECHは2024年12月26日に東証グロース市場へ上場(証券コード298A)しています。
料金は要問い合わせで、無料トライアルはなくデモツール体験が提供されています。
また、以下の記事では契約管理システムについて、選び方や機能・費用相場などを詳細に解説しています。取適法対応に加え、電子契約や電子帳簿保存法への対応も含めて総合的に検討したい方はご覧ください。
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まとめ
2026年1月1日施行の下請法改正で変わる点は、①法律名称・用語の刷新、②適用対象の拡大(従業員基準300人/100人)、③特定運送委託の追加、④価格協議義務の明文化と一方的な代金決定の禁止、⑤手形払い等の禁止、⑥面的執行の強化の6つです。
既に下請法対応を回している企業でも、従業員基準の追加によって新たに規制対象となる取引が生まれ得ること、手形払いは2026年1月1日から即時全面禁止であることの2点は、施行日前に必ず点検しておく必要があります。
実務対応としては、発注書(4条書面)の12項目の充足、契約書ひな型の用語更新、支払サイトの60日以内点検、社内規程への反映、電磁的交付の運用設計を進めます。書類保存2年(第7条)・支払期日60日(第3条)・価格協議記録の管理といった継続的な運用は、契約管理システムの台帳化・期限アラート・全文検索を組み合わせ、担当者依存を減らす仕組みとして構築を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 取適法(中小受託取引適正化法)とは何ですか?
取適法は、2026年1月1日に施行された、旧・下請法(下請代金支払遅延等防止法)を全面改正した新しい法律で、正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」、略称が中小受託取引適正化法、通称が取適法(とりてきほう)です。用語・適用対象・対象取引・支払手段が刷新されており、詳細は本文「変更点①〜⑥」を参照してください。
Q. 取適法の施行日はいつですか?2026年1月1日より前に締結した契約はどう扱われますか?
取適法の施行日は令和8年(2026年)1月1日で、この日以降に行われた取引から新法が全面的に適用されます。施行日前に行われた取引は、附則の経過措置により従前の下請法(下請代金支払遅延等防止法)の規定によることとされているため、契約締結日ではなく「取引(発注・給付)が行われた日」を基準に新旧いずれの規定が適用されるかを判定します。
基本契約書を施行日前に締結していても、施行日以降に発注される個別取引は取適法の対象となる点に注意が必要です。
Q. 自社が取適法の「委託事業者」に該当するかは、どう判定しますか?
委託事業者への該当性は、取引類型を特定したうえで、資本金基準と従業員基準のいずれかを満たせば該当します。
手順は、①その取引が製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託のいずれに当たるかを特定、②資本金基準(製造委託等は3億円超または1千万円超〜3億円以下/役務提供委託等は5千万円超または1千万円超〜5千万円以下)で判定、③資本金基準に該当しない場合は従業員基準(製造委託等は300人超/役務提供委託等は100人超)で判定、の順です。
従来は資本金基準のみでしたが、改正で従業員基準が追加されたため、資本金が小さくても従業員数によって新たに規制対象となる可能性があります。取引類型ごとの詳細な判定表は本文「変更点②」を参照してください。
Q. 取適法の「常時使用する従業員」に、派遣社員や一人親方は含まれますか?
取適法の従業員基準では、派遣社員・一人親方・1か月未満の日雇い労働者は「常時使用する従業員」に含まれません。従業員数は事業者の賃金台帳の調製対象となる労働者の数で算定するため、派遣社員は派遣元でカウントされ派遣先には計上されず、一人親方は雇用ではなく請負契約で就業する個人事業者のため労働基準法上の労働者に該当せず算入されません。
含まれるのは、正社員・契約社員・パートタイマー・アルバイト・1か月を超えて引き続き使用される日雇い労働者です(公取委・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」Q8)。
Q. 取適法は建設業界にも適用されますか?
建設業界の取引でも、建設工事の請負(下請負)には建設業法が適用され取適法は適用されませんが、建設工事「以外」の委託取引は取適法の対象となります。具体的には、建設資材の製造を他事業者に委託する場合(製造委託)、建築物の設計・内装設計・工事図面の作成を他事業者に委託する場合(情報成果物作成委託)、建設業者が建設資材の運送を他事業者に委託する場合(特定運送委託)などが該当します。
建設業事業者であっても、これら周辺の委託取引については取適法の適用有無を取引ごとに判定する必要があります。
Q. 取適法で手形払いはいつから使えなくなりましたか?
取適法上の手形払い禁止は、2026年1月1日から即時全面禁止です。「経過措置により2027年3月末までに段階的に廃止すればよい」という説明が見られることがありますが、これは全国銀行協会の自主行動計画(電子交換所で交換される紙手形の交換枚数ゼロを2026年度末=2027年3月末を目途とする業界目標)と混同したもので、取適法上の禁止規定とは別枠のスケジュールです。
取適法では新第5条第1項第2号により、2026年1月1日から手形交付および割引困難な支払手段の使用が支払遅延として禁止されるため、2026年1月1日以降の手形払いは直ちに違法となり得ます。電子記録債権(でんさい等)・ファクタリングも、支払期日までに代金相当額の金銭を受託事業者が得られない設計であれば同様に違法です。
Q. 取適法の4条書面(発注書)はメール等の電磁的方法で交付してよいですか?
取適法では、中小受託事業者側の承諾なしにメール等の電磁的方法で4条書面を交付できます。旧・下請法では電磁的方法による書面交付は受託者の事前承諾が必要でしたが、取適法第4条ではこの承諾要件が廃止されました。ただし、電磁的方法で明示した後に受託事業者から書面での交付を求められた場合は、遅滞なく書面を交付する必要があります(第4条第2項)。
電子発注システム・契約管理システムへの移行障壁が下がった一方、書面と電磁的方法の両方に対応できる運用設計は引き続き求められます。
Q. 取適法に違反した場合、罰金はいくらになりますか?
取適法の刑事罰は「50万円以下の罰金」で、両罰規定により行為者個人と法人の双方に科されます。対象となる違反は、第4条第1項の明示義務違反(発注書面等の明示漏れ)、第4条第2項違反(書面交付を求められたときの交付漏れ)、第7条違反(書類・電磁的記録の作成保存を行わない・虚偽の作成)の3類型(第14条各号)です。
第16条の両罰規定により、代表者・代理人・使用人その他の従業者が業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか法人にも各本条の刑(50万円以下の罰金)が科されます。ただし、第5条の11禁止行為そのものには直接の刑事罰はなく、公取委等による勧告・公表という別枠の執行構造で対応する点にも注意が必要です(詳細は本文「違反したらどうなるか」節)。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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