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口座振替を法人で使うには?対応する支払い一覧と申込手続きの全体像

法人の口座振替 総まとめのサムネイル画像

毎月の社会保険料や税金、電気ガス、通信費、リース料などの支払いに、銀行往訪や納付書での手続きが積み重なっていませんか。

支払う側では、法人でも個人と同じように口座振替による自動引き落としを設定できます。ただし対応する支払いの範囲や、法人ならではの必要書類・押印・提出先には、個人と異なる実務上のポイントがあります。

本記事では、法人が支払う側で口座振替を利用できる主な支払いの対応可否・所管の一覧と、申込から振替開始までの手続きの流れを、所管公式ページに基づいて整理します。加えて、対応外の支払いへの代替手段や、自社が集金する側で口座振替を利用したい場合の選択肢も併せて解説します。

納付漏れの防止と経理業務の平準化に向けて、自社で自動化できる支払いから順に検討を進めましょう。

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法人の口座振替で自動化できる主な支払い一覧

法人が支払う側で口座振替を使う場合、対応する支払いは大きく分けて「公的な支払い(社会保険料・国税・地方税)」と「民間の継続的な支払い(電気ガス水道・通信・リース・保険料など)」の2系統になります。

下表では、法人が自動引き落としに切り替えられる代表的な支払いと、それぞれの所管・窓口、特徴的な条件を一覧にまとめました。まずは自社で毎月支払っているものが対応しているかを確認してください。

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支払い種別社会保険料
(健康保険・厚生年金)
国税
(法人税・消費税・源泉所得税等)
地方税
(法人都道府県民税・法人事業税等)
電気・ガス・水道通信料金
(電話・インターネット・モバイル)
リース料・保険料等
主な所管・窓口日本年金機構
(金融機関経由で申請)
国税庁 e-Tax
ダイレクト納付
地方税共同機構 eLTAX
ダイレクト方式
電力会社・ガス会社・水道局各通信事業者
(NTTファイナンス等の請求代行を含む)
リース会社・保険会社・代理店
主な書類・提出先保険料口座振替納付(変更)申出書
金融機関→年金事務所
ダイレクト納付利用届出書
所轄税務署へ提出
eLTAX上で口座登録
金融機関で口座振替の審査
各社所定の口座振替依頼書
金融機関または供給事業者へ提出
各社の口座振替依頼書
会員サイト経由でオンライン申込可の事業者あり
各社所定の口座振替依頼書
契約時の案内書類または代理店経由
開始までの目安1〜2ヶ月1ヶ月程度
(税務署の登録処理後)
1〜2ヶ月
(金融機関の審査に日数を要する)
1〜2ヶ月1〜2ヶ月1〜2ヶ月
(契約時の同時申込は初回請求から適用可)
手数料・備考振替手数料なし
翌月末日引落
振替手数料なし
電子申告・納付情報登録後にクリック納付
振替手数料なし
納期限内の任意日を指定して振替
検針日から一定期間後に自動引落
初回引落月の割引例あり
NTTファイナンス経由で複数事業者分をまとめて集約可契約先・代理店により手続き経路と対応金融機関が異なる

2026年8月時点。出典は各所管公式ページに基づく。民間サービスの条件は提供事業者ごとに異なる。

法人と個人の口座振替の主な違い

「口座振替」と検索した際に「法人」と付け加える最大の理由は、個人の口座振替と手続き・要件が違うかどうかを確認したいという点にあります。個人契約と法人契約の口座振替では、押印する印鑑・提出書類・オンライン申込の可否・複数口座の管理方法などが実務的に異なります。

次の対比表で、法人が押さえておきたい違いを整理します。

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契約種別個人法人
使う印鑑金融機関届出印(本人の銀行印)法人届出印(銀行印)
※法人代表者印(実印)とは通常別
提出書類口座振替依頼書(本人名義口座)口座振替依頼書
(社会保険料は保険料口座振替納付(変更)申出書)
オンライン申込の可否多くの金融機関・収納機関でオンライン完結型に対応紙の依頼書が中心
三井住友銀行等の一部でオンライン完結受付に対応
申込から開始までの期間概ね1〜2ヶ月概ね1〜2ヶ月
複数口座管理1名義1口座での運用が一般的金融機関により対応差
(例: 楽天銀行の法人ビジネス口座は20口座までまとめて申込可)

特に押印する印鑑と提出書類は、個人の口座振替依頼書とは扱いが異なります。法人の口座振替依頼書には、金融機関へお届けした法人届出印(銀行印)を押印するのが基本です。オンライン完結型の申込に対応している金融機関もありますが、通常の紙の依頼書と併存しているケースが多く、事前に取扱金融機関へ確認しておくと確実です。

複数の銀行口座を持つ法人では、支払いごとに使う口座を分けて管理したいというニーズもあります。楽天銀行の法人ビジネス口座では、複数口座の一括管理に対応しています。

20口座までまとめてお申込できます

楽天銀行「口座振替(自動引落)」(https://www.rakuten-bank.co.jp/business/autopay
出典・参考資料(2件)

法人が口座振替を申し込むときの手続きの流れ

法人が口座振替を新規に設定する際の流れは、大きく「①用意する → ②提出する → ③振替開始を待つ」の3ステップです。以下では、それぞれの段階で必要になる書類・提出先・所要期間を実名で示します。

用意するもの(口座振替依頼書・法人届出印)

口座振替の申込に必要な主な書類は、次のとおりです。

  • 口座振替依頼書(預金口座振替依頼書):民間の継続的な支払い(電気ガス・通信・リースなど)で共通に使われる、金融機関共通の依頼書です。所定の様式を金融機関または収納機関から入手します。
  • 保険料口座振替納付(変更)申出書:健康保険料・厚生年金保険料を口座振替で納付する場合の、事業主向けの申請書です。日本年金機構のサイトからPDFまたはExcel様式を入手できます。
  • 法人届出印(銀行印):口座振替依頼書の金融機関提出用の書面に押印します。金融機関に届出済みの印鑑を使い、法人代表者印(実印)とは通常別に管理されている銀行印を用いるケースが一般的です。
  • 金融機関の口座情報:引き落とし元となる法人口座の店番号・口座番号(ゆうちょ銀行の場合は記号・番号)。

社会保険料に関する申出書について、日本年金機構は押印について次のように定めています。

届出書の2枚目(金融機関用)に、金融機関お届け印を押印してください。

日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替(変更)申出書の手続方法」PDF(https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/hokenryo/kofuri.files/kofurimoshide_setsumei.pdf

提出先と提出方法(金融機関経由/収納機関経由/オンライン申込の可否)

提出先は支払いの種類によって異なります。同じ「口座振替依頼書」でも、社会保険料と民間の支払いでは経路が違うため注意が必要です。

  • 社会保険料:申出書2部を金融機関に提出します。金融機関で預金口座の照合確認を行ったうえで、1部を金融機関から年金事務所へ送付する流れです。インターネット専業銀行を振替口座に希望する場合は、2部とも年金事務所または事務センターへ送付・提出します。
  • 民間の継続的な支払い(電気・ガス・通信・リースなど):口座振替依頼書を、契約先の収納機関(電力会社・通信会社・リース会社など)に提出するか、金融機関経由で提出します。多くのケースで収納機関のWebサイトから申込書をダウンロードし、必要事項を記入・押印して郵送する形式です。
  • 国税(e-Tax ダイレクト納付):所轄税務署へダイレクト納付の届出書を提出します。金融機関の口座振替を利用する仕組みなので、事前届出が必要です。
  • 地方税(eLTAX ダイレクト方式):eLTAX への口座登録と、金融機関での口座振替の審査を経て利用開始します。

オンライン完結型の申込に対応している金融機関もあります。三井住友銀行の「インターネット口座振替契約受付サービス(法人版)」は、次のように説明されています。

「インターネット口座振替契約受付サービス」では、三井住友銀行と提携した収納企業のサイトで商品の購入やサービスの申込をした際に、料金などの支払に関する預金口座振替契約をインターネット上で締結できます。

三井住友銀行「インターネット口座振替契約受付サービス(法人版)」(https://www.smbc.co.jp/hojin/otetsuduki/sonota/koufuri/netkoufuri/

ネット銀行(GMOあおぞらネット銀行・楽天銀行・PayPay銀行など)は、預金口座振替依頼書の郵送に加えて、オンラインでの申込に対応しているケースが多く見られます。ただし、収納機関側で対応していないと利用できないため、収納機関のWebサイトで対応金融機関を確認してから申し込むと確実です。

申込から振替開始までの期間の目安

口座振替の申込から実際の振替開始までは、書類の照合や関係機関間の連絡に時間を要するため、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。

みずほ銀行は、社会保険料の口座振替について次のように案内しています。

金融機関に申出書を提出すると、金融機関が預金口座の照合を行い、1枚目(年金事務所用)を年金事務所に送付/振替開始までに1~2ヵ月程度の期間が必要

みずほ銀行「社会保険料の口座振替納付方法とメリット」(https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/account/tips/topic_114.html

電気料金の口座振替も、中部電力ミライズは開始まで1〜2ヶ月ほどの期間を案内しています。地方税の eLTAX ダイレクト方式も、金融機関の審査に日数を要する旨が公式に明記されています。

納付書での支払いを止めるタイミングを誤ると、二重納付や納期切れが起きる可能性があります。振替開始月が確定するまでは、従来の納付方法を継続する運用が安全です。

出典・参考資料(4件)

支払い種別ごとの口座振替の要点と所管公式

ここからは、法人の口座振替でよく使われる支払い種別ごとに、所管の制度・書類・所要期間・手数料の要点を解説します。各セクション末尾には、実際に申込を進める際に参照すべき所管公式ページの入口を添えています。

社会保険料(日本年金機構)

健康保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て拠出金は、日本年金機構が定める「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を提出することで、法人口座からの自動振替が可能になります。事業主本人が申請する制度で、日本年金機構は次のように定義しています。

事業主が、健康保険料、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の口座振替を希望するとき、又は口座振替を行っている口座を変更したいときに、事業主が申請するためのものです。

日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替(変更)申出書の手続方法」PDF(https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/hokenryo/kofuri.files/kofurimoshide_setsumei.pdf

振替日は納付対象月の翌月末日で、末日が休日の場合は翌営業日となります。振替開始までの目安は前述のとおり1〜2ヶ月です。金融機関はほぼ全ての民間金融機関・ゆうちょ銀行に対応しており、インターネット専業銀行の一部のみ扱えないケースがあります。

国税(e-Tax ダイレクト納付)

国税は、国税庁の e-Tax で提供される「ダイレクト納付」により、届出した預貯金口座からの振替で納付できます。国税庁は制度を次のように説明しています。

事前に税務署へ届出等をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等又は納付情報登録をした後に、届出をした預貯金口座からの振替により、簡単なクリック操作で即時又は期日を指定して納付することが可能です。

国税庁 e-Tax「ダイレクト納付」(https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/tetsuzuki4_1.htm

対応税目は幅広く、電子申告等データでは源泉所得税・法人税・消費税・申告所得税など、納付情報データでは延滞税・加算税を含む全税目に対応します。振替のための手数料は不要ですが、金融機関のインターネットバンキング側で発生する手数料は別途利用者が確認する必要があります。

地方税(eLTAX 共通納税)

地方税は、地方税共同機構が運営する eLTAX(地方税ポータルシステム)の「共通納税」を通じて電子的に納付できます。共通納税のうち「ダイレクト方式」が口座振替による電子納税に相当します。

共通納税とは、自宅やオフィスから、地方税の納付手続きを電子的に行うことです。共通納税は、全ての地方公共団体へ一括して電子納付することができます。

eLTAX「共通納税とは」(地方税共同機構)(https://www.eltax.lta.go.jp/kyoutsuunouzei/gaiyou/

対応する主な税目は、法人都道府県民税・法人事業税・特別法人事業税・法人市町村民税・事業所税・個人住民税(給与の特別徴収で税額通知が電子的に送付されている場合)などです。ダイレクト方式の利用にあたっては手数料は不要ですが、事前に eLTAX への口座登録と、金融機関での口座振替の審査が必要になるため、開始まで日数を要します。

振替は納期限内の任意日を指定して実行できるため、資金繰りに合わせた納付日の設計が可能です。

電気・ガス・水道料金

電気・ガス・水道といった公共料金の口座振替は、各社が用意する口座振替依頼書を、金融機関または供給事業者へ提出することで設定できます。中部電力ミライズの例では、検針日から約2週間後に金融機関で自動引き落としが行われる仕組みで、対応金融機関は全国の主要銀行・ゆうちょ銀行と、中部エリア(愛知・静岡・三重・岐阜・長野)の信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合・漁業協同組合を中心に幅広く対応しています。

関西電力・東京電力エナジーパートナーなどの主要電力会社も、法人向けの口座振替に対応しています。振替開始までは1〜2ヶ月程度の期間を見込む必要があります。各社の申込入口は以下から確認できます。

通信料金(電話・インターネット・モバイル)

電話回線・インターネット回線・モバイル通信の月額料金も、通信事業者ごとに用意される口座振替依頼書または Web 上の申込フォームで設定できます。事業者によっては、法人契約でも会員サイトからのオンライン申込に対応しています。

NTTファイナンスは、電話・通信料金の請求代行として複数事業者の料金をまとめて口座振替する仕組みを提供しています。同社を利用している場合は、複数の通信費を1つの口座振替に集約できます。主な通信事業者の口座振替案内は以下から確認できます。

リース料・保険料・その他毎月の支払い

リース料・損害保険料・生命保険料などの毎月または定期的な支払いも、リース会社・保険会社が指定する口座振替依頼書を通じて自動化できます。各社の対応金融機関の範囲や、書類の提出先(保険会社か代理店経由か)は事業者ごとに異なるため、契約時の案内書類または各社Webサイトの案内ページで確認してください。契約時に同時に口座振替を申し込めば、初回請求から適用できるケースが一般的です。

家賃・地代(貸主との個別契約次第で振込指定が多い)、事業用ローン返済(金融機関側の設定で口座引落が原則)などは、各契約先の条件・所定手続きに従って設定します。

出典・参考資料(7件)

自社が請求主体になって、顧客・取引先から口座振替で集金する用途にも関心がある場合は、口座振替を主軸に据えた集金代行サービスの資料を一括で確認できます。

法人の口座振替に対応する主な金融機関

法人の口座振替は、対応する金融機関の範囲が支払い種別(収納機関)ごとに異なります。主要な金融機関の対応状況は次のとおりです。

  • メガバンク:みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行はいずれも、法人向けの口座振替に対応しています。オンラインでの申込受付サービスを提供している銀行もあります。
  • ネット銀行:GMOあおぞらネット銀行・楽天銀行・PayPay銀行などが法人ビジネス口座での口座振替に対応しています。各行のWebサイトに、対応可能な収納機関のカテゴリ一覧(クレジットカード・信販/保険/社会保険料・公共料金など)が掲載されています。
  • ゆうちょ銀行:法人・事業主向けに「自動払込み」の名称で口座振替相当のサービスを提供しています。
  • 地方銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合・漁業協同組合:多くの支払い種別で対応しています。中部電力ミライズの案内では、全国のこれらの金融機関で電気料金の口座振替を利用可能と明記されています。

ただし、社会保険料などの一部の支払いでは、インターネット専業銀行を振替口座に指定すると、提出先が金融機関ではなく年金事務所または事務センターに切り替わります。振替口座の候補が決まった段階で、収納機関の対応金融機関リストを必ず確認してください。

GMOあおぞらネット銀行は、対応収納機関を業種カテゴリ別に整理して公表しています。

出典・参考資料(3件)

口座振替が難しい・対応外の支払いへの代替手段

収納機関が口座振替に対応していない、あるいは自社の取引金融機関が対応先に含まれていないケースもあります。典型的には、取引金融機関がインターネット専業銀行で収納機関の対応リストに含まれない場合、家賃・地代のように貸主との個別契約で振込指定が中心の場合、そして口座振替の開始まで1〜2ヶ月かかる期間中の初回だけ代替が必要になる場合などです。こうした場面では、次のような代替手段を検討できます。

  • Pay-easy(ペイジー):納付書に印字された番号を、インターネットバンキング・ATM・モバイルバンキングから入力して支払う方法です。国税・地方税・社会保険料などの公金納付でも幅広く対応しており、口座振替が使えない場面でも即時に納付できます。
  • インターネットバンキングでの都度振込:法人向けインターネットバンキングから、収納機関の口座へ振込を行う方法です。手数料は各金融機関の振込手数料に準じます。
  • クレジットカード払い:一部の税目(国税の一部・自動車税など)は、専用のクレジットカード納付サイトから支払えます。決済手数料が別途発生する点に注意してください。
  • 金融機関窓口での納付:従来の納付書を使った窓口納付も引き続き可能です。手続きの自動化にはつながりませんが、他の代替手段が利用できない場合の最終手段になります。

国税は e-Tax のダイレクト納付以外にも、インターネットバンキングやクレジットカードでの電子納税に対応しており、地方税も eLTAX が同様の複数の納付方法を提供しています。口座振替が難しい場合でも、電子的な納付手段は複数用意されているため、業務プロセスに合わせて選択してください。

法人が口座振替を使うときのメリットと注意点

口座振替への切替は経理業務の負担軽減につながりますが、運用上の落とし穴もあります。メリットと注意点を対にして整理します。

導入するメリット(納付忘れ防止・銀行往訪削減・事務負担軽減)

みずほ銀行は、社会保険料の口座振替のメリットを次のように整理しています。

金融機関に出向く手間が省ける/納付忘れが起きにくくなる/事務負担が軽減される

みずほ銀行「社会保険料の口座振替納付方法とメリット」(https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/account/tips/topic_114.html

公金以外の民間の支払いにも同様に当てはまります。特に月次の支払い件数が多い法人では、納付書を管理する時間や、振込手続きにかかる手数料の抑制効果が積み上がりやすい点が特徴です。振替日が固定されるため、資金繰り予定を組みやすくなる効果も見込めます。

導入・運用上の注意点(残高不足による滞納リスク・経理処理・書類記入不備)

口座振替は「引き落とし当日に残高がなければ滞納」となる点が、最も注意すべきリスクです。特に社会保険料は月末近くに引き落とされるため、月末の資金繰りが逼迫する法人では滞納が発生しやすく、延滞金の発生や督促につながる可能性があります。

その他の注意点として、次の3点を運用に組み込んでおくと安心です。

  • 振替口座の残高照会を、振替日の前営業日までに定型作業として組み込む。
  • 経理処理では、口座振替が引き落とされた月の会計仕訳に反映されているかを月次で確認する。納付書での支払いから切り替えた月は、二重計上や漏れが起きやすい。
  • 口座振替依頼書の記入不備(銀行印の相違・口座番号の書き間違い)は、金融機関側で照合が通らず、依頼が差し戻されるケースがあります。提出前に社内でダブルチェックを行うと確実です。

口座振替が失敗した場合の再引落・再督促の運用は、収納機関ごとに規定が異なります。社会保険料の場合は、翌月に再振替が行われる仕組みは基本的にないため、滞納となった場合は納付書での納付や金融機関経由の振込で速やかに対応してください。

運用開始後の変更・停止も、書類の再提出で対応できます。社会保険料は同じ「保険料口座振替納付(変更)申出書」を「変更」または「取消」の区分で再提出することで、振替口座の変更や停止手続きが可能です。

民間の支払いも同じく、収納機関へ変更届・解約届を提出する流れが基本です。新しい振替口座に切り替える場合は、新旧口座の並行期間を1〜2ヶ月見込んでおくと、切替直前・直後の請求で滞納や二重引落が起きにくくなります。

集金する側で口座振替を使いたい場合(自社が請求主体になるケース)

ここまでは、法人が支払う側で口座振替を使うケースを解説してきました。読み進めるうちに、自社が集金する側で口座振替を利用したいという関心が生じた方向けに、選択肢を短く整理しておきます。

自社で金融機関と収納契約を結ぶ場合のハードル

自社が請求主体となって顧客口座から口座振替で集金するには、収納機関として金融機関と個別に契約を結ぶ必要があります。契約の可否には金融機関側の申込審査があり、収納機関側でも初期費用が発生するケースがあるなど、支払う側の設定と比べて実務ハードルが高くなります。

ゆうちょ銀行の口座振替受付サービス(収納機関向け)では、加入時の費用が明示されており、金融機関ごとに個別契約と審査が必要になる点は他行でも共通です。PayPay銀行も、集金側の利用は担当窓口への問い合わせを起点とする案内をしています。

これらの実務負担を回避するため、実際には集金代行サービスを利用して口座振替による集金を実現する方法が広く採用されています。

集金代行サービスを利用する選択肢

集金代行サービスは、金融機関との収納契約を代行事業者が一括で担い、利用企業は代行事業者と1本の契約を結ぶだけで、多数の顧客口座からの口座振替による集金を運用できる仕組みです。継続課金・会費・月謝・企業間取引の代金など、幅広い集金業務に対応しています。

代表的な集金代行サービス3社の特徴を、比較しながら紹介します。

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サービス名リコーリース 集金代行サービスサブスクペイ三菱UFJファクター 代金回収サービス
特徴(口座振替の使い方)40年超の運用実績。振替日は月3回(4日・20日・27日)から選択。初期費用0円・未使用月の月額0円で1件から利用可能で、個人事業主・任意団体も対象継続課金・サブスク特化。口座振替とクレジットカード決済を1管理画面で併用可能。決済失敗時の自動リトライ(7日ごと×2回)とカード更新URLの自動送付で継続課金の失効を抑制三菱UFJ銀行の100%子会社が運営する銀行系サービス。振替日は月6回(6日・12日・20日・26日・27日・月末日)から選択。口座振替に加え収納代行(コンビニ・Pay-easy・払込票)をPayment Platformとして一体提供
対応金融機関全国ほぼ全て
(都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協・漁協・ネット銀行・ゆうちょ)
主要な金融機関に対応
(詳細は要問い合わせ)
全国のほぼ全ての金融機関
(都市銀行・地方銀行・ゆうちょ銀行・ネット銀行)
手数料(口座振替)要問い合わせ85円/件(Standard・Professional)要問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見る

リコーリース 集金代行サービス(リコーリース株式会社)

リコーリース 集金代行サービス公式サイト

リコーリース株式会社が1984年から提供する、口座振替を中核に据えた集金代行サービスです。40年超の運用実績と、都市銀行・地方銀行・信用金庫からネット銀行・ゆうちょ銀行まで、法人の口座振替で使いたい主要な金融機関のほぼ全域に対応している点が特徴です。

振替日は月3回(4日・20日・27日)から選択でき、初期費用・未使用月の月額費用がかからないため、集金件数の少ない中小規模の事業者や個人事業主でも導入しやすい料金設計になっています。導入実績は約20,000社にのぼり、公立小中学校での給食費・教材費などの集金にも1,000校超で利用されています。

口座振替を集金の中心に据える運用が、実際にどの程度の回収実績につながるかについて、同社は次のように述べています。

那須田氏
リコーリース株式会社 BPO本部 BPO営業部 マーケティング課
那須田氏
独自インタビューより

効果として分かりやすいのは未収率とサービス継続率の改善です。

口座振替では振込手続や現金を持ってくるのを忘れたなどの支払者側の都合に関係なく、口座に残高が入っていれば引落しできるため、一般に回収率が90%を超えている他、サービスの継続率が高くなる傾向があります。

サブスクペイ(株式会社ROBOT PAYMENT)

サブスクペイ公式サイト

サブスクペイは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する継続課金(月謝・会費・サブスクリプション)に特化した集金代行プラットフォームです。口座振替は1件85円で利用でき、同時にクレジットカード決済も併用できるため、顧客層に応じた集金手段の使い分けが可能です。

継続課金の失効を防ぐ機能として、決済が失敗した際の自動リトライ(7日ごとに1回、合計2回まで)や、クレジットカードの有効期限が切れる月の2日にカード更新用URLを自動送付する仕組みが用意されています。累計導入社数は14,000社を超え、スクール・フィットネス・SaaS・オンラインサービスなど幅広い業種で採用されています。

三菱UFJファクター 代金回収サービス(ワイドネット 口座振替)(三菱UFJファクター株式会社)

三菱UFJファクター 代金回収サービス公式サイト

三菱UFJファクターは三菱UFJ銀行の100%子会社で、銀行系ネットワークを活かした代金回収サービスを提供しています。「ワイドネット」ブランドの口座振替では、全国のほぼ全ての金融機関に対応し、振替日は月6回(6日・12日・20日・26日・27日・月末日)から選択できます。

ネット口座振替受付・ATM/ペイジー受付・収納代行系サービス(マイペイメント/MUFペイジー・プラス/コンビニネット)を、一つの Payment Platform として統合提供している点も特徴です。中〜大規模の継続課金や企業間取引の集金でも採用されています。

他のサービスや、口座振替に特化した集金代行サービスの比較を確認したい場合は、以下の記事をご参照ください。

まとめ

法人の口座振替は、社会保険料・国税・地方税・電気ガス水道・通信・リース・保険料など、毎月の支払いの幅広い領域で利用できます。法人が支払う側で使う場合の申込は、口座振替依頼書(社会保険料は保険料口座振替納付〔変更〕申出書)に法人届出印を押印し、金融機関または収納機関に提出する流れです。振替開始までの目安は概ね1〜2ヶ月で、既存の納付方法は振替開始が確定するまで並行して継続するのが安全です。

収納機関側で対応していない支払いは、Pay-easy・インターネットバンキング・クレジットカード納付などの代替手段を組み合わせて自動化します。運用面では、引き落とし日の残高不足による滞納リスクへの備えが最大の課題になります。

自社が集金する側で口座振替を活用したい場合は、金融機関との個別契約に伴う実務ハードルを回避しやすい集金代行サービスの利用が現実的な選択肢です。集金業務全体の効率化を検討する際は、口座振替を主軸に据えた代行サービスから比較を進めるとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 個人事業主は法人と同じ手続きで口座振替を使えますか?

A. 個人事業主も法人と同様に口座振替を利用できますが、押印する印鑑・書類の名義は個人名義扱いになるのが基本です

社会保険料などの公的支払いや、電気・ガス・通信などの民間支払いでも、個人事業主は事業主本人名義の口座と本人の届出印で申込ます。屋号付きの口座を持っている場合はその口座も指定できます。手続きの流れ・開始までの期間は法人と同じで、法人届出印にあたる印鑑は個人の銀行印となる点が違いです。

Q. 法人の口座振替は、申込から振替開始まで何ヶ月かかりますか?

A. 法人の口座振替は、申込から振替開始まで概ね1〜2ヶ月かかります

書類提出後、金融機関で預金口座の照合が行われ、収納機関(年金事務所・電力会社など)へ書類が回送される流れになるためです。みずほ銀行は社会保険料の口座振替について「振替開始までに1〜2ヵ月程度の期間が必要」と案内しており、中部電力ミライズも電気料金の口座振替で1〜2ヶ月の期間を示しています。

振替開始月が確定するまでは、従来の納付書・振込での支払いを継続する運用が二重納付や納期切れを防ぐうえで安全です。

Q. 法人の口座振替では、代表者印(実印)と法人届出印(銀行印)のどちらを押しますか?

A. 法人の口座振替依頼書には、金融機関に届け出ている「法人届出印(銀行印)」を押印します。法人代表者印(実印)ではありません。

日本年金機構も、社会保険料の申出書について「届出書の2枚目(金融機関用)に、金融機関お届け印を押印してください」と定めています。代表者印と銀行印を分けて管理している法人では、書類提出前に押印する印鑑を必ず確認してください。銀行印と依頼書上の印影が一致しないと、金融機関で照合が通らず依頼書が差し戻され、振替開始がさらに遅れる原因になります。

Q. 法人の口座振替は、オンラインで完結して申し込めますか?

A. 法人の口座振替は、金融機関と収納機関の双方が対応していればオンラインで完結できますが、紙の依頼書+郵送が併存しているケースも多いのが実情です

三井住友銀行の「インターネット口座振替契約受付サービス(法人版)」のように、収納企業のサイト上で預金口座振替契約を締結できる仕組みも整備されており、GMOあおぞらネット銀行・楽天銀行・PayPay銀行などのネット銀行もオンライン申込に幅広く対応しています。

ただし、収納機関側がオンライン申込に対応していないと利用できないため、申込前に収納機関のWebサイトで対応金融機関とオンライン申込の可否を確認するのが確実です。

Q. 法人の口座振替で残高不足になった場合、翌月に再引落されますか?

A. 法人の口座振替は、収納機関ごとに再振替の運用が異なり、社会保険料のように翌月の再振替が基本的に行われないケースもあります

社会保険料が引き落とせなかった場合は延滞金の発生や督促につながる可能性があるため、納付書での納付や金融機関経由の振込で速やかに対応してください。民間の支払い(電気・ガス・通信・リースなど)でも、再振替が1回のみに限られたり、翌月合算請求に切り替わるなど、対応は事業者ごとに異なります。振替日の前営業日までに残高照会を経理側の定型作業として組み込んでおくと、滞納を防ぎやすくなります。

Q. 法人の口座振替は、複数の銀行口座を支払い先ごとに使い分けて一元管理できますか?

A. 金融機関によっては、1つの申込手続きで複数の引き落とし口座を登録でき、支払い先ごとに口座を使い分けて一元管理できます

たとえば楽天銀行の法人ビジネス口座では、口座振替の設定を「20口座までまとめてお申込できます」と案内しています。事業部門ごと・支払い種別ごとに引き落とし口座を分けたい法人は、複数口座の一括管理に対応する金融機関(メガバンクの法人向けインターネットバンキング・ネット銀行の法人口座など)を軸に据えると、資金管理と会計仕訳の切り分けが行いやすくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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