自社が請け負った業務の一部を協力会社へ再委託したものの、その再委託先が納期を遅らせたり情報を漏らしたりしたとき、発注元に対して責任を負うのは自社なのか、それとも再委託先なのか。契約書に「再委託」という言葉は出てくるものの、いざトラブルが起きたときに誰が矢面に立つのかがはっきりしないまま話が進んでいて不安、という声は少なくありません。
本記事では、この「再委託先が問題を起こしたときの責任の所在」をまず結論から示します。そのうえで、請負・準委任での再委託の可否、受託者から再委託先への責任追及、無断再委託のペナルティ、契約条項の書き方、個人情報が絡む場合の監督義務までを、根拠条文とともに整理します。
読み終えたときに、自社の契約書の再委託条項を見直す観点と、委託先・再委託先を継続的に管理する具体的な手立てが持ち帰れる状態を目指します。
目次
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再委託先がトラブルを起こしたら、責任を負うのは誰か
結論から述べます。再委託先が納期遅延や情報漏えいなどのトラブルを起こしても、発注元に対して責任を負うのは、原則として発注元と直接契約を結んでいる受託者(自社)です。再委託先が発注元へ直接責任を負うわけではありません。
登場するのは3者です。業務を発注する委託元(発注元)、それを請けて一部を外に出す受託者(自社)、受託者から業務を請ける再委託先の3者です。委託元と契約関係にあるのは受託者だけで、委託元と再委託先の間には直接の契約はありません。そのため、再委託先の作業品質や情報管理も含めて、委託元に対して契約上の責任を負うのは受託者になります。
たとえば、A社(委託元)から業務を請けたB社(受託者)が、その一部をC社(再委託先)に再委託したとします。C社の過失でA社に損害が生じた場合でも、A社に対して債務不履行の責任を負うのはB社です。B社は「作業をしたのはC社だから自社は関係ない」とは言えません。再委託先は、受託者が自らの債務を果たすために使う履行の補助者と位置づけられ、その行為の結果は受託者自身の責任として扱われるためです。
この考え方は、実際の契約約款にも表れています。たとえば成田市が事業者と結ぶ業務委託契約では、再委託した業務についても発注者に対して受注者が責任を負うことが明記されています。
受注者は、自らが負う契約書等における一切の義務を再委託先にも遵守させるとともに、再委託先の行為について、発注者に対し責任を負うものとします。
出典:業務委託契約における再委託について|成田市
受託者が発注元に対して負う責任の法的な裏づけは、債務不履行による損害賠償の一般原則にあります。民法では、債務者が契約の本旨に従った履行をしないときは、債権者はそれによって生じた損害の賠償を請求できるとされています。
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。(後略)
出典:民法第415条(債務不履行による損害賠償)|e-Gov法令検索
再委託先の不手際で業務が契約どおりに完了しなければ、その債務を負っているのは受託者なので、発注元は受託者に対して賠償を求めることになります。まずは「原則として受託者が負う」という一点を押さえたうえで、契約の種類や承諾の有無によって結論がどう動くかを次に見ていきます。
委託元・受託者・再委託先の責任関係
3者の責任の向きを整理すると、次のようになります。委託元に対して契約上の責任を負うのは受託者で、再委託先は受託者に対して責任を負います。委託元と再委託先の間には直接の契約関係がないため、原則として委託元が再委託先へ直接責任を追及することはできません。

- 委託元 → 受託者:業務が契約どおり完了しない場合、委託元は受託者に債務不履行の責任(損害賠償・契約解除など)を追及できる。
- 受託者 → 再委託先:再委託先の不手際で受託者が損害を被った場合、受託者は再委託先との契約に基づき責任を追及できる。
- 委託元 → 再委託先:直接の契約関係がないため、原則として直接の責任追及はできない(不法行為が別途成立する場合を除く)。
再委託・外注・下請けの違い
用語も整理しておきます。再委託とは、業務委託を受けた受託者が、その業務の全部または一部をさらに別の第三者へ委託することです。「外注」は社内業務を外部へ発注することを広く指す言葉で、再委託もその一形態にあたります。
「下請け」は受注者がさらに別の事業者へ発注する関係を指し、再委託とほぼ同じ関係を表しますが、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の対象となる取引では別の規律が加わります(詳しくは記事末尾のよくある質問で触れます)。呼び方は近くても、責任と可否を決めるのは次に見る「請負か準委任か」という契約の性質です。
請負か準委任かで再委託の可否・責任はこう変わる
「原則として受託者が責任を負う」という結論は共通ですが、そもそも再委託が自由にできるのか、それとも委託元の承諾が要るのかは、契約の種類によって変わります。分かれ目になるのが、その業務委託契約が請負契約なのか、準委任契約なのかという点です。
請負契約は、仕事の完成を約束し、その成果に対して報酬を支払う契約です。民法では次のように定められています。
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
出典:民法第632条(請負)|e-Gov法令検索
請負では、契約の目的が「仕事を完成させること」にあり、誰が作業するかは本質的な要素ではありません。そのため、契約で特に禁止されていなければ、請負人は業務の一部を再委託できるのが原則です。ただし、完成した成果物が契約に適合しなければ、請負人(受託者)が発注元に対して契約不適合責任や債務不履行責任を負う点は変わりません。
一方、準委任契約は、事務処理そのものを委ねる契約です。委任は法律行為の委託を指し、法律行為以外の事務の委託には準委任として委任の規定が準用されます。委任では、受任者が委託元の信頼にもとづいて自ら事務を処理することが前提となるため、再委託(復委任)は原則として自由にはできません。民法は、復受任者を選任できる場合を次のように限定しています。
受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
出典:民法第644条の2(復受任者の選任等)|e-Gov法令検索
このように準委任では、委託元の許諾を得るか、やむを得ない事由がある場合でなければ再委託できないのが原則です。受任者には委任の本旨に従って善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(善管注意義務)があり、勝手に第三者へ任せることは、この前提と整合しないためです。法律行為以外の事務を委託する準委任にこれらの委任の規定が準用されることは、民法第656条が定めています。
自社の契約は請負か準委任か、どう見分けるか
自社の契約がどちらに当たるかは、契約書のタイトルではなく、契約の目的が「成果物の完成」にあるのか「事務処理の遂行」にあるのかで判断できます。成果物を完成させて引き渡すことに報酬が結びついているなら請負に近く、業務プロセスの遂行そのものに報酬が結びついているなら準委任に近いといえます。
たとえば、仕様どおりのシステムを完成させて納品する開発契約は請負の性質が強く、運用保守やコンサルティングのように継続的に業務を遂行する契約は準委任の性質が強くなります。実務では両方の要素が混在する契約もあるため、再委託の可否を判断する前に、自社の契約がどちらの性質を持つかを確認することが出発点になります。
契約類型と承諾の有無による再委託の可否・責任
契約の種類と委託元の承諾の有無を組み合わせると、再委託の可否と責任は次のように整理できます。
| 契約類型別の再委託の可否・責任 | 請負契約(契約で再委託を禁止していない) | 準委任契約(委託元の許諾あり) | 準委任契約(無断で再委託) |
|---|---|---|---|
| 再委託の可否 | 原則として可能(誰が作業するかは契約の本質でないため) | 可能 | 原則として不可(許諾・やむを得ない事由が必要) |
| 委託元の承諾 | 原則として不要(契約で承諾制にすることは可能) | 許諾を得ていることが要件 | なし |
| 発注元に対する責任 | 成果物が契約に適合しなければ受託者が契約不適合・債務不履行責任を負う | 受託者が善管注意義務を負い、事務が適切に処理されない場合は債務不履行責任を負う | 契約違反として契約解除・損害賠償の対象になり得る |
※上記は民法の原則にもとづく一般的な整理です。個別の契約では特約が優先されるため、実際の契約書の記載をご確認ください。
受託者は再委託先にどこまで責任を追及できるか
ここまでは委託元に対する受託者の責任を見てきました。実務では、受託者側から「再委託先の不手際で自社が賠償することになったら、その分を再委託先に請求できるのか」という逆方向の関心も生じます。
受託者が発注元に賠償したうえで、その原因が再委託先の債務不履行にある場合、受託者は再委託先との契約(再委託契約)にもとづいて損害の賠償を求めることができます。これは委託元との関係とは別に、受託者と再委託先の間に成立している契約上の責任です。したがって、賠償リスクを再委託先へ適切に転嫁できるかどうかは、再委託契約でどこまで責任範囲・賠償の取り決めを定めているかに左右されます。
あわせて意識したいのが、再委託先の選任と監督です。受託者は、再委託先を選ぶ段階で適切な相手を選ぶこと、そして再委託後も業務が適切に行われているかを監督することが求められます。選任・監督が不十分だったために発注元へ損害が及んだ場合、受託者自身の責任として問われます。再委託先を使う以上、選任と監督の責任は受託者に残ると考えて契約・運用を設計するのが安全です。
賠償を再委託先へ確実に転嫁できるかは、再委託契約の作り込みで決まります。受託者の立場では、再委託先との契約に「再委託先の責めに帰すべき事由により受託者に生じた損害(発注元へ賠償した額を含む)を、再委託先が賠償する」旨や、機密保持・再委託先のさらなる再委託の制限を明記しておくと、いざというときに求償の根拠が明確になります。
条項例:「丙は、丙の責めに帰すべき事由により乙に生じた損害(乙が甲に対して負担した賠償を含む)を、乙に対して賠償する。」
無断で再委託したらどうなる?(契約解除・損害賠償・指名停止)
契約で再委託が禁止されている、または準委任で許諾が必要なのに、無断で再委託した場合はどうなるのでしょうか。この場合、再委託そのものが契約違反となり、発注元から契約を解除されたり、損害賠償を請求されたりするおそれがあります。
請負契約では、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できるとする規定(民法第641条)もありますが、無断再委託のように受注者側に契約違反がある場合は、債務不履行を理由とする解除・損害賠償の対象になり得ます。信頼関係を前提とする契約で無断の再委託が発覚すると、当該案件の解除にとどまらず、その後の取引継続にも影響します。
とくに官公庁や自治体との契約では、無断再委託への対応が明確に定められていることが多く、違反すると指名停止などの措置につながります。たとえば成田市では、無断再委託などの違反に対して指名停止措置の対象になることが示されています。民間契約でも、契約書に承認制や違反時の解除・損害賠償を定めておくのが一般的で、無断再委託は「バレなければよい」という性質のリスクではありません。
出典・参考資料(2件)
契約書の再委託条項の書き方(禁止・事前承諾・責任の明確化の3パターン)
再委託をめぐるトラブルの多くは、契約書で再委託の可否や責任を曖昧にしたまま業務を始めたことに起因します。ここでは、自社の立場に応じて使い分けられる再委託条項を3つのパターンに分けて示します。いずれも、民法の原則を前提としつつ、当事者間で明確に取り決めておくことで解釈の余地をなくすことを目的とします。
再委託を禁止する条項(原則禁止パターン)
再委託を一切認めたくない場合や、業務の性質上、受託者自身に遂行してほしい場合に用います。委託元の立場では、情報管理や品質を確実に自社の管理下に置きたいときに有効です。
条項例:「乙は、本契約に基づく業務の全部または一部を、第三者に再委託してはならない。」
事前承諾を条件に許可する条項(条件付き許可パターン)
実務では、再委託を全面的に禁止するとかえって業務が回らないため、委託元の事前の書面承諾を条件に再委託を認める条件付き許可がよく使われます。委託元は再委託先を事前に把握でき、受託者は必要に応じて外部の力を借りられるため、双方にとって現実的なパターンです。
条項例:「乙は、甲の事前の書面による承諾を得た場合に限り、本業務の一部を第三者に再委託することができる。この場合、乙は、再委託先に本契約と同等の義務を遵守させ、再委託先の行為について甲に対し責任を負う。」
システム開発のように委託先の技術力が成果を左右する業務では、事前承諾を必須とする形が広く使われます。自社の業務の機微度に応じて、承諾を必須とするか、一定範囲は届出制にとどめるかを検討するとよいでしょう。
再委託先の行為の責任を受託者が引き受ける条項(責任明確化パターン)
再委託を認める場合でも、再委託先の行為について受託者が責任を負うことを明記しておくパターンです。民法の原則でも受託者が責任を負いますが、契約に明文化することで、再委託先の情報漏えいや品質不良が生じたときの責任の所在をめぐる争いを避けられます。委託元の立場から特に重視したい条項です。
条項例:「乙は、再委託先の行為を自己の行為とみなし、再委託先の責めに帰すべき事由により甲に生じた損害について、甲に対し責任を負う。」
契約条項は、委託先・再委託先を実際に評価・記録する運用があってはじめて実効性を持ちます。委託先の評価やモニタリングを担うサービスの資料は、以下からまとめて確認できます。
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個人情報・マイナンバーが絡む再委託の監督義務
再委託する業務が個人情報を扱う場合は、契約上の責任に加えて、個人情報保護法にもとづく監督義務が問題になります。ここは無断再委託や情報漏えいがとくにトラブルへ発展しやすい領域です。
委託元が委託先・再委託先に負う間接的な監督義務
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、個人データの取扱いを委託する場合、委託元が委託先に対して必要かつ適切な監督を行う義務を定めています。
個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
出典:個人情報の保護に関する法律第25条(委託先の監督)|e-Gov法令検索
この監督義務は、委託先が業務をさらに再委託した場合の再委託先にも及ぶと解されています。個人情報保護委員会も、最初の委託者は委託先を監督するだけでなく、再委託先に対しても間接的に監督義務を負うとの考え方を示しています。委託先は再委託にあたって最初の委託者の許諾を得なければならず、再委託先を監督する義務を負います。
再委託先の側も、許諾を得ていることを確認することが求められます。委託先または再委託先で個人データが漏えいした場合、最初の委託者が委託先に対する監督責任を問われる可能性があるため、委託の入口から再委託先までを見据えた管理が必要になります。
マイナンバー(個人番号)を含む業務では、取扱いがさらに厳格です。番号法(マイナンバー法)は、個人番号を扱う事務の委託を受けた者は「委託をした者の許諾を得た場合に限り」再委託できると定めており、個人情報保護法のように「やむを得ない事由」で許諾なしに再委託できる余地はありません。マイナンバーを扱う業務を再委託するときは、必ず最初の委託者の許諾を得る必要があります。
出典・参考資料(2件)
情報漏えい・機密保持を防ぐための対策
監督義務を果たすうえで実務的に必要なのは、再委託先まで見据えた管理の仕組みです。具体的には、再委託を承認制にして再委託先を事前に把握すること、委託先・再委託先と機密保持や安全管理措置を定めた覚書を交わすこと、そして委託先が本当に適切な安全管理を行っているかを定期的に確認することが挙げられます。
とくに再委託先については、委託元が直接契約を持たないぶん実態が見えにくくなります。委託先に対して、再委託先の選定基準・監督状況・安全管理措置の内容をチェックシートなどで報告させ、その結果を記録として残しておくと、監督義務を果たしていることを説明できる状態になります。個人データを扱わない業務であっても、機密情報を渡す以上は同様の考え方で機密保持と管理体制を整えておくことが望まれます。
委託先・再委託先を継続的に管理する仕組み
ここまで見てきたとおり、再委託先のトラブルの責任は原則として受託者が負い、個人情報が絡めば委託元は再委託先にまで及ぶ監督義務を負います。これらの責任は、契約書を整えるだけでは果たしきれません。再委託先が実際にどのような体制で業務や情報を扱っているかを、継続的に把握・評価する運用が必要になります。
とはいえ、委託先や再委託先の数が増えると、チェックシートの送付・回収・採点や、年次の再点検をExcelとメールだけで回すのは負担が大きく、抜け漏れも生じやすくなります。こうした委託先・再委託先の評価と継続的なモニタリングを一元化する手段が、委託先リスク管理(サードパーティリスク管理/TPRM)と呼ばれるツールです。
委託先へのチェックシート配布・回収・採点、再委託先まで含めた関係の可視化、年次点検の管理などをクラウド上で行えます。誰にいつ何を確認したかが記録として残るため、監督義務を果たしている状態を後から説明しやすくなる点も利点です。
こうした委託先リスク管理は、企業全体のリスクやコンプライアンスを一元管理するGRCツールの一機能として提供されることも増えています。委託先管理を含めてGRCツールを幅広く比較し、機能や選び方まで確認したうえで導入を検討したい方は、以下の記事が参考になります。
ここでは、委託先・再委託先の管理に対応した代表的なサービスを紹介します。以下は各サービスの比較表です。
| 委託先リスク管理サービスの比較 | VendorTrustLink | Conoris BP | AuditnQ |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社アトミテック | 株式会社Conoris Technologies | RenderingConsulting株式会社 |
| 再委託先の管理 | ●契約情報管理で再委託先の評価を登録 | ●ツリー状の階層構造で可視化 | ●再委託先(Nth Party)管理機能を搭載 |
| 評価方式 | チェックシート(アンケート)型 結果を自動採点 | Webフォーム調査票 AIレビューアシストで回答分析 | 既存Excel調査票を取り込み 回答を自動抽出・DB化 |
| 外部評価データとの連携 | × | × | ●Netskope CCI連携 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 無料トライアル | あり | あり | 公表なし |
| 導入形態 | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| セキュリティ認証(運営会社) | ISO/IEC 27001 | ISO/IEC 27001 | ISO/IEC 27001 SOC 2 Type 2取得手続き中 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
VendorTrustLink(株式会社アトミテック)

VendorTrustLink(ベンダートラストリンク)は、委託先・取引先へのチェックシートの送付から回収・採点・履歴管理までを自動化する、委託先リスク管理に特化したクラウドサービスです。株式会社アトミテックが提供し、国際的なリスクマネジメントの指針であるISO 31000に準拠した設計を掲げています。
選択式や自由記述、画像・動画の提出などをカスタマイズできるチェックシートを複数の委託先へ一括送付し、未回答者への自動リマインドや結果の自動採点、経年比較までを一連の流れで運用できます。委託業務ごとに契約期間・金額とあわせて再委託先の評価を登録できる契約情報管理を備えている点も特徴です。
契約情報に再委託先の評価まで登録できるため、再委託先を含めた委託先管理に向く設計です。2024年10月にβ版を開始し、2025年4月に正式リリースされました。
Conoris BP(株式会社Conoris Technologies)

株式会社Conoris Technologiesが提供するConoris BP(コノリス ビーピー)は、委託先・再委託先へのセキュリティ調査と年次定期点検を、Excel・メール中心の運用からクラウド上に一元化するツールです。プロジェクト別・会社別に委託先をツリー状の階層構造で管理でき、委託先の先にある再委託先まで関係を追える点が特徴です。
調査票は自由にカスタマイズできるWebフォーム形式で送付・回収します。2025年1月にリリースされたAIレビューアシスト機能は、回答を自動分析してリスクのある項目を抽出し、社内規程やISO/IEC 27001などのフレームワークと照合して審査担当者の判断を支援します。2年目以降の定期点検を一括で依頼・回収し、年度間の回答差分を追跡できる点も、継続的な委託先管理に向いています。
AuditnQ(RenderingConsulting株式会社)

既存のExcelチェックシートをそのまま活かせるのが、AuditnQ(オーディトンキュー)の特徴です。RenderingConsulting株式会社が提供する、委託先・再委託先の管理とセキュリティチェック・定期監査をクラウド上で一元化するサードパーティリスク管理システムで、委託先の回答をシステム上で自動的に抽出・データベース化できます。
再委託先(Nth Party)管理の機能を備え、再委託先まで含めたサプライチェーン全体の情報を管理できます。複数会社管理により、グループ会社・関連会社を含めた展開にも対応します。2026年2月にはNetskope CCIとの第三者評価連携機能をリリースし、委託先の自己申告情報と外部の評価データを組み合わせた評価が可能になりました。
運営会社はISMS(ISO/IEC 27001)を取得済みで、SOC 2 Type 2の取得手続き中であることを公表しています。
まとめ
再委託先がトラブルを起こしたとき、発注元に対して責任を負うのは原則として受託者です。再委託先は受託者の履行を補助する立場であり、その行為の結果は受託者自身の責任として扱われます。ただし、再委託が自由にできるか、委託元の承諾が必要かは、契約が請負か準委任かによって変わり、無断での再委託は契約解除・損害賠償や、官公庁との契約では指名停止につながります。
自社を守るには、契約書で再委託の可否と責任範囲を明確にし、個人情報が絡む場合は委託先・再委託先にまで及ぶ監督義務を果たす運用を整えることが要になります。契約を整えたうえで、委託先・再委託先を継続的に評価・記録する仕組みまで用意できれば、責任を果たしている状態を無理なく維持できます。まずは自社の契約書の再委託条項を見直すところから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 再委託とは何ですか?
A. 再委託とは、業務委託を受けた受託者が、その業務の全部または一部をさらに別の第三者(再委託先)へ委託することです。委託元から見れば、自社が直接契約していない第三者が業務に関与する状態を指します。
「外注」は社内業務を外部へ発注することを広く指す言葉で、再委託もその一形態です。委託元・受託者・再委託先という三者の関係になる点が、再委託を理解するうえでの出発点になります。
Q. 再委託先がトラブルを起こしたら、発注元に対して責任を負うのは誰ですか?
A. 再委託先が納期遅延や情報漏えいなどのトラブルを起こしても、発注元に対して責任を負うのは原則として発注元と直接契約を結んでいる受託者です。再委託先が発注元へ直接責任を負うわけではありません。
再委託先は、受託者が自らの債務を果たすために使う履行の補助者と位置づけられ、その行為の結果は受託者自身の責任として扱われます。したがって、再委託先の不手際で業務が契約どおり完了しなければ、発注元は債務不履行(民法第415条)を理由に受託者へ損害賠償を求めることになります。
出典・参考資料(1件)
Q. 請負契約と準委任契約で、再委託できるかはどう変わりますか?
A. 請負契約は契約で禁止していなければ原則として再委託でき、準委任契約は委託元の許諾かやむを得ない事由がなければ再委託できないのが原則です。請負は仕事の完成が目的で、誰が作業するかは契約の本質ではないため(民法第632条)、再委託が広く認められます。
一方、準委任は受任者が委託元の信頼にもとづいて自ら事務を処理することが前提のため、復受任者の選任には委任者の許諾かやむを得ない事由が必要とされています(民法第644条の2)。自社の契約が請負か準委任かは、契約書のタイトルではなく「成果物の完成」と「事務処理の遂行」のどちらに報酬が結びつくかで判断できます。
出典・参考資料(1件)
Q. 無断で再委託すると、どのような罰則やペナルティがありますか?
A. 再委託が契約で禁止されている、または準委任で許諾が必要なのに無断で再委託すると、再委託そのものが契約違反となり、契約解除や損害賠償の対象になり得ます。刑事罰ではなく、契約上・行政上の措置である点が特徴です。
とくに官公庁や自治体との契約では対応が明確に定められていることが多く、無断再委託が指名停止措置につながる例もあります。信頼関係を前提とする契約で無断の再委託が発覚すると、当該案件の解除だけでなく、その後の取引継続にも影響します。「バレなければよい」という性質のリスクではありません。
Q. 個人情報を扱う業務を再委託する場合、委託元はどこまで監督義務を負いますか?
A. 個人情報を扱う業務では、委託元は委託先に対する必要かつ適切な監督義務(個人情報保護法第25条)を負い、その監督義務は委託先が業務をさらに再委託した再委託先にも間接的に及ぶとされています。
個人情報保護委員会も、最初の委託者は委託先を監督するだけでなく、再委託先に対しても間接的に監督義務を負うとの考え方を示しています。委託先または再委託先で個人データが漏えいした場合、最初の委託者が委託先への監督責任を問われる可能性があるため、再委託を承認制にする、覚書を交わす、安全管理措置を定期的に確認するといった運用が求められます。
出典・参考資料(2件)
Q. 再委託と下請けはどう違いますか?
A. 再委託と下請けは、受注者がさらに別の事業者へ業務を発注するという点でほぼ同じ関係を指しますが、一定の資本金区分に該当する製造委託・情報成果物作成委託などの取引では、下請代金支払遅延等防止法(下請法)による別の規律が及ぶ点が異なります。
下請法が適用される取引では、発注書面の交付義務や支払遅延の禁止などのルールが加わります。ただし、再委託の可否や責任が最終的にどうなるかは、その契約が請負か準委任かという契約類型によって変わる点は共通です。
Q. 受託者が発注元に賠償した場合、その分を再委託先に請求できますか?
A. 受託者は、発注元へ賠償した損害の原因が再委託先の債務不履行にある場合、再委託先との契約(再委託契約)にもとづいて賠償を求める(求償する)ことができます。これは委託元との関係とは別に、受託者と再委託先の間に成立している契約上の責任です。
ただし、実際にどこまで再委託先へ賠償リスクを転嫁できるかは、再委託契約で責任範囲や賠償の取り決めをどこまで定めているかに左右されます。あわせて、受託者には再委託先を適切に選び監督する責任が残るため、選任・監督が不十分だった場合は受託者自身の責任も問われる点に注意が必要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















