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クライアント証明書発行サービスとは?仕組み・料金と選び方を比較|クラウド型・マネージドPKIから選ぶ

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社内システムやVPN、クラウドサービスへのアクセスを、IDとパスワードだけで守ることに不安を感じていませんか。パスワードは漏えいや使い回し、フィッシングのリスクが避けられず、許可していない端末からの接続を防ぐ仕組みとしては十分とはいえません。そこで有効な手段となるのが、利用者や端末に電子証明書を発行して本人確認を強化するクライアント証明書です。

クライアント証明書を導入するには、証明書を発行・管理するサービスを選ぶ必要があります。ただし、パブリックな認証局から手軽に発行するタイプ、自社専用の認証局をベンダーに任せるタイプ、認証基盤ごと強化するタイプなど、発行や運用の形態はサービスによって異なります。自社の要件に合うサービスを選ぶには、どのような観点で比較すればよいのでしょうか。

本記事では、主要なクライアント証明書発行サービス12種類を、発行・運用の形態別に比較・解説します。クライアント証明書とサーバー証明書の違いやPKI(公開鍵基盤)の仕組みといった基礎から、料金相場、選び方、導入後の運用の注意点までを整理しました。自社のセキュリティ強化を検討している方が、自社に合ったサービスを判断するための材料としてご活用ください。

また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

クライアント証明書発行サービスとは(サーバー証明書との違い)

クライアント証明書発行サービスは、利用者や端末に電子証明書を発行し、その証明書を使ってアクセスの正当性を確認できるようにするサービスです。証明書をインストールした端末だけに接続を許可することで、IDとパスワードに加えたもう一つの本人確認の要素として機能し、不正アクセスやなりすましを防ぎます。

混同しやすいのがサーバー証明書との違いです。クライアント証明書が「アクセスする側」である利用者や端末の身元を証明するのに対し、サーバー証明書はWebサイトやサーバーといった「アクセスされる側」の身元を証明します。証明する対象が逆になっているため、用途も異なります。

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クライアント証明書とサーバー証明書の違いクライアント証明書サーバー証明書
証明する対象アクセスする側(利用者・端末)の正当性アクセスされる側(Webサイト・サーバー)の正当性
確認できること許可された利用者・端末からのアクセスかどうか接続先が本物のサイト・サーバーか、通信が暗号化されているか
主な用途端末認証、二要素認証、VPN・社内システムのアクセス制御、メールの電子署名・暗号化Webサイトの常時暗号化(HTTPS)、通信内容の盗聴・改ざん防止

本記事で扱うクライアント証明書発行サービスは、この「アクセスする側」を証明する証明書を、企業が利用者・端末ごとに発行し、更新や失効まで管理するためのサービスです。

クライアント証明書の仕組み(PKI・認証局・認証フロー)

クライアント証明書は、PKI(公開鍵基盤)という技術を土台にしています。PKIは、ペアになる2つの鍵(公開鍵と秘密鍵)と、その持ち主を保証する認証局(CA)を組み合わせて、なりすましのない本人確認を実現する仕組みです。認証局は、申請者や所属組織の実在を確認したうえで証明書を発行し、その証明書が本物であることを保証する役割を担います。

実際の認証は、おおまかに次の流れで進みます。まず、認証局が発行した証明書を利用者の端末にインストールします。次に、その端末が社内システムやVPNへアクセスする際、サーバーへ証明書を提示します。サーバー側は提示された証明書が有効かどうかを確認し、有効であればアクセスを許可します。

証明書を持たない端末は、正しいIDとパスワードを入力できてもこの段階ではじかれるため、許可した端末だけにアクセスを限定できます。

クライアント証明書による認証の流れを4ステップで示した図解。STEP1で認証局が発行した証明書を端末にインストール、STEP2で社内システムやVPNへアクセスする際にサーバーへ証明書を提示、STEP3でサーバーが証明書の有効性を確認、STEP4で有効ならアクセスを許可し証明書を持たない端末は遮断される流れ。

証明書には有効期限があり、期限が切れる前の更新や、退職者・紛失端末の証明書を無効にする失効といった運用が発生します。証明書の有効性をリアルタイムに確認する仕組みとしてOCSP(オンライン証明書状態プロトコル)やCRL(証明書失効リスト)があり、失効させた証明書によるアクセスを速やかに遮断できます。こうした発行から失効までの一連の管理を担うのが、クライアント証明書発行サービスです。

クライアント証明書を導入するメリット・必要性

クライアント証明書を導入する最大のメリットは、IDとパスワードだけでは防ぎきれない不正アクセスを、端末単位で遮断できることです。パスワードが漏えいしても、証明書がインストールされた端末以外からはアクセスできないため、リスト型攻撃やフィッシングによる不正ログインを防ぎやすくなります。

証明書による認証はログイン時にパスワードの再入力を求めない運用もできるため、セキュリティと利便性を両立しやすい点も特徴です。

テレワークやクラウド利用の広がりで、社外から社内システムやSaaSへアクセスする場面が増え、社内と社外の境界だけで守る従来の考え方が通用しにくくなっています。誰の・どの端末からのアクセスかを一つひとつ確認する必要性が高まっており、クライアント証明書はその手段の一つです。

主な用途・活用シーン

クライアント証明書は、いくつかの場面で活用されています。用途を押さえておくと、自社のどの課題に効くかを判断しやすくなります。

  • 二要素認証・端末認証:IDとパスワードに証明書を組み合わせ、許可した端末からのアクセスだけを認める
  • VPN・リモートアクセスの強化:社外から社内ネットワークへ接続する際に、証明書を持つ端末に限定する
  • 私物端末(BYOD)の制御:会社が配布した証明書を持つ端末だけに業務システムへの接続を許可する
  • メールの電子署名・暗号化(S/MIME):送信者のなりすまし防止やメール内容の暗号化に使う

端末認証が求められる場面(業界ガイドライン・取引先要件)

クライアント証明書による端末認証は、自社の判断で導入するだけでなく、業界のガイドラインや取引先の要件として求められる場面があります。

たとえば医療分野では、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(2026年8月時点の最新は第7.0版)を見てみます。このガイドラインは、オープンなネットワークを経由してTLS接続する場合に、クライアント証明書によるTLSクライアント認証、または同等以上の端末の識別・認証を求めています。

オープンなネットワークにおいて、IPsec によるVPN 等を利用せずプロトコルを限定したTLS 接続をする場合(HTTPS、FTPS 等)、TLS のプロトコルバージョンをTLS1.3 以上に限定した上で、クライアント証明書を利用したTLS クライアント認証(mutual-TLS)、または、これと同等以上の安全性を有する、端末の識別・認証による接続端末制限の措置をすること。

出典:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 システム運用編|厚生労働省

金融やクレジットカード業界でも、端末やアクセスの認証強化が求められています。クレジットカードのセキュリティ基準であるPCI DSS(バージョン4.x)は、カード会員データ環境へのすべてのアクセスに多要素認証を求めています(要件8.4.2、2025年3月末以降必須)。クライアント証明書は、この多要素認証を満たす所持要素の一つとして利用できます。

金融庁の「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」(2024年10月適用)も、重要なシステムへのリモートアクセスに多要素認証を求めています。これらの基準はクライアント証明書そのものを義務づけるものではありませんが、証明書による認証は要件を満たす有力な手段となります。

出典・参考資料(2件)

クライアント証明書の発行・運用形態の3タイプ

クライアント証明書発行サービスは、証明書をどう発行し、認証局(CA)をどう持つかによって大きく3つのタイプに分かれます。自社がどのタイプを求めているかを見極めることが、サービス選びの出発点になります。

クライアント証明書発行サービスの発行・運用形態の3タイプを示した図解。TYPE1クラウド型はベンダーのパブリックCAやSaaSの認証基盤を利用し自社専用CAの構築・運用は伴わず手軽に始めたい企業向け。TYPE2マネージドPKI型は自社専用の認証局(プライベートCA)をベンダーが構築・運用代行し独自ポリシーや大規模管理向け。TYPE3のMFA・IDaaS一体型はIDaaS・MFA基盤が自社CA機能を内包しSSOや多要素認証と一体で提供し認証基盤ごと強化したい企業向け。
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発行・運用形態の3タイプクラウド型(クラウドで手軽に発行)マネージドPKI型(自社ポリシーの認証局を委託運用)MFA・IDaaS一体型(認証基盤に証明書発行を内包)
認証局(CA)の持ち方ベンダーのパブリックCAやSaaSの認証基盤を利用し、自社専用CAの構築・運用は伴わない自社専用の認証局(プライベートCA)をベンダーが構築・運用代行IDaaS・MFA基盤が自社CA機能を内包する(外部CAとの連携に対応する製品もある)
特徴オンラインで手軽に発行できる。パブリックCA発行なら審査不要・即時発行・公開価格のものもある有効期間や失効などのポリシーを自社仕様にでき、発行・更新・失効を一元管理できる証明書による端末認証を、SSO・多要素認証・デバイス管理と一体で提供する
向いている企業自社CAを持たず手軽に発行を始めたい企業独自の認証ポリシーや大規模な端末管理が必要な企業証明書単体ではなく認証基盤ごとまとめて強化したい企業
該当する主なサービスFujiSSL、NRA-PKIマネージドPKI Lite byGMO、サイバートラスト デバイスID、セコムパスポート for Member ほかCloudGate UNO、Soliton OneGate、IIJ IDサービス

クラウド型(クラウドで手軽に発行)

自社専用の認証局を構築せず、クラウド上で手軽に証明書を発行するタイプです。世界的に信頼された商用の認証局(パブリックCA)から審査なし・即日で発行するサービスもあれば、SaaS形式で発行を代行するサービスもあり、公開価格で少数から始められるものから、代理店経由で見積もりが必要なものまで幅があります。

いずれも認証局を自前で構築・運用する負荷がかからず、導入スピードを重視して証明書認証を手軽に始めたい企業に向いています。自社独自のポリシーを反映した認証局を持ちたい場合は、次のマネージドPKI型が選択肢になります。

マネージドPKI型(自社ポリシーの認証局を委託運用)

自社専用の認証局(プライベートCA)をベンダーが構築・運用代行するタイプです。有効期間や失効の扱い、証明書の階層といったポリシーを自社の要件に合わせて設計でき、管理画面やAPIから証明書の発行・更新・失効を一元的に運用できます。認証局を自前で構築・運用する負荷をかけずに、独自ポリシーでの本格的な端末管理を実現したい企業に向いています。

専業のクライアント証明書発行サービスの多くがこのタイプに含まれます。

MFA・IDaaS一体型(認証基盤に証明書発行を内包)

IDaaSやMFA(多要素認証)の基盤が認証局機能を内包し、クライアント証明書の発行・配布をシングルサインオン(SSO)や多要素認証、デバイス管理と一体で提供するタイプです。証明書認証だけでなく、複数のクラウドサービスへのログインや端末管理までを一つの基盤でまかなえます。証明書単体ではなく、認証の仕組みごとまとめて強化・刷新したい企業に向いています。

SSOやID管理までを一つの基盤にまとめるIDaaSそのものを比較検討したい場合は、以下の記事で主要なIDaaSを機能・料金・選び方の観点から整理しています。

発行の流れ(申し込みから発行まで)

タイプによって細部は異なりますが、証明書が手元に届くまでの流れはおおむね共通しています。まず、発行サービスを選び、組織情報や管理者情報、対象となる利用者・端末の情報を登録して申し込みます。次に、認証局が申請内容の正当性や組織の実在を確認する審査を行います。パブリックCAから発行するクラウド型では審査を省略して即時発行するサービスもあります。

審査を経て証明書が発行されると、利用する端末へインストールします。MDM(モバイルデバイス管理)ツールと連携すれば、多数の端末へ一括で配布することもできます。

しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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主要なクライアント証明書発行サービスの比較

ここからは、主要なクライアント証明書発行サービスを、認証局のタイプ・料金・有効期間・対応デバイス・発行や配布の方法・失効管理・主な用途といった観点で、発行・運用形態の3タイプ別に比較します。各サービスの詳細は、後述の「主要クライアント証明書発行サービスの個別紹介」で解説します。

クラウド型(クラウドで手軽に発行)

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サービス名FujiSSL クライアント証明書NRA-PKI
認証局タイプパブリックCA
(Sectigo)
SaaS型
(自社の認証局基盤)
初期費用無料要お問い合わせ
ライセンス料金1ライセンス年3,300円〜
(税込。2年は5,720円)
要お問い合わせ
(代理店経由・初回は最低5枚〜)
有効期間1年・2年1年・5年
対応デバイスPC・スマホ・タブレット
(1枚を複数端末に)
PC・スマホ・タブレット
発行・配布24時間365日の自動発行
API連携(無料)・メールURL配布
API連携・CSV一括
個別/一括発行
失効管理OCSPOCSP・CRL
主な用途VPN認証・社内ポータル認証
多要素認証
端末認証・VPN
Microsoft 365認証(CBA)
詳細情報公式サイト公式サイト

マネージドPKI型(自社ポリシーの認証局を委託運用)

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サービス名マネージドPKI Lite byGMOサイバートラスト デバイスIDOpenCanvasクライアント証明書セコムパスポート for Member 2.0EINS/PKI for Smart Deviceクライアント証明書サービス(NECネクサソリューションズ)EPPCERT
認証局タイプマネージドPKI
(クラウド型CA)
マネージドPKIプライベートCAプライベートCA
(パブリック署名も選択可)
プライベートCAプライベートCA
(顧客専用)
プライベート/マネージド型
(自社運用CA)
初期費用無料無料要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
ライセンス料金要お問い合わせ
(最低10ライセンス〜)
要お問い合わせ
(最低10ライセンス〜)
要お問い合わせ
(円建て)
要お問い合わせ
(用途に応じた見積り)
要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
(証明書・媒体単位の発行費)
有効期間要お問い合わせ
(S/MIMEは最大2年)
要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ運用に合わせて設定可要お問い合わせ2年
(電力・ガス業界向け)
対応デバイスPC・モバイルPC・スマホ・タブレット
(Chromebook対応)
PC(Windows)
※スマホ対応は要確認
PC・スマホ・タブレット
(Windows/macOS/iOS/Android)
PC・スマホ・タブレット
(iOS/Android/Windows)
要お問い合わせ
(ネットワーク機器連携が中心)
PC(Windows想定)
ICカード・USBトークン
発行・配布API・MDM連携
CSV一括・ポータル申請
API・MDM連携
(OTA/SCEP、Intune対応)
管理者が一括発行・更新・失効
(API等は公式に記載なし)
導入企業が管理者として発行
システム連携で大量発行
API・MDM連携(OPTiM Biz)
一括発行・セルフ配布
要お問い合わせカタログ形式で一括申込
媒体(USB/IC)で配布
失効管理OCSP・CRL要お問い合わせ失効操作に対応
(OCSP/CRLは要確認)
CRL
(一部OCSP)
管理画面から失効
(方式は公式に記載なし)
失効リスト運用
(方式は公式に記載なし)
CRL
主な用途端末認証・VPN/クラウド認証
S/MIME(電子署名・暗号化)
VPN・クラウドの端末認証
ゼロトラスト連携
端末認証・二要素認証
リモートアクセス
多要素認証・電子署名
デジタル社員証など(mdoc)
端末認証・リモートアクセス
クラウド/IoT認証
端末認証・多要素認証
Azure AD連携(CBA)
電力・ガス業界向け
クライアント認証
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

MFA・IDaaS一体型(認証基盤に証明書発行を内包)

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サービス名CloudGate UNOSoliton OneGateIIJ IDサービス
認証局タイプ自社CA
+外部CA連携(Cybertrust)
自社CA
(CA機能を標準搭載)
自社CA
+外部CA対応
初期費用要お問い合わせ要お問い合わせ
(アプライアンス利用時198,000円/台)
無料
ライセンス料金月額400円〜/ユーザー
+証明書100円〜/デバイス
月額100円〜/ユーザー
(PKIプラン。最低200名、Wi-Fi/VPN等のオプション利用時100名)
月額210円〜/ID
(証明書認証を含むMFAプラン)
有効期間要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
対応デバイスPC・スマートデバイスPC・スマホ・タブレットPC・スマホ
発行・配布管理画面・CSV一括証明書配布の自動化
(CA標準搭載)
自社/外部CAで発行
CSVで管理
失効管理管理画面から失効要お問い合わせ要お問い合わせ
主な用途SSO・多要素認証・端末認証を一体提供証明書認証・Wi-Fi/LAN認証(802.1X)
SSO・多要素認証
SSO・多要素認証・AD連携
詳細情報資料をダウンロードサービス詳細を見るサービス詳細を見る

クライアント証明書発行サービスの選び方

比較表の各観点を、自社の要件に照らしてどう重み付けるかが選定のポイントです。ここでは、判断の軸となる6つの観点を解説します。

有効期間と更新のしやすさは自社の運用に合うか

証明書には有効期間があり、期限が切れる前の更新をどこまで自動化・一括処理できるかが運用のしやすさを左右します。1年から数年まで選べるサービスが多く、期間が短いほど失効リスクは下がる一方で更新の頻度は増えます。更新をどこまで自動化できるか、対象が多いときに一括で更新できるかまで含めて、自社の運用負荷に合うかを確認しておきたいポイントです。

料金体系は公開価格か要見積か、コストの見通しは立つか

料金は、1ライセンスあたりの単価を公開しているサービスと、利用規模や用途に応じて個別に見積もるサービスに分かれます。公開価格のサービスは少数のライセンスから手軽に始めやすく、要見積のサービスは大規模導入や独自ポリシーの運用を前提としたものが多く見られます。初期費用の有無や、ライセンス数に応じた割引まで含めて総額を見積もることが重要です。

対応デバイスと配布方式は利用環境に合うか

証明書をインストールする端末が、PCだけか、スマートフォン・タブレットまで含むかで、選ぶべきサービスは変わります。iOSやAndroidに対応しているか、MDMツールと連携して多数の端末へ一括配布できるかは、対象端末が多い環境ほど運用負荷を左右します。私物端末(BYOD)を対象にする場合は、配布方法が現場で無理なく回るかも確認しておきたい点です。

プライベートCAへの対応とポリシーの柔軟性は足りるか

自社独自の認証ポリシーをどこまで作り込む必要があるかを見極めます。有効期間や失効の扱いを自社仕様にしたい、部署や用途ごとに証明書を分けたいといった要件が多いほど、プライベートCAを運用できるサービスの価値が高まります。逆に、そうした細かな作り込みが不要であれば、過剰なポリシー機能に費用をかけず手軽なサービスで足りることも多く、自社の要件の重さに応じて重み付けすることが大切です。

APIによる発行・更新の自動化に対応しているか

入退社や端末の入れ替えが多い企業では、証明書の発行・更新・失効を手作業で行うと運用が追いつかなくなります。APIに対応していれば、人事システムや資産管理システムと連携して発行や失効を自動化でき、対象規模が大きいほど効果が大きくなります。自動化をどこまで求めるかを、APIの有無とあわせて見極めることが重要です。

SSO・多要素認証など認証基盤との統合が必要か

証明書認証を、どこまで他の認証の仕組みと一体で運用したいかを整理します。統合したい対象(複数のクラウドサービスへのシングルサインオン、他の多要素認証手段、デバイス管理など)をあらかじめ棚卸しし、それらをまとめて導入・運用したいほど、認証基盤ごと提供するサービスの重み付けが上がります。証明書の発行だけが目的で認証基盤は既存のものを使い続けるなら、専業の発行サービスで十分です。

証明書による端末認証にとどまらず、認証方式そのものを見直して多要素認証の仕組みを選び直したい場合は、以下の記事で主要な多要素認証(MFA)システムを認証方式・料金・タイプ別に比較しています。

主要クライアント証明書発行サービスの個別紹介

ここからは、比較した各サービスを発行・運用形態のタイプ別に個別に紹介します。認証局のタイプや料金、対応デバイス、発行・配布の方法などを解説します。

クラウド型(クラウドで手軽に発行)のサービス

1. FujiSSL クライアント証明書(株式会社ニジモ)

FujiSSL クライアント証明書の公式サイト

FujiSSL クライアント証明書は、SSL/TLS証明書の販売を手がける株式会社ニジモが提供する端末認証向けのサービスです。世界的な商用認証局であるSectigoのルート証明書を用いたパブリックCA発行の証明書で、主要なブラウザやOSにルート証明書があらかじめ組み込まれているため、利用者側での追加インストールを必要としません。

発行方式は24時間365日の自動発行で、書類提出や事前審査を必要としません。1ライセンスをPC・タブレット・スマートフォンなど複数の端末へインポートでき、インストール先の台数に上限は設けられていません。失効管理はOCSPによるリアルタイムの有効性確認に対応し、API連携も追加料金なしで利用できます。

初期費用は不要で、有効期間1年のライセンスが1枚あたり年間3,300円(税込)、2年で5,720円(税込)です。VPN接続時のクライアント認証や社内ポータルサイトの認証強化、多要素認証の要素の一つとしての利用が想定されています。

2. NRA-PKI(日本RA株式会社)

NRA-PKI クライアント証明書発行サービスの公式サイト

NRA-PKIは、日本RA株式会社がSaaS形式で提供するクライアント証明書の発行・管理サービスです。自社で認証局を構築せずに、IDとパスワードによる認証へ端末単位のクライアント証明書認証を追加できます。1ライセンスでPC・スマートフォン・タブレットなど複数の端末に証明書をインストールできるマルチデバイスライセンスを採用しています。

通常のクライアント証明書に加え、Microsoft Entra IDの証明書ベース認証(CBA)に対応した証明書も提供しており、Microsoft 365のログイン認証の強化に利用できます。2026年には、Windows・macOS・Android・iOS/iPadOSの端末固有の識別情報を使って証明書のインストール先端末を制限する「デバイス認証オプション」も追加されました。

証明書の有効期間は1年または5年から選べます。

管理画面からユーザー情報を個別またはCSVで一括登録して証明書を発行でき、Web API経由で自社システムから発行・失効を自動化することもできます。販売は代理店経由のみで、初回購入は最低5ライセンスからとなっており、料金は代理店への問い合わせで確認する必要があります。

マネージドPKI型(自社ポリシーの認証局を委託運用)のサービス

3. マネージドPKI Lite byGMO(GMOグローバルサイン株式会社)

マネージドPKI Lite byGMOの公式サイト

マネージドPKI Lite byGMOは、GMOグローバルサイン株式会社がクラウド上で提供するマネージド型認証局サービスです。専用サーバーを構築せずに、専用管理画面「GSパネル」から証明書の発行・更新・失効までを一元的に運用できます。端末認証やVPN・クラウドサービスへのアクセス認証に加え、メールの電子署名・暗号化(S/MIME)にも利用できます。

初期費用と年間保守費は無料で、最低10ライセンスから利用できます。ライセンス単価は公開されておらず、見積もりの問い合わせが必要です。証明書の配布は、管理者による個別申請・CSVによる一括申請・利用者自身によるポータル申請・API連携・MDM連携に対応し、既存のMDM環境と組み合わせた自動配布ができます。

累計7,300社以上の導入実績が公式に示されています。申し込み後には会社の実在を確認する審査があり、電話審査で最短1〜2営業日、書類審査で約1週間が案内されています。

4. サイバートラスト デバイスID(サイバートラスト株式会社)

サイバートラスト デバイスIDの公式サイト

サイバートラスト デバイスIDは、サイバートラスト株式会社が提供する端末認証用のクライアント証明書発行管理サービスです。管理者が許可した端末にのみデバイス証明書を配布し、その端末だけが社内システムやVPN、クラウドサービスへアクセスできる状態をつくります。

対応デバイスはWindows・macOS・Chromebook・iOS/iPadOS・Androidと幅広く、Microsoft IntuneなどのMDMと連携して証明書を配布できます。配布方式はOTA・SCEP・WebAPIなどから用途に応じて選べます。上位オプションのデバイスID Premiumでは、VPN機器に限らず各種ゼロトラストソリューションとの連携に対応します。

初期費用は無料で、10ライセンスから利用できます。ライセンス単価は公開されておらず問い合わせが必要ですが、1か月・最大10台までの無料トライアルが用意されています。Web申し込みから10営業日以内に提供が始まります。

5. OpenCanvasクライアント証明書(株式会社NTTデータ)

OpenCanvasクライアント証明書の公式サイト

OpenCanvasクライアント証明書は、株式会社NTTデータが提供するプライベートCAソリューションです。インターネットバンキングなどのシステムで累計1,000万台以上の端末に証明書を提供してきた基盤を、金融機関に限らず法人全般向けに展開したもので、証明書の発行・更新・失効を一括して管理できます。

端末を特定したうえでのアクセス制御によって、二要素認証やパスワードレス認証、リモートアクセスのセキュア化を実現する用途で提供されています。運用は24時間監視体制で行われ、料金は円建てで案内されています。

料金は公開されておらず、提供形態に応じた見積もりの問い合わせが必要です。証明書の有効期間やMDM連携、API発行、失効確認方式(OCSP・CRL)については、2026年8月時点で公式に記載がありません。

6. セコムパスポート for Member 2.0(セコムトラストシステムズ株式会社)

セコムパスポート for Member 2.0の公式サイト

セコムパスポート for Member 2.0は、セコムトラストシステムズ株式会社が提供するクライアント証明書発行サービスです。導入企業自身が管理者となり、専用Webサイトから証明書の発行・失効・状況照会を行う運用モデルが特徴です。証明書の取得に必要な情報を2つの経路に分けて配布し、対象の利用者以外が証明書を取得できないようにします。

自社の認証ポリシーに沿った専用認証局(プライベートCA)の構築・運用委託に対応し、希望すればセコムのパブリック認証局から署名を受けて公的な信頼性を持たせる構成も選べます。対応環境はWindows・macOSに加え、iOS・Androidのスマートデバイスにも対応します。

ログイン認証における多要素認証(所持情報)やメール・電子ファイルへの電子署名のほか、mdocの発行元証明を通じてデジタル学生証・社員証・会員証などの用途にも利用できます。料金は利用用途に応じた要見積もりで、最短2週間での導入が可能とされています。

7. EINS/PKI for Smart Device(TISI株式会社)

EINS/PKI for Smart Deviceの公式サイト

端末認証用クライアント証明書発行サービス「EINS/PKI for Smart Device」は、TISI株式会社が提供するプライベート認証局型のサービスです。同社は、2026年7月にTIS株式会社が株式会社インテックを吸収合併して商号変更した会社で、旧インテック時代から本サービスを提供しています。

iOS・Android・Windowsに対応し、スマートフォン・タブレット・PCを横断して端末を管理できます。

顧客専用の認証局を構築し、証明書の有効期間を運用にあわせて設定できます。証明書はメールで送ったURLから利用者自身がインストールする方式で、管理者の個別対応を減らせます。MDM・PC管理サービス「OPTiM Biz」との連携やWeb APIによる発行、一括発行にも対応します。

端末を紛失した際などは管理画面から証明書を失効できます。料金は公開されておらず問い合わせが必要で、申し込み後は5営業日程度でスターターキットが送付されます。

8. クライアント証明書サービス(NECネクサソリューションズ株式会社)

NECネクサソリューションズのウェブサイト

クライアント証明書サービス(NECネクサソリューションズ)は、NECネクサソリューションズ株式会社が提供するクラウド型のクライアント証明書サービスです。契約ごとに顧客専用のプライベート認証局を用意し、ID・パスワード認証にクライアント証明書を組み合わせた多要素認証を実現します。クライアント証明書だけでなく、サーバー証明書やルートCA証明書の発行にも対応します。

AWSのALBによる相互認証やリバースプロキシ、IIS、既存のUTM・VPNルーター・RADIUSなどの認証機器との証明書認証連携に個別対応し、Azure ADの証明書ベース認証(CBA)とも連携できます。プライベート認証局や失効リストの運用を同社が担うため、自社でCAを構築・運用する負荷を抑えられます。

30日間の無償トライアルが用意されており、VPNルーターやRADIUSなどの実機で動作を検証したうえで、その検証環境を本番環境へ引き継げます。料金は公開されておらず、問い合わせが必要です。

9. EPPCERT(三菱電機デジタルイノベーション株式会社)

EPPCERTの公式サイト

Enterprise Premium電子証明書発行サービス(EPPCERT)は、三菱電機デジタルイノベーション株式会社が自社で運用する認証局「Enterprise Premium CA」から電子証明書を発行するサービスです。一般のブラウザに標準で信頼されるパブリックな認証局ではなく、クローズドな企業内・企業間での利用を前提としたクライアント認証・電子署名向けの証明書を提供します。

2026年8月時点の公式サイトでは、電力広域的運営推進機関(OCCTO)関連システムや、ガス小売全面自由化に関わるスイッチング支援・託送供給システム向けのクライアント認証が主な提供対象として案内されています。電力・ガス業界以外の一般企業が契約するための具体的な申込導線は、公式サイト上では確認できませんでした。

証明書は用途・有効期間・納品形態をカタログ形式で選んで一括申し込みでき、ダウンロードのほかCD-R・USBメモリ・USBトークン・ICカードでの受け取りに対応します。失効管理はCRL(証明書失効リスト)の公開によって行われます。料金は公開されておらず、用途に応じた問い合わせが必要です。

MFA・IDaaS一体型(認証基盤に証明書発行を内包)のサービス

10. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOの公式サイト

CloudGate UNO(クラウドゲートウノ)は、株式会社インターナショナルシステムリサーチが自社開発するIDaaSで、シングルサインオン・多要素認証・アクセス制限・ID管理を一つの基盤に統合しています。クライアント証明書による端末認証は、この基盤に追加する「CloudGate証明書」オプションとして提供されます。

証明書は、同社が認証局となって発行する自社発行のCloudGate証明書と、サイバートラストと連携する外部CAのCybertrust Device ID証明書の2系統から選べます。いずれも管理者サイトからのフォーム登録に加え、CSVによる一括登録に対応し、証明書を持たない端末からのアクセスは遮断されます。

料金は月額400円(税抜)からのユーザー単価に、デバイス証明書オプションが1デバイス月額100円(税込110円)から加わる体系です。30日間の無料トライアルが用意され、SSOや多要素認証と証明書認証を同じ管理画面でまとめて運用したい企業に向いています。

同社は、パスワードに依存しない認証方式への移行が導入後の運用にもたらす変化について、次のように述べています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。また、他社サービスからの乗り換え事例もございます。通常、設定の移行には時間がかかるものですが、当社のサポートによりわずか1週間で完了させたケースもあります。

11. Soliton OneGate(株式会社ソリトンシステムズ)

Soliton OneGateの公式サイト

Soliton OneGateは、デジタル証明書による多要素認証を中核に、SSOとID管理を組み合わせた株式会社ソリトンシステムズのクラウド型認証基盤です。認証局(CA)機能を標準搭載し、クライアント証明書の発行・配布を製品内で完結できます。

証明書認証は、クラウドサービスやVPNに加え、オフィスのWi-Fi・有線LANのIEEE802.1X EAP-TLS認証まで対象にできる点が特徴です。デジタル証明書に、FIDO2・スマホ認証(Soliton Authenticator)・顔認証・ICカード・パスワードを組み合わせた多要素認証にも対応します。

料金はユーザー単価で、証明書認証を中心とするPKIプランが月額100円、ベーシックが300円、スタンダードが600円(いずれも1ユーザーあたり)です。PKIプランの最小契約は200ユーザー(Wi-Fi/VPNなどのオプション利用時は100ユーザー)で、証明書によるネットワーク認証を別途PKI基盤を構築せずに導入したい企業に向いています。

12. IIJ IDサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

IIJ IDサービスの公式サイト

IIJ IDサービスは、国内通信事業者である株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が自社で開発・運用するクラウド型のID管理・認証サービスです。SSOを中核に、多要素認証・Active Directory連携・アクセス制御を提供します。

多要素認証の一つとして、IIJ IDサービスのCAが発行するデバイス証明書と、外部CAが発行したデバイス証明書の双方に対応し、有効な証明書を持たない端末からのログインを防げます。FIDO2・メールOTP・スマートフォンアプリのSmartKey認証なども選べます。

料金は初期費用0円で、ID単価はSSOのみが月額105円、多要素認証を含めると月額210円(いずれも1IDあたり)です。デバイス証明書を含む認証方式は追加料金なく210円プランに含まれます。1ユーザーから利用でき、既存のActive Directoryを活かしてクラウド利用へ広げたい企業に向いています。

クライアント証明書発行サービスの費用相場

クライアント証明書発行サービスの料金は、発行・運用形態によって公開価格のものと要見積もりのものに分かれます。まず、公開価格を提示するサービスを実額で見ておくと、相場感がつかみやすくなります(いずれも2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます)。

クラウド型でパブリックCAから発行するサービスには、初期費用無料・1ライセンス年間3,300円(税込、有効期間1年)、2年契約なら5,720円(税込)といった明確な公開価格のものがあります。

認証基盤と一体で提供するIDaaS型でも、証明書認証を中心とするプランでユーザー1人あたり月額100円から、別のサービスでは月額210円からや、月額400円(税抜)+証明書1枚あたり110円(税込)といった単価が公開されています。

一方で、自社専用の認証局を運用するマネージドPKI型は、利用規模・用途・ポリシーの作り込みに応じて料金が変わるため、要お問い合わせとするサービスが多くなります。公開価格のサービスと違い横並びの比較はしにくいため、最低ライセンス数・課金単位(ライセンス単価かユーザー単価か)・トライアルの有無といった、見積もり前でも分かる条件で候補を絞るのが現実的です。

また、最低契約ライセンス数はサービスによって幅があります。1ライセンスから購入できるものもあれば、5ライセンス・10ライセンスから、あるいは200ユーザーからといった下限が設けられているものもあります。少人数でスモールスタートしたいのか、大規模に展開するのかによって、現実的な選択肢が変わる点も費用面で確認しておきたいポイントです。

導入後の運用と注意点

クライアント証明書は、発行して終わりではありません。導入後に継続する運用まで見据えて選ぶことで、後々の負担を抑えられます。

まず発生するのが有効期間の更新です。期限が近づいた証明書を計画的に更新しないと、ある日突然アクセスできなくなる事態を招きます。対象端末が多いほど更新の手間は増えるため、APIやMDMによる自動化・一括処理に対応しているかが運用のしやすさを左右します。

退職者や紛失した端末の証明書を無効にする失効管理も重要で、OCSPやCRLによってリアルタイムに失効を反映できれば、不要になった証明書によるアクセスを速やかに遮断できます。

導入前に押さえておきたい注意点

導入前には、いくつか確認しておきたい点があります。証明書を配布する端末の管理方法が定まっていないと、配布や更新の運用が現場で回らなくなります。MDMを導入済みかどうかや、私物端末を対象に含めるかを整理しておくとよいでしょう。また、パブリックCAから即時発行するタイプは手軽な半面、自社独自のポリシーを反映しにくいなど、タイプごとに得手不得手があります。

導入のスピードとポリシーの柔軟性のどちらを優先するかを、あらかじめ社内で合意しておくことが、選定の遠回りを防ぎます。

まとめ

クライアント証明書発行サービスは、IDとパスワードだけでは守りきれない不正アクセスを、端末単位で防ぐための有力な手段です。選ぶ際は、証明書をどう発行・運用するか(クラウド型・マネージドPKI型・MFA・IDaaS一体型)という発行形態を出発点に、有効期間・料金・対応デバイス・プライベートCA対応・APIによる自動化・認証基盤との統合といった観点を、自社の要件に照らして重み付けることが大切です。

手軽さを重視するのか、独自ポリシーでの本格運用を求めるのか、認証基盤ごと刷新するのかによって、適したサービスは変わります。本記事の比較表と選定診断ツールを、自社に合うサービスを見極める材料としてご活用ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. クライアント証明書発行サービスとは何ですか?

A. クライアント証明書発行サービスとは、利用者や端末に電子証明書を発行し、証明書を持つ端末だけにアクセスを許可できるようにする、発行から更新・失効までを管理するサービスです。IDとパスワードに加えたもう一つの本人確認の要素として機能し、許可していない端末からの不正アクセスやなりすましを防ぎます。

証明書の発行・運用の形態によって、クラウド型・マネージドPKI型・MFA/IDaaS一体型の3タイプに分かれます。

Q. クライアント証明書とサーバー証明書は何が違いますか?

A. クライアント証明書は「アクセスする側」である利用者や端末の正当性を証明するのに対し、サーバー証明書は「アクセスされる側」であるWebサイトやサーバーの正当性を証明します。証明する対象が逆であるため用途も異なり、クライアント証明書は端末認証やVPN・社内システムのアクセス制御に、サーバー証明書はWebサイトの常時暗号化(HTTPS)に使われます。

Q. クライアント証明書の有効期間が切れるとどうなりますか?

A. クライアント証明書の有効期間が切れると、その証明書ではアクセスできなくなり、期限前に更新しないと、ある日突然社内システムやVPNに接続できなくなります。有効期間は1年から数年で選べるサービスが多く、期間が短いほど失効リスクは下がる一方で更新の頻度は増えます。対象端末が多い場合は、APIやMDMによる自動更新・一括更新に対応したサービスを選ぶと、更新の運用負担を抑えられます。

Q. クライアント証明書はパブリックCAとプライベートCAのどちらを選べばよいですか?

A. 手軽さと導入スピードを重視するならパブリックCAのクラウド型、有効期間や失効などのポリシーを自社仕様に作り込みたいならプライベートCAのマネージドPKI型が向いています。パブリックCAはブラウザやOSにルート証明書があらかじめ組み込まれているため利用者側の追加設定が少なく、審査なしで即時発行できるサービスもあります。

一方、プライベートCAは自社独自の認証ポリシー(有効期間・失効・証明書の階層など)を反映でき、大規模な端末管理に適しています。

Q. クライアント証明書はMDMで多数の端末に一括配布できますか?

A. MDM(モバイルデバイス管理)連携に対応したサービスを選べば、多数の端末へクライアント証明書を一括で配布できます。Microsoft IntuneをはじめとするMDMと連携して証明書を配布できるサービスもあります。対象端末が多い環境や、スマートフォン・タブレットを含む環境では、連携できるMDMの種類とあわせて確認しておくと配布や更新の運用がスムーズです。

Q. クライアント証明書だけで多要素認証になりますか?

A. クライアント証明書は多要素認証を構成する「所持情報(持っているもの)」の要素にあたり、IDとパスワード(知識情報)と組み合わせることで多要素認証が成立します。証明書単体では一つの要素にとどまります。PCI DSSや金融庁のガイドラインなどが求める多要素認証において、クライアント証明書は所持要素の一つとして利用できます。

ただし、これらの基準がクライアント証明書そのものを義務づけているわけではありません。

Q. 退職者や紛失した端末のクライアント証明書はどう無効にしますか?

A. 管理画面から対象の証明書を失効させることで、退職者や紛失した端末の証明書によるアクセスを遮断できます。失効させた証明書は、OCSP(オンライン証明書状態プロトコル)やCRL(証明書失効リスト)によって有効性が確認され、リアルタイムに近い形でアクセスを止められます。

入退社や端末の入れ替えが多い企業では、APIで人事システムや資産管理システムと連携して失効を自動化できるサービスが運用に向いています。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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