売買契約書に印紙が要るかは、対象物と記載金額でほぼ決まります。不動産・船舶・航空機・営業譲渡(旧商法の営業譲渡は現行会社法の事業譲渡と実質同じで、印紙税法別表第一の表記は「営業譲渡」のまま)は第1号文書、営業者間の継続取引の基本契約は第7号文書(一律4,000円)、物品の単発売買は非課税です。
判定を誤ると本税に加えて過怠税(原則3倍・自主申告で1.1倍)が課され、法人税の損金や所得税の必要経費にも算入できません。本記事では目の前の1枚について「印紙が要るか/いくらか/どう貼るか/誰が負担するか/貼り忘れたらどうなるか」を、判定表・税額表・実額シミュレーション・貼り方と消印・過怠税までまとめます。
電子契約への切替えによる恒常的な削減策と根拠(政府答弁書・福岡国税局事前照会回答)も末尾で解説します。
目次
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売買契約書に印紙は必要か(判定チャート)
売買契約書に印紙が必要かどうかは、契約の対象物と記載事項で決まります。印紙税は「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」に課される仕組みで、電磁的記録は文書に含まれません。
別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。
出典:印紙税法第2条|e-Gov法令検索
売買契約書で該当し得る号文書は、大きく3種類あります。不動産・船舶・航空機・営業譲渡などの譲渡契約書は第1号文書、請負要素を含む一定の売買契約書は第2号文書、営業者間で継続的取引の基本を定める契約書は第7号文書です。物品の単発売買はいずれの号にも該当せず、非課税です。
判定は文書のタイトルではなく実質的な意義で行います。国税庁は「課税文書に該当するかどうかの判断」で3つの要件を示しています。
(1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
出典:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁
(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
以下の判定フローに、対象物ごとの分岐と結論をまとめました。

判定チャートの読み方(対象物 → 継続取引か → 記載金額の有無)
目の前の売買契約書は、次の順に問いを進めることで号文書を確定できます。第1段は「対象物」、第2段は「継続取引かどうか」、第3段は「記載金額の有無」です。
- 対象物は何か:不動産・船舶・航空機・営業(事業)譲渡なら第1号文書。実務者が扱う大半は不動産と事業譲渡で、船舶・航空機は該当業種向けです。物品(機械・原材料・商品など)の単発売買はいずれの号にも該当せず不課税です。
- 請負要素を含むか:物品売買に取付工事や特別の加工が伴い、契約当事者の意思が「仕事の完成」に重きを置く場合は第2号文書(請負)に転じます(大型機械の取り付け等)。売買・請負両方の要素を持つ契約書は税額が高い方の号として課税されます。
- 継続取引の基本契約か:営業者間で売買・売買の委託・運送・請負など2以上の取引を継続して行うための契約書は、対象物が物品でも第7号文書(1通4,000円)に該当します。ただし契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除外されます。
- 記載金額の有無:第1号文書は記載金額の区分ごとに税額が変わります。金額の記載がない場合は「契約金額の記載のないもの」区分で1通200円、金額が1万円未満のものは非課税です。
上の4段を一覧できるよう、対象物×継続取引×請負要素×記載金額の判定マトリクスにまとめます。
| 対象物 | 継続取引 | 請負要素 | 記載金額 | 該当号文書・税額区分 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産・船舶・航空機・営業(事業)譲渡 | — | — | 1万円未満 | 第1号文書 非課税 |
| 同上 | — | — | 1万円以上10万円以下 | 第1号文書 本則税額(200円) |
| 不動産の譲渡(10万円超) | — | — | 10万円超50億円超まで | 第1号文書 軽減後税額(200円〜48万円)※令和9年3月31日まで |
| 不動産譲渡以外(船舶・航空機・営業譲渡)10万円超 | — | — | 10万円超50億円超まで | 第1号文書 本則税額(400円〜60万円) |
| 上記いずれか | — | — | 金額の記載なし | 第1号文書(記載なし区分) 200円 |
| 物品(機械・原材料・商品等) | あり(契約期間3か月超または更新の定めあり) | 有無問わず | — | 第7号文書 一律4,000円 |
| 物品 | あり(契約期間3か月以内かつ更新の定めなし) | — | — | 第7号 非該当(不課税) |
| 物品 | なし(単発1取引) | あり(大型機械の取り付け等、仕事の完成に重きを置く) | 記載金額に応じて | 第2号文書(請負) 本則税額(200円〜60万円) |
| 物品 | なし(単発1取引) | なし(取付が簡単・特別の技術を要しない場合等) | — | いずれの号にも非該当 不課税 |
基本通達も、判定を実質的意義で行うことを明示しています。
文書が課税文書に該当するかどうかは、文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容についても判断するものとし、また、単に文書の名称又は呼称及び形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて判断するものとする。
出典:印紙税法基本通達第3条第1項|国税庁
物品の単発売買は非課税(第1号・第2号・第7号のいずれにも該当しないケース)
機械・原材料・商品といった物品の1回限りの売買契約書は、印紙税の課税対象外です。第1号文書は不動産・船舶・航空機・営業の譲渡等に限定され、物品はこれに含まれません。継続取引の基本契約でもなく、請負要素も含まなければ、第2号・第7号にも該当しないためです。
国税庁の質疑応答事例は、売買契約の類型別に課税・不課税を整理しています。
継続する売買
出典:請負と売買の判断基準(2)|国税庁
(例)継続する2以上の売買取引について目的物の種類等を定めた契約書
7号
契約期間が3カ月以内で、かつ、更新の定めのないもの
不課税
単発(1取引)の売買
(例)単発(1取引)の売買取引について、目的物の種類等を定めた契約書
不課税
目の前の売買契約書が「物品」で「1回限り」なら、印紙は不要です。ただし取引が継続反復するときは、下記の第7号文書に切り替わることに注意してください。
請負要素を含む売買契約書の扱い(取付工事付売買・カーテン注文明細と寸法直し等)
物品売買に取付工事や特別の加工が伴うと、契約全体が請負契約(第2号文書)に転じることがあります。判定基準は、契約当事者の意思が「仕事の完成」と「物の所有権移転」のどちらに重きを置いているかです。
請負契約か売買契約かの判断基準は、契約当事者の意思が、仕事の完成に重きをおいているか、物の所有権移転に重きをおいているかによって判断します。
出典:請負と売買の判断基準(1)|国税庁
典型例として、大型機械の取り付けは「仕事の完成」に重きが置かれるため請負(第2号文書)に該当します。一方、テレビを購入したときのアンテナ取り付けや配線のように、取付行為が簡単で特別の技術を要しないものは売買として扱われます。売買と請負の両方の要素を持つ契約書は、税額の高い方の号文書として課税されます(別表第一 課税物件表の適用に関する通則3のイ)。
手元の契約書が第2号文書(請負)に切り替わった場合、特に建設工事に係る請負契約書は税額表・軽減措置・注文請書や変更契約書の扱いが独自の論点になります。工事請負契約書側の判定と金額表は以下の記事にまとめています。
出典・参考資料(2件)
号文書別の税額表と軽減措置
売買契約書が課税文書と判定された場合は、号文書と記載金額から税額を確定します。第1号文書は本則税額(印紙税法別表第一)と、租税特別措置法第91条による軽減後税額の2系統があり、不動産譲渡契約書は令和9年3月31日までに作成されるものが軽減対象です。第7号文書は一律1通4,000円です。
第1号文書の税額表(不動産・船舶・航空機・営業譲渡等の売買契約書)
第1号文書は印紙税法別表第一の課税物件表で税額が定められています。以下は本則税額です。
1 契約金額の記載のある契約書
出典:印紙税法別表第一 第1号|e-Gov法令検索
次に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、次に掲げる税率とする。
十万円以下のもの 二百円
十万円を超え五十万円以下のもの 四百円
五十万円を超え百万円以下のもの 千円
百万円を超え五百万円以下のもの 二千円
五百万円を超え千万円以下のもの 一万円
千万円を超え五千万円以下のもの 二万円
五千万円を超え一億円以下のもの 六万円
一億円を超え五億円以下のもの 十万円
五億円を超え十億円以下のもの 二十万円
十億円を超え五十億円以下のもの 四十万円
五十億円を超えるもの 六十万円
2 契約金額の記載のない契約書
一通につき 二百円
ただし記載金額が1万円未満のものは非課税です(同号 非課税物件欄)。実務判断で自分のケースの本則税額と軽減後税額(不動産譲渡契約書の軽減措置は次項)を横並びで比較できるよう、算用数字で一覧にしました。
| 契約金額の区分 | 本則税額(円) | 軽減後税額(円) | 適用備考 |
|---|---|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 | 非課税 | — |
| 1万円以上10万円以下 | 200 | 200 | 軽減対象外 |
| 10万円超50万円以下 | 400 | 200 | |
| 50万円超100万円以下 | 1,000 | 500 | |
| 100万円超500万円以下 | 2,000 | 1,000 | |
| 500万円超1,000万円以下 | 10,000 | 5,000 | |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 20,000 | 10,000 | |
| 5,000万円超1億円以下 | 60,000 | 30,000 | |
| 1億円超5億円以下 | 100,000 | 60,000 | |
| 5億円超10億円以下 | 200,000 | 160,000 | |
| 10億円超50億円以下 | 400,000 | 320,000 | |
| 50億円超 | 600,000 | 480,000 | |
| 契約金額の記載のないもの | 200 | — | 軽減対象外 |
算用数字の税額表は、国税庁タックスアンサーNo.7101(本則)およびNo.7108(軽減後)にも同内容が掲載されています。
軽減措置の対象と適用期間(令和9年3月31日まで)
不動産譲渡契約書のうち記載金額が10万円を超えるものは、租税特別措置法第91条により税額が軽減されています。適用期間と軽減後税率は次のとおりです。
平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に作成される印紙税法別表第一第一号の物件名の欄1に掲げる不動産の譲渡に関する契約書(略)のうち、当該不動産譲渡契約書に記載された契約金額が十万円を超えるものに係る印紙税の税率は、同号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、当該各号に定める金額とする。
出典:租税特別措置法第91条第1項|e-Gov法令検索
十万円を超え五十万円以下のもの 二百円
五十万円を超え百万円以下のもの 五百円
百万円を超え五百万円以下のもの 千円
五百万円を超え千万円以下のもの 五千円
千万円を超え五千万円以下のもの 一万円
五千万円を超え一億円以下のもの 三万円
一億円を超え五億円以下のもの 六万円
五億円を超え十億円以下のもの 十六万円
十億円を超え五十億円以下のもの 三十二万円
五十億円を超えるもの 四十八万円
2014年(平成26年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までに作成される、記載金額10万円超の不動産譲渡契約書が対象です。10万円以下のものは軽減対象外で本則の税額200円、1万円未満のものは非課税です。
第7号文書の税額(1通4,000円)と非課税となる要件
営業者間で継続的取引の基本を定める契約書は、第7号文書として1通4,000円が課税されます。ただし契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは、物件名欄の括弧書きにより除外されます(非課税)。
継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が三月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)
出典:印紙税法別表第一 第7号|e-Gov法令検索
一通につき 四千円
第7号文書に該当するかどうかは、印紙税法施行令第26条第1号の要件で判断します。国税庁の質疑応答事例が5つの要件を整理しています。
(1) 営業者の間における契約であること
出典:令第26条第1号に該当する文書の要件|国税庁
(2) 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
(3) 2以上の取引を継続して行うための契約であること
(4) 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること
(5) 電気又はガスの供給に関する契約でないこと
「2以上の取引」の該当例として、120個の物品について一定の日に一括して売買契約をした場合は(納品を月次分割としても)「1取引」で第7号非該当、毎月10個ずつを1年間にわたって売買する契約は「2以上の取引」で第7号に該当します(国税庁 質疑応答事例「2以上の取引を継続して行うための契約であることの要件」)。
実額シミュレーション(5パターン)
実際の売買契約書の類型ごとに、貼付すべき印紙の金額を整理します。いずれも上記の税額表と軽減措置に基づく実額です。
- 1,000万円の不動産売買契約書:第1号文書・軽減措置適用。契約金額は500万円超1,000万円以下の区分に該当し、軽減後税額は5,000円。
- 5,000万円の土地売買契約書:第1号文書・軽減措置適用。1,000万円超5,000万円以下の区分で、軽減後税額は1万円。
- 継続的取引の売買基本契約書(営業者間・契約期間6か月):第7号文書。契約金額の多寡にかかわらず1通4,000円。
- 機械の単発売買契約書(300万円):第1号・第2号・第7号のいずれにも該当せず非課税(印紙不要)。
- 金額の記載がない不動産売買契約書:第1号文書「契約金額の記載のないもの」区分で1通200円。
出典・参考資料(6件)
記載金額の判定(消費税・複数金額・金額なし)
税額表に辿り着けても、「記載金額をいくらとして判定するか」を取り違えると税額が変わります。消費税の区分記載の有無、金額が記載されていないケース、複数の金額があるケースの3点で、実務者が迷いやすい判定を整理します。
消費税の扱い(税抜と税込の区分記載の有無で判定額が変わる)
第1号文書(不動産譲渡等)・第2号文書(請負)・第17号文書(金銭受取書)については、消費税額等が区分記載されている、または税込価格と税抜価格の両方から消費税額等が明らかとなる場合、その消費税額等は記載金額に含めないものとされています。
消費税の課税事業者が消費税および地方消費税の課税対象取引に当たって課税文書を作成する場合に、消費税および地方消費税の金額(以下「消費税額等」といいます。)が区分記載されているとき、または、税込価格および税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされています。
出典:No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額|国税庁
具体例で示すと、不動産売買契約書に「売買代金1,100万円 うち消費税額等100万円」と区分記載した場合、記載金額は1,000万円で第1号文書の軽減後税額5,000円となります。
同じ1,100万円でも「消費税額等10パーセントを含む。」とだけ書かれ税抜金額が読み取れない場合や、単に税込金額のみが記載されている場合は、記載金額は1,100万円と扱われ、軽減後税額は1万円になります。
この取扱いは第7号文書には及ばないため、継続取引基本契約書ではこの区分記載の判断ルールは適用されません。
金額の記載がない売買契約書は200円(第1号「金額の記載のないもの」)
不動産売買契約書などの第1号文書で契約金額が記載されていない場合は、税額表の「契約金額の記載のないもの」区分が適用され、1通200円となります。金額を後日別文書で定めるケース、単価のみ記載し数量を後決めするケースなどが該当します。
複数金額があるとき(合算・区分ごとの扱い)
1通の契約書に複数の金額(本体価格・付帯費用・追加オプション・手付金・保証金など)が並記されている場合、どの金額を記載金額とみなすかは、並記された金額の性質が「契約金額」に該当するかで決まります。頻出する3類型で見分け方を示します。
- 本体価格+オプション費(第1号と第2号を併記)→ 税額の高い方の号で課税:不動産売買契約書に「土地建物代金1,000万円+設備追加工事200万円」と併記した場合、第1号(不動産譲渡1,000万円)と第2号(請負200万円)が一の文書に記載されるため、通則3のイにより税額の高い方の号で課税します。第1号(軽減後5,000円)が第2号(本則2,000円)より高いため、第1号として1,000万円で判定し軽減後税額5,000円になります。
- 本体価格+手付金(性質が異なる)→ 契約金額のみで判定:不動産売買契約書に「売買代金1,000万円 うち手付金100万円」と併記した場合、手付金は契約成立の証として交付される金銭で「契約金額」ではありません。記載金額は1,000万円のみで判定します(軽減後税額5,000円)。保証金・敷金・預り金なども同様に契約金額から除きます。
- 土地・建物の区分記載(一体売買)→ 合算判定:不動産売買契約書に「土地代金3,000万円 建物代金2,000万円」と区分記載した場合、いずれも同一の不動産譲渡契約の契約金額に該当し、合算した5,000万円で判定します(軽減後税額10,000円)。ただし建物代金についてのみ消費税額等が別途区分記載されているときは、その消費税額等は記載金額に含めません(前項の消費税ルール)。
判定の分かれ目は「その金額が契約成立に対する対価か(=契約金額)」「それ以外の性質の金銭か(=手付金・保証金・預り金など)」です。書き方が独特で判断が難しい契約書は、税額の過不足を避けるため所轄税務署に事前照会するのが確実です(印紙税法基本通達 別表第一 第1号文書、国税庁 質疑応答事例「契約金額の記載金額」)。
印紙の貼り方と消印の作法
税額が確定したら、相当額の印紙を契約書に貼付し消印します。印紙税法第8条は、作成の時までに貼付し、文書と印紙の彩紋にまたがって「判明に」消印することを義務付けています。
課税文書の作成者は、次条から第十二条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。
出典:印紙税法第8条|e-Gov法令検索
課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
印紙の貼り方(位置・向き)
印紙を貼付する位置・向きについて、法令や国税庁通達に明確なルールはありません。実務では、契約書の左上余白に貼付し、額面が読める縦向きに揃える運用が一般的です。位置よりも重要なのは、契約書の作成時までに貼付を完了し、次に述べる消印を確実に行うことです。
消印の方法(印鑑・署名・第三者可否)
消印は、印紙が使い回されるのを防ぐために行います。国税庁は方法として、作成者本人だけでなく代理人・使用人・従業者の印章または署名でよいことを明示しています。
印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています(法第8条第2項)。そして、印紙を消す方法は、文書の作成者又は代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名によることになっています(令第5条)。このように、消印する人は文書の作成者に限られておらず、また、消印は印章でなくても署名でもよいとされているところから、文書の消印は、その文書に押した印でなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印章又は署名であれば、どのようなものでも差し支えありません。
出典:印紙の消印の方法|国税庁
基本通達第64条は、2以上の者が共同して作成した契約書について、作成者のうちの1人が消印すれば差し支えないと定めています。同第65条により、消印に使う「印章」には通常の印判のほか、氏名・名称等を表示した日付印、役職名・名称等を表示した印も含まれます。
消印として認められるケースと認められないケース
国税庁は、印章や署名にあたらない表示は消印としての効力を持たないと明示しています。
署名は自筆によるのですが、その表示は氏名を表すものでも通称、商号のようなものでも構いません。しかし、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たりませんから、消印したことにはなりません。
出典:印紙の消印の方法|国税庁
実務での可否を対比表で整理します。
| 消印方法 | 可否 | 根拠・注釈 |
|---|---|---|
| 実印・銀行印・認印 | ○ | 作成者の印章(基本通達第65条) |
| シャチハタ(インキ浸透印) | ○ | 「印章」に該当し可(消印の目的は使い回し防止であり、契約書の署名捺印とは別扱い) |
| 日付印・役職印・社名印 | ○ | 氏名・名称・役職名を表示した印を含む(基本通達第65条) |
| 代理人・使用人・従業者の印章 | ○ | 作成者本人に限られない(印紙税法施行令第5条) |
| 自筆署名(ボールペン等) | ○ | 氏名・通称・商号いずれも可 |
| 共同作成の場合、作成者のうち1人が消印 | ○ | 基本通達第64条により1人で足りる |
| 「印」の一文字のみを表示 | × | 印章にも署名にも該当しない(国税庁) |
| 斜線・二重線・×印 | × | 印章にも署名にも該当しない(同上) |
| 鉛筆による署名 | × | 通常の方法で消し去ることができ、判明性の要件を満たさない |
| 印紙と契約書にまたがっていない押印・署名 | × | 「彩紋にかけ、判明に」の要件を満たさない(印紙税法第8条第2項) |
加えて、「判明に」消印する必要があり、通常の方法では消印を取り去ることができないことも要件です。実務では、氏名または商号・役職の印章もしくは自筆署名(ボールペン等)を、印紙と契約書用紙にまたがるように押印・署名するのが確実です。
出典・参考資料(1件)
売買契約書の印紙代はどちらが負担するか
売買契約書の印紙代を売主・買主のどちらが負担するかは、法律上と実務慣行の2つのレイヤーで整理できます。法律上は、契約書を共同で作成した者が連帯して納税義務を負います。
別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
出典:印紙税法第3条第1項・第2項|e-Gov法令検索
一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
実務では、次のいずれかの慣行が定着しています。売買契約書を2通作成する場合は、売主・買主が各自の保管分を各自で負担する運用、税額を折半する運用、原本の保管者が全額を負担する運用の3系統です。契約書ひな型で負担を明示するときは、これらから合意した方式を条項に落とし込みます。法律上は共同納税義務のため、当事者間の合意にかかわらず税務署は双方に納税を求めることができる点に留意してください。
契約類型ごとの実務目安として、次のような傾向があります。
- 不動産売買(個人間・事業者間とも):売買契約書を2通作成し、売主・買主が各自の保管分を各自で負担する運用が最も広く用いられます。仲介業者を介する場合は業者作成のひな型に「印紙代は各自負担」と明記されているのが一般的です。
- 事業譲渡・M&A契約書(高額・単発):契約書は通常2通作成し、税額を折半する運用または各自の保管分を各自負担する運用が一般的です。負担条項を契約書に明記して疑義を残さない実務が多いです。
- 継続取引の売買基本契約書(第7号・4,000円):金額が小さく、契約主導側(発注者側)または相手方(受注者側)が原本を保管し、保管者が印紙代を負担する運用が多く見られます。原本1通・写し1通の運用にすれば負担者は原本保管者に一本化できます。
印紙の貼り忘れ・消印忘れと過怠税
印紙を貼り忘れる、あるいは消印を忘れると、過怠税が徴収されます。印紙税法第20条は、貼り忘れ時は本税+2倍(合計3倍)、税務署への自主申告時は本税+10%(合計1.1倍)、消印忘れは貼付額と同額の過怠税を課すと定めています。契約自体は無効になりませんが、追加コストと帳簿への影響は無視できません。
貼り忘れ時の過怠税(原則は本来税額の3倍)
第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同項の規定により納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。
出典:印紙税法第20条第1項|e-Gov法令検索
本来の税額が10,000円の契約書で貼り忘れが判明した場合、過怠税は30,000円になります。加えて、過怠税は法人税の損金や所得税の必要経費に算入できないため、実質的な負担はさらに重くなります(国税庁 タックスアンサーNo.7131)。
税務調査前の自主申告なら1.1倍に軽減
税務調査で指摘される前に自主的に申告すれば、過怠税は本税+10%(合計1.1倍)に軽減されます。手続きは「印紙税不納付事実申出書」を所轄税務署に提出することによります。
前項に規定する課税文書の作成者から当該課税文書に係る印紙税の納税地の所轄税務署長に対し、政令で定めるところにより、当該課税文書について印紙税を納付していない旨の申出があり、かつ、その申出が印紙税についての調査があつたことにより当該申出に係る課税文書について国税通則法第三十二条第一項(賦課決定)の規定による前項の過怠税についての決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該課税文書に係る同項の過怠税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付しなかつた印紙税の額と当該印紙税の額に百分の十の割合を乗じて計算した金額との合計額に相当する金額とする。
出典:印紙税法第20条第2項|e-Gov法令検索
過去に貼り忘れた契約書がある場合は、税務調査で指摘される前の自主申告で本税+10%の軽減を受けられます。実務では、契約書のバックナンバーを棚卸しし、判定漏れ・貼付漏れの契約書を洗い出したうえで、税務署に照会してから申出書を提出する運用が確実です。
消印忘れも過怠税の対象(貼付額と同額の過怠税)
第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同条第二項の規定により印紙を消さなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収する。
出典:印紙税法第20条第3項|e-Gov法令検索
印紙は貼っている(本税は納付済み)ので追加負担は貼付額と同額です。結果として実効負担は本税の2倍相当となります。貼付と消印は同時にセットで完了する運用が肝要です。
本記事の実額シミュレーションで扱った代表的な税額について、過怠税の全パターン(貼り忘れ・自主申告・消印忘れ)の負担額を横並びで示します。
| 代表ケース | 本来税額 | 貼り忘れ時(3倍) | 自主申告時(1.1倍) | 消印忘れ時(合計2倍相当) |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円の不動産売買契約書(第1号・軽減後) | 5,000円 | 15,000円 | 5,500円 | 10,000円 |
| 5,000万円の土地売買契約書(第1号・軽減後) | 10,000円 | 30,000円 | 11,000円 | 20,000円 |
| 継続取引の売買基本契約書(第7号) | 4,000円 | 12,000円 | 4,400円 | 8,000円 |
| 1億円超5億円以下の不動産譲渡契約書(第1号・軽減後) | 60,000円 | 180,000円 | 66,000円 | 120,000円 |
金額を間違えたとき(不足分の追貼・過納分の還付請求)
税額を過小で貼付した場合は、不足分の印紙を追貼して消印します。過大に貼付した場合や課税文書でない文書に印紙を貼付してしまった場合は、税務署に還付請求が可能です。手続きは「印紙税過誤納確認申請書」を所轄税務署長に提出し、過誤納となっている文書を提示します(国税庁 質疑応答事例「誤って納付した印紙税の還付」)。
印紙を貼り忘れても契約自体は無効にならない
印紙税は文書に対する税であり、契約の私法上の効力とは切り離されています。貼り忘れがあっても契約書自体は有効で、当事者間の権利義務は影響を受けません。ただし過怠税の負担、税務調査対応の負担、契約書として提出する場面での不備印象は残るため、貼付漏れは早期に自主申告して整えるのが実務的です。
出典・参考資料(3件)
ここまでの印紙代・過怠税リスク(原則3倍・自主申告1.1倍・消印忘れは貼付額と同額)を恒常的に削るには、印紙税が課されない電子契約への切替えが最短です。
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電子契約なら売買契約書の印紙は不要(根拠と削減効果)
継続的に売買契約書を扱う事業者にとって、印紙代と過怠税リスクをまとめて解消する手段が電子契約への切替えです。電子契約は印紙税法上の「文書」に該当しないため、金額の大小にかかわらず印紙税は非課税となります。
電子契約が非課税である根拠(法条・政府答弁書・照会回答)
電子契約が印紙税の対象外である根拠は、法条を頂点に政府答弁書・国税局の事前照会回答・国税庁の質疑応答事例が層構造で揃っており、実務判断で疑義が生じにくい状態にあります。以下の順で確認します。
①法条(印紙税法第2条):印紙税法第2条は「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する」と規定します。課税対象は物理的な「文書」に限られ、電磁的記録は含まれません。電子契約サービスで契約書を電磁的記録として作成・送受信・保管する場合、印紙税の課税対象となる「文書の作成」自体が発生しません。
②政府答弁書(2005年3月15日):2005年(平成17年)3月15日、参議院議員 櫻井充君提出の「印紙税に関する質問」に対する政府答弁書は、電磁的記録による作成が印紙税の課税対象外である旨を明示しました。
事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。
出典:参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書(内閣参質一六二第九号/平成17年3月15日)|参議院
③福岡国税局 事前照会回答(2008年10月24日):個別の照会回答として、福岡国税局審理官が2008年(平成20年)10月24日、請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信する場合の印紙税の取扱いを回答しました。
印紙税法第2条を根拠に「貴見のとおりで差し支えありません(=課税対象外)」と示されており(福岡国税局 事前照会回答|国税庁)、売買契約書についても電磁的記録として作成・送信する限り、同様に印紙税は課税されません。
④国税庁 質疑応答事例:国税庁本庁の質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」も同旨を明示しています。
印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。
出典:取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い|国税庁
したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。
電子契約への切替えによる年間削減額シミュレーション
電子契約に切り替えた場合の削減効果を、売買契約書の類型別に試算します。いずれも本記事の税額表に基づく実額です。
- 1,000万円の不動産売買契約書を年10件締結する事業者:軽減後税額5,000円 × 10件=年50,000円の削減。5年で250,000円、10年で500,000円。
- 5,000万円の土地売買契約書を年5件締結する事業者:軽減後税額1万円 × 5件=年50,000円の削減。
- 継続的取引の売買基本契約書を年30件締結する卸売事業者:4,000円 × 30件=年120,000円の削減。
- 1億円超5億円以下の不動産譲渡契約書を単発で作成する事業者:本則税額10万円→軽減後6万円が1件で解消。あわせて過怠税リスク(貼り忘れ時に本税の3倍=18万円)も同時に解消。
削減額は印紙代だけでなく、貼付・消印作業の工数、郵送・保管コスト、印紙の在庫管理、貼り忘れ・消印忘れによる過怠税リスクの解消まで含めて評価するのが実務的です。
印紙代・過怠税リスクを削る電子契約サービス
売買契約書を電子化するにあたっては、取引相手に電子契約への同意を促しやすい国内で広く使われているサービスか、不動産など高額取引で必要となる当事者型(実印相当)への対応、契約書の作成・レビューまで一気通貫で任せられる法務サポートの有無が主な検討軸になります。
以下では、純粋な電子契約サービス2社(クラウドサイン・電子印鑑GMOサイン)と、契約書業務まるごとの外部委託として電子契約も含めて任せられる1社(CLOUD LEGAL)を紹介します。
売買契約書の電子化に適合する3サービスの比較
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン | CLOUD LEGAL(クラウドリーガル) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 公式料金ページに記載なし | 0円 | 0円 |
| 月額費用 | 無料〜(Light 11,000円/Corporate 28,000円、税抜) | 無料〜(ライト 8,800円/スタンダード 24,000円、年間契約・税抜) | 11,000円〜(ブロンズ・税込)/55,000円(シルバー・税込) |
| 当事者型対応 | ●マイナンバーカード署名 | ◎実印タイプ+ハイブリッド署名 | △電子契約は標準搭載(高度な締結は提携WAN-Sign連動) |
| 電子帳簿保存法対応 | ●認定タイムスタンプ標準付与 | ◎JIIMA認証(契約印&実印プラン) | △公式サイトで対応明記を確認できず |
| 特徴 | 導入250万社超・累計送信4,000万件超。相手方に受け入れられやすい国内標準サービス | 導入350万社超。立会人型・当事者型を1サービスで使い分けられる類型別対応 | 生成AI×弁護士のBPaaS。契約書作成・AIレビュー・法務相談まで月額課金で一括提供 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
電子契約システムは料金体系・署名方式・契約書管理機能・取引先の操作負担などが多様で、自社の契約件数や運用に合ったサービスは他にもあります。主要な電子契約システムを料金・署名方式・タイプ別に横並びで比較したい場合は、以下の記事をご参照ください。
電子契約システムおすすめ比較|料金とタイプ別の選び方で自社に合う一社を選ぶ
契約のたびに印刷・製本・押印・郵送を繰り返し、取引先の返送を待つあいだ業務が止まってしまう。そんな紙の契約に伴うリードタイムと印紙税の負担を、見直したいと感じていませんか。 電子契約システムを導入すれば、押印や郵送のやり取りをオンラインに置…
1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

導入250万社超・累計送信4,000万件超(2024年時点)の立会人型(第三者事業者のシステム上で電子署名を付与する方式)電子契約サービスです。弁護士ドットコム株式会社が運営し、売買契約書の相手方に「この電子契約で締結したい」と提案する際、多くの取引先が既にアカウントを持っているため電子契約への同意を得やすい利点があります。
売買契約書の電子化においては、契約書PDFのアップロード・宛先入力・送信の3ステップで完結する簡潔なフローが特徴です。相手方はメール認証で書類を確認・同意でき、電子署名アカウントの新規作成を求められません。締結後の契約書は電子帳簿保存法に対応した設計でクラウドに保管され、期限管理・全文検索も標準機能として提供されます。
売買基本契約書のような継続取引の基本契約から、単発の不動産売買契約書まで幅広い契約類型に対応できるため、電子契約導入の第一段階として選ばれる標準サービスの位置付けです。取引相手が既にクラウドサインを利用しているケースも多く、社内・社外双方の運用負荷が抑えられます。
2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子契約サービスで、立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方に対応し、同一契約書内で両方式を組み合わせるハイブリッド署名にも対応する点が特徴です。累計導入企業数は350万社超(2024年時点)で、当事者型を含む契約類型カバー範囲の広さから、幅広い契約類型に1サービスで対応できます。
売買契約書のうち、不動産売買契約書のように法的効力の確実性を高めたい高額契約では、当事者型(実印タイプ)で電子証明書に基づく本人性を確保する運用が採れます。一方、社内稟議書や継続取引の基本契約書のような相手方との合意形成が中心の契約では、立会人型で運用の軽さを取れます。この使い分けが1つのサービス内で完結する点が、売買契約書の類型別対応を1本化したい事業者に適します。
電子帳簿保存法・電子署名法への対応、契約書管理機能、Salesforce・kintoneなど外部システムとの連携も備えます。金融機関・上場企業を含む幅広い業種での導入実績があり、売買契約書の電子化を全社的な標準サービスとして展開したい企業に適しています。
3. CLOUD LEGAL(MOLTON株式会社)

電子契約単機能の導入ではなく、契約書作成〜法務相談を含めた業務まるごとの外部委託を検討する場合の選択肢です。MOLTON株式会社が提供する、生成AIと弁護士による法務支援を組み合わせたリーガルBPaaS型(Business Process as a Service:契約書作成〜法務相談まで業務プロセスをまとめて外部委託する提供形態)のサービスです。
売買契約書の電子締結だけでなく、契約書の作成・レビュー・法務相談まで月額課金で一括して提供する点で、他の純粋な電子契約サービスとは異なる位置付けにあります。
売買契約書の電子化を検討する事業者のうち、「契約書ひな型そのものに自信がない」「印紙判定と併せて法務全般を専門家に任せたい」「社内に法務担当を置く余力がない」ケースに適します。
AIによる契約書自動作成、弁護士によるカスタム契約書作成・レビュー、法務労務相談、会社設立サポート、商標登録などを組み合わせて利用でき、売買契約書の電子化を「電子締結の単機能導入」ではなく「契約書業務全体の外部委託」として設計できます。
料金は月額11,000円(税込・ブロンズ)から利用でき、上位に55,000円(シルバー)が用意されています。
利用社数は5,000社以上、取り扱い契約書は10,000件以上(公式トップ訴求値、時点未明示)と公表されており、中小企業・個人事業主・スタートアップの導入が想定されています。
まとめ
売買契約書に印紙が必要かどうかは、対象物(不動産・船舶・航空機・営業譲渡か、物品か、継続取引の基本契約か)と記載金額の有無で「非課税/第1号/第2号/第7号」に分岐します。不動産譲渡等の第1号文書は令和9年3月31日までは租税特別措置法第91条による軽減が適用され、継続取引の基本契約は第7号文書として1通4,000円、物品の単発売買は非課税です。
貼付は契約書作成の時までに、消印は文書と印紙にまたがって印章または署名で行います。斜線・「印」の一文字押印・鉛筆署名は消印として認められません。貼り忘れは本税の3倍(自主申告なら1.1倍)、消印忘れは貼付額と同額の過怠税が課され、いずれも法人税・所得税の損金や必要経費にできません。負担者は法律上、共同作成者の連帯納税義務です。
継続的に売買契約書を扱う事業者にとって、電子契約への切替えは印紙税と過怠税リスクをまとめて解消する現実的な手段です。1,000万円の不動産売買を年10件で年50,000円、5年で250,000円の削減となり、貼付・消印・保管の工数削減も同時に実現できます。MCB FinTechカタログでは、売買契約書の電子化に適合する電子契約サービスの資料を無料で一括ダウンロードできます。
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売買契約書の印紙に関するよくある質問(FAQ)
Q. 1万円未満の売買契約書は本当に印紙不要ですか?
A. 第1号文書に該当する売買契約書のうち記載金額が1万円未満のものは非課税で、印紙は不要です。印紙税法別表第一 第1号の非課税物件欄に「契約金額が一万円未満のもの」と明記されています。
ただし、記載金額のない契約書(金額を後日別文書で定める、単価のみ記載し数量を後決めするなど)は「契約金額の記載のないもの」区分で1通200円が課税されます。「1万円未満」の非課税と「記載なし」の200円は分けて扱う点に注意してください。第7号文書(継続的取引の基本契約書)の4,000円には金額下限による非課税枠はありません。
Q. 売買金額を後から変更する変更契約書には印紙が必要ですか?
A. 原契約の重要事項(金額・目的物・期間など)を変更する契約書は、表題が「変更契約書」「覚書」「合意書」であっても原契約と同じ号文書として課税されます。判定は文書のタイトルではなく実質的な意義で行うと国税庁が明示しています。
不動産売買代金を増額する変更契約書は第1号文書として増額分の金額を記載金額として課税され、減額のみの変更契約書は「契約金額の記載のないもの」区分で200円になります。単なる履行期日の延長や連絡先の変更など、契約金額に触れない変更契約書は課税対象外です。実務では、原契約の号文書区分と照らして変更契約書ごとに個別判定してください。
Q. 売買契約書のコピーには印紙が必要ですか?
A. 単なる控えのコピー(複写・写し)であれば印紙は不要です。作成者本人が保管用に取ったコピーや参考資料として配布したコピーは、印紙税の課税対象になりません。
ただし、コピーに当事者双方の署名・押印を追加する、原本と同一である旨を証明する文言を付すなど、原本と同等の効力を持たせた文書は、改めて課税文書として扱われます。原本を2通作成した場合の各通はいずれも課税対象で、原本のコピー1通のみを保管する運用にすると印紙代を1通分に抑えられます。
Q. 売買契約書に付随する覚書には印紙が必要ですか?
A. 覚書の記載内容によって、印紙税の要否と号文書の分類が変わります。表題が「覚書」「合意書」「念書」であっても、原契約の重要事項(金額・目的物・期間など)を変更・追加する内容であれば、原契約と同じ号文書として課税されます。
判定は文書の名称ではなく実質的な意義で行うと国税庁は明示しています。原契約の売買金額を増額する覚書は第1号文書として増額分の記載金額で課税され、単なる事務連絡や連絡先変更の覚書は課税対象外です。実務では、原契約の号文書区分と照らして覚書ごとに個別判定してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 売買契約書の記載金額は税込と税抜のどちらで判定しますか?
A. 消費税額等が区分記載されていれば税抜額で判定し、区分記載がなければ税込額で判定します。「売買代金1,100万円 うち消費税額等100万円」のように区分すれば記載金額は1,000万円となり、軽減後税額は5,000円です。
同じ1,100万円でも「1,100万円(税込)」「消費税額等10パーセントを含む」とだけ記載していると消費税額等が明らかでないため、記載金額は1,100万円と扱われ税額は1万円になります。この取扱いは第1号文書・第2号文書・第17号文書に適用され、第7号文書(継続的取引の基本契約書)には及びません。契約書ひな型では消費税額を必ず区分記載する運用が印紙代の節約になります。
出典・参考資料(1件)
Q. 売買契約書の印紙代は売主・買主のどちらが負担しますか?
A. 法律上は共同作成者が連帯して納税義務を負い、実務では折半または各自の保管分を各自で負担する慣行が一般的です。印紙税法第3条第2項は、1つの課税文書を2以上の者が共同して作成した場合、共同で連帯して印紙税を納める義務を負うと定めています。
売買契約書を2通作成する場合は、売主・買主がそれぞれ自身の保管分の印紙代を負担する運用が最も広く用いられます。原本を1通のみ作成して片方はコピー保管とする運用や、税額を折半する運用も選択できます。
契約書ひな型に負担条項を明記するときは「本契約書の作成に要する印紙代は売主・買主が折半して負担する」等の一文を追加します。当事者間の合意にかかわらず、税務署は共同作成者の双方に納税を求めることができる点に留意してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 売買契約書の印紙を貼り忘れると契約は無効になりますか?
A. 印紙を貼り忘れても売買契約自体は有効で、当事者間の権利義務には影響しません。印紙税は文書に対する税であり、契約の私法上の効力とは切り離されているためです。
ただし過怠税として、原則は本来税額の3倍(本税+2倍)、税務調査で指摘される前の自主申告なら1.1倍(本税+10%)が徴収されます。消印を忘れた場合も貼付額と同額の過怠税が課され、いずれも法人税の損金や所得税の必要経費に算入できません。過去の貼り忘れが判明したら、税務署に「印紙税不納付事実申出書」を提出して自主申告するのが実務的です。
出典・参考資料(1件)
Q. 収入印紙はどこで購入できますか?
A. 収入印紙は郵便局・法務局のほか、「印紙売りさばき所」の指定を受けたコンビニエンスストアやタバコ販売店で購入できます。額面は1円から10万円まで31種類ありますが、コンビニでは200円額面のみを扱う店舗が多いため、高額な印紙は郵便局の窓口が確実です。
収入印紙自体には消費税は課されず(非課税)、法人の会計処理は「租税公課」勘定で計上します。印紙税は損金や必要経費に算入できますが、貼り忘れによる過怠税は損金・必要経費に算入できない点で区別してください。
Q. 電子契約で締結した売買契約書は法的に有効ですか?
A. 電子契約で締結した売買契約書は、書面契約と同等の法的効力を持ちます。民法上、契約は原則として当事者の合意により成立し、書面である必要はありません(一部の要式契約を除く)。
電子署名法第3条は、本人による一定の要件を満たした電子署名が行われた電磁的記録について、書面と同等の証拠力(真正に成立したものとの推定)を認めています。加えて、電子帳簿保存法の保存要件(真実性・可視性)を満たすことで、税務上の証憑書類としても認められます。不動産売買のような高額契約でも、当事者型(実印相当)の電子署名を用いれば、書面での実印押印と同等の本人性を確保できます。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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