契約書や領収書に貼る収入印紙の額は、文書の種類と記載された金額の組み合わせで一義的に決まっています。文書の種類は印紙税法が第1号から第20号までの「号」に分けており、号ごとに金額の刻みが違います。同じ300万円でも、金銭消費貸借契約書(第1号)は2,000円、請負契約書(第2号)は1,000円です。
本記事では、実務で扱うことの多い第1号・第2号・第7号・第17号について、記載金額の区分ごとの印紙税額を一覧表で示します。文書の種類が分かっていれば、金額一覧からそのまま確認できます。
あわせて、収入印紙が要らないケースとその根拠、不動産譲渡契約書・建設工事請負契約書の軽減措置と適用期限、貼り忘れたときの過怠税や多く貼ったときの還付までを扱います。手元の文書に貼る額を確定させるところまでが本記事の範囲です。
目次
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手元の文書はどの号にあたるか(収入印紙が必要な文書の見分け方)
印紙税額は「文書の種類(号)」と「記載金額」の2つで決まります。金額表を引く前に、手元の文書がどの号にあたるかを確定させてください。
判定はタイトルではなく中身で行います。印紙税法基本通達は、文書の名称や形式的な文言ではなく実質的な意義で判断すると定めています。
第3条 文書が課税文書に該当するかどうかは、文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容についても判断するものとし、また、単に文書の名称又は呼称及び形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて判断するものとする。
出典:印紙税法基本通達 第2節 文書の意義等 第3条|国税庁
実務で扱うことの多い文書と号の対応は次のとおりです。自分の文書の行き先を確かめてから、税額表に進むと迷いません。
| 文書の例 | 該当する号 |
|---|---|
| 不動産売買契約書/土地賃貸借契約書/金銭消費貸借契約書 | 第1号文書 |
| 工事請負契約書/注文請書/物品加工の請書/広告契約書 | 第2号文書 |
| 取引基本契約書/売買取引基本契約書/代理店契約書/下請基本契約書 | 第7号文書 |
| 領収書/領収証/レシート/預り書 | 第17号文書 |
| 業務委託契約書 | 内容が請負なら第2号、委任なら不課税。継続的取引の基本条件を定めていれば第7号 |
| 注文書(発注側が出すもの) | 原則として不課税(例外あり) |
| 建物の賃貸借契約書/請求書/見積書/秘密保持契約書/雇用契約書 | 不課税(課税物件表に掲げられていないため) |
| 解約合意書 | 不課税(契約の消滅のみを証する文書のため) |
本記事が扱うのは、この第1号・第2号・第7号・第17号です。手形(第3号)・株券(第4号)・合併契約書(第5号)・定款(第6号)・債務保証(第13号)などが必要な場合は、国税庁の印紙税額一覧表(No.7140/No.7141)でご確認ください。
ここからは、4つの号それぞれについて、どんな文書が当てはまるかを見ていきます。
不動産などの譲渡・消費貸借の契約書(第1号)
第1号文書は4つのグループに分かれます。印紙税法別表第一の課税物件表は、次のように定めています。
出典:印紙税法 別表第一 課税物件表 第一号|e-Gov 法令検索
- 1 不動産、鉱業権、貯留権、二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第三十八号)第二条第八項(定義)に規定する試掘権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
- 2 地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
- 3 消費貸借に関する契約書
- 4 運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)
実務で頻度が高いのは、不動産売買契約書(1のグループ)と金銭消費貸借契約書(3のグループ)です。土地の賃貸借契約書も2のグループとして第1号にあたります。
成果物の完成を約束する契約書(第2号・請負)
仕事の完成と、それに対する報酬の支払いを約束する契約書は第2号文書です。国税庁は請負の範囲を次のように説明しています。
請負とは当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。請負には建設工事のように有形的なもののほか、警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように無形的な結果を目的とするものも含まれます。
具体的には、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などが請負に関する契約書に該当します。
出典:No.7102 請負に関する契約書|国税庁
建設工事だけでなく、警備・機械保守・清掃のような役務の提供も、結果の完成を約束するものであれば請負に含まれます。「工事注文請書」が具体例として挙げられている点は、注文書と請書のやり取りで発注する会社にとって重要です。
継続的な取引の基本条件を定める契約書(第7号)
取引基本契約書・売買取引基本契約書・代理店契約書のように、特定の相手との継続的な取引の条件をあらかじめ定める契約書は第7号文書にあたり、税額は記載金額にかかわらず1通4,000円です。
ただし該当するには絞りがあります。国税庁の説明を見てみます。
印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい、税額は1通につき4,000円です。
ただし、その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。(1) 売買取引基本契約書や貨物運送基本契約書、下請基本契約書などのように、営業者間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負に関する複数取引を継続的に行うため、その取引に共通する基本的な取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書(電気又はガスの供給に関するものを除きます。)
(2) 代理店契約書などのように、両当事者(営業者には限りません。)間において、売買に関する業務、金融機関の業務、保険契約の締結の代理もしくは媒介の業務または株式の発行もしくは名義書換の事務を継続して委託するため、その委託する業務または事務の範囲または対価の支払方法を定める契約書
出典:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁
(略)
絞りの内容は類型で異なります。売買・請負などの基本契約((1)の類型)は営業者どうしであることが要り、単価・支払方法など列挙された事項のうち1つ以上を定めている必要があります。
ここでいう営業とは、営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことを指し、株式会社などの営利法人の行為は原則としてこれに当たります。一方、代理店契約書など(2)の類型は、原文が「営業者には限りません」と明記しているとおり営業者間に限られません。
どちらの類型でも、契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれます。「継続的な契約なら一律4,000円」ではない点に注意してください。
第7号から外れた契約書は、その内容が第1号・第2号などほかの号に当てはまるかで決まります。当てはまれば記載金額に応じた税額(記載がなければ200円)になり、どの号にも当てはまらなければ課税されません。
代金の受取書・領収書(第17号)
金銭や有価証券を受け取ったことを証明する文書は第17号文書です。「領収書」というタイトルでなくても該当します。
したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭または有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭または有価証券の受取書に該当します。
出典:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁
第17号はさらに2つに分かれます。商品の販売代金やサービスの提供の対価を受け取った「売上代金に係る受取書」(第17号の1)は受取金額に応じて税額が変わり、それ以外の受取書(第17号の2)は金額にかかわらず1通200円です。借入金・保証金・保険金・損害賠償金の受取書は売上代金にあたらないため後者になります。
迷いやすい文書(注文請書・覚書・変更契約・業務委託契約)
号の判定でつまずきやすい文書について、押さえどころを整理します。
- 注文請書:受注側が発行する請書は契約の成立を証明する文書なので課税されます。工事注文請書は第2号文書の具体例として国税庁のページに明記されています。一方、発注側が出す注文書は原則として課税対象になりません。ただし、基本契約や約款に基づく申込みで自動的に契約が成立すると記載されているもの、見積書に基づく申込みであると記載されているもの(いずれも、相手方が別に請書などを作成することが記載されているものは除かれます)、契約当事者双方の署名または押印があるものは、契約書として扱われます。
- 覚書:タイトルが覚書でも、契約の成立・更改・内容の変更や補充を証明する目的で作られていれば契約書です。逆に、契約の消滅の事実だけを証明する解約合意書は課税対象になりません。
- 変更契約書:原契約の重要な事項を変更するものは、原契約と同じ号に所属します。重要な事項以外を変更するものは課税文書に当たりません。重要な事項の中身は印紙税法基本通達の別表第二に一覧があり、契約金額・単価・支払方法・契約期間などが挙げられています。
- 業務委託契約書:仕事の完成を約束する内容なら請負(第2号・課税)、事務の処理を委託するだけの委任なら課税文書に当たりません。民法第632条が請負を「ある仕事を完成することを約し」と定めているので、契約書に成果物と検収の定めがあるかが手がかりになります。稼働時間や業務の遂行そのものを対価の基準にしている契約書は、事務の処理を委託する委任(民法第643条・第656条)に寄ります。
質疑応答事例は、照会された事実関係を前提とした一般的な回答であり、具体的な取引に当てはめると異なる課税関係が生じることがあると注記しています。判断に迷う文書は、所轄の税務署に確認してください。
判定は契約書全体の記載内容によります。印紙税法基本通達は、民法第648条の2に規定する成果等に対する報酬を支払う委任契約は請負に該当しないと明記しています。また委任であっても、売買に関する業務などを継続して委託する業務委託契約書のように印紙税法施行令第26条が挙げる類型に当てはまれば、第7号文書として4,000円がかかることがあります。
このうち業務委託契約書は、請負か委任かで課税・不課税が真逆になるうえ、契約書に書かれた成果物の定め方や報酬の決め方で判定が変わります。手元の契約書の条項から区分を確かめたい場合は、以下の記事で判定の分岐と金額別の税額を扱っています。
出典・参考資料(8件)
【一覧表】印紙税はいくらか(第1号・第2号・第7号・第17号の金額一覧)
号が決まったら、記載金額を区分に当てはめて税額を読み取ります。以下の表は、国税庁の印紙税額一覧表の区分をそのまま並べたものです。
契約書の印紙税額(第1号・第2号・第7号)
以下は、契約書に記載された契約金額ごとの本則税率の一覧です。第1号と第2号は刻みが異なり、たとえば50万円の契約は第1号なら400円、第2号なら200円になります。
表に当てはめる前に2点だけ確認しておきます。消費税額等を区分して記載している契約書は、税抜額で判定します(税額の判定で迷いやすいところ)。また表の額は1通あたりなので、契約書を2通作るなら2通分が必要です。
| 記載された契約金額 | 第1号文書 (不動産等の譲渡・消費貸借・運送など) ※不動産の譲渡は軽減あり | 第2号文書 (請負に関する契約書) ※建設工事の請負は軽減あり | 第7号文書 (継続的取引の基本となる契約書) |
|---|---|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 | 非課税 | 4,000円 |
| 1万円以上 10万円以下 | 200円 | 200円 | 4,000円 |
| 10万円超 50万円以下 | 400円 | 200円 | 4,000円 |
| 50万円超 100万円以下 | 1,000円 | 200円 | 4,000円 |
| 100万円超 200万円以下 | 2,000円 | 400円 | 4,000円 |
| 200万円超 300万円以下 | 2,000円 | 1,000円 | 4,000円 |
| 300万円超 500万円以下 | 2,000円 | 2,000円 | 4,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円 | 4,000円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 | 20,000円 | 4,000円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 60,000円 | 60,000円 | 4,000円 |
| 1億円超 5億円以下 | 100,000円 | 100,000円 | 4,000円 |
| 5億円超 10億円以下 | 200,000円 | 200,000円 | 4,000円 |
| 10億円超 50億円以下 | 400,000円 | 400,000円 | 4,000円 |
| 50億円超 | 600,000円 | 600,000円 | 4,000円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 | 200円 | 4,000円 |
第7号文書は記載金額にかかわらず1通4,000円です。ただし契約金額が書かれていて第1号・第2号にも当てはまる文書は、第7号ではなく第1号・第2号として金額に応じた税額になります(後述の取引基本契約書は4,000円か、金額に応じた額かを参照)。
第1号は100万円超500万円以下、第2号は1万円以上100万円以下が同じ税額のため、表では同じ数字が続く帯があります。国税庁の一覧表ではこれらが1行にまとめられています。
出典・参考資料(3件)
ここに挙げたのは本則の税額です。不動産の譲渡に関する契約書と、建設工事の請負に関する契約書は、次に示す軽減後の額になります。1,500万円の建設工事請負契約書なら本則20,000円に対して軽減後は10,000円で、倍の差が出ます。
不動産譲渡契約書・建設工事請負契約書の軽減措置と適用期限(軽減後の額と本則の額)
不動産の譲渡に関する契約書と建設工事の請負に関する契約書には、租税特別措置法による軽減措置があります。適用される期間は条文で区切られています。
第九十一条 平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に作成される印紙税法別表第一第一号の物件名の欄1に掲げる不動産の譲渡に関する契約書(略)のうち、当該不動産譲渡契約書に記載された契約金額が十万円を超えるものに係る印紙税の税率は、同号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、当該各号に定める金額とする。
2 平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に作成される印紙税法別表第一第二号に掲げる請負に関する契約書(建設業法第二条第一項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるものに限る。略)のうち、当該建設工事請負契約書に記載された契約金額が百万円を超えるものに係る印紙税の税率は、(略)
出典:租税特別措置法 第九十一条(不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例)|e-Gov 法令検索
条文から読み取れる条件は3つです。1つ目は、作成日が2014年(平成26年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までであること。2つ目は、対象が不動産の譲渡に関する契約書と、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負契約書に限られることです。
3つ目は金額の下限で、契約金額が不動産譲渡なら10万円超、建設工事請負なら100万円超であることが要ります。
請負契約であれば何でも軽減されるわけではなく、建設工事の請負に限られます。以下は軽減後の額と、括弧内に本則の額を併記した一覧です。
| 記載された契約金額 | 不動産譲渡契約書 (第1号の1) | 建設工事請負契約書 (第2号) |
|---|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
| 1万円以上 10万円以下 | 200円(軽減の対象外) | 200円(軽減の対象外) |
| 10万円超 50万円以下 | 200円(本則 400円) | 200円(軽減の対象外) |
| 50万円超 100万円以下 | 500円(本則 1,000円) | 200円(軽減の対象外) |
| 100万円超 200万円以下 | 1,000円(本則 2,000円) | 200円(本則 400円) |
| 200万円超 300万円以下 | 1,000円(本則 2,000円) | 500円(本則 1,000円) |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円(本則 2,000円) | 1,000円(本則 2,000円) |
| 500万円超 1,000万円以下 | 5,000円(本則 10,000円) | 5,000円(本則 10,000円) |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 10,000円(本則 20,000円) | 10,000円(本則 20,000円) |
| 5,000万円超 1億円以下 | 30,000円(本則 60,000円) | 30,000円(本則 60,000円) |
| 1億円超 5億円以下 | 60,000円(本則 100,000円) | 60,000円(本則 100,000円) |
| 5億円超 10億円以下 | 160,000円(本則 200,000円) | 160,000円(本則 200,000円) |
| 10億円超 50億円以下 | 320,000円(本則 400,000円) | 320,000円(本則 400,000円) |
| 50億円超 | 480,000円(本則 600,000円) | 480,000円(本則 600,000円) |
| 契約金額の記載のないもの | 200円(軽減の対象外) | 200円(軽減の対象外) |
※2026年8月時点の税額です。軽減措置は2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書が対象で、それ以降の取り扱いは今後の税制改正によります。
建設工事の請負契約に基づいて作られた契約書であれば、建設工事以外の請負に関する事項が併記されていても全体が軽減の対象になります。
工事の請負では、契約書本体だけでなく注文請書や工期・金額の変更契約書にも印紙が必要になり、それぞれ記載金額の考え方が異なります。建設・工事の契約を扱っていて、これらの文書まで含めて額を確定させたい場合は、以下の記事で個別に整理しています。
取引基本契約書は4,000円か、金額に応じた額か(契約金額の記載の有無で変わる)
第1号・第2号の契約書に契約金額が書かれていない場合、税額は1通200円です。ただし、それだけで判断すると誤ることがあります。

1つの文書が複数の号に当てはまるときの所属は、印紙税法別表第一の冒頭にある「課税物件表の適用に関する通則」が決めています。その通則3のイは、第1号または第2号に該当する文書のうち契約金額の記載がなく、かつ第7号にも該当するものは第7号文書になると定めています。この場合、営業者どうしの取引基本契約書で単価や支払方法を定めていて、契約金額が書かれていないものは200円ではなく4,000円です。
逆に、同じ取引基本契約書でも契約金額が記載されていれば、通則3のイの本文により第1号または第2号として金額に応じた税額になります。単価だけを定めて総額を書かない基本契約書は、実務でこの分岐に当たりやすい形です。
領収書・受取書(第17号)の印紙税額
領収書は受取金額が5万円未満なら非課税です。5万円以上の場合は、売上代金にあたるかどうかで税額が分かれます。
| 記載された受取金額 | 第17号の1 (売上代金に係る受取書) | 第17号の2 (売上代金以外の受取書) |
|---|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 | 200円 |
| 200万円超 300万円以下 | 600円 | 200円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 | 200円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 | 200円 |
| 1,000万円超 2,000万円以下 | 4,000円 | 200円 |
| 2,000万円超 3,000万円以下 | 6,000円 | 200円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 10,000円 | 200円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 20,000円 | 200円 |
| 1億円超 2億円以下 | 40,000円 | 200円 |
| 2億円超 3億円以下 | 60,000円 | 200円 |
| 3億円超 5億円以下 | 100,000円 | 200円 |
| 5億円超 10億円以下 | 150,000円 | 200円 |
| 10億円超 | 200,000円 | 200円 |
| 受取金額の記載のないもの | 200円 | 200円 |
※売上代金とは、資産の譲渡・使用や役務の提供の対価を指します。借入金・保証金・保険金・損害賠償金の受取書は第17号の2にあたります。
収入印紙が要らないケース(課税されない文書)
そもそも印紙を貼らなくてよい文書もあります。貼らずに済むならそれが一番費用を抑えられるので、金額表と合わせて確認してください。
電子契約・PDFで交付した契約書
紙を作らず、電子データのまま作成して相手方に送った契約書には印紙税がかかりません。契約金額がいくら高額でも同じです。
紙に戻したときの扱いまで含めると、次の3つに分かれます。

課税されない根拠(課税文書の「作成」と交付の解釈)
根拠は2つあります。1つ目は、印紙税の課税対象が「文書」に限られ、電磁的記録は文書に含まれないという国税庁の見解です。
印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。
出典:質疑応答事例《印紙税》取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い|国税庁
したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。
2つ目は、納税義務が生じる「作成」の意味です。印紙税法基本通達は、作成を単に用紙を用意することではなく、用紙に課税事項を記載して目的に従って行使することと定義し、相手方に交付する目的の文書については交付の時が作成の時であるとしています。
第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。
出典:印紙税法基本通達 第7節 作成者等 第44条|国税庁
2 課税文書の「作成の時」とは、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。
(1) 相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時
紙に書いて相手に渡して初めて納税義務が生じる、という組み立てです。電子データで送れば紙の交付がないため、そもそも課税文書の作成にあたりません。
個別の照会に対する回答としては、請負契約の注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合について、福岡国税局が2008年(平成20年)10月24日付で課税されない旨の回答を出しています。国税庁のタックスアンサーにも、ファックスや電子メールで送信した場合は正本が送付元に保存され送付先には交付されていないため課税対象にならない、との記述があります。
ここから、紙に戻したときの線引きも決まります。受け取った電子契約を自社で印刷しただけの紙は、交付を受けたものではなく写しにすぎないため課税されません。一方、印刷した紙に改めて署名押印して相手方に交付すれば、その紙が新たな課税文書になり、金額に応じた印紙が必要になります。
契約金額1万円未満の第1号・第2号文書
第1号文書と第2号文書は、記載された契約金額が1万円未満であれば非課税です。少額の発注に対する注文請書などが該当します。
ただし条文の非課税物件欄には括弧書きがあり、通則3のイが適用されて第1号・第2号になった文書は除かれます。第7号にも当たる基本契約書が第1号・第2号として扱われる場合、契約金額が1万円未満でも非課税にはなりません。
記載金額5万円未満の受取書
領収書・受取書は、記載された受取金額が5万円未満であれば非課税です。判定に使うのは記載金額なので、消費税額を区分して書けば税抜額で判定されます(詳しくは次の章で扱います)。
営業に関しない受取書
受け取った金銭が受取人にとって営業に関しないものであれば、第17号文書でも非課税です。ただし適用範囲は狭く、多くの会社の領収書は対象になりません。
(1) 株式会社などの営利法人の行為は、その営利法人が直接作成する株式払込金領収書などを除いて営業になります。
(2) 公益社団法人・公益財団法人などの公益法人の行為は、すべて営業になりません。
また、一般社団法人・一般財団法人などで、法令の規定または定款の定めにより利益金または剰余金の配当または分配をすることができないものの行為も営業になりません。
(略)なお、店舗などの設備がない農業、林業または漁業を行っている者が自分の生産物を販売する行為や医師、歯科医師、弁護士、公認会計士などの行為は、一般に営業に当たらないとされていますので、これらの行為に関して作成される受取書は営業に関しない受取書として取り扱われます。
出典:No.7125 営業に関しない受取書|国税庁
株式会社が事業として発行する領収書は原則として営業に関するものにあたるため、この非課税は使えません。使えるのは公益法人や、配当・分配ができない一般社団法人・一般財団法人、医師や弁護士などの行為に関して作られる受取書です。
国・地方公共団体などが作成した文書
印紙税法第5条第2号は、国・地方公共団体または別表第二に掲げる者が作成した文書を非課税と定めています。官公庁と交わす契約書は、この規定と作成者のみなし規定によって扱いが分かれます。
国などと民間企業が共同で契約書を作成した場合、印紙税法第4条第5項は「国等又は公証人法(明治四十一年法律第五十三号)に規定する公証人が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし、国等以外の者(公証人を除く。)が保存するものは国等が作成したものとみなす」と定めています。この規定により、自社が保管する1通は非課税で、国などが保管する1通に自社が印紙を貼ることになります。
出典・参考資料(1件)
クレジットカード決済で発行する領収書
クレジットカードで決済した取引の領収書は、その旨を領収書に記載していれば、金額にかかわらず第17号の1文書に該当しません。信用取引であり、その場で金銭を受け取っていないためです。
クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しません。
なお、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しないと、第17号の1文書に該当することになります。
出典:質疑応答事例《印紙税》クレジット販売の場合の領収書|国税庁
後段の但し書きが実務では重要です。領収書にクレジットカード利用である旨を書いていないと、第17号の1文書として印紙が必要になります。カード決済の領収書を発行するときは、その旨を必ず記載してください。
税額の判定で迷いやすいところ(記載金額・作成通数)
同じ取引でも、書き方や作り方によって税額が変わることがあります。表を引き間違えないための論点は次の3つです。
消費税額を区分して書けば税抜額で判定される
消費税額等が区分記載されている場合、その消費税額等は記載金額に含めません。書き方ひとつで印紙税額が変わる論点です。
消費税の課税事業者が消費税および地方消費税の課税対象取引に当たって課税文書を作成する場合に、消費税および地方消費税の金額(以下「消費税額等」といいます。)が区分記載されているとき、または、税込価格および税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされています。
なお、この取扱いの適用がある課税文書は、次の3つに限られています。
(1) 第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
(2) 第2号文書(請負に関する契約書)
(3) 第17号文書(金銭または有価証券の受取書)
(注) 消費税および地方消費税の免税事業者については、その取引に課されるべき消費税および地方消費税がありませんから、たとえ受取書等に「消費税および地方消費税」として具体的金額を区分記載したとしても、これに相当する金額は記載金額に含めることになります。しかし、消費税額等について「うち消費税額等100万円」ではなく、「消費税額等10パーセントを含む。」や「請負金額1,100万円(税込)」と記載した場合には、消費税額等が必ずしも明らかであるとは言えませんので、記載金額は1,100万円として取り扱われ、第2号文書の場合、印紙税額は20,000円となります。
出典:No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額|国税庁
この取り扱いには3つの条件があります。適用される文書は第1号・第2号・第17号の3種類だけであること、消費税額等が区分記載されているか税込価格と税抜価格の両方が書かれていること、そして免税事業者には適用がないことです。第7号文書には及びません。
効果が最も分かりやすいのは領収書です。国税庁は「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と記載した領収書について、記載金額は48,000円となり5万円未満なので非課税になるという例を挙げています。合計52,800円とだけ書けば200円の印紙が必要になる場面です。
変更契約書・追加契約書の記載金額
契約金額を変更する契約書の記載金額は、変更前の契約金額を書いた契約書が作成されていることが明らかかどうかで変わります。
変更前の契約書があることが明らかで、かつ変更金額(差額)が書かれている場合、増額なら増加分だけが記載金額になり、減額なら記載金額はないものとして扱われます。一方、変更前の契約書があることが明らかでない場合は、変更後の金額や変更金額そのものが記載金額になります。
実務では、変更契約書に原契約を特定できる事項(契約書名・契約年月日・文書番号など)と差額を明記しておくと、増加分に対応する税額で済みます。建設工事以外の請負契約で、当初900万円を1,050万円に増額する場合、差額の150万円が記載金額となり、税額は400円です。増額後の1,050万円を記載金額として扱うと20,000円になるため、差額を明記するかどうかで税額が19,600円変わります。
出典・参考資料(1件)
契約書を2通作ったら2通分必要か(原本と写しの扱い)
必要です。契約の成立を証明する目的で作られた文書はそれぞれが課税文書になるため、双方が原本を1通ずつ持つなら2通分の印紙が要ります。
第19条 契約当事者間において、同一の内容の文書を2通以上作成した場合において、それぞれの文書が課税事項を証明する目的で作成されたものであるときは、それぞれの文書が課税文書に該当する。
出典:印紙税法基本通達 第4節 契約書の取扱い 第19条|国税庁
2 写、副本、謄本等と表示された文書で次に掲げるものは、課税文書に該当するものとする。
(1) 契約当事者の双方又は一方の署名又は押印があるもの(ただし、文書の所持者のみが署名又は押印しているものを除く。)
(2) 正本等と相違ないこと、又は写し、副本、謄本等であることの契約当事者の証明(正本等との割印を含む。)のあるもの(ただし、文書の所持者のみが証明しているものを除く。)
「写し」と表示しても、相手方の署名押印があるものや原本証明があるものは課税されます。一方、正本をコピーしただけで署名押印も原本証明もないものは単なる写しなので課税されません。原本1通を一方が保管し、他方はコピーを持つ運用にすれば、印紙は1通分で済みます。
収入印紙の買い方・貼り方・消印と経理処理
金額が決まったら、あとは買って貼って消印するだけです。ここでは法令が定めていることと、商慣行として広まっていることを分けて説明します。
収入印紙はどこで買えるか
収入印紙の売りさばきは日本郵便株式会社に委託されており、売り渡す場所は法律で次のように定められています。
次の各号に掲げる印紙は、その売りさばきに関する事務を日本郵便株式会社(以下「会社」という。)に委託し、それぞれ、当該各号に定める所において売り渡すものとする。
出典:印紙をもつてする歳入金納付に関する法律 第三条|e-Gov 法令検索
一 収入印紙 会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。以下この項において同じ。)のうち、総務大臣が財務大臣に協議して指定するもの、郵便切手類販売所(略)又は印紙売りさばき所(略)
購入できるのは、郵便局と、日本郵便から委託を受けた郵便切手類販売所・印紙売りさばき所です。法務局内の売店やコンビニエンスストアで買える場合があるのは、その店舗がこれらの販売所として選定されているためで、法令がコンビニを名指ししているわけではありません。
取り扱っている額面は販売所によって異なります。高額の印紙が必要なときは、事前に在庫を確認してから出向くのが確実です。買ったあとに額面が合わないと分かった場合は、未使用であれば郵便局で他の額面と交換できます(手数料は1枚5円)。
都道府県や市区町村の手数料に使う「収入証紙」とは別のものです。窓口では「収入印紙」と伝えてください。
いつまでに貼ればよいか(作成の時)
印紙税法第8条第1項は、印紙を「当該課税文書の作成の時までに」貼り付けて納付すると定めています。その作成の時は、文書の性質で分かれます。
- 領収書や注文請書のように相手方に交付する目的で作成する文書:交付の時
- 双方が署名押印する契約書のように当事者の意思の合致を証明する目的で作成する文書:その意思の合致を証明する時
取引先が押印済みの契約書に自社が押印して1通返す場合、意思の合致が証明されるのは自社が押印する時です。その時までに貼って消印すれば納付は間に合います。押印を終えてから慌てて貼るより、押印の作業とセットにしておくほうが漏れません。
貼る位置と消印の押し方(誰の印でよいか)
貼る位置に法令上の定めはありません。印紙税法第8条が定めているのは、課税文書に貼り付けること(第1項)と、印紙と文書にまたがるように印を押して誰が消したか分かる状態にすること(第2項。条文の言葉では「彩紋とにかけ、判明に印紙を消す」)だけで、位置についての規定は同法にも印紙税法施行令にも置かれていません。契約書の左上に貼る運用が広まっていますが、これは商慣行であって要件ではありません。
消印に使う印章は、契約書に押した印と同じである必要はありません。国税庁は次のように説明しています。
このように、消印する人は文書の作成者に限られておらず、また、消印は印章でなくても署名でもよいとされているところから、文書の消印は、その文書に押した印でなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印章又は署名であれば、どのようなものでも差し支えありません。
(略)しかし、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たりませんから、消印したことにはなりません。
出典:質疑応答事例《印紙税》印紙の消印の方法|国税庁
(略)例えば、甲と乙とが共同して作成した契約書については、甲と乙の双方が消印しても甲と乙のどちらか1人が消印しても差し支えありません(基通第64条)。
担当者個人の認印でも、氏名や役職名を表示したゴム印・日付印でも、自筆の署名でも構いません。ただし「印」の文字だけを書いたものや斜線、鉛筆による署名は消印になりません。共同で作成した契約書は、当事者のどちらか1人が消印すれば足ります。
収入印紙を買ったときの勘定科目と仕訳
買ってすぐ使う印紙は「租税公課」、買い置きして期末に残っているものは「貯蔵品」として処理するのが実務で一般的な扱いです。これらの科目名を定めた法令はありませんが、法人税法施行令は「消耗品で貯蔵中のもの」を棚卸資産に含めており、未使用の印紙は資産として残る性質のものです。
法人税基本通達2−2−15は、事務用消耗品などで毎期おおむね一定数量を取得し経常的に消費するものについて、取得した事業年度の損金に算入する処理を継続していれば認めるとしています。少量を都度購入して使い切る運用なら、購入時に費用処理して差し支えありません。
出典・参考資料(4件)
貼り忘れ・消印漏れ・貼りすぎが見つかったときの扱い(過怠税と還付)
足りなかった場合は過怠税、多すぎた場合は還付という、逆向きの手当てが用意されています。金額の目安と手続きは次のとおりです。

貼らなかったとき(本来の税額の3倍・自主的に申し出れば1.1倍)
納付すべき印紙税を作成の時までに納めなかった場合、本来の税額の3倍にあたる過怠税が徴収されます。自主的に申し出た場合は1.1倍に軽減されます。
この印紙を貼り付ける方法によって印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合にはその納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
ただし、課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出書(印紙税不納付事実申出書)を提出した場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、納付すべき印紙税の額の1.1倍に軽減されます。
また、「貼り付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。
出典:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁
なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されませんのでご注意ください。
1.1倍が使えるのは、税務調査で指摘されることを見越しての申出ではない場合に限られます。過怠税は損金にも必要経費にも算入できないため、実質的な負担は税額の差以上になります。
印紙税法第20条第4項は、過怠税の合計額が1,000円に満たないときは1,000円とすると定めています。200円の印紙を貼り忘れた場合、3倍にあたる600円ではなく1,000円が徴収されます。
消印を押し忘れたとき(印紙の額面相当額)
印紙を貼っていても、所定の方法で消印していなければ、消されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます。10,000円の印紙を貼って消印を忘れると、10,000円が別途かかる計算です。
前述のとおり、消印は担当者の認印や自筆の署名でも構いません。貼るところまでで作業を止めず、その場で消印まで済ませてください。
多く貼った・契約が流れたときの還付(過誤納)
所定の額を超えて印紙を貼ってしまった場合などは、過誤納金として還付を受けられることがあります。国税庁は対象を3つ挙げています。
- 請負契約書や領収書などの課税文書に貼り付けた収入印紙が過大となっているもの
- 委任契約書などの課税文書に該当しない文書を課税文書と誤認して収入印紙を貼り付けてしまったもの
- 課税文書の用紙に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みのなくなったもの
手続きは「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を納税地の所轄税務署長に提出し、過誤納となっている文書の現物を提示します。還付を請求できる権利は、請求できる日から5年で消滅します。
まだ文書に貼っていない未使用の印紙は、還付ではなく郵便局の交換制度を使います。汚損・き損されていない収入印紙は他の額面と交換でき、手数料は1枚につき5円です。現金には交換できず、消印済みのものや文書から切り離したものは交換の対象になりません。
出典・参考資料(3件)
印紙税とは?課税文書・納税義務者・納付の仕組み
ここまでで実務上の判断はつきます。制度の骨格も整理しておきます。
課税文書とはどういう文書か(3つの要件)
印紙税法第2条は、別表第一の課税物件の欄に掲げる文書に印紙税を課すと定めています。その課税文書の意味は、印紙税法基本通達が次のように定義しています。
第2条 法に規定する「課税文書」とは、課税物件表の課税物件欄に掲げる文書により証されるべき事項(以下「課税事項」という。)が記載され、かつ、当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書のうち、法第5条《非課税文書》の規定により印紙税を課さないこととされる文書以外の文書をいう。
出典:印紙税法基本通達 第2節 文書の意義等 第2条|国税庁
ここから3つの要件が読み取れます。課税物件表に掲げられた事項が記載されていること、当事者間でその事項を証明する目的で作られていること、そして印紙税法第5条によって非課税とされる文書ではないことです。3つすべてを満たして初めて課税文書になります。
誰が納めるのか(作成者・共同作成の場合)
納税義務者は課税文書の作成者です。従業者が会社の業務に関して自分の名義で作成した文書であっても、作成者はその会社になります。
1つの課税文書を2者以上が共同で作成した場合は、印紙税法第3条第2項により連帯して納税義務を負います。ただし印紙税法基本通達第47条は、そのうち1人が納税義務を履行すれば全員の納税義務が消滅するとしています。売買契約書の印紙代を売主と買主で折半するといった取り決めが実務で成り立つのは、この仕組みによるものです。
根拠となる法令(印紙税法・租税特別措置法)と国税庁の一覧表
印紙税の骨格は印紙税法にあり、課税対象は第2条と別表第一、納税義務者は第3条、納付方法は第8条、非課税文書は第5条が定めています。第1号と第2号の軽減措置だけが租税特別措置法第91条という別の法律に置かれています。
税額は国税庁の印紙税額一覧表で確認できます。第1号から第4号までがNo.7140、第5号から第20号まで(第7号・第17号を含む)がNo.7141です。
印紙を貼る方法以外にも、納付の手段はあります。税印による納付、印紙税納付計器による納付、書式表示による申告納付などで、大量に課税文書を作成する事業者向けの仕組みです。
出典・参考資料(4件)
年間の印紙代はいくらか、電子化でどこまで消えるか
1通あたりの額が分かると、次に気になるのは年間でいくら払っているかです。ここからは自社の負担を数える手順と、電子化したときに何が変わるかを整理します。
自社の年間印紙代を数える手順(契約通数 × 号別の税額)
年間の印紙代は、文書の種類ごとに「年間の作成通数 × 1通あたりの税額」を出して合計すれば求められます。金額帯が散らばっている場合は、多い帯を代表にして概算するのではなく、帯ごとに通数を数えてください。
数えるときの起点になるのは、契約書ファイル・請求書の控え・受発注システムの履歴です。第7号の取引基本契約書は新規取引先の数、第2号の注文請書は発注件数、第17号の領収書は現金・振込で受け取った売上の件数と、それぞれ別の帳票から拾えます。
領収書を毎月何十枚も発行している場合、1枚200円でも年間では相応の額になります。領収書は電子で発行すれば印紙が不要になり、後述する電子契約システムとは別の、領収書の発行に特化したサービスがあります。発行方法や電子帳簿保存法への対応まで含めて検討したい場合は、以下の記事をご覧ください。
契約書を2通作成している文書は、通数を2倍にして数えます。原本と写しの扱いを見直せば、印紙代を半分にできる余地がある文書も見つかります。
電子化しても紙が残るケース
電子データのまま作成・交付すれば印紙税はかかりません。ただし、社内のすべての文書が一度に電子に移るわけではないため、数えた通数のうち何通が実際に消えるかは分けて見積もる必要があります。
電子契約は相手方の合意がなければ成立しません。取引先が紙の原本を求める場合は従来どおり紙で作成し、印紙を貼ることになります。官公庁との契約や、社内規程で紙の保管を求めている文書も同様です。
電子で締結したものを紙に戻す運用が残っていると、印紙代も戻ってきます。契約書を印刷して製本し、改めて押印して取引先に渡す社内フローが生きていないかを、通数を数えるついでに確認してください。
もう1つ、電子化すると新たに生じる義務があります。電子取引を行った場合、その取引情報に係る電磁的記録の保存が電子帳簿保存法第7条で義務づけられています。
同法施行規則第4条第1項は、改ざん防止の措置として次のいずれかを求めています。タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るか訂正・削除ができないシステムの使用、正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程の備え付けです。
この保存要件に対応した仕組みを持つ電子契約サービスを選べば、印紙代の削減と保存義務への対応を同時に進められます。
出典・参考資料(2件)
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印紙代そのものをなくす選択肢:電子契約システム
電子契約システムは、契約書のアップロードから署名・タイムスタンプの付与、保管までをオンラインで完結させるサービスです。紙を作らないため印紙税がかからず、印刷・製本・郵送の手間も減ります。
選ぶときに見るべきなのは、自社の契約通数に対して費用がどう積み上がるかです。月額固定費がかかる体系と、月額0円で送信のたびに課金される体系では、年に数通の会社と月に数十通の会社で有利さが逆転します。前章で数えた通数と1通あたりの印紙代を、月額と送信料に突き合わせてください。
署名方式も確認しておきたい点です。メール認証で相手方の負担が軽い立会人型と、電子証明書で本人性を厳格に担保する当事者型があり、不動産の譲渡契約や高額の工事請負契約では後者が求められることがあります。
印紙代の大きい契約ほど、どちらの方式で締結すべきかが問題になります。2つの方式で法的効力にどのような差があり、どちらを選べばよいかは、以下の記事で詳しく解説しています。
印紙代の削減を検討しやすい電子契約システムの比較
以下は、契約通数から費用を積み上げやすい電子契約システムの比較表です。
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン | WAN-Sign | ベクターサイン | BtoBプラットフォーム契約書 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額費用(税抜) | 0円(フリープラン) 有料プランは11,000円〜 | 0円(お試しフリープラン) 有料プランは8,800円〜(年間契約) | 0円(基本プラン) 月額固定の有料プランなし | 0円(基本サービス) 有料プランは1,200円〜(5通込み) | 0円(フリープラン) 有料プランは10,000円〜 |
| 無料枠(月あたりの送信件数) | 月2件 (フリープラン・1ユーザー) | 月5件 (1ユーザー・立会人型のみ) | 立会人型 月10件 当事者型 月3件 (それぞれ別枠) | なし (送信は都度課金) | 月5件 (電子保管は月3件・ユーザー数無制限) |
| 1通あたりの送信料(税抜) | 220円 (有料プラン) | 立会人型 100円 当事者型 300円 | 立会人型 100円 当事者型 300円 (立会人型は無料枠を超えた月の全件が課金対象) | 400円 (有料プランは通数込み) | 通常署名 100円 長期署名 200円 (有料プラン) |
| 署名方式 | 立会人型(標準) 当事者型(マイナンバーカード署名) | 立会人型・当事者型 (ハイブリッド署名も可) 当事者型の電子証明書は2枚目以降 年8,000円(税抜) | 立会人型・当事者型 (ハイブリッド版も可) 当事者型の電子証明書は1署名者 年8,000円(税抜) | 要お問い合わせ (公式に立会人型・当事者型の区分の記載なし) | 立会人型(事業者署名型) |
| 取引先の登録・費用 | 要お問い合わせ | アカウント・電子証明書とも不要 (ハイブリッド署名時) | 要お問い合わせ | アカウント登録・費用負担とも不要 | 無料で利用可 |
| 電子帳簿保存法への対応 | ●有料プランは検索要件まで対応。フリープランは利用者側の個別対応が必要 | ●JIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証)を取得(契約印&実印プラン向け。無料プランが範囲に含まれるかは公式に記載なし) | ●JIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証)を取得(令和5年改正法令基準)。プラン共通の機能として訴求 | ●公式サイトに対応の記載あり | ●公式サイトに対応の記載あり |
| 導入実績 | 導入250万社以上 累計送信4,000万件超(2024年度) | 導入350万社以上(2026年3月末) 累計送信5,000万件超 | 4,000社以上 (官公庁・金融機関ほか。運営会社の公表値) | 公表なし | BtoBプラットフォーム全体で115万社以上(2025年5月) 契約書単独の社数は非公表 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
※2026年8月時点の各社公式サイトの公表情報に基づきます。最新の料金・プランは各社の資料と公式サイトでご確認ください。
1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

弁護士ドットコム株式会社が2015年から提供している電子契約サービスで、公式トップページによると導入社数は250万社以上、累計送信件数は4,000万件を超えています(2024年度実績)。
電子契約は相手方が応じなければ成立しないため、取引先が既にアカウントを持っている可能性は切り替えのしやすさに直結します。導入規模の大きさは、その見込みを立てる材料になります。
費用は、月額0円のフリープラン(送信月2件まで・1ユーザー)と、月額11,000円(税抜)のLightプラン以上の有料プランに分かれ、有料プランの送信料は1件220円(税抜)です。年に数通しか契約を交わさない会社なら、フリープランの枠内で印紙代がそのまま消えます。標準の署名方式は立会人型で、重要な契約向けにマイナンバーカードを用いた当事者型署名にも対応しています。
2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方を1つのプラットフォームで使い分けられ、自社側は当事者型・相手方は立会人型というハイブリッド署名にも対応します。相手方に電子証明書を用意してもらう必要がないため、本人性を厳格にしたい契約でも切り替えを進めやすい設計です。
費用は、月額0円のお試しフリープラン(送信月5件まで・1ユーザー・立会人型のみ)と、年間契約なら月額8,800円(税抜。税込9,680円)のライトプラン以上に分かれます。送信料は全有料プラン共通で、立会人型が1件100円、当事者型が1件300円です(いずれも税抜)。当事者型の電子証明書は1枚目が無料で、2枚目以降は年間8,000円(税込8,800円)かかります。
2021年10月には、デジタル庁・法務省・財務省の3省庁から、グレーゾーン解消制度を活用した照会への回答として、立会人型・当事者型の署名が記名押印に代わる有効な電子署名として適法性を有することの確認を得ています。国の契約事務を念頭に置いた回答ですが、社内や取引先から法的な扱いを問われたときに示せる材料になります。
3. WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ)

文書保管を本業とする株式会社NXワンビシアーカイブズが、GMOグローバルサイン株式会社と共同開発した電子契約・契約管理サービスです。初期費用・月額固定費が0円の基本プランに主要機能が標準搭載され、署名方式ごとに無料枠と従量単価が設定されています。
無料枠は立会人型(認印版)が月10件、当事者型(実印版)が月3件で、それぞれ独立して月単位でリセットされます。単価は立会人型が1件100円、当事者型が1件300円(いずれも税抜)です。
注意したいのは課金の考え方です。立会人型は無料枠を超えた月に、その月の送信が全件課金対象になります。公式サイトは「認印版を11件ご利用の場合は、100円ではなく1,100円がかかります」と説明しており、超過分だけの差分課金ではありません。当事者型を使う場合は1署名者につき年間8,000円(税抜)の電子証明書発行料も別途かかります。ユーザー数は基本プランでも無制限です。
紙の原本を情報管理センターで保管するサービスと組み合わせられる点は、すべての契約を一度に電子化できない移行期に向きます。電子契約と紙の契約書を同じ画面で管理でき、電子取引データの保存についてはJIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証)を取得しています。
4. ベクターサイン(株式会社ベクター)

ソフトウェアダウンロードサイト「Vector」を運営するベクターグループのサービスで、2025年に「みんなの電子署名」を統合した後継にあたります。基本料金0円・文書保管料0円で、送信した分だけ課金される都度払いが基本の体系です。
都度払いの単価は1通400円(税抜。税込440円)で、無料の送信枠はありません。そのぶん「この契約書の印紙代1,000円に対して送信料440円」というように、1通単位で印紙代と直接比べられます。
年に数通しか契約を交わさない会社が、固定費を払ってまで電子化する意味があるかを判断しやすい形です。まとまった通数を送るなら、月5通1,200円(税抜。税込1,320円)からの定額プランで1通あたりの単価を下げられます。
ユーザー数と文書の保管数はいずれも無制限で、公式サイトには相手先のアカウント登録や費用負担が一切ない旨が明記されています。取引先に電子化を持ちかけるときの障壁が低い点は、切り替えを進めるうえで効いてきます。
5. BtoBプラットフォーム契約書(株式会社インフォマート)

株式会社インフォマートが運営する企業間取引基盤「BtoBプラットフォーム」の契約書サービスです。同じ基盤上に請求書・受発注のサービスがあり、契約書だけでなく注文請書や領収書まで含めて紙のやり取りを見直せます。
印紙税がかかるのは契約書だけではありません。注文請書は第2号文書、領収書は第17号文書として課税されるため、どの帳票まで電子に移せるかで消える印紙代の範囲が変わります。受発注や請求まで同じ基盤に乗せられる構成は、その射程を広げやすい選択肢です。
費用は、月額0円のフリープラン(契約締結5件/月・自社保管3件/月・ユーザー数無制限)と、月額10,000円(税抜)からのシルバープラン以上に分かれます。有料プランの署名料は通常署名が1通100円、長期署名が1通200円です(いずれも税抜)。署名方式は事業者署名型(立会人型)で、取引先は無料で利用できると公式サイトに明記されています。
ここで取り上げたのは、印紙代と費用を1通単位で比べやすいサービスです。電子契約システムはこのほかにも多く、ワークフローや基幹システムとの連携、契約書の保管機能まで含めて選ぶ場面もあります。料金体系やタイプごとの向き不向きを横断して比べたい場合は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
印紙税額は、文書の種類(号)と記載金額の2つで決まります。第1号と第2号は金額の刻みが違い、第7号は記載金額にかかわらず1通4,000円、第17号は受取金額5万円未満なら非課税です。不動産譲渡契約書と建設工事請負契約書は2027年3月31日までに作成されるものに軽減措置が適用されます。
貼り忘れると本来の税額の3倍、消印を忘れると印紙の額面と同額の過怠税がかかり、いずれも損金に算入できません。逆に貼りすぎた場合や契約が流れた場合は、5年以内なら還付を受けられます。判断に迷う文書は所轄の税務署に確認してください。
そのうえで、契約のたびに印紙を買って貼る作業そのものを見直したい場合は、まず自社の年間の契約通数と号別の税額から印紙代の総額を出してみましょう。電子契約に切り替えれば紙を作らないぶんの印紙税はかからなくなります。
MCB FinTechカタログでは、電子契約システムの資料を無料で一括請求できます。印紙代の総額とサービスの月額・送信料を並べて、自社に合う進め方を検討してください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 印紙税とは何ですか?
A. 印紙税とは、契約書や領収書など、印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられた文書(課税文書)を作成したときにかかる国税です。税額は文書の種類(第1号・第2号・第7号・第17号など)と記載された金額の組み合わせで決まり、原則としてその額の収入印紙を文書に貼り付け、消印する方法で納付します。課税されるのは紙で作成して相手方に交付した文書で、電磁的記録は印紙税法上の文書に含まれません。
Q. 印紙税は記載金額がいくらから必要になりますか?
A. 印紙税が必要になる金額は文書の種類ごとに異なり、契約書(第1号・第2号)は記載された契約金額が1万円以上、領収書・受取書(第17号)は受取金額が5万円以上から課税されます。
ただし継続的取引の基本となる契約書(第7号)は記載金額にかかわらず1通4,000円で、金額の下限はありません。第1号・第2号でも、課税物件表の適用に関する通則3のイによって第7号から所属が移った文書は、契約金額が1万円未満でも非課税になりません。
Q. 印紙税の記載金額は税込金額と税抜金額のどちらで判定しますか?
A. 印紙税の記載金額は、消費税額等を区分して記載していれば税抜きの金額で判定されます。国税庁は、売上代金の領収書に「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と記載した場合、記載金額は48,000円となり5万円未満なので非課税になるという例を示しています。
ただし、この取扱いが使えるのは第1号・第2号・第17号の3種類の文書に限られ、免税事業者には適用がありません。「消費税額等10パーセントを含む。」「請負金額1,100万円(税込)」のような書き方では消費税額等が明らかとはいえず、税込みの金額で判定されます。
出典・参考資料(1件)
Q. 収入印紙を貼っていない契約書は無効になりますか?
A. 収入印紙を貼っていないことによって、契約書そのものが無効になるわけではありません。印紙税法が定めているのは、納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納めなかった場合に過怠税が徴収されることであって、契約の成立や効力を左右する規定は置かれていないためです。
ただし納税義務そのものは残ります。貼り忘れに気づいた場合、税務調査で指摘される前に所轄税務署長へ印紙税不納付事実申出書を提出すれば、過怠税は本来の税額の3倍ではなく1.1倍に軽減されます。
Q. 印紙税は契約当事者のどちらが負担するのですか?
A. 1つの契約書を2者以上が共同で作成した場合、印紙税の納税義務は当事者が連帯して負い、実際にどちらがいくら負担するかは当事者間の取り決めに委ねられます。
印紙税法第3条第2項が共同作成者の連帯納税義務を定める一方、印紙税法基本通達第47条は、そのうち1人が納税義務を履行すれば全員の納税義務が消滅するとしているためです。不動産の売買契約書で売主と買主が印紙代を折半する運用が成り立つのは、この仕組みによるものです。
Q. 電子契約で締結した契約書に印紙税はかかりませんか?
A. 電子データのまま作成して相手方に送った契約書には、契約金額の大小にかかわらず印紙税はかかりません。国税庁は質疑応答事例で、印紙税の課税対象は課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり電磁的記録は文書に含まれない、と示しています。
気をつけたいのは紙に戻したときです。受け取った電子契約を自社で印刷しただけの紙は写しにすぎず課税されませんが、印刷した紙に改めて署名押印して相手方に交付すると、その紙が新たな課税文書になります。
出典・参考資料(3件)
Q. 契約書をFAXや電子メールで送った場合、収入印紙は必要ですか?
A. 紙の正本を自社に残したままFAXや電子メールで送っただけであれば、その送信について収入印紙は必要ありません。国税庁は、ファックスや電子メール等により送信する場合は正本等が送付元に保存され送付先には交付されておらず、送付先で出力された文書は写しと同様であるため課税対象にならない、としています。
ただし、出力した紙に契約当事者の署名押印を加えたものや、原本と相違ない旨の証明を付けたものは課税文書に該当します。手元に残した紙の正本自体が課税文書であれば、そちらには所定の印紙が必要です。
Q. 収入印紙はどこで買えますか。コンビニでも購入できますか?
A. 収入印紙は、郵便局と、日本郵便から委託を受けた郵便切手類販売所・印紙売りさばき所で購入できます。コンビニエンスストアや法務局内の売店で買える場合があるのは、その店舗がこれらの販売所として選定されているためで、法令が店舗の業態を指定しているわけではありません。
Q. 収入印紙の消印とは何ですか。押し忘れるとどうなりますか?
A. 消印とは、貼り付けた収入印紙と文書にまたがるように印章を押すか署名し、印紙を再使用できないようにする手続きで、押し忘れると消されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます。印紙税法第8条第2項が、課税文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消すことを義務づけています。
使う印章は契約書に押した印と同じである必要はなく、作成者・代理人・使用人・従業者の印章または署名であれば足ります。
Q. 印紙税を合法的に減らす方法はありますか?
A. 印紙税を減らす手立てとして実務で使えるのは、契約書や領収書を電子データで作成・交付する、クレジットカード決済に切り替える、消費税額等を区分して記載する、原本の作成通数を見直すの4つです。
電子契約は紙を作らないため課税されません。クレジット販売の場合の領収書は金銭または有価証券の受領事実がないため第17号の1文書に該当しませんが、カード利用である旨を領収書に記載しないと第17号の1文書として印紙が必要になります。
消費税額等は、税抜額と分けて記載すれば記載金額に含まれません(第1号・第2号・第17号のみ)。契約書を2通作れば2通分の印紙がかかるので、一方が原本を持ち、他方は署名押印も原本証明もない単なるコピーを持つ運用にすれば1通分で済みます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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