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EPM(企業業績管理)システムとは?機能・ERPや予算管理システムとの違い・導入のポイントを解説

EPM(企業業績管理)システムとは?機能・ERP や予算管理システムとの違い・導入のポイントを解説のサムネイル画像

予算編成・予実管理・連結決算・KPI管理をExcelで回しきれず、担当者が自ら見直しを検討したり、上司や経営陣から「経営管理をシステム化したい」と相談を受けたりしたとき、まず候補として名前が挙がるのが「EPM」です。

ただ、EPMはERPやBI、予算管理システムと領域が重なる部分もあり、「結局どんなシステムか」「自社のどの業務に効くのか」がつかみにくい用語でもあります。Web検索でも「Enterprise Performance Management(企業業績管理)」と「Enterprise Project Management(プロジェクト管理)」の二つの意味が並んで表示され、読み進めるほど混乱しがちです。

本記事では、主流の定義である企業業績管理としてのEPMを軸に、機能領域・ERPやBI・予算管理システムとの違い・代表的な製品・導入の始め方までを一度に整理します。フルスコープを1社で担う外資製品と、予算管理から段階的に広げていく国産製品の両方を並べ、自社が最初に着手すべき領域を判断できる粒度で解説します。

この記事を読むとわかること
  • EPM(Enterprise Performance Management)の定義と、業務プロジェクト管理系EPMとの切り分け
  • EPMシステムがカバーする6つの機能領域と、それぞれの成果物
  • EPM・ERP・BI・予算管理システムの役割の違いと補完関係
  • 代表的なEPM製品(外資フルスコープ型と国産予算管理系)の顔ぶれ
  • 予算管理領域から段階的にEPMを導入する現実的な進め方
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EPM(Enterprise Performance Management)システムとは

EPMシステムとは、Enterprise Performance Management(企業業績管理/経営管理)の略で、予算編成・予実管理・予測・連結会計・経営レポーティングといった経営管理業務を統合的に支援するソフトウェアの総称です。財務部門を中心に、事業計画から実績分析、経営陣への報告までを一つのプラットフォーム上で回すことを目的としています。

Oracleは公式ページで、EPMを「ビジネス業績の計画、予算策定、予測、報告、財務結果の統合と確定(決算)を支援するプロセス」と説明しています。Workdayやコンサルティングファームのデロイト トーマツも表現の違いはあれ、日常業務を全社的な戦略と長期的な目標に一致させ、経営指標のPDCA循環をシステムで支える点を共通の目的としています。

Enterprise Performance Management(EPM)ソフトウェアは、ビジネスの分析、理解、およびレポートに役立ちます。EPMは、組織を支援するために設計されたプロセスを指します。具体的には、ビジネス業績の 計画、予算策定、予測、 および 報告 のほか、 財務結果を統合して確定します (通常、「決算」と呼ばれるものです)。

出典:EPMとは|日本オラクル

本記事はこの主流定義(企業業績管理としてのEPM)を軸に説明を進めます。ただし、EPMという略語には別の意味も併存しており、検索結果上でも定義が食い違うことがあるため、先に切り分けておきます。

出典・参考資料(3件)

EPMには2つの意味がある:「企業業績管理」と「プロジェクト管理」の切り分け

EPMという略語は、業界や執筆者によって次の2つのどちらかを指す場合があります。本記事が扱うのは前者(Enterprise Performance Management=企業業績管理)ですが、検索結果には両者が混在するため、最初に切り分けを可視化しておきます。

略語の意味訳語目的主な管理対象
Enterprise Performance Management(本記事が扱う主流定義)企業業績管理/経営管理予算・実績・予測など業績数値を管理・分析し、経営目標の達成を支援する売上・利益・コストなどの財務指標、KPI
Enterprise Project Managementエンタープライズプロジェクト管理全社のプロジェクトを統合管理し、経営資源を最適化する製品開発・システム導入・業務改善などのプロジェクト

システムインテグレータの解説では、この2つを「全く異なる概念」として比較表で並置しています。解説サイトによっては「Enterprise Project Management」の意味で用いる例もあります。

一方でOracle・Workday・Deloitte・Infor・クラウドERP実践ポータルなどはEnterprise Performance Managementで揃っており、同じ略語で意味が分岐しているのが実情です。

予算編成・予実管理・連結決算といった経営管理業務を扱いたい場合の「EPM」は、企業業績管理側です。以降の本記事はすべてこの意味で用います。プロジェクト管理側のEPM(PPM=プロジェクトポートフォリオ管理と近接する領域)は本記事の範囲外とし、必要な方は別の解説をあたってください。

出典・参考資料(2件)

EPMシステムでできること(機能領域と成果物)

EPMがカバーする機能領域は、ベンダーによって呼び方が異なります。Oracle・Workday・Infor・SAPなど主要ベンダーの公式ページで共通して挙げられているのは予算編成/予測・シナリオモデリング/連結会計/管理会計・KPIモニタリング/経営ダッシュボード/財務レポート・開示の6領域です。

各領域の「何を成果物として得られるか」「Excel運用と何が違うか」を並べると、自社のどの業務にEPMが当たるかを見立てやすくなります。

機能領域得られる成果物Excel運用との違い
予算編成部門・拠点・子会社を横断した年度/月次予算、複数バージョンの計画各部門から集めたブックの結合や名寄せが不要になり、締切内での意思決定が可能
予測・シナリオモデリング着地見込み、感応度分析、複数シナリオ(強気/中立/弱気など)の並列モデル数式リンクが壊れる不安なく、前提を切り替えて即座に結果を得られる
連結会計グループ会社の合算・消去仕訳・多通貨換算後の連結財務諸表子会社の締めを待つ間の手作業や、連結パッケージのExcel回収が減る
管理会計・KPIモニタリング部門・事業・製品別の損益、非財務KPI(受注件数・稼働率など)の実績財務指標とKPIを同じ画面で追え、原因分析までドリルダウンできる
経営ダッシュボード経営陣向けの主要指標可視化、アラート、承認フロー報告資料の配布・更新のたびにExcelを添付する運用から脱却できる
財務レポート・開示月次・四半期・年次の財務レポート、有価証券報告書向けのデータ集約報告様式ごとの再加工が不要になり、監査対応の証跡も残る

InforはEPMを、計画・予算編成・予測・連結会計・シナリオ分析をシームレスに実現する完全統合型ソリューションと説明しており、Workdayは機能を「統合ダッシュボード/予測分析/シナリオモデリング/クラウドベースのアクセス」の4本柱で示しています。呼び方は異なっても、複数の計画・実績データを一つのモデルで扱うという設計思想は共通です。

デロイト トーマツは、EPMを「データ層/アプリケーション層/プレゼンテーション層」の3層構造で捉える枠組みを提示しています。実績データを取り込む層、業務プロセスを実行する層、KPI・レポートで見せる層が一つのプラットフォーム上でつながっているため、Excelで別々に管理していた指標が矛盾なく整合するのがEPMの強みです。

出典・参考資料(3件)

4ツールの役割整理|EPMとERP・BI・予算管理システムの違い

EPMを社内で説明するとき、必ず突っ込まれるのが「ERPやBIと何が違うのか」です。加えて、すでに予算管理システムを検討している方はそれとの関係も気になるはずです。ここでは4つのツールを対象領域・時間軸・使う人・主な出力で並列に比較します。

ツール対象領域時間軸主な使い手主な出力
EPM(企業業績管理)予算・予測・実績・連結・KPIの統合管理過去・現在・未来(計画〜実績〜見込みまで)経営企画・財務・経営陣予算書、予実分析、経営ダッシュボード、連結財務諸表
ERP(基幹業務システム)会計・販売・在庫・人事などの日常取引処理過去・現在(実績データ中心)各部門の業務担当仕訳、伝票、取引データ、決算残高
BI(ビジネスインテリジェンス)データの可視化・多次元分析過去・現在(分析対象は主に実績)データ分析担当、事業部門のマネージャーダッシュボード、レポート、アドホック分析
予算管理システム予算編成・予実管理・見込み管理現在・未来(予算・見込みが中心)経営企画・財務、事業部門の予算責任者予算書、予実比較レポート、着地見込み

4つのツールは対立関係ではなく補完関係にあります。ERPは実績データの記録層、BIは可視化・分析層、EPMは計画と実績のPDCAを回す層、予算管理システムはEPMの予算編成領域を切り出して深く担う層という位置づけです。

Oracleは「ERPは日々の取引を行う業務運営に関するものであり、一方でEPMはビジネスの分析・理解・レポートなどの管理に関するもの」と切り分けています。Workdayも「ERPが日常業務の『処理方法』を重視するプロセスであるのに対し、EPMは継続的に『理由』と長期的な『次の方向性』を検討するためのプロセス」と説明しており、記録型のERPと計画型のEPMという対比は業界で共通しています。

BIとの違いについては、クラウドERP実践ポータルが、BIは情報システム側の分析ツールでデータをどう収集しそして可視化するかを扱うのに対し、EPMは組織の経営管理プロセスをいかに支えるかを中心にしており、経営陣や経理部門などビジネス側のユーザーを想定していると整理しています。BIが「見せる」ことを主目的とするのに対し、EPMは「計画を立てて回す」ことを目的とする点が本質的な違いです。

BI側の製品比較を掘り下げたい場合は、以下の記事で主要31製品を4タイプ別に整理しています。EPMと組み合わせて可視化・分析基盤を検討している方の参考にもなります。

予算管理システムは、EPMの機能領域のうち予算編成・予実管理に特化した製品群を指します。フルスコープのEPMが「予算・連結・KPI・レポートを一体で扱う」のに対し、予算管理システムは「まず予算領域だけを厚く整備する」用途で選ばれます。日本の中堅企業では、フルスコープの導入が難しく、予算管理システムから段階的にEPMへ広げていくアプローチが一般的です。

出典・参考資料(3件)

主要なEPM製品の顔ぶれ(外資フルスコープ型と国産予算管理系)

日本市場で「EPM」の候補として名前が挙がる製品は、大きくフルスコープ(予算・予測・連結・KPI・レポートを1製品で提供)を志向する外資型と、予算管理領域から段階的に広げる国産型の2種類に分かれます。まずは名前だけでも一望しておくと、自社に合う型がつかみやすくなります。

外資フルスコープ型(Oracle・SAP・Workday・Anaplanなど)

大企業・グローバル企業がまず候補に挙げる外資勢は、予算編成から連結会計、開示レポーティングまでを一つのプラットフォームでカバーする設計を採ります。日本市場で代表的な製品名は次のとおりです。

  • Oracle Cloud EPM(日本オラクル):Planning・Financial Consolidation and Close・Tax Reporting・Narrative Reportingなど複数モジュールで構成される統合スイート
  • SAP Analytics Cloud for Planning(SAPジャパン):旧SAP BPCの後継として、財務計画・予算管理領域の主力に位置づけられるクラウドEPM
  • Workday Adaptive Planning(ワークデイ):予算編成・予測・シナリオモデリングをクラウドで完結させるEPM
  • Anaplan(Anaplan Japan):財務・営業・SCM・人事を横断する「Connected Planning」を提唱するプラットフォーム
  • Board(BOARD Japan):EPMとBIを単一プラットフォームに統合し、「Continuous Planning(常時稼働の継続的計画)」を提唱するプラットフォーム
  • CCH Tagetik(Wolters Kluwer/国内はSCSKやTIS等のパートナー):連結会計と予算計画に強みを持つ統合CPMプラットフォーム
  • Jedox(ドイツJedox/国内はプライム・KSK-Knot・テクマトリックス等の代理店):ExcelライクUIを備えたFP&EPMプラットフォーム
  • Infor EPM(インフォアジャパン):財務計画・予算・連結・レポートを4区分で統合的に提供する外資フルスコープ型
  • IBM Planning Analytics(日本アイ・ビー・エム):TM1エンジンを基盤とする大企業向けの計画・分析プラットフォーム

いずれもグローバル本社の製品を日本法人や国内SIパートナーが提供する形が中心で、導入規模も大企業・グローバル連結中心です。各製品の詳細は本記事後段の個別紹介で扱います。

国産予算管理系(DIGGLE・Loglass・Manageboardなど)

中堅企業や成長期のスタートアップが選ぶ国産勢は、まず予算管理領域を厚く整備し、そこから経営管理の周辺領域へ広げる設計を採ります。日本市場での代表的な製品名は次のとおりです。

  • X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ):クラウド型のKPI・予実管理ツール
  • DIGGLE(DIGGLE株式会社):予算・実績・見込みをクラウドで一元管理する予実管理特化SaaS
  • Scale Cloud(株式会社Scale Cloud):PLとKPIを接続して管理する「Connected Planning」志向のクラウド
  • Loglass 経営管理(株式会社ログラス):予算策定から予実管理・多軸分析までを一気通貫で扱う経営管理クラウド
  • Manageboard(マネーフォワードコンサルティング株式会社/マネーフォワードグループ、旧 株式会社ナレッジラボ):財務三表からKPIまでを一元管理する予算管理・経営管理プラットフォーム
  • Sactona(アウトルックコンサルティング):中堅〜大企業向けの経営管理システムを提供する国内ベンダーの一つ
  • fusion place(株式会社フュージョンズ):予算編成・連結・レポーティングまで対応する国産の経営管理プラットフォーム

国産勢は「まず予算・予実の可視化から始め、必要に応じて連結や配賦へ広げる」段階導入がしやすく、Excel運用からの移行コストを抑えやすい特徴があります。本記事の後段では代表的なサービスを個別に紹介します。

EPMと重なる領域を「経営管理システム」の枠で整理した比較記事もあります。予実管理・連結会計・ERPのタイプ別に主要28サービスを並べており、ここまでに挙げたEPM製品と重複する候補が多く含まれるため、カテゴリ名の違いで見落としがちな選択肢まで視野を広げたい方に役立ちます。

費用感の桁も型によって開きます。外資フルスコープ型はライセンス費用が非公開の見積制で、SIパートナーによる要件定義・モデル構築を前提とするため、規模やモジュール構成によって総額が大きく変動します。

一方、国産予算管理系のSaaSは月額10万円〜数十万円クラスから始められる製品が公表されており、1〜2領域を試したい段階でも投資対効果を説明しやすい価格帯にあります。個別の料金感は本記事後段の比較表で整理します。

EPMを導入するメリット(Excel運用から何が変わるか)

EPMシステムを導入すると、Excel中心の経営管理業務が具体的にどう変わるのか。ここでは主要ベンダーが公式サイトや事例で共通して挙げる効果を、Excel運用との対比で整理します。

まず大きいのは、予算編成期間の短縮です。Excel運用では、各部門・子会社から集めたブックを結合し、勘定科目や部門コードの表記ゆれを名寄せする作業に多くの工数がかかります。EPMでは各拠点が同じ画面から予算を入力し、集計・突合が自動で走るため、締切内での意思決定に時間を回せるようになります。

次に、データ一元化による経営判断の迅速化があります。EPMは会計システム(ERP)から実績データを自動連携し、予算・実績・見込みを同一プラットフォーム上で扱います。Workdayは「継続的に『理由』と長期的な『次の方向性』を検討するためのプロセス」としてEPMを位置づけており、実績を眺めるだけでなく、次のアクションを議論する土台になります。

3つ目に、シナリオ分析による不確実性への対応が挙げられます。複数の売上前提・コスト前提を並列でモデル化し、前提を切り替えて即座に着地見込みを比較できます。Excelで数式リンクを組み替える運用と違い、モデルの破損リスクなくシナリオを回せるようになります。

4つ目として、部門横断の数値ガバナンスの確立があります。EPMではマスターデータ(勘定科目・部門・製品)が一元管理されるため、事業部と経営企画で集計基準がずれる不整合が起きにくくなります。デロイト トーマツも「データ層→アプリケーション層を通じてすべてのデータがプラットフォーム上で繋がっていますから、重要経営指標やKPIはEPM内で矛盾なく完全に整合します」と説明しています。

最後に、経営陣とのコミュニケーション改善が続きます。経営ダッシュボードやドリルダウン分析により、経営会議の場で「なぜこの数字か」を即座に説明でき、実績を眺めるだけの報告から次のアクションを議論する場へと会議の性質が変わります。

参考事例として、Inforは欧州最古の高級ホテルグループKempinski Hotelsが同社のEPMを導入し、「財務の可視性が向上したことで、従業員はより戦略的かつ情報に基づいた意思決定を行えるようになった」ことを公式サイトで紹介しています。

これらの効果は一朝一夕で得られるものではなく、業務プロセスの見直しやマスターデータの整備が前提です。だからこそ、次章で説明する「どこから始めるか」の判断が重要になります。

出典・参考資料(3件)
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EPMの導入は予算管理領域から始めるのが現実的(段階導入の進め方)

EPMをフルスコープで一気に導入する例は、実務ではむしろ少数派です。予算編成・予測・連結・KPI・レポートの全領域を同時に稼働させるには、業務プロセスの整備・マスターデータの統一・現場の運用定着まで一度に進める必要があり、負荷が大きくなりすぎるためです。

Workdayも公式サイトで「EPMソフトウェアを組織全体で一度に導入しようとすると、混乱が発生して社員の負荷が高くなる可能性があります。段階的に導入すると、リスクを最小限に抑えながら、徐々に新しいソフトウェアに適応できるようになります」と述べ、範囲を絞り込んで始めることを推奨しています。

範囲を絞り込んで始める: 最初は、特定の部門や業務 (財務計画に関する業務など) に対象を絞り込んでシステムをテストし、プロセスを改善しながら対象範囲を広げていきます。

出典:企業パフォーマンス管理とは|Workday 日本

日本の中堅企業の実務では、予算管理領域から着手するのが現実的です。理由は3つあります。

第一に、予算管理はExcelの限界が最も顕在化している領域です。各部門から集めたブックの結合、勘定科目・部門コードの表記ゆれ、複数バージョン管理、承認フローの追跡など、属人化が起きやすく、担当者交代のたびに再構築が発生します。ここをシステム化する効果は目に見えて大きく、社内での投資対効果の説明もしやすい領域です。

第二に、連結会計・KPIモニタリング・経営レポーティングといった周辺領域は、予算実績データの整流化が前提になります。予算・実績のマスターデータ(勘定科目・部門・製品)が揃っていなければ、その上に載る連結やKPIも精度が上がらないため、まず予算管理の器を作るのが順序として自然です。

第三に、予算管理領域は国内SaaSの選択肢が豊富で、月額利用料で始められる製品が揃っています。フルスコープの外資EPMと比べて初期導入の負荷とコストが小さく、成功体験を積んでから次の領域(連結・KPI・レポーティング)へ広げていくアプローチを取れます。

本記事の後段では、この「予算管理から始める段階導入」の受け皿として、カタログに掲載されている予算管理システム掲載サービスを個別に紹介します。自社の課題と照らし合わせながら、最初の一歩を検討してみてください。

予算管理システムそのものの選び方・料金・機能を体系的に押さえたい方は、以下の記事で主要19サービスをタイプ別に整理しています。EPMの第一歩として予算管理システムを本格的に比較検討する段階では、あわせてご参照ください。

【比較表】本記事で紹介したEPM製品の一覧比較

ここまで紹介したEPM主要製品を横並びで比較します。国産予算管理系5製品と外資フルスコープ型9製品を、料金・対応規模・主要機能などの観点でまとめました。

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サービス名X-KPIDIGGLEScale CloudLoglass 経営管理ManageboardOracle Cloud EPMWorkday Adaptive PlanningAnaplanBoardCCH TagetikJedoxSAP Analytics Cloud for PlanningInfor EPMIBM Planning Analytics
提供元株式会社パブリックアイデンティティ
(日本経済社グループ)
DIGGLE株式会社株式会社Scale Cloud株式会社ログラスマネーフォワードコンサルティング株式会社
(マネーフォワードグループ/旧 株式会社ナレッジラボ)
日本オラクル株式会社ワークデイ株式会社Anaplan Japan株式会社BOARD Japan株式会社Wolters Kluwer
(国内: SCSK株式会社ほか)
Jedox GmbH
(国内: プライム/KSK-Knot/テクマトリックス)
SAPジャパン株式会社インフォアジャパン株式会社日本アイ・ビー・エム株式会社
タイプ国産予算管理系国産予算管理系国産予算管理系国産予算管理系国産予算管理系外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型外資フルスコープ型
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)/オンプレミスクラウド(SaaS、ハイブリッド対応)クラウド(国内は複数の販売代理店経由)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)オンプレミス/IBM Cloud(SaaS)/AWS/Cloud Pak for Data
主要機能領域KPI・予実管理/予実差の自動検知とチャット通知/ノーコードでのダッシュボード設計予算策定・予実突合・見込管理・レポーティングを一気通貫/会計システムとのAPI連携PL・BS・CFと先行/結果KPIを接続したモデリング/KPI積み上げ方式での予算作成/Salesforce等とのAPI連携予算策定・予実管理・配賦・計算科目・多軸分析・連結対応まで一気通貫(累計導入社数No.1を訴求)予算編成・予実管理・着地見込み/財務三表とKPIをドリルダウン連動/MFクラウド会計・freee等とAPI連携予算編成・連結(FCCS)・勘定照合・原価/収益性分析・税務・開示・マスター管理をモジュール構成で提供財務計画・人員計画・オペレーション計画・連結処理/無制限のWhat-Ifシナリオ・バージョン財務・営業・SCM・人事を横断するConnected Planning/統計・ML・生成AIによる予測とシナリオ分析EPM(予算・計画・予測)+BI(多次元分析・ダッシュボード)を単一プラットフォームに統合予算管理・連結会計・開示/報告を単一プラットフォームで一気通貫/Excelフロントエンド対応FP&A/EPM/BIを統合/ExcelライクUI・ノーコードETL(Jedox Integrator)・AI支援(JedoxAI)BI・Planning・Predictiveの単一プラットフォーム統合/S/4HANA・BTP・Datasphereとのライブ接続Budgeting & Planning/Financial Consolidation/Sales Planning & Forecasting/Capital Expense Planningの4区分TM1(インメモリ多次元OLAP)エンジンによる計画・予算・予測・分析/Excelアドイン&Web UI/生成AIアシスタント
初期費用要問い合わせ要問い合わせ50万円〜
(1事業モデルのKPI設計コンサル込み)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
月額費用要問い合わせ要問い合わせ
(Lite/Standard/Enterpriseの3プラン、全プラン見積制)
月額10万円〜要問い合わせ要問い合わせ
(Standard/Essentialの2プラン)
要問い合わせ
(名前付きユーザー単位/月・モジュール別)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
(Named User License、BI/Planning Standard/Professionalの3種)
要問い合わせ要問い合わせ
(クラウド版の米国公開価格は月額約$825〜、日本向けは非公開)
無料トライアルあり(サンプルデータでのプリ実装デモに対応)あり(期間・条件は要問い合わせ)公開情報では確認できず公開情報では確認できずあり(Webミーティングでのデモ経由)体験環境の提供あり(条件は要問い合わせ)あり(30日間)公開情報では確認できず公開情報では確認できず公開情報では確認できず公開情報では確認できずあり(基本30日間、拡張は最長90日間)公開情報では確認できず
(デモ・ウェビナー導線あり)
あり(クラウド版、30日間)
詳細情報詳細を見る詳細を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト

※各サービスの機能・料金・提供形態は各社公式サイトの公開情報(2026年8月時点)に基づく整理です。料金非公開・「要問い合わせ」の項目や無料トライアルの条件は変動する場合があるため、最新情報は各社にご確認ください。

サービス個別紹介

ここからは、EPMの導入検討で候補に挙がる代表的な14サービスを、国産予算管理系と外資フルスコープ型に分けて個別に紹介します。

1. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPI サービスサイト

X-KPIは、株式会社パブリックアイデンティティが提供するクラウド型のKPI・予実管理ツールです。日本経済社(日経グループ)の子会社として2018年に体制を刷新し、「初めての予実管理DX化支援」を掲げて、Excel中心の予実管理から段階的にクラウド化したい企業を主対象としています。

複数部門・拠点・プロジェクト単位のKPIと予実データをクラウド上で集約し、リアルタイムに可視化できる点が特徴です。予算と実績のズレや異常値を自動検知し、原因情報とともにチャットツールへ通知する仕組みが備わっており、月次締めを待たずに現場が動ける運用を目指せます。KPI項目・レポート・ダッシュボードは専門知識なしで設計でき、会計ソフトやグループウェアとのAPI連携で既存のデータ基盤を活かせます。

料金は初期費用・月額費用ともに要問い合わせで、無料トライアルおよびサンプルデータを用いたプリ実装デモに対応しています。導入企業は大手メディア・大手金融・大手小売・大手ITなど幅広く、まず予実管理から着手したい中堅・大手企業に適します。

2. DIGGLE(DIGGLE株式会社)

DIGGLE サービスサイト

DIGGLEは、予算・実績・見込みをクラウド上で一元管理する予実管理特化のSaaSです。公式のメインコピーは「リアルタイムに予実分析 データドリブンな経営の意思決定を。」で、Excel中心の予実管理に起こりがちな属人化や集計の非効率を解消することを狙いとしています。

強みは、予算策定・予実突合・見込み管理・レポーティングという一連の予実業務をクラウド上で完結させる設計にあります。予算策定では画面から直接入力し、コメント添付や予算IDでの追跡、事業部と経営企画の非同期連携が可能です。

予実突合は会計システムとのAPI連携で自動化し、複数システムからのデータ取り込みにも対応します。見込み管理は明細レベルで扱え、スナップショットによるバージョン管理や多段階の配賦にも対応しています。

プランはLite/Standard/Enterpriseの3構成で、料金は全プラン非公開の見積制です。導入事例として、テクバン株式会社・株式会社ラバブルマーケティンググループ・株式会社東急コミュニティー・キリンビール株式会社などが公表されています。予算・実績・見込みの一元管理を優先したい成長期・中堅企業に適します。

3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloud サービスサイト

Scale Cloudは、PLとKPIを接続して管理する「Connected Planning」志向のクラウド経営管理システムです。代表の広瀬氏は監査法人出身で、事業の状況を把握するにはKPIデータが必須、部門ごとに散らばるKPIを同じ景色で議論できる共通のプラットフォームを作りたい――という発想から開発したと述べています。

特徴は、複雑なKPI構造の設計に耐える拡張性です。事業ごとに異なるKPIをロジックツリー化し、10階層規模の構造が求められる案件にも対応します。

商談数×成約率で契約数を出し、単価を掛けて売上予算を組み立てるといった、KPI積み上げ方式での予算作成が可能です。他社では対応が難しい「予算用の関数」と「実績用の関数」の両方を同じ構造の中に持てる点が、公式で強みとして位置づけられています。

会計ソフトに加え、SalesforceなどのSaaSからAPIでデータを取り込めるため、事業KPIと財務指標を1画面で扱えるようになります。

料金は月額10万円からで、経営企画部・CFO・予実管理担当部門からの導入相談が中心です。BIツールと違い高度なデータリテラシーがなくても使いこなせる設計を志向しており、経営陣・現場が同じ画面でPDCAを回したい企業に向きます。

Scale Cloudについては、代表の広瀬氏に導入後の工数変化についてお話しいただきました。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

数値的な効果で申し上げると、他社システムからの乗り換えでは、工数が約40%削減できたとおっしゃっていただいているケースがあります。Excelやスプレッドシートからのリプレースに関しても、工数が6分の1程度になったという声をいただいています。効率化という目線では、それぐらいのインパクトが出ています。

4. Loglass 経営管理(株式会社ログラス)

Loglass 経営管理 サービスサイト

「次世代型経営管理クラウド」を掲げるLoglass 経営管理は、散在するExcel・会計ソフト・各種システム上の予算・見込・実績・KPIデータを収集・統合し、一元管理と分析を一気通貫で扱うクラウド型の経営管理システムです。株式会社ログラスは、公式サイトで「累計導入社数No.1(2025年10月31日時点、無償提供を除く)」「年間新規導入社数No.1(2024年度)」と訴求しています。

機能面では、予算策定・予算編成、Excel・会計ソフトからのデータインポート/エクスポート、予実管理・差異分析、着地見込み(ローリングフォーキャスト)に対応します。加えて、複雑な配賦ロジックをノーコードで扱える配賦機能、EBITDA・ROEや自社独自KPIを自動計算する計算科目機能、多軸分析・ドリルダウン・シミュレーション分析、標準ダッシュボード、子会社・部門・連結対応まで揃っています。

導入企業には、KDDI・関西電力・GMOインターネットグループ・富士フイルム・村田製作所・MIXI・コニカミノルタ・エムスリーなど東証プライム上場の大手企業が導入しています。料金は非公開の見積制で、大手・上場企業クラスの本格的な経営管理プラットフォームを検討する場合の主要候補になります。

5. Manageboard(マネーフォワードコンサルティング株式会社/マネーフォワードグループ、旧 株式会社ナレッジラボ)

Manageboardのウェブサイト

Manageboardは、マネーフォワードコンサルティング株式会社(マネーフォワードグループ/旧 株式会社ナレッジラボ)が提供するクラウド型の予算管理・経営管理プラットフォームです。「数字が『わかる』と、未来が『変わる』」をコンセプトに、Excel・スプレッドシートで散在するデータを一元化し、予算編成・予実管理・着地見込み・財務分析・業績シミュレーションをクラウド上で完結させます。

強みはグループ会計ソフト(マネーフォワードクラウド会計・freee会計・勘定奉行クラウド等)とのAPI連携で仕訳・実績データの取り込みを自動化できる点と、財務三表(PL/BS/CF)とKPIまでを連動させて扱える点です。PL項目をクリックすると配下のKPIまでドリルダウンでき、ワンクリックで業績シミュレーションが可能です。タグ分析(カスタムデータセグメンテーション)でカスタムレポートを組めます。

プランはStandardとEssentialの2系統で、料金は要問い合わせ。Webミーティングでのデモを経て無料トライアルが利用可能です。

マネーフォワードグループ公式のプレスリリース(発表元は当時のナレッジラボ)では、Manageboardリリース以降の累計利用企業数が10,000社を突破した(2025年11月時点)と発表されています。少人数の事業から1,500名以上のグループまで幅広く対応し、成長期・中堅企業のグループ経営管理に適します。

出典・参考資料(1件)

6. Oracle Cloud EPM(日本オラクル株式会社)

Oracle Cloud EPM サービスサイト

Oracle Cloud EPM(正式名 Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management)は、米Oracleが開発し日本オラクル株式会社が国内提供するクラウド型EPM基盤です。

予算編成・実績管理、連結会計、原価・収益性分析、勘定照合、税務報告、開示レポーティング、マスターデータ管理などをモジュール単位で組み合わせて導入でき、Oracle Fusion Cloud ERPとの連携を前提に設計されています。

日本市場ではエクサ・TIS・SCSK・イノスなどのSIパートナーが導入支援・再販を担い、大企業・グローバル企業を中心に採用されています。フルスコープEPMを1社の製品で揃えたい大企業向けの選択肢です。

7. Workday Adaptive Planning(ワークデイ株式会社)

Workday Adaptive Planning サービスサイト

Workday Adaptive Planningは、米Workdayが提供するクラウド型EPMで、旧Adaptive Insightsを源流とします。予算編成・予測・財務計画を自動化し、人員計画・売上計画・オペレーション計画を連携させる点が特徴で、AIを活用したシナリオプランニングとインタラクティブなダッシュボード可視化に対応します。

公式では「6,500社を超えるお客様」の記載があり、機能群は「ファイナンシャル プランニング」「ワークフォース プランニング」「オペレーション プランニング」「決算処理および連結処理」で構成されます。30日間の無料トライアルが用意されており、中堅〜大企業のクラウドEPMとしてグローバルで採用されています。

8. Anaplan(Anaplan Japan株式会社)

Anaplan サービスサイト

Anaplanは、財務・営業・サプライチェーン・人事など全社の計画業務を一つにつなぐクラウド型のシナリオプランニング/分析/レポーティングプラットフォームです。自社が提唱する「Connected Planning(コネクテッドプランニング)」を中核コンセプトとし、従来財務中心だったEPMを全社の計画統合へ拡張する点を訴求しています。

予算編成・予実管理に加え、需要計画・要員計画・販売計画などを同一基盤でモデル化し、部門間の影響をリアルタイムにシミュレーションできる設計です。国内ではPwCやホープス等の導入パートナーが要件定義・モデル構築を担い、大企業・グローバル連結向けのコネクテッドプランニング型EPMとして採用されています。

9. Board(BOARD Japan株式会社)

Boardのウェブサイト

Boardは、スイス・キアッソと米ボストンにco-located headquartersを置くBoard International SAが開発する、EPM・企業計画・BIを単一プラットフォームで提供する経営計画ソフトウェアです。

財務計画(FP&A・予算編成・予測)と業務計画(需給計画・S&OP等)に加え、多次元分析・ダッシュボード・レポーティングまでを一気通貫で扱え、公式は「Continuous Planning(常時稼働の継続的計画)」と位置づけています。

トップダウン/ボトムアップ双方の売上・財務計画、ワンクリックでの複数シナリオ・シミュレーション、財務連結・配賦処理などをプログラミング不要で構築できます。提供形態はクラウド/オンプレミスの双方に対応し、日本ではBOARD Japan株式会社と、株式会社アバント・NTTデータ グローバルソリューションズ等のパートナー経由で提供されています。

10. CCH Tagetik(Wolters Kluwer/SCSK株式会社)

CCH Tagetikのウェブサイト

CCH Tagetikは、オランダを本拠地とする情報サービス企業Wolters Kluwerが開発する統合型のCPM(Corporate Performance Management)/EPMプラットフォームです。

予算管理・連結会計・開示/報告を単一プラットフォーム上で扱い、計画策定から事業別・地域別・商品別といったセグメント単位の予実管理、将来シミュレーション、レポーティングまで経営管理業務を広くカバーします。

グローバルでは60ヶ国以上、2,000社超の財務チームで利用され、日本国内ではSCSK株式会社が導入から保守・運用までワンストップで提供するほか、TIS株式会社・株式会社アバントもパートナーとして展開しています。大企業・グローバル連結向けCPM/EPMの候補に挙がる代表格です。

11. Jedox(Jedox GmbH/プライム株式会社ほか)

Jedoxのウェブサイト

Jedoxは、ドイツ・フライブルクのJedox GmbH(2002年設立)が開発するFP&A/EPM/プランニング・予実管理プラットフォームです。予算編成・予算管理・実績管理に必要なデータ入力・データ統合・レポート作成を1つのプラットフォームで完結させ、BI的なデータ分析・可視化も内包。ExcelライクなインターフェースでExcel運用からの移行がしやすい設計になっています。

導入実績は世界140ヶ国・2,800社以上。日本国内ではプライム株式会社(2025年2月に提供開始)、KSK-Knot、テクマトリックス株式会社などが正規販売代理店として取り扱い、Excel運用からの移行を検討する中堅・大手企業の選択肢になっています。

12. SAP Analytics Cloud for Planning(SAPジャパン株式会社)

SAP Analytics Cloud for Planningのウェブサイト

SAP Analytics Cloud for Planningは、SAP SE(ドイツ)が開発し、SAPジャパン株式会社が国内提供する財務計画・予算管理領域の主力クラウドEPMです。

BI(ダッシュボード・レポーティング・分析)と計画(Planning)・予測分析(Predictive)を単一のクラウドサービスに統合しており、SAPの財務管理製品群のなかで「ファイナンス主導の計画プラットフォーム」と位置づけられています。

SAPは旧来のオンプレミス製品「SAP Business Planning and Consolidation(BPC)」からの移行先として本製品を公式に位置づけており、既存BPCユーザーの次期プラットフォームとして採用されるケースが増えています。

国内では富士通やNTTデータ グローバルソリューションズなどのSAP認定パートナーが、S/4HANA等の周辺SAP製品と合わせた導入コンサルティングを担っています。

13. Infor EPM(インフォアジャパン株式会社)

Infor EPMのウェブサイト

Infor EPMは、米ニューヨーク本社のInforが開発し、インフォアジャパン株式会社が国内提供するクラウド型統合EPMプラットフォームです。公式ページは同製品を「計画、予算編成、予測、連結会計、シナリオ分析をシームレスに実現するソリューション」と説明しており、ERPとの連携を前提とした設計になっています。

製品構成はBudgeting & Planning/Financial Consolidation/Sales Planning & Forecasting/Capital Expense Planningの4区分で、Infor全体では200以上の国・地域で68,000社超の顧客を持ちます。

国内では株式会社アバントなどがリセラーとして販売・導入支援を行っており、ERP+EPMの組み合わせで経営管理業務を統合したい企業の候補になります。

14. IBM Planning Analytics(日本アイ・ビー・エム株式会社)

IBM Planning Analyticsのウェブサイト

IBM Planning Analytics(旧称 IBM Cognos TM1)は、IBMが開発・提供する計画・予算編成・予測・分析向けEPMソフトウェアです。中核には「TM1」と呼ばれるインメモリー型の多次元OLAPデータベースエンジンを採用し、スプレッドシート形式の操作性を保ちながら、大規模データ・多数ユーザーでの同時利用に対応する設計になっています。

Excelアドインとブラウザベースのインターフェース(Planning Analytics Workspace)の両方から操作でき、財務計画(FP&A)に加え、サプライチェーン計画・販売計画・マーケティング計画・IT計画など部門を横断した計画業務に適用できます。

提供形態はオンプレミス・IBM Cloud上のSaaS・AWS・IBM Cloud Pak for Dataと複数持ち、国内ではShearwater Japan・アバント等のパートナーが導入支援を担います。

まとめ

本記事では、EPM(Enterprise Performance Management=企業業績管理)システムの定義から機能領域・違い・代表製品・導入の始め方までを整理しました。要点を振り返ります。

  • EPMは予算編成・予測・連結会計・KPIモニタリング・経営ダッシュボード・財務レポートの6領域を統合的に扱うソフトウェア
  • ERPは実績記録層、BIは可視化・分析層、EPMは計画と実績のPDCA層、予算管理システムはEPMの予算領域を深く担う層という補完関係
  • 代表製品はフルスコープの外資型(Oracle・SAP・Workday・Anaplan・Board・CCH Tagetik・Jedox・Infor・IBM)と、予算管理から段階導入する国産型(DIGGLE・Loglass・Manageboard・X-KPI・Scale Cloud等)に分かれる
  • 日本の中堅企業では、Excelの限界が最も顕在化している予算管理領域から段階的にEPMへ広げる進め方が現実的

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よくある質問(FAQ)

Q. EPMシステムとは何ですか?

EPMシステムとは、Enterprise Performance Management(企業業績管理/経営管理)の略で、予算編成・予実管理・予測・連結会計・経営レポーティングといった経営管理業務を統合的に支援するソフトウェアの総称です。財務部門を中心に、事業計画から実績分析、経営陣への報告までを一つのプラットフォーム上で回すことを目的とします。

Oracleは公式ページで「ビジネス業績の計画、予算策定、予測、報告、財務結果の統合と確定(決算)を支援するプロセス」と説明しており、ベンダーごとに温度差はあるものの、経営指標のPDCA循環をシステムで支える点は共通です。

Q. EPMとCPMは同じ意味ですか?

EPMとCPM(Corporate Performance Management)は、実務上ほぼ同義で使われます。Gartner系の呼称ではCPM、Oracle・SAP・Workdayなど多くのベンダーの呼称ではEPMという傾向があり、CCH Tagetikのように「統合型CPM/EPMプラットフォーム」と両方を併記する製品もあります。

指す機能領域(予算編成・予測・連結会計・KPI管理・経営レポーティング)は共通のため、資料請求やベンダー選定ではCPMとEPMを同じカテゴリの製品として横並びで比較して問題ありません。

Q. EPMシステムと予算管理システムはどう違いますか?

両者の関係は、EPMがフルスコープ(予算・予測・連結・KPI・レポート)を一体で扱うのに対し、予算管理システムはEPMの機能領域のうち予算編成・予実管理に特化した製品群という位置づけです。

日本の中堅企業では外資フルスコープEPMを一気に導入する負荷が大きいため、まず予算管理システムから始めて経営管理の周辺領域へ段階的に広げるアプローチが一般的です。DIGGLE・Loglass・Manageboardなど国産の予算管理系SaaSは、この「予算管理から始めるEPM」の受け皿として位置づけられます。

Q. EPMシステムとERPは何が違いますか?

EPMとERPは、役割が「記録型」と「計画型」で異なる補完関係にあります。ERPは会計・販売・在庫・人事などの日常取引を記録・処理する基幹業務システムで、実績データの記録層を担います。一方EPMは、そのERPが蓄積した実績データを取り込み、予算・予測と突き合わせて経営判断につなげる計画・分析層です。

Workdayは公式サイトで「ERPが日常業務の『処理方法』を重視するプロセスであるのに対し、EPMは継続的に『理由』と長期的な『次の方向性』を検討するためのプロセス」と対比しています。ERPとEPMは競合するのではなく、ERPが下流、EPMが上流という順で並ぶツールです。

Q. EPMシステムとBIツールでは何が違いますか?

EPMとBIの違いは、BIが「見せる」ことを主目的とするのに対し、EPMは「計画を立てて回す」ことを目的とする点にあります。BIはデータ可視化・多次元分析のためのプラットフォームで、実績データをダッシュボードやレポートに整形して見せることが得意です。

EPMはそこに予算・予測といった計画データを重ね、実績との差異を分析して次のアクションを議論する土台を提供します。BIが「情報システム側の分析ツール」であるのに対し、EPMは「経営陣・経理部門などビジネス側の経営管理プロセスを支えるツール」という違いもあります。実務ではBIとEPMを併用し、EPMの分析結果をBIで可視化する構成も一般的です。

Q. EPMシステムの導入コストはどれくらいかかりますか?

EPMシステムの価格は、外資フルスコープ型と国産予算管理系で大きく開きがあります

外資フルスコープ型(Oracle Cloud EPM・SAP Analytics Cloud・Workday Adaptive Planning・Anaplan・CCH Tagetik等)はライセンス費用が非公開の見積制で、SIパートナーによる要件定義・モデル構築を前提とします。導入規模・利用モジュール構成により総額は大きく変動するため、正確な費用感は各社の見積を取得して比較する必要があります。

一方、国産予算管理系のSaaS(DIGGLE・Loglass・Manageboard・Scale Cloud等)は月額ベースで始められるサービスが多く、Scale Cloudは月額10万円からと公表しています。段階導入で予算管理領域から始める場合は、後者の価格帯から検討するのが現実的です。

Q. Excel運用からEPMシステムへの移行はどのくらい難しいですか?

EPMへの移行は、ツール導入そのものよりも、マスターデータ(勘定科目・部門・製品コード)の整流化と業務プロセスの見直しに時間がかかるのが実情です。各部門・子会社で表記ゆれのある勘定科目や部門コードをEPMの単一マスターに寄せる作業、承認フローや締切のルール化、現場担当者への運用定着などが前提工程になります。

ただし、DIGGLEやLoglass、JedoxのようにExcelライクなUIやExcelファイルの直接インポート/エクスポートに対応する製品を選べば、現場担当者の操作学習コストは大きく下げられます。Workdayも公式サイトで「段階的なアプローチを採用する」ことを推奨しており、フルスコープの一気導入ではなく特定業務から段階的に置き換えるのが現実的な移行パターンです。

Q. 中堅・中小企業でもEPMシステムは導入できますか?

中堅・中小企業でも、国産の予算管理系SaaSを選べば無理なく導入できます。Oracle・SAP・Anaplanなどの外資フルスコープ型は大企業・グローバル連結を主対象とするため中小企業には規模が合いにくい一方、国産のDIGGLE・Loglass・Manageboard・Scale Cloud・X-KPIなどは成長期のスタートアップから中堅企業を主対象に設計されています。

Manageboardは「少人数の事業から1,500名以上のグループまで」対応する旨を公表しています。まずは予算管理・予実管理領域だけをクラウド化し、必要に応じてKPI管理・連結会計へ広げていく段階導入なら、中小規模でも投資対効果の説明がしやすくなります。

Q. EPMシステムの導入はどの領域から始めるのが良いですか?

日本の中堅企業では、予算編成・予実管理の領域から着手するのが現実的な第一歩です。理由は3つあります。

第一に、予算管理はExcelの限界(部門ブック結合・表記ゆれ・複数バージョン管理)が最も顕在化しており、システム化の効果を説明しやすい領域です。第二に、連結会計・KPIモニタリング・経営レポーティングといった周辺領域は予算・実績のマスターデータ整流化が前提となるため、予算管理を先に整えるのが順序として自然です。第三に、予算管理領域は国産SaaSの選択肢が豊富で月額利用料から始められます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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