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BaaSの導入事例まとめ|企業×銀行×機能で見る活用パターンと提供元銀行

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「BaaS(バース)」という言葉は知っていても、実際にどの企業がどの銀行の機能を使い、どんなサービスを立ち上げたのかを具体的に説明できる人は多くありません。JAL・ヤマダデンキ・JR東日本・ユニクロ・メルカリ・平和堂など、業種を問わず身近な企業が銀行機能を自社サービスに組み込む事例が、この数年で相次いでいます。

背景には、銀行免許を持たない事業会社でも提携する銀行の機能を使えるようにする、2つの制度的な土台があります。自社ブランドの銀行をまるごと持つ事例を支える銀行代理業と、口座連携や決済のAPIを広げた2017年の改正銀行法(銀行API開放)です。では、実際の導入事例はどのようなもので、自社が活用するなら何を参考にすればよいのでしょうか。

本記事では、「どの企業が・どの銀行の・どの機能を使い・どんなサービスを立ち上げ・何を狙ったのか」を1枚の一覧表に整理し、事例をパターン別に解説します。あわせて、提供元となる主要なBaaS銀行6行の顔ぶれと得意領域も横断で紹介します。新規事業・DX・金融事業の検討にあたって、他社の実例を自社に引き寄せる材料としてご活用ください。

BaaSとは|事例を読む前の最小限のおさらい

BaaS(Banking as a Service)とは、銀行が持つ預金・為替・融資といった金融機能を、APIなどを通じて銀行免許を持たない外部の事業者に開放し、事業者が自社のアプリやサービスに銀行機能を組み込めるようにする仕組みです。「銀行機能をサービスとして提供する」という意味で、こう呼ばれます。

ここでいう「銀行機能」の中核は、銀行法が定める銀行業(預金の受け入れ・資金の貸付け・為替取引)です。事業会社はこれらを自前の免許なしに使えるため、たとえば「自社アプリの中で口座を開き、残高をチャージし、支払いに使う」といった体験を、自社ブランドのまま提供できます。

事例を読み解くうえで押さえておきたいのは、BaaSには大きく2つの実装のかたちがある点です。1つは、提携先が自社ブランドの銀行(○○銀行アプリ)をまるごと持つ「フルバンキング型」。もう1つは、口座情報の取得や決済など特定の機能だけをAPIで組み込む「API連携型」です。この違いは、後述するパターン別解説と制度の話につながります。ここでは「銀行機能を外部に開放する仕組み」という理解で十分です。

【一覧表】BaaS導入事例まとめ:導入企業×銀行×使った機能×立ち上げたサービス×狙い・成果

まずは「実際に誰が何をやったのか」を一覧で押さえましょう。以下は、公式に発表されている主要なBaaS導入事例を、導入企業・提供元となった銀行・使った銀行機能・立ち上げたサービス・狙いや成果の順に整理したものです。すでに提供を終了した事例も、実装のかたちを知るうえで参考になるため、現況を明記して掲載しています。

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導入企業・サービスJAL NEOBANK(JALグループ)V NEOBANK(CCCグループ/Vポイント)ヤマダNEOBANK(ヤマダホールディングス)JRE BANK(JR東日本グループ)楽天銀行 第一生命支店(第一生命保険)メルカリバンク(メルペイ/メルカリ)ピクシブかんたん決済(ピクシブ)ラクスルバンク(ラクスル)岡三BANK(岡三証券)会計freee 連携(freee)HOPBANK(平和堂)三菱UFJ銀行 for カウカモ(ツクルバ)UNIQLO Pay(ユニクロ)dスマートバンク(NTTドコモ)
提供元銀行ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)楽天銀行(銀行代理業スキーム)楽天銀行(銀行代理業スキーム)みんなの銀行みんなの銀行GMOあおぞらネット銀行GMOあおぞらネット銀行GMOあおぞらネット銀行 ほか三菱UFJ銀行(&BANK・銀行代理業)三菱UFJ銀行(&BANK・銀行代理業)三井住友銀行三菱UFJ銀行
使った銀行機能フルバンキング(円・外貨預金、デビット等)フルバンキング(預金・デビット等)フルバンキング(預金・デビット等)預金・外貨・デビット・住宅ローンフルバンキング(預金・デビット・各種ローン等)口座直結の入出金API(参照系・更新系)口座直結のA2A決済API、パートナー支店専用支店・口座管理・振込・デビット等(BaaS)専用支店・クイック入金・特別金利の定期預金参照系API(入出金明細・残高照会)フルバンキング(預金・振込・融資等)住宅ローンの媒介決済ソリューション(口座払いの構築支援)口座開設・預金機能
狙い・成果預金残高に応じてJALマイルが貯まる設計。マイル経済圏の顧客接点を強化銀行取引でVポイントが貯まる・使える。デビット還元率1.5%給与・年金受取や口座振替でヤマダポイントを付与運賃割引やJRE POINTで鉄道経済圏を拡大。開始約1年で約54万口座資産形成支援サービス「資産形成プラス」と組み合わせ顧客接点を拡大メルカリ売上金を即時・手数料無料で入金。従来の200円・翌営業日待ちを解消ECサイト「BOOTH」で暗証番号入力なしの支払いを実現し購入体験を改善BtoBプラットフォームに銀行機能を統合。初回接触から9カ月でリリース預金を起点とした新規顧客体験。導入約1年で個人預金500億円超を獲得ID・パスワードを保存せず口座データを自動連携し会計業務を効率化スーパー業界初。HOP会員向けに銀行取引でポイント・買い物優遇中古・リノベ住宅流通「cowcamo」を起点に住宅ローン領域の金融DXを強化アプリの会員証提示で支払いが完結する決済体験を提供dポイント経済圏と連携した口座サービス
現況提供中提供中提供中提供中提供中提供中提供中提供中提供中提供中提供中提供中終了(2026年1月)終了(2026年1月)

各社の公式発表・プレスリリースをもとに作成(2026年9月時点)。現況は変更される場合があります。

UNIQLO Payとdスマートバンクのように、いったん立ち上げても事業環境の変化で終了する事例もあります。ユニクロは終了理由を「近年お支払い方法の多様化が進み、様々なQRコード決済やクレジットカード等をご利用いただくことが多くなりました」と説明しています。BaaSは「始めれば必ず定着する」ものではなく、自社の顧客基盤や狙いと合っているかが問われる点は、事例から読み取っておきたいところです。

出典・参考資料(12件)

BaaS事例のパターン別解説

ここからは、一覧表の事例をパターン別に整理します。先ほどの実装の2類型(フルバンキング型/API連携型)と重なりつつ、ここではビジネスの狙いも踏まえた型で分けると、自社が「どの型に近いか」を掴みやすくなります。

ネオバンク型(自社ブランドの銀行をまるごと持つ)

最も分かりやすいのが、提携先が「○○NEOBANK」「○○銀行アプリ」といった自社ブランドの銀行サービスをまるごと持つ型です。預金・為替・デビット・住宅ローンまで含むフルバンキング機能を、自社の会員基盤に向けて提供します。

代表例が、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)のNEOBANKを使ったJAL NEOBANK・V NEOBANK・ヤマダNEOBANK・高島屋NEOBANK・京王NEOBANKなどです。たとえばJAL NEOBANKは、円・外貨の預金残高に応じてJALマイルが貯まる設計で、日常の預金という行為をマイル獲得の手段に変えています。

高島屋NEOBANKは「タカシマヤ友の会」の積立機能をアプリに載せ、買い物と結びつけました。いずれも自社の会員・顧客との接点を、銀行取引を通じて深める狙いが共通しています。

楽天銀行を提供元とするJRE BANK(JR東日本グループ)や楽天銀行 第一生命支店も、この型にあたります。JRE BANKは運賃割引やJRE POINTと結びつけ、鉄道の利用者基盤を金融に取り込む設計です。

組込型決済・チャージ型(アプリ内の支払いに銀行機能を差し込む)

銀行サービスをまるごと持つのではなく、自社アプリ内の「支払い」や「残高チャージ」に銀行機能だけを差し込む型もあります。フルバンキング型より軽く導入でき、既存アプリの決済体験を改善する目的で使われます。

みんなの銀行の口座直結決済API(A2A決済)を使ったピクシブの「ピクシブかんたん決済」は、ECサイト「BOOTH」での支払いを暗証番号入力なしで完結させました。同じくみんなの銀行と組んだメルペイの「メルカリバンク」は、メルカリの売上金をみんなの銀行口座へ即時・手数料無料で入金できるようにし、従来の200円の出金手数料と翌営業日待ちを解消しています。

過去の事例では、ユニクロの「UNIQLO Pay」もアプリ決済に三井住友銀行の決済ソリューションを組み込んだ例でした(2026年1月に終了)。

この型が改善しようとしている「手数料」や「入金までのタイムラグ」は、一般的なキャッシュレス決済の仕組みに由来します。支払いから入金までにお金と情報がどう流れ、なぜ手数料や入金日の差が生まれるのかを押さえておくと、A2A決済のような口座直結型の利点も掴みやすくなります。

ポイント・預金連携型(既存の会員基盤と金融をつなぐ)

すでに大きな会員基盤やポイント経済圏を持つ企業が、銀行取引をその経済圏に取り込む型です。ネオバンク型と重なる部分もありますが、狙いが「顧客の囲い込み・優待連携」に寄っている点が特徴です。

JR東日本のJRE BANKはJRE POINTと運賃割引を軸に、CCCのV NEOBANKはVポイントを軸に、それぞれ銀行取引を経済圏の中に位置づけています。三菱UFJ銀行の&BANK基盤を使った平和堂の「HOPBANK」も、ポイントカード「HOP」会員向けに銀行取引でポイントが貯まる設計で、スーパーマーケット業界で初めての個人向け銀行サービスとして2025年12月に始まりました。

会員基盤を持つ企業にとって、金融は来店・利用頻度を高める新しい接点になります。

バックオフィス・BtoB連携型(会計・請求業務に銀行機能を組み込む)

消費者向けだけでなく、会計ソフトや請求業務といったBtoBのバックオフィスに銀行機能を組み込む型も広がっています。GMOあおぞらネット銀行がこの領域で数多くの事例を持ちます。

会計ソフトのfreeeは、GMOあおぞらネット銀行の参照系APIで口座の入出金明細を自動連携し、ID・パスワードを預けずに仕訳を効率化しました。弥生の「弥生Bank」やkubellの「Chatwork 請求書受取」、invoxの請求書受領サービスなども、専用支店口座と自社サービスを結びつけ、請求から振込までを一気通貫にしています。

ラクスルの「ラクスルバンク」や岡三証券の「岡三BANK」のように、自社プラットフォームや証券口座と銀行を統合し、顧客の利用頻度そのものを高める事例もこの延長にあります。

地域金融機関の取り組み(BaaSを提供する側・使う側の両面)

BaaSは大手やネット企業だけのものではありません。地域金融機関も、BaaSを「使う側」としてデジタル第2ブランドを立ち上げたり、逆に「提供する側」に回ったりしています。

たとえば、GMOあおぞらネット銀行は池田泉州ホールディングス傘下の01銀行に対し、預金・融資・審査分析などの機能をBaaS型で提供し、「銀行が銀行にBaaSを提供する」取り組みを実現しました。また三菱UFJ銀行の「Money Canvas」は紀陽銀行に資産形成機能を提供しています。

地域金融機関にとってBaaSは、自前でシステムを抱えずに新しいデジタルチャネルを持つ選択肢になりつつあります。

海外の代表的なBaaS事例(参考)

参考までに、海外でもBaaS・組込型金融の事例は先行しています。米国では、Appleがゴールドマン・サックスと組んだクレジットカード「Apple Card」や、配車アプリのUberがドライバー向けに提供した金融サービスなどの事例があります。日本の事例を読むうえで、「非金融の事業者が金融機能を自社サービスに取り込む」という流れは世界共通であることを押さえておくと、全体像が掴みやすくなります。

なぜ今BaaS事例が増えているのか|事例を支える2つの制度

これだけ多様なBaaS事例が生まれている背景には、2つの制度的な土台があります。事例の実装のかたち(フルバンキング型/API連携型)と対応しているので、あわせて押さえておきましょう。

1つ目は、2017年の改正銀行法(平成29年法律第49号)による電子決済等代行業の登録制度です。これにより、家計簿アプリや会計ソフトなどの事業者が、銀行と契約を結んだうえで口座情報の取得(参照系)や振込の指図(更新系)をAPIで扱えるようになりました。金融庁の監督指針は、この制度の趣旨を次のように説明しています。

フィンテックの動きが世界的規模で加速する中で、利用者保護を確保しつつ、金融機関とフィンテック企業との連携・協働によるオープン・イノベーションを進めていくための制度的枠組みとして、銀行法等の一部を改正する法律(平成29年法律第49号。以下Ⅹ-2-2(1)において「改正法」という。)により電子決済等代行業者の登録制度が導入され、平成30年6月1日より施行された。

金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」Ⅹ 電子決済等代行業(https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/city/10.html)

あわせて銀行側にも、電子決済等代行業者に求める接続の基準を作成・公表する体制整備が求められました(銀行法第五十二条の六十一の十一)。一般にオープンAPI(API開放)と呼ばれるのは、こうした「銀行が外部事業者と契約して接続する」体制が制度として促されたことを指します。freeeとGMOあおぞらネット銀行の参照系API連携のような「API連携型」の事例は、この土台の上に成り立っています。

2つ目は、銀行代理業の制度です。JRE BANKやHOPBANKのように、提携先が自社ブランドの銀行サービスをまるごと持つ「フルバンキング型」の多くは、こちらが土台になっています。銀行法は銀行代理業を次のように定めています。

この法律において「銀行代理業」とは、銀行のために次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。一 預金又は定期積金等の受入れを内容とする契約の締結の代理又は媒介 二 資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結の代理又は媒介 三 為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介

銀行法 第二条第十四項|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/356AC0000000059)

この仕組みでは、提携先の事業会社が「銀行代理業者」の許可を受け、銀行機能を提供する銀行を「所属銀行」として、預金や為替、融資の契約締結を媒介します。たとえばJRE BANKでは、JR東日本グループのビューカードが銀行代理業者となり、楽天銀行を所属銀行として銀行サービスを媒介しています。

なお、電子決済等代行業が登録制であるのに対し、銀行代理業は許可制で、フルバンキング型のほうが制度上より重い手続きを要する点も、実装の重さの違いとして覚えておくと役立ちます。

出典・参考資料(2件)

提供元となる主要BaaS銀行の顔ぶれと得意領域

事例の当たりが付いたら、次は「組むならどの銀行か」です。BaaSを提供する主要な銀行は、ネット銀行4行とメガバンク2行に大きく分かれ、それぞれ得意とする領域が異なります。まず全体像を比較表で確認し、そのうえで各行の特徴を紹介します。

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提供元銀行みんなの銀行 BaaSNEOBANKBaaS byGMOあおぞら楽天銀行 BaaS三井住友銀行 BaaS&BANK(三菱UFJ銀行)
銀行区分ネット銀行
(デジタルバンク)
ネット銀行ネット銀行ネット銀行メガバンクメガバンク
提供形態API連携型
(パートナー支店も選択可)
フルバンキング型
(銀行代理業)
API連携型
(専用支店も選択可)
フルバンキング型
(銀行代理業)
API連携型
(決済インフラ提供)
フルバンキング型
(汎用アプリ基盤)
得意領域アプリ内の決済体験
(口座直結・A2A決済)
自社ブランドの銀行
(○○NEOBANK)
BtoB・バックオフィスSaaS
(会計・請求)
大規模会員基盤との連携
(鉄道・保険)
大規模な決済インフラ
会計・家計簿ソフト連携
非金融業種との連携
(エンタメ・不動産・小売)
主な機能・提供方式参照系・更新系API
A2A決済
パートナー支店
預金・決済・融資・積立
専用支店・専用アプリ
銀行API(無償28種・有償7種)
専用支店・専用カード
振込入金専用口座
預金・為替・融資(住宅ローン等)
専用支店・API連携
決済ソリューション
参照系・更新系API
口座開設・預金為替・各種ローン
QR決済・Money Canvas
代表的な導入事例メルカリバンク
ピクシブかんたん決済
大和コネクト証券
JAL NEOBANK
V NEOBANK
高島屋NEOBANK
freee・弥生Bank
ラクスルバンク
岡三BANK
JRE BANK(JR東日本)
楽天銀行 第一生命支店
UNIQLO Pay(2026年1月終了)
freee・マネーフォワード ME連携
HOPBANK(平和堂)
三菱UFJ銀行 for カウカモ
Buzz BANK
料金要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

みんなの銀行 BaaS(みんなの銀行/ゼロバンク・デザインファクトリー)

ふくおかフィナンシャルグループのみんなの銀行は、勘定系を含む基幹システムをクラウド上でゼロから構築したデジタルバンクで、その基盤を「みんなのBaaS」として外部に開放しています。パートナー企業がAPIで機能を組み込む方式と、みんなの銀行アプリ内に「○○支店」を開設する方式の両方を選べるのが特徴です。

メルペイ(メルカリバンク)やピクシブ、大和コネクト証券、三井住友海上プライマリー生命など、フリマ・EC・証券・保険まで業種を横断した提携があり、パートナー企業数は2025年12月時点で30社を突破しました。自社で銀行アプリをまるごと持つのではなく、既存アプリの決済や入金体験だけを軽く足したい事業者が、まず当たりたい提供元です。

NEOBANK(ドコモSMTBネット銀行/旧・住信SBIネット銀行)

住信SBIネット銀行のBaaS「NEOBANK」のウェブサイト

「フルバンキングBaaS」として国内で早くからBaaSを展開してきたのがNEOBANKです。提供元は2026年8月に住信SBIネット銀行からドコモSMTBネット銀行へ商号変更しましたが、法人・パートナー向けのBaaSブランドは「NEOBANK」のまま継続しています。

JAL NEOBANK・V NEOBANK・ヤマダNEOBANK・高島屋NEOBANKなど、自社ブランドの銀行をまるごと持ちたい大手企業の導入が20件以上あります。銀行免許・勘定系は銀行側が担い、パートナーは多くの場合、銀行代理業者として自社ブランドの専用支店を運営します。

大きな会員基盤を自社ブランドの銀行でまるごと囲い込みたい大手企業が、最初に検討したい提供元です。

BaaS byGMOあおぞら(GMOあおぞらネット銀行)

BaaS byGMOあおぞらのウェブサイト

GMOあおぞらネット銀行は、銀行機能をパーツ単位で選んで組み合わせられる組込型金融プラットフォームを提供しています。無償のスタンダードAPI28種・有償のオプションAPI7種に加え、専用支店・専用画面・専用カード・振込入金専用口座などをパッケージで用意しているのが特徴です。

freee・弥生・kubell・invoxといった会計・請求のバックオフィスSaaSや、ラクスル・岡三証券などのプラットフォーム事業者との導入事例が豊富で、BaaSサービス契約数は2025年12月に累計1,000件を突破しました。

会計・請求などのSaaSやプラットフォームに口座連携・振込を足したい、開発体制のある事業者に向く提供元です。

楽天銀行 BaaS(楽天銀行)

楽天銀行 JRE BANK(BaaS/組込型金融)のウェブサイト

楽天銀行は、銀行代理業スキームによるフルバンキング型のBaaSを提供しています。提携先が銀行代理業者となり、楽天銀行を所属銀行として、預金・為替・融資(住宅ローン等)まで含む銀行機能一式を自社ブランドで提供できます。

代表的な導入事例が、JR東日本グループのJRE BANKと、第一生命保険の楽天銀行 第一生命支店です。JRE BANKは大規模な会員基盤との連携により、開始から約1年で約54万口座を獲得しました。

数百万規模の会員基盤を持ち、既存事業のポイントや優待と銀行を一体化して短期間で口座を増やしたい大手企業に向きます。

三井住友銀行 BaaS・組込型金融(三井住友銀行)

三井住友銀行の連携・協働(BaaS/組込型金融)のウェブサイト

メガバンクの三井住友銀行は、決済インフラの黒子提供、参照系・更新系APIによる口座情報連携、そして将来のBaaS/デジタルバンク基盤の3方向で銀行機能の外部提供に取り組んでいます。ユニクロの「UNIQLO Pay」に決済ソリューションを提供した事例(2026年1月に終了)は、大手小売のアプリ決済を裏側から支えた代表例でした。

freeeやマネーフォワード MEなど家計簿・会計ソフトとのAPI連携網を持つほか、2025年4月にはマネーフォワードと新銀行の設立に向けた準備会社設立の検討を発表しています(2026年9月時点で具体的な機能・時期は未確定)。大手小売のアプリ決済のように、大規模で高信頼の決済インフラを黒子として必要とする事業者が検討する提供元です。

&BANK(三菱UFJ銀行)

三菱UFJ銀行 BaaS基盤「&BANK」提携のウェブサイト

三菱UFJ銀行は、汎用BaaSアプリ基盤「&BANK(アンドバンク)」を軸にBaaSを展開しています。決済(QR決済)から口座開設、資産形成サービス「Money Canvas」、そして幅広い銀行商品を扱える汎用基盤へと、段階的に機能を広げてきました。

エンタメ(バンダイナムコの「アイドルマスター」とコラボした「Buzz BANK」)、不動産(ツクルバの「三菱UFJ銀行 for カウカモ」)、小売(平和堂の「HOPBANK」)など、非金融の業種と組んだ事例が複数あります。なお、NTTドコモと共同開発したdスマートバンクは2026年1月に終了しました。

エンタメ・不動産・小売など非金融の会員基盤に、口座から各種ローンまで幅広い銀行商品を載せたい事業者に向きます。

自社でBaaSを活用するための次の一歩|検討観点と相談先

最後に、自社でBaaSの活用を検討するときの観点を整理します。事例で当たりを付けたうえで、次の3点を自社に当てはめて考えると、提供元選びや相談の準備が進みます。

1つ目は、実装のかたちです。自社ブランドの銀行をまるごと持ちたいのか(フルバンキング型)、既存アプリの決済や口座連携だけ組み込みたいのか(API連携型)で、必要な制度手続き(前者は許可制の銀行代理業、後者は登録制の電子決済等代行業)も提供元の得意領域も変わります。

2つ目は、自社の顧客基盤との相性です。UNIQLO Payやdスマートバンクの終了が示すように、既存の顧客接点や狙いと噛み合わなければ定着は難しくなります。

3つ目は、提供元の得意領域との一致です。BtoBのバックオフィスならGMOあおぞら、フルバンキングのブランド銀行ならNEOBANKや楽天銀行、というように、事例の顔ぶれから相性を読み取れます。

具体的な料金や導入条件の多くは非公開で、各行への問い合わせが前提です。まずは自社の狙いと近い事例を持つ提供元に絞り込み、資料請求や相談から始めるのが現実的な進め方です。

まとめ

BaaSの導入事例は、JAL・JR東日本・メルカリ・平和堂など業種を問わず広がり、実装のかたちも「自社ブランドの銀行をまるごと持つフルバンキング型」から「アプリの決済に機能を差し込むAPI連携型」まで多様です。背景には、自社ブランドの銀行を支える銀行代理業と、API連携を広げた2017年の改正銀行法という、2つの制度的な土台があります。

自社での活用を考えるなら、実装のかたち・顧客基盤との相性・提供元の得意領域の3点から、近い事例を持つ銀行に当たりを付けるのが近道です。まずは気になる提供元の資料を取り寄せて、比較検討を始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. BaaS(バース)とは何ですか?

A. BaaSとは、銀行が持つ預金・為替・融資といった金融機能を、APIなどを通じて銀行免許を持たない外部の事業者に開放し、事業者が自社のアプリやサービスに銀行機能を組み込めるようにする仕組みです。

「Banking as a Service(銀行機能をサービスとして提供する)」の略で、事業会社は自前の免許なしに、口座開設・チャージ・支払いといった体験を自社ブランドのまま提供できます。JAL・JR東日本・メルカリ・平和堂など、業種を問わず身近な企業が自社サービスに銀行機能を組み込む事例が、この数年で相次いでいます。

Q. BaaSと組込型金融(エンベデッド・ファイナンス)・ネオバンクの違いは何ですか?

A. BaaSは銀行機能を外部に「提供する」側の仕組み、組込型金融(エンベデッド・ファイナンス)はそれを自社サービスに「組み込む」側の考え方、ネオバンクは銀行機能を組み込んで生まれた自社ブランドの銀行サービスそのものを指します。

同じ動きを違う角度から呼んだ言葉と捉えると事例が読みやすくなります。たとえばJAL NEOBANKは、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)のBaaSを使い(提供する側)、JALが自社サービスに銀行機能を組み込んで(組込型金融の視点)、「JAL NEOBANK」というネオバンクを立ち上げた、という関係になります。

Q. 銀行免許を持たない企業が、なぜ自社ブランドの銀行サービスを提供できるのですか?

A. 銀行免許を持たない事業会社が銀行サービスを提供できるのは、提携する銀行の機能を、銀行代理業や電子決済等代行業といった制度に基づいて利用しているためです。

免許や勘定系システムは提供元の銀行が担い、事業会社は銀行代理業者として預金や為替の契約締結を媒介したり、電子決済等代行業者として口座情報の取得や振込の指図をAPIで扱ったりします。たとえばJRE BANKでは、JR東日本グループのビューカードが銀行代理業者となり、楽天銀行を所属銀行として銀行サービスを媒介しています。

Q. BaaSのフルバンキング型とAPI連携型はどう違いますか?

A. フルバンキング型は自社ブランドの銀行(○○銀行アプリ)をまるごと持つ実装、API連携型は口座情報の取得や決済など特定の機能だけをAPIで組み込む実装で、土台となる制度も手続きの重さも異なります。

フルバンキング型は銀行代理業の許可(許可制)が土台で、預金・為替・デビット・住宅ローンまで扱えますが手続きは重くなります。一方のAPI連携型は電子決済等代行業の登録(登録制)が土台で、既存アプリの決済や口座連携だけを軽く組み込めます。JRE BANKやHOPBANKは前者、freeeとGMOあおぞらネット銀行の参照系API連携は後者にあたります。

Q. BaaSの導入にはどのくらい費用がかかりますか?

A. BaaSの具体的な料金や導入条件の多くは公開されておらず、提供元となる銀行への問い合わせが前提となります。実装のかたち(フルバンキング型かAPI連携型か)や使う機能の範囲によって必要なコストも手続きも変わるため、一律の相場を示すのは困難です。まずは自社の狙いに近い事例を持つ提供元に絞り込み、資料請求や相談から具体的な条件を確認するのが現実的です。

Q. BaaSは大手企業だけのもので、中小企業やSaaS事業者には縁遠いですか?

A. BaaSは大手企業に限られたものではなく、会計・請求などのバックオフィスSaaSやBtoBプラットフォーム事業者による活用も広がっています。

たとえばGMOあおぞらネット銀行は、freee・弥生・kubell・invoxといった会計・請求SaaSや、ラクスル・岡三証券などのプラットフォーム事業者と数多くの導入事例を持ち、BaaSサービス契約数は2025年12月に累計1,000件を突破しました。自社サービスに口座連携や振込機能を組み込みたい事業者にとって、企業規模を問わず検討できる選択肢になっています。

Q. BaaSの導入から立ち上げまでどのくらいの期間がかかりますか?

A. BaaS導入にかかる期間は実装内容によって幅がありますが、比較的短期でリリースに至った事例もあります。たとえばBtoBプラットフォームに銀行機能を統合したラクスルの「ラクスルバンク」は、GMOあおぞらネット銀行との初回接触から9カ月でリリースにこぎ着けています。ただし必要な制度手続きや機能の範囲によって期間は変わるため、具体的なスケジュールは提供元への相談で確認するのが確実です。

Q. BaaSを活用するなら、どの銀行と組むのがよいですか?

A. BaaSの提供元は、自社の狙いと各行の得意領域が一致する銀行を選ぶのが基本です。

BtoBのバックオフィスに銀行機能を組み込むならGMOあおぞらネット銀行、自社ブランドのフルバンキング銀行を持ちたいならNEOBANK(ドコモSMTBネット銀行)や楽天銀行、アプリ内の決済体験を軽く改善したいならみんなの銀行、というように、実際の導入事例の顔ぶれから相性を読み取れます。事例で当たりを付けてから、近い実績を持つ提供元に相談するのが近道です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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