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エンベデッドファイナンスとは?仕組み・BaaSとの違い・分野別の事例をわかりやすく解説

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「エンベデッドファイナンス」という言葉を、会議やニュースで見かける機会が増えています。自社のアプリやサービスに決済・後払い・口座といった金融機能を載せられないか、と社内で検討が始まった担当者も多いのではないでしょうか。

エンベデッドファイナンス(組込型金融)とは、金融を本業としない事業会社が、自社サービスの中に金融機能を組み込んで提供する仕組みです。まずは身近な事例から、その中身を見ていきます。

本記事では、エンベデッドファイナンスとは何かを身近な事例から整理します。あわせて、仕組み(三者の関係とAPI連携)や、混同しやすいBaaS・API連携との違いを解説します。さらに、決済・預金・貸付・保険・証券の分野別の事例、導入のメリットと規制などの注意点、実際に組める提供者・イネーブラーまで紹介します。自社サービスに金融機能を組み込めるかを判断する材料としてご活用ください。

エンベデッドファイナンスとは

エンベデッドファイナンス(Embedded Finance/組込型金融)とは、金融を本業としない事業会社が、自社のサービスやアプリの中に決済・口座・融資・保険・投資などの金融機能を組み込んで提供することです。「埋込型金融」「組込型金融」と訳されます。

たとえば、航空会社のアプリの中に銀行口座を持てるJAL NEOBANK、フリマアプリのメルカリで使える後払いのメルペイスマート払い、ユニクロアプリ内で支払いができるUNIQLO Payなどが身近な例です。いずれも、利用者は銀行や金融会社の窓口・アプリへ移動することなく、普段使っているサービスの中で金融サービスを利用しています。

従来の金融サービス利用と何が違うのか

従来は、金融サービスを使うには金融機関へ出向く必要がありました。ネットショップで買い物をしても、分割払いにしたければクレジットカード会社の申込みが必要で、口座をつくるなら銀行のアプリやサイトを別に開く、というように、買い物や利用の「外側」に金融の手続きがありました。

エンベデッドファイナンスでは、この金融の手続きがサービスの「内側」に溶け込みます。買い物の決済画面でそのまま後払いを選べたり、いつも使うアプリの中で口座を開いて入出金できたりと、利用者は金融サービスを使っている意識をほとんど持たずに目的を達成できます。事業会社にとっては、利用者を自社サービスから離脱させずに金融体験まで提供できる点が、従来との大きな違いです。

エンベデッドファイナンスの仕組み(三者構造とAPI連携)

エンベデッドファイナンスは、役割の異なる三者が連携して成り立っています。金融機能を載せたい事業会社だけで完結するものではない点が、仕組みを理解する第一歩です。

エンベデッドファイナンスの三者構造を示した図解。金融機能を載せたい事業会社であるサービス提供者(ブランド)、両者をつなぎAPI・SDKや共通基盤を提供するイネーブラー(つなぎ役)、銀行免許や各種登録を持ち金融機能そのものを担うライセンス保有者の三者が、APIで連携して非金融サービスに金融機能を組み込む。イネーブラーがSDKをまとめて提供する場合も、銀行が直接APIを提供する場合もある。
  • サービス提供者(ブランド):自社のサービス・アプリに金融機能を組み込みたい事業会社。顧客基盤・ブランド・利用シーンを持つ(例:航空会社、小売、ECプラットフォーム)
  • イネーブラー(つなぎ役):金融機能を組み込みやすい形に整え、サービス提供者とライセンス保有者をつなぐ事業者。API・SDKや共通基盤を提供する
  • ライセンス保有者:銀行免許や各種登録を持ち、金融機能そのものを担う金融機関(例:銀行、証券会社、保険会社)

この三者は、多くの場合API(Application Programming Interface:システム同士をつなぐ接続の仕組み)を通じてつながります。サービス提供者は、ライセンス保有者やイネーブラーが公開するAPIを自社サービスに組み込むことで、口座開設・決済・入出金・審査などの金融機能を、自前で金融システムを一から構築せずに利用できます。

イネーブラーがこの接続や画面部品(SDK)をまとめて提供する場合もあれば、銀行が直接APIを提供する場合もあります。

BaaS・API連携との違い

エンベデッドファイナンスと近い文脈で「BaaS」「API連携」という言葉がよく使われ、混同されがちです。三者は対立する概念ではなく、「目的」と「手段」の関係で整理すると理解しやすくなります。

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エンベデッドファイナンス・BaaS・API連携の違いエンベデッドファイナンスBaaS(Banking as a Service)API・API連携
位置づけ目的・状態手段・提供形態手段・技術
一言でいうと非金融サービスの中に金融機能を組み込むこと銀行機能を部品として外部に提供する仕組みシステム同士をつなぐ技術的な接続方式
主な視点金融機能を載せたい事業会社銀行・提供者開発・実装

エンベデッドファイナンスは「非金融サービスの中で金融を提供する」という目的や状態を指す言葉です。BaaSは、その目的を実現する手段の一つで、銀行が口座や決済などの機能を部品(サービス)として外部に開放する提供形態を指します。

API・API連携は、それらをシステム的につなぐ技術的な接続方式です。銀行機能を組み込むエンベデッドファイナンスの多くはBaaSとAPIを使って実現される、という重なりの関係にあります。

分野別の事例(決済・預金・貸付/後払い・保険・証券)

エンベデッドファイナンスは、扱う金融機能によっていくつかの分野に分かれます。ここでは決済・預金・貸付/後払い・保険・証券の分野ごとに、実際のサービス例と、それを支える提供基盤の例を整理します。

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分野別のエンベデッドファイナンス事例決済預金・口座貸付・後払い保険証券・投資
サービス例自社ブランドのスマホ決済(ハウス型Pay)自社ブランドの銀行口座(NEOBANK型)組込型ローン・後払い(BNPL)組込型保険(エンベデッド保険)自社サービス内の証券・積立
何ができるか自社アプリ内でチャージ・支払いを完結。例:ドラッグストア(ツルハグループ)の「HAPPAY」(インフキュリオンのWallet Station基盤)アプリ内で口座開設・入出金・デビットを利用。例:JAL NEOBANK・ヤマダNEOBANK(NEOBANK基盤)自社サービス内で融資申込や後払いを提供。例:J:COMプレミアムローン(FinatextのCrest基盤)アプリや購入フローの中で保険を案内・加入。例:三菱UFJ銀行「Money Canvas」の保険(FinatextのInspire基盤)自社サービスで投資・積立を提供。例:クレディセゾン「セゾンポケット」・セブン銀行「コレカブ」(Finatextの証券基盤)
支える基盤の例インフキュリオン/PayciergeNEOBANK/GMOあおぞらネット銀行Finatext/PayciergeFinatext(Inspire)Finatext(スマートプラス)

このように、決済のような身近な機能から、口座・融資・保険・証券まで、幅広い金融機能を自社サービスに組み込めます。自社の事業に近い分野から、どんな金融機能を載せられそうかをイメージすると、検討が進めやすくなります。

なかでも後払い(BNPL)は、購入から与信・立替・回収まで資金がどう流れるのか、クレジットカードや従来のコンビニ後払いと何が違うのかを押さえておくと、自社サービスへの組み込みを判断しやすくなります。仕組み・手数料・日本での法規制を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

出典・参考資料(4件)

なぜ今エンベデッドファイナンスが注目されるのか

エンベデッドファイナンスが広がっている背景には、制度と技術の両面の後押しがあります。

制度面では、2021年11月に「金融サービス仲介業」が施行され、非金融の事業会社が金融サービスの提供に加わりやすい環境が整いました(制度の詳しい中身は後半の「導入時の課題と注意点」で解説します)。

技術面では、銀行や金融基盤事業者がAPIを公開し、決済や口座などの機能を部品として組み込めるようになったことで、事業会社が金融システムを一から構築しなくても金融機能を扱えるようになりました。

こうした環境を背景に、小売・EC・交通・人材など、顧客基盤を持つさまざまな事業会社が、顧客体験の向上や新たな収益源を求めてエンベデッドファイナンスに参入しています。デロイト トーマツ コンサルティングや日立総合計画研究所などの調査・レポートでも、組込型金融は金融業界の構造変化を牽引するテーマとして取り上げられています。

出典・参考資料(3件)

エンベデッドファイナンスを導入するメリット

非金融の事業会社がエンベデッドファイナンスを導入するメリットは、大きく顧客体験・データ・収益の3つの観点に整理できます。

顧客体験・ロイヤリティの向上

金融機能を自社サービスの中で完結できると、利用者は別のアプリやサイトへ移動する手間がなくなります。決済や後払い、口座の管理までを一つの体験の中で済ませられるため、離脱が減り、利用頻度やサービスへの愛着(ロイヤリティ)の向上につながります。自社ブランドの口座やPayを持ってもらうことで、日常的な接点も増えます。

顧客データの取得・活用

自社サービス内で金融取引が行われると、購買行動と決済・入出金のデータを組み合わせて把握できるようになります。従来は外部の決済事業者や金融機関に分散していた情報を自社の文脈で捉えられるため、マーケティングや新サービス開発の精度を高める材料になります。データの取り扱いは、後述の規制やパートナーとの取り決めに沿って行う必要があります。

新たな収益源の確保

金融機能の提供は、手数料収入や金融収益の一部還元といった新たな収益源にもなります。たとえば自社ブランドの銀行サービスでは、提供基盤となる銀行が受け取る収益の一部を提携先へ還元する仕組みが用意されている場合があります。本業のサービスと金融機能を組み合わせることで、既存事業だけでは得られなかった収益の柱を育てられます。

導入時の課題と注意点

メリットが大きい一方で、金融機能を扱うからこその注意点があります。特に規制・不正対策・パートナー選定の3点は、検討の早い段階で押さえておきたい論点です。

規制(金融サービス仲介業)— 誰が免許を持つ側か・自社に何が要るか

金融機能は誰でも自由に提供できるわけではなく、法律に基づく免許・登録・許可が関わります。まず押さえたいのは「誰が免許を持つ側か」です。銀行業を営むには内閣総理大臣の免許が必要で、この免許を持つのは銀行そのものです。

銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。(第四条第一項)

出典:銀行法(昭和56年法律第59号)第4条第1項|e-Gov法令検索

そのため、非金融の事業会社が自前で銀行業を営むのは現実的ではなく、免許を持つ銀行と組んで金融機能を利用するのが一般的です。ここで登場するのが、2021年11月に施行された「金融サービス仲介業」です。従来は業態ごとに分かれていた仲介の登録を、1つの登録で分野横断的に行えるようにした制度です。

業態ごとの縦割りだった既存の仲介業と異なり、1つの登録で銀行・証券・保険すべての分野のサービスを仲介可能とするなど、ワンストップ提供に最適化。/様々なサービスを取り扱えるよう、金融サービス仲介業には、特定の金融機関への所属を求めない。/代わりに、取扱可能なサービスの制限や利用者財産(サービス購入代金など)の受入禁止、保証金の供託義務により利用者保護を図る。

出典:金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律案 説明資料(2020年3月)|金融庁

この金融サービス仲介業は、銀行代理業とは制度が異なります。銀行代理業が「内閣総理大臣の許可」と「所属銀行制」を前提とするのに対し、金融サービス仲介業は「登録」で足り、特定の金融機関への所属を求めない代わりに保証金の供託などで利用者を保護します。

もっとも、「自社に何が要るか」は一律には決まりません。金融サービス仲介業も銀行代理業も、媒介・代理という「行為」を業として行う者に課される規制だからです。

自社が金融サービスの媒介・代理にあたる行為を担うのか、それとも銀行やイネーブラーがその行為を担い、自社は自社ブランドの提供に徹するのか。この座組みによって、必要な登録・許可は変わります。取り扱う行為次第で登録・許可が必要になり得るため、具体的な要否は提供者や専門家に確認しながら設計するのが安全です。

出典・参考資料(3件)

不正利用への対策

金融機能を扱う以上、なりすましや不正送金、不正利用への備えは欠かせません。本人確認(eKYC)の精度、取引のモニタリング、不正検知の仕組みが、提供基盤やイネーブラー側にどこまで用意されているかは重要な確認点です。自社で不正対策をすべて構築するのは負担が大きいため、提供者がどの範囲を担い、自社が何を運用するのかを、導入前に切り分けて整理しておく必要があります。

ここで挙げた本人確認(eKYC)は、対面や郵送に代えてオンラインで本人確認を完結させる仕組みです。どのような確認方法があり法律でどう定められているのかを把握しておくと、提供基盤やイネーブラーの本人確認機能を評価する際の目安になります。基礎から確認したい方は、以下の記事も参考になります。

適切なパートナー企業の選定

エンベデッドファイナンスは、提供者・イネーブラーとの長期的な連携が前提になります。自社が載せたい金融機能(決済なのか、口座なのか、融資・保険・証券なのか)に対応しているか、API・SDKの提供形態や導入実績、サポート体制、費用感が自社に合うかを見極めることが、選定の要になります。このあと、まず導入の進め方を整理したうえで、実際に組める主な提供者・イネーブラーを紹介します。

エンベデッドファイナンスの始め方

エンベデッドファイナンスの導入は、次のような流れで検討を進めると整理しやすくなります。

  1. 載せたい金融機能を決める:自社サービスと相性のよい機能(決済・口座・後払い・保険・投資など)を、顧客の課題から考える。利用者が不便を感じている金融の動き(支払い・与信・保険加入など)から選ぶと外しにくい
  2. 組む相手(提供者・イネーブラー)を探す:その機能を提供でき、API・SDKの形態や導入実績が自社に合う相手を比較する。載せたい機能で相手の型が決まり、口座・預金なら銀行型、決済・証券・保険ならイネーブラー型が中心になる
  3. 規制・役割分担を確認する:免許・登録の所在や不正対策・データの取り扱いの分担を、提供者や専門家と確認する。多くの非金融事業会社は、銀行やイネーブラーが仲介・代理の行為を担い、自社は自社ブランドの提供に徹する座組みを取る
  4. 小さく始めて広げる:まず1つの機能・限定ユーザーで小さく検証し、利用状況を見ながら対象や機能を拡張する。最初から全機能を載せようとしないことでリスクを抑えられる

まずは「どの機能を、どの相手と組んで実現できそうか」の当たりをつけることが出発点になります。以下では、実際に組める提供者・イネーブラーを紹介します。

実際に組めるエンベデッドファイナンスの提供者・イネーブラー

ここからは、エンベデッドファイナンスを実際に組める主な提供者・イネーブラーを紹介します。大きく、銀行免許を持ち銀行機能そのものを提供する銀行型と、決済・証券・保険などを組み込みやすくするイネーブラー型に分かれます。

口座や預金を載せたいなら銀行型、決済やウォレットならイネーブラー型、証券・保険なら分野特化のイネーブラー、というように、載せたい機能で見るべき相手が変わります。どの相手がどの型かは、次の比較表で確認できます。

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サービス名BaaS byGMOあおぞらNEOBANK地域BaaS/BeSTA-BaaSFinatextWallet StationPayciergeStripe(Connect)
提供者タイプ銀行(銀行免許保有)銀行(銀行免許保有)イネーブラー(基盤提供)イネーブラー(基盤提供)イネーブラー(基盤提供)イネーブラー(基盤提供)イネーブラー(基盤提供)
扱える主な金融機能口座・入出金・振込
デビットカード発行
預金・決済・融資
デビットカード
口座連携・決済(Bank Pay)
バンキングアプリ
証券・保険
貸付/クレジット(銀行APIではない)
決済・チャージ
自社ブランド決済(自社Pay)
決済・カード発行
後払い(BNPL)
決済・資金分配(Connect)
※カード発行・口座・融資は日本未提供
主な提供形態銀行API(無償28種・有償7種)
専用支店・sunabar検証環境
提携先ブランドの銀行サービス
(NEOBANK提携型)
共同利用型API基盤
ホワイトラベルアプリ
クラウド・API型基盤
(証券BaaS/Inspire/Crest)
API型プラットフォーム+SDK
専用ウォレットアプリ・管理画面
SaaS/APIコンポーネント
組み合わせ提供
API+埋め込みUIコンポーネント
特徴審査なしで無料で試せるsunabar
契約累計1,000件突破
日本初のフルバンキングBaaS(同行発表)
提携22社・利用者200万人超
勘定系「BeSTA」と一体提供
地域金融機関向けが主軸
証券子会社が第一種金融商品取引業を保有
証券・保険・貸付を横断
ハウス型決済に特化
Bank Pay経由の口座連携に対応
ブランドデビット国内シェア約80%
カード発行〜後払いを網羅
プラットフォーム型決済に強い
複数国展開向き
料金要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ従量課金(初期費用・月額費用なし)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※提供者タイプ・扱える金融機能・提供形態・料金は2026年9月時点の各社公式サイト・プレスリリースの情報にもとづきます。扱える金融機能や提供形態は事業者ごと・契約内容により異なります。最新の詳細は各社の公式情報をご確認ください。

1. BaaS byGMOあおぞら(GMOあおぞらネット銀行)

BaaS byGMOあおぞらのウェブサイト

GMOあおぞらネット銀行が、銀行免許を持つ立場から口座開設・入出金・振込・デビットカード発行などの銀行機能をAPI経由で外部事業者に提供する組込型金融プラットフォームです。EC・SaaS・フィンテックから他の銀行・証券会社まで、金融・非金融を問わず幅広い事業者が利用しています。

更新系・参照系あわせて無償28種・有償7種の銀行APIを公開し、審査なしで無料で試せる検証環境「sunabar(すなばー)」を用意している点が特徴です。近年は01銀行の「01Bank」(2025年7月開業)や岡三証券の法人向け「岡三BANK」(2025年11月)など、他の金融機関へ銀行機能を提供する事例も広がっています。

2. NEOBANK(住信SBIネット銀行/現・ドコモSMTBネット銀行)

住信SBIネット銀行 NEOBANK(現ドコモSMTBネット銀行)のBaaS事業紹介ページ

銀行免許を持つ住信SBIネット銀行(2026年8月にドコモSMTBネット銀行へ商号変更。BaaS・法人向けではNEOBANKブランドを継続)が、提携先企業のブランドを冠した銀行サービスを提供するBaaSプラットフォームです。2020年に、同行が日本初のフルバンキングBaaSと位置づける「JAL NEOBANK」を提供開始しました。

提携先は自社で銀行代理業の許可を取得することなく、同行の免許・インフラを使って自社ブランドの預金・決済・融資などを展開できます。2025年5月時点で提携22社・利用者200万人超と発表されており、小売・航空・証券・保険・鉄道など幅広い業種で採用されています。

3. 地域BaaS/BeSTA-BaaS(NTTデータ)

NTTデータ 地域BaaSのウェブサイト

NTTデータが、地域金融機関や生活サービス事業者向けに、銀行口座に紐づく決済・金融機能を組み込める組込型金融基盤を提供しています。複数の金融機関が共同で利用できる「共同利用型」で、個社ごとの個別開発を抑えられる点を訴求しています。

地銀勘定系システム「BeSTA」を提供する立場を生かし、2024年10月には勘定系の機能拡張とAPI基盤、ホワイトラベルのバンキングアプリを組み合わせた「BeSTA-BaaS®」の提供を開始しました。2026年2月には、生活サービス事業者(阪急阪神ホールディングス)が主体となるデジタルバンクサービスへの活用も発表されています。

主軸は地域金融機関向けですが、非金融の事業会社でも、一定規模の生活サービスや地域事業者であれば連携の相談先になり得ます。単独のEC事業などでは、銀行型やイネーブラー型の方が現実的な選択肢になることもあります。

4. Finatext(証券・保険・貸付の金融基盤)

Finatextのウェブサイト

Finatextグループは、証券・保険・貸付/クレジットといった複数の金融ドメインを横断して、クラウド・API型の金融インフラを提供するイネーブラーです。銀行APIそのものではなく、自社ブランドの証券口座・保険商品・ローンなどを短期間で立ち上げたい事業者を支えます。

証券基盤(BaaS=Brokerage as a Service、証券子会社スマートプラスが第一種金融商品取引業として提供)、保険基盤「Inspire」、貸付基盤「Crest」を展開しています。クレディセゾン「セゾンポケット」(証券)や三菱UFJ銀行「Biz LENDING」(貸付基盤Crest)などへの導入実績があり、複数分野の金融機能をまとめて相談したい事業者に向く選択肢です。

5. Wallet Station(インフキュリオン)

Wallet Station(インフキュリオン)のウェブサイト

インフキュリオンのWallet Stationは、事業会社が自社ブランド(ハウス型)のスマホ決済サービス(オリジナルPay)を構築するための決済プラットフォームです。銀行APIそのものを提供するBaaSではなく、決済・ウォレット機能を自社アプリに組み込むイネーブラーに位置づけられます。

コード決済、チャージ、バリュー・ポイント管理、キャンペーン、加盟店管理といった機能を標準搭載し、API型プラットフォームとして既存アプリに組み込めます。銀行口座との連携はBank Pay経由で対応し、JCBの「Smart Code™」への接続機能も提供しています。自社ブランドの決済を持ちたい小売・地域事業者などに向きます。

6. Paycierge(TISI)

Paycierge(TISI)のウェブサイト

Paycierge(ペイシェルジュ)は、TISI株式会社(2026年7月にTISとインテックが合併して商号変更)が展開する決済ソリューションのブランドです。カード発行・プロセッシング、コード決済ゲートウェイ、デジタルウォレット、API型のBNPLなど、決済に関わる複数のコンポーネントを組み合わせて提供します。

クレジットカードの基幹システム開発では国内で高い市場シェアを持つと公表されています。SIerとしての実装力を背景に、決済インフラをスクラッチ開発せず、必要な機能だけを組み合わせて事業を立ち上げたい事業者に向きます。琉球銀行・静岡銀行・NTTドコモ・パルコなど、金融機関から大手小売・通信まで幅広い導入実績があります。

7. Stripe(Connect)

Stripe(Connect)のウェブサイト

Stripeは決済インフラを提供するグローバル企業で、プラットフォームやマーケットプレイス型のサービスが複数当事者間の決済を扱うための基盤「Connect」を提供しています。加盟店のオンボーディング審査、資金の受け取り・分配、入金管理などをAPIや埋め込みUIで組み込めます。

日本ではココナラやBizReach、デジスマ診療などのプラットフォーム型サービスが決済の中核として採用しています。ただし、カード発行のIssuing、埋め込み型口座のTreasury、埋め込み型融資のCapitalは日本では提供されておらず、日本国内で利用できるのはConnectです。複数国での展開を見据えるプラットフォーム事業者に向く選択肢です。

出典・参考資料(3件)

まとめ

エンベデッドファイナンスは、金融を本業としない事業会社が、自社サービスの中に決済・口座・融資・保険・投資などの金融機能を組み込む仕組みです。利用者を自社サービスから離脱させずに金融体験まで提供でき、顧客体験の向上・データ活用・新たな収益源につながります。

実現には、サービス提供者・イネーブラー・ライセンス保有者の三者がAPIで連携します。銀行機能を組み込む場合はBaaSやAPI連携が手段となり、免許は銀行が持つ側にあります。自社に必要な登録・許可は、実際に担う行為や座組みによって変わるため、規制・不正対策・データの取り扱いを提供者や専門家と確認しながら設計することが重要です。

まずは自社サービスと相性のよい金融機能を一つ選び、それを提供できる相手を比較検討することから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. エンベデッドファイナンスとは何ですか?

A. エンベデッドファイナンス(組込型金融)とは、金融を本業としない事業会社が、自社のサービスやアプリの中に決済・口座・融資・保険・投資などの金融機能を組み込んで提供する仕組みです。利用者は銀行や金融会社のアプリへ移動することなく、普段使っているサービスの流れの中で支払いや借入などを完結できます。

JAL NEOBANK(航空会社アプリ内の銀行口座)、メルカリの「メルペイスマート払い」(後払い)、UNIQLO Pay(アプリ内決済)などが身近な例です。

Q. エンベデッドファイナンスとBaaSの違いは何ですか?

A. エンベデッドファイナンスが「非金融サービスの中で金融を提供する」という目的・状態を指すのに対し、BaaS(Banking as a Service)はそれを実現する手段の一つで、銀行が口座や決済などの機能を部品として外部に開放する提供形態を指します。

両者は対立する概念ではなく、銀行機能を組み込むエンベデッドファイナンスの多くはBaaSとAPI(システム同士をつなぐ接続の仕組み)を使って実現される、という重なりの関係にあります。

Q. エンベデッドファイナンスの導入に自社の免許や登録は必要ですか?

A. エンベデッドファイナンスで自社に免許や登録が必要かは、実際に自社が担う「行為」と座組みによって変わります。銀行業を営むには内閣総理大臣の免許が必要ですが、この免許を持つのは銀行そのものであり、非金融の事業会社は免許を持つ銀行と組んで金融機能を利用するのが一般的です。

自社が金融サービスの媒介・代理にあたる行為を業として担う場合は、2021年11月施行の金融サービス仲介業の登録などが関わり得ます。一方で、銀行やイネーブラーがその行為を担い、自社は自社ブランドの提供に徹する座組みも一般的で、多くの非金融事業会社はこの形から検討します。

必要な登録・許可は取り扱う行為次第で変わるため、具体的な要否は提供者や専門家に確認しながら設計するのが安全です。

出典・参考資料(2件)

Q. エンベデッドファイナンスではどんな金融機能を組み込めますか?

A. エンベデッドファイナンスで組み込める金融機能は、決済・預金/口座・貸付/後払い(BNPL)・保険・証券/投資など、幅広い分野にわたります。具体的には、自社ブランドのスマホ決済(ハウス型Pay)や銀行口座(NEOBANK型)、組込型ローン・後払い、購入フローの中での保険案内・加入、自社サービス内の証券・積立などがあります。

まずは自社の事業に近い分野から、どの機能を載せられそうかをイメージすると検討が進めやすくなります。

Q. エンベデッドファイナンスの導入はどのような流れで進めますか?

A. エンベデッドファイナンスの導入は、①載せたい金融機能を決める→②組む相手(提供者・イネーブラー)を探す→③規制・役割分担を確認する→④小さく始めて広げる、という流れで進めると整理しやすくなります。

自社サービスと相性のよい機能を顧客の課題から選び、その機能を提供できてAPI・SDKの形態や導入実績が自社に合う相手を比較したうえで、まず1つの機能から導入して利用状況を見ながら対象や機能を拡張するのが現実的です。導入にかかる期間は、載せる機能や座組み、組む提供者によって変わります。

Q. エンベデッドファイナンスはどんな企業に向いていますか?

A. エンベデッドファイナンスは、自社に会員基盤やアプリなどの顧客接点を持ち、その体験の中で金融機能まで提供したい非金融の事業会社に向いています。小売・EC・交通・人材など、顧客との日常的な接点を生かして、顧客体験の向上・顧客データの活用・新たな収益源を狙える企業が中心です。検討の入口は企業規模を問わず、自社サービスと相性のよい金融機能を一つ思い描けるかどうかが出発点になります。

Q. エンベデッドファイナンスにおけるイネーブラーとは何ですか?

A. イネーブラーとは、金融機能を組み込みやすい形に整え、金融機能を載せたい事業会社とライセンス保有者(銀行など)をつなぐ事業者です。API・SDKや共通基盤を提供し、事業会社が金融システムを一から構築しなくても、口座開設・決済・入出金・審査などの機能を利用できるようにします。

エンベデッドファイナンスは、サービス提供者(ブランド)・イネーブラー・ライセンス保有者の三者がAPIで連携して成り立つため、自社が載せたい機能に対応するイネーブラー選びが検討の要になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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