取引先から対策状況を問われたり、ランサムウェアの被害がニュースで報じられたりするたびに、自社の情報セキュリティは大丈夫だろうかと不安を感じていないでしょうか。何から手をつければよいのか、専任の担当者がいない企業ほど全体像が見えにくいものです。
情報セキュリティ対策は、「技術的/人的・ルール(組織的)/物理的」の3つの区分で考えると、抜け漏れなく整理できます。公的機関が公開するチェックリストや脅威情報も、この枠に沿って読み解くと自社の実態と突き合わせやすくなります。
本記事では、企業がやるべき情報セキュリティ対策を区分ごとに一覧で示し、何から始めるべきかの優先順位、守るべき情報資産と最新の脅威傾向、CIAなどの基礎知識までを整理します。そのうえで、社内で対応できる範囲と、外部のサービスに頼ったほうがよい領域の切り分け方も解説します。
自社にできることから着実に進め、手が届かない領域は適切なソリューションで補います。その判断の材料として活用してください。
目次
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情報セキュリティ対策とは?3つの区分で全体像をつかむ
情報セキュリティ対策とは、企業が持つ情報資産を、外部からの攻撃や内部の不注意・不正による漏えい・改ざん・消失から守るための取り組み全般を指します。対策というとウイルス対策ソフトやファイアウォールのような技術的な手段を思い浮かべがちですが、それだけでは守りきれません。
日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)は、情報セキュリティ対策を「技術・人・組織・物理」の4領域で整理しています。本記事では、このうち「組織」を「人・ルール」とまとめ、実務で着手しやすい次の3区分で全体像を示します。
- 技術的対策:ソフトウェアや機器で守る(ウイルス対策・更新・アクセス制御・バックアップ・ネットワーク防御など)
- 人的・ルール(組織的)対策:ルールと運用、従業員の行動で守る(ポリシー策定・権限管理・教育・インシデント対応体制など)
- 物理的対策:場所とモノで守る(入退室・施錠・端末や記録媒体の管理・廃棄時のデータ消去など)
この3区分のいずれかが抜けると、どれだけ他を固めても守りに穴が残ります。たとえば技術的対策を万全にしても、従業員がパスワードを使い回していたり、退職者の入室権限が残っていたりすれば、そこが侵入口になります。まずは次章の一覧で、自社の対策に抜けがないかを突き合わせてみてください。
【一覧】企業がやるべき情報セキュリティ対策(技術的/人的・ルール/物理的)
ここからは、企業が取り組むべき情報セキュリティ対策を3区分で一覧にします。各項目は「何をするか」と「なぜ必要か(どの脅威に効くか)」をあわせて示します。自社のチェックリストとして、できているもの・手つかずのものを確認してください。

技術的対策(ソフトウェア・機器で守る)
- OS・ソフトウェアを最新の状態に保つ:脆弱性を悪用した攻撃を防ぐため、OSや業務ソフト、ネットワーク機器のファームウェアを更新し続けます。放置された既知の脆弱性は侵入の典型的な入口です。
- ウイルス対策ソフト(EPP)とEDRを導入する:端末を守るウイルス対策ソフト(EPP)がマルウェアを検知・駆除し、侵入後の不審な挙動まで検知・対応するEDRを組み合わせると、ランサムウェアや標的型攻撃への備えが厚くなります。
- アクセス制御と認証を強化する:業務上必要な人だけが必要な情報にアクセスできるよう権限を絞り、長く複雑なパスワードと多要素認証を組み合わせます。不正ログインやなりすましを防ぐ基本です。
- データをバックアップする:重要なデータは定期的に複製し、ネットワークから隔離した場所にも保管します。ランサムウェアで暗号化されても復旧できる備えになります。
- ネットワークを防御・監視する:ファイアウォールやUTM(統合脅威管理)で境界を守り、通信を監視して外部からの侵入・内部の不審通信・情報の持ち出しを検知します。
これらの多くは、国家サイバー統括室(NCO)とIPAがまとめた「サイバーセキュリティ対策9か条」や、IPA「情報セキュリティ6か条」でも、最低限の対策として挙げられています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:サイバーセキュリティ対策9か条|国家サイバー統括室(NCO)・IPA(https://security-portal.cyber.go.jp/guidance/cybersecurity9principles.html)
- 出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(情報セキュリティ6か条)|IPA(https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/guideline/index.html)
人的・ルール(組織的)対策(ルールと運用、従業員の行動で守る)
- 情報セキュリティの方針・ルールを定める:情報の取り扱い・パスワード・端末の持ち出し・クラウド利用などの社内ルールを明文化し、全員に周知します。ルールが無いと対策は個人任せになり、抜けが生じます。
- アクセス権限を適切に管理する:役割に応じて権限を付与し、異動・退職時には速やかに見直します。不要な権限の残存は内部不正や乗っ取り被害の温床になります。
- 従業員教育を継続する:偽メール・偽サイトの見分け方、添付ファイルやリンクの扱い、情報の持ち出しルールなどを定期的に学ぶ機会を設けます。人の行動は最も攻撃されやすい一方、教育で守りを厚くできます。
- インシデント対応・復旧の体制を整える:被害を受けたときの連絡先・初動手順・復旧手段をあらかじめ決めておきます。「困った時はひとりで悩まず、まず相談」できる窓口を社内外に用意します。
組織的な取り組みは、経営者が主導することが欠かせません。IPAは中小企業向けのガイドラインで、経営者が認識すべき3原則として「経営者のリーダーシップで進める」「委託先の対策まで考慮する」「関係者との継続的なコミュニケーション」を挙げています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(経営者編)|IPA(https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/guideline/index.html)
社内ルールを明文化するといっても、何を・どの階層で定めればよいか迷いがちです。基本方針・対策基準・実施手順という三層構造の違いや策定の手順、ひな形の入手先は、次の記事で整理しています。
物理的対策(場所とモノで守る)
- 入退室・施錠を管理する:サーバーや重要書類を置く場所への立ち入りを制限し、権限のある人だけが入れるようにします。
- 端末・記録媒体を管理する:PCやUSBメモリ、紙の書類の持ち出し・保管・輸送のルールを決めます。画面ロックを徹底し、外出先での紛失・盗難・覗き見にも注意します。
- 廃棄時にデータを消去する:PCや記憶媒体を廃棄・譲渡する際は、データを復元できない形で確実に消去します。
- 設備・環境面のリスクに備える:サーバーや重要機器は、停電・地震・火災・水漏れなどの被害を受けにくい場所に設置し、無停電電源装置(UPS)やバックアップ電源もあわせて備えると、設備の故障や災害による情報の消失・システム停止を防げます。
物理的対策は、JNSAが示す「物理」領域(入退室・施錠管理、情報機器やUSBメモリ・紙などの記録媒体の管理)に対応します。技術的対策に比べて見落とされがちですが、鍵のかからない場所に重要な情報があれば、どれだけシステムを固めても意味がありません。
出典・参考資料(1件)
- 出典:情報セキュリティ対策の4領域|日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)(https://www.jnsa.org/ikusei/01/02-05.html)
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何から始める?優先順位と最初のチェックリスト
対策の一覧を見ると、やるべきことの多さに手が止まってしまうかもしれません。すべてを一度に実施する必要はなく、公的機関も「できるところから段階的に」進めることを推奨しています。
着手の出発点は、まず自社の情報資産を洗い出すことです(詳しくは後述の「守るべき情報資産とは」で解説します)。
そのうえで、IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、実践の手順を次の3段階で示しています。まず身近な対策から着手し、次に組織としての取り組みを始め、最後に本格的な対策へと広げる流れです。
- できるところから始める:まず「情報セキュリティ6か条」に取り組みます。
- 組織的な取り組みを開始する:情報セキュリティ基本方針を作成・周知し、実施状況を把握して、対策を決めて周知します。
- 本格的に取り組む:リスクに応じてより高度な対策へと広げます。
最初の一歩となる「情報セキュリティ6か条」は、次の6つです。特別な投資がなくても今日から着手でき、費用対効果が高い項目がそろっています。自社のチェックリストとして、できている項目と未着手の項目を確認してみましょう。
対策1 OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう!
出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版「情報セキュリティ6か条」|IPA
対策2 ウイルス対策ソフトを導入しよう!
対策3 パスワードを強化しよう!
対策4 共有設定を見直そう!
対策5 バックアップを取ろう!
対策6 脅威や攻撃の手口を知ろう!
かつては「情報セキュリティ5か条」として知られていましたが、ガイドライン第4.0版(2026年3月27日公開)で「バックアップを取ろう!」が加わり6か条に更新されました。バックアップは、ランサムウェア被害からの復旧を左右する重要な対策です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(実践編)|IPA(https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/guideline/index.html)
ここで触れた「情報セキュリティ6か条」や段階的な進め方は、IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(第4.0版)」が土台です。ガイドラインの構成や、自社の状況を手早く確認できる5分診断まで詳しく知りたい場合は、次の記事で解説しています。
なぜ必要か?守るべき情報資産・怠った場合のリスクと最新の脅威傾向
ここからは、対策がなぜ必要なのかを、守るべき対象・怠った場合のリスク・最新の脅威傾向の3つの視点で整理します。対策の優先順位を自社で判断するための材料になります。
守るべき情報資産とは
情報セキュリティで守る対象は「情報資産」と呼ばれます。顧客や従業員の個人情報、取引先との契約・取引データ、決済に関わる情報、技術やノウハウといった機密情報、そしてそれらを扱うシステムや端末までを含みます。
対策を始める出発点は、自社がどんな情報資産を持ち、どこに保管しているかを洗い出すことです。守るべきものが見えていなければ、どこにどの対策が必要かも判断できません。
対策を怠るリスク
対策が不十分なまま被害を受けると、影響は情報の漏えいだけにとどまりません。復旧費用や損害賠償による金銭の損失、システム停止による事業の停止、情報を預けていた顧客や取引先からの信用の失墜が連鎖します。
とりわけ取引先を経由した被害の拡大は深刻です。自社が攻撃の踏み台にされれば、取引先にまで被害が及び、サプライチェーン全体の信頼を損ないます。規模の小さい企業ほど、一度の被害が事業継続を揺るがしかねません。
取引先や委託先を経由して自社が狙われるサプライチェーン攻撃は、手口も取るべき対策も、自社を正面から狙う通常のサイバー攻撃とは異なります。具体的な手口・国内外の被害事例・取引先を含めた対策は、次の記事で詳しく解説しています。
最新の脅威傾向(IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」)
どの脅威に備えるべきかは、IPAが毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」が手がかりになります。2026年版の「組織」向けの順位は次のとおりです。
| 順位 | 脅威(組織向け) |
|---|---|
| 1位 | ランサム攻撃による被害 |
| 2位 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 |
| 3位 | AIの利用をめぐるサイバーリスク(今回初選出) |
| 4位 | システムの脆弱性を悪用した攻撃 |
| 5位 | 機密情報を狙った標的型攻撃 |
| 6位 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む) |
| 7位 | 内部不正による情報漏えい等 |
| 8位 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 |
| 9位 | DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃) |
| 10位 | ビジネスメール詐欺(BEC) |
上位には、データを暗号化して身代金を要求するランサムウェア、取引先や委託先を踏み台にするサプライチェーン攻撃、更新を怠った脆弱性を突く攻撃が並びます。2026年版では「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めてランクインしました。生成AIへの機密情報の入力や、攻撃側によるAIの悪用など両面のリスクがあり、まずは社内でのAI利用ルールの整備が出発点になります。
リモートワークやクラウド利用の広がりも、新たな攻撃の入口になっています。脅威は年々変化するため、最新の動向を定期的に確認することが大切です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:情報セキュリティ10大脅威 2026(組織編)|IPA(https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html)
組織向けの脅威で1位が続くランサムウェアは、予防・検知・バックアップ・感染時の対応・復旧と、備えるべき段階が分かれます。公的機関の情報にもとづく具体的な進め方や着手の順番は、次の記事にまとめています。
情報セキュリティの基礎知識(CIA3要素・対策の分類・ISMS)
ここでは、対策の全体像を整理するうえで押さえておきたい基礎知識をまとめます。用語を知っておくと、公的機関やベンダーの資料も読み解きやすくなります。
情報セキュリティの3要素(CIA:機密性・完全性・可用性)
情報セキュリティは、次の3つの要素を維持することと定義されます。それぞれの頭文字をとって「CIA」と呼ばれます。総務省の用語集では、各要素を次のように説明しています。
機密性(きみつせい):情報にアクセスすることが認可されたものだけがアクセスできることを確実にすること。
出典:用語集(か行)|総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト
完全性(かんぜんせい):情報および処理方法の正確さおよび完全である状態を安全防護すること。
可用性(かようせい):認可された利用者が、必要なときに情報にアクセスできることを確実にすること。
情報セキュリティの国内外の規格でも、この3要素は基本に据えられています。対策を考えるときは、「誰にも見られないようにする(機密性)」だけでなく、「正しい状態を保つ(完全性)」「必要なときに使える(可用性)」の3つのバランスで捉えると抜けが減ります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:用語集(か行)|総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/glossary/ja_02/)
対策の4分類(技術的・人的・物理的・組織的)と本記事の3区分の対応
情報セキュリティ対策は、「技術的・人的・物理的・組織的」の4つに分類して整理されることもあります。JNSAの「技術・人・組織・物理」の4領域と同じ考え方で、「組織的」を独立させた分け方です。
本記事の一覧では、この「組織的対策」を人的・ルール(組織的)対策に含めて3区分にまとめています。4分類で学んだ内容は、次のように本記事の3区分に対応します。
| 4分類 | 本記事の3区分 |
|---|---|
| 技術的対策 | 技術的対策 |
| 人的対策・組織的対策 | 人的・ルール(組織的)対策 |
| 物理的対策 | 物理的対策 |
情報セキュリティとサイバーセキュリティの違い
「情報セキュリティ」と「サイバーセキュリティ」は混同されがちですが、守る範囲が異なります。情報セキュリティは、紙の書類や口頭でのやり取りを含めた情報資産全般を守る広い考え方です。一方のサイバーセキュリティは、ネットワークや電子的な情報が関わるサイバー空間の安全を守る領域で、情報セキュリティの一部を担うものと位置づけられます。
組織で取り組む仕組み(ISMS・公的ガイドライン)
対策を個別に実施するだけでなく、組織として継続的に維持・改善する仕組みが「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」です。方針を定め、リスクを評価し、対策を実施して見直す、という流れ(PDCA)を回します。第三者認証であるISMS認証(ISO/IEC 27001)を取得すれば、取引先に対策状況を示す材料にもなります。
何から整えればよいか迷う場合は、前述のIPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」が、基本方針の作成から段階的な取り組みまでを具体的に案内しています。公的なガイドラインに沿って進めることで、独自判断の抜け漏れを防げます。
社内でできる対策と外部サービスに頼る領域の切り分け
ここまで挙げた対策には、社内の運用で着手できるものと、専門的なソリューションに頼ったほうが確実な領域があります。限られた人員・予算で進めるには、この切り分けが重要です。
パスワードの強化やソフトウェアの更新、バックアップ、社内ルールの整備や従業員教育は、まず社内で着手できる対策です。一方で、次のような領域は専門のサービスやツールの力を借りたほうが、確実かつ省力で対応できます。
- ネットワーク監視:通信を常時監視し、侵入や不審な通信・情報の持ち出しを検知・追跡する
- ID・認証の管理:複数のクラウドサービスへのログインを一元化し、多要素認証やアクセス制限を効かせる
- 端末防御(EPP/EDR):PCやサーバーをマルウェアから守り、侵入後の挙動まで検知・対応する
- 脆弱性診断・復旧の備え:自社に潜む弱点を定期的に洗い出し、被害時に素早く復旧できる体制を整える

以下は、これらの領域に対応する代表的なサービスの比較表です。自社で手が届きにくい領域から、優先して検討するとよいでしょう。
| サービス名 | CloudGate UNO | Network Blackbox | Eye247 Safety Zone USAV Ⅵ | KATABAMI |
|---|---|---|---|---|
| 対策領域 | ID・認証(IDaaS) | ネットワーク監視(NDR) | 統合パッケージ | 脆弱性診断・復旧・補償 |
| 守る対象 | クラウドへのログイン・ID | ネットワーク通信 | ネットワーク・端末・人 | 社内ネットワーク内部・データ |
| 主な機能・特徴 | SSO・多要素認証 パスキー(FIDO2)による パスワードレス認証 アクセス制限(IP・端末・時間帯) | フルパケットキャプチャ シグネチャ/行為ベース/ コンテンツ分析の検知 MITRE ATT&CKでの脅威ハンティング | Check Point製UTM EPP/EDR・業務可視化 標的型攻撃メール訓練(年2回) | 月次の内部脆弱性診断(年12回) 隔離経路バックアップ サイバー保険の自動付帯 |
| 提供形態 | クラウド(IDaaS) | ミラーリング接続で導入 | ハードウェア同梱パッケージ (クライアント10〜200台) | 専用アプライアンスを設置 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 400〜600円/ユーザー(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 1台1,250円/月〜 |
| 無料トライアル | 30日間 | なし(デモ申請可) | なし | なし(初回無料相談あり) |
| こんな企業におすすめ | 複数のクラウドのID・認証を 一元管理したい企業 | ネットワーク監視と 侵入後の事後調査を 強化したい企業 | 複数の対策を1契約で まとめて導入したい中小企業 | 弱点を定期的に把握し 復旧・補償まで備えたい企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

ゼロトラストの考え方に基づくシングルサインオン(SSO)を提供するIDaaS(クラウド型のID管理サービス)です。一度の認証で複数のクラウドサービスへアクセスでき、サービスごとのパスワード管理から利用者を解放します。
「最小権限の原則」に基づくアクセス制限と、パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証を備え、不正ログインやなりすまし、ランサムウェアの侵入対策としても有効です。IT管理者がパスワード忘れの対応に追われる手間を減らせる点も、少人数で運用する企業に向いています。ID・認証の一元管理から着手したい企業に適した選択肢です。
パスワードレス認証への切り替えが、IT部門の運用負荷にどう影響するのか。提供元の株式会社インターナショナルシステムリサーチは、次のように述べています。

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。
2. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

ネットワークを流れる通信をフルパケットで保存・分析する、NDR(ネットワーク検出・応答)ソリューションです。公式ページによると、ネットワーク全区間の通信を原本のまま収集・保存し、侵入や不審な通信を検知します。
シグネチャによる既知攻撃の検知に加え、ユーザー行為のパターンから異常を見つける検知や、送受信データの内容分析による脅威検出を組み合わせます。通信を記録しているため、侵入・内部の不審通信・水平移動・データ持ち出しを、後からさかのぼって調べられるのが特徴です。
ネットワーク層での監視・事後調査を強化したい企業に向いています。端末単体の操作やクラウドへの不正ログインなど、通信に現れない事象は対象外のため、端末防御やID管理と組み合わせる前提の製品です。
3. Eye“247” Safety Zone USAV Ⅵ(株式会社フーバーブレイン)

UTM(統合脅威管理のネットワーク機器)、エンドポイント対策、業務可視化、標的型攻撃メール訓練を1つにまとめた、ハードウェア同梱の統合セキュリティパッケージです。ネットワーク・端末・人への対策を1契約で導入できます。
Check Point製のUTMがファイアウォール・IPS・アンチウイルスなどで境界を守り、エンドポイント対策(EPP/EDR)が端末を防御、業務可視化ソフトがUSBメモリへのファイルコピー記録などで情報漏えい対策を担います。標的型攻撃メール訓練も標準で付帯します。
専任のIT担当者を置きにくい中小企業が、複数の対策をまとめて導入したい場合に適しています。導入・運用は販売代理店経由の個別見積となります。
4. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

「予防・復旧・補償」の3本柱でサイバー攻撃対策を提供するパッケージ型サービスです。鍵から生成する特殊なIPv6アドレスで通信を暗号化する独自技術をベースに、なりすましや中間者攻撃を排除します。
予防は、ネットワーク内部から月次(年12回)で脆弱性を診断し改善策を報告する「定期検診」、復旧は隔離した経路でデータを自動バックアップする仕組み、補償はサイバー保険の自動付帯です。自社の弱点を定期的に把握しつつ、被害時の復旧と補償まで備えたい企業に向いています。
月額は1台あたり1,250円からで、公式サイトは最短2週間での利用開始を掲げています。検出した脆弱性への対策の実装は原則として利用企業側の作業で、希望すれば別料金で委託も可能です。
ランサムウェアの被害時に、復旧のよりどころとなるはずのバックアップがどう狙われるのか。提供元の株式会社SYNCHROは、次のように述べています。

現状、ランサムウェア攻撃を受けた企業のうち、約8割近くでバックアップデータも潰されていると、警察からも発表されています。バックアップ経路は通常のネットワーク上にあるため、ランサムウェアを仕掛けてきた攻撃者にもたどり着けてしまうものがほとんどだからです。そこで当社は、KATABAMIを使ってバックアップを見えない経路で隠す仕組みを取り入れています。
ここで取り上げた4サービスは、守る対象の異なる代表例です。ネットワーク・ID・端末・データ・監視運用といった対象ごとに、どんなタイプのソリューションがあり、費用相場や運用体制を踏まえてどう選べばよいかを一覧で見比べたい場合は、次の記事で守る対象別に整理しています。
社内セキュリティソリューション比較|守る対象別のタイプ・代表サービスと選び方
社内のセキュリティを強化したいものの、端末の保護から不正アクセス対策、情報漏えいの防止まで課題が広く、何から手をつければよいか判断がつかないという声は少なくありません。テレワークやクラウド利用が定着し、社外に持ち出される端末やIDが増えたこ…
まとめ
情報セキュリティ対策は、「技術的/人的・ルール(組織的)/物理的」の3区分で捉えると、自社の抜け漏れを突き合わせやすくなります。すべてを一度に進める必要はなく、IPAの推奨するように「情報セキュリティ6か条」のできるところから着手し、組織的な取り組み、本格的な対策へと段階的に広げるのが現実的です。
パスワードや更新、バックアップ、ルール整備や教育は社内で着手し、ネットワーク監視・ID管理・端末防御・脆弱性診断といった専門領域は、適切なサービスで補います。この切り分けを意識すれば、限られた人員でも守りを着実に固められます。自社に合うソリューションの比較検討に、本記事を役立ててください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 情報セキュリティ対策とは何ですか?
A. 情報セキュリティ対策とは、企業が持つ情報資産を、外部からの攻撃や内部の不注意・不正による漏えい・改ざん・消失から守るための取り組み全般です。ウイルス対策などの技術的な手段だけでなく、ルール整備や従業員教育(人的・ルール対策)、入退室管理や記録媒体の管理(物理的対策)まで含みます。本記事では、これらを実務で着手しやすいよう「技術的/人的・ルール(組織的)/物理的」の3区分で整理しています。
Q. 情報セキュリティ対策は何から始めればよいですか?
A. 情報セキュリティ対策は、まず自社が持つ情報資産とそのリスクを把握し、IPA「情報セキュリティ6か条」のできるところから着手するのが現実的です。6か条は、本文「何から始める?」で紹介したOS更新・ウイルス対策・パスワード強化などの基本で、特別な投資がなくても今日から始められます。
そのうえで、基本方針の作成など組織的な取り組みへ、さらに本格的な対策へと段階的に広げるのが、公的機関も推奨する進め方です。
Q. 中小企業は最低限どこまで情報セキュリティ対策をすればよいですか?
A. 中小企業の最低限の対策は、IPA「情報セキュリティ6か条」に取り組み、情報セキュリティ基本方針を定めて社内に周知することが出発点になります。専任の担当者がいなくても本文の6か条のような基本から着手でき、取引先から対策状況を問われた際の説明材料にもなります。
さらに対策状況を対外的に示したい場合は、第三者認証であるISMS認証(ISO/IEC 27001)の取得も選択肢です。
Q. 情報セキュリティ対策は社内でどこまでやり、どこから外部に頼るべきですか?
A. 社内でできる基本対策は自社で着手し、専門領域は外部のサービス・ツールに頼るのが効率的です。パスワード強化・ソフトウェア更新・バックアップ・社内ルールの整備・従業員教育までは社内で進め、ネットワーク監視・ID/認証管理・端末防御(EPP/EDR)・脆弱性診断といった専門領域は外部に任せます。限られた人員・予算なら、自社で手が届きにくい領域から優先して検討するとよいでしょう。
Q. 情報セキュリティ対策の費用はどのくらいかかりますか?
A. 情報セキュリティ対策の費用は、社内で着手する基本対策は特別な投資なしに始められ、外部ツールは製品や企業規模によって幅があるのが実情です。たとえば本記事で紹介したパッケージ型のサービスには、月額1台あたり1,250円から利用できるものもあります。まず社内でできる対策を進めつつ、必要な外部ソリューションについては料金を資料で見比べて判断するとよいでしょう。
Q. 情報セキュリティとサイバーセキュリティは何が違いますか?
A. 情報セキュリティは、紙の書類や口頭でのやり取りを含めた情報資産全般を守る広い考え方で、サイバーセキュリティはそのうちネットワークや電子的な情報が関わるサイバー空間の安全を守る一部の領域です。このことから、サイバーセキュリティは情報セキュリティに含まれる関係にあると整理できます。
Q. 情報セキュリティの3要素と7要素は何が違いますか?
A. 情報セキュリティの3要素は機密性・完全性・可用性(CIA)を指し、7要素はこれに真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性の4つを加えたものです。まずは基本の3要素を押さえ、必要に応じて残りの4つの観点も加えて考えると、対策の抜け漏れを防ぎやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















