案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散らばっていて、案件ごとに集め直さないと形になりません。
プロジェクト収支管理システムは、この集め直しをシステム側で肩代わりし、進行中の案件でも粗利が見える状態をつくるための仕組みです。ただ、一口に「プロジェクト収支管理」と言っても、収支だけを見る製品から、販売管理や会計まで一体で扱う製品、工数の記録から始める製品まで、対応する業務の範囲は大きく違います。
本記事では、プロジェクト収支管理システム20サービスを対応業務範囲ごとに4タイプへ分けて比較します。工数から人件費原価が作られる仕組み、販売管理・会計システムとの連携範囲、想定される企業規模と対象業種、提供形態と無料トライアルの有無を同じ粒度で整理しました。間接費の配賦や進行基準での売上計上への対応は、記事後半で製品差が出る論点として解説します。
このカテゴリは料金を公開している製品が少なく、初期費用の実額を公開しているのは20製品中7製品です。候補を数社に絞り込むための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
プロジェクト収支管理システムとは
プロジェクト収支管理システムとは、案件・プロジェクトという単位に売上と原価を紐づけ、計画(予算)と実績を突き合わせて採算を可視化するシステムです。原価には外注費や経費だけでなく、メンバーの作業時間から換算した人件費も含まれます。
会計システムが扱うのは、会社全体や部門単位の損益です。案件単位の損益は会計の勘定科目には現れないため、別の仕組みで積み上げる必要があります。その積み上げを日々の入力から自動で行うのが、このカテゴリの製品の役割です。
案件単位で収支を管理する目的と重要性
案件単位で収支を管理する目的は、大きく3つに整理できます。進行中の案件の採算を早く掴むこと、案件ごとの利益率の違いを事業判断に使うこと、そして見積の精度を実績で鍛えることです。
もっとも切実なのは1つ目です。完了後に赤字と分かっても打てる手は残っていませんが、進行中であれば、追加要員の投入を止める、追加作業を有償の変更契約に切り替える、次工程の外注先を見直すといった判断ができます。採算が見えるタイミングが早いほど、選べる打ち手が多く残ります。
2つ目は、案件ごとの利益率が分かって初めて成り立つ判断です。売上規模の大きい案件が必ずしも利益に貢献しているとは限らず、小規模でも利益率の高い案件のほうが事業を支えていることもあります。どの顧客・どの案件タイプに人を割くかという配分は、案件別の粗利を並べないと決められません。
3つ目は受注段階に効きます。過去の類似案件で実際にかかった工数と原価が残っていれば、次の見積はその実績を根拠に置けます。勘と記憶で値決めをしている状態から抜け出すには、実績が案件単位で蓄積されていることが前提になります。
対象になる業態と、案件単位の採算管理が要る条件
案件単位の採算管理が必要になるのは、売上が「モノの個数×単価」ではなく「人が働いた結果」で決まる業態です。受託開発・SIer、広告代理店、Web制作、コンサルティングなどが代表例で、本記事で紹介する製品の多くもこれらの業種を対象に設計されています。
業種で線を引くよりも、次の条件に当てはまるかで考えるほうが実態に合います。
- 原価の大半を人件費(労務費)が占めており、材料費や仕入原価が中心ではありません
- 1人が複数の案件を並行して担当し、誰がどの案件に何時間使ったかが自明ではありません
- 案件の期間が月をまたぎ、売上の計上と原価の発生がずれます
- 案件ごとに契約形態(請負・準委任・保守)や単価が異なり、共通の物差しで比べにくくなっています
逆に、案件が1〜2週間で完結し、担当者が案件を掛け持ちしていない場合は、システムを入れなくても表計算で追いきれます。並行案件数と期間の長さが増えるほど、案件と工数の紐づけを人手で維持することが難しくなります。
プロジェクト収支管理システムの主な機能
製品によって範囲は違いますが、このカテゴリで共通して見られる機能は次の5つです。どこまでを1つのシステムで賄うかが、後述するタイプの違いにつながります。
- 案件別の予実管理:案件ごとに売上予算・原価予算を登録し、実績と対比して差異と着地見込みを表示します
- 原価管理:外注費・経費・労務費を案件に集計し、直接費と間接費を区分して原価を計算します
- 工数管理:メンバーが案件ごとの作業時間を入力し、単価を掛けて人件費に換算します
- 請求・販売管理:見積・受注・発注・請求を案件に紐づけ、売上と仕入を収支に反映します
- 会計システム連携:集計した売上・原価を仕訳として会計システムへ渡し、二重入力をなくします
比較の際は、機能名の有無だけでなく「何を入力すると、何が自動で集計されるか」を確認してください。同じ「原価管理」でも、金額を手入力する製品と、工数入力と発注データから自動で積み上がる製品では、運用の手間がまったく異なります。
工数管理ツール・プロジェクト管理ツール・会計システムとの違い
隣接するカテゴリと機能が重なるため、検討の初期段階では違いが分かりにくい領域です。それぞれがどんな問いに答えるものかを並べると、境界がはっきりします。
工数管理ツールは「誰がどの案件に何時間使ったか」に答えます。時間の記録が主目的で、時間単価を設定して人件費まで出せる製品もあれば、時間の可視化までにとどまる製品もあります。売上を持たないため、単体では粗利は出ません。
プロジェクト管理ツールは「案件が予定どおり進んでいるか」に答えます。タスク・工程・担当者の進捗が中心で、原価や売上の集計は守備範囲外の製品が多くあります。進捗は分かっても採算は分からない、という状態はここから生まれます。
会計システムは「会社全体・部門単位でいくら儲かったか」に答えます。制度会計が目的なので、集計の単位は勘定科目と部門であり、案件という軸を持たないのが通常です。
プロジェクト収支管理システムは、この3つの中間で「案件ごとにいくら儲かっているか(儲かりそうか)」に答えます。工数を人件費に換え、売上と突き合わせ、案件という軸で損益を出すところまでを担当します。既存の工数ツールや会計システムを残したまま、この軸だけを足す構成も選べます。
案件ごとの採算よりも、部門別・事業別の損益や全社の予実を整えることが主な課題であれば、探すべき製品は管理会計システムです。以下の記事で、目的・規模別のタイプの違いと主要サービスの機能・料金を比較しています。
プロジェクト収支管理システムの4つのタイプ
ここからは、製品の選択肢を「収支管理の外側でどこまでの業務をカバーするか」で4つに分けて整理します。この軸で自社の立ち位置が決まると、比較する相手は4分の1程度まで減ります。

| タイプ | 案件収支の管理に特化したタイプ | 販売管理まで一元化するタイプ | 基幹業務まで統合するERPタイプ | 工数管理から始めるタイプ |
|---|---|---|---|---|
| カバーする業務範囲 | 案件の予算・実績・原価・工数の集計が中核。見積・請求まで備える製品もあるが、会計・人事などの基幹業務は持たない | 販売管理システムとして単体でも導入でき、その上に案件別の収支を載せる | 会計・購買・人事などの基幹業務まで同じデータ基盤に載せる | 作業時間の記録と、単価を掛けた人件費原価の算出に軸足を置く |
| 向いている企業 | 会計は既存システムを残し、案件別の採算を早く見えるようにしたい企業 | 既存の販売管理システムの置き換えとあわせて、案件の受注から請求までの転記をなくしたい企業 | 全社の経営数値と案件採算を同じ数字で見たい企業、基幹システムの入れ替え時期を迎えている企業 | 原価の大半が人件費で、まず工数の実態を掴みたい企業 |
| 該当する主なサービス | プロカン/Reforma PSA/OBPM Neo/HUE Classic Project Management/SMILE V 2nd Edition Project Director/LEEAD/プロジェクト収支管理Rebo/プロジェクトマネジメントDX Flagxs | 楽楽販売/freee販売 | クラウドERP ZAC/SmileWorks/OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション/MA-EYES/GRANDIT miraimil/Biz∫ | Lychee Redmine/TimeCrowd/TeamSpirit 工数/マネーフォワード クラウド個別原価 |
※上記は各タイプにおける一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
案件収支の管理に特化したタイプ
案件ごとの予算・実績・原価・工数の集計を中核に据えた製品群です。見積・受注・請求までを備えるものもありますが、販売管理システムとして単体で置き換える設計ではなく、会計・人事といった基幹業務は持ちません。会計は既存のシステムを使い続け、足りていない「案件という集計軸」を補う構成になります。
導入範囲が狭いぶん、稼働までの期間が短く、費用も抑えやすい傾向があります。一方で、請求データや仕入データを別システムから取り込む設計になるため、連携の方式(API連携かCSV取込か)と、取り込みの頻度が運用の質を左右します。この領域には業種特化の製品も多く、自社の商流に近い設計かどうかが選定の分かれ目になります。
販売管理まで一元化するタイプ
販売管理システムとして単体でも導入でき、その上に案件別の収支管理を載せる製品群です。見積・受注・発注・仕入・請求が発生源のところで案件に紐づくため、収支の集計に転記が入りません。前のタイプとの違いは、販売管理そのものを置き換える前提かどうかにあります。
販売管理システムを別に運用している企業にとっては、置き換えの検討が必要になります。案件の収支を見たいだけなのか、受注から請求までの業務そのものを作り直したいのかで、投資の意味が変わります。工数管理まで標準で持つかは製品差が大きい部分です。
置き換えも視野に入れて販売管理の製品そのものを見比べたい場合は、以下の記事で見積・受注から請求・在庫までを扱う主要サービスをタイプ別に整理しています。案件単位の管理に強い製品もこちらで確認できます。
基幹業務まで統合するERPタイプ
案件収支を、会計・購買・人事給与などの基幹業務と同じデータ基盤に載せる製品群です。会計まで同じシステムで扱う点が、前の2タイプとの分かれ目になります。案件の原価がそのまま会計仕訳につながるため、案件別の数字と決算の数字が突き合わせやすくなります。
導入の重さは4タイプで最大です。要件定義から稼働まで数か月単位、費用も他タイプより桁が上がることが珍しくありません。基幹システムの更新時期が近い、あるいは全社の経営数値と案件採算を同じ数字で見たいという動機がある場合に、投資の理由が成り立ちます。対象とする企業規模は製品ごとに差が大きいため、自社の規模が想定レンジに入っているかを先に確認してください。
基幹システムの更新に合わせて検討するなら、案件収支に限らず予実管理・連結会計まで含めた製品群も見ておくと、どこまでを1つの仕組みに載せるかを決めやすくなります。以下の記事でERPを含む4タイプを比較しています。
経営管理システムおすすめ28選を比較|予実管理・連結会計・ERPのタイプ別に自社に合う選び方を解説
経営管理システムの導入を検討する段階では、「予実管理がExcelに依存して属人化している」「事業部や子会社が増え、月次の集計と経営会議の資料づくりに時間がかかる」といった課題に直面しているのではないでしょうか。 経営管理システムは、予算・実…
工数管理から始めるタイプ
誰がどの案件に何時間使ったかを記録し、単価を掛けて人件費原価に反映することに軸足を置く製品群です。原価の大半が人件費という受託業の実態に、もっとも直接的に効きます。
注意したいのは、売上を持つ製品ばかりではないという点です。売上と突き合わせた粗利まで見るには、請求・案件管理を担う別システムとの連携や、同じベンダーの上位製品の追加契約が前提になる製品があります。「工数は見えるが収支は見えない」状態で止まらないよう、売上側のデータがどこから来るのかを導入前に確認してください。
逆に、原価の作り込みは4タイプでもっとも細かくできます。人ごと・職種ごとの単価設定や、間接費の配賦まで踏み込める製品もあり、原価の内訳を説明する必要がある企業には有力な選択肢になります。
30秒でわかる|自社に合うプロジェクト収支管理システム診断
ここまでのタイプ分けで自社の方向は絞れますが、複数のタイプにまたがって見える場合もあります。以下の診断では、任せたい業務範囲・企業規模・重視する点の3問に答えると、条件に合う候補が表示されます。判断に迷ったときの手がかりとしてお使いください。
一括ダウンロードする
【比較表】プロジェクト収支管理システム20選
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要なプロジェクト収支管理システム20製品を4つのタイプ別に分類してご紹介します。料金は公式サイトで公開されている金額を記載し、公開のないものは要問い合わせとしています(2026年8月時点)。
表の記号は次の意味です。●は標準機能として公式に確認できるもの、△は別製品・別オプションの契約が必要なもの、仕組みが公式に公開されていないもの、機能の有無そのものを公式で確認できなかったものを表します。「公式に記載なし」は、その項目について公式サイトに記述がなかったことを示します。
どの列を重く見るかは自社の状況で変わります。判断の軸は「自社に合うプロジェクト収支管理システムの選び方」で5つの観点に整理していますので、先に読んでから表に戻る進め方もおすすめです。
案件収支の管理に特化したタイプの比較
| サービス名 | プロカン | Reforma PSA | OBPM Neo | HUE Classic Project Management | SMILE V 2nd Edition Project Director | LEEAD | プロジェクト収支管理Rebo | プロジェクトマネジメントDX Flagxs |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 100,000円〜(税込110,000円〜) | 0円 | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) |
| 月額費用 | 20,000円〜(税込22,000円〜) 利用人数に応じて変動 | 30,000円〜(税抜) 販売管理6,000円・購買管理2,000円・勤怠管理300円などの機能別オプションを加算(いずれも税抜) | 105,000円〜(税抜) 案件別の原価管理はEnterprise相当のエディションが前提。最低10ライセンス・1年単位契約 | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) |
| 工数から人件費原価への反映 | △Googleカレンダー連携で工数入力を支援。人件費への換算方法は公式に記載なし | ●プロジェクト・作業内容ごとの工数登録から労務費配賦計算で人件費に反映 | ●社員ランク別の標準原価設定と、勤務実績表と連動した工数管理で原価に反映 | △工数から人件費・原価への反映の仕組みは公式に記載なし | ●Web工数入力から案件ごとの労務費を算出(勤怠のUniversal 勤次郎とも連携可) | △日単位の実績工数入力に対応。設定した人件費原価への換算方法は公式に記載なし | △工数管理機能は公式に記載なし | ●要員グレード別に単価を設定し、工数実績から自動で金額換算 |
| 見積・請求などの販売管理 | ●見積書・請求書・発注書など7種類の帳票と稟議・承認 | ●見積書・発注書・請求書の発行と各種ワークフロー申請 | △販売管理システムとはWeb API・ETLでの連携。見積・請求書の発行機能は公式に記載なし | ●見積・受注・売上・請求と、発注・仕入・支払を案件単位で一括管理 | ●受注・発注・仕入・売上・請求・入金・支払を案件単位で一元管理 | △請求額・外注費の自動集計に対応。見積書・請求書の発行機能は公式に記載なし | ●受発注・請求・仕入・支払と、売掛金/買掛金を扱う債権債務管理 | △見積・請求などの販売管理機能は公式に記載なし |
| 会計システム連携 | ●弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワード(業種別ページに記載) | ●勘定奉行クラウド・弥生会計デスクトップ版・マネーフォワード クラウド会計など6製品へ仕訳出力 | ●月次の仕掛原価・計上収益・完成原価を会計システムへ出力(勘定奉行クラウド・SuperStreamとの連携実績) | ●月次決算機能で原価計算から仕訳・会計連携までを処理 | ●SMILE V 2nd Edition 会計と売上・仕入・経費・入出金を連携 | △CSVの入出力による連携(指定の会計システムとのAPI連携は公式に記載なし) | ●勘定奉行・大蔵大臣はアドオン版で仕訳を自動作成、それ以外はCSV出力 | △会計システムとの連携範囲は公式に記載なし |
| 想定規模・対象業種 | IT・システム開発、イベント・映像制作、広告・PR、デザイン/Web/アプリ制作、建設・設計・工事 企業規模は公式に記載なし(公式の試算例は15ID契約) | 従業員50名以下が目安(公式のZAC比較ページ) IT・広告・イベント・コンサルティング・制作・設計業 | システム開発業(製造・工事業向けの業種特化版あり) 企業規模は公式に記載なし | SI・工事・コンサルティング・研究開発などのプロジェクト型業種 企業規模は公式に記載なし(中小企業向けプランの案内はなし) | 広告制作業・SI業・コンサルティング業など案件単位で進む業種 企業規模は公式に記載なし | クリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサルティング業、IT・システム業 企業規模は公式に記載なし | ソフトウェア開発業、広告制作業、TV番組/映画/アニメーション制作業、イベント企画運営業など企画・制作業 企業規模は公式に記載なし | 公式プレスリリースで中〜大企業・SI企業を主な想定顧客と説明 対応業種の限定は公式に記載なし |
| 提供形態・無料トライアル | クラウド 無料トライアルは公式に記載なし | クラウド 無料トライアルは公式に記載なし(無料デモ・商談の案内あり) | クラウド 無料トライアルあり(期間は公式に記載なし) | オンプレミス(AWS/OCI上での運用代行「HUE Classic Cloud」は別提供) 無料トライアルは公式に記載なし | オンプレミス(クラウド版の案内なし) 無料トライアルは公式に記載なし(体験版の申し込み案内あり) | クラウド 無料トライアル30日間 | オンプレミス(パッケージソフトウェア) 無料トライアルは公式に記載なし(デモの案内あり) | クラウド 無料トライアルは公式に記載なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
販売管理まで一元化するタイプの比較
| サービス名 | 楽楽販売 | freee販売 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 200,000円(税抜) | 0円 |
| 月額費用 | 70,000円〜(税抜) 基本料金にデータベース数・ユーザー数に応じた料金を加算 | スタータープラン 約5,000円〜(3名利用・年払・税抜) スタンダードプラン 約40,000円〜(10名利用・年払・税抜) |
| 工数から人件費原価への反映 | △工数管理機能はあるが、工数の入力単位・人件費単価の設定方法は公式に記載なし | △人件費を原価に含めるには別製品「freee工数管理」との連携が前提(メンバー1人あたり月500円〜・年払) |
| 見積・請求などの販売管理 | ●見積・受注・売上・請求・入金と、購買申請・発注・仕入・支払 | ●見積・受注・売上・請求・入金と、発注・仕入・債権管理 |
| 会計システム連携 | ●勘定奉行クラウド/11へCSV出力、freee会計へAPI連携(弥生会計・PCA会計・OBIC7なども連携先一覧に掲載) | ●売上・仕入の取引データをfreee会計へ自動仕訳連携 |
| 想定規模・対象業種 | IT・システム開発、広告代理店・広告制作、コンサルティング、ビルメンテナンスなど 企業規模は公式に記載なし | 個人事業主・小規模法人(スタータープラン)〜規模拡大期の中小企業(スタンダードプラン) IT・システム開発、コンサル、クリエイティブ・制作、メディア・広告、アニメ制作、製造業 |
| 提供形態・無料トライアル | クラウド 無料トライアルあり(期間は公式に記載なし) | クラウド 無料トライアルあり(freeeグループ共通のお試しプランで最長30日間) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
基幹業務まで統合するERPタイプの比較
| サービス名 | クラウドERP ZAC | SmileWorks | OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション | MA-EYES | GRANDIT miraimil | Biz∫ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 100,000円(ZAC初期設定費用、税区分は公式に記載なし) 導入支援費用は別途見積もり | 0円(販売ERPプラン)/30,000円(標準プラン) 税区分は公式に記載なし | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 個別見積もり セルフ導入プラン利用時は1,500,000円〜(税区分は公式に記載なし) | 要お問い合わせ(公式非公開) |
| 月額費用 | 60,000円〜(データセンター利用料、税区分は公式に記載なし) 機能モジュール×ライセンス数の料金が加算(単価は非公開) | 5,000円〜(販売ERPプラン)/10,000円〜(標準プラン) 利用する機能ごとの費用を加算。税区分は公式に記載なし | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) 一括型・SaaS型・SaaS+の3種類から選択 | 450,000円〜(税抜) 経理・債権・債務・販売・調達/在庫の5業務を10名以下で利用する場合の例(2021年提供開始時) | 要お問い合わせ(公式非公開、個別見積もり) |
| 工数から人件費原価への反映 | ●工数が案件別の直接作業・間接作業の労務費として自動集計、共通費・販管費は配賦基準で自動配賦 | △稼働報告は標準機能。案件別の人件費配賦には給与ワークス契約+配賦機能オプション(月額5,000円・税抜)が必要 | △開発工数管理機能はあるが、工数から人件費への換算方法は公式に記載なし | ●メンバーマスタの基準時間の単価×作業時間で算出(個人別または部門のジョブグレード別に単価設定) | △案件単位の要員山積みに対応。工数入力・人件費按分の仕組みは公式に記載なし | △社内労務費(直接費・間接費)をランク別単価で管理。工数実績から人件費への自動換算の仕組みは公式に記載なし |
| 見積・請求などの販売管理 | ●見積・受注・売上・請求・入金・債権管理(購買管理は別ライセンス) | ●見積・受注・売上・請求・入金消込(販売ワークス) | ●引合・受注・売上・物品販売・発注購買・外注支払を案件単位で管理 | ●見積管理と、受注・売上・請求・入金の一元管理 | ●販売・調達/在庫モジュールで受発注から進捗に応じた売上計上まで対応 | ●同一ERP内のBiz∫販売・購買で対応(役務購買のオンライン化テンプレートあり) |
| 会計システム連携 | ●仕訳インポート機能を持つ会計システムと連携(勘定奉行クラウドはAPI連携をOBCが案内) | ●同一ERP内の会計ワークスへ自動仕訳(他社会計ソフトへの出力にも対応) | ●同一ERP内の会計情報ソリューション・人事給与情報ソリューションと連携 | ●勘定奉行クラウドへ仕訳データを連携(API連携で工数・仕訳・売上データも連携可) | ●同一ERP内の経理・債権・債務モジュールと共通マスタで連携 | ●Biz∫会計・Biz∫販売と連携して発生原価を自動取り込み |
| 想定規模・対象業種 | 従業員50名以上が目安(50名以下はReforma PSAを案内) IT・システム開発、広告制作、士業・コンサルティング、建設コンサルタントなど公式13業種 | システム開発業、印刷業・デザイン会社の導入事例を公開 企業規模は公式に記載なし(料金プランは20ID以下〜300ID以上の帯で提示) | IT関連業、コンサルティング業、設備工事業、広告関連業 企業規模は公式に記載なし | IT業(システム開発・SES)、コンサルティング業、広告業(A ver.) 企業規模は公式に記載なし | 中小企業向けと明記(従業員数の目安は記載なし) 商社・卸売業、サービス業、情報サービス業 | 製造、商社、鉄道・運輸、IT、エンジニアリング、建設、保険・金融など多業種 企業規模は公式に記載なし |
| 提供形態・無料トライアル | クラウド 無料トライアルは公式に記載なし(無料デモ相談・製品ツアーの案内あり) | クラウド(統合型ERP) 無料トライアル最大2か月 | オンプレミス/クラウド(個別環境のプライベート型) 無料トライアルは公式に記載なし | クラウド 無料トライアル30日間 | クラウド(Microsoft Azure基盤) 無料トライアル1か月 | オンプレミス/クラウド(Biz∫Optima) 無料トライアルは公式に記載なし |
| 詳細情報 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
工数管理から始めるタイプの比較
| サービス名 | Lychee Redmine | TimeCrowd | TeamSpirit 工数 | マネーフォワード クラウド個別原価 |
|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 要お問い合わせ(契約時に別途発生、金額は公式非公開) | 要お問い合わせ(プランにより導入支援費用が発生、金額は公式非公開) |
| 月額費用 | 900円〜2,100円/ユーザー(税抜、10ユーザー単位で購入) 工数単価による人件費算出と収支予測はプレミアムプラン(1,400円)以上 | 要お問い合わせ(公式非公開) | 18,000円〜(税抜、50ユーザー分のライセンス込み) 勤怠とのセットは30,000円〜(税抜) | 要お問い合わせ(利用人数により変動、公式非公開) |
| 工数から人件費原価への反映 | ●コストグループ別に設定した工数単価×作業時間で人件費を自動算出(プレミアムプラン以上) | ●ワークスペース単価・チーム単価の2階層設定で、稼働時間×単価をカテゴリ(案件)ごとに自動集計 | △標準単価×工数実績による原価計算は別製品「TeamSpirit プロジェクト原価管理」の機能(工数実績は自動連携) | ●勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して労務費を按分、製造間接費も工数比率などの基準で多段階に配賦 |
| 見積・請求などの販売管理 | △見積・請求などの販売管理機能は公式に記載なし | △見積・請求などの販売管理機能は公式に記載なし。売上と突き合わせた案件別の粗利はboardなど請求・案件管理ツールとの連携が前提 | △見積・請求などの販売管理機能は公式に記載なし | △販売管理機能は公式に記載なし。売上を含む案件収支の可視化はクラウド会計Plusなどとの組み合わせが前提 |
| 会計システム連携 | △会計システムとの連携は公式に記載なし(REST APIを提供) | △会計システムとの連携は公式に記載なし(boardなど請求・案件管理ツールへ人件費を同期) | △工数・原価領域の公式連携先はマネーフォワード クラウド個別原価など。会計システム本体との直接連携は公式に記載なし | ●マネーフォワード クラウド会計Plusと連携し、費用データの収集と資産振替仕訳の起票に対応 |
| 想定規模・対象業種 | IT・製造業・自動車関連・金融など業種を問わず導入 企業規模は公式に記載なし | システム開発、士業、コンサルティング、Web制作、金融・保険、建設・不動産など(公式の利用例) 企業規模は公式に記載なし | 大企業から中堅企業まで(1,000名以上向けにTeamSpirit Enterpriseを別提供) 対応業種の限定は公式に記載なし | IPO準備から上場企業向け(公式サイトの位置づけ) IT・システム開発、SaaS・ソフトウェア、クリエイティブ、コンサルティング業など |
| 提供形態・無料トライアル | クラウド/オンプレミス 無料トライアル30日間 | クラウド 無料トライアル2週間 | クラウド(Salesforce Platform上) 無料トライアルあり(期間は公式に記載なし) | クラウド 無料トライアルは公式に記載なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一括ダウンロードする
プロジェクト収支管理システム20選の特徴と料金
比較表で挙げた20サービスについて、何を入力すると何が自動で集計されるのか、いくらで使えるのか、どの規模・業態に向くのかを、タイプ別に順に見ていきます。
案件収支の管理に特化したタイプの8サービス
案件の予算・実績・原価の集計を中核に据えた8サービスです。想定される企業規模は製品ごとに異なるため、各社の記述にある規模の目安とあわせて読んでください。
1. プロカン(株式会社PROCAN)

IT・システム開発向け、制作・広告向け、建設・工事向けと、業種別に3つのラインナップを用意するクラウド型のプロジェクト収支管理システムです。案件ごとに予算・実績・原価・外注費・経費を集約し、経営分析ダッシュボードで案件別の収支を確認できます。
見積書・請求書・発注書など7種類の帳票の作成から稟議・承認までを、1つの入力データから連続して処理する構成です。工数入力はGoogleカレンダーに登録した日時・作業内容との連携で支援されますが、その工数を人件費原価へ換算する計算方法は公式サイトで公開されておらず、単価の設定方法は個別に確認する必要があります。
会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携が業種別ページで案内されています。料金は初期費用100,000円〜(税込110,000円〜)、月額20,000円〜(税込22,000円〜)で、利用人数に応じて変動します。IT導入補助金の対象として案内され、公式の導入効果の試算例も15ID契約を前提としており、中小企業での利用を主に想定した設計です。
2. Reforma PSA(株式会社オロ)

クラウドERP「ZAC」を提供する株式会社オロが、そのうち案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品です。販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理を一元化し、案件別の原価を自動計算することで、仕掛中の案件でも損益を把握できます。
工数はプロジェクトと作業内容ごとに登録し、労務費配賦計算を通じて人件費に反映されます。実行予算(利益計画)の入力・申請にも対応し、仕訳データは勘定奉行クラウド・弥生会計デスクトップ版・マネーフォワード クラウド会計など6製品へ出力できます。
料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)からで、販売管理6,000円・購買管理2,000円・勤怠管理300円といった機能別オプションを月額で加算します。公式の比較ページでは従業員50名以下、導入期間1〜2か月が目安とされ、導入実績は2024年12月時点で500社を超えています。
3. OBPM Neo(株式会社システムインテグレータ)

2008年に「SI Object Browser PM」として販売が始まり、2021年3月にクラウド版「OBPM Neo」としてリリースされたプロジェクト管理システムです。提供元の株式会社システムインテグレータはPMBOKの10の知識エリアをカバーする統合型と位置づけており、品質・進捗・採算・要員をプロジェクト横断で管理します。
原価面では、原価見積と実行予算の登録に加えて、社員ランク別の標準原価設定、工程別原価、月中の参考原価の把握に対応します。工数入力は勤務実績表と連動し、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)によってコスト効率と進捗率を同時に確認できます。導入実績は300社以上・約56,000ユーザーと公表されています(公式サイトに時点の記載はありません)。
料金は月額105,000円(税抜)からで、公式は3エディションのうち「原価管理もできるEnterprise」と案内しており、案件別の原価管理はEnterprise相当のエディションが前提になります。ライセンスは登録ユーザー数課金で、社員1.0・パートナー0.4・顧客0.0と係数が分かれ、最低10ライセンス・1年単位の契約になります。初期費用は公開されていません。
4. HUE Classic Project Management(株式会社ワークスアプリケーションズ)

案件ごとの採算の可視化と原価計上までを担う、ワークスアプリケーションズのERPパッケージ群の一製品です。案件管理・販売管理・調達管理・プロジェクト原価策定・予実管理に加え、原価計算から仕訳、会計システムへの連携までを月次決算機能で処理します。
提供形態はオンプレミス型のパッケージで、AWSまたはOracle Cloud Infrastructure上での運用を同社が代行するHUE Classic Cloudも別途用意されています。TDKの導入事例では、研究テーマの予実管理において毎月の集計・分析が1週間程度から1日に短縮されたと公開されています。
料金は初期費用・月額とも公開されておらず、工数から人件費原価への反映の仕組みも公式ページには記載がないため、いずれも問い合わせでの確認が必要です。協力会社とのWEB-EDIやグループ会社対応を備える一方、中小企業向けの軽量プランは案内されておらず、公開されている導入事例も大手の情報サービス業・製造業です。
5. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社OSK)

大塚商会の完全子会社である株式会社OSKが開発し、大塚商会が販売するプロジェクト収支管理システムです。案件の見込み発生段階から受注・発注・仕入・売上・請求・入金・支払までを一元管理し、案件ポータルで収支実績の履歴と各プロセスの進捗を確認できます。
収支管理では予定値・着地見込み・最終結果を比較するシミュレーションを行え、プロジェクト別・部門別・得意先別・サービスカテゴリー別など複数の軸で分析できます。工数はWeb画面から入力して案件ごとの労務費を算出し、勤怠管理システムのUniversal 勤次郎と連携すれば、勤怠情報と工数を紐づけて原価へ反映できます。
対象は広告制作業・SI業・コンサルティング業など案件単位で進む業種で、独自項目の追加や帳票レイアウトの調整といったカスタマイズにも応じます。料金は公式ページに固定の料金表がなく、クラウド版の提供有無も案内がないため、いずれも問い合わせでの確認が必要です。サポートは大塚商会のコンタクトセンターが平日9:00〜17:30に対応します。
6. LEEAD(株式会社ETVOX)

2021年4月に提供が始まった、プロジェクト会計に機能を絞ったクラウドサービスです。バックオフィス業務全体を扱うのではなく、案件ごとの売上・工数・費用について計画値と実績値を登録して予実を管理し、今後半年から1年の収支見通しと人員計画までを見える化します。
2025年10月には、従業員が日単位で実績工数を入力し、プロジェクトへの割り当て比率を記録する工数管理機能が加わりました。入力データは本体へ自動連携されますが、プロジェクト単位で設定した人件費の原価に工数がどう換算されるかは公開されていません。
部署横断・顧客別・独自グループ別のセグメント分析に対応し、対応業種としてはクリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサルティング業、IT・システム業を掲げています。会計システムとの連携はCSVの入出力が基本です。料金は初期費用・月額とも非公開ですが、利用開始後30日間は無料で試せます。
7. プロジェクト収支管理Rebo(株式会社ディータイド)

企画・制作業向けに株式会社ディータイドが開発したプロジェクト収支管理システムで、提供形態はオンプレミス型のパッケージソフトウェアです。クラウドサービスが主流のこのカテゴリでは、自社サーバーでの運用と保守の体制が前提になる点が違いになります。
案件ごとに売上予算・原価予算を月単位で登録し、予算実績対比表で予算と実績金額の差額を月ごとに追えます。仕入費用・外注費・社内発注・仮払をまとめて扱う債権債務管理も備え、得意先別の売掛金・買掛金残高や入金予定日、入金予定日を過ぎた未収金の一覧まで確認できます。
会計システムは勘定奉行と大蔵大臣に対応するアドオン版があり、伝票登録と同時に仕訳データを自動作成します。それ以外の会計システムへはCSV出力での連携になります。対象業種はソフトウェア開発業や広告制作業、TV番組・映画・アニメーションの制作業などで、料金は公式サイトに記載がなく問い合わせが必要です。
8. プロジェクトマネジメントDX Flagxs(フラッグス株式会社)

WBS(作業分解構成図)を成果物・工程・タスクの3階層で標準化し、タスクと工数のデータを一元管理するクラウド型のサービスです。2024年10月には複数のプロジェクトを横断する損益管理とリソースアサイン管理の機能が加わり、進行中の案件の損益計算書を確認・共有できるようになりました。
人件費は要員グレード別に単価を設定でき、工数実績から自動で金額換算されます。当初予算と実績を即座に比較できるほか、複数のプロジェクトを掛け持つメンバーの過剰なアサインもリソース管理の画面から特定できます。
一方で、販売管理や会計システムとの外部連携の範囲は公式サイトで確認できません。機能追加時のプレスリリースでは中〜大企業やSI企業が主な想定顧客とされていますが、企業規模の具体的な目安と料金は、本記事の執筆時点で公式サイトから確認できませんでした。問い合わせでの確認が必要です。ISO/IEC 27001とISO/IEC 27017を取得しています。
販売管理まで一元化するタイプの2サービス
見積・受注・請求といった販売管理業務まで同じシステムで扱える2サービスです。案件に売上と原価が発生源で紐づく点が共通しています。
9. 楽楽販売(株式会社ラクス)

見積・受注・売上・請求・入金の一元管理を中核に、発注・仕入・支払といった購買側の業務まで標準で備えるクラウド型の販売管理システムです。提供元は株式会社ラクスで、累計導入社数は6,000社を超えています(2025年12月時点)。
案件収支は、受注情報(売上)と発注情報(原価)に加え、間接費など発注以外の原価データを案件単位で紐づけることで自動集計されます。販売管理の入力がそのまま原価データになるため、収支を出すための転記が入りません。工数管理機能も備えますが、工数の入力単位や人件費単価の設定方法は公式サイトで公開されておらず、人件費まで原価に含めたい場合は個別の確認が要ります。
料金は初期費用200,000円(税抜)、月額70,000円〜(税抜)で、月額は基本料金にデータベース数とユーザー数に応じた料金を加える構成です。会計システムとの連携は、勘定奉行クラウド・勘定奉行11へのCSV出力とfreee会計へのAPI連携が公式に案内されています。対象業種としては、IT・システム開発、広告代理店・広告制作、コンサルティングなどが挙げられています。
10. freee販売(フリー株式会社)

フリー株式会社が2022年11月に提供を開始した、クラウド会計ソフトfreee会計との連携を前提に設計されたクラウド型の販売管理システムです。IT・システム開発、クリエイティブ・制作、メディア・広告などの案件型ビジネスを対象とし、プランは個人事業主・小規模法人向けと、案件数が増えた規模拡大期の企業向けの2段階に分かれます。
案件ごとに売上と仕入を登録すると案件別の売上と粗利が自動計算され、取引データは仕訳としてfreee会計へ連携されます。2024年12月に追加された原価推移レポートでは、進行中案件の月別の原価実績を確認できます。ただし人件費を原価に含めるには別製品のfreee工数管理との連携が前提で、同製品のプロジェクトとfreee販売の案件を紐づけて人件費の予算・実績を表示させる構成です。
料金は初期費用0円で、公式サイトの参考価格はスタータープランが3名利用で月額約5,000円、スタンダードプランが10名利用で月額約40,000円です(いずれも年払い・税抜)。freee工数管理は別契約となり、メンバー1人あたり月500円、システム管理者とプロジェクトマネージャーは月2,000円が加わります(年払い)。
基幹業務まで統合するERPタイプの6サービス
案件の原価を会計・購買・人事と同じ基盤で扱う6サービスです。対象とする企業規模の幅が広いため、想定レンジに注目して読み比べてください。
11. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

案件・契約単位で仕事が進む業種に絞って設計された統合型クラウドERPです。案件ごとに販売・購買・工数・経費のデータを登録すると、それらが自動的にその案件の売上と原価として集計され、進行中でも粗利を確認できます。対象業種はIT・システム開発業、広告制作業、士業・コンサルティング業、建設コンサルタント業など、公式に13業種が挙げられています。
登録した工数は案件別の直接作業・間接作業の労務費として自動で積み上がり、共通費や販売費・一般管理費はあらかじめ設定した配賦基準にもとづいて各案件へ配賦されます。進行基準は原価比例法による売上計上額の自動計算に対応し、実際に発生した原価と予定原価から進捗率を再計算して当月の売上を算出します。
料金は初期設定費用10万円と、保守にあたるデータセンター利用料が月額6万円からで、これに機能モジュールとライセンス数に応じた月額が加わります。モジュール単価は公開されておらず、見積もりは問い合わせが必要です。想定規模は従業員50名以上が目安とされ、これを下回る場合は同社のReforma PSAが案内されています。
12. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

販売管理・財務会計・給与計算・在庫・経費精算などを1つに束ねた中小企業向けクラウドERPで、案件収支の管理は販売管理モジュール「販売ワークス」配下の案件管理機能が担います。案件ごとに売上・仕入・経費・社内工数を集約し、登録した予算と実績を対比して確認できます。公式の導入事例ではシステム開発業と印刷・デザイン会社が公開されています。
工数は稼働報告機能で案件単位に入力しますが、これ自体は誰がどの案件にどれだけ関わったかを把握するもので、金額には換算されません。稼働報告と給与計算データを連動させて案件別に人件費を配賦するには、給与ワークスの契約に加えて配賦機能オプション(月額5,000円・税抜)が必要です。
月額は、販売管理に絞った販売ERPプランが5,000円、販売管理・会計・給与を機能単位で選べる標準プラン(初期費用30,000円)が10,000円です。いずれも利用する機能ごとの費用が加わります(税区分は公式に明記なし)。案件管理機能は販売ワークスの契約があれば標準機能として使え、販売ERPプランのみ月額3,000円・税抜のオプションです。最大2か月の無料トライアルも用意されています。
13. OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション(株式会社オービック)

統合業務ソフトウェアOBIC7を構成するソリューションの1つで、案件単位で収益を管理する業種に向けたモジュールです。引合いから受注・売上・開発・発注購買・外注支払・旅費経費までを案件ごとに一元管理し、実行予算と実績、着地予想までを同じ土台で扱います。
案件別に直接費を集計したうえで、仕掛・完成振替処理、間接費や共通費の配賦、標準原価から実際原価への洗替えまで、段階を踏んだ原価計算に対応します。会計情報ソリューションおよび人事・給与情報ソリューションとは同一ERP内で連携し、外注先への源泉支払業務も扱えます。
対応業種はIT関連業・コンサルティング業・設備工事業・広告関連業で、提供形態はオンプレミスと個別環境のクラウドから選べます。初期費用・月額とも公開されておらず、料金は問い合わせが必要です。工数から人件費への換算方法、進行基準での売上計上への対応、想定企業規模も公式サイトには記載がないため、あわせて確認しておきたい点です。
14. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

東京証券取引所グロース市場に上場する株式会社ビーブレイクシステムズが提供する、プロジェクト型ビジネス向けのクラウド型ERPです。プロジェクト管理・作業実績/勤怠管理・購買/経費管理・販売管理・経理・SFA(営業支援)などのモジュールを一つのシステムとして統合しています。システム開発やコンサルティング向けのV ver.と、広告業界向けのA ver.を展開しています。
人件費は、メンバーマスタに設定した基準時間の単価に実際の作業時間を掛けて算出します。単価は個人ごと、または部門のジョブグレード単位で設定でき、標準単価と実績の労務費に差が出た場合は、実績労務費額の割合など業務に合わせた基準で按分調整する仕組みを持ちます。
費用の予実対比機能では月別の原価の予算と実績をグラフで比較でき、工事進行基準による売上・売掛金の計上にも対応します。料金は初期費用・月額とも公開されておらず、導入形態は人数によらない定額の一括型、機能単位で課金するSaaS型、一括型をSaaS形式で利用するSaaS+の3種類から選びます。30日間の無料トライアルが用意されています。
15. GRANDIT miraimil(インフォコム株式会社)

経理・債権・債務・販売・調達/在庫・プロジェクト原価管理・人事・給与など11の業務モジュールを組み合わせて使う、商社・卸売業やサービス業、情報サービス業の中小企業向けクラウドERPです。オンプレミス型ERPのGRANDITをベースに、カスタマイズなしで最短3か月の導入を想定して2021年10月に提供が始まりました。
プロジェクト原価管理モジュールは実行予算を設定して、開始からの実績・見込・差異を照会でき、費目別の実績確認や月別実績データの出力にも対応します。工事進行基準での会計計上に対応し、受発注から進捗に応じた売上計上、実行予算管理までを一連で扱えます。表計算ソフトで作成した実行予算を取り込み、電子承認にかけることも可能です。
月額は経理・債権・債務・販売・調達/在庫の5業務を10名以下で利用する場合の45万円(税抜)からという例が提供開始時に示されており、モジュール構成と利用人数によって変わります。初期費用は個別見積もりで、セルフ導入プランを利用する場合は150万円からです。最新のプラン別料金は公開されていないため、問い合わせが必要です。
16. Biz∫(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

ワークフロー基盤intra-martを統合基盤とし、会計・販売・購買・人事給与・経費精算に加えてBIやデータ連携基盤までを載せた国産ERPパッケージです。採用社数は2025年12月時点で2,000社を突破したと発表されています。対象とする企業規模は公式サイトに明記がないため、自社が想定レンジに入るかは問い合わせで確認が必要です。
案件収支は「Biz∫プロジェクト原価管理」が担当し、社内労務費(直接費・間接費)・外注費・物品費・経費をランク別単価で管理して、組織別・プロジェクト別・費目別に収支を集計します。工事進行基準に標準対応し、Biz∫会計・Biz∫販売と連携して発生原価を自動で取り込みます。
ITサービス業向けには「プロジェクト採算管理・役務購買統合テンプレート」も用意されています。部門別・プロジェクト別・個人別の工数管理、部門間取引の自動計上、外注依頼から仕入計上までのオンライン化を含みます。提供形態はオンプレミスと、サブスクリプション課金のクラウド版Biz∫Optimaの2種類で、料金はいずれも公開されておらず個別見積もりです。
工数管理から始めるタイプの4サービス
作業時間の記録から人件費原価を組み立てる4サービスです。売上側のデータをどこから取るかが製品ごとに違うため、その前提もあわせて記載しています。
17. Lychee Redmine(株式会社アジャイルウェア)

オープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」をベースに、株式会社アジャイルウェアがガントチャートやカンバンなどのUIを拡張した有償ツールです。クラウド版とオンプレミス版があり、公式サイトには導入企業数7,000社超と記載されています(公式サイトに時点の記載はありません)。
工数はタイムマネジメント機能で記録し、見積もり工数と実績工数を並べて確認できます。コストマネジメント機能ではコストグループ別に工数単価を設定でき、単価×作業時間で人件費が自動算出されます。交通費や外注費といった経費も案件に入力し、予算・コスト予想金額・収支予測をレポート画面で確認する流れです。
クラウド版にはユーザー数無制限の無料プランもあり、有償プランは1ユーザーあたり月額900円のスタンダードから2,100円のビジネスまで、購入は10ユーザー単位、いずれも税抜です。ただし工数単価による人件費算出と収支予測が使えるのは、月額1,400円のプレミアムプラン以上に限られます。初期費用は公式料金ページに記載がなく、問い合わせでの確認が必要です。
18. TimeCrowd(タイムクラウド株式会社)

作業の開始と停止を打刻して工数を記録する時間管理ツールで、Chrome拡張機能やiOS・Androidアプリからも入力できます。提供元はタイムクラウド株式会社で、公式サイトには導入5,500社・61,000IDと記載されています(2026年8月時点)。
時間単価はワークスペース単位とチーム単位の2階層で設定し、チーム単価はメンバーごとに個別に決められます。同じ期間に両方が設定されている場合はチーム単価が優先されるほか、昇給に備えて未来日付での単価改定を事前登録することも可能です。稼働時間に単価を掛けた人件費は、案件にあたるカテゴリごとに集計されます。
一方、売上と突き合わせた案件別の粗利を見るには、請求・案件管理ツールとの連携が前提になります。クラウド請求・案件管理システムのboardとの連携では、board側の案件名をカテゴリへ一括登録し、集計した人件費をboardの案件原価へ定期的に同期します。初期費用・月額はいずれも公式サイトで非公開のため要お問い合わせで、無料トライアルは2週間です。
19. TeamSpirit 工数(株式会社チームスピリット)

株式会社チームスピリットが提供する、Salesforce Platform上に構築された工数管理サービスです。勤怠・工数・経費の単機能プランと、それらを束ねたパッケージプランから選ぶ構成で、工数単体の月額は18,000円(税抜、50ユーザー分のライセンス込み)からです。勤怠とセットにした場合は30,000円(税抜)からで、初期費用は契約時に別途発生します(金額は非公開)。
工数はスケジューラーの予定から自動で割り当てられ、勤怠の打刻と同じ画面で入力するため、労働時間と工数の合計を一致させた運用ができます。プロジェクトと作業分類は最大4階層まで定義でき、プロジェクト別・従業員別の実績が自動集計されます。
ただし標準単価×工数実績による原価計算と、売上予定額・目標利益率を置いた予実管理は、別製品「TeamSpirit プロジェクト原価管理」の機能です。収支まで見るには、工数との組み合わせ導入が前提になります。工数側から原価管理側へ工数実績が自動で渡る設計で、外部連携先としてはマネーフォワード クラウド個別原価などが公式の一覧に挙がっています。
20. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

工数の入力から原価計算、間接費の配賦、資産振替仕訳の起票までを一連の業務として扱う個別原価管理システムです。提供元は株式会社マネーフォワードで、公式サイトではIPO準備から上場企業向けと位置づけられています。初期費用・月額はいずれも非公開で、導入支援費用はプランにより、月額は利用人数により変わるとの案内にとどまります。
工数は日ごとの時間入力と月ごとの割合入力から選べ、勤怠システムの労働時間との乖離チェックや、現場の入力後に経理担当者が入力をロックする機能を備えます。原価計算では勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して労務費を按分し、部門・勘定科目ごとの製造間接費を工数比率・従業員数比率・売上予算比率などの基準で多段階に配賦します。
工数データはマネーフォワード クラウド勤怠・チームスピリット・KING OF TIMEから取り込めます。ただし売上を含む案件収支の可視化は、マネーフォワード クラウド会計Plusなどとの組み合わせが前提です。予算との対比や進行基準による売上計上への対応は公式サイトに記載がないため、必要な場合は個別の確認が要ります。
自社に合うプロジェクト収支管理システムの選び方
ここからは、比較表の各列を「自社ならどこを重く見るか」に置き換えるための観点を5つ挙げます。上から順に確認すると、候補が数社まで絞れます。
収支管理の外側でどこまでの業務を任せるか
最初に決めるのは、既存の会計システムと販売管理システムをどこまで残すかです。ここが決まればタイプが決まり、比較する相手が4分の1に減ります。
判断の分かれ目は、いま案件収支が見えない原因がどこにあるかです。請求も発注も既存システムで回っていて、案件という集計軸だけが無いのであれば、収支に特化したタイプで足ります。案件情報が見積書と受注管理表と請求システムに分かれていて転記が発生しているなら、販売管理まで含めた製品のほうが、入力の重複ごと解消できます。
会計システムの更新時期が重なっている場合は、ERPタイプを検討する価値があります。逆に、会計を替える予定がないのにERPタイプを選ぶと、使わないモジュールの費用と移行負荷だけを抱えることになります。
原価をどこまで正確に作れるか
案件収支の信頼性は、原価をどれだけ実態どおりに作れるかで決まります。確認すべきは、原価として入力できる範囲と、工数から人件費への換算の細かさの2点です。
入力範囲は、外注費・経費・仕入といった直接費に加えて、間接費まで案件に配賦できるかが確認のポイントです。直接費だけを積んだ粗利は実際より良く見えるため、管理部門の人件費や共通経費まで乗せて判断したい場合は、配賦機能の有無が要件になります。
工数からの換算では、単価の設定単位が実態に合うかどうかが分かれ目になります。全社一律の単価しか持てない製品では、単価差の大きい職種が混在する案件で原価がぶれます。人ごと・職種ごと・等級ごとのどの粒度で単価を持てるか、単価改定を将来日付で予約できるかまで見ておくと、昇給のたびに過去データが書き換わる事故を避けられます。
工数入力の粒度も判断材料です。日次で案件別に入力する運用と、月末にまとめて按分する運用では、進行中に採算を掴めるかどうかが変わります。日次入力を求める製品は精度が高い代わりに現場の負荷が上がるため、後述する定着の設計とセットで考えてください。
既存の会計・勤怠・販売管理システムとの連携範囲
連携の可否は「連携できます」という表記ではなく、方向・方式・粒度の3点で確かめることが欠かせません。ここを曖昧にしたまま導入すると、二重入力が残ったり、月次の締めで手作業のCSV加工が発生したりします。
- 方向:会計側へ仕訳を渡すのか、勤怠側から実労働時間を取り込むのか、双方向なのかを確認します
- 方式:API連携で自動同期されるのか、CSVの書き出しと取り込みが必要なのかを確認します。CSVの場合は誰がいつ実行するかまで決めておきます
- 粒度:案件別の明細で渡るのか、部門合計に丸められるのかを確認します。丸められると会計側で案件別の追跡ができません
勤怠との連携は、原価の精度に直結する論点です。勤怠上の労働時間と、案件に入力された工数の合計が一致していないと、人件費の総額が実態とずれます。両者を突き合わせる仕組みを持つ製品か、少なくとも差分を検知できる製品かを確認してください。
提供形態と、自社の案件構造への合わせ方
提供形態はクラウドが主流ですが、オンプレミス型のパッケージも残っています。クラウドは初期費用を抑えやすく、機能追加が自動で反映される一方、業務のほうを製品の型に寄せる場面が出ます。オンプレミス型は自社の商流に合わせた作り込みがしやすい代わりに、初期投資と保守の体制が必要です。
案件構造との相性は、次のような自社固有の事情がある場合に確かめておくと安全です。
- 1つの受注案件を複数のサブ案件・工程に分けて採算を見たい場合(親子・階層構造への対応)
- 年間契約の保守と個別開発が同じ顧客で並走し、収支の見方を分けたい場合
- 複数拠点・複数法人で同じ案件を分担し、法人をまたいだ原価の集計が必要な場合
- 案件の途中で予算を改定することがあり、改定前後の対比を残したい場合
これらは標準機能で吸収できる製品と、カスタマイズが必要な製品に分かれます。カスタマイズ前提になると費用と期間が膨らむため、デモの段階で自社の実案件を1つ持ち込み、そのまま登録できるかを試すと確実です。
セキュリティ・権限管理と、案件情報の見せる範囲
案件収支には、顧客との契約金額、外注先への支払単価、メンバーの人件費単価が集まります。人件費単価は給与を推測できる情報でもあるため、誰にどこまで見せるかの設計が要件になります。
確認したいのは、権限を「機能単位」だけでなく「案件単位・項目単位」でも制御できるかです。プロジェクトマネージャーには自分の案件の粗利まで見せ、単価は経営層と管理部門に限る、といった分け方ができないと、現場に工数入力を依頼しづらくなります。
クラウドで利用する場合は、提供元が取得している第三者認証(ISMS/ISO 27001、SOC報告書など)と、その認証範囲に対象サービスが含まれるかを確認してください。企業グループ全体の認証と、個別サービスを対象にした認証は別物です。
一括ダウンロードする
プロジェクト収支管理システムの費用相場と料金体系
このカテゴリは料金を公開していない製品も多く、相場が掴みにくい領域です。公開されている金額から、課金方式ごとの桁感と、費用が動く条件を整理します(金額はいずれも2026年8月時点の各社公式サイトの記載に基づきます)。
課金方式と初期費用・月額の目安
課金の考え方は、大きく3つに分かれます。どの方式かによって、人数が増えたときの費用の伸び方がまったく違います。
- ユーザー課金:利用者1人あたりの月額を積み上げる方式。工数管理から始めるタイプに多く、1人あたり数百円〜数千円台。少人数で始めやすい反面、全社展開すると総額が伸びます
- 基本料金+ID課金:システムの基本料金に、利用ID数に応じた料金を加える方式。案件収支に特化したタイプに多く、月額2万円台から10万円台が目安です
- 個別見積:企業規模・モジュール構成に応じて見積を出す方式。ERPタイプと大企業向け製品はほぼこの形で、月額数十万円規模になることもあります
初期費用は無料の製品から20万円前後までが中心ですが、ERPタイプでは導入プランの初期費用が百万円台になる例もあります。初期費用が無料でも、初期設定の支援やデータ移行が有償のオプションとして別に用意されている場合があるため、見積を取る際は「稼働までに支払う総額」で並べてください。
料金非公開の製品でも、比較の土俵に乗せることはできます。利用人数・案件数・必要なモジュールをそろえた同じ条件で見積を依頼すれば、公開されている製品と横並びで比べられます。
費用を左右する要素
同じ製品でも、次の条件によって最終的な金額は大きく変わります。見積依頼の前に自社の前提を固めておくと、比較しやすい数字が返ってきます。
- 利用人数の範囲:工数を入力する全メンバーに必要か、収支を見る管理者だけでよいかを決めます。閲覧専用の安価なライセンスを持つ製品もあります
- 機能範囲:配賦・ワークフロー・原価計算などが標準か、オプションか。月数千円のオプションが積み上がると基本料金を超えることもあります
- カスタマイズと連携開発:帳票の追加や既存システムとのAPI連携を作り込む場合、初期費用に開発費が上乗せされます
- 導入支援の範囲:マスタ設計や運用ルールの整備を伴走してもらうか、自社で進めるかで変わります。ERPタイプでは導入支援費がライセンス費を上回ることもあります
費用対効果を見積もるときは、削減される作業時間を人件費に換算するだけでなく、赤字案件を早く止められることで避けられる損失も併せて考えると、判断の材料が揃います。年に数件の赤字案件を進行中に検知できれば、それだけでシステム費用を上回る場合もあります。
案件採算が見えなくなる原因と、システム導入で変わること
ここからは、いまの運用のどこで採算が見えなくなっているのかを分解し、システムを入れると何がどこまで自動化されるのかを確認します。社内で導入を説明する際の材料としても使える部分です。
案件の採算が締めるまで見えなくなる原因
採算が遅れて見えるのは、担当者の努力不足ではなく、数字が集まる経路の問題です。原因は次の3つに分けられます。
1つ目は、原価の構成要素がそれぞれ別の場所で発生することです。外注費は発注書と請求書、経費は精算システム、人件費は勤怠と工数の記録にあり、案件という軸で束ねる作業が誰かの手作業として残ります。手作業である以上、締めの時期にまとめて行うことになり、進行中には見えません。
2つ目は、人件費が最後まで確定しないことです。作業時間が案件別に記録されていなければ、人件費は月末の勤怠が締まってから按分するしかありません。原価の大半を占める要素が最後に来るため、それまでの数字は「まだ原価が乗っていない仮の粗利」にとどまります。
3つ目は、予算そのものが残っていないことです。見積は作られていても、その内訳(どの工程に何人日、外注にいくら)が案件の予算として登録されていなければ、実績と比べる相手がありません。差異が出ても、どこで想定とずれたのかを説明できない状態になります。
Excel・スプレッドシートでの収支管理が限界を迎える理由
案件数が少ないうちは、表計算ソフトの収支表で十分に回ります。限界が来るのは、次のような変化が重なったときです。
- 並行案件が増え、案件別ファイルと全社集計ファイルの二重管理が始まります
- 担当者ごとにフォーマットが枝分かれし、全社で合算できなくなります
- 実績値の転記が月次のバッチ作業になり、見えるのは常に1か月前の数字になります
- 単価や配賦率の変更が過去のシートに遡って反映され、確定したはずの数字が動きます
- 誰がいつ何を直したかが残らず、監査や社内説明で根拠を示せません
とくに影響が大きいのは、最後の2つです。数字が後から動き、変更の履歴も残らない状態では、その収支表を意思決定の根拠として扱えなくなります。作業効率よりも、数字の信頼性の面で先に限界が来るケースが多くあります。
プロジェクト収支管理システムを導入するメリット
導入で変わるのは、集計の手間だけではありません。数字が見えるタイミングと、その数字を信じられるかどうかが変わります。
もっとも大きいのは、実績が入力された時点で案件の損益に反映される点です。発注登録・経費申請・工数入力がそれぞれ案件に紐づくため、締めを待たずに現在の原価と粗利が見えます。予算を登録しておけば、差異と着地見込みも同じ画面で確認できます。
次に、集計の一貫性が保たれます。単価や配賦の基準がシステムのマスタで一元管理されるため、担当者ごとの計算方法の違いが消えます。承認や変更の履歴が残る製品であれば、確定した数字が後から静かに書き換わることもありません。
実績が案件単位で蓄積される効果も見逃せません。過去案件の工数と原価が同じ形式で残ることで、次の見積の根拠として使えます。収支管理の投資が、受注段階の値決めの精度にも返ってきます。
導入前に押さえておきたい注意点
期待どおりの効果が出ない場合、原因は製品よりも前提条件にあることがほとんどです。次の3点は導入前に確認しておいてください。
1つ目は、工数入力が続かないと原価が埋まらないという構造です。システムは入力されたデータしか集計できないため、現場が入力しない期間は原価が実態より軽く出ます。導入の成否は、製品選定と同じ重みで運用設計にかかっています。
2つ目は、マスタ整備の負荷です。案件コードの体系、原価の費目、単価、配賦基準を決める作業は、導入プロジェクトで最も時間がかかる工程になりがちです。ここを曖昧にしたまま稼働させると、集計軸が後から変わり、過去データと比較できなくなります。
3つ目は、既存システムとの重複です。工数管理や販売管理をすでに導入している場合、機能が重なる部分をどちらに寄せるかを決めておかないと、二重入力が新たに生まれます。廃止する範囲まで含めて導入計画に入れてください。
案件別原価の作り方と、収益計上・監査に耐える精度
製品の違いがもっとも出るのは、原価がどう作られるかという部分です。ここからは、案件別の原価が組み上がる流れを追いながら、比較の際にどこを見れば製品の作りが分かるのかを整理します。

直接費と間接費の切り分け
案件別の原価は、どの案件のために使ったかが特定できる費用(直接費)と、複数の案件や全社に共通して発生する費用(間接費)に分けて考えます。直接費は案件に直接割り当て、間接費は一定の基準で各案件に振り分けます。
受託業の直接費は、担当メンバーの労務費、外注費、案件のために購入した物品費や交通費などです。間接費には、管理部門の人件費、オフィスの賃料や光熱費、案件に直接ぶら下がらない開発環境の費用などが入ります。
比較の際は、間接費を扱えるかどうかで製品が分かれる点に注意してください。直接費だけを集計する製品でも案件別の粗利は出せますが、間接費を含めた営業利益ベースの採算までは見えません。どちらの数字で判断したいかを先に決めておくと、要件がぶれません。
工数入力から人件費原価への変換
受託業の原価で最も大きいのは人件費です。その人件費は、案件ごとの作業時間に時間単価を掛けて算出します。この変換のどこを設定できるかが、原価の精度を決めます。
単価の持ち方は製品によって差があります。全社一律の平均単価だけを持つ製品、職種や等級ごとに単価を設定できる製品、従業員ごとに単価を持てる製品があり、後者ほど実態に近づきます。単価の設定単位を勘定科目ごとに分けられる製品もあり、労務費の内訳を細かく残せます。
時間の取り込み方も見ておきたい部分です。専用の工数入力画面から登録する製品、勤怠システムから実労働時間を取り込む製品、カレンダーの予定を工数の下書きに使う製品などがあります。勤怠の労働時間と案件別工数の合計が一致しているかを確認できる仕組みがあると、人件費の総額が実態から離れません。
実際の給与総額との差をどう扱うかも製品差が出ます。標準単価で積んだ労務費と実際の労務費に差が出た場合、実績の労務費割合で按分して調整する製品もあれば、標準単価のまま管理する製品もあります。決算の数字と案件別原価を突き合わせたい場合は、この調整の有無が要件になります。
間接費の配賦基準をどう決めるか
間接費を案件に振り分けるには、何を基準に配るかを決める必要があります。この基準の選び方で案件別の利益率は変わるため、社内で合意を取ってから設定するのが一般的です。
実務でよく使われるのは、工数比率、直接労務費比率、売上比率、要員数比率などです。人が動くことで費用が発生する受託業では、工数比率か直接労務費比率が実態に近いことが多い一方、案件の期間が極端に違う場合は歪みが出ます。
製品を比べるときに見たいのは、次の3点です。
- 配賦基準を自社で選べるのか、それとも固定なのかを確認します。複数の基準を費目ごとに使い分けられるかも見ておきます
- 部門から案件へ、といった多段階の配賦ができるかを確認します。管理部門の費用を一度事業部門に配ってから案件に配る運用が必要な場合に効きます
- 配賦の計算根拠が後から確認できるかを見ます。どの費用がどの基準でいくら配られたかを画面や帳票で追えると安心です
配賦は判断の入る領域なので、基準を決めた理由と適用開始時期を社内で文書に残しておくと、期をまたいだ比較が壊れません。基準を途中で変えると、過去案件との利益率の比較が成り立たなくなります。
作った原価を収益計上・監査で説明できるようにする
案件別原価は、社内の採算判断だけでなく、売上をいつ計上するかという会計処理にも使われます。上場準備や監査対応を控えている場合は、この観点まで見て製品を選ぶ必要があります。監査を受けておらず上場準備の予定もない場合、ここは読み飛ばしても製品選定は進められます。
前提として、適用される枠組みは会社の状況で二層に分かれます。監査を受けている会社では、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が2021年4月1日以後開始する事業年度から強制適用されています。監査対象でない中小企業は、引き続き企業会計原則等に則った会計処理も可能とされています。
収益認識基準は、平成33年(2021年)4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から強制適用することとされている(収益認識基準81)。
(注)中小企業(監査対象法人以外)については、引き続き企業会計原則等に則った会計処理も可能とされている(後略)
出典:「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明|国税庁
進行基準(原価比例法)での売上計上に対応できるか
案件の期間が決算をまたぐとき、完成・引渡しまで売上を計上しないのか、進捗に応じて期間配分するのかで、当期の損益は大きく変わります。進捗に応じて計上する場合、その進捗度を測る代表的な方法が原価比例法です。
中小企業向けの実務指針では、この考え方が「工事進行基準」「工事完成基準」という名称で現在も維持されており、受注制作のソフトウェアも工事契約に含まれると明記されています。原価比例法の定義も同じ指針に置かれています。
工事契約(受注制作のソフトウェアを含む。)/工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。成果の確実性が認められるためには、次の各要素について、信頼性をもって見積ることができなければならない。(1) 工事収益総額 (2) 工事原価総額 (3) 決算日における工事進捗度
原価比例法(決算日までに実施した工事に関して発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度とする方法)を採用する場合、信頼性をもって工事収益総額及び工事原価総額を見積ることができれば、通常、決算日における工事進捗度も信頼性をもって見積ることができる。
出典:中小企業の会計に関する指針(令和7年9月19日改正)第74項(3)・脚注20|日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会
監査対象となって収益認識に関する会計基準の枠組みに移ると、名称と考え方が置き換わります。旧「工事契約に関する会計基準」(企業会計基準第15号)は収益認識基準の適用により廃止され、進捗に応じた計上は「一定の期間にわたり充足される履行義務」として整理されました。国税庁の趣旨説明も「収益認識基準の創設により廃止された工事契約に関する会計基準」と説明しています。
国税庁の法令解釈通達も同じ枠組みを採っています。進捗度は「役務の提供のために既に要した原材料費、労務費その他の経費の額」が原価総額に占める割合、またはその他の進捗の度合いを示すものとして合理的と認められる割合で計算すると定められています。趣旨説明では、前者が「インプット法である原価比例法」の例示にあたると説明されています。
実務で効いてくるのが、同じ通達の次の定めです。進捗度に寄与しない原価・比例しない原価は、進捗度の計算から外せます。まだ作業に投入していない前倒し購入分の資材のように、案件の進み具合と連動しない原価が該当しえます。
(注)2 本文の既に要した原材料費、労務費その他の経費の額のうちに、履行義務の充足に係る進捗度に寄与しないもの又は比例しないものがある場合には、その金額を進捗度の見積りには反映させないことができる。
出典:法人税基本通達 2-1-21の6(履行義務の充足に係る進捗度)|国税庁
進捗度を合理的に見積もれない場合の受け皿もあります。発生した原価のうち回収が見込まれる額を収益として計上する扱いで、会計側では原価回収基準と呼ばれます。いずれの方法を採るにしても、案件ごとの原価総額の見積りと発生原価の実績が、システム上で同じ粒度で追えることが前提になります。
製品を比べるときは、「工事進行基準に対応」という表記が何を指しているかを確認してください。進捗率を原価の発生割合から自動計算し、売上計上額まで算出する製品もあれば、原価の集計までを担い、売上計上は会計システム側に委ねる製品もあります。どこまでを自動で行い、どこから人手の判断が入るのかが、対応の実質です。
ただし、中小企業向けの実務指針に収益認識に関する会計基準の考え方を取り入れるかどうかは、公表元の4団体が2025年9月29日の公表資料で「検討することを考えております」としている段階です。現時点で監査対象でない企業が、上場企業と同じ枠組みへ移行する必要はありません。
参考として、中小企業向けの実務指針には、受託開発業の注記例が収録されています。
当社は、主にシステムの受託開発を行っており、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められるプロジェクトについては進行基準(進捗率の見積りは原価の発生割合による)により売上を計上しています。その他のプロジェクトについては完成基準により対象物の顧客への引渡し時点で売上を計上しています。
出典:中小企業の会計に関する指針(令和7年9月19日改正)別紙「収益の計上基準の注記例」7. システムの受託開発業の場合
この注記が成り立つのは、プロジェクトごとに原価総額の見積りと発生原価が揃っている場合だけです。案件別原価の精度は、社内の採算判断だけでなく売上計上の根拠にも直結します。
監査・上場準備で案件別原価の根拠を示せるか
上場準備の段階で問われるのは、原価の金額そのものよりも、その金額がどう作られ、どう記録されているかです。東京証券取引所の新規上場ガイドブックは、経理関係規程の例として原価計算規程を挙げ、規程に沿った実務が行われていることを求めています。
社内規程が会社の規模や業種・業態に応じて適切に整備されており、かつ、当該社内規程に沿った実務が行われていることが必要です。この場合の社内規程には、例えば、(中略)経理関係規程(経理規程、原価計算規程など)などが考えられます。
月次の業績及び事業の状況の把握と分析を早期に行うことができる体制が求められます。なお、月次の業績及び事業の状況に対して適切な分析を行うためには、合理的に策定された予算との比較分析が有効であると考えられます。
出典:新規上場ガイドブック(グロース市場編)Ⅴ グロース市場事前チェックリスト(2026年7月21日版)|株式会社東京証券取引所
ガイドブックが名指ししているのは規程の整備と月次の予実把握までで、案件別の原価そのものではありません。ただし案件が売上の単位である受託業では、原価計算規程の中身は案件別原価の作り方そのものになります。単価の決め方、配賦基準、締めの手順を規程として定め、システム上の運用がそのとおりになっている状態が求められます。
記録の残り方も論点です。財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準は、記録・保存について次のように述べています。
記録・保存に当たっては、後日、第三者による検証が可能となるよう、関連する証拠書類を適切に保存する必要がある。
出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準|金融庁・企業会計審議会
案件別原価に当てはめると、確認したいのは次の3点です。
- 予算を改定したとき、改定前後の値と改定理由・実行者・日時が残りますか
- 工数や原価の入力・修正に承認のステップを置けますか。承認者と承認日時は記録されますか
- 配賦の計算根拠(どの費用を、どの基準で、いくら配ったか)を後から再現できますか
この3点が残らない製品では、数字は出せても「その数字がなぜその金額か」を第三者に説明できません。上場準備の予定がある場合は、機能一覧に現れにくいこの部分は、デモの段階で操作して確かめておくと後で困りません。
収支管理を回す進め方と定着のポイント
製品を選んだ後、数字が実態と合う状態に持っていくまでには、いくつかの工程があります。ここからは移行から日々の運用までの流れと、続けるための設計を確認します。

移行とスモールスタートの進め方
全社・全案件を一度に切り替えると、マスタ整備と現場の習熟が同時に走り、どちらも中途半端になります。案件の種類が近い1部門、あるいは新規案件だけを対象に始めて、締めを1〜2回まわしてから範囲を広げるほうが安全です。
移行時に決めておきたいのは、進行中の案件をどう扱うかです。期の途中から入れる場合、過去分の原価を遡って入力するのか、期首残高として一括で登録するのか、あるいは新規案件からのみ対象にするのかで、初期の作業量が変わります。遡及入力は精度が上がる代わりに現場の負荷が大きいため、対象を絞る判断が要ります。
並行運用の期間も決めておきます。既存の表計算による収支表とシステムの数字を1〜2か月突き合わせ、差が出た箇所の原因を潰してから旧運用を止めると、切り替え後に数字を疑わずに済みます。
収支計画の策定と、見積根拠を実績に結びつける
案件が動き出す前に、売上と原価の計画をシステムに登録するのが出発点です。ここで登録した予算が、後の実績と比べる相手になります。
大切なのは、見積書の金額をそのまま総額で入れるのではなく、見積の内訳と同じ粒度で予算を作ることです。工程ごとの想定工数、外注費、経費に分けて登録しておくと、差異が出たときに「設計工程の工数が想定の1.5倍だった」というところまで特定できます。総額だけの予算では、赤字の理由が分かりません。
受注前の段階から見込み案件として登録できる製品であれば、受注確度を加味した売上と原価の見通しを持てます。要員の空き状況と突き合わせれば、受注のタイミングと人の配置を同じ画面で検討できます。
進行中の予実モニタリングと着地見込みの確認
案件が動き出したら、予算と実績の差を定期的に見ていく段階に入ります。月次の締めを待つのではなく、週次で確認する運用にすると、対応できる幅が広がります。
見るべきは、発生した原価の額そのものではなく、進捗と原価の関係です。工数の消化が5割で進捗が3割なら、そのままでは予算を超過します。この状態を早く見つけるほど、要員の入れ替えや作業範囲の調整という手が残ります。
利益率が一定の水準を下回った案件を自動で知らせる仕組みを持つ製品もあります。案件数が多い組織では、全案件を人が毎週見るのは現実的ではないため、こうした検知の仕組みが運用を支えます。誰が通知を受け、誰が判断するかまで決めておくと、通知が流れて終わる状態を避けられます。
完了後の振り返りを次の見積に返す
案件が終わったら、計画と実績の差を記録として残すことが次につながります。ここを省くと、収支管理は「結果を眺めるだけ」の作業になります。
振り返りで押さえたいのは、差が出た工程と、その原因の分類です。見積時の想定が甘かったのか、仕様変更を無償で受けたのか、想定より習熟の低いメンバーを充てたのかで、次に打つ手は変わります。原因が分類されて蓄積されると、次の見積では「この案件タイプは想定の1.2倍で見る」といった補正を根拠を持って掛けられます。
顧客別・案件タイプ別に利益率を集計できる製品であれば、個別案件の反省にとどまらず、どの領域に人を割くかという事業判断の材料になります。
工数入力を現場に定着させる運用設計
計画・モニタリング・振り返りという3つの工程は、いずれも工数が入力されていることが前提です。入力が滞れば原価は実態より軽く出て、予実の比較も振り返りも成り立ちません。定着の設計は、製品選定と同じ重みで扱う必要があります。
入力が続かない原因は、たいてい負荷と納得感の2つに分けられます。負荷は、入力の粒度と手段で下げられます。分単位ではなく30分単位にする、案件を選ぶプルダウンを担当案件だけに絞る、カレンダーの予定や勤怠の打刻から下書きを起こすといった工夫で、1日あたりの入力時間は数分に収まります。
納得感のほうは、入力した本人に返るものがあるかで決まります。入力データが監視のためだけに使われていると感じられると、精度は落ちます。案件の粗利や自分の稼働状況を担当者自身も見られるようにする、振り返りの場で「この工程は実績よりも見積を厚くする」といった改善に使われていることを示す、といった返し方が有効です。
運用のルールの明文化も欠かせません。入力の締切(毎日か週次か)、未入力時のリマインドの方法、修正の期限と承認の要否を決め、規程として残しておくと、担当者が変わっても運用が続きます。
まとめ
本記事では、プロジェクト収支管理システムの主な機能と隣接カテゴリとの違い、対応業務範囲による4つのタイプ、選び方の観点、費用相場、案件別原価の作り方と収益計上・監査への備え方を解説しました。あわせて、主要な20サービスをタイプ別に比較しています。
選定でまず決めるべきは、収支管理の外側でどこまでの業務をシステムに任せるかです。ここが決まればタイプが定まり、比較する相手は4タイプのうち1つに絞れます。そのうえで、工数から人件費原価を作る仕組みが自社の単価構造に合うか、既存の会計・勤怠システムとどこまで自動で連携できるかを確かめると、導入後に数字が合わないという事態を避けられます。
MCB FinTechカタログでは、これらのシステムの詳細な資料を無料で請求できます。ぜひ各社の資料をご覧になって、自社の案件構造と規模に合ったシステムの比較検討を進めてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. プロジェクト収支管理を複数製品の組み合わせで実現する場合、費用はどう見積もればよいですか?
A. 工数の記録と収支の可視化を別製品が担う構成では、両方のライセンス費用を足した総額で他製品と比べる必要があります。片方だけの月額で判断すると、実際の負担を大きく見誤ります。
工数管理を起点とする製品には、時間の記録と人件費の算出までを担い、売上との突き合わせは請求・案件管理を持つ別システムに委ねる設計のものがあります。同じベンダー内で上位製品や有料オプションを追加する形もあり、その場合は利用人数の数え方(全メンバーか管理者のみか)が製品ごとに違う点にも注意が必要です。
見積を依頼するときは、工数を入力する人数と収支を見る人数を分けて伝え、必要なオプションを含めた月額の総額で回答をもらってください。比較表の月額欄に注記がある製品は、この組み合わせが前提になっています。
Q. プロジェクト収支管理システムは、何人規模・何案件くらいから必要になりますか?
A. 人数や案件数そのものよりも、1人が複数の案件を掛け持ちするようになり、案件の期間が月をまたぐようになった時点が、導入を検討する分かれ目です。
掛け持ちが始まると、1人の労働時間を案件ごとに割り振る作業が発生し、月をまたぐと売上と原価の発生時期がずれます。この2つが重なった時点で、企業規模にかかわらず表計算での追跡が崩れ始めます。
製品の選択肢という面では、従業員50名前後を境に上位製品と下位製品を公式に案内しているベンダーがあり、この規模がタイプ選びの目安のひとつになります。ただし少人数から使えるユーザー課金型の製品もあるため、人数で候補が消えるわけではありません。
Q. 建設業や製造業でもプロジェクト収支管理システムは使えますか?
A. プロジェクト収支管理システムは、1件ずつ仕様が変わる個別受注の工事・製造であれば適合しますが、同じ製品を量産する原価管理には向きません。
このカテゴリの製品は、案件という単位に人の作業時間と外注費を集めて採算を出す設計になっているためです。建設・工事向けのラインナップを別に用意している製品もあり、工事案件を案件単位で管理する用途では成立します。
一方で、建設業向けの工事原価管理システムや、量産型の製造業向けの製造原価管理システムは別のカテゴリとして存在します。工事台帳や業法対応の帳票、総合原価計算といった業種固有の要件が中心にあるなら、そちらのほうが要件に合う場合があります。
Q. プロジェクト収支管理システムと会計システムの連携は、どこまで自動で行われますか?
A. プロジェクト収支管理システムの会計連携は、集計した売上・原価を仕訳データとして出力するところまでを担う製品が多く、会計システムへの取り込みはCSVの手作業が残るのが一般的です。
API連携で自動同期される場合もありますが、対応するのは特定の会計システムに限られ、同じ製品でも連携先によってAPIとCSVが混在します。「会計システムと連携できます」という表記だけでは、締め作業から手作業が消えるかどうかは判断できません。
自社が使っている会計システムの名前を挙げて、API連携かCSV出力か、CSVなら誰がいつ実行する運用になるかまで確認してください。あわせて、仕訳が案件別の明細で渡るのか部門合計に丸められるのかも確かめておくと、導入後に会計側で案件を追えないという事態を避けられます。
Q. 既存の勤怠システムのデータを、プロジェクト収支管理システムの工数として使えますか?
A. 勤怠システムのデータは取り込める製品が多いものの、勤怠の労働時間をそのまま案件別の工数として使うことはできず、案件ごとの内訳の入力は別に必要です。
勤怠が持っている情報は「その日に何時間働いたか」であり、「そのうち何時間をどの案件に使ったか」は含まれないためです。多くの製品は、勤怠から取り込んだ労働時間を土台にして、それを案件へ割り振る入力を求める設計になっています。
取り込みに対応した製品を選ぶ意味は、入力の手間よりも突き合わせの精度にあります。連携できる勤怠システムは製品ごとに限られるため、自社の勤怠システムが対応一覧にあるかを先に確認してください。
Q. プロジェクト収支管理システムは、導入から運用開始までどのくらいかかりますか?
A. 公式の目安としては、案件収支に特化したタイプで1〜2か月、基幹業務まで統合するERPタイプでは3か月以上を示す製品があります。対応する業務範囲が広いほど長くなります。
ただし期間の大半を占めるのは、製品側の設定作業ではありません。案件コードの体系、原価の費目、単価、配賦基準といったマスタの設計は自社で決める部分であり、ここが固まらないと稼働できません。ベンダーが示す標準導入期間だけで計画を組むと遅れる原因になります。
短縮したい場合は、対象を1部門や新規案件に絞って始めるのが確実です。全社・全案件を一度に切り替えると、マスタ整備と現場の習熟が同時に走り、どちらも中途半端になります。
Q. プロジェクト収支管理では、どのような指標を見るべきですか?
A. プロジェクト収支管理の中心となる指標は、案件ごとの売上・原価・粗利額と粗利率、そして予算と実績の差異で、進行中の案件ではこれに進捗率と原価の消化率の関係を加えます。
完了した案件では粗利率が結果を示しますが、進行中は原価の消化と進捗のずれのほうが早く危険を知らせます。差異は総額ではなく工程・費目ごとに見ると、原因まで特定できます。
案件単位の指標に加えて、要員の稼働率(労働時間のうち案件に直接紐づいた時間の割合)も併せて見ておくと、個々の案件は黒字でも稼働の空きが全社の採算を圧迫している状態に気づけます。
Q. 監査を受けていない中小企業でも、進行基準に対応したシステムが必要ですか?
A. 進行基準への対応は、自社がどの売上計上基準を採っているかで決まるもので、すべての企業に必須の要件ではありません。監査対象でない中小企業には収益認識に関する会計基準が強制適用されておらず、引き続き企業会計原則等に則った会計処理も可能とされています。
中小企業向けの実務指針は、工事契約(受注制作のソフトウェアを含む)について次のように整理しています。進捗部分の成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を、要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する、というものです。自社が完成基準で処理しているのであれば、進行基準の自動計算機能は選定の必須条件になりません。
一方、上場準備などで監査対象になる予定があるなら、その時点で適用される枠組みが変わります。案件ごとの原価総額の見積りと発生原価の実績を同じ粒度で追える製品を、早い段階で候補に入れておくと移行の負荷が下がります。
出典・参考資料(5件)
- 出典:「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明|国税庁
- 出典:法人税基本通達 第3款 役務の提供に係る収益(2-1-21の4/2-1-21の5/2-1-21の6)|国税庁
- 出典:中小企業の会計に関する指針(令和7年9月19日改正)第74項(3)・脚注20・別紙「収益の計上基準の注記例」|日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会
- 出典:新規上場ガイドブック(グロース市場編)Ⅴ グロース市場事前チェックリスト(2026年7月21日版)|株式会社東京証券取引所
- 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和5年4月7日)|金融庁・企業会計審議会
プロジェクト収支管理システムの料金・費用を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、プロジェクト収支管理に対応したシステムの最新資料をまとめて請求できます。料金体系や機能の詳細を各社の資料で確認し、自社の案件構造に合うかを比較してください。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















