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原価管理システム比較24選|原価計算の方式・差異分析・配賦で選ぶ

原価管理システム比較24選 方式・差異分析・配賦で選ぶのサムネイル画像

製品別・工事別・案件別の利益が、締めが終わるまで分からない。Excelの原価集計が担当者ひとりに集中していて、転記のたびに数字が合わなくなる。原価管理システムの検討は、たいていこうした行き詰まりから始まります。

ところが製品を並べてみると、製造業の工程原価に強いもの、工事台帳を軸に据えたもの、案件ごとの人件費を追うものと、前提としている原価の積み上げ方がまるで違います。

自社に必要なのは標準原価計算なのか実際原価計算なのか、差異はどこまで分解できればよいのか、間接費の配賦基準は自社で決められるのか——ここを言葉にしないまま資料請求を重ねても、比較は進みません。本記事は、この3つを自社の言葉にするところから始めます。

本記事では、原価管理システム24製品を4つのタイプに分けて比較します。機能や費用相場に加えて、対応する原価計算の方式・原価差異をどこまで分解できるか・配賦基準を自社の実態に合わせられるかという3つの軸で整理しました。

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また、貴社の業種と管理単位から候補を絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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原価管理システムとは?

原価管理システムは、製品・工事・案件といった単位ごとに材料費・労務費・外注費・経費を集計して原価を積み上げ、あらかじめ見積もった原価と実際にかかった原価との差異を分析するためのシステムです。原価計算そのものを自動化するだけでなく、差異が生じた原因を費目・工程・工事単位まで掘り下げ、次の見積もりや工程改善に反映させるところまでを守備範囲にします。

そもそも原価管理という言葉が何を指すのかは、企業会計審議会が定めた原価計算基準に定義があります。

ここに原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずることをいう。

出典:原価計算基準 第1章 1「原価計算の目的」(三)|企業会計審議会

標準を決める、実績を記録する、比べる、原因を分析する、手を打つ。この一連の流れがそのまま原価管理の定義になっているところが重要です。原価管理システムを選ぶということは、この流れのどこをどこまで機械にやらせるかを決めることでもあります。

原価管理の流れを5段階で示した図。標準を設定して指示する、実際の発生額を計算・記録する、標準と比較する、差異の原因を分析して経営管理者に報告する、原価能率を増進する措置を講ずる、の順に並ぶ

原価管理システムの主な機能

製品によって力の入れどころは異なりますが、原価管理システムが備える機能はおおむね次の6つに整理できます。

  • 原価計算:材料費・労務費・経費を集計し、製品や工事の単位あたりの原価を算出します。部品表や工程データ、日報、発注データなど、原価の元になるデータをどこから取り込むかが製品ごとに異なります
  • 原価差異分析:見積もった原価と実際の原価の差を算出し、その原因を分解します。どの費目まで、どの単位まで割れるかが製品の性格を最も強く表します
  • 配賦計算:どの製品・工事にも直接ひもづけられない間接費を、決めた基準で各対象に割り振ります
  • 原価シミュレーション:材料単価や作業時間を変えたときに原価がどう動くかを試算します。見積もり段階での価格決定に使われます
  • 損益管理:製品別・工事別・部門別の粗利を可視化し、赤字の案件を早い段階で見つけられるようにします
  • システム連携:生産管理・販売管理・会計・勤怠といった周辺システムとデータをやり取りします。CSVでの受け渡しか、APIによる連携かで運用の手間が変わります

集計の対象になる原価の中身は、原価計算基準が形態別分類として材料費・労務費・経費の3つに分けています(原価計算基準 第2章 第1節 8(一))。

ここで注意したいのが、建設業では区分が違うという点です。建設業許可業者が毎事業年度提出する完成工事原価報告書は、材料費・労務費・外注費・経費の4区分で構成されます。外注費が独立した区分として立っているため、製造業向けの製品をそのまま建設業に持ち込むと、法定帳票の形に合わないことがあります。原価管理システムが業種別に分かれている理由の一つは、この原価区分の違いにあります。

原価計算システム・生産管理システム・管理会計システムとの違い

検索で行き着く先には呼び名の近いシステムがいくつもあり、必要なものが本当に原価管理システムなのか迷う場面があります。守備範囲の重なりと違いを整理しておきます。

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システム中心にある目的原価管理システムとの関係
原価計算システム原価を計算することほぼ同じものを指して使われます。製品名や記事によって呼び分けが揺れており、明確な線引きはありません
生産管理システム生産計画・工程・在庫・納期を管理すること原価の元データ(工程実績・部品所要量)を生む側です。原価管理機能を内包する製品と、原価は外部システムに渡す製品があります
管理会計システム予算編成・予実管理・部門別損益など、経営判断のための数値を扱うこと原価は管理会計の一部です。予実管理が主目的なら管理会計システム、製品別・工事別の原価計算が主目的なら原価管理システムが軸になります
会計ソフト(財務会計)制度会計にもとづく記帳・決算部門別の集計はできても、製品別・工事別に原価を積み上げる機能は標準では持たないことが多く、個別原価管理は専用のエディションやオプションになります

判断の分かれ目は、解きたい課題が「全社や部門の数字が見えないこと」なのか、「個別の製品・工事・案件の採算が見えないこと」なのかです。前者なら管理会計システム、後者なら原価管理システムが該当します。両方が課題という場合は、原価管理システムで積み上げた数字を会計や管理会計側へ渡す構成になるため、連携の可否が選定条件に加わります。

読み進めるうちに「自社の課題は個別原価より全社・部門の数字のほうだ」と感じた場合は、管理会計システム側から製品を見たほうが早く候補にたどり着けます。予算編成・予実管理・部門別損益を軸にした製品の違いと選び方は、以下の記事で解説しています。

Excelでの原価管理を見直すサイン

Excelから移るべきタイミングに、何件を超えたらという一律の基準はありません。判断できるのは、次のような症状がどの程度出ているかです。

  • 原価表を作れる人が実質ひとりで、その人が休むと月次が止まる
  • ファイルが部署ごとに枝分かれし、どれが最新版か分からなくなっている
  • 原価が確定するのが締めの後で、赤字の案件に気づくのが完了してからになっている
  • 転記や関数の参照ずれによる集計ミスが、年に何度か起きている
  • 製品や工事が増えたときに、シートの追加とリンクの張り直しが追いつかない

とくに3つ目の「気づくのが完了してから」は、Excelの機能の問題というより、集計が月次でしか回らないことによる構造的な遅れです。工事や案件の途中で原価の進み具合を見たい場合、システム化の効果が最も出やすい部分になります。

原価管理システムのタイプ

本記事では、まずタイプで候補群を絞り、次に原価計算の方式・差異分析・配賦という3軸で会計上の適合を照合し、最後に連携や規模といった運用条件で順位をつける、という順で整理します。

原価管理システムは、自社の原価がどの単位で積み上がるかで大きく4つに分かれます。業種で分かれているように見えますが、実質的には「工程・品目で積む」「工事番号で積む」「案件・契約で積む」「業務システムの一機能として扱う」という積み上げ単位の違いです。ここが合っていない製品は、機能がどれだけ豊富でも運用に乗りません。

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特徴該当する主なサービス詳細
製造業向け部品表や工程データをもとに、材料費・労務費・製造経費を品目単位で積み上げる。生産管理システムと一体または密連携で提供されることが多いJ-CCOREs, MCFrame XA 原価管理, ProSee, スマートF, アクロス, STRAMMIC, A’s Style比較表を見る
建設・工事業向け工事台帳を軸に、実行予算・出来高・外注費・労務費を工事番号単位で集計する。完成工事原価報告書など業界固有の帳票に対応するどっと原価シリーズ, レッツ原価管理Go2クラウド, PROCES.S, e2-movE, 要〜KANAME〜比較表を見る
プロジェクト型ビジネス向け受託開発・コンサルティング・制作など人件費が原価の主体になる業種向けに、工数実績を案件へひもづけて案件別の粗利を可視化するクラウドERP ZAC, マネーフォワード クラウド個別原価, MA-EYES, Reforma PSA, プロカン, クラウドログ比較表を見る
業種を問わない汎用タイプ販売管理・在庫管理・会計の一機能として原価を扱う。配賦が複雑でない企業や、既存の基幹業務とまとめて刷新したい企業が対象勘定奉行クラウド[個別原価管理編], iFUSION, PCAクラウド 個別原価会計, 楽楽販売, freee販売, アラジンオフィス比較表を見る

※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別製品の実際の対応範囲は各社情報をご確認ください。

タイプの境目はきれいには割れません。個別受注型の製造業は建設・工事業向けの製品が候補に入ることがありますし、設計事務所や工事業でも案件単位で収支を見たいならプロジェクト型が合います。1つに絞りきれないときは、両方のタイプを見てから比較表で並べてみてください。

製造業向け(工程・品目単位で原価を積み上げるタイプ)

部品表と工程データを土台に、品目ごとの原価を工程を追って積み上げるタイプです。組立加工のように工程が枝分かれする生産にも、化学や食品のように連続工程で流れていく生産にも対応できるよう、積み上げの計算方法を複数持つ製品があります。

生産管理システムの一機能として提供されるものと、既存の生産管理システムに後付けする専用製品の両方があります。原価だけを切り出して導入したいのか、生産管理ごと刷新したいのかで、選ぶ範囲が変わります。

建設・工事業向け(工事案件単位で原価を積み上げるタイプ)

工事台帳を中心に据え、工事番号ごとに実行予算を組み、そこに材料費・労務費・外注費・経費の実績を積んでいくタイプです。着工前に組んだ実行予算と、進行中の実績との差を工事単位で追えることが、このタイプの核心になります。

建設業には、他の業種にはない帳票と制度上の要件があります。完成工事原価報告書は建設業法施行規則の様式で定められた法定の書類で、建設業許可業者が毎事業年度、決算後に提出します。区分は材料費・労務費・外注費・経費で、労務費の内訳として「(うち労務外注費)」、経費の内訳として「(うち人件費)」が置かれます。

外注費  工種・工程別等の工事について素材、半製品、製品等を作業とともに提供し、これを完成することを約する契約に基づく支払額。ただし、労務費に含めたものを除く。

出典:建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類(昭和五十七年建設省告示第千六百六十号)|国土交通省

もう一つ、収益の計上と原価が地続きになっている点も見落とせません。工事の進捗に応じて収益を計上する場合、その進捗度は発生した工事原価が工事原価総額に占める割合で測るのが実務上の一般的な方法です。工事ごとの原価を正確に積み上げられることが、そのまま収益計上の前提になるということです。

製品の機能一覧にある「工事進行基準に対応」という表記は、現在も誤りではありません。会計基準としては収益認識に関する会計基準へ統合された一方、法人税法や中小企業向けの会計指針では現に使われている用語だからです(経緯は記事末尾のよくある質問で説明します)。

プロジェクト型ビジネス向け(案件・契約単位で収支を管理するタイプ)

受託開発、コンサルティング、広告・制作、設計といった、原価の大半が人件費で占められる業種向けのタイプです。誰がどの案件に何時間かかわったかという工数の実績を集め、労務単価を掛けて案件の原価に振り替えます。

このタイプで実際に効いてくるのは、原価計算の緻密さよりも工数がきちんと入力されるかどうかです。カレンダーや勤怠システムと連携して入力の負担を減らす仕組みを持つ製品が多いのは、そこが運用の急所になるからです。

業種を問わない汎用タイプ(販売・会計と一体で原価も扱う)

販売管理・在庫管理・会計といった基幹業務のシステムが、その一機能として原価を扱うタイプです。案件単位で発注原価や人件費をひもづけ、粗利を把握するところまでを担います。

原価管理の専用製品ではないため、どこまでを標準機能で扱えて、どこからがオプションや別エディションなのかを先に確かめる必要があります。会計ソフトの場合、個別原価管理は本体とは別契約の専用エディションになっていることがあり、本体を契約すれば使えると考えていると想定と食い違います。工程が単純で配賦が複雑でない企業、あるいは販売管理ごとまとめて入れ替えたい企業には現実的な選択肢になります。

販売管理ごと入れ替える前提で考えるなら、原価の対応状況だけでなく受注・仕入・在庫の機能も含めて比べる必要があります。販売管理システム側のタイプ別の違いと料金は、以下の記事にまとめています。

4つのタイプのどれに当てはまるかが見えてきたら、候補をさらに絞り込めます。原価を積み上げたい単位・今の業務システムを残すか入れ替えるか・会社の規模という3つの質問に答えると、条件に合う製品が表示される診断を用意しました。結果に出た製品の「詳細を見る」ボタンから、記事後半の個別紹介へそのまま移動できます。

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原価計算の方式・差異分析・配賦で比べる

タイプが絞れたら、次は同じタイプの中で製品を見比べる段階に入ります。ここで軸にしたいのが、原価計算の方式・原価差異をどこまで分解できるか・配賦基準を自社で決められるか、の3つです。

この3つを先に置くのには理由があります。画面の使いやすさや料金は導入後にも調整の余地がありますが、どの方式で原価を計算するか、差異をどの粒度で見るか、間接費をどう割り振るかは、自社の会計方針と業務の作りに根ざしていて後から変えにくいためです。ここが噛み合わない製品は、機能の多さでは埋め合わせられません。

対応する原価計算の方式(標準原価/実際原価、個別原価計算/総合原価計算)

原価計算の方式には、性質の違う2つの軸があります。ひとつは何を原価とみなすかという軸で、標準原価と実際原価が対になります。もうひとつはどの単位で原価を集計するかという軸で、個別原価計算と総合原価計算が対になります。この2つは別次元の話なので、掛け合わせて考える必要があります。

原価計算の方式を2軸で整理した図。縦軸は何を原価とみなすか(標準原価・実際原価)、横軸はどの単位で原価を集計するか(個別原価計算・総合原価計算)で、4つの組み合わせが並ぶ

標準原価計算と実際原価計算の違い

原価計算基準は、実際原価と標準原価を次のように定義しています。

1 実際原価とは、財貨の実際消費量をもつて計算した原価をいう。

2 標準原価とは、財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ、予定価格又は正常価格をもつて計算した原価をいう。この場合、能率の尺度としての標準とは、その標準が適用される期間において達成されるべき原価の目標を意味する。

出典:原価計算基準 第1章 4「原価の諸概念」(一)1・2|企業会計審議会

ここで押さえておきたいのが、この2つは単なる計算方法の違いではなく制度として選ぶものだという点です。原価計算基準は原価計算制度を実際原価計算制度と標準原価計算制度に大別し、企業がどちらを適用するかは「当該企業が原価計算を行なう目的の重点、その他企業の個々の条件に応じて」決めるとしています。したがって、製品側が対応しているかどうか以前に、自社がどちらの制度で回すのかを決めておく必要があります。

どちらを選ぶかは、原価の数字を何に使いたいかで分かれます。見積もりの精度を上げたい、赤字の案件を早く見つけたいというのが主目的なら、まずは実際原価計算で足ります。実績を正確に積み上げられれば、次の見積もりの根拠になり、進行中の採算も見えます。

これに対し、工程や部門の能率を評価したい、現場に原価の目標を示したいのであれば標準原価の設定が必要になります。基準も標準原価を設定する目的について「原価管理を効果的にするための原価の標準として標準原価を設定する。これは標準原価を設定する最も重要な目的である。」と述べています。

ただし標準原価は、標準の消費量と標準の単価をマスタとして持ち、実態に合わせて改訂し続ける運用が前提になるため、着手のハードルは実際原価計算より高くなります。

現実的な進め方としては、まず実際原価計算で運用を立ち上げ、データが溜まってから標準原価を載せるという順序が取りやすい進め方です。その場合、製品選びの段階では「いま標準原価を使うか」ではなく「後から標準原価を持てるか」を確認しておくことになります。

製品の機能一覧に「予定原価」「速報原価」といった呼び名が並んでいて混乱することがありますが、基準は「原価を予定価格等をもつて計算しても、消費量を実際によつて計算する限り、それは実際原価の計算である」としています。

予定の価格を使っているからといって標準原価計算とは限らないので、その製品が言う「予定原価」が何を予定しているのかを確かめると、対応方式の実態が見えます。価格だけを予定しているのか、消費量も含めて予定しているのかで意味が変わります。

出典・参考資料(1件)

個別原価計算と総合原価計算の違い(受注生産か、連続生産か)

もう一方の軸は、原価をどの単位でまとめるかです。原価計算基準は製品別計算の形態として単純総合原価計算・等級別総合原価計算・組別総合原価計算・個別原価計算の4つを挙げ、このうち前の3つを総合原価計算と総称しています。実務では個別原価計算と総合原価計算の2つに分けて語られますが、基準の書き方としては4類型の並びである点を押さえておくと、製品説明を読み違えずに済みます。

両者を分ける核心は、原価を集める単位です。

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比較項目個別原価計算総合原価計算
基準が示す適用対象「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態」単純:「同種製品を反復連続的に生産する生産形態」/組別:「異種製品を組別に連続生産する生産形態」
原価を集める単位特定製造指図書(製番・工事番号・案件番号にあたる)一期間の生産量
原価が確定するタイミングその指図書に含まれる製品の生産完了時期間ごとに総製造費用を生産量へ分割負担させる
当てはまりやすい業態受注生産の機械・装置、建設工事、受託開発などの案件型食品・化学・部品などの連続生産、見込み生産
出典・参考資料(1件)

この表を自社に当てはめると、前半で見たタイプ分けとつながります。製造業向けの製番管理、建設・工事業向けの工事番号、プロジェクト型の案件番号は、いずれも個別原価計算でいう「特定製造指図書」にあたります

業種は違っても計算の形態としては同じ系統で、だからこそ「うちは受注生産だから」という理由でタイプをまたいで候補を探しても話が通じるわけです。逆に同種の製品を連続生産している企業が案件単位の製品を検討すると、集計の単位が合いません。

原価差異をどこまで分解できるか

原価差異は、見積もりと実績の差そのものを指します。基準は、差異が出たときにすべきことをこう定めています。

原価差異が生ずる場合には、その大きさを算定記録し、これを分析する。その目的は、原価差異を財務会計上適正に処理して製品原価および損益を確定するとともに、その分析結果を各階層の経営管理者に提供することによつて、原価の管理に資することにある。

出典:原価計算基準 第4章 44「原価差異の算定および分析」|企業会計審議会

差異が10万円出た、で止まっていては打ち手が決まりません。材料を高く買ったのか、使いすぎたのか、作業に時間がかかりすぎたのか。原因のどこまで割れるかが、そのまま改善の細かさになります。この分解の粒度が、そのまま改善の細かさになります

費目別に差異を分解する(材料費・労務費・製造間接費)

ここで前の節の話が効いてきます。どちらの原価計算制度を採るかで、そもそも算定される差異の種類が違うのです。標準原価計算制度では、標準原価と実績の差を費目ごとに2段階へ分解する形が基準に示されています。

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費目基準上の差異分解される内訳読み取れること
材料費直接材料費差異価格差異/数量差異単価が上がったのか、使う量が増えたのか
労務費直接労務費差異賃率差異/作業時間差異単価の高い人が入ったのか、時間がかかったのか
製造間接費製造間接費差異能率差異/操業度差異など作業効率の問題か、稼働量が計画から外れたのか

基準の言葉では、材料費差異は「直接材料費差異」、労務費差異は「直接労務費差異」と呼ばれます。それぞれ「材料種類別に価格差異と数量差異とに分析する」「部門別又は作業種類別に賃率差異と作業時間差異とに分析する」とされています。

製造間接費差異については「原則として一定期間における部門間接費差異として算定し、これを能率差異、操業度差異等に適当に分析する」と述べられており、分け方に幅を持たせた書き方になっています。

一方、実際原価計算制度で生じる差異は別の体系です。基準は材料副費配賦差異・材料受入価格差異・材料消費価格差異・賃率差異・製造間接費配賦差異・加工費配賦差異・補助部門費配賦差異・振替差異の8つを挙げています。同じ「差異」でも中身が違うため、製品の資料に「差異分析に対応」とあったとき、それがどちらの制度を前提にした差異なのかを確認する意味があります。

出典・参考資料(1件)
原価差異の体系を制度別に示した図。標準原価計算制度では直接材料費差異が価格差異と数量差異、直接労務費差異が賃率差異と作業時間差異、製造間接費差異が能率差異と操業度差異などに分解される。実際原価計算制度では材料副費配賦差異・材料受入価格差異・材料消費価格差異・賃率差異・製造間接費配賦差異・加工費配賦差異・補助部門費配賦差異・振替差異の8つが挙げられている

建設・工事業やプロジェクト型では、この費目別の分解より、実行予算と実績の差を工事単位・案件単位で追えるかのほうが実務に近い問いになります。さらに工種別・仕入先別・顧客別といった軸で切れるかどうかで、原因の当たりの付けやすさが変わります。

差異を把握したあとの打ち手につなげる

差異分析は、見て終わりにすると意味がありません。冒頭で引いた原価管理の定義がそのまま運用の型になります。

  1. 標準(予定原価・実行予算)を設定して現場に示す:何をもって「予定どおり」とするかを決めます
  2. 実際の発生額を記録する:日報・発注・出退勤といった現場のデータが入ってくる仕組みを作ります
  3. 標準と比べて差異の原因を分析する:費目や工程、工事番号まで掘り下げます
  4. 管理者に報告し、手を打つ:見積単価の見直し、工程の組み替え、外注先の再検討などに反映します

製品を見るときは、2つ目と4つ目に注目すると実態が掴めます。現場のデータがどれだけ手間なく入ってくるかと、分析結果が誰にどんな形で届くかです。計算エンジンが優れていても、現場が入力しなければ差異は出ませんし、結果が経理の画面の中だけで完結すれば打ち手にはつながりません。

配賦基準を自社の実態に合わせられるか

3つ目の軸は配賦です。原価には、特定の製品や工事に直接ひもづけられるものと、そうでないものがあります。基準は前者を直接費、後者を間接費として分類しており、間接費をどう各対象に割り振るかが配賦の問題です。

配賦基準の代表例(直接作業時間・機械運転時間・生産数量など)

原価計算基準は、間接費の配賦に使う操業度について「原則として直接作業時間、機械運転時間、生産数量等間接費の発生と関連ある適当な物量基準によつて、これを表示する」としています。挙げられているのは直接作業時間・機械運転時間・生産数量の3つですが、要点は列挙そのものより「間接費の発生と関連ある」という条件のほうにあります。

実務では、これ以外の基準も広く使われています。人員数、売上高、専有面積、案件ごとの工数比率といったものです。製品側も、工数比率・従業員数比率・売上予算比率・面積比率といった基準をあらかじめ持っていたり、面積や机の数のようにシステムの外にある情報を基準として登録できるようにしていたりします。何を配賦基準にするかは、自社の間接費が何によって増減するかで決まります。

出典・参考資料(1件)

設定の自由度と運用負荷のバランス

ここで確認しておきたいのは、配賦基準の設計は製品任せにできないということです。原価計算基準は部門共通費の扱いについて、次のように定めています。

部門個別費は、原価部門における発生額を直接に当該部門に賦課し、部門共通費は、原価要素別に又はその性質に基づいて分類された原価要素群別にもしくは一括して、適当な配賦基準によつて関係各部門に配賦する。

出典:原価計算基準 第2章 第3節 17「部門個別費と部門共通費」|企業会計審議会

「適当な配賦基準によつて」という書き方が示すとおり、基準は具体的な配賦基準を指定していません。何が適当かを決めるのは企業自身です。したがって製品選定では、自社が決めた基準をその製品で表現できるかを確かめることになります。

もっとも、自由度が高ければよいという話でもありません。配賦のパターンを細かく作り込むほど、マスタの保守と、基準を変えたときの過去データとの整合が負担になります。判断の目安としては次のように整理できます。

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自社の状況求めたい配賦の自由度確認しておくこと
間接費が少なく、工程も単純あらかじめ用意された基準から選べれば足りる用意されている基準の種類。選択式で運用が完結するか
部門をまたいで間接費を按分している部門から部門へ、さらに製品・案件へと段階的に配賦できること多段階の配賦に対応するか。配賦の経路を自社で定義できるか
基準にシステム外の情報(面積・人数など)を使う任意の数値を基準として登録できること基準値の更新をどう運用するか(手入力か、取り込みか)
部門別計算まで行っている補助部門費の配賦方法を選べること直接配賦法・階梯式配賦法・相互配賦法のどれに対応するか

いちばん避けたいのは、既存のExcelで組んでいる配賦ロジックを製品側で再現できず、システム導入後もExcelでの按分が残ってしまう状態です。現在の配賦の手順を書き出したうえで、それが製品の設定画面でどう表現されるかをデモで見せてもらうのが確実です。

3軸は公式サイトだけでは判断できない(資料請求とデモで確認すること)

この3軸を公式サイトに明記している製品は多くありません。たとえば配賦基準について、設定できる基準まで公式に読み取れるのは24製品中5製品で、配賦の機能名はあるが基準の範囲が分からないものが11製品、配賦への言及自体がないものが8製品でした。

原価差異の分解粒度にいたっては、費目ごとにどこまで割れるかを公式に示している製品はさらに限られます。

この分布自体が、読者にとっては使える情報です。公式に開示している製品は、その軸を自社の強みとして訴求している製品だと読めます。

逆に記載がないことは機能がないことを意味しないので、確認するには聞くしかありません。原価計算の方式を標準原価・実際原価・個別原価計算といった会計上の呼称で示している製品もあれば、機能名だけが並んでいて対応方式が読み取れない製品もあります。差異分析の分解粒度と配賦基準の設定範囲については、記載がないほうが多いのが実情です。

後述の比較表では、公式に記載があるものは具体的に、記載がないものは「公式サイトに記載なし」と示しています。記載がないこと自体は機能がないことを意味しません。確認するには聞くしかない、というのがこの領域の実態です。資料請求や商談では、次のように聞くと差が見えます。

  • 方式について:「標準原価と実際原価を並行して持てますか。標準を持つ場合、マスタとして登録するのは標準単価だけですか、標準消費量も登録できますか」
  • 差異分析について:「材料費の差異は、単価の差と数量の差に分けて表示できますか。労務費は賃率と作業時間に分けられますか」(建設・工事業向けなら「実行予算と実績の差を、工種別・仕入先別に見られますか」)
  • 配賦について:「現在使っている配賦基準(自社の基準を具体的に伝える)を設定できますか。部門から案件へ段階的に配賦する形は組めますか」
  • データの入り口について:「現場の実績はどの画面から、誰が入力する前提ですか。スマートフォンからの入力に対応していますか」

そのうえでデモに進むときは、パンフレットのサンプルデータではなく自社の実際の案件を1件持ち込んで、原価が積み上がって差異が出るところまで通してもらうのが最も確実です。マスタに何を登録する必要があるか、現場の入力がどれだけ発生するかが、そこで初めて具体的に見えます。

各社の資料には、公式サイトには載っていない機能仕様や料金の詳細が含まれます。

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原価管理システムの選び方(連携・提供形態・規模・サポート)

業種と原価の積み上げ単位は、前半のタイプ分けと診断ツールで絞り込めます。ここでは、それ以外の運用面の条件を整理します。同じタイプの中で候補が3〜5社に並んだときに、順位をつけるための観点です。

自社の管理単位まで原価を落とし込めるか(製番・工程・工事番号・案件など)

タイプが合っていても、原価を積み上げたい単位まで対応しているとは限りません。たとえば製造業向けの製品でも、製番単位までは追えるが工程別には分解できないものがあります。プロジェクト型でも、案件の下にサブ案件を切って工程単位で見られる製品と、案件が最小単位の製品があります。

確認の仕方はシンプルで、いま社内で「この単位の採算が知りたい」と言われている単位を書き出し、それが製品のどのマスタに対応するかを聞くことです。工事の下に工区がある、案件の下に成果物がある、といった階層を持っている場合はとくに重要になります。階層が足りないと、システム化した後も結局Excelで内訳を作ることになります。

既存の生産管理・販売管理・会計システムと連携できるか

原価管理システムは単体では完結しません。原価の元データは生産管理・販売管理・勤怠から入り、計算した結果は会計へ流れていきます。この入口と出口が塞がっていると、二重入力が残ります。

連携の形はおおむね3通りです。同一シリーズ・同一パッケージの中で完結する形は、設定の手間が少ない反面、周辺システムごと入れ替える前提になりがちです。APIによる連携は自動化しやすい一方、開発の手が要ることがあります。CSVでの受け渡しは導入は容易ですが、月次のたびに人手が発生します。

選定時は、連携できるかどうかだけでなく連携先の製品名が具体的に挙がっているかを見ると精度が上がります。自社が使っている会計ソフトの名前が公式サイトの連携一覧に載っていれば、実績のある経路だと分かります。載っていない場合は、CSVの項目を自社で合わせる作業が発生する可能性を見込んでおきます。

クラウド型とオンプレミス型のどちらが向くか

原価管理システムは、業務システムの中でもオンプレミス型が根強く残っている領域です。自社の原価計算ロジックに合わせた作り込みが必要になりやすいこと、工場や現場のネットワーク環境の制約があることが背景にあります。

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比較項目クラウド型オンプレミス型・パッケージ型
初期費用低く抑えやすい(0円の製品もある)ソフトウェア費用が初期に発生する
カスタマイズ設定の範囲内。個別開発は限定的自社の計算ロジックに合わせた作り込みがしやすい
バージョンアップ提供側が実施する保守契約の範囲で対応。移行作業が発生することがある
拠点間の利用インターネット経由で拠点や現場から使える拠点間はVPNなどの手当てが要る
向いているケースまず小さく始めたい。拠点や現場からの入力が多い既存の原価計算が独自性を持つ。社内にIT運用の体制がある

※上記は各提供形態の一般的な傾向です。同じ製品でもクラウド版とオンプレミス版で条件が異なる場合があるため、詳細は各社にご確認ください。

近年はクラウド版とオンプレミス版の両方を用意し、同じ製品名で選べるようにしているベンダーも増えています。将来的な拠点展開や在宅での利用を見込むなら、いま必要でなくてもクラウド版の有無を確認しておくと、後の乗り換えを避けられます。

企業規模・品目数から見た選定の目安

同じ「原価管理システム」でも、想定している企業規模には幅があります。一人親方から使える工事台帳ソフトもあれば、年商1,000億円超のグループ企業を対象にした製品もあります。規模が合わない製品を選ぶと、機能が過剰で使いこなせないか、逆に伸びしろが足りずに数年で入れ替えになります。

目安として次の点を確認すると、規模の合致を判断しやすくなります。

  • 公式サイトが挙げている対象規模や導入事例の企業規模:同業種・同規模の事例があるかどうかが最も分かりやすい指標です
  • ライセンスの数え方:ユーザー単位か、同時接続数か、法人単位か。現場の作業者にも入力させる場合、ユーザー課金だと費用が跳ねます
  • データ量の上限:登録できる品目数・工事件数・伝票明細数に上限がある製品があります。現在の件数ではなく、数年後の見込みで確認します
  • 拠点・法人の数:複数法人を扱う場合、法人ごとに追加費用がかかる製品があります

サポート体制とカスタマイズ・アドオンの可否

原価管理システムは、導入して終わりにならない類のシステムです。マスタの整備、配賦基準の設定、帳票のレイアウト調整と、稼働までに決めることが多く、稼働後も業務の変化に合わせた手直しが発生します。

確認しておきたいのは、導入支援が料金に含まれるのか別途なのかという点です。月額料金にはソフトの利用料だけが含まれ、インストール・操作指導・データ移行は別費用という製品は珍しくありません。見積もりを比べるときは、この初期の支援費用を揃えて並べないと総額を見誤ります。

カスタマイズについては、可否だけでなくその後の保守がどうなるかまで聞いておきます。個別開発を入れた部分がバージョンアップのたびに追加費用の対象になるのか、標準機能の設定だけで済ませられるのか。設定で表現できる範囲が広い製品を選ぶと、長期的な保守費用を抑えられます。

原価管理システムの費用相場

原価管理システムの料金は、公開している製品と非公開の製品に大きく分かれます。とくに製造業向けの専用製品は、自社の生産形態に合わせた構築が前提になるため、要問い合わせとしているベンダーがほとんどです。ここでは、公式サイトで金額を公開している製品の実額を並べます。

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サービス名どっと原価シリーズレッツ原価管理Go2クラウドクラウドERP ZACReforma PSAプロカンクラウドログ勘定奉行クラウド[個別原価管理編]PCAクラウド 個別原価会計楽楽販売freee販売
タイプ建設・工事業向け建設・工事業向けプロジェクト型ビジネス向けプロジェクト型ビジネス向けプロジェクト型ビジネス向けプロジェクト型ビジネス向け業種を問わない汎用タイプ業種を問わない汎用タイプ業種を問わない汎用タイプ業種を問わない汎用タイプ
初期費用クラウド版は公式サイトに記載なし
オンプレミス版 850,000〜1,300,000円(LT・STのソフトウェア価格)
11,000円〜(1ユーザー、税込、1年契約)100,000円(初期設定費用。導入支援は別途見積もり)0円100,000円〜(税込110,000円〜、利用人数により変動)要問い合わせ50,000円〜(iAシステム)、60,000円〜(iBシステム)、70,000円〜(iSシステム)0円(インストール・操作指導・データ移行の費用は別途)200,000円(税抜。専任担当による3か月の導入支援を含む)0円
月額(または年額)クラウド版 13,000円〜/ライセンス(ライト)、23,000円〜/ライセンス(スタンダード)
オンプレミス版は年間保守102,000円〜156,000円
22,000円〜(1ユーザー、税込、1年契約)保守60,000円〜+モジュール×ライセンス数の利用料(モジュール単価は要問い合わせ)ライセンス単価×利用ライセンス数(販売6,000円・購買2,000円・勤怠300円ほか)。合計が下回る場合は最低30,000円(税抜)20,000円〜(税込22,000円〜、利用人数により変動)600円〜/ユーザー(ベーシック)、1,500円〜/ユーザー(プレミアム)。最低利用期間12ヶ月27,500円〜(iAシステム、年額330,000円〜)、31,250円〜(iBシステム)、37,750円〜(iSシステム)。いずれも税抜19,200円(税抜)〜(個別原価会計のみ)、23,400円(税抜)〜(固定資産を含む構成)70,000円(税抜)〜(利用ユーザー数・データベース作成数により変動)スタータープラン 3名利用で約5,000円、スタンダードプラン 10名利用で約40,000円(いずれも年払い・税抜の参考価格)
無料トライアル公式サイトに記載なし(無料デモ・無料相談の案内あり)45日間公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし(無料デモンストレーションの案内あり)7日間30日間2ヶ月あり(期間は公式サイトに記載なし)最長30日間
詳細情報公式サイト公式サイトサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイトサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト

※24製品のうち、公式サイトで金額を公開している10製品を掲載しています。残る14製品は初期費用・月額とも非公開で、要問い合わせです。
※2026年8月時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。最新の料金は各社公式サイトでご確認ください。

並べてみると、料金体系そのものが製品によって違うことが分かります。ユーザー単位の月額制、ライセンス数に応じた従量制、買い切りのパッケージ価格、クラウド版の年契約と、比べる土台が揃っていません。総額を比べるには、自社の利用条件を固定してから見積もりを取るのが確実です

見積もりを依頼するときは、次の情報を先に伝えると、返ってくる金額の精度が上がり、比較もしやすくなります。

  • 利用する人数と内訳:経理・生産管理などの入力担当者と、実績だけを入力する現場担当者を分けて伝えます
  • 拠点数・法人数:複数拠点や複数法人がある場合は、ライセンスの数え方が変わります
  • 取り扱う件数:品目数、年間の工事件数・案件数、月間の伝票明細数など
  • 連携したい既存システム:会計ソフト・生産管理・勤怠の製品名を具体的に挙げます
  • 導入支援の希望範囲:データ移行や操作指導を依頼するかどうかで初期費用が変わります

また、初期費用と月額のほかに年間保守料が別立てになっている製品があります。パッケージ型では珍しくない構造なので、5年程度の総額で見比べると実際の負担が見えます。

予算枠を先に押さえておきたい場合、上表で公開されている実額から読み取れる幅は次のとおりです。クラウド型は月額数千円から7万円台までの幅があり(1ライセンスあたり・最小構成での価格を含む)、パッケージ買い切り型はソフトウェア価格が数十万円から百数十万円で、これに年間保守料が10万円台から加わります。

製造業向けの専用製品は7製品すべてが金額を公開していないため、この幅には含まれていません。生産形態に合わせた構築が前提になる領域なので、規模を伝えたうえで個別に見積もりを取ることになります。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】管理会計システムの資料を
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【比較表】原価管理システムの比較24選

ここからは、24製品をタイプ別に比較します。共通して並べているのは、原価の積み上げ単位・原価差異の分解粒度・配賦基準の設定・公式が示す対象規模・提供形態・料金の6項目です。加えてタイプごとに、そのタイプの読者にとって判断を分ける項目を足しています。製造業向けなら対応する原価計算の方式と対象の生産形態、建設・工事業向けなら実行予算と出来高への対応、といった具合です。

建設・工事業の工事番号も、プロジェクト型の案件番号も、計算の形態としてはいずれも個別原価計算にあたります。この3タイプで判断を分けるのは方式そのものではなく、実行予算と出来高で工事の収支を追えるか、工数を人件費原価に振り替えられるか、といった点です。

公式サイトに記載が見つからなかった項目は「公式サイトに記載なし」、金額が非公開のものは「要問い合わせ」と表記しています。とくに原価差異の分解粒度は、費目別まで公式に明記している製品がほとんどないことが表から読み取れます。差異分析への対応をうたっていても、どこまで割れるかは資料請求と問い合わせで詰める領域だということです。

【タイプ別比較表】製造業向け

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サービス名J-CCOREsMCFrame XA 原価管理ProSeeスマートFアクロスSTRAMMICA’s Style
原価の積み上げ単位と対象の生産形態工程・品目単位(ころがし計算がプロセス型・組立型の両方に対応)
生産管理・会計・販売システムの種類を問わず連携する構成で、既存の生産管理を残して原価だけを追加できる
ロットNo・指図Noなど任意の単位
連続生産と個別受注生産の双方に対応。同シリーズの生産管理との一体導入と、他社の生産管理を残した原価管理単体の導入を選べる
工程別(累加法・原価費目別累加法・非累加法の3方式)
同種製品の連続生産と規格の異なる製品の個別生産の双方に対応。既存の生産管理システムにアドオンする構成
品番ごと・ロットごとなど任意の単位
対象業種は食品・化粧品・化学品・医薬品から産業機械装置・組立品・金属加工・自動車部品まで。生産管理システムの一機能として、必要な範囲だけ選んで導入
製番(案件)単位
毎回仕様の異なる個別受注生産・多品種少量生産が対象。原価管理に特化した製品で、既存の生産管理システムを残して追加できる
公式サイトに記載なし(複数の原価種別を定義して比較・分析)
食品・医薬品・化学品のバッチ・プロセス製造と加工組立型の双方に対応。生産管理・販売物流・調達を含むERPの原価管理モジュール
製番別(計画・実績と連動した個別原価管理)
量産・連続生産・受注設計生産・見込生産・個別受注生産・見込と受注の混在型に対応。販売・生産・購買・在庫を含むERPごと入れ替える構成
対応する原価計算方式実際原価・標準原価・個別原価
総合原価計算への対応は公式サイトに記載なし
標準原価・予算原価・実際原価・速報原価の4方式
個別原価計算・総合原価計算の両方
実際原価・実績原価・標準原価
個別原価計算・総合原価計算の両方
標準原価と実際原価の予実管理
個別原価計算・総合原価計算の別は公式サイトに記載なし
実際原価と予算・標準原価の差額を把握
総合原価計算への対応は公式サイトに記載なし
評価計算手法(原価種別)を複数定義
標準/実際・個別/総合という区分での記載は公式サイトになし
製番別の個別原価管理
標準原価計算・総合原価計算への対応は公式サイトに記載なし
原価差異の分解粒度差異分析機能・原価トレーサビリティ分析を掲げる
費目別(材料費・労務費・製造間接費)への分解は公式サイトに記載なし
実際原価と標準原価を比較して差異の要因を捉えると記載
費目別(材料費・労務費・製造間接費)への分解は公式サイトに記載なし
標準原価と実績原価の比較、および予算・計画操業度との差異分析(操業度差異)に対応
費目別(材料費・労務費・製造間接費)への分解は公式サイトに記載なし
原価を仕入費・外注費・労務費・間接費の4分類で集計し、標準原価と実際原価を予実管理
価格差異・数量差異といった差異の分解は公式サイトに記載なし
四要素の原価科目から原価明細までドリルダウン
四要素の内訳と、費目別(材料費・労務費・製造間接費)への分解は公式サイトに記載なし
予算原価と実績原価のシミュレーション・比較機能あり
費目別(材料費・労務費・製造間接費)への分解は公式サイトに記載なし
オーダー変更に対する原価シミュレーション機能を掲げる
費目別(材料費・労務費・製造間接費)への分解は公式サイトに記載なし
配賦基準の設定複雑な配賦計算に対応と記載。設定できる配賦基準は公式サイトに記載なし直接配賦法・相互配賦法・階梯式配賦法から選択。作業時間・出来高数などの基準を部門・品群・品目ごとに設定設定した基準で製造間接費を配分。基準の選択肢は公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし間接費を製番へ配賦する機能あり。基準の設定範囲は公式サイトに記載なしABC(活動基準原価計算)を採用。コストドライバーに各種の配賦基準を設定できると明記公式サイトに記載なし
公式が示す対象規模公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし年商10億円〜1,000億円超従業員30人未満の小規模企業から500〜999人規模まで公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし中小・中堅製造業を中心と記載(従業員数・売上規模の目安は公式サイトに記載なし)
提供形態クラウド/オンプレミスオンプレミス(クラウド提供の有無は公式サイトに記載なし)クラウド/オンプレミスクラウドクラウド(VPN接続)/オンプレミスクラウド/オンプレミス/データセンター型クラウド
料金要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。「公式サイトに記載なし」は非対応という意味ではなく、資料請求・問い合わせで確認する項目です。

【タイプ別比較表】建設・工事業向け

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サービス名どっと原価シリーズレッツ原価管理Go2クラウドPROCES.Se2-movE要〜KANAME〜
実行予算・出来高・工事進行基準への対応実行予算は4階層まで作成でき予算履歴も管理
出来高調書・出来高報告書を出力
工事進行基準に対応した進行率による収支管理
実行予算は工種別・仕入先別に入力し、修正時は当初予算と分けて管理
出来高請求に対応し進捗率から売上伝票を自動生成
工事進行基準に対応
実行予算は積算データを取り込みExcelに近い画面で作成
承認された出来高が本社の仕訳データへ反映
完成振替日と伝票日付から完成・未成を自動判別し、完成工事原価と未成工事支出金を区分
実行予算は工種別に登録し原価実績と照合。予算の改定履歴と消化率も管理
工事出来高入力・出来高査定に対応
工事進行基準への対応は公式サイトに記載なし
進行中の工事で予算・原価・利益の状況を確認
工事完了時または出来高での請求書発行に対応
工事進行基準への対応は公式サイトに記載なし
原価の積み上げ単位工事単位(工事台帳)工事登録(案件)単位。配下で工種別・仕入先別に実行予算を入力工事番号・現場単位工事登録(工事台帳)単位工事台帳(工事・案件)単位
原価差異の分解粒度原価管理表・工事台帳・ドリルダウン集計で実行予算と実績を対比
工種別・費目別など分解の粒度は公式サイトに記載なし
原価モニターで進行中の工事の予算と実績を管理
工種別・費目別など分解の粒度は公式サイトに記載なし
今後支出見込入力を含め、工事単位で予算・実績・着地見込みを比較
工種別・費目別など分解の粒度は公式サイトに記載なし
予算実績対比表で実行予算と実績を対比
工種別・費目別など分解の粒度は公式サイトに記載なし
工事単位に加え、顧客別・工種別に売上・粗利率・営業利益率を集計
費目別(材料費・労務費・外注費・経費)への分解は公式サイトに記載なし
配賦基準の設定労務費配賦・共通費配賦の機能あり。基準を自社で設定できるかは公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし共通原価配賦入力の機能あり。基準を自社で設定できるかは公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし
公式が示す対象規模1〜10名から301名以上まで、4段階で対象を提示公式サイトに記載なし完成工事高10億円規模〜100億円超公式サイトに記載なし一人親方〜数十名規模
提供形態クラウド(どっと原価3)/オンプレミス(どっと原価NEO)クラウド/オンプレミス(パッケージ版)クラウド/オンプレミスクラウド/オンプレミスオンプレミス(クラウド版の有無は公式サイトに記載なし)
料金月額13,000円〜/ライセンス(内訳は費用の節)月額22,000円〜/ユーザー(内訳は費用の節)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。「公式サイトに記載なし」は非対応という意味ではなく、資料請求・問い合わせで確認する項目です。

【タイプ別比較表】プロジェクト型ビジネス向け

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サービス名クラウドERP ZACマネーフォワード クラウド個別原価MA-EYESReforma PSAプロカンクラウドログ
工数から人件費原価への振替案件と作業項目を指定して登録した工数を、案件別の労務費として自動集計。直接作業は案件に直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦工数入力は日次・月次から選択でき、締め(ロック)機能で確定後の書き換えを防止。クラウド給与の労務費データと突き合わせメンバーのマスタに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛け合わせて算出。基準単価と実績のずれは自社の状況に合わせた基準で按分プロジェクト・作業内容ごとの工数登録を前提に、労務費配賦計算で案件原価へ反映工数×労務単価で人件費を原価換算。GoogleカレンダーやOutlookカレンダーのスケジュールから工数を取り込みメンバーごとに設定した単価と工数実績を掛け合わせて工数原価を算出
原価の積み上げ単位プロジェクト・案件単位(サブプロジェクト・タスク単位への細分化は公式サイトに記載なし)プロジェクト(案件)単位プロジェクト単位(製品・ジョブなど別の単位での原価管理も可能)案件(プロジェクト)単位案件(プロジェクト)単位プロジェクト単位
原価差異の分解粒度プロジェクト単位で予定と実績の労務費、予定と実績の作業時間、進捗率を同一画面で確認
工程別・費目別への分解は公式サイトに記載なし
プロジェクト原価推移表で、直接費と間接費、労務費・経費・材料費、勘定科目の内訳までドリルダウン
予算原価と実績原価を対比する予実機能は公式サイトに記載なし
プロジェクト単位で売上・コストを予実管理し、部門別・案件別・顧客別のレポートと着地予測を出力
費目別への分解は公式サイトに記載なし
プロジェクト別に工数(労務費)の予定と実績を対比し、進行中でも上振れを把握
費目別への分解は公式サイトに記載なし
予算実績対比表で売上・原価・工数の予算と実績、昨年対比を集計
費目別への分解は公式サイトに記載なし
プロジェクト単位で工数と原価の予算・実績を対比し、予算超過が見込まれるとアラート表示
費目別への分解は公式サイトに記載なし
配賦基準の設定共通費・販売費・一般管理費の配賦に対応。基準の種類と自社で設定できる範囲は公式サイトに記載なしプロジェクト工数比率・部門の従業員数比率・売上予算比率・面積比率に加え、任意のカスタム基準を設定可能。部門から部門、部門からプロジェクトへの多段階配賦にも対応工数・人数・売上高・人件費といった比率に加え、面積や机の数などシステム外の情報も基準として設定可能共通費配賦計算あり(工数登録が前提)。基準を自社で設定できる範囲は公式サイトに記載なしインフラ費用・ツールライセンス費・外注費を按分と記載。基準を自社で設定できる範囲は公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし
公式が示す対象規模50名〜(同社Reforma PSAとの公式比較ページの目安)IPO準備企業〜中堅・上場企業SaaS版は100名未満が目安、一括版は100名以上(1,000名以上の導入実績あり)〜50名(同社ZACとの公式比較ページの目安)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし
提供形態クラウドクラウドクラウド(SaaS版・SaaS+版・一括版の3形態)クラウドクラウドクラウド
料金保守60,000円〜/月+モジュール利用料(内訳は費用の節)要問い合わせ要問い合わせ月額30,000円〜(内訳は費用の節)月額20,000円〜(内訳は費用の節)月額600円〜/ユーザー(内訳は費用の節)
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。「公式サイトに記載なし」は非対応という意味ではなく、資料請求・問い合わせで確認する項目です。

【タイプ別比較表】業種を問わない汎用タイプ

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サービス名勘定奉行クラウド[個別原価管理編]iFUSIONPCAクラウド 個別原価会計楽楽販売freee販売アラジンオフィス
原価管理の守備範囲クラウド会計の専用エディション。本体の勘定奉行クラウドとは別契約
原価配賦はiSシステム、プロジェクト予実管理はiBシステム以上で追加
Excel運用をデータベース化し、収集・エラーチェック・集計・レポート作成を自動化するプラットフォーム
専用の原価計算エンジンは持たない
個別原価会計に特化したクラウド会計ソフト
部品表にもとづく工程別・品目別の原価計算は公式の機能紹介に記載なし
クラウド型販売管理システムの標準機能としての原価・収支管理
ノーコードで自社の計上ルールに合わせられる。原価管理だけを切り出したプランはなし
クラウド型販売管理システムの機能としての原価・粗利管理。freee会計と組み合わせて使う設計
案件ごとの人件費の予算と実績は工数管理オプションで連動
販売・在庫・購買管理パッケージに追加するプロジェクト管理オプション
仕掛原価の管理、作業日報による労務費計上、案件諸掛による諸経費の付け替え
原価の積み上げ単位プロジェクト単位(サブプロジェクトで工程単位まで細分化)自社が用意するExcelフォーマットの設計による(固定の積み上げロジックを持たない)プロジェクト単位(名称を案件・受注ロット・工番などに変更可能)案件(プロジェクト)単位案件(プロジェクト)単位案件(プロジェクト)×原価商品単位
原価差異の分解粒度プロジェクト別原価報告書で発生額・入金・粗利・予算を同一画面で確認(プロジェクト予実管理はiBシステム以上)
工程別・費目別への分解は公式サイトに記載なし
予算編成・予実/見込管理のデータ収集と集計が主な機能
原価差異の分析レポートとしての機能は公式サイトに記載なし
プロジェクト別・工程別に原価予算を登録し、月次・部門別の予算実績比較表へ反映(予算パターンは30通り)
費目別への分解は公式サイトに記載なし
案件単位で見積時の原価率と実績の差を可視化した導入事例あり
専用の差異分析機能と、品目別・工程別への分解は公式サイトに記載なし
原価推移レポートで、案件ごと・月別に原価の予算と実績を対比
品目別・工程別への分解は公式サイトに記載なし
案件ごとの手配状況と収支を管理
予定原価と実績原価の差異分析レポートは公式サイトに記載なし
配賦基準の設定配賦基準・一括配賦の機能あり(複数の配賦パターンを設定可能)。基準の種類と自社で設定できる範囲は公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし共通原価の配賦仕訳をパターン化し、人数比や請負高の実績比など任意の比率で一括配賦公式サイトに記載なしfreee会計側の費用配賦機能(配賦比率指定または均等配賦)が担当。freee販売単体の機能としての記載は公式サイトになし案件諸掛で諸経費を案件へ付け替え。基準を自社で設定できる範囲は公式サイトに記載なし
公式が示す対象規模中小〜中堅企業(中堅・上場企業向けは上位版の勘定奉行V ERPクラウド[個別原価管理編])公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし個人・小規模法人(スタータープラン)〜規模拡大期の企業(スタンダードプラン)プロジェクト管理は比較的工期が短く小規模な工事を想定と記載
提供形態クラウドクラウド/オンプレミスクラウド(オンプレミスは別形態のPCAサブスク 個別原価会計)クラウドクラウドクラウド/オンプレミス
料金月額27,500円〜(内訳は費用の節)要問い合わせ月額19,200円〜(内訳は費用の節)月額70,000円〜(内訳は費用の節)月額約5,000円〜(参考価格。内訳は費用の節)要問い合わせ
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。「公式サイトに記載なし」は非対応という意味ではなく、資料請求・問い合わせで確認する項目です。

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原価管理システムのサービス個別紹介

ここからは、各製品の対応範囲を個別に見ていきます。表では収まりきらない、原価をどう積み上げるか・どこまで分解できるか・どんな企業が使っているかを整理します。

製造業向けの原価管理システム

部品表と工程データから品目単位で原価を積み上げるタイプです。既存の生産管理システムに原価だけを足したい企業と、生産管理ごと見直したい企業とで、選ぶ範囲が変わります。

1. J-CCOREs(JFEシステムズ株式会社)

J-CCOREsのウェブサイト

鉄鋼業向けの原価計算システムとして開発され、その後に食品・石油化学・医薬品・半導体・自動車部品など幅広い製造業へ展開してきた原価管理・採算管理パッケージです。公式サイトには約200社の導入実績が記載されています(時点の記載はなし)。

実際原価・標準原価による計算と、指図書単位で積み上げる個別原価計算のいずれにも対応します。工程を追って原価を次の工程へ積み増していくころがし計算を備え、プロセス型・組立型のどちらの生産にも使えます。

2025年4月には、基本機能に絞った派生モデル「J-CCOREs Basic」が加わりました。Basicが対応する計算制度は実際原価計算制度のみで、ころがし計算などは上位版での提供になります。導入前には、自社の実データを使ったプロトタイプ計算で適合を確かめる「適合診断サービス」を利用できます。

2. MCFrame XA 原価管理(ビジネスエンジニアリング株式会社)

MCFrame XA 原価管理のウェブサイト

調達から生産・物流までを一貫して扱うSCM(サプライチェーン管理)の機能を含むERPパッケージ「MCFrame XA」シリーズの原価管理モジュールです。同シリーズの生産管理と一体で導入することも、他社の生産管理システムと連携させて原価管理だけを導入することもできます。導入実績は250社超と公式サイトに記載があります(時点の記載はなし)。

間接費の配賦は直接配賦法・相互配賦法・階梯式配賦法の3方式から選べ、作業時間や出来高数などの基準を部門・品群・品目ごとに設定できます。原価計算は標準原価・予算原価・実際原価・速報原価の4方式に対応し、総合原価計算と製造指図書別の個別原価計算の両方を公式に掲げています。

複数会社・複数拠点を1つの基盤で管理するグローバル対応と、IFRS(国際財務報告基準)への対応も備えます。問い合わせ窓口は電話(土日を除く9:00〜17:00)とフォームが案内され、導入後の利用者向けにはユーザー会とトレーニングサービスが用意されています。

3. ProSee(ソートウェア株式会社)

ProSeeのウェブサイト

工場経理出身の代表者と、製造業のシステム部門出身のエンジニアが開発した製造業向けの原価計算・管理会計システムです。固定のパッケージではなく、標準機能群をマスタ設定で各社の業務に合わせるフレームワーク製品と位置づけられており、年商10億円から1,000億円超まで幅広い規模の製造業を対象としています。

個別原価計算と総合原価計算の両方に対応し、工程別の積み上げは累加法・原価費目別累加法・非累加法の3方式から選べます。前工程の原価を次の工程へ順に加算するか、費目ごとに集計して最後に合算するかの違いです。計算の種類も、実際原価計算・実績原価計算・標準原価計算に対応すると公式に記載されています。

差異分析については、標準原価と実績原価の比較に加えて、予算・計画操業度との差異(操業度差異)への対応が示されています。既存の生産管理システムにアドオンで組み込む構成のため、生産管理は現行のまま残し、原価計算の仕組みだけを載せ替えたい企業に向きます。

4. スマートF(株式会社ネクスタ)

スマートF(SmartF)のウェブサイト

在庫・購買・工程・生産計画・品質などの機能を、必要な範囲だけ選んで導入できるクラウド型の生産管理システムです。原価管理は独立した製品ではなく、この生産管理システムの一機能として提供されます

原価は仕入費・外注費・労務費・間接費の4分類で自動集計され、品番ごと・ロットごとといった任意の単位で実際原価を把握できます。現場のバーコード入力がそのまま集計に反映される仕組みで、標準原価と実際原価の予実管理にも対応します。

会計システムとは奉行クラウドシリーズとのCSV連携が用意され、手動での連携は無料、自動連携は年間60,000円からです。料金は機能数と端末数に応じた個別見積もりで、導入実績はプレスリリースで250件以上と公表されています(時点の記載はなし)。問い合わせは電話(平日9:00〜18:00)とフォームで受け付けています。

5. アクロス(株式会社インプローブ)

アクロス(ACROSS)のウェブサイト

注文の都度設計して製造する工場や、類似仕様の製品を断続的に繰り返し製造する工場、すなわち個別受注型・多品種少量生産の製造業を対象とした原価管理システムです。産業機械・工作機械・制御盤・プラント設備・単品部品製造業などが対応業種として挙げられています。

製番(案件)単位で原価を積み上げ、実際原価と予算・標準原価との差額を把握します。原価を構成する四要素の科目(公式サイトの表記)から個々の原価明細まで掘り下げられるため、差額がどこで生まれたかを追えます。

項目ごとに実行予算を設定し、発注の段階で予算の範囲内かを確認しながら進められるため、見積もりに対する原価超過を未然に防ぐ用途に向きます。PCA・勘定奉行・弥生といった会計・給与ソフトとの連携に対応し、導入前には無料の製品貸出検証パックを試せます

6. STRAMMIC(株式会社アミック)

STRAMMIC(ストラミック)のウェブサイト

2005年から提供されてきたAMMIC/Netシリーズの後継として2017年から展開されている、製造業向けの基幹業務システムです。販売物流管理・生産管理・調達管理・原価管理の4モジュールで構成され、原価管理を担うのはSTRA CAというモジュールで、単体導入と複数モジュールの統合導入のどちらにも対応します。

STRA CAは、必要とする評価計算手法(原価種別)を複数定義して比較・分析できる設計です。間接費の配賦にはABC(活動基準原価計算)を採用し、コストドライバー(作業時間や処理件数など、間接費の発生量を左右する要因)に各種の配賦基準を設定できると公式に明記されています。

予算原価と実績原価はシミュレーションで比較でき、複数の原価種別を並べた分析と組み合わせて使えます。提供形態はクラウド・オンプレミス・データセンター型から選べ、公式サイトでは複数のモジュールを1年以上かけて段階的に稼働させた導入事例が紹介されています。

7. A’s Style(株式会社ケーエムケーワールド)

A's Style(エースタイル/アズスタイル)のウェブサイト

販売・生産・購買・在庫・原価管理を1つにまとめたクラウド型のオールインワンERPです。2013年6月に販売が始まり、独自の開発エンジンで業務機能とパーツを組み合わせ、各社に合わせた構成で導入するセミオーダー型を掲げています。

対応する生産形態は、量産・連続生産・受注設計生産・見込生産・個別受注生産と見込・受注の混在型の6つです。原価は計画・実績と連動した製番別の個別原価管理が中心で、受注前の見積もり段階でコストをシミュレーションする機能も備えます。

タブレットやバーコードによる実績収集、AI-OCR(紙の帳票を読み取ってデータ化する仕組み)とRPA(定型作業を自動で処理するソフトウェア)の連携といった現場側の機能も標準で備えます。公式サイトでは自動車・航空部品製造業や切削製造業の導入事例が紹介されており、検討段階では無料のオンラインセミナーに参加できます。

建設・工事業向けの原価管理システム

工事台帳を軸に、実行予算と実績の差を工事番号単位で追うタイプです。総合建設業か専門工事業か、また会社の規模によって、必要になる機能の幅が大きく変わります。

8. どっと原価シリーズ(株式会社建設ドットウェブ)

どっと原価シリーズのウェブサイト

クラウド型の「どっと原価3」とオンプレミス型の「どっと原価NEO」という2系統で構成される、建設業・個別受注製造業向けの原価管理システムです。導入社数は公表の時点によって数値が異なり、2025年2月時点で5,500社、2026年1月時点で6,000社、公式サイトでは2026年8月確認時点で6,500社(自社調べ)と案内されています。

見積作成から実行予算、発注、原価集計、買掛、売上・入金までを一続きで扱い、実行予算は4階層まで作成して予算の履歴も残せます。工事進行基準に対応した進行率による収支管理のほか、労務費配賦・共通費配賦の機能も備えます。

料金は、クラウド版のどっと原価3が1ライセンスあたりライト月額13,000円〜、スタンダード月額23,000円〜です。オンプレミス版のどっと原価NEO LT・STは、ソフトウェア価格850,000〜1,300,000円に年間保守費用102,000〜156,000円が加わります。

東京商工リサーチの2025年2月調査(建設業向け原価管理システム市場)では、2015年度から2023年度まで9年連続で導入企業数第1位と公表されています

9. レッツ原価管理Go2クラウド(株式会社レッツ)

レッツ原価管理Go2クラウドのウェブサイト

1996年発売の「レッツ工事台帳」を前身とする建設業向けの原価管理ソフトで、現在はパッケージ版と、サブスクリプション型のクラウド版が用意されています。見積から工事登録、発注、仕入、出面(勤怠)、支払査定、請求、入金までを一元管理します。

原価は工事登録した案件を単位に積み上げ、その配下で工種別または仕入先別に実行予算を入力します。予算を修正した場合は当初予算と実行予算を分けて残せ、進行中の工事は原価モニターで予算と実績を照らせます。

公式サイトは「2009年4月施行の工事進行基準に対応」と記載しており、進捗率から売上伝票を自動生成する出来高請求も行えます。会計・給与ソフトとの連携は勘定奉行・PCA会計・弥生会計など主要な製品に対応し、出面書の勤怠データは給与ソフトへ渡せます。

クラウド版は1年契約で、初期費用が1ユーザー11,000円〜20ユーザー220,000円、月額が1ユーザー22,000円〜20ユーザー121,000円(いずれも税込)です。導入前には45日間の無料お試しを利用できます。

10. PROCES.S(株式会社内田洋行ITソリューションズ)

PROCES.S(プロセス)のウェブサイト

財務会計から原価・調達、支払、請求・回収、JV(共同企業体)管理、給与・労務費までを15のモジュールでカバーする、建設業向けの統合型ERPです。必要なモジュールだけを選んで導入することもでき、クラウド対応版とオンプレミス版のどちらも提供されています。

原価は工事番号・現場を単位に積み上げ、実行予算は積算データを取り込んでExcelに近い画面で作成します。現場で承認された出来高は、本社側の仕訳データへそのまま反映されます。

工事登録時の完成振替日と伝票日付を比較して工事の完成・未成を自動判別し、完成工事原価と未成工事支出金(決算日時点で完成していない工事に投じた原価)を区分した仕入仕訳を作成します。今後の支出見込みを入力して最終利益を把握する損益予測も用意されています。

会計と給与は外部ソフトとの連携ではなく本システム内のモジュールで賄う構成のため、既存の会計ソフトを使い続けたい場合は連携可否を個別に確認する必要があります。導入実績は全国370社以上(時点の記載はなし)で、完成工事高10億円規模から100億円超の企業まで導入されています。

11. e2-movE(三谷商事株式会社)

e2-movE(イー・ツゥー・ムーヴ)のウェブサイト

建設資材商社である三谷商事が、自社の建材・建設業界での知見をもとに開発したERPパッケージです。工事管理・販売・建設会計・支払管理・出面管理などのモジュールで構成され、対象業種としては建材販売・卸売業、総合工事業、職別工事業、設備工事業を挙げています。

原価管理を担うのは工事管理モジュールで、工事登録(工事台帳)を単位に実行予算・原価・出来高・支払を積み上げます。実行予算は工種別に登録して原価実績と照合でき、予算の改定履歴と消化率も管理します。差異は予算実績対比表で確認し、間接費には共通原価配賦入力という専用の入力機能が用意されています。

帳票は工事台帳・工事原価一覧表・工事原価元帳・仕入明細表(工事)などを出力できます。提供形態はクラウド版とオンプレミス版の2種類で、導入実績は建材・工事・建材販売業界で400社以上と公表されています(時点の記載はなし)。

12. 要〜KANAME〜(株式会社プラスバイプラス)

要〜KANAME〜のウェブサイト

一人親方から数十名規模の会社までを対象に掲げる、電気・水道・空調・設備・塗装工事向けの工事台帳・原価管理システムです。工事台帳を起点に、見積書・注文書・請求書の作成から原価管理、入金管理、日報管理までを一つのデータでつなぎます。

原価の入口になるのは日報で、現場から入力された日報データをもとに材料費と労務費を自動計算し、工事ごとの収支と粗利をその都度反映します。日報や出退勤、雑費、材料費の入力にはスマートフォンアプリが用意され、集計は工事単位に加えて顧客別・工種別の売上・粗利率・営業利益率でも行えます。

請求書は、工事完了時のほか出来高でも発行できます。料金は業務内容に合わせた個別見積もりで、サポートは全国9拠点からの訪問に加えて、電話・リモート・LINEでの対応が案内されています。

プロジェクト型ビジネス向けの原価管理システム

工数の実績を案件の原価に振り替えるタイプです。原価計算の緻密さに加えて、現場のメンバーが工数を入力し続けられる仕組みかどうかが、運用の成否を分けます。

13. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACのウェブサイト

案件ごとに外注費・仕入・労務費を紐付けて一元管理し、プロジェクト別の収支を可視化することを軸に据えた、株式会社オロのクラウドERPです。IT・システム開発、広告・クリエイティブ、コンサルティング・士業など13業種を対象に、販売管理から購買・工数・経費管理までを同じ基盤で扱います。

工数管理では、担当者が案件と作業項目を指定して登録した工数が、自動的に案件別の労務費として集計されます。直接作業は指定した案件に直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦するルールが公式に示されており、共通費や販売費・一般管理費の配賦にも対応します。

料金は初期設定費用100,000円と保守60,000円〜/月に、機能モジュール×ライセンス数の利用料を加える構成です。予実の確認はプロジェクト単位で、予定と実績の労務費・作業時間・進捗率を同じ画面に並べられます。

14. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド個別原価のウェブサイト

2023年2月に提供が始まった、株式会社マネーフォワードのクラウドERPシリーズに属する個別原価管理システムです。プロジェクト単位で原価を積み上げ、工数入力から配賦計算・個別原価の算出・仕訳生成までを一つのシステムで扱い、費用データはクラウド会計Plusやクラウド給与など同シリーズの製品から集めます。

配賦基準はプロジェクト工数比率・部門の従業員数比率・売上予算比率・面積比率に加え、任意に作成したカスタム基準を設定できると公式に明示されています。費用の性質に応じて基準を使い分けられ、部門から部門、部門からプロジェクトへという多段階の配賦にも対応します。

工数入力は日次と月次から選べ、締め(ロック)機能で確定後の書き換えを防げます。実績はプロジェクト原価推移表で、直接費と間接費、労務費や経費といった費目、勘定科目の順にドリルダウンでき、どの費目が原価を押し上げたかを追えます。

15. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

MA-EYESのウェブサイト

システム開発業・広告業・人材派遣業・建設コンサルタント業など、案件単位で収益が発生する業種に向けて、株式会社ビーブレイクシステムズが2005年から提供しているクラウドERPです。標準ではプロジェクト単位で原価を管理しますが、製品やジョブなど別の単位での原価管理も可能と公式ページに明記されています。

人件費は、メンバーのマスタに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛け合わせて算出し、基準単価と実績にずれが出た場合は自社の状況に合わせた基準で按分します。配賦基準には工数・人数・売上高・人件費といった比率に加え、面積や机の数のようなシステム外の情報も設定できるとされ、企業独自の配賦ルールを定義できます。

予実はプロジェクト単位で売上・コストを対比でき、部門別・案件別・顧客別のレポートや、進行中案件の着地予測も出力できます。提供形態はSaaS版・SaaS+版・一括版の3つで、100名未満の利用から1,000名以上の大企業・グループ会社での利用までを想定しています。

16. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSAのウェブサイト

先に取り上げたZACと同じ株式会社オロが2014年から提供している、IT業・広告業・イベント業・コンサルティング業・制作業・設計業向けのクラウドERPです。案件ごとに外注費と労務費を管理し、仕掛中でも案件別の損益を把握できる設計で、導入実績は500社以上(2024年12月時点)と発表されています。

同社は公式の比較ページでZACとの使い分けを示しており、推奨規模の目安はReforma PSAが〜50名、ZACが50名〜、導入までの期間はそれぞれ1〜2ヶ月程度と3〜6ヶ月程度と案内しています。工程管理・文書管理・経営モニタリング・高度な分析機能はZAC側に含まれ、Reforma PSAは販売・購買・勤怠・経費といった基本機能に絞った構成です。

原価は案件単位で積み上げ、労務費配賦計算・共通費配賦計算はいずれも工数登録が前提となります。料金は初期費用0円で、販売6,000円・購買2,000円・勤怠300円といったライセンス単価の合計が月額となり、合計が下回る場合は最低30,000円(税抜)が適用されます。プロジェクト別の工数・労務費は、予定と実績を対比できます。

17. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンのウェブサイト

売上・原価・経費・工数をすべて案件に紐づけ、外注費などの社外コストに加えて社内メンバーの工数を原価に換算し、案件ごとの粗利を出すことに主眼を置いたシステムです。対象業種としては、IT・システム開発、イベント・映像制作、広告・PR代理店、デザイン・Web・アプリ制作、建設・設計・工事を挙げています。

工数はGoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携し、スケジュールから取り込めます。料金は初期設定費100,000円〜(税込110,000円〜)、月額利用料20,000円〜(税込22,000円〜)と実額が公開されており、いずれも利用人数に応じて変動します。

予算実績対比表では、売上・原価・工数の予算に対する実績を昨年対比も含めて確認できます。ただし間接費は、インフラ費用やツールライセンス費、外注費を按分して案件原価に含めるという説明にとどまり、配賦基準を自社で設計する余地までは公式に示されていません。

18. クラウドログ(株式会社クラウドワークス)

クラウドログ(CrowdLog)のウェブサイト

株式会社クラウドワークスが2020年3月に提供を始めた工数管理・プロジェクト管理サービスで、原価管理はその工数実績データの上に組み立てられています。メンバーごとに設定した単価と工数実績を掛け合わせてプロジェクトの工数原価を算出し、売上予算・原価予算と実績を突き合わせて損益をレポート化する仕組みです。導入実績は900社以上(2026年1月末時点)と公式サイトに記載されています。

間接費や共通費をプロジェクトへ配賦する機能については、公式サイトの機能紹介ページで説明が見当たりません。案件・部門など多段の単位で原価を積み上げる個別原価計算ソフトというより、工数実績から案件の収支を追うツールとして捉えると、自社の要件と合うかを判断しやすくなります。

工数の予算消化状況は随時監視され、超過が見込まれる場合はアラートが表示されます。料金はベーシックが600円〜/ユーザー・月、プレミアムが1,500円〜/ユーザー・月で、最低利用期間は12ヶ月です。公式に挙がっている連携先はKING OF TIMEやジョブカンなどの勤怠管理ツールで、7日間の無料トライアルで使い勝手を確かめられます。

業種を問わない汎用タイプの原価管理システム

販売管理・会計といった基幹業務の一機能として原価を扱うタイプです。専用製品ではないぶん、標準機能で扱える範囲とオプション・別エディションの境目を確かめておく必要があります。

19. 勘定奉行クラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウドのウェブサイト

勘定奉行クラウド[個別原価管理編]は、株式会社オービックビジネスコンサルタントのクラウド会計に、プロジェクト単位の原価管理を組み込んだ専用エディションです。本体の勘定奉行クラウドとは別の料金体系・別契約にあたり、本体を契約するだけでは個別原価管理の機能は使えません。

原価はプロジェクト単位で積み上げ、配下にサブプロジェクトを設定すれば工程単位まで細分化できます。プロジェクト別原価報告書では、発生額に加えて入金情報・粗利・予算情報を同一画面で確認できます。労務費は給与データの自動仕訳と連動し、プロジェクトごとに計上されます。

ただし公式の料金案内では、原価配賦はiSシステム、プロジェクト予実管理はiBシステム以上で追加される機能とされています。間接費の配賦まで行うならiSシステムが必要になるため、どのエディションを選ぶかで扱える範囲が変わります。

料金はいずれも税抜で、iAシステムが月額27,500円・初期費用50,000円からです。iBシステムは月額31,250円・初期費用60,000円から、iSシステムは月額37,750円・初期費用70,000円からとなります。利用者1ユーザーと専門家1ユーザー、仕訳伝票明細300,000件までの標準構成での金額で、30日間の無料体験も用意されています。

20. iFUSION(株式会社インプレス/imprex.co.jp)

iFUSIONのウェブサイト

現場で使っているExcelのフォーマットをそのまま残したまま、各部門に散らばるExcelデータをデータベース化し、収集・エラーチェック・集計・レポート作成を自動化するシステムです。株式会社インプレス(imprex.co.jp。出版社のインプレスとは別会社)の自社製品で、クラウドとオンプレミスのどちらでも導入できます。

専用の原価計算エンジンを持つ製品ではなく、原価をどの単位で積み上げるかは自社が用意するExcelフォーマットの設計に委ねられます。パッケージの計算ロジックが自社の原価計算のやり方に合わない場合や、Excel運用を残したまま集計と配賦の手作業だけを減らしたい場合の選択肢になります。

アップロード時のエラーチェック、計算式とフォーマットの権限保護、承認ワークフロー、監査ログを備えます。連結決算システムで使われている情報収集エンジンを基盤としており、基幹・会計・販売システムとの連携実績もあります。

21. PCAクラウド 個別原価会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 個別原価会計のウェブサイト

ピー・シー・エー株式会社が提供する、個別原価会計に特化したクラウド会計ソフトです。中核となるプロジェクトマスタは名称を自由に変更でき、案件・受注ロット・工番など業種に合わせた呼び方で原価を積み上げられます。

共通費は配賦仕訳をパターン化し、人数比や請負高の実績比など任意の比率で一括配賦できます。予算パターンは30通りまで登録でき、プロジェクト別・工程別の予実比較に対応します。ただし守備範囲は案件・工番単位の個別原価計算で、部品表にもとづく工程別・品目別の原価計算は公式の機能紹介にありません

オンプレミスのパッケージ版「PCA個別原価会計DX」は2024年3月に新規販売を終了しており、現行はクラウド版と、オンプレミスで使うサブスク版の2形態です。クラウド版は個別原価会計のみで月額19,200円(税抜)から、初期費用は0円。2ヶ月の無料体験があり、導入時のインストール・操作指導・データ移行の費用は別途かかります。

22. 楽楽販売(株式会社ラクス)

楽楽販売のウェブサイト

公式サイトが原価・収支管理の活用例に挙げているのは、IT・システム開発、ビルメンテナンス、広告代理店など、案件単位で収支が発生する業種です。株式会社ラクスが提供するクラウド型の販売管理システムで、原価・収支管理はその標準機能のひとつという位置づけになります。

原価は案件(プロジェクト)単位で積み上げます。発注原価や人件費など複数の原価データを案件ごとに紐づけて自動計算し、見積の段階から引き渡しまで収支と原価率を確認できます。

料金は初期費用200,000円(税抜)・月額70,000円(税抜)からで、原価管理だけを切り出したプランはありません。設定方法のサポート付きの無料トライアルが用意されているほか、公式の導入事例には、案件別原価を把握できるようになった例や、見積時の原価率と実績の差を可視化した例が挙がっています。

23. freee販売(フリー株式会社)

freee販売のウェブサイト

フリー株式会社が2022年11月に提供を開始したクラウド型の販売管理システムです。見積から入金までを案件単位で管理し、登録した売上・仕入の取引データはfreee会計へ自動で仕訳されます。freee会計と組み合わせて使う前提の設計である点が、他の販売管理システムとの違いです。

原価は案件単位で積み上がり、売上や仕入を登録すると案件別の粗利が自動で作成されます。工数管理オプションでは案件ごとの人件費の予算と実績を連動でき、2024年12月に追加された原価推移レポートでは、進行中の案件の月別原価を見積書・発注書・申請承認履歴まで遡って確認できます。公式が想定業種に挙げるのは、IT・システム開発、コンサル、クリエイティブ・制作です。

共通経費の配賦はfreee会計側の費用配賦機能が担うため、配賦まで運用に含めるなら会計側との組み合わせが前提になります。料金は初期費用0円で、スタータープランが3名利用で月額約5,000円、スタンダードプランが10名利用で月額約40,000円(いずれも年払い・税抜の参考価格)です。最長30日間の無料トライアルも用意されています。

24. アラジンオフィス(株式会社アイル)

アラジンオフィスのウェブサイト

原価管理を担うのは、販売・在庫・購買管理パッケージに追加する「プロジェクト管理」オプションです。提供元は株式会社アイルで、標準パッケージ単体では案件別の原価管理は行えません。オンプレミスとクラウド(アラジンクラウド)のどちらでも導入できます。

受注に紐づく商品仕入・外注仕入・在庫出庫の発生原価は、売上を計上するまでの間、仕掛原価として原価商品単位で管理します。作業日報で社員の案件別・作業内容別の作業時間を記録し、時間単価を掛けた金額を労務費として原価に反映する仕組みです。案件諸掛により、案件間の原価の付け替えや販管費の割り当てにも対応します。

公式サイトには「比較的工期が短く小規模工事を想定されているお客様に最適です」との記載があり、長期・大規模の案件を扱う場合は適合の確認が要ります。導入実績は卸売業・商社・サービス業・製造業・工事業などで5,000社以上とされています(時点の記載はなし)。

原価管理システムを導入するメリット

導入によって何が変わるのかを、実務の場面に引きつけて整理します。

集計にかかる工数が減り、属人化が解けます。Excelでの転記と関数の保守がなくなることで、月次の締めにかかる時間が短くなります。それ以上に効くのが、原価表を作れる人が限られている状態から抜けられることです。担当者が異動しても計算のルールがシステムに残ります。

赤字の案件を早い段階で見つけられます。原価が締めの後にしか分からない状態では、手を打てるのは次の案件からになります。進行中の原価を追えるようになると、実行予算を超えそうな工事に着手中の段階で気づけます。

見積もりの精度が上がります。実績原価が製品別・工事別に蓄積されると、次の見積もりを勘ではなく過去の実績から積めるようになります。原価シミュレーション機能を持つ製品なら、材料単価が変動したときの影響も試算できます。

経営判断に使える形で数字が出てきます。製品別・工事別・部門別の採算が同じ基準で並ぶと、どの製品を伸ばし、どの取引を見直すかという判断の土台になります。原価計算基準が原価差異の分析目的として「その分析結果を各階層の経営管理者に提供することによつて、原価の管理に資すること」を挙げているのも、この点にあたります。

導入前に確認しておきたい注意点

効果を見込む一方で、導入がうまくいかないケースにも共通した原因があります。先に把握しておくと、検討の段階で手当てできます。

マスタの整備に時間がかかります。整備が要るのは品目マスタ、工程マスタ、単価マスタ、工事の科目体系です。原価計算の土台になるデータが揃っていないと、システムを入れても数字が出ません。現状のマスタがどの程度整っているかは、稼働までの期間を大きく左右します。

現場の実績入力が新たな負担になります。原価は現場から上がってくるデータで決まります。これまで日報を紙で回していた会社が、いきなり全員にシステム入力を求めると定着しません。誰がどの画面から、いつ入力するのかを設計に含めておく必要があります。

配賦基準の設計は自社で決めるしかありません。前述のとおり、原価計算基準は「適当な配賦基準」としか定めておらず、何を基準にするかは企業が決めるものです。製品を入れれば配賦のルールが決まると考えていると、稼働直前でつまずきます。

カスタマイズは保守コストとして戻ってきます。自社の計算ロジックに合わせた個別開発は、導入時には解決策に見えます。ただしバージョンアップのたびに改修が必要になり、担当ベンダー以外が触れない部分が増えます。標準機能の設定で表現できないかを先に検討する価値があります。

導入の進め方と期間の目安

検討から稼働までは、おおむね次の4つの段階で進みます。

  1. 現状の棚卸し:いまExcelや既存システムでどう原価を計算しているかを書き出します。積み上げの単位、配賦の手順、使っている帳票、月次のスケジュール。ここが曖昧なままだと、製品を見ても比較の軸が立ちません
  2. 候補を3〜5社に絞る:タイプと規模で候補を絞り、資料請求で3軸(方式・差異の分解・配賦)への対応を確認します。この段階で連携先の製品名と料金体系も揃えておきます
  3. デモ・トライアルで現場検証する:自社の案件を持ち込んで、原価が積み上がり差異が出るまでを通してもらいます。確認の観点は前述の3軸の節にまとめています。現場の担当者にも入力画面を触ってもらうと、定着の見通しが立ちます
  4. 段階的に展開する:一部の製品ラインや工事から始め、運用が回ることを確かめてから範囲を広げます。最初から全社一斉に切り替えると、マスタの不備が全部門で同時に表面化します

稼働までの期間は、提供形態と作り込みの度合いで大きく変わります。業界共通の相場を示す公的な統計はありませんが、ベンダーが公式に期間を示している例はあります。あるベンダーは、機能範囲の異なる同社の2製品について、機能を絞ったクラウド型が1〜2ヶ月程度、モジュールを組み合わせるERP型が3〜6ヶ月程度という導入期間を公式の比較ページで示しています。

同一ベンダーが規模別に示した目安なので相場ではありませんが、クラウドで機能を絞った構成と、モジュールを組み合わせるERP型とで桁が変わることの参考にはなります。

期間を示していない製品も多いため、商談の初期に「同じ規模・同じ業種の会社で、要件定義から稼働まで何か月かかりましたか」と実績ベースで聞くのが確実です。

あわせて、その期間のうち自社側で用意する作業(マスタ整備・現行業務の整理)がどれだけあるかも確認しておくと、社内の体制を組みやすくなります。

まとめ

原価管理システムは、自社の原価がどの単位で積み上がるかによって、製造業向け・建設・工事業向け・プロジェクト型ビジネス向け・業種を問わない汎用タイプの4つに分かれます。まずはこのタイプで候補群を絞り込むのが、遠回りしない進め方です。

同じタイプの中で見比べる段階に入ったら、対応する原価計算の方式・原価差異をどこまで分解できるか・配賦基準を自社の実態に合わせられるかの3つを軸にしてください。いずれも自社の会計方針と業務の作りに根ざしていて、導入後に変えるのが難しい部分です。そして、この3つを公式サイトに明記している製品は限られています。資料請求と、自社の案件を持ち込んだデモで確かめることが、比較の実質になります。

絞り込みの起点として、条件とタイプの組み合わせを挙げておきます。個別受注の製造業で工程まで原価を追いたいなら、配賦方式や積み上げ方を公式に示している製造業向けの専用製品が出発点になります。

一人親方から数十名規模の専門工事業なら、日報から労務費を積む小規模向けの工事台帳型。完成工事高が数十億円規模の総合建設業なら、実行予算と出来高を会計まで通す建設業向けの統合型が候補になります。

受託開発や制作で50名未満なら、工数から人件費原価を積むプロジェクト型の標準構成。50名を超えて機能範囲も広げたいなら同じプロジェクト型のERP寄りの製品。販売管理や会計とまとめて扱いたいなら、個別原価管理の専用エディションを持つ汎用タイプが候補に入ります。

自社の条件で改めて絞り込みたい場合は、記事前半の選定診断ツールに戻ると候補が表示されます。

そのうえで、公式サイトでは分からない部分(原価差異をどこまで分解できるか、配賦基準を自社の実態に合わせられるか)を確かめるために、候補各社の資料をまとめて取り寄せることから始めてみてください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】管理会計システムの資料を
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よくある質問(FAQ)

Q. 原価管理システムとは何ですか?

A. 原価管理システムとは、製品・工事・案件といった単位で材料費・労務費・外注費・経費を集め、見積もった原価と実際にかかった原価の差異まで追えるようにするシステムです。企業会計審議会の原価計算基準が定める「標準の設定→実績の記録→比較→差異の原因分析→改善の措置」という流れを、どこまで機械に任せるかを決めるのが製品選定にあたります。

同じ呼び名でも、製品によって守備範囲は揃っていません。実際原価・標準原価・個別原価のいずれにも対応する製品がある一方、間接費や共通費の配賦機能を持たず、工数実績から案件の収支を追う設計の製品もあります(製品ごとの対応方式は比較表に整理しています)。

「原価管理システム」という言葉で候補を並べる前に、自社が積み上げたい単位(品目・工事番号・案件)と、標準原価まで扱いたいのかを決めておくと、製品の説明を同じ土俵で読み比べられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 原価管理システムは生産管理システムや管理会計システムと何が違いますか?

A. 原価管理システムが生産管理システム・管理会計システムと違うのは、製品別・工事別・案件別に原価を積み上げ、その差異を分析することを中心に据えている点です。生産管理は工程や納期、管理会計は予算と部門別損益が中心で、原価はその一部として扱われます。

製品の側から見ると境目はさらに曖昧です。生産管理システムの一機能として品番・ロット単位の実際原価を集計するもの、ERP・SCMパッケージのモジュールとして提供されるもの、クラウド会計の別エディションとして提供されるものがあります。

そのため「原価管理システムを探す」より、原価の積み上げ機能がどの製品群のどこに載っているかを見るほうが早く候補にたどり着けます。既存の生産管理や会計に原価のエディション・モジュールがあるかは、最初に確かめる価値があります。

Q. 原価管理システムを入れなくても、いま使っている会計ソフトの機能で足りませんか?

A. 財務会計向けの会計ソフトは部門別の集計まではできても、製品別・工事別・案件別に原価を積み上げる機能は標準では持たないことが多く、個別原価管理は専用のエディションやオプションとして提供されるのが一般的です

会計ソフトの個別原価管理は、「個別原価管理編」「個別原価会計」といった名称で、本体とは別料金体系・別契約の専用エディションになっている製品があります。販売管理側で案件別の売上・原価を持ち、共通経費の配賦は会計本体の費用配賦機能が担う構成の製品もあります。

既存の会計ソフトを使い続けたい場合は、同じシリーズに個別原価向けのエディションがあるか、別製品を入れて連携するかの二択で検討することになります(製品ごとの提供形態は比較表で確認できます)。

Q. 原価管理システムは標準原価計算と実際原価計算のどちらに対応した製品を選ぶべきですか?

A. 標準原価計算と実際原価計算のどちらで回すかは製品の機能ではなく自社の会計方針の問題で、原価計算基準は、どちらの制度を適用するかを「当該企業が原価計算を行なう目的の重点、その他企業の個々の条件に応じて」企業が決めるものとしています。製品を比べる前に、自社がどちらの制度で回すのかを決めておく必要があります。

目安になるのは、原価管理そのものが導入目的かどうかです。基準は標準原価を設定する目的として「原価管理を効果的にするための原価の標準として標準原価を設定する。これは標準原価を設定する最も重要な目的である。」と述べており、能率の目標を持って改善につなげたいなら標準原価の設定が中心になります。まずは実際にいくらかかったかを正確に把握したい段階なら、実際原価計算から始めるのが自然です。

基準は「原価を予定価格等をもつて計算しても、消費量を実際によつて計算する限り、それは実際原価の計算である」としています。製品が掲げる「予定原価」が価格だけの予定なのか消費量も含むのかで意味が変わるため、資料請求時に確かめておくと対応方式の実態が見えます。

出典・参考資料(1件)

Q. 原価管理システムの「差異分析に対応」という記載は、どの製品も同じ意味ですか?

A. 同じ意味とは限りません。採用している原価計算制度によって、そもそも算定される差異の種類が違います

原価計算基準は、標準原価計算制度の差異として直接材料費差異(価格差異・数量差異)、直接労務費差異(賃率差異・作業時間差異)、製造間接費差異(能率差異・操業度差異等)を挙げています。一方、実際原価計算制度の差異としては、材料受入価格差異・材料消費価格差異・製造間接費配賦差異など8つを挙げています。

そのため「差異分析に対応」という表記だけでは、費目ごとに単価の差と数量の差まで割れるのかは判断できません。「材料費の差異を単価の差と数量の差に分けて表示できますか」「労務費は賃率と作業時間に分けられますか」と具体的に聞くと、製品ごとの差が見えます。建設・工事業向けやプロジェクト型では、費目別の分解より実行予算と実績の差を工事単位・案件単位で追えるかのほうが実務に近い確認事項になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 原価管理システムの配賦基準は、自社で決める必要がありますか?

A. 配賦基準は自社で決める必要があります。原価計算基準は部門共通費について「適当な配賦基準によつて関係各部門に配賦する」と定めるにとどまり、何が適当かを指定していないためです。間接費の配賦に使う操業度についても「直接作業時間、機械運転時間、生産数量等間接費の発生と関連ある適当な物量基準」という示し方で、判断は企業に委ねられています。

そのため製品選定は、自社が決めた基準をその製品で表現できるかの照合になります。設定できる範囲の差は大きく、直接配賦法・相互配賦法・階梯式配賦法から配賦計算の方法を選べる製品もあります。製品によっては、工数・人数・売上高・人件費の比率に加え、面積や机の数といったシステムの外にある情報も配賦基準として登録できます。

一方で、共通原価の配賦専用の入力画面を用意する製品もあれば、労務費配賦・共通費配賦という機能名は挙げつつ、基準を自社で設定できるかを公開していない製品もあります。配賦の要件が複雑な会社ほど、この差がそのまま候補の絞り込みに効きます(配賦の対応状況は比較表に載せています)。

出典・参考資料(1件)

Q. 建設業でも製造業向けの原価管理システムを使えますか?

A. 建設業では、原価の区分そのものが製造業と違うため、製造業向けの製品をそのまま持ち込むと法定帳票の形に合わないことがあります

原価計算基準が定める製造原価の形態別分類は、材料費・労務費・経費の3つです。一方、建設業許可業者が毎事業年度提出する完成工事原価報告書は材料費・労務費・外注費・経費の4区分で、外注費が独立した区分として立っています。この様式では、労務費の内訳に「(うち労務外注費)」、経費の内訳に「(うち人件費)」が置かれます。

建設・工事業向けの製品を選ぶときは、工事台帳・実行予算・出来高・完成工事原価報告書への対応に加えて、労務外注費を分けて集計できるかまで確認しておくと、決算実務との食い違いを避けられます。

出典・参考資料(2件)

Q. 原価管理システムの「工事進行基準に対応」という記載は、いまも有効ですか?

A. いまも有効な表記です。工事契約に関する会計基準(企業会計基準第15号)は収益認識に関する会計基準(同第29号)第90項によって廃止されましたが、法人税法・中小企業向けの会計指針・建設業法の勘定科目分類には工事進行基準という用語が現に残っています

法人税法第63条は、長期大規模工事について工事進行基準の方法で計算した金額を益金・損金に算入することを定め(第1項)、それ以外の工事にも任意適用を認めています(第2項)。中小企業の会計に関する指針も、工事の進捗部分について成果の確実性が認められる場合の適用を規定しています。

建設業法施行規則の勘定科目分類でも、完成工事高の摘要に工事進行基準・工事完成基準による計上と収益認識にもとづく計上が並記されています。呼び名が複数併存している状態だと理解しておくと、製品説明を読み違えずに済みます。

そのうえで確かめたいのは、「対応」の中身です。完成振替日と伝票日付を突き合わせて工事の完成・未成を自動判別し、完成工事原価と未成工事支出金を区分した仕入仕訳まで自動で作る製品があります。進捗率から売上伝票を自動生成する出来高請求を備える製品もあります。

一方で、出来高に応じた請求書の発行はできても、工事進行基準への対応を公式サイトで明示していない製品もあります。進行基準で収益を計上している会社は、機能名ではなく仕訳がどこまで自動で作られるかを、サービス個別紹介や各社の資料で確認してください。

出典・参考資料(4件)

Q. Excelでの原価管理から原価管理システムへの移行は、いつ検討すべきですか?

A. 原価管理システムへ移るタイミングに、案件数が何件を超えたらといった一律の基準はありません。判断の材料になる症状(属人化・版の錯綜・締め後にしか原価が確定しない状態)は、本文の「Excelでの原価管理を見直すサイン」に挙げています。

あわせて考えたいのは、Excelをやめること自体が目的ではないという点です。製品によっては、現場のExcelフォーマットを残したままデータベース化し、収集・エラーチェック・集計・レポート作成だけを自動化できます。

ただしこのExcel活用型は専用の原価計算エンジンを持たず、原価をどの単位で積み上げるかは自社が用意するExcelの設計に委ねられます。様式を変えたくない現場を抱えているなら集計の自動化から、原価計算のルールごと作り直したいなら専用製品からと、入り口を分けて考えると判断しやすくなります。

Q. 中小企業でも原価管理システムを導入できますか?

A. 導入できます。クラウド型を中心に、初期費用0円や月額数千円台から使える製品が公式に価格を公開しています

価格の出方には幅があります。ユーザー単位で月額600円台からの製品、3名利用で月額5,000円程度から始められる製品、個別原価の機能だけで月額19,200円・初期費用0円という製品まで公開されています(いずれも税抜)。

製品ごとの料金は費用相場の節比較表にまとめています。

一方で、想定している企業規模は製品ごとに大きく異なります。規模が合わない製品を選ぶと機能が過剰で使いこなせないか、逆に伸びしろが足りずに数年で入れ替えになります。公式サイトが挙げる導入事例に同業種・同規模の企業があるか、ライセンスの数え方(ユーザー単位か同時接続数か)、登録できる品目数・工事件数の上限を確認すると、規模の合致を判断しやすくなります。

Q. 原価管理システムは会計システムや生産管理システムと連携できますか?

A. 多くの製品が連携に対応していますが、連携の形は「同一シリーズ・同一パッケージの中で完結する」「APIで連携する」「CSVで受け渡す」の3通りに分かれ、運用の手間が変わります。CSVでの受け渡しは導入が容易な反面、月次のたびに人手が発生します。

選定時は、連携できるかどうかだけでなく連携先の製品名が具体的に挙がっているかを見ると精度が上がります。

建設業向けを含む主要な会計ソフト6種類との連携を製品名まで挙げて公開している製品もあれば、勤怠管理ツールとの連携先を具体名で示す製品もあります。自社が使っているソフトの名前が連携一覧にあれば、実績のある経路だと分かります。載っていない場合は、CSVの項目を自社で合わせる作業を見込んでおくことになります。

Q. 原価管理システムはクラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶべきですか?

A. 原価管理システムは、自社の計算ロジックに作り込みが要るならオンプレミス型・パッケージ型、小さく始めたい場合や現場・拠点からの入力が多い場合はクラウド型が向きます。初期費用・カスタマイズ・拠点利用の違いは、選び方の節の比較表に整理しています。

費用の出方の違いは、同じシリーズがクラウド版とオンプレミス版の両方を出している例で分かりやすくなります。クラウド版は1ライセンス月額13,000円〜、オンプレミス版はソフトウェア850,000〜1,300,000円に年間保守102,000円〜156,000円という構成の例があります。

供給側の動きも見ておくと判断材料になります。オンプレミスの買い切りパッケージを2024年3月に新規販売終了し、クラウド版とオンプレミスで使うサブスク版の2形態に整理したベンダーもあります。提供形態の選択肢はベンダーの方針で動くこともあります。

Q. 原価管理システムを乗り換えるとき、過去のデータは移せますか?

A. 原価管理システムの乗り換えでは、製品をまたいだ過去データの引き継ぎはCSVでの取り込みが中心になります。利用中の案件管理・販売管理システムとの接続について、「APIやCSVファイルを用いた連携が可能」と公式FAQで回答している製品もあります。

品目・取引先・工事といったマスタは移しやすい一方、進行中の案件の実績や残高をどこまで持ち込めるかは製品ごとに異なります。過去の全期間を移すより、期首や工事の区切りで移行の範囲を決めるほうが現実的です。

同じベンダーの製品どうしなら、専用の経路が用意されていることがあります。旧シリーズからのデータコンバート機能を備える製品もあります。同じベンダーのオンプレミス版から保守サービス加入者が切り替える場合は初期費用がかからないと、公式の料金ページに明記している製品もあります。

費用の扱いも確認が要ります。初期費用0円をうたう製品でも、導入時のインストール・操作指導・データ移行の費用は月額に含まれず別途と明記されている場合があります。見積もり時に、どの年度まで・どの単位まで移すのかという範囲と費用をセットで確認しておくと、総額を見誤りません。

Q. 無料で使える原価管理システムはありますか?

A. 原価管理システムには、無料で本格運用できる製品は見当たりません。ただし、期間を区切った無料体験やトライアルを用意している製品は複数あります

無料体験の期間は、公式に確認できる範囲で7日間から2ヶ月まで製品によって幅があり、30日間・45日間を設定する製品もあります。製品ごとの期間は比較表サービス個別紹介で確認できます。

無料の製品貸出検証パックを用意し、導入前に自社データで検証できる製品もあります。原価管理システムは自社のマスタと現場の入力運用が乗って初めて評価できるため、無料期間があるうちに自社の案件を1件通してみるのが確実です。

Q. 原価管理システムの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 原価管理システムの導入期間は製品が扱う機能範囲で大きく変わるため、何ヶ月と一律には言えません。検討から稼働までの段階と、期間を左右する要因は導入の進め方の節にまとめています。

公式に期間を示している例では、会計ソフトの個別原価エディションが導入から稼働まで約2ヶ月を目安とし、データ移行や運用方法によって変動すると案内しています。プロジェクト型向けの製品では1〜2ヶ月程度、モジュールを組み合わせるERP型では3〜6ヶ月程度と示すベンダーもあります。

これらに共通するのは、機能を絞った構成ほど短く、モジュールを組み合わせるERP型ほど長いという関係です。いずれもベンダー自身が示す目安で相場ではありませんが、最初に使う範囲を絞るほど稼働は早くなるという見当はつきます。全社一斉にするか一部の工事・製品ラインから始めるかで、必要な期間は変わります。

Q. 原価管理システムを導入しても、現場が入力せずに形骸化しませんか?

A. 形骸化は実際に起こります。工数や日報が入らなければ原価そのものが埋まらず、出てくる数字が実態から外れます。とくに人件費が原価の大半を占めるプロジェクト型では、計算機能の細かさより入力が続く仕組みかどうかが結果を左右します。

製品側の手当てを比べておくと、定着の見込みを立てやすくなります。GoogleカレンダーやOutlookカレンダー上で工数を入力でき、Webhookでチャットツールへ工数の入力状況を通知できる製品があります。日報・出退勤・雑費・材料費の入力にスマートフォンアプリを用意する製品もあります。

確認したいのは、現場がふだん開いている画面(カレンダー・勤怠・スマートフォン)から入力できるか、未入力を誰がどこで気づけるかの2点です。工数入力の締め(ロック)機能を持つ製品なら、確定後の書き換えを止めて数字の信頼性を保てます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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