「今期から予実管理をきちんとやろう」と任される担当者は少なくありません。経理・経営企画に限らず、営業マネージャーや中小企業の経営者自身が任されることもあります。予算と実績を比べて管理する、という大枠は分かっていても、実際に自分の手を動かして何を・どういう順番で進めればよいのかがつかめず、「予実管理 方法」で調べている、という段階です。
結論から言えば、予実管理は「①予算目標を設定する→②実績を収集する→③予算と実績を比較する→④差異の原因を分析する→⑤対策を立てて実行する」という5ステップで回します。この一連の流れを月次で繰り返すのが基本で、予実管理表そのものは手元のExcelやスプレッドシートで作れば今日からでも始められます。
この記事では、5ステップの進め方と各ステップで実際にやることを示したうえで、費目×予算×実績×差異×差異率という予実管理表の作り方、差異分析の具体的な見方、回す頻度、そしてExcelの限界とシステムへ切り替える見きわめまでを、自社ですぐ回し始められる形で整理します。
目次
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予実管理とは
予実管理とは、予算(予定)と実績を比較・分析し、その差異を管理して経営目標の達成につなげる管理会計の手法です。予算実績管理とも呼ばれます。手順に入る前に、混同しやすい予算管理との違いと、なぜ予実管理を行うのかを最小限だけ押さえておきます。
予実管理と予算管理・進捗管理・原価管理の違い
予算管理は、事業計画にもとづいて年度の予算を策定する「計画段階」に重点があります。これに対して予実管理は、その予算と実際の実績を突き合わせ、差異の原因を分析して手を打つ「計画を実行したあと」に重点があります。つまり予実管理は、予算管理という大きなプロセスの一部として、予算を立てたあとに回す業務だと捉えると整理しやすくなります。
もう一つ混同されやすいのが進捗管理や原価管理です。進捗管理はプロジェクトや業務の進み具合の把握が目的で、原価管理は製造やサービス提供にかかるコストの削減が目的です。予実管理は企業全体の財務数値について、予算と実績の差異を分析して改善につなげる点で、これらとは目的が異なります。
予実管理の目的(なぜ必要か)
予実管理の目的は、予算と実績のズレを早い段階で見つけ、期の途中で軌道修正できるようにすることです。決算まで待たずに月次で差異を把握できれば、売上の未達や費用の膨らみに対して打ち手を検討する時間が生まれます。
財務会計が外部への報告を目的に過去の実績をまとめるのに対し、予実管理を含む管理会計は、社内の意思決定のために将来を見通すことを目的とします。予算という目標に対して現在地を測り、次にどう動くかを決めるための材料をつくる。この将来志向の視点が、予実管理を経営に役立てる出発点になります。
予実管理の進め方【5ステップ】
ここからは、予実管理を実際に回す手順を5つのステップで解説します。全体像は「①予算目標を設定する→②実績を収集する→③予算と実績を比較する→④差異の原因を分析する→⑤対策を立てて実行する」で、これを月次で繰り返します。各ステップで何をやるかを順に見ていきます。

ステップ1 予算目標を設定する
最初に、事業計画にもとづいて予算目標を立てます。全社の売上・費用・利益の目標を決め、それを部門別・費目別に落とし込みます。売上を各事業部や商品カテゴリへ、費用を人件費・外注費・経費などの費目へ配分し、月ごとの予算まで割り付けておくと、あとの比較がしやすくなります。
予算そのものがまだ手元に無い段階なら、前年の実績をベースに今期の計画や成長率を織り込んで置き、まずは仮の予算で始めるのが現実的です。予算編成の精度は運用しながら高めればよく、はじめから完璧な予算を作ろうとして着手が遅れるより、暫定の数値でも予実管理を回し始めるほうが早く手応えを得られます。
このとき、予算に対応するKPIとスケジュールも決めておきます。たとえば売上予算に対して商談数や成約率といった指標を紐づけておくと、金額の差異が出たときにどの活動が原因かをたどりやすくなります。予算は一度立てて終わりではなく、あとのステップで実績と突き合わせる「基準」になるため、根拠のある数値で設定しておくことが後工程の精度を左右します。
ステップ2 実績を収集する(月次決算と連動させる)
次に、予算と比較するための実績データを集めます。実績は会計システムの仕訳データから、予算と同じ費目・部門の単位で集計します。実務では月次決算と連動させ、毎月の帳簿が締まったタイミングで前月の実績を確定させる進め方が一般的です。
ポイントは、予算を割り付けた単位と実績を集める単位を揃えておくことです。予算は部門別なのに実績は全社合計でしか出せない、という状態だと差異を分解できません。売上や費用を発生源(部門・プロジェクト・費目)まで分けて記録しておくと、次のステップの比較がそのまま差異分析の材料になります。
ステップ3 予算と実績を比較する
予算と実績が揃ったら、両者を並べて差異を出します。差異は「実績−予算」、差異率は「差異÷予算」で求めます。売上のように多いほど良い費目はプラスの差異が好ましく、費用のように少ないほど良い費目はプラスの差異が予算超過を意味します。費目の性質によって差異の読み方が逆になるため、金額の符号だけで良し悪しを判断しないよう注意します。
比較は費目単位だけでなく、部門別・プロジェクト別でも行うと原因の当たりがつけやすくなります。全社では予算どおりでも、ある部門が超過し別の部門が未達で相殺されている、というケースは珍しくありません。次のステップで掘り下げる差異を見つけるために、まずは複数の切り口で並べて眺めます。
ステップ4 差異の原因を分析する
比較で見つかった差異のうち、金額や影響の大きいものについて原因を分析します。ここでは「なぜその差異が生まれたのか」を要因に分けてたどり、対策につなげられる粒度まで掘り下げます。売上の未達なら単価が下がったのか件数が減ったのか、費用の超過なら想定外の支出か配分のズレか、といった具合です。
差異分析は予実管理の肝になる工程で、要因の分解の仕方・差異率の見方・どこからを問題とするかの考え方には具体的なコツがあります。ここでは手順の流れとして位置づけを押さえ、詳しい見方は後述の差異分析のやり方でまとめて解説します。
ステップ5 対策を立てて実行する(PDCAを回す)
最後に、分析結果をもとに具体的な対策を立て、実行に移します。差異を把握して終わりにせず、「誰が・いつまでに・何をするか」まで決めて次月の行動に落とすことが、予実管理を成果につなげる分かれ目です。立てた対策は翌月以降の実績で効果を検証し、必要なら予算の見直しにも反映します。
この①〜⑤を毎月繰り返すことで、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)のPDCAサイクルが回ります。1回で完璧を目指すより、月次で小さく回して精度を上げていく進め方が、予実管理を定着させるうえでは現実的です。
予実管理表の作り方(Excel・スプレッドシート)
ここからは、手順を自分の手で回すための予実管理表を、Excelやスプレッドシートで作る方法を解説します。表の型を決め、行に置く費目を整え、関数で集計を自動化する、という順で見ていきます。専用システムがなくても、まずはこの表があれば予実管理を始められます。
予実管理表に含める項目(費目×予算×実績×差異×差異率)
予実管理表の骨格は、行に勘定科目(費目)、列に「予算・実績・差異・差異率」を並べる形が基本です。ある月の予実管理表を例にすると、次のような並びになります。
| 勘定科目 | 予算 | 実績 | 差異 | 差異率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,000,000 | 9,400,000 | -600,000 | -6.0% |
| 売上原価 | 4,000,000 | 3,900,000 | -100,000 | -2.5% |
| 売上総利益 | 6,000,000 | 5,500,000 | -500,000 | -8.3% |
| 販管費(人件費) | 2,500,000 | 2,550,000 | 50,000 | 2.0% |
| 販管費(外注費) | 800,000 | 900,000 | 100,000 | 12.5% |
| 販管費(経費) | 700,000 | 680,000 | -20,000 | -2.9% |
| 営業利益 | 2,000,000 | 1,370,000 | -630,000 | -31.5% |
この例では、売上高は実績が予算を下回ってマイナスの差異(未達)、外注費は実績が予算を上回ってプラスの差異(超過)です。売上のマイナスは注意すべき差異、費用のマイナスは予算内に収まった良い差異、というように、費目の性質で符号の良し悪しを読み替えて見ます。
行に置く費目は、損益計算書の区分をそのまま使うと過不足がありません。売上高から売上原価を引いて売上総利益を出し、そこから販売費及び一般管理費(販管費)を引いて営業利益を出す、という順序です。この並びと算式は、会社計算規則が定める損益計算書の区分にもとづいています。
(売上総損益金額)第八十九条 売上高から売上原価を減じて得た額(以下「売上総損益金額」という。)は、売上総利益金額として表示しなければならない。
(営業損益金額)第九十条 売上総損益金額から販売費及び一般管理費の合計額を減じて得た額(以下「営業損益金額」という。)は、営業利益金額として表示しなければならない。
出典:会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)第八十九条・第九十条|e-Gov法令検索
人件費・外注費・経費といった科目は、損益計算書の独立した区分ではなく販管費を細分したものです。会社計算規則も、損益計算書の各区分は適当な項目に細分できると定めています(同規則第八十八条)。
予実管理で費用を管理しやすくするには、販管費を人件費・外注費・経費などへ細分して行に並べ、その合計を販管費として営業利益の計算につなげると、会計上のつながりを保ったまま費目ごとの差異を追えます。月ごとにこの表を横へ並べれば年間の予実管理表になり、右端に累計列を足せば期首からの進捗も追えます。
Excel・スプレッドシートでの集計に使う関数・計算式
予実管理表を「毎月手で転記する表」から「自動で集計される表」に変えるのが関数です。実績データを1行1明細で別シートに貯めておき、そこから科目別・月別に自動集計する使い方が中心になります。

実績の集計にはSUMIFS関数を使います。SUMIFS関数は複数の検索条件に一致するすべての値を合計する関数で、書式はSUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲 1, 条件 1, [条件範囲 2, 条件 2], ...)です。
たとえば実績データシートに勘定科目(A列)・月(B列)・金額(C列)を並べておけば、=SUMIFS(実績!C:C, 実績!A:A, "人件費", 実績!B:B, 4) と書くだけで「人件費かつ4月」の実績が予実管理表のセルに入ります。単一条件のSUMIF関数ではなくSUMIFSを使うのは、この「科目×月」の2軸で絞り込むためです。
差異は「実績−予算」、差異率は「差異÷予算」の四則演算で、差異列に =C5-B5、差異率列に =(C5-B5)/B5 のような式を直接入れて求めます。
予算超過を目立たせたいときはIF関数が向いています。IF関数は条件が真か偽かで別々の値を返す関数で、書式はIF(論理式, [値が真の場合], [値が偽の場合])です。判定用の列を1つ足し、実績セル(C5)が予算セル(B5)を上回ったら「超過」と出すなら、=IF(C5>B5, "超過", "") と書きます。
さらに超過したセルを色で強調するには、条件付き書式を組み合わせます。条件付き書式はセルの値にもとづいてセルの書式を決めるルールを作る機能で、たとえば「差異がプラスの費用セルを赤く塗る」といった強調ができます。値の判定を担うIF関数と、見た目の強調を担う条件付き書式は役割が異なるため、両方を組み合わせると異常値に早く気づける表になります。
出典・参考資料(3件)
ゼロから表を組むのが負担な場合は、配布されているエクセルテンプレートを土台に使う方法もあります。テンプレートの選び方や、表を運用していくうえでつまずきやすいポイントは、次の記事で具体的にまとめています。
差異分析のやり方(要因分解・差異率の見方・許容範囲)
予実管理でつまずきやすいのが差異分析です。「差異を分析しましょう」と言われても、何をどう見ればよいかが分からないと手が止まります。ここでは、差異の要因をどう分解するか、差異率をどう読むか、どこからを問題として掘り下げるか、という3つの観点で具体的に解説します。
差異の要因を分解する
差異分析の基本は、1つの差異を要因ごとに分けてたどることです。たとえば売上の差異は、単価の差(価格差異)と数量の差(数量差異)に分けられます。売上が予算を下回ったとき、単価は計画どおりだが件数が減ったのか、件数は取れたが値引きで単価が下がったのかで、打つべき手はまったく変わります。金額の差だけを見て「売上が足りない」で止めず、単価×数量のどちらが動いたのかまで分けると、対策が具体的になります。
費目や部門への切り分けも有効です。全社の営業利益差異を、どの費目(人件費・外注費など)とどの部門で生じたかへ分解していくと、差異の発生源にたどり着けます。予実管理表を部門別・費目別に作っておくと、この分解がそのまま表の上でたどれるようになります。
差異率の見方と目安
差異は金額の大きさだけでなく、差異率(差異÷予算)とあわせて見ると優先順位をつけやすくなります。金額が小さくても差異率が大きい費目は、想定と実態が構造的にずれているサインかもしれません。逆に金額が大きくても、売上規模に対して差異率がわずかなら、掘り下げの優先度は下がります。
あわせて意識したいのが、その差異が最終的な営業利益にどれだけ効くかです。先ほどの表の例では、売上の差異率は-6.0%でも、費用が売上ほど下がらず一部はむしろ超過したために、営業利益の差異率は-31.5%まで拡大しています。売上の小さなズレが利益では大きく響くことがあるため、費目単体の差異率だけでなく、利益への波及まで含めて重要度を判断します。
許容範囲の考え方(どこからを問題として掘り下げるか)
差異が何%までなら許容できるか、という一律の基準はありません。許容範囲は企業の規模・業種・その費目の性質によって異なり、公的に定められた数値もないため、自社で線引きを決める必要があります。すべての差異を同じ重さで追うと、小さなズレの分析に時間を取られて肝心な対策が後回しになります。
現実的には、金額の大きさと差異率の両方で優先度をつけ、経営に影響する重要な差異から掘り下げるのが効率的です。たとえば「差異率が一定以上、かつ金額が一定以上の費目だけを重点的に分析する」といった自社ルールを決めておくと、毎月の分析に迷いがなくなります。基準は運用しながら見直し、自社にとって意味のある差異を拾える形に育てていきます。
予実管理を回す頻度(月次・週次と月次決算の連動)
予実管理は、月次で回すのが基本です。多くの企業は月次決算で毎月の実績を締めるため、そのタイミングに合わせて前月の予実を突き合わせると、実績収集と予実管理が二度手間になりません。月ごとに差異を確認できれば、四半期や期末を待たずに軌道修正の判断ができます。
変化の速い事業や、売上に直結するKPIを追いたい場合は、週次で先行指標だけを確認する運用を組み合わせるのも有効です。財務数値の確定は月次でも、商談数や受注件数といった先行指標を週次で見ておけば、月末を待たずに着地の見通しを立てられます。短いスパンで回すほど早く手を打てますが、集計の負担も増えるため、確認する指標と頻度は自社の体制に合わせて決めます。
予実管理でよくある失敗と回避策
ここでは、予実管理を始めた企業がつまずきやすい失敗を、原因と回避策をセットで整理します。手順どおり回していても、次の5つは陥りやすいため、先回りして避けておきます。
| よくある失敗 | 起きる原因 | 回避策 |
|---|---|---|
| 分析だけで終わり、対策につながらない | 差異を把握すること自体が目的になっている | 対策・担当・期限まで決めてPDCAを回し、翌月に効果を検証する |
| 予算が形骸化する | 達成できない高すぎる予算や、余裕を持たせた低すぎる予算を設定している | 事業計画と根拠にもとづき、実現可能で挑戦的な水準の予算を立てる |
| 細部にこだわりすぎて時間が足りない | 金額の小さな差異まで一律に分析している | 金額と差異率で優先度をつけ、重要な差異から掘り下げる |
| 現場に差異が共有されない | 経営企画・経理だけで予実管理が完結している | 差異と対策を各部門へ共有し、原因を持つ現場を巻き込んで改善する |
| 担当者の集計負荷が大きい | 実績収集や集計を手作業に頼り属人化している | 集計を関数で自動化し、限界を超えたらシステム化を検討する |
5つの失敗に共通するのは、差異を出すこと自体が目的化してしまう点です。予実管理の目的は差異を見つけることではなく、差異から次の手を決めて実行することにあります。とりわけ集計を手作業に頼る負荷の問題は、次に見るExcel運用の限界とも重なります。
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Excel・スプレッドシートの限界と予実管理システムという選択肢
予実管理表はExcelやスプレッドシートで作れますが、運用を続けると限界が見えてきます。数式が複雑化して特定の担当者しか触れなくなる属人化、手入力による転記ミス、部門ごとのファイルを集約する手間、そしてリアルタイムに最新状況を共有しにくいこと、といった課題です。規模が大きくなり、部門数や更新頻度が増えるほど、この負担は重くなります。
そこで、手段ごとにできること・限界・向く規模を並べて比較すると、自社が今どの段階にいるかを判断しやすくなります。
| 手段 | Excel | スプレッドシート | 予実管理システム |
|---|---|---|---|
| できること | 費目×予算×実績の表を自由に作れる。関数で集計を自動化できる | クラウドで複数人が同時に編集・共有できる。Excelに近い関数が使える | 会計データの取り込み・予実突合・着地見込み・レポートを一元化し、リアルタイムに共有できる |
| 限界 | 複数人の同時編集が難しく、部門横断の集約や変更履歴の管理で属人化しやすい | ファイル数が増えると集約が煩雑になり、大量データでは動作が重くなる | 導入・運用のコストがかかり、初期の設計や定着に手間がかかる |
| 向く規模・段階 | 単一部門・少人数で予実管理を始める段階 | 数人で共有しながら運用する中小規模 | 部門横断の集約や更新頻度が高く、属人化を解消したい規模 |
自社の状況がこの表の左側(単一部門・少人数)に収まるうちは、Excelやスプレッドシートでの運用を続けるのが現実的です。まだ左側に収まる段階なら、この先のシステム紹介は今すぐ必要な内容ではないので、読み飛ばしても構いません。
一方で、部門をまたいだ集約やリアルタイムの着地見込みが必要になり、集計そのものに時間を取られ始めたら、専用システムへの切り替えを検討する段階に入っています。次からは、その段階に入った場合に検討したい予実管理システムを紹介します。
予実管理を効率化するシステム
ここからは、Excelの限界を越えたときに検討したい予実管理システムを紹介します。いずれも予算策定から予実突合、着地見込みの更新までをクラウド上で完結でき、Excel運用で起きがちな集計の手間と属人化を解消する用途に向いています。まずは各サービスの特徴を比較したうえで、資料で詳細を確認してみてください。
| サービス | DIGGLE | X-KPI | Scale Cloud |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 予実管理特化型のクラウド 予算策定〜予実突合〜着地見込みを一元化 | KPI・予実管理型のクラウド 予実差・異常値を自動検知しチャット通知 | 経営管理型のクラウド PL/BS/CFとKPIを接続して管理 |
| 予実管理・着地見込み | 予算策定・予実突合・着地見込み(見込)管理に対応 | 日次/月次/四半期の粒度で予実比較・進捗と見通しを管理 | 予算策定・予実管理・着地見込み(フォーキャスト)更新に対応 |
| KPI・分析 | 非財務指標(KPI)を組み合わせたドリルダウン/スナップショット分析 | 部門・拠点・プロジェクト単位のKPIをノーコードで設計・一元管理 | PL/BS/CFと先行・結果指標KPIを関連づけてモデリング |
| 会計連携 | freee会計・勘定奉行クラウド・弥生会計などとAPI/CSV連携 | 会計ソフト・グループウェアとAPI連携 | 勘定奉行クラウド・freee会計・Salesforce・GoogleスプレッドシートとAPI/CSV連携 |
| 料金の目安 | 初期費用・月額とも要問い合わせ (Lite/Standard/Enterpriseの3プラン) | 初期費用・月額とも要問い合わせ | 月額10万円〜 (初期費用・プラン詳細は要問い合わせ) |
| 無料トライアル | あり | あり | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
1. DIGGLE(DIGGLE株式会社)

予実管理に特化したクラウドサービスがDIGGLEです。予算策定・予実突合・見込(着地見込み)管理・レポーティングという一連の予実管理業務をクラウド上で完結でき、会計システムからのデータ取り込みと予実突合を自動化します。Excel中心の運用で起きる属人化や集計工数を減らす用途に位置づけられています。
勘定科目より細かい粒度での損益管理に対応し、非財務指標(KPI)を組み合わせたドリルダウン分析やスナップショット分析も行えます。freee会計・勘定奉行クラウド・弥生会計などとAPIやCSVで連携でき、既存の会計データを取り込んで予実を突き合わせられます。料金はLite・Standard・Enterpriseの3プラン構成で、金額は見積制です(2026年8月時点)。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPIは、KPIと予実を同じ基盤で管理するクラウド型のツールです。複数の部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、リアルタイムに可視化します。予算と実績のズレや異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する仕組みを備えています。
KPI項目・レポート・ダッシュボードは専門知識がなくても設計・運用でき、会計ソフトやグループウェアとのAPI連携で既存のデータ基盤を活かせます。日次・月次・四半期といった粒度で予実を比較し、進捗と見通しを追える点も特徴です。無料トライアルが用意されており、料金は要問い合わせです(2026年8月時点)。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

財務数値(PL=損益計算書、BS=貸借対照表、CF=キャッシュフロー計算書)と現場のKPIを結びつけて一元管理したい会社に向くのが、経営管理クラウドのScale Cloudです。予算管理・予実管理・KPI管理を一つの基盤に集約し、経営層・管理部・事業部が同じ数値を見ながら議論できる状態をつくります。
各KPIの数値からPLをシミュレーションでき、複数パターンでの予算作成や着地見込みの更新がしやすい点が特徴です。
勘定奉行クラウド・freee会計・Salesforce・GoogleスプレッドシートなどとAPIやCSVで連携し、会計データと現場データをまとめて扱えます。経営用・管理部用・事業部用など複数視点のダッシュボードを作れ、多軸分析や異常値の自動検知にも対応します。料金は月額10万円からで、初期費用や詳細は要問い合わせです(2026年8月時点)。
財務の結果だけを見ても、その数値に至ったプロセスや原因まではつかみにくいものです。代表の広瀬氏は、自社が実施したインタビューで、この点を管理会計の課題として次のように述べています。
従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。
ここで挙げた3サービス以外にも、管理会計システムは目的や企業規模によって向き・不向きが分かれます。予実管理中心のタイプから経営管理まで広く使えるタイプまで、選択肢をまとめて比較して自社に合う一社を絞り込みたい場合は、次のまとめ記事もあわせてご覧ください。
まとめ
予実管理は、①予算目標を設定する→②実績を収集する→③予算と実績を比較する→④差異の原因を分析する→⑤対策を立てて実行する、という5ステップを月次で回すのが基本です。まずは費目×予算×実績×差異×差異率の予実管理表をExcelやスプレッドシートで作れば、今日からでも始められます。
差異分析では、要因を分解し、差異率と利益への波及で優先度をつけ、自社なりの許容範囲で掘り下げる差異を絞ることがコツです。運用を続けて集計の属人化や部門横断の集約に限界を感じたら、予実管理システムへの切り替えが次の一手になります。自社の規模と課題に合わせて、Excelでの運用とシステム化を見きわめてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 予実管理とは何ですか?
A. 予実管理とは、予算(予定)と実績を比較・分析し、その差異を管理して経営目標の達成につなげる管理会計の手法です。予算実績管理とも呼ばれ、月次で予算と実績を突き合わせて差異の原因を分析し、対策を打つ一連の活動を指します。
Q. 予実管理と予算管理の違いは何ですか?
A. 予実管理と予算管理の違いは、予算管理が予算を立てる「計画段階」に重点を置くのに対し、予実管理は予算と実績を突き合わせて差異を分析する「計画の実行後」に重点を置く点です。予実管理は予算管理という大きなプロセスの一部にあたり、予算を立てたあとに回す業務だと捉えると整理しやすくなります。
Q. 予実管理と進捗管理・原価管理は何が違いますか?
A. 予実管理と進捗管理・原価管理の違いは目的にあり、進捗管理は業務やプロジェクトの進み具合の把握、原価管理は製造やサービス提供にかかるコストの削減を目的とするのに対し、予実管理は企業全体の財務数値について予算と実績の差異を分析し改善につなげることを目的とします。扱う対象と狙いが異なるため、混同せずに使い分けることが大切です。
Q. 予実管理はどの部署が担当しますか?
A. 予実管理は、全社の取りまとめを経営企画部門や財務・経理部門が担い、各部門の予算策定や実績管理は営業・製造・開発といった各事業部門が担当するのが一般的です。差異の原因は現場にあることが多いため、管理部門だけで完結させず、原因を持つ現場を巻き込んで対策まで進めると成果につながります。
Q. 予算と実績の差異はどのくらいまで許容されますか?
A. 予算と実績の差異について、何%までなら許容できるという一律の基準はありません。許容範囲は企業の規模・業種・費目の性質によって異なり、公的に定められた数値もないため、自社で線引きを決める必要があります。実務では、金額の大きさと差異率の両方で優先度をつけ、経営に影響する重要な差異から掘り下げるのが現実的です。
Q. 予実管理はどのくらいの頻度で行いますか?
A. 予実管理は、月次で回すのが基本です。多くの企業は月次決算で毎月の実績を締めるため、そのタイミングに合わせて前月の予実を突き合わせると二度手間になりません。変化の速い事業では、商談数や受注件数などの先行指標を週次で確認する運用を組み合わせると、月末を待たずに着地の見通しを立てられます。
Q. 中小企業やスタートアップでも予実管理は必要ですか?
A. 中小企業やスタートアップでも、予実管理は必要です。企業の規模にかかわらず、計画的な事業運営と資金繰りの安定化のために予実管理は役立ちます。まずは手元のExcelやスプレッドシートで費目×予算×実績×差異×差異率の予実管理表を作れば、少人数でも今日から始められます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















