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管理会計にERPは必要?会計ソフト・管理会計システムとの違いとできること・費用の目安を解説

管理会計にERPは必要?会計ソフト・管理会計システムとの違いと費用の目安のサムネイル画像

複数の事業や拠点を抱える企業では、部門別・事業別の損益や予算と実績の差を把握するために、各部署から集めた数字を表計算ソフトで手作業でまとめている場面が少なくありません。ところが、データを集めるだけで数日かかり、月次の数字が固まる頃には次の意思決定のタイミングを逃してしまう、という悩みはよく聞かれます。

こうした管理会計の限界を越える手段として、基幹業務のデータを一つにまとめるERP(統合基幹業務システム)が候補に挙がります。

一方で、「ERPで管理会計を行う」と言われても、会計ソフトや管理会計に特化したシステムと具体的に何が違うのか、自社の規模でそこまで必要なのかは、イメージしにくいところです。

本記事では、ERPで管理会計を行うと何ができるのかを整理し、会計ソフト(財務会計)・管理会計専用システムとの違いを3者横並びの比較表で示します。あわせて導入費用と期間の目安、自社に必要なのはERPか管理会計システムかを見極める判断軸まで解説します。次の比較検討に進むための材料としてご活用ください。

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管理会計をERPで行うとは?

ERPで管理会計を行うとは、販売・購買・在庫・生産・会計といった業務のデータを一つのデータベースにまとめ、そこから部門別・事業別の損益や予算実績の差、着地見込みを、手集計を挟まずに把握できる状態を指します。会計ソフトが仕訳と決算を担うのに対し、ERPは日々の業務データと会計データが同じ基盤でつながるため、数字の裏づけとなる取引までさかのぼって分析できる点が特徴です。

たとえば、ある事業部の利益が落ちたとき、ERPであれば売上・原価・経費のどこで差が出たのかを同じ画面から掘り下げられます。各システムに分かれたデータを突き合わせる作業が要らないため、月次を待たずに数字を確認し、早い段階で手を打てるようになります。

管理会計と財務会計の違い(1分で整理)

ERPの話に入る前に、管理会計と財務会計の違いを押さえておきます。両者は目的・対象・ルールが異なります。財務会計は、株主や取引先、税務当局といった社外の関係者へ経営成績を報告するためのもので、会計基準や法令という制度に沿って過去の実績をまとめます。一方の管理会計は、経営者や管理部門が社内の意思決定に役立てるためのもので、予算や着地見込みといった未来の数字も扱い、形式は各社が自由に決められます。

会計が「社外への報告」と「社内の経営管理」という二つの目的を持つことは、日本の公的な会計基準でも示されています。企業会計審議会が定めた「原価計算基準」は、原価計算の目的について次のように述べています。

わが国における原価計算は、従来、財務諸表を作成するに当たつて真実の原価を正確に算定表示するとともに、価格計算に対して資料を提供することを主たる任務として成立し、発展してきた。しかしながら、近時、経営管理のため、とくに業務計画および原価管理に役立つための原価計算への要請は、著しく強まつてきており、今日、原価計算に対して与えられる目的は、単一でない。

出典:原価計算基準|企業会計基準委員会(ASBJ)

財務諸表の作成という外部報告の役割に加えて、経営管理に役立てる役割が明記されています。管理会計は、この後者の目的を担う領域だと捉えると分かりやすくなります。

ERP・会計ソフト・管理会計専用システムの違い【3者横並び比較表】

管理会計に関わるシステムには、大きくERP・会計ソフト・管理会計専用システムの3種類があります。どれも「会計」に関わるため混同されがちですが、カバーする範囲やデータの持ち方が異なり、自社がどの土俵で選んでいるのかを取り違えると、過剰な投資や機能不足につながります。以下の表で3者を横に並べて整理します。

← 横にスクロールできます →
システム区分ERP(統合基幹業務システム)会計ソフト(財務会計中心)管理会計専用システム
主な目的販売・在庫・会計など基幹業務全体を統合し、全社の数字を一元管理する仕訳・決算・税務申告など制度会計の業務を効率化する予実管理・経営管理など社内の意思決定用の数字を扱う
カバー範囲販売・購買・在庫・生産・人事・会計など業務横断財務会計(記帳・決算・申告)が中心予算編成・予実管理・KPI管理・経営分析
扱う会計財務会計と管理会計の両方(業務データと連動)主に財務会計(外部報告向け)管理会計(社内向け・未来の数字も扱う)
データの持ち方単一の統合データベース会計データが中心(他業務は連携・取り込み)会計・業務システムから取り込んで分析
コスト感中〜高(中小向けのクラウド型は低コストから、大規模な構成ほど高い)低〜中(クラウド型は初期0円から)中(クラウド型が中心)
向く企業規模販売・在庫・会計を全社で統合したい企業(中小向けクラウド型から大企業の大規模構成まで)記帳・決算の効率化が主目的の中小企業〜脱Excelや予実管理の高度化を急ぎたい中小〜中堅・成長企業

※上記は各システム区分における一般的な位置づけの傾向です。個別の製品によって対応範囲や提供形態は異なるため、詳細は各社情報をご確認ください。

大まかには、会計ソフトは「制度に沿った過去の記帳と決算」、管理会計専用システムは「社内の意思決定に使う予実・経営管理」、ERPは「業務全体を統合したうえで両方を担う」という役割分担になります。管理会計を強化したい場合、必ずしもERPが必要とは限らず、管理会計専用システムで足りるケースも多い点は後半で詳しく整理します。

なぜExcel・会計ソフト単体では管理会計に限界があるのか

多くの企業は、まずExcelで予実管理を始めます。ところが事業や拠点が増えるにつれて、Excelや会計ソフト単体での管理会計には次のような課題が表面化します。

  • 集計に時間がかかる:各部署から送られてくるExcelを担当者が手作業でまとめるため、月次の数字が固まるまで数日を要し、意思決定が後手に回りやすくなります。
  • 入力・転記のミスが起きやすい:セルの貼り間違いや数式のずれが起きても気づきにくく、経営会議で使う数字の信頼性に不安が残ります。
  • リアルタイムに把握できない:ファイルを集めて統合するまで最新の状況が分からず、着地見込みの更新にも手間がかかります。
  • 会計ソフトだけでは分析軸が足りない:会計ソフトは仕訳と決算が主目的のため、勘定科目より細かい部門別・事業別・プロジェクト別といった管理会計の切り口で損益を追うには、結局Excelへの書き出しと加工が必要になります。

これらは、データが複数の場所に分散し、集約と加工を人手に頼っていることが根本の原因です。データを一元化し、集計・配賦・突合を自動化する仕組みが、管理会計を効率化する鍵になります。

ERPでできる管理会計業務(予実管理・原価配賦・セグメント別損益ほか)

ERPは業務データと会計データが同じ基盤でつながるため、手集計を挟まずに管理会計の業務を回せます。具体的にどのような業務ができるのかを、業務ごとに見ていきます。

  • 予実管理(予算編成・実績対比・着地見込み):予算と実績を同じ基盤で突き合わせ、差異や着地見込みを随時把握できます。原価計算基準は予算を「各業務分野の具体的な計画を貨幣的に表示し、これを総合編成したもの」と定義しており、ERPは各業務のデータを土台にこの予算編成と統制を支えます。
  • 原価管理・原価配賦:実際に発生した原価を集計し、標準や予算との差異を分析できます。原価計算基準は原価管理を「原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し…原価能率を増進する措置を講ずること」と定義しており、間接費の配賦も正規の原価計算手続として位置づけられています。ERPはこの一連の記録・比較・配賦を業務データと連動させて自動化します。
  • セグメント別・部門別・事業別損益:事業・部門・拠点といった切り口ごとに損益を集計できます。経営者が社内の資源配分や業績評価に用いている区分をそのまま用いる考え方は、外部開示のルールである企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」にも取り入れられており(経営者の内部管理区分を開示単位とするマネジメント・アプローチ)、社内の損益管理と地続きの発想です。ERPはこの区分別の集計を日々の取引データから積み上げます。
  • 経営ダッシュボード:予算・実績・見込みや主要指標を集約し、経営会議や役員報告にそのまま使える形で可視化できます。
  • 連結・グループ経営管理:複数の子会社を持つ企業では、グループ横断で数字を集約し、連結ベースでの経営管理を支えます(大規模な構成で特に効いてきます)。
出典・参考資料(2件)

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ERP導入の費用の目安と期間の考え方

ERPや管理会計システムの費用は、提供形態と導入規模で大きく変わります。ここでは費用の目安と、期間をどう見積もるかの考え方を整理します。

会計機能まで含む統合型のクラウドには、初期費用を抑えて月額数千円から使える中小企業向けの製品もあります。管理会計に特化したクラウドは、月額十万円前後からが一つの目安です。一方、大企業向けの本格的なERPや自社サーバーに構築するオンプレミス型は、モジュールの数や導入コンサルティングの工数で総額が大きく変わり、個別見積もりが基本になります。

具体的な料金は製品ごとに異なるため、後半で紹介する各サービスの比較表もあわせてご確認ください。期間も規模しだいで、予実管理を中心とした小規模なクラウド導入は比較的短期間で立ち上げやすく、全社の基幹業務を刷新する大規模なERPほど要件定義やデータ移行に時間がかかります。導入前に複数のベンダーから見積もりとスケジュールを取り、対象範囲を絞って段階的に進めるかを検討するのが現実的です。

費用面では、公的な支援制度も活用できます。2026年度時点では、会計・財務・経営などの業務プロセスを含むソフトウェアの導入に対して、中小企業向けの「デジタル化・AI導入補助金2026」(通常枠、旧IT導入補助金)が用意されています。

補助率は2分の1以内または3分の2以内で、4つ以上の業務プロセスを含む場合は150万円以上450万円以下が補助額の目安とされています。「ERPは大企業のもの」というイメージがありますが、中堅・中小企業でも公的支援を使いながら導入を検討できる環境が整っています。

出典・参考資料(1件)

自社に必要なのはERP?管理会計システム?選び方の判断軸

管理会計を強化したいという目的が同じでも、置かれている状況によって適した選択肢は変わります。自社に必要なのがERPなのか、管理会計に特化したシステムなのかを見極める判断軸を整理します。

自社に必要なのはERPか管理会計専用システムかを見極める判断フロー図。起点は「解決したいのは業務データの分断そのものか、管理会計の効率化・高度化か」の切り分け。複数の事業・拠点で販売・在庫・原価が別々のシステムに散在し統合まで解決したい場合は業務全体を一つの基盤に統合するERP、業務システムは整っていて予実管理・経営管理を素早く始めたい・脱Excelが主目的の場合は会計・業務データを取り込んで分析する管理会計専用システムが向く、という2つの分岐を示す。

判断のよりどころになるのは、全社のデータがどの程度分断されているかです。複数の事業や拠点があり、販売・在庫・原価といった業務データが別々のシステムに散らばっていて、その統合まで含めて解決したい場合は、業務全体を一つの基盤にまとめるERPが選択肢に入ってきます。基幹システムの刷新とあわせて管理会計を高度化したいケースも同様です。

一方、業務システムはおおむね整っていて、予実管理や経営管理を素早く始めたい、脱Excelが主な目的、という場合は、会計・業務システムからデータを取り込んで分析する管理会計専用システムで足りることが多くなります。基幹業務全体を入れ替えるERPは、目的に対して過剰な投資になりかねません。

まずは「解決したいのは業務データの分断そのものか、それとも管理会計の効率化・高度化か」を切り分けると、どちらの土俵で製品を探すべきかが見えてきます。個別の製品を比較する段階では、対応機能・連携範囲・サポート体制まで踏み込んだ検討が必要になります。

管理会計を効率化するサービスと次の一歩

管理会計を効率化・高度化する具体的なサービスを見ていきます。脱Excelや予実管理の高度化が主な目的であれば、まず候補になるのが管理会計専用システムです。予実管理を軸に据えたタイプと、KPIを含めた経営管理を幅広くカバーするタイプがあり、自社の課題に近いものから検討すると選びやすくなります。

なお、全社の業務データの統合まで含めて解決したい場合は、基幹業務全体を対象とするERPが検討対象になります。ERPは対応範囲が広く個別見積もりが基本のため、複数の候補から資料を取り寄せて比較するところから始めるのが現実的です。ここではまず、多くの中堅企業が導入しやすい管理会計専用システムを紹介します。

以下は、ここで紹介する管理会計クラウドの比較表です。

← 横にスクロールできます →
サービス名DIGGLE(ディグル)Scale Cloud(スケールクラウド)
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
初期費用要問い合わせ要問い合わせ
(インタビューでは初期費用50万円、1事業モデル分のKPI設計コンサル込みと言及)
月額費用要問い合わせ
(Standard/Enterpriseの2プラン、いずれも見積制)
月額10万円〜
(プラン詳細は要問い合わせ)
予実管理予算策定・予実突合・見込み管理・レポーティングを一元管理予算策定・予実管理・着地見込み更新に対応
KPI・非財務指標連携(KPIを組み合わせたドリルダウン/スナップショット分析に対応)(PL/BS/CFと先行・結果指標KPIを関連づけてモデリング)
会計・API連携freee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウド・弥生会計・Salesforce・TeamSpiritなどとAPI/CSV連携勘定奉行クラウド・freee・Salesforce(API)・Googleスプレッドシート・CSV明細連携
レポート・可視化予算/見込み/実績の対比・複数年トレンド分析、BIツールへのデータ出力、ドリルダウン分析経営用/管理部用/事業部用の複数ダッシュボード・多軸分析・異常値の自動検知
サポート問い合わせ・見積相談の導線あり
(詳細な体制は要問い合わせ)
KPI設計コンサル・導入後の定期ミーティングによる伴走支援
(対応手段・時間は要問い合わせ)
無料トライアルあり
(期間・条件は要問い合わせ)
要問い合わせ
(公式に明記なし)
導入実績富士キメラ総研調査で予実管理ソフトウェア(SaaS/PaaS)シェア1位(2024年度実績)。導入事例:麒麟麦酒・ヤマウラ・テクバンほかコンサル支援を含め800社以上(SaaS単独の導入社数は非公開)。工数40%〜6分の1の削減事例を公表
詳細情報公式資料を見るミーティングを予約する

※本表は2026年8月時点の各社公式サイトおよび掲載情報をもとに作成しています。料金・機能は変更される場合があるため、最新の内容は各社の公式情報をご確認ください。初期費用など一部の項目はインタビューでの言及を含みます。

ここで取り上げた2製品は、管理会計を強化するための選択肢の一部です。予実管理を軸にしたタイプから経営分析まで幅広くカバーするタイプまで、より多くの管理会計システムを機能・料金・規模で見比べたい場合は、以下の記事で目的・規模別の選び方とあわせて比較できます。

1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLE(ディグル)のウェブサイト

DIGGLE(ディグル)は、予算・実績・見込みをクラウド上で一元管理する、予実管理に特化したサービスです。予算策定から予実突合、着地見込みの管理、レポーティングまでをクラウドで完結させ、Excel中心の運用で起こりがちな属人化や集計の手間を減らすことを狙いとしています。

会計システムとのAPI連携により実績データの取り込みと予実突合を自動化し、勘定科目より細かい粒度での損益管理に対応します。非財務指標(KPI)を組み合わせたドリルダウン分析や、BIツールへのデータ出力も可能です。

freee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウド・弥生会計などと連携でき、既存の会計環境を活かしながら予実管理を高度化できます。料金はStandardとEnterpriseの2プラン構成で、いずれも見積もりに応じる形です。

2. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloud(スケールクラウド)のウェブサイト

公認会計士である代表が設計したScale Cloud(スケールクラウド)は、財務数値(PL・BS・CF)と非財務数値(KPI)を関連づけて一元管理する経営管理クラウドです。予算の達成度とその再現性を高めることを目的に、経営層・管理部・事業部が同じ数字を見ながら議論できる基盤を提供します。

KPIを積み上げて予算を作成できる点や、経営用・管理部用・事業部用など複数視点のダッシュボード、多軸分析や異常値の自動検知に対応する点が特徴です。勘定奉行クラウド・freee・Salesforceなどと連携し、会計データと現場のKPIをつなげて分析できます。

公式の導入事例では、他社システムからの乗り換えで工数が約40%削減された例や、Excel運用からの切り替えで工数がおよそ6分の1になった例が公表されています。上場企業・上場準備企業や、複数事業を持つ企業に向いた選択肢です。

工数削減といった効率化の効果に触れましたが、広瀬氏はインタビューで、予実管理という仕事の価値そのものについても次のように語っています。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

私は、予算管理・予実管理という仕事の価値を上げたいと思っています。効率化だけでは、担当者が楽になっただけで、仕事の価値自体は上がりません。今まで得られなかった気づきを提供し、アウトプットの質を変えていくことで、経営管理という仕事そのものの価値を高めていきたいと考えています。

まとめ

ERPで管理会計を行うと、販売・在庫・会計などのデータが一つの基盤に集まり、予実管理・原価配賦・セグメント別損益といった業務を手集計なしに回せるようになります。会計ソフトが制度会計を、管理会計専用システムが社内の意思決定用の数字を担うのに対し、ERPは業務全体を統合して両方を支える点が違いです。

ただし、管理会計を強化したいすべての企業にERPが必要なわけではありません。全社のデータ分断まで解決したいならERP、予実管理や経営管理を素早く始めたいなら管理会計専用システム、という切り分けを起点に、費用や導入期間、対応機能を照らし合わせて検討を進めてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 管理会計をERPで行うとは何ですか?

A. ERPで管理会計を行うとは、販売・購買・在庫・生産・会計といった業務データを一つのデータベースにまとめ、部門別・事業別の損益や予算と実績の差、着地見込みを手集計なしで把握できる状態にすることです。会計ソフトが仕訳と決算を担うのに対し、ERPは日々の業務データと会計データが同じ基盤でつながるため、数字の裏づけとなる取引までさかのぼって分析できる点が特徴です。

Q. 管理会計と財務会計の違いは何ですか?

A. 管理会計と財務会計は、目的・対象・ルールが異なります。財務会計は株主や取引先・税務当局など社外への報告を目的に、制度に沿って過去の実績をまとめます。管理会計は経営者や管理部門が社内の意思決定に役立てるために、予算や着地見込みなど未来の数字も自由な形式で扱います。

日本の「原価計算基準」でも、会計には財務諸表の作成という外部報告に加えて経営管理に役立てる目的があることが示されており、管理会計は後者を担う領域だと捉えると分かりやすくなります。

Q. ERPと会計ソフトの違いは何ですか?

A. ERPと会計ソフトの違いは、カバーする範囲にあります。会計ソフトは仕訳・決算・税務申告など財務会計の効率化が中心です。ERPは販売・購買・在庫・生産・会計まで業務横断でデータを統合し、財務会計と管理会計の両方を同じ基盤で扱えます。

会計ソフトでは勘定科目より細かい部門別・事業別の損益を追うのにExcelへの書き出しと加工が必要になりがちですが、ERPは業務データと連動してその集計・配賦を自動化できる点が異なります。

Q. 中小企業でもERPで管理会計を行う必要はありますか?

A. 中小企業にERPが必ず必要というわけではなく、全社のデータ分断まで解消したいのか、予実管理・経営管理を効率化したいのかで適した選択肢が分かれます

複数の事業や拠点があり販売・在庫・会計が別々のシステムに散らばっている場合はERPが候補になりますが、業務システムが整っていて脱Excelや予実管理の高度化が主目的なら、管理会計専用システムで足りることが多くなります。「ERPは大企業のもの」というイメージがありますが、初期費用0円・月額数千円から始められる中小企業向けの統合型製品もあり、公的支援を使いながら検討できる環境が整っています。

Q. ERP導入にかかる費用と期間の目安はどのくらいですか?

A. ERPや管理会計システムの費用は提供形態と規模で大きく変わり、クラウド型は初期費用を抑えて月額で始められる製品がある一方、大企業向けの本格的なERPやオンプレミス型は個別見積もりが基本です

たとえば会計機能まで含む中小企業向けの統合型クラウドには初期費用0円・月額数千円から使える製品があり、管理会計に特化したクラウドは月額十万円前後からが目安です。

期間も、予実管理を中心とした小規模なクラウド導入は短期間で立ち上げやすく、全社の基幹業務を刷新する大規模なERPほど要件定義やデータ移行に時間がかかる傾向があるため、対象範囲を絞って段階的に導入するかをベンダーと相談するのが現実的です。

Q. ERPの導入に補助金は使えますか?

A. ERPを含む業務ソフトの導入には、中小企業向けの「デジタル化・AI導入補助金2026」(通常枠、旧IT導入補助金)が活用できます

会計・財務・経営などの業務プロセスを含むソフトウェアが対象で、補助率は2分の1以内または3分の2以内、4つ以上の業務プロセスを含む場合は150万円以上450万円以下が補助額の目安とされています(2026年度時点)。中堅・中小企業でも公的支援を使いながら導入を検討できます。

出典・参考資料(1件)

Q. ERPは既存のExcelや販売管理システムと連携できますか?

A. 多くのERPや管理会計システムは、CSVの取り込みやAPI連携によって既存のExcel・販売管理・会計システムからデータを取り込めます

たとえば管理会計クラウドの多くはfreee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウドなどと連携でき、既存の会計環境を残したまま予実管理を高度化できます。連携できる範囲や方式は製品ごとに異なるため、導入前に自社が使っているシステムとの接続可否を確認しておくと安心です。

Q. ERPで管理会計を行うデメリットや注意点はありますか?

A. ERPの主な注意点は、業務全体を統合する仕組みゆえに導入コストや期間が規模に応じて大きくなりやすく、目的次第では過剰な投資になりかねない点です

予実管理や経営管理を素早く始めたいだけであれば、基幹業務全体を入れ替えるERPは目的に対して重すぎることがあります。導入前に「解決したいのは業務データの分断そのものか、管理会計の効率化・高度化か」を切り分け、対象範囲を絞って段階的に導入するかをベンダーと相談するのが現実的です。

Q. 管理会計を強化したいとき、ERPと管理会計専用システムのどちらを選べばよいですか?

A. 全社のデータ分断まで解決したいならERP、予実管理や経営管理を素早く始めたい・脱Excelが主目的なら管理会計専用システムが向きます

複数の事業や拠点があり販売・在庫・原価などの業務データが別々のシステムに散らばっていて、その統合まで含めて解決したい場合はERPが選択肢に入ります。

一方、業務システムはおおむね整っていて管理会計だけを効率化したい場合は、会計・業務システムからデータを取り込んで分析する管理会計専用システムで足りることが多く、まずは「業務データの分断か、管理会計の効率化・高度化か」を切り分けるのが選び方の起点になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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