取引先ごとに書式の異なる注文書が、FAXやPDF、ときには手書きで毎日のように届き、その内容を受注システムへ手入力する作業に追われていないでしょうか。繁忙期にはFAXがたまり、読み取りにくい手書き文字の確認電話が増え、入力ミスが誤出荷や手戻りにつながることもあります。担当者一人に業務が集中し、その人が不在だと受注処理が止まってしまう、という悩みもよく聞かれます。
こうした注文書の手入力を自動化する手段が、注文書OCRサービス(注文書に対応したAI-OCR)です。ただし読み取り精度だけで選ぶと運用が回らないことも多く、商品・取引先マスタとの連携や基幹システムへの取り込み、料金体系まで含めて、自社の受注業務に合うかどうかを見極める必要があります。
本記事では、注文書の受注入力を自動化する主要な注文書OCRサービス15製品を、4つのタイプ別に比較・解説します。手書き・非定型注文書の読取精度、商品・取引先マスタ連携、基幹・販売管理システムとの連携、料金体系という、受注業務に特有の選定観点を整理しました。受注部門や業務改善の担当者が、自社に合うサービスを絞り込むための材料としてご活用ください。
また、自社の注文書運用に合うサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」もご用意しています。タイプ選びに迷ったら、あわせてご活用ください。
目次
本記事の対象範囲
本記事は、FAX・PDF・メール・手書きで届く注文書(発注書)の読み取りと受注入力の自動化に絞って、注文書に対応したAI-OCRサービスを比較します。取引先ごとに書式の異なる注文書を、いまの受注フローのままデータ化したいという目的に合う製品を選べる構成です。
注文書に絞らず、請求書・納品書なども含めて帳票を問わずAI-OCRを幅広く比較したい場合は、対応帳票・読み取り精度・料金を横並びで整理したAI-OCR全体のまとめ記事が参考になります。
本記事で取り上げるのは、主要な注文書OCRサービス15製品です。受注業務の効率化に強い注文書特化タイプ、BtoB EC・受発注システム一体型、手書き・非定型帳票の読取精度に強いタイプ、幅広い帳票に対応する汎用タイプの4つに整理しています。
注文書OCR(注文書向けAI-OCR)とは
注文書OCRとは、紙やFAX、PDF、画像で届いた注文書に書かれた文字を、AIを活用したOCR(光学的文字認識)で読み取り、商品名・数量・単価・納期といった項目をテキストデータや構造化データ(CSV等)へ変換する仕組みです。読み取ったデータを受注システムや基幹システムへ取り込むことで、これまで人が目で見て手入力していた受注登録を自動化します。
従来型のOCRは、あらかじめ読み取り位置を座標で指定した定型のフォーマットには強い一方、取引先ごとにレイアウトが異なる非定型の注文書や手書き文字を苦手としていました。
AI-OCRはディープラーニングで文字や帳票のレイアウトを学習するため、書式がばらばらな注文書や、崩し字・かすれたFAXでも高い精度で読み取れる点が違いです。近年は大規模言語モデル(LLM)を組み合わせ、単に文字を読むだけでなく、どの数字が数量でどれが単価かといった項目の意味を判断して抽出する製品も増えています。
注文書OCRは、注文書の読み取りに特化して受注業務の自動化を主目的とするサービスと、請求書や納品書など多様な帳票を扱う汎用AI-OCRの一機能として注文書に対応するサービスに大きく分かれます。自社が注文書の受注処理だけを効率化したいのか、全社の紙帳票をまとめてデータ化したいのかによって、選ぶべきサービスの方向性が変わります。
FAX・PDF・手書き注文書の手入力が抱える課題
注文書OCRの導入を検討する背景には、受注部門で紙やFAXの注文書を手入力し続けることによる、次の3つの課題があります。
手入力の工数が受注量に比例して膨らむ。注文書を1件ずつ目で読み、受注システムへ転記する作業は、受注が増えるほど担当者の負担が重くなります。月曜の朝や月末、セール時期などにFAXがまとまって届くと処理が追いつかず、受注の登録が滞って出荷や請求の後工程まで遅れる原因になります。
転記ミスが誤出荷や手戻りを招く。手入力では、品番の取り違えや数量の桁間違いといったミスが一定の確率で発生します。誤ったデータで出荷手配が進むと、返品・再出荷・値引き対応といった手戻りが生じ、取引先の信頼にも影響します。読みにくい手書き文字を確認するための電話も、担当者と取引先双方の時間を奪います。
読み取りが特定の担当者に依存し属人化する。取引先ごとの独特な書式や略称、手書きの癖は、長く担当している人でないと正しく読み解けないことがあります。その担当者が休んだり退職したりすると受注処理が回らなくなり、業務が止まるリスクを抱えたままになります。
注文書OCRで受注入力を自動化するメリット
ここからは、注文書OCRで受注入力を自動化することで得られるメリットを解説します。効果は「読み取り」だけでなく、その後のマスタ照合や基幹連携まで含めて現れます。
受注処理が速くなり、入力ミスが減ります。届いた注文書をアップロードするだけでAIが項目を読み取るため、1件あたりの入力時間を短縮でき、まとまって届く繁忙期の受注滞留も防ぎやすくなります。読み取った内容を人が確認・修正する運用にすれば、手入力を減らしつつ転記ミスによる誤出荷や手戻りも抑えられます。
商品コードへの変換や基幹連携、業務の標準化まで進みます。多くの注文書OCRは取引先の商品名・略称を自社の商品コードへ変換するマスタ連携を備え、読み取り結果をCSVやAPIで受注管理・基幹システムへ渡せます。読み取りとマスタ照合をシステムが担うことで、特定の担当者に頼らず誰でも同じ手順で受注処理を回せ、担当者の不在時にも業務が止まりにくくなります。
注文書OCRサービスの選び方
注文書OCRサービスは、読み取り精度だけでなく、自社の受注業務にどこまで組み込めるかで選ぶことが大切です。ここでは、比較のときに確認したい6つの観点を解説します。
手書き・非定型・かすれFAXの注文書を読み取れるか
自社に届く注文書の実態に合った読み取り能力があるかが、まず見るべきポイントです。取引先ごとに書式が異なる非定型の注文書が多い場合は、読み取り位置を事前に定義しなくてもAIがレイアウトを判断できるか、手書きの数量や補記に対応できるか、FAX特有のかすれ・にじみ・傾きに強いかが分かれ目になります。
公式サイトで示される読取精度の数値は、印字されたきれいな文字を前提とした条件付きのことが多いため、自社の実際の注文書サンプルで無料トライアルを試し、現物での精度を確かめるのが確実です。
商品・取引先マスタと連携できるか
読み取った文字をそのままデータ化するだけでは、受注登録には使えないことがあります。取引先が使う商品名・略称・型番を自社の商品コードへ変換したり、取引先名を得意先コードへ紐づけたりするマスタ連携があると、受注処理にそのまま使える形でデータを出力できます。
表記のゆれが多い商材を扱う場合や、取引先ごとに独自の呼び方がある場合は、マスタ照合の精度と、候補が複数あるときの選択のしやすさを確認しておくと、導入後の手直しを減らせます。
基幹・販売管理システムと連携できるか
読み取ったデータを、既存の受注管理システムや基幹システム・販売管理システムへどう渡せるかも重要な軸です。多くのサービスはCSV出力に対応し、出力項目の並びを自社システムの取り込み形式に合わせられます。リアルタイムに近い連携が必要な場合は、APIやWebhookで自動連携できるか、対応しているシステムやEDI(電子データ交換)の種類まで見ておくと、二重入力を残さずに受注業務を自動化できます。
料金体系・導入期間・無料トライアルはどうか
料金は、初期費用と月額に加えて、読み取り枚数に応じた従量課金があるかで実際のコストが変わります。定額制は処理枚数が多いほど1枚あたりが下がりやすく、従量制は少量から小さく始めやすいという違いがあります。
個別見積もりのみのサービスも多いため、自社の月間の注文書枚数を前提に見積もりを取り、テンプレート設定やマスタ登録を含めた本格運用までの導入期間もあわせて確認します。多くのサービスが無料トライアルや無料の読み取りテストを用意しているので、費用対効果は実際に試してから判断できます。
あわせて、要件を満たせば公的な補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)でAI-OCRツールの導入費用の一部を補える場合があります。初期費用・月額だけでなく、補助金を活用できるかも含めてコストを見積もると判断しやすくなります(対象要件や申請枠は後述のよくある質問で解説します)。
セキュリティ認証・電子帳簿保存法への対応はどうか
注文書には取引先名や取引条件が含まれるため、通信の暗号化やアクセス制御、IPアドレス制限といったセキュリティ機能や、ISMS(ISO/IEC 27001)・プライバシーマークなどの第三者認証の有無を確かめておくとよいでしょう。
あわせて、受け取った注文書を電子データのまま保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件(取引年月日・取引金額・取引先での検索に対応できること等)を満たせるかも見ておくとよいでしょう。注文書は取引の相手方から受け取る証憑ですが、電子帳簿保存法上は見積書などと同じ「一般書類」として扱われる区分にあたります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07scan.htm)
OCRで読み取るか、受発注そのものをWeb化するか
注文書OCRは「FAXや紙で届く注文書を、いまの受注フローのまま自動でデータ化する」手段です。一方で、取引先にWebフォームやBtoB受発注システムで直接注文を入力してもらえれば、そもそもOCRで読み取る紙自体を減らせます。
取引先の数が多く、書式もばらばらで、当面はFAX・紙をやめられないなら注文書OCRが現実的です。特定の主要取引先とWeb化を進められる余地があるなら、受発注のWeb化とOCRを組み合わせ、Web化しきれない取引先の注文書だけをOCRで受ける二段構えも選択肢になります。自社の取引先構成に照らして、どちらに寄せるか、あるいは併用するかを検討するとよいでしょう。
受発注のWeb化まで視野に入れて検討するなら、FAX・電話からWeb発注への切り替えを費用・機能・取引先の使いやすさで比較した受発注システムのまとめ記事も参考になります。
注文書OCRサービスの4つのタイプ
注文書OCRサービスは、得意とする領域によって大きく4つのタイプに分けられます。自社が注文書の受注処理だけを効率化したいのか、受発注のフロー全体を見直したいのか、あるいは注文書以外の帳票もまとめて扱いたいのかによって、向くタイプが変わります。次の比較表と診断ツールも、この4タイプの軸で見ると絞り込みやすくなります。

受注業務の効率化・自動化に強い注文書特化タイプ
注文書・発注書の読み取りと受注入力の自動化を主目的に設計されたタイプです。読み取った注文書を商品・取引先マスタや取引先ごとのルールと照合し、受注処理にそのまま使える形で出力することに主眼を置きます。取引先ごとに書式がばらばらな注文書を、いまの受注フローのまま自動化したい企業に向いています。
BtoB EC・受発注システム一体型
OCRで読み取った注文データを、BtoB EC・受発注管理システムへ直接取り込むタイプです。受注チャネルのWeb化とFAX・紙注文書のデータ化を1つの基盤でまかなえるため、受発注のフロー全体を見直したい企業に適しています。将来的に取引先へのWeb発注の切り替えも視野に入れている場合の選択肢になります。
手書き・非定型帳票の読取精度に強いタイプ
ディープラーニングを用いて、崩し字やかすれたFAX、罫線のない非定型の帳票を高い精度で読み取ることを強みとするタイプです。帳票設計をしなくてもレイアウトを自動で解析する製品が多く、読み取りの難しい注文書が多い企業や、精度を最優先したい企業に向くタイプです。
幅広い帳票に対応する汎用AI-OCRタイプ
注文書に対応しつつ、請求書・見積書・申込書など多様な帳票もまとめてデータ化できる汎用AI-OCRタイプです。注文書の受注入力を起点にしながら、他の帳票のデータ化も同じ製品でカバーしたい場合の選択肢になります。全社の紙業務を横断で効率化したいというニーズが中心なら、対象がより広いAI-OCR全体の比較を検討するのもよいでしょう。
自社の注文書運用にどのタイプが合うかは、次の診断ツールで確認できます。いくつかの質問に答えると、向いているタイプと候補サービスを表示します。
【比較表】注文書OCRサービスを横並び比較
ここからは、主要な注文書OCRサービス15製品を4つのタイプ別に比較します。各社の読取精度(印字・手書きの公式値または非公表)、商品・取引先マスタ連携、基幹・販売管理システム連携、料金体系(初期・月額)、導入期間の目安、無料トライアルの有無を整理しました。読取精度・料金は2026年9月時点の各社公式サイトの公表値・情報にもとづきます。各サービス名から、記事内の個別紹介へ移動できます。
受注業務の効率化・自動化に強い注文書特化タイプの比較
| サービス名 | スマートOCR | 発注書AI-OCR(invox) | 受発注バスターズ | route-D AIデータ入力 | PRISM 注文書AI-OCR | GenOCR | kozokaAI 受注AIエージェント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 読取精度(印字・手書き) | 非公表 | 公表値:印字約99%/手書き約80% | 公表値:印字99%以上/手書き約80% | 公表値:認識率99.5% | 公表値:約95% | 公表値:導入先検証で約99% | 公表値:印字約99%/手書き約85% |
| マスタ連携(商品・取引先) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| システム連携(CSV・API) | ● | △(受発注ライト・WEBEDI経由) | 要お問い合わせ | ● | ● | ● | ● |
| 初期費用 | 100,000円〜 (SDクラウド) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 無料 | 要お問い合わせ | 0円〜200,000円 (プランによる) | 要お問い合わせ |
| 月額費用 | 30,000円〜 (SDクラウド) | 30,000円〜 | 要お問い合わせ | 80,000円〜 (読取枚数に応じた従量課金) | 要お問い合わせ | 25,000〜160,000円 (3プラン制) | 50,000円〜 (読取枚数に応じた変動制) |
| 導入期間 | 要お問い合わせ | 最短約2か月 | 1〜2か月 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 約2か月 | 最短10日〜 (本格運用まで約4〜5か月) |
| 無料トライアル | ●(無料のサンプル帳票検証) | ● | 要お問い合わせ | ●(自社帳票で無料読取テスト) | △(PoC検証あり) | ●(2週間・250件まで) | ●(約1か月) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
BtoB EC・受発注システム一体型の比較
| サービス名 | CO-NECT AIデータ変換 | Bカート AI-OCR | AI注文 OCR |
|---|---|---|---|
| 読取精度(印字・手書き) | 公表値:印字約99% | 非公表 | 非公表 |
| マスタ連携(商品・取引先) | ● | ● | ● |
| システム連携(CSV・API) | ● | △(Bカートに自動登録) | △(セカイカートに自動取込) |
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 0円 (Bカート本体は別途80,000円) | 要お問い合わせ (セカイカート本体は別途200,000円) |
| 月額費用 | 要お問い合わせ (CO-NECT本体の契約が前提) | 3,000〜20,000円 (3プラン+従量課金。Bカート本体の月額別途) | 要お問い合わせ (読取枚数の従量課金。セカイカート本体の月額別途) |
| 導入期間 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 無料トライアル | ●(自社帳票で無料読取テスト) | ●(1か月無料。以降も毎月10回無料) | ●(初年度100枚まで無償) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
手書き・非定型帳票の読取精度に強いタイプの比較
| サービス名 | DX OCR | AIスキャンロボ | SmartRead |
|---|---|---|---|
| 読取精度(印字・手書き) | 非公表 | 非公表 | 公表値:99.22% |
| マスタ連携(商品・取引先) | ● | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| システム連携(CSV・API) | ●(CSV出力・Box/kintone連携) | ● | ● |
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 無料 |
| 月額費用 | 30,000円〜 (エントリープラン・定額制) | 30,000円〜 (トライアル導入。本格プランは要お問い合わせ) | 30,000円〜 (読取量に応じた従量課金) |
| 導入期間 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 無料トライアル | △(無償の帳票評価あり) | ●(無料の読取テスト) | ●(乗り換え支援キャンペーン等) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | 公式サイト |
幅広い帳票に対応する汎用AI-OCRタイプの比較
| サービス名 | DX Suite | AnyForm OCR |
|---|---|---|
| 読取精度(印字・手書き) | 公表値:99.6% | 公表値:印字99.97% |
| マスタ連携(商品・取引先) | 要お問い合わせ | ● |
| システム連携(CSV・API) | ● | 要お問い合わせ |
| 初期費用 | 200,000円 (20万円分の無料読取枠込み) | 要お問い合わせ |
| 月額費用 | 40,000円〜 (Liteプラン) | 要お問い合わせ |
| 導入期間 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 無料トライアル | ● | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
注文書OCRサービス各社の紹介
ここからは、15サービスを4つのタイプ別に個別に紹介します。各サービスの提供形態・特徴・料金・連携・導入実績をまとめました。
受注業務の効率化・自動化に強い注文書特化タイプ
まずは、注文書の受注入力の自動化を主目的とする注文書特化タイプのサービスを紹介します。
1. スマートOCR(株式会社インフォディオ)

株式会社インフォディオが独自開発した文字列単位認識エンジンを核とするクラウド型のAI-OCRで、請求書や納品書など20種類以上の帳票に対応し、注文書もそのひとつです。取引先ごとに書式が異なる注文書でも、AIがテンプレートを自動作成するため、読み取り位置を座標で定義する帳票設定が要りません。
写真撮影で歪んだ書類を整える独自の画像補正技術や手書き文字の認識に対応し、読み取ったデータはAPIやSalesforce、RPA・会計システムと連携して既存システムへ渡せます。注文書のデータ化に特化したパッケージ「注文書革命DX」も同社が提供しています。
提供形態は、SDクラウド(初期費用10万円・月額3万円〜)から、学習やカスタマイズができる専用クラウド、大量処理向けのプライベートクラウド、セキュリティ要件の高いオンプレミスまで4種類あり、処理量や要件に応じて選べます。無料のサンプル帳票検証で読み取りを試せます。
2. 発注書AI-OCR(invox)(株式会社インフォマート)

東証プライム市場に上場する株式会社インフォマートが、AI-OCR技術を持つ株式会社invoxと協業して提供する、FAX・PDF・メールで届く注文書・発注書のデータ化サービスです。同社が運営する受発注システム「BtoBプラットフォーム 受発注ライト」と連携し、読み取ったデータを基幹システムへ取り込みます。
Google・Microsoft・手書き用のOCRエンジン3台を組み合わせ、識字率は印字文字(きれいな状態)で約99%、手書き文字で約80%を公式に示しています。基幹システムのマスタデータを参照して商品を自動で紐づけ、使うほど特定精度が上がる学習機能も備えます。
料金は月額30,000円〜で初期費用は要問い合わせ、本格運用の開始まで最短で約2か月が目安です。2026年4月には大規模言語モデルを用いた「読み取りAIエージェント」を追加し、座標指定なしでの処理ルール設定に対応しました。提供開始時はBtoBプラットフォーム 受発注ライトの有料オプションとして案内されており、単独での契約可否は資料請求で確認するとよいでしょう。
3. 受発注バスターズ(受発注バスターズ株式会社)

製造業・卸売業・商社の受注業務に向けて、FAX・メール・PDFで届く注文書・発注書をAI-OCRで読み取り、得意先マスタ・商品マスタと自動で突合してデータ化するサービスです。株式会社battonが2025年4月に社名を受発注バスターズ株式会社へ変更し、主力サービス名と社名を一体化しました。
取引先ごとに書式が異なる注文書をAIが自動で判別する設計で、帳票レイアウトの登録・調整は提供会社の「情報設計士」が代行するため、利用企業がゼロからテンプレートを設計する必要がありません。読み取り精度は活字で99%以上、手書き文字で約80%を公式に示しています。
料金は初期費用と年額利用料による個別見積もりで、金額は公表されていません。運用開始までの期間は1〜2か月が目安で、情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001(JIS Q 27001)の認証取得を公式サイトに記載しています。
4. route-D AIデータ入力(株式会社route-D)

座標やテンプレートの事前設定なしにAIが記載内容を解釈して読み取る点を主軸に、株式会社route-Dが製造・商社・卸売・物流業向けに提供する受発注書類のデータ入力自動化サービスです。注文書・発注書に加え、納品書・見積書やFAX・手書き伝票にも対応します。
読み取った品目や取引先名を、あいまい検索で基幹システムのマスタコードへ変換するところまでを一気通貫で自動化し、1書類あたりの明細行数に上限を設けない仕様です。誤読の可能性がある項目をハイライト表示する機能で、確認作業の負担を抑えます。
初期費用は無料で、月額8万円〜の読み取り枚数に応じた従量課金です。自社の帳票を使った無料の読み取りテストが利用でき、専任のコンシェルジュによる導入サポートが料金に含まれます。公式サイトでは100社以上の導入実績と認識率99.5%を訴求値として示しています。
5. PRISM 注文書AI-OCR(株式会社共立コンピューターサービス)

OKB大垣共立銀行グループのIT企業である株式会社共立コンピューターサービス(KCS)が、業務パッケージ「PRISMシリーズ」の一つとして提供する、注文書処理に特化したAI-OCRです。金融システム開発を出自とし、1980年の設立以来の事業基盤を持ちます。
複数レイアウトの注文書をアップロード時に自動判定し、数量・単価・金額を含む明細項目を抽出します。取引先ごとに異なる商品名を自社の商品コードへ変換するマスタ連携を備え、20〜30行規模の長尺明細やFAX・メール受信、手書きの注文書にも対応します。公式サイトでは読取精度として約95%(公表値)を示しています。
文字認識の基盤にはGoogleの生成AI「Gemini」を採用し、読み取り結果はCSVやAPIで既存の基幹システムへ渡せます。初期費用・月額費用とも公表されておらず、料金や実際の帳票での精度は、資料請求とPoC(試験導入)で確認する形です。
6. GenOCR(ジンベイ株式会社)

帳票の意味や文脈を生成AIで解釈し、テンプレートの設計や事前学習なしで読み取ることを掲げるAI-OCRです。ジンベイ株式会社が提供し、請求書や納品書など20種類以上の帳票に対応する中で、注文書にも対応します。
注文書向けの用途では、注文番号・納期・品番・数量・単価などの項目に加え、手書きの補記や訂正印、かすれ・にじみ・傾きといったFAX特有の画質劣化への対応を示しています。読み取ったデータはAPI連携で基幹システムやワークフローとつなげます。公式サイトでは、導入先での検証で約99%の読み取り精度を示しています。
料金は3プラン制で、初期費用0〜20万円・月額2.5万〜16万円(年間の読み取り枠6,000〜18万ページ)が公式サイトに示され、2週間・250件までの無料トライアルを利用できます。運営会社はISO/IEC 27001とプライバシーマークを取得しています。
7. kozokaAI 受注AIエージェント(株式会社kozokaAI)

FAX・メール・PDFで届く注文書を生成AIとOCRで読み取り、商品マスタ・取引先マスタや過去の受注履歴と照合して、基幹システムへの登録候補データまで作成するサービスです。株式会社MONO-Xが設立した株式会社kozokaAIが、製造・流通・卸売業向けに提供します。
表記ゆれを吸収した商品コードの特定や、複雑なレイアウトの明細行の分割、単位換算に対応します。数量・納期・配送先など確認が必要な項目をAIが提示する例外確認機能を備え、担当者の修正履歴を学習して使うほど精度が上がる設計です。読取精度は印字文字で約99%、手書き文字で約85%を公式に示しています。
連携先はAPI・Webhook・CSVを介したERPや販売管理システムに加え、IBM i(AS/400)などのレガシー基幹システムにも対応します。月額利用料は5万円〜で、約1か月の無料トライアルを用意し、公式発表では120社以上が利用しています(2026年8月時点)。
BtoB EC・受発注システム一体型
続いて、受注チャネルのWeb化と注文書のデータ化を1つの基盤でまかなえる、受発注システム一体型のサービスです。
8. CO-NECT AIデータ変換(CO-NECT株式会社)

BtoB受発注システム「CO-NECT」のオプション機能として、CO-NECT株式会社が2024年12月に提供を開始した注文書向けのAI-OCRです。FAX・PDF・メール添付・CSV・他社EDIなど、取引先ごとに異なる形式で届く注文データを読み取り、CO-NECT本体の受注管理・商品マスタへ自動で取り込みます。
取引先ごとに異なる商品名や品番の表記を、過去の実績データをもとに自社の商品マスタへ置き換え、「1kg」の注文を「500g×2パック」のように単位まで変換します。2025年4月に追加されたテンプレート機能では、チェックボックスや〇囲み、数量のみ手書きの注文書など、従来のOCRで読み取りにくかった書式にも対応します。公式サイトでは印字文字で約99%の読み取り精度を示しています。
読み取り結果はCO-NECT本体の受注管理・商品マスタや会計連携につながる一体型で、単体のOCR製品ではなくCO-NECTの導入が前提となります。受発注システムのCO-NECT全体では導入社数55,000社・利用継続率98%以上を公表していますが、これはAIデータ変換機能単体の数値ではありません。
9. Bカート AI-OCR(株式会社Dai)

FAXやメールで届く手書き・活字の注文書をアップロードすると、AIが受注データとして読み取り、BtoB EC・受発注プラットフォーム「Bカート」の管理画面へ自動登録するオプション機能です。株式会社Daiが2026年3月に正式提供を開始しました。
Bカートの会員マスタ・商品マスタ・配送先マスタと連携し、「(株)」「株式会社」といった表記ゆれを吸収して取引先や品番を特定します。取引先ごとの独自フォーマットは、読み取りルールをプロンプトで指定するビジュアルモードで設定でき、手書きなど判読が難しい帳票はテンプレート化を推奨する運用が案内されています。
料金はエントリー月額3,000円・プロ月額10,000円・エンタープライズ月額20,000円の3プラン制(いずれも税抜)で、読み取りは1回あたり40〜80円の従量課金、毎月10回までは無料です。利用にはBカート本体の契約が前提で、本体は初期費用80,000円と月額料金が別途必要になります。
10. AI注文 OCR(株式会社ジェーエムエーシステムズ)

日本能率協会グループの株式会社ジェーエムエーシステムズが、BtoB EC受注システム「セカイカート」の機能として2026年4月に追加したAI-OCRです。FAX注文書やメールの注文内容を読み取り、セカイカートの受注データへ自動で取り込みます。
生成AIの画像認識で、手書き・出力形式・レイアウトを問わず文字を読み取り、通称や略称を商品マスタと照合して正式な商品名・コード・配送先へ変換します。読み取り結果への補正をAIに学習させ、発注元ごとの表記ゆれへの対応を続けて高められる設計です。自社の受注担当だけでなく、注文を送る取引先(卸・代理店)側の利用も想定されています。
AI注文OCRの料金は読取枚数に応じた従量課金で、単価は公開されておらず問い合わせが必要です。新規契約時は初年度100枚まで無償で試せます。読み取った注文情報はセカイカートの受注データへ取り込まれる設計で、本体のセカイカートは初期費用20万円・月額3万5,000円〜(いずれも税抜)です。
手書き・非定型帳票の読取精度に強いタイプ
次に、崩し字やかすれたFAX、非定型の帳票の読取精度を強みとするタイプのサービスを紹介します。
11. DX OCR(株式会社ハンモック)

株式会社ハンモックが提供する、帳票設計が不要なクラウド型AI-OCRです。同社は東京証券取引所グロース市場に上場しており、紙やFAX、PDFで届いた注文書をスキャン・撮影してCSVデータへ変換します。
定型・非定型を問わず、AIが帳票のレイアウトを自動で解析・仕分けするため、取引先ごとに書式が異なる注文書でも、事前のテンプレート登録なしで読み取れます。活字だけでなく手書きや斜め文字、白抜き・網掛け文字の認識、画像の歪み補正にも対応します。帳票設計をせずに非定型・手書きの注文書を読み取れる点が、この製品の中心的な特徴です。
読み取った商品名・会社名を基幹システムの正規コードへ置き換えるマスタ連携を備え、2026年7月の更新では候補が複数あるときの選択にも対応しました。取引年月日・取引金額・取引先名をファイル名へ自動付与し、電子帳簿保存法の検索要件にも対応します。料金はエントリープランが月額30,000円〜(税別)の定額制で、契約は1年単位です。
12. AIスキャンロボ(ネットスマイル株式会社)

複数の表が1枚に混在する、明細行が可変、罫線がないといった、一般的なOCRが苦手とする非定型の帳票の読み取りに力点を置いたクラウド型AI-OCRです。ネットスマイル株式会社が、ディープラーニング(CNN・DNN・LSTM)ベースの独自エンジンで開発しています。
発注書・納品書などの帳票をCSV形式で出力し、Excelや基幹システムへ連携できます。アップロードした帳票に最適なテンプレートをAIが自動で選ぶほか、テンプレートの作成を運営側が代行する運用も用意されています。ネスレ日本では、FAXで届く月間約3,000枚の発注書のデータ化に用い、処理時間を月250時間から125時間へ短縮したと公表されています。
日本語のほか、英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語・タイ語の5言語の読み取りに対応します。料金はトライアル導入が月額3万円からで、本格プランの費用は問い合わせが必要です。自社の帳票サンプルで読み取り可否を事前に確かめられる、無料の読み取りテストも用意されています。
13. SmartRead(株式会社Cogent Labs)

手書き文字認識で知られた「Tegaki」の後継として、株式会社Cogent Labsが提供するAI-OCRです。文字を読み取るだけでなく、複数種類の文書を自動で仕分けし、非定型帳票から必要な項目を抽出する文書処理(IDP)までを担うサービスへと発展しています。
Tegaki時代から培った手書き文字の認識を強みとし、崩し字を含む注文書のデータ化に向きます。定型外の帳票については、GPT系の生成AIと連携して項目を抽出する機能も備えます。読み取った結果はCSVで出力し、APIで外部システムへ連携できます。公式サイトでは読取精度として99.22%(公表値)を示しています。
料金は初期費用・月額システム費用がかからず、月額30,000円からの利用に、読み取り量に応じた従量課金が加わる体系です。他社のAI-OCRからの乗り換えを支援するキャンペーンも継続的に実施しており、無料で試せる期間が設けられています。
幅広い帳票に対応する汎用AI-OCRタイプ
最後に、注文書を含めて多様な帳票をまとめてデータ化できる、汎用AI-OCRタイプのサービスです。
14. DX Suite(AI inside株式会社)

AI inside株式会社が提供するクラウド型のAI-OCRです。手書きと活字の帳票に対応し、注文書のほか請求書や申込書など幅広い様式を読み取って、商品名・数量・単価といった項目をCSVで出力し、RPAや基幹システムへ連携できます。
自社開発の日本語特化LLM「PolySphere-4」による読み取りと、利用を重ねるほど精度が向上する学習機能を備え、公式サイトでは読取精度として99.6%(公表値)を示しています。料金は初期費用20万円(20万円分の無料読取枠を含む)、Liteプランが月額4万円(2026年7月時点)で、利用人数による追加費用がなく、クラウドとオンプレミスの両方から選べます。無料トライアルも用意されています。
15. AnyForm OCR(株式会社ハンモック)

特許技術「WOCR」を用いて帳票をデータ化する、株式会社ハンモックのインストール型OCRソフトです。取引先ごとに様式の異なる注文書やFAX受注、手書き伝票の読み取りに対応し、明細行の自動計算やマスタ参照など、受注・請求のデータ入力に直結する機能を備えます。公式サイトでは印字文字で99.97%(公表値)の認識精度を示しています。
帳票フォーマットの設計はノンプログラミングで行え、自社の定型帳票にも合わせられます。サーバー・リーダー・ベリファイアで構成するインストール型のため、社内ネットワーク内で処理を完結できます。料金は構成に応じた個別見積りで、導入時に問い合わせが必要です。
注文書OCRで受注入力を自動化する手順
注文書OCRの効果を引き出すには、導入して読み取るだけでなく、確認・修正やマスタ登録、基幹連携までを含めて運用を設計することが大切です。ここでは、受注入力を自動化するまでの手順を6つのステップで解説します。

- 注文書の取り込み方法を決める。FAXは複合機で受信したデータをPDF化する、メール添付やスキャンした画像を取り込むなど、自社に届く経路に合わせて取り込み方法を決めます。フォルダ監視やメール連携で自動取り込みできる製品なら、アップロードの手間も省けます。
- 受注入力に必要な項目を読み取れるよう設定する。商品名・数量・単価・納期・取引先名など、受注登録に使う項目を読み取れるように設定します。テンプレート設定を提供元が代行するサービスや、事前設定なしで読み取れるサービスもあります。
- 読み取ったデータの確認・修正フローを設ける。OCRの読み取り精度は100%にはならず、FAXの解像度や筆跡によって上下します。読み取り結果を人が確認・修正する工程を残し、信頼度の低い項目だけを重点的にチェックする運用にすると、自動化と正確性を両立できます。誰がどのタイミングで確認するかを決めておくことが、運用を定着させる鍵になります。
- 商品マスタ・取引先マスタを登録する。取引先が使う商品名や略称を自社の商品コードへ変換するために、商品マスタ・取引先マスタを登録します。表記のゆれを吸収できるよう、別名や旧品番も含めて整備しておくと、変換の精度が上がります。
- 基幹システム・販売管理システムへ連携する。確認済みのデータを、CSVやAPIで受注管理システム・基幹システムへ取り込みます。出力項目の並びを取り込み形式に合わせておくと、二重入力を残さずに受注登録まで自動化できます。
- スモールスタートで運用を検証する。最初から全取引先・全注文書を対象にせず、まず一部の取引先や特定の書式に絞って試し、読取精度や確認工数、連携の不具合を検証します。効果と課題を確認しながら対象を広げていくことで、現場に無理なく定着させられます。
特に「読み取り後の確認・修正フロー」と「スモールスタートでの検証」は、精度の数値だけを見て導入したときに見落とされやすく、運用が回るかどうかを分ける工程です。無料トライアルの段階で、この2つを含めた運用イメージまで確認しておくと、導入後のギャップを小さくできます。
まとめ
注文書OCRサービスは、FAX・PDF・手書きで届く注文書の受注入力を自動化し、手入力の工数・転記ミス・属人化という課題を解消する手段です。選ぶときは、読み取り精度だけでなく、手書き・非定型への対応、商品・取引先マスタ連携、基幹・販売管理システム連携、料金体系、そして自社の受注運用への定着まで含めて見極めることが大切です。
本記事で紹介したサービスは、受注業務の効率化に強い注文書特化タイプ、BtoB EC・受発注システム一体型、手書き・非定型に強い高精度タイプ、幅広い帳票に対応する汎用タイプの4つに整理できます。自社に届く注文書の実態と、受注フローをどこまで見直したいかを起点に、まずは診断ツールでタイプを絞り、気になるサービスの無料トライアルや無料読み取りテストで、実際の注文書での精度と運用を確かめてみてください。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 注文書OCR(注文書向けAI-OCR)とは何ですか?
A. 注文書OCRとは、FAX・紙・PDF・画像で届いた注文書の文字をAIで読み取り、商品名・数量・単価・納期といった項目をデータ化して受注入力を自動化する仕組みです。
従来型のOCRが苦手だった、取引先ごとに書式の異なる非定型の注文書や手書き文字も、ディープラーニングや大規模言語モデル(LLM)を組み合わせて読み取れる点が特徴です。
注文書に特化して受注業務の自動化を主目的とするサービスと、請求書など多様な帳票を扱う汎用AI-OCRの一機能として注文書に対応するサービスに大きく分かれ、自社が注文書の受注処理だけを効率化したいのか、全社の紙帳票をまとめてデータ化したいのかで選ぶ方向性が変わります。
Q. 注文書OCRは手書きやかすれたFAXの注文書でも読み取れますか?
A. 注文書OCRは手書きやかすれたFAXの注文書にも対応しますが、活字に比べると読み取り精度は下がる傾向があり、精度が100%になることはありません。本記事で紹介したサービスも、印字文字で約99%、手書き文字で約80〜85%といった水準を公式に示していますが、これらは条件付きの数値です。
極端な癖字や走り書き、解像度の低いFAXでは精度が下がるため、読み取り結果を人が確認・修正する工程を残し、信頼度の低い項目を重点的にチェックする運用が前提になります。公式サイトの精度の数値はきれいな印字を前提としたものが多いため、自社に届く実際の注文書サンプルで無料トライアルや無料読み取りテストを試し、現物での精度を確かめるのが確実です。
Q. 注文書OCRは商品・取引先マスタと連携できますか?
A. 多くの注文書OCRは、取引先が使う商品名・略称・型番を自社の商品コードへ変換し、取引先名を得意先コードへ紐づけるマスタ連携を備えています。これにより、読み取った文字をそのままデータ化するだけでなく、受注登録にそのまま使える形でデータを出力できます。
表記のゆれが多い商材を扱う場合や、取引先ごとに独自の呼び方がある場合は、マスタ照合の精度と、変換候補が複数あるときの選びやすさを確認しておくと、導入後の手直しを減らせます。読み取りだけでなく、このマスタ照合まで自動化できるかどうかが、受注処理の効率を大きく左右します。
Q. 注文書OCRは基幹システムや販売管理システムと連携できますか?
A. 注文書OCRは、読み取ったデータをCSV出力やAPI・Webhookで受注管理システム・基幹システム・販売管理システムへ渡せる製品が主流です。CSVは出力項目の並びを自社システムの取り込み形式に合わせられ、二重入力を残さずに受注登録まで自動化できます。
リアルタイムに近い連携が必要な場合は、APIやWebhookで自動連携できるか、対応しているシステムやEDIの種類まで確認しておくとよいでしょう。IBM i(AS/400)などのレガシーな基幹システムへの対応をうたう製品もあるため、自社が使っているシステムに合わせて連携方式を見ておくことが大切です。
Q. 注文書OCRサービスの料金・費用相場はどのくらいですか?
A. 注文書OCRの料金は、初期費用と月額に加えて、読み取り枚数に応じた従量課金があるかで実際のコストが変わり、月額はおおむね3万円前後から、初期費用は無料〜数十万円程度が目安です。個別見積もりのみのサービスも少なくありません。
本記事で紹介したサービスでも、月額3万円〜の定額制、初期費用無料+月額8万円〜の従量制、初期費用20万円+月額4万円〜など体系はさまざまです。定額制は処理枚数が多いほど1枚あたりの単価が下がりやすく、従量制は少量から小さく始めやすいという違いがあります。自社の月間の注文書枚数を前提に見積もりを取り、無料トライアルや無料読み取りテストで費用対効果を確かめてから判断するとよいでしょう。
Q. 注文書OCRの導入期間はどのくらいかかりますか?
A. 注文書OCRの導入期間は、クラウド型なら数日〜数週間で利用を開始でき、マスタ連携やテンプレート設定を含めた本格運用までは2週間〜2か月程度が目安です。本記事で紹介したサービスでも、運用開始まで最短で約2か月、1〜2か月といったものがあります。
テンプレート設定やマスタ登録を提供元が代行するサービスや、事前設定なしで読み取れるサービスもあるため、自社側の準備負担とあわせて確認するとよいでしょう。最初から全取引先を対象にせず、一部の取引先や書式に絞ってスモールスタートで検証すると、無理なく定着させられます。
Q. 注文書OCRはセキュリティや電子帳簿保存法に対応していますか?
A. 注文書OCRは、通信の暗号化・アクセス制御・IP制限などのセキュリティ機能や、ISMS(ISO/IEC 27001)・プライバシーマークといった第三者認証を備える製品が多く、電子帳簿保存法のスキャナ保存に対応できる製品もあります。注文書には取引先名や取引条件が含まれるため、認証の有無やアクセス権限の設定を確かめておくと安心です。
受け取った注文書を電子データのまま保存する場合は、取引年月日・取引金額・取引先での検索に対応できることなど、スキャナ保存の要件を満たせるかも見ておくとよいでしょう。取引年月日・取引金額・取引先名をファイル名へ自動付与し、検索要件に対応する製品もあります。
Q. 注文書OCRの導入に補助金は使えますか?
A. 注文書OCRの導入に、補助金を活用できる場合があります。公式の「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」はAIを含むITツールの導入を支援する制度で、要件を満たせば注文書OCR(AI-OCR)ツールも支援の対象になりうるとされています。
ただし、実際に対象となるかは申請枠・登録ツール・事業者の要件によって変わり、公募回ごとに条件も更新されます。利用を検討する際は、補助金の公式情報と、各サービスの提供元に最新の要件を確認してください。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の公募要領を公開しました|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260310001.html)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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