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トークン化有価証券とは?暗号資産・電子記録移転権利との違いと法律上の位置づけを解説

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「トークン化有価証券」「セキュリティトークン」という言葉を、会議の資料や取引先の提案で目にしたものの、暗号資産と何が違うのか、普通の株式や社債とどう違うのかを一言で説明するのは難しい、と感じる場面があります。呼び名が複数あることも、理解を妨げる一因です。

トークン化有価証券とは、ひとことでいえば、株式や社債などの有価証券を、ブロックチェーン上で発行・管理できるようにデジタル化したものです。法律上は「電子記録移転有価証券表示権利等」という金融商品取引法(金商法)上のカテゴリーに含まれ、暗号資産のように資金決済法で扱われるものではありません。

本記事では、一文でわかる定義から、暗号資産・従来の有価証券との違い、「電子記録移転権利」との区別、根拠となる条文や2020年の法改正までを、法令の原文にあたりながら整理します。発行・資金調達の手段として自社で活用できるかを見極める材料としてもご活用ください。

トークン化有価証券とは?株・社債をブロックチェーンでデジタル化したもの

トークン化有価証券とは、株式や社債などの有価証券を、ブロックチェーン上で発行・管理できるようにデジタル化したものです。紙の証券や証券保管振替機構を通じた電子的な管理に代えて、ブロックチェーンの記録によって権利の発行・保有・移転を扱う点が、名前の由来になっています。

より広くは「セキュリティトークン(ST)」「デジタル証券」とも呼ばれます。これらはブロックチェーンで電子化した有価証券の総称で、法律の言葉では「電子記録移転有価証券表示権利等」というカテゴリーにあたります。

トークン化有価証券は、その総称のうち株式・社債など(第一項有価証券)をトークン化した部分を指す、日本証券業協会の自主規制上の呼び方です。呼び名ごとの対応関係は後半の対応表で整理しますが、まずは似た言葉が指す範囲に広い・狭いの差があると捉えておけば十分です。

日本証券業協会は、株式や社債といった有価証券をトークン化した側を、次のように定義しています。

第1項有価証券(金商法2条2項柱書に規定する有価証券表示権利)のうち、電子記録移転有価証券表示権利等に該当するもの。電子記録移転有価証券表示権利等とは、ブロックチェーン技術等による電子情報処理組織を用いて権利の移転・記録が行われるものをいう。

出典:トークン化有価証券|日本証券業協会

ここで出てくる「有価証券表示権利」は、株式や社債などに表示されるべき権利を指す金商法上の考え方で、証券が発行されていなくても有価証券とみなすという規定(金商法2条2項柱書)が根拠になります。難しく見えますが、平たくいえば「株や社債などをブロックチェーンでデジタル化したもの」を、法律の言葉で正確に表したものと捉えて差し支えありません。

出典・参考資料(2件)

暗号資産・従来の有価証券との違い|4類型の比較表で整理

ここからは、トークン化有価証券が、暗号資産や従来の有価証券とどう違うのかを整理します。混同しやすい4つを1枚の表で見比べられるようにしたうえで、要点を補足します。表に出てくる「電子記録移転権利」の詳しい意味は、次の章で整理します。

暗号資産との一番の違いは、トークン化有価証券が有価証券として金商法の対象になる点です。ビットコインのような暗号資産は資金決済法で扱われますが、株式や社債をデジタル化したトークン化有価証券は、投資家保護のための開示規制や業規制がかかる有価証券として位置づけられます。

実際、暗号資産を定義する資金決済法の条文には、有価証券にあたるものを暗号資産から除くという規定が置かれています。

この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利を表示するものを除く。

出典:資金決済に関する法律 第2条第14項|e-Gov法令検索

ここでいう「金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利」が、電子記録移転有価証券表示権利等、すなわちトークン化有価証券やその仲間にあたります。条文の側から、暗号資産と有価証券が明確に切り分けられていると読み取れます。

従来の有価証券(紙の証券や振替制度で管理されるもの)との違いは、発行・保有・移転をブロックチェーンで扱う点にあります。従来は証券保管振替機構などが集中的に管理してきた記録を、トークン化有価証券では発行体やその委託先が管理する仕組みへ置き換えられます。証券としての性質は保ちながら、記録の担い手と技術が変わると考えると分かりやすいでしょう。

種類裏付けとなる資産一項・二項の別主な根拠条文自主規制機関
トークン化有価証券株式・社債など(有価証券表示権利)第一項有価証券金商法2条2項柱書日本証券業協会
電子記録移転権利信託受益権・集団投資スキーム持分など第一項有価証券(2020年改正で一項化)金商法2条3項(原資産は2条2項各号)日本STO協会
暗号資産特定の資産の裏付けを持たない有価証券にあたらない資金決済法2条14項日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)
従来の有価証券(紙・振替)株式・社債・国債など第一項有価証券金商法2条1項日本証券業協会

※トークン化有価証券と電子記録移転権利は、いずれも「電子記録移転有価証券表示権利等」に含まれ、金商法の対象となります。

出典・参考資料(2件)

トークン化有価証券と電子記録移転権利の違い|一項有価証券と二項有価証券

同じセキュリティトークンでも、法令上は「トークン化有価証券」と「電子記録移転権利」に分かれます。ここが呼び名の混乱しやすいところなので、何を基準に分かれているのかを押さえておきましょう。

分かれ目は、トークンの裏付けとなる原資産の種類です。株式や社債など、もともと第一項有価証券にあたるものをトークン化したものが、トークン化有価証券(有価証券表示権利)です。一方、信託の受益権や集団投資スキーム持分など、もともと第二項有価証券(みなし有価証券)にあたるものをトークン化したものが、電子記録移転権利にあたります。

注意したいのは、電子記録移転権利が「第一項有価証券」として扱われる点です。この定義を置いているのは金商法2条3項で、電子情報処理組織を用いて移転できるなどの要件を満たすものを電子記録移転権利と定め、第一項有価証券に含めています。もとは第二項有価証券だった権利を第一項有価証券並みに扱う、というのが2020年改正の要点です。

技術的に流通を制限するなどして電子記録移転権利から除かれるものは、適用除外電子記録移転権利と呼ばれ、第二項有価証券のまま扱われます。

この3つの分類と、一項・二項の対応関係は、第二種金融商品取引業協会が次のように整理しています。

ブロックチェーン等の技術を用いて電子化(トークン化)した有価証券をセキュリティトークン(ST)といいます。STの裏付けとなる原資産が株式等の一項有価証券であるものを有価証券表示権利(トークン化有価証券)、集団投資スキーム持分等のみなし有価証券であるものを電子記録移転権利、取得者制限や譲渡制限を技術的に行うことで電子記録移転権利から除かれるものを適用除外電子記録移転権利といいます。

前2者は一項有価証券、最後のものは二項有価証券とされ、これらを電子記録移転有価証券表示権利等と総称します。

出典:電子記録移転有価証券表示権利等|第二種金融商品取引業協会

字面が似ていて混同しやすいため、総称と3つの区分の包含関係を図にすると、次のように整理できます。

電子記録移転有価証券表示権利等の包含関係を示す図。総称である電子記録移転有価証券表示権利等の中に、第一項有価証券としてトークン化有価証券(有価証券表示権利、原資産は株式・社債など、自主規制は日本証券業協会)と電子記録移転権利(原資産は信託受益権・集団投資スキーム持分など、2020年改正で一項化、自主規制は日本STO協会)が入り、第二項有価証券として適用除外電子記録移転権利(譲渡制限などで電子記録移転権利から除かれるもの)が入る。

自主規制機関も分かれています。株式・社債側のトークン化有価証券は日本証券業協会が、受益権・スキーム持分側の電子記録移転権利は日本STO協会が、それぞれ自主規制を担っています。同じセキュリティトークンでも、原資産の性質によって根拠条文と担い手が変わると理解しておくと、呼び名の使い分けに迷いにくくなります。

出典・参考資料(2件)

呼び名の対応|トークン化有価証券・セキュリティトークン・デジタル証券と法令語

日常的な呼び名と、法令上の位置づけの対応を一覧にすると、次のように整理できます。呼称が指す範囲は文脈によって多少ずれることがありますが、おおよその対応として押さえておくと読み違えを防げます。

日常語(呼び名)法令上の位置づけ主な出所
トークン化有価証券株・社債など第一項有価証券をトークン化したもの(有価証券表示権利、金商法2条2項柱書)日本証券業協会の自主規制用語
セキュリティトークン(ST)ブロックチェーン技術で電子化した有価証券の総称(電子記録移転有価証券表示権利等)第二種金融商品取引業協会ほか
デジタル証券セキュリティトークンとほぼ同義の一般的な呼称証券会社などの用語解説
電子記録移転有価証券表示権利等上記を総称する法令上の正式名称(内閣府令1条4項17号→金商法29条の2第1項8号)金融商品取引業等に関する内閣府令

トークン化有価証券の具体例とメリット

抽象的な説明が続いたので、実際に何がトークン化されているのかと、期待されるメリットを見ておきましょう。

これまでの発行は不動産を裏付けとするものが先行し、そこからデジタル社債や非上場株式など、対象とする資産が広がりつつあります。不動産であれば、オフィスビルや物流施設などの賃料収入を裏付けに小口化して発行する形が典型です。社債であれば、従来の社債発行の枠組みをブロックチェーン上で扱うデジタル社債として発行されます。

国内でも具体的な発行が公表されています。たとえば、丸井グループが個人向けに発行したデジタル債や、ソニー銀行と三井住友信託銀行による米ドル建てのデジタル証券などがその例です。

このうち社債をトークン化した「デジタル社債」については、国内企業の発行事例やメリット・デメリットを別の記事で詳しく解説しています。発行のイメージを具体的につかみたい方は、あわせてご覧ください。

メリットとして挙げられるのは、主に3つです。1つ目は小口化で、これまで最低投資額が大きかった資産を少額の単位に分けて発行しやすくなります。2つ目は流通性で、権利の移転をブロックチェーン上で記録することで、譲渡や管理の事務を効率化できる余地が生まれます。3つ目は資金調達手段の多様化で、発行体にとっては株式・社債に加えて新しい調達の選択肢が増えることが期待されます。

ただし、これらは制度としての可能性であり、実際の効果は発行スキームや市場の広がり方によって変わります。国内での取扱状況は自主規制機関が定期的に公表しているため、最新の動向を確認しながら検討するのが現実的です。

出典・参考資料(1件)

ここまでは発行する側の視点で整理してきましたが、発行された後にどこで売買されるのか(二次流通の場)や、個人投資家が購入できるのかといった投資家目線の論点は、以下の記事で解説しています。デジタル証券そのものの全体像を投資家目線でも押さえておきたい方の参考になります。

トークン化有価証券に関する法規制と根拠|2020年5月の金商法改正

結論からいえば、トークン化有価証券は有価証券として金商法の規制を受けます。発行時の開示や、取り扱う事業者への業規制が課される点が、暗号資産との大きな違いです。

この枠組みが整ったのが、2020年(令和2年)5月1日に施行された改正です。この改正で「電子記録移転権利」という概念が導入され(金商法2条3項)、受益権や集団投資スキーム持分をトークン化したものも、第一項有価証券並みの開示・業規制を受ける対象になりました。施行日は、次の金融庁の公表資料に記されています。

株式・社債などをトークン化したトークン化有価証券は、もともと第一項有価証券にあたります。改正で新たに位置づけが整理されたのは、主に電子記録移転権利(受益権・スキーム持分側)です。

本件の政令は、令和2年3月31日(火)に閣議決定、本日公布されており、同年5月1日(金)から施行されることとなります。

出典:令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案に対するパブリックコメントの結果等について|金融庁

規制の細かな適用範囲や、どこまでを一項有価証券並みに扱うかについては、過剰な規制になっていないかといった専門家の議論もあります。もっとも、発行を検討する立場でまず押さえるべきは、トークン化有価証券が金商法上の有価証券であり、発行・勧誘には相応の開示と業登録が関わってくる、という前提です。具体的にどの規制が自社に及ぶかは、発行するスキームや原資産によって変わるため、個別に確認する必要があります。

出典・参考資料(1件)

トークン化有価証券を発行するには|資金調達手段としての位置づけと発行支援

ここまでの内容を踏まえて、発行する側の視点で「何が必要になるのか」「誰に頼れるのか」を整理します。トークン化有価証券は、株式・社債に続く資金調達の選択肢になり得る一方で、発行には金商法上の規制対応や、権利をトークンとして扱う技術基盤が欠かせません。

発行までの流れは、おおまかに次のように整理できます。

  1. どの資産を、どの法的枠組み(発行スキーム)でトークン化するかを決める
  2. 金商法上の開示対応と、金融商品取引業の登録の要否を確認する
  3. 権利をトークンとして発行・管理する技術基盤(発行プラットフォーム)を選ぶ
  4. 投資家への募集・発行を行い、期中管理から償還までを運用する

発行の担い手と選択肢

発行を支える担い手は、役割で見るとおおむね3つに分けられます。

1つ目は、発行スキームの設計や規制対応を助言する発行支援コンサルティングです。どの法的枠組みで発行するか、どのライセンスが必要か、AML/CFT(マネー・ローンダリング対策)などの態勢をどう整えるかといった、制度面の設計を伴走します。2つ目は、トークンの発行から投資家管理・償還までを扱うST発行プラットフォームです。

権利の移転やコンプライアンスの制御を技術基盤として提供し、発行体が自社で募集を完結させたり、証券会社と連携して販売したりできるようにします。3つ目は、金融機関が中心となって整備する国内のST発行基盤で、たとえば三菱UFJ信託銀行が中心となって開発したProgmat(プログマ)や、野村グループが関わるBOOSTRYのibet for Finなどがあります。

実際の発行では、これらを組み合わせて進めることが少なくありません。規制対応を支援コンサルに委ね、発行の実装をプラットフォームや発行基盤に任せる、といった形です。ここからは、デジタル証券の発行を支える2つのサービスを取り上げます。まずは主な特徴を一覧で比較します。

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サービス名finojectセキュリティトークン(ST)/デジタル証券プラットフォームサービス
提供形態発行支援コンサル(伴走型)ST発行プラットフォーム(SaaS型)
主な支援内容ライセンス登録・規制対応
AML/CFT態勢・システム構築支援
発行・投資家管理・期中管理
償還までの技術基盤を提供
対応する発行スキーム要お問い合わせ自己募集/証券会社販売型
銀行募集型/デジタル特典付社債
不特法クラウドファンディング
主な実績・取引先日立製作所・NTTドコモ
野村ホールディングス 等
丸井グループ デジタル債
ソニー銀行×三井住友信託銀行 等
料金要お問い合わせ要お問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

finoject(株式会社finoject)

finojectの公式サイト

株式会社finojectは、暗号資産・ステーブルコイン・デジタル証券(セキュリティトークン)といったブロックチェーン金融の領域に特化した、実務型のコンサルティングを手がける会社です。代表の三根公博氏は、日本興業銀行を経て、bitFlyerホールディングスの代表取締役社長や日本暗号資産取引業協会の会長を務めた経歴を持ちます。

支援の中身は、各種ライセンスの登録支援、規制対応やコンプライアンス態勢の構築、AML/CFT態勢の構築、システム構築支援まで、発行体・事業者に伴走する形で提供されます。戦略の策定から現場の実装・規制準拠までを一貫して支える点に軸足があります。

デジタル証券の発行スキーム設計や受託発行といった具体的なメニューは、公式サイト上では明示されていません(2026年9月時点)。もっとも、ライセンス登録から態勢構築・システム構築までを一貫して伴走する体制は、規制対応の着手段階での相談先として活用できます。自社の発行構想にどこまで対応できるかは、個別の相談で確認するのが確実です。

発行に向けた規制対応や態勢構築をどのような考え方で進めるのか、代表の三根氏はインタビューで次のように述べています。

三根氏
株式会社finoject 代表取締役
三根氏
独自インタビューより

机上の整理で終わらせないことを最も重視しています。ライセンス取得はあくまでスタートラインであり、取得後に実際の業務が滞りなく回ることがゴールです。そのために、態勢構築の段階から実務を想定した設計を行い、マニュアルやフローを作って終わりではなく、実際に運用してみた際に起こりうる課題まで想定した仕組みづくりを心がけています。

セキュリティトークン(ST)/デジタル証券プラットフォームサービス(Securitize Japan株式会社)

セキュリティトークン/デジタル証券プラットフォームサービスの公式サイト

「セキュリティトークン(ST)/デジタル証券プラットフォームサービス」は、Securitize Japan株式会社が提供する、デジタル証券の発行から期中管理・償還までを一体で扱うSaaS型のプラットフォームです。米国のSecuritize, Inc.が開発した基盤を、日本の法制度・商慣習に合わせて日本法人が提供しています。

対応する募集の形は5種類にわたります。具体的には、発行体の自社サイトで完結する自己募集、証券会社の画面から購入できる証券会社販売型、銀行募集型、デジタル特典付社債、不動産特定共同事業法に対応した不特法クラウドファンディングです。株式・社債・不動産小口化商品などをトークン化し、投資家の本人確認(KYC/AML)から権利移転の管理までを扱えます。

導入面では、丸井グループのデジタル債や、ソニー銀行と三井住友信託銀行による米ドル建てデジタル証券などの発行実績が公表されています。親会社のSecuritize, Inc.は、2026年7月にニューヨーク証券取引所へ上場しました。

まとめ

トークン化有価証券とは、株式や社債などの有価証券を、ブロックチェーン上で発行・管理できるようにデジタル化したものです。法律上は「電子記録移転有価証券表示権利等」と呼ばれ、暗号資産とは異なり金商法の対象となる点が核心にあります。

同じセキュリティトークンでも、株・社債系のトークン化有価証券と、受益権・スキーム持分系の電子記録移転権利に分かれ、根拠条文や自主規制機関が変わります。2020年5月の改正で電子記録移転権利が第一項有価証券として扱われるようになった経緯を押さえると、分類の理由も理解しやすくなります。

発行を資金調達の手段として検討する場合は、規制対応を支援するコンサルティングと、発行から管理までを担うプラットフォームや発行基盤を、目的に応じて組み合わせるのが基本です。具体的な支援範囲や費用は各社で異なるため、まずは資料を取り寄せて比較するところから始めてみてください。

トークン化有価証券に関するよくある質問(FAQ)

Q. トークン化有価証券とは何ですか?

A. トークン化有価証券とは、株式や社債などの有価証券を、ブロックチェーン上で発行・管理できるようにデジタル化したものです。法律上は「電子記録移転有価証券表示権利等」に含まれ、暗号資産とは異なり金融商品取引法(金商法)の対象になります。日常では「セキュリティトークン(ST)」「デジタル証券」とも呼ばれ、これらはおおむね同じ対象を指す呼称です。

出典・参考資料(2件)

Q. トークン化有価証券とセキュリティトークン・デジタル証券は同じものですか?

A. おおむね同じ対象を別の言葉で呼んだものです。「セキュリティトークン(ST)」「デジタル証券」は、ブロックチェーンで電子化した有価証券を指す一般的な呼称で、このうち株式・社債などをトークン化した側を、日本証券業協会が自主規制上の用語として「トークン化有価証券」と呼んでいます。

呼び名が指す範囲は文脈によって多少ずれることがありますが、まずは同じものを別の言葉で呼んでいると捉えておけば読み違えを防げます。

Q. トークン化有価証券と暗号資産(ビットコインなど)は何が違いますか?

A. 最大の違いは、トークン化有価証券が有価証券として金商法の対象になるのに対し、暗号資産は資金決済法で扱われる点です。そのため、トークン化有価証券には投資家保護のための開示規制や業規制がかかります。資金決済法2条14項のただし書きは、金商法上の権利を表示するものを暗号資産から除いており、条文の側からも有価証券と暗号資産が明確に切り分けられています。

出典・参考資料(2件)

Q. トークン化有価証券と電子記録移転権利の違いは何ですか?

A. 裏付けとなる原資産の種類で分かれます。株式・社債など第一項有価証券をトークン化したものがトークン化有価証券、信託受益権や集団投資スキーム持分など第二項有価証券(みなし有価証券)をトークン化したものが電子記録移転権利です。電子記録移転権利は、金商法2条3項によって第一項有価証券として扱われる点が特徴で、2020年の改正で開示・業規制が一項有価証券並みに課されるようになりました。

自主規制機関も、トークン化有価証券は日本証券業協会、電子記録移転権利は日本STO協会と分かれています。

出典・参考資料(1件)

Q. トークン化有価証券にはどのような資産をトークン化できますか?

A. 不動産・社債・非上場株式などが主な対象です。これまでは不動産を裏付けとする発行が先行し、そこからデジタル社債や非上場株式へと対象が広がりつつあります。不動産であればオフィスビルや物流施設などの賃料収入を裏付けに小口化して発行する形が典型で、社債であれば従来の社債をブロックチェーン上で扱うデジタル社債として発行されます。

国内の取扱状況は自主規制機関が定期的に公表しているため、最新の動向を確認しながら検討するのが現実的です。

Q. トークン化有価証券を発行するメリットは何ですか?

A. 発行体にとっては、小口化・流通性の向上・資金調達手段の多様化の3つが主に期待されます。これまで最低投資額が大きかった資産を少額の単位に分けて発行しやすくなり、権利の移転をブロックチェーン上で記録することで譲渡・管理の事務を効率化できる余地が生まれます。株式・社債に続く新しい調達の選択肢が増える点も利点です。

ただし、これらは制度としての可能性であり、実際の効果は発行スキームや市場の広がり方によって変わります。

Q. トークン化有価証券を発行するには、どのような登録・ライセンスが必要ですか?

A. 発行や勧誘には金商法上の開示対応と金融商品取引業の登録が関わり、求められる対応はスキームや原資産、募集の方法によって異なります。発行体が自ら募集を行うか、登録を受けた証券会社などに販売を委託するかによっても、必要な態勢は変わります。

トークン化有価証券は金商法上の有価証券であるという前提だけは共通するため、具体的にどの規制が自社に及ぶかは、発行スキームを固める段階で個別に確認する必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. トークン化有価証券の発行を支援してくれる委託先は、どう選べばよいですか?

A. 支援の担い手は役割で「規制対応を助言する発行支援コンサルティング」「発行から投資家管理・償還までを担うST発行プラットフォーム」「金融機関が整備するST発行基盤」の3つに大別でき、自社に足りない機能から逆算して選ぶのが基本です。発行スキームの設計やライセンス・AML/CFT態勢づくりから任せたいのか、権利をトークンとして扱う技術基盤が必要なのかで、頼るべき相手が変わります。

実務では、規制対応を支援コンサルに委ね、発行の実装をプラットフォームや発行基盤に任せるといった形で組み合わせて進めることが少なくありません。まずは各社の支援範囲を資料で見比べ、自社の発行構想に合う相手を絞り込むとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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