ステーブルコインをめぐる規制の整備や、DCJPY・トチカといった銀行系デジタルマネーの実用化が相次ぐなかで、「トークン化預金」という言葉を目にする機会が増えています。金融や決済に関するニュース・レポートでは前提のように使われますが、ステーブルコインとの違いを含めて正確に説明できる場面は多くありません。
本記事では、トークン化預金とは何かを整理し、ステーブルコインやCBDC(中央銀行デジタル通貨)との違いを比較表で確認します。あわせて、注目される理由(24時間決済・DVP・自動化)、預金であるがゆえの法的な位置づけと破綻時の保護、国内外の実装事例までを整理します。
目次
一括ダウンロードする
トークン化預金とは
トークン化預金とは、銀行に預けた預金(銀行に対する預金債権)を、ブロックチェーンや分散型台帳技術(DLT)を使ってトークンとして記録し、移転できるようにしたデジタルマネーです。「預金トークン」と呼ばれることもあります。券面としてのトークンが価値の実体なのではなく、あくまで銀行への預金債権が本体であり、その預金をデジタル化して扱いやすくしたもの、という点が特徴です。
トークン化預金の代表例である、民間銀行を発行主体とするデジタル通貨「DCJPY」は、その仕組みを次のように説明しています。
経済を支える重要なインフラとなっているものとして銀行預金がありますが、これにブロックチェーンや分散台帳技術といった技術を応用し、デジタル「トークン」化するものとして「デジタル預金」があります。この銀行預金をトークン化したデジタル預金こそがデジタル通貨DCJPYです。
出典:デジタル通貨DCJPY|ディーカレットDCP
仕組みの面では、トークンをやり取りすることが、銀行に記録された預金債権の額を電子的に増減させることに対応します。資金の保管や移転は、従来の銀行預金と同じ扱いになります。

銀行法でも、電子決済等取扱業の定義のなかで、銀行の委託を受けて預金債権(預金契約に基づく債権)の額を電子的な方法で増減させる行為が位置づけられており、トークンの移転が預金そのものの移転として扱われる構造になっています。
この「トークンではなく預金債権が本体である」という理解は、国際決済銀行(BIS)が用いる「トークン化された商業銀行預金(tokenised commercial bank deposits)」という表現とも一致しています。
出典・参考資料(4件)
トークン化預金とステーブルコイン・CBDCの違い
トークン化預金が最も混同されやすいのが、ステーブルコインとCBDC(中央銀行デジタル通貨)です。3つはいずれも「価値が安定したデジタルマネー」という点で共通しますが、誰が発行するのか、価値を何が裏付けるのか、破綻時に保護されるのか、といった点で大きく異なります。まずは全体像を比較表で確認します。
| 3つのデジタルマネーの違い | トークン化預金 | ステーブルコイン | CBDC(中央銀行デジタル通貨) |
|---|---|---|---|
| 発行主体 | 銀行 | 銀行・資金移動業者・信託会社 | 中央銀行 |
| 価値の裏付け | 銀行預金(預金債権そのもの) | 法定通貨などの資産(発行者が保全) | 中央銀行マネー(それ自体が最終的な決済手段) |
| 預金保険・破綻時の保護 | 預金として保護の対象。決済用預金の要件を満たせば全額、利息の付く通常の預金型は1金融機関あたり1,000万円+利息まで | 預金保険の対象外。発行形態に応じた資産保全・分別管理などで保護 | 中央銀行の負債で信用リスクは極めて小さい(預金保険の枠組みとは別) |
| 法的な位置づけ | 預金債権(銀行法・預金保険法) | 電子決済手段(資金決済法) | 中央銀行の負債(発行には法整備が前提。日本は未発行で実証段階) |
| 主な利用範囲 | 銀行内・銀行間の送金、企業間決済、証券決済(DVP)など | 不特定の相手への送金・決済、web3・DeFiでの利用など | 一般利用型・大口決済型が構想される |
※上記は各デジタルマネーの一般的な位置づけを整理したものです。個別の商品・プロジェクトによって設計や取り扱いは異なるため、詳細は各発行主体の公表情報をご確認ください。
最大の違いは発行主体と価値の裏付けです。トークン化預金は銀行が発行し、その価値は銀行預金(預金債権)そのものです。一方ステーブルコインは、銀行に限らず資金移動業者や信託会社も発行でき、価値は発行者が別途保全する法定通貨などの資産で裏付けられます。CBDCは中央銀行が発行するデジタル通貨で、日本では日本銀行が実証実験を行う段階にあり、一般向けには発行されていません(2026年9月時点)。
法的な位置づけも異なります。ステーブルコインは、2023年6月に施行された改正資金決済法で新たに定められた「電子決済手段」に位置づけられます。これに対しトークン化預金は、電子決済手段ではなく銀行の預金債権そのものであり、銀行法・預金保険法という預金の枠組みで扱われます。この違いが、次に述べる破綻時の保護の差につながります。
ステーブルコイン・CBDCではなくトークン化預金が担う役割
3つが並び立つのは、それぞれ担う役割が異なるためです。トークン化預金は、企業や個人が日常的に使う銀行預金をそのままデジタル化する点に特徴があり、既存の預金と同じ信用・保護の枠組みを保ったまま、ブロックチェーン上での送金や自動化を可能にします。
ステーブルコインは銀行以外も発行でき、不特定の相手への送金やweb3サービスとの連携に向きます。CBDCは中央銀行マネーそのものをデジタル化するもので、これらの土台となる決済手段です。
役割が分かれるのは、銀行預金ならではの機能があるためです。ステーブルコインは発行額を要求払預金などで保全する設計が基本で、集めた資金を貸し出しに回す信用創造の機能は担いません。一方、トークン化預金は預金のままなので、銀行の与信・信用創造の機能を保ったまま決済をデジタル化できます。ステーブルコインやCBDCが広がっても預金のトークン化が別途求められるのは、この違いが理由です。
国際決済銀行(BIS)は、トークン化された商業銀行預金と、トークン化された中央銀行マネーを、共通の基盤(統一台帳、Unified Ledger)の上で統合する構想を掲げ、日本銀行を含む7つの中央銀行が参加する実証プロジェクト「Project Agorá」を進めています。トークン化預金は、こうした将来の決済基盤の一部として、中央銀行マネーやステーブルコインと役割を分担しながら位置づけられています。
比較表で並べたCBDC(中央銀行デジタル通貨)そのものについて掘り下げたい場合は、仕組みや各国の導入・実証状況を解説した以下の記事もあわせてご覧ください。
トークン化預金が注目される理由(メリット)
ここからは、トークン化預金が注目される理由を、仕組みの面から具体的に見ていきます。従来の銀行送金にはない、いくつかの利点があります。
1つ目は、24時間365日の即時決済です。従来の銀行間送金は、銀行の営業時間や決済システムの稼働時間に制約されてきました。トークン化預金はブロックチェーン上で預金債権を移転するため、時間帯や曜日を問わず、送金と着金をほぼ即時に完了できます。企業にとっては、夜間や休日でも資金を動かせることで、資金効率の改善につながります。
2つ目は、DVP(証券と資金の同時決済)です。DVPとは、証券の引渡しと代金の支払いを相互に条件づけ、一方が行われない限り他方も行われないようにする仕組みです。日本銀行は次のように説明しています。
DVPとは、Delivery Versus Payment の略で、証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を相互に条件を付け、一方が行われない限り他方も行われないようにすることをいいます。これは、証券決済において、資金(または証券)を渡したにもかかわらず、取引相手からその対価となる証券(または資金)を受け取れないという「取りはぐれ」リスクを回避するための方法・仕組みです。
出典:教えて!にちぎん「DVPとは何ですか?」|日本銀行
トークン化預金を使うと、資金(預金)とセキュリティトークン(デジタル化された証券)を同じ基盤の上で条件づけて動かせるため、証券と資金の受け渡しを取りはぐれなく同時に完了できます。後述するSBI証券とディーカレットDCPの実証は、このDVP決済を国内で検証した事例です。

3つ目は、スマートコントラクトによる決済の自動化です。あらかじめ定めた条件が満たされたら自動的に支払いを実行する、といった処理をプログラムとして組み込めます。これにより、企業間取引での支払い条件の自動執行や、複数の取引をまとめて処理する決済など、従来は人手や個別のシステム開発を要した処理を効率化できる可能性があります。
出典・参考資料(1件)
ここで登場したセキュリティトークン(デジタル化された証券)のように、証券や不動産などの資産をブロックチェーン上でトークン化する仕組みは「RWA(現実資産のトークン化)」と呼ばれます。その全体像や金融商品への応用事例は、以下の記事で解説しています。
トークン化預金の法的な位置づけと破綻時の保護
トークン化預金を実務で検討するうえで避けて通れないのが、法的な位置づけと、万一発行銀行が破綻したときの保護です。ここでは、誰が発行できるのか、破綻時に預金保険で守られるのかを整理します。
発行できるのは銀行です。トークン化預金は預金債権そのものであるため、預金を受け入れられる銀行が発行主体となります。銀行法は、銀行の委託を受けて預金債権の額を電子的に増減させる行為を「電子決済等取扱業」として定めており、トークンの移転が預金の移転として扱われる法的な裏付けになっています。この点が、資金移動業者や信託会社も発行できるステーブルコインとの違いです。
破綻時には、預金として預金保険の対象になり得ます。トークン化預金は預金債権であるため、預金保険制度の枠組みに入ります。ただし「必ず全額が保護される」わけではない点に注意が必要です。預金保険機構は保護の範囲を次のように説明しています。
預金保険で保護される預金等の額は、預金保険による保護の対象となる預金等のうち、決済用預金(無利息、要求払い、決済サービスを提供できること、という3要件を満たす預金)は全額、それ以外の預金等(「一般預金等」といいます)は1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等です
出典:預金保険制度の概要(保護の範囲)|預金保険機構
具体的には、そのトークン化預金が無利息・要求払いなどの「決済用預金」の要件を満たせば全額が保護され、利息の付く通常の預金型であれば、1金融機関あたり預金者1人あたり元本1,000万円とその利息までが保護の上限になります。
また、この1,000万円の上限は、同じ銀行にある預金をすべて合算(名寄せ)したうえで判定されます。一般預金型のトークン化預金も、その銀行にある通常の預金と合算して名寄せの対象になるため、既存の預金とは別枠で1,000万円が上乗せされるわけではない点には注意が必要です。
どちらに当たるかは、その商品がどう設計されるかによって変わります(DCJPYなど実在するサービスがどちらに該当するかも、各商品の設計次第です)。破綻時の保護の考え方自体は、一般の銀行預金と同じ枠組みで捉えられる、と整理できます。
出典・参考資料(4件)
一括ダウンロードする
トークン化預金の国内外の実装事例
トークン化預金は構想段階にとどまらず、国内外で実装・実証が進んでいます。ここでは代表的な事例を紹介します。
国内の事例:DCJPY、北國銀行トチカ、SBI証券のST決済実証
DCJPYは、民間銀行を発行主体とする、銀行預金をトークン化したデジタル通貨です。運営するディーカレットDCPは、事業者がサービスを展開するビジネスゾーンと、銀行が運営するフィナンシャルゾーンという2つのブロックチェーンで基盤を構成しています。
この基盤(プラットフォーム)は「DCP」と呼ばれます(2026年7月にDCJPYネットワークから名称変更。社名のディーカレットDCPとは別で、基盤の名称です)。
DCJPYは実用化に向けた実証が段階的に進む状況にあり、後述するSBI証券とディーカレットDCPによるセキュリティトークン決済の実証でも、決済に用いるデジタル通貨として使われています。
北國銀行の「トチカ」は、北國銀行が発行主体となる、日本初の預金型ステーブルコインとして2024年4月1日に提供が始まりました。トチカは、Digital Platformerと共同で提供するデジタル地域通貨サービスを基盤としています。
ここで注意したいのは、銀行が発行するデジタルマネーの呼び方は各社で異なる点です。トークン化預金・預金型ステーブルコイン・デジタル通貨などの呼称があり、名称だけで法的な枠組みが決まるわけではありません。
判断の軸になるのは、預金を裏付けに銀行が発行しているかどうかです。トチカは呼称こそ「預金型ステーブルコイン」ですが、この軸では銀行発行型のデジタルマネーであり、預金をデジタル化する取り組みの国内事例に位置づけられます。
SBI証券とディーカレットDCPは、2026年4月に「国内初のトークン化預金によるセキュリティトークン決済」の実発行検証を完了したと発表しました。トークン化預金DCJPYを使い、セキュリティトークン(ST)を資金と同時に受け渡すDVP決済を実証したもので、SBI証券は次のように説明しています。
これにより、デジタル通貨を活用したSTのDVP決済の実現可能性と、商用化に向けた実務上の課題を具体的に把握することができました。
出典:国内初のトークン化預金によるセキュリティトークン決済の実発行検証の完了のお知らせ|SBI証券
この事例は実証(実発行検証)の完了であり、商用化はこれからの段階です。トークン化預金が構想にとどまらず、証券決済という具体的な用途で検証されていることを示す一方で、実用化には実務上の課題が残ることも同時に示しています。
出典・参考資料(3件)
海外の事例:JPモルガンのJPM Coin、BISのProject Agorá
海外では、JPモルガンが預金トークン「JPM Coin」を提供しています。JPM Coinは商業銀行マネー(銀行預金)を裏付けとするデジタルマネーで、現状は米ドル建て・機関投資家向けに、公開ブロックチェーン上で送金や決済に利用できます。同社はブロックチェーン部門を2024年に「Kinexys」へ改称し、JPM Coinをその決済サービスの一部として位置づけています。
米シティグループも、法人顧客の預金をトークン化した「Citi Token Services」を提供しています。24時間365日の国際送金や流動性管理に使え、米国・英国・シンガポール・香港などの金融拠点で稼働しています。JPモルガンと同じく、既存の銀行預金を裏付けとする商業銀行マネーのトークン化を、機関投資家・法人向けの決済で実用化している例です。
国際的な取り組みとしては、先に「担う役割」で触れたBISのProject Agorá(日本銀行を含む7つの中央銀行が参加)があり、トークン化された商業銀行預金を中央銀行マネーと組み合わせる検証が進んでいます。トークン化預金は、こうした国際的な次世代決済基盤の議論でも中心的なテーマの1つです。
出典・参考資料(3件)
トークン化預金の課題と注意点
実用化に向けては、いくつかの課題も指摘されています。導入を検討する際に押さえておきたい論点を整理します。
支払いが完了する時点の明確化が論点の1つです。トークンが移転する時点、預金債権が増減する時点、銀行の勘定系システムに反映される時点は理論上ずれる可能性があり、どの時点で支払いが完了したものとして扱うのか(ファイナリティ)を、契約や制度の面で明確にしておく必要があります。
日本銀行はファイナリティのある決済を、受け取ったお金が後で消えたりせず、行われた決済が後から取り消されない決済と説明しており、トークン化預金でもこの確実性をどう担保するかが問われます。
相互運用性と標準化、段階的な導入も課題です。銀行ごと・基盤ごとにトークン化預金が乱立すると、異なる銀行間での移転や、他のデジタルマネーとの連携が難しくなります。前述の統一台帳の構想は、この相互運用性を確保しようとする動きの1つです。また、既存の銀行システムを一度に置き換えるのではなく、現行のインフラと共存させながら段階的に導入していく現実的なアプローチが、実務では模索されています。
自社の決済・資金管理とデジタルマネーの活用
トークン化預金は銀行が発行するため、事業会社が自ら発行することはできません。ただし、その周辺にあるデジタルマネー(ステーブルコインなど)は、事業会社も発行や活用に関与できます。
デジタルマネーに関わる新規事業を規制と実装の両面から検討するなら、伴走してくれる専門コンサルが相談先になります。自社の決済に今すぐ取り込むなら、実在する国内の円建てデジタルマネーが選択肢です。ここでは、性質の異なる2つのサービスを紹介します。
| 自社のデジタルマネー活用を支える2つの選択肢 | finoject | 日本円ステーブルコインJPYC |
|---|---|---|
| 提供形態 | コンサルティング(伴走支援) | 円建てステーブルコイン(デジタルマネーそのもの) |
| 立場・法的な位置づけ | Web3金融領域に特化した専門コンサル(発行・活用を支援する相談先) | 資金移動業者による発行体(電子決済手段。関東財務局長第00099号) |
| 向いている企業・用途 | デジタルマネー関連の新規事業を、規制と実装の両面から検討し始めた企業 | 自社の決済・送金に、今すぐ使える国内の円建てデジタルマネーを取り込みたい企業 |
| 主な提供内容 | ライセンス登録支援・規制/AML・CFT態勢構築・システム構築支援を一気通貫で提供 | JPYCの発行・償還、決済への導入に向けた協業(社会実装) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
finoject(株式会社finoject)

finojectは、ステーブルコイン・暗号資産・デジタル証券などWeb3金融領域に特化した実務型のコンサルティングを提供する会社です。発行スキームの設計から、各種ライセンスの登録支援、規制対応やAML・CFT態勢の構築、システム構築の支援まで、デジタルマネーの発行や活用に踏み出す事業者を一気通貫で伴走します。
特徴は、上流の規制対応だけでなく、取得したライセンスのもとで実際に業務が回る態勢まで見据えて設計する点です。ライセンス取得をゴールにせず、取得後の運用まで落とし込むことを重視しており、「まだ何も分からない」という相談段階から、設計・当局対応・導入・運用開始までを支援します。デジタルマネーに関わる新規事業を、規制と実装の両面から検討し始めた企業にとって、相談相手となるサービスです。
ライセンスを取得した後に業務が実際に回る態勢をどう作るかについて、同社代表取締役の三根氏は次のように述べています。

机上の整理で終わらせないことを最も重視しています。ライセンス取得はあくまでスタートラインであり、取得後に実際の業務が滞りなく回ることがゴールです。そのために、態勢構築の段階から実務を想定した設計を行い、マニュアルやフローを作って終わりではなく、実際に運用してみた際に起こりうる課題まで想定した仕組みづくりを心がけています。ここが、テンプレート的な支援との一番の違いだと思います。
ステーブルコインの発行そのものを検討する段階に進む場合は、発行の種類や規制、発行支援サービスの選び方までを体系的にまとめた以下の記事が参考になります。
ステーブルコイン発行とは?種類・規制からおすすめ発行支援サービスの比較・選び方まで解説
「自社で円建てのステーブルコインを発行したい」「決済や送金にステーブルコインを活用したい」。改正資金決済法の施行や、JPYC・大手金融機関の相次ぐ参入を受けて、こうした検討を始める企業が増えています。 ただし、ステーブルコインの発行は誰でも…
日本円ステーブルコインJPYC(JPYC株式会社)

JPYCは、常に1JPYC=1円で取引される日本円建てのステーブルコインです。発行するJPYC株式会社は、資金移動業者(関東財務局長第00099号、2025年8月18日登録)として、改正資金決済法上の電子決済手段に該当する円建てステーブルコインを国内で初めて正式に発行した事業者です。発行は2025年10月27日に開始されました。
トークン化預金とは異なる「ステーブルコイン」の実例として、本記事で解説した違いを具体的に確認できる存在でもあります。
発行残高の100%以上を日本円資産(預貯金・国債)で保全し、1JPYC=1円での発行・償還を制度的に担保しています。Ethereum・Polygon・Avalancheなど複数のブロックチェーンに対応し、事業者が自前で決済基盤を構築しなくてもJPYC決済を導入できる協業(社会実装)も進めています。
自社の決済・送金に、今まさに使える国内の円建てデジタルマネーを取り込みたい企業にとって、具体的な選択肢となります。
JPYCのようなステーブルコインを自社の決済に実際に取り込みたい場合は、法人向けの暗号資産・ステーブルコイン決済サービスを、手数料や適法性、選び方の観点で比較した以下の記事も役立ちます。
まとめ
トークン化預金とは、銀行預金(預金債権)をブロックチェーン上でトークンとして記録・移転できるようにしたデジタルマネーです。銀行が発行し、価値は銀行預金そのものである点が、資金移動業者なども発行できるステーブルコインや、中央銀行が発行するCBDCとの違いです。
預金であるため預金保険の枠組みで保護され、24時間決済・DVP・自動化といった利点から、証券決済や企業間決済での活用が国内外で実証されています。
一方で、支払い完了時点の明確化や相互運用性の確保など、実用化に向けた課題も残ります。自社の決済・資金管理にデジタルマネーをどう取り込むかを検討する際は、本記事で整理した違いと法的な位置づけを踏まえ、規制対応や実装を支援するサービスも活用しながら進めるとよいでしょう。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. トークン化預金とは何ですか?
A. トークン化預金とは、銀行預金(預金債権)をブロックチェーンや分散型台帳技術でトークンとして記録・移転できるようにしたデジタルマネーです。「預金トークン」とも呼ばれ、トークン自体が価値の実体なのではなく、銀行への預金債権が本体である点が特徴です。トークンをやり取りすることが、銀行に記録された預金債権の額を電子的に増減させることに対応します。
Q. トークン化預金とステーブルコインの違いは何ですか?
A. トークン化預金とステーブルコインの最大の違いは、発行主体と法的な位置づけです。トークン化預金は銀行が発行する預金債権そのものであるのに対し、ステーブルコインは銀行のほか資金移動業者や信託会社も発行でき、法的には「電子決済手段」に位置づけられます。
トークン化預金は銀行法・預金保険法という預金の枠組みで、ステーブルコインは改正資金決済法(2023年6月施行)で扱われます。この違いから、預金保険の対象になるかどうかも変わります。
Q. トークン化預金とCBDCの違いは何ですか?
A. トークン化預金とCBDCの違いは、発行主体が民間銀行か中央銀行かという点です。トークン化預金は民間銀行が預金を裏付けに発行するのに対し、CBDC(中央銀行デジタル通貨)は中央銀行が発行する、それ自体が最終的な決済手段となるデジタル通貨です。日本ではCBDCは一般向けには発行されておらず、日本銀行が実証実験を行う段階にあります(2026年9月時点)。
Q. トークン化預金は預金保険の対象になりますか?破綻時はどうなりますか?
A. トークン化預金は預金債権であるため、預金保険制度の対象になり得ます。ただし必ず全額が保護されるわけではなく、無利息・要求払いなどの「決済用預金」の要件を満たせば全額、利息の付く通常の預金型であれば1金融機関あたり預金者1人あたり元本1,000万円とその利息までが保護の上限です。どちらに当たるかはその商品の設計によって変わり、破綻時の保護の考え方は一般の銀行預金と同じ枠組みで捉えられます。
出典・参考資料(2件)
Q. トークン化預金は誰が発行できますか?
A. トークン化預金を発行できるのは、預金を受け入れられる銀行です。トークン化預金は預金債権そのものであるため、銀行が発行主体となります。銀行法は、銀行の委託を受けて預金債権の額を電子的に増減させる行為を「電子決済等取扱業」として定めており、これがトークンの移転を預金の移転として扱う法的な裏付けになっています。資金移動業者や信託会社も発行できるステーブルコインとは、この点が異なります。
Q. トークン化預金にはどんなメリットがありますか?
A. トークン化預金の主なメリットは、24時間365日の即時決済・DVP(証券と資金の同時決済)・スマートコントラクトによる決済の自動化の3点です。ブロックチェーン上で預金債権を移転するため時間帯や曜日を問わず送金・着金でき、証券と資金を取りはぐれなく同時に受け渡すDVPや、条件を満たすと自動的に支払いを実行する処理も可能になります。企業にとっては、資金効率の改善や決済業務の効率化につながります。
Q. トークン化預金は日本で使えますか?国内の事例はありますか?
A. 日本でもトークン化預金の実装・実証が進んでいます。代表例は民間銀行を発行主体とするデジタル通貨「DCJPY」で、2026年4月にはSBI証券とディーカレットDCPが国内初のトークン化預金によるセキュリティトークン決済の実発行検証を完了しました。北國銀行の「トチカ」も、銀行が預金を裏付けに発行するデジタルマネーの国内事例です。ただし多くは実証段階で、本格的な商用化はこれからの段階にあります。
ステーブルコイン・RWA発行支援サービスの料金・手数料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、ステーブルコイン・RWA発行支援に関するサービスの資料をまとめて請求できます。デジタルマネーの発行・活用や規制対応を検討する際の比較・検討にご活用ください。資料ダウンロードは無料です。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















