紙で受け取った請求書や領収書をスキャンして電子データで保存し、できれば紙の原本は処分したい——そう考えたときにまず確認したいのが、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」制度です。スキャナ保存には解像度やタイムスタンプ、検索といった保存要件が定められており、要件を満たさないまま原本を廃棄すると、税務調査の際に保存方法が認められないおそれがあります。
制度は2022年(令和4年)1月と2024年(令和6年)1月の改正で段階的に要件が緩和され、以前より導入しやすくなりました。一方で「解像度の要件が不要になった」といった情報も見かけるため、結局いま何を満たせばよいのかが分かりにくくなっている面もあります。
本記事では、電子帳簿保存法のスキャナ保存について、2026年時点で満たすべき要件を数値つきで整理し、対象となる書類の区分、スキャン後に紙の原本を廃棄してよい条件、そして要件を満たすための進め方までを解説します。
目次
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スキャナ保存とは(電子帳簿保存法の3区分)
スキャナ保存とは、紙で受け取ったり自社で作成したりした請求書・領収書などの国税関係書類を、スキャナで読み取った電子データで保存し、紙の原本の保存に代える制度です。電子帳簿保存法では、電子データによる保存を大きく3つの区分に分けています。
- 電子帳簿等保存:会計ソフトなどで自社が最初から電子的に作成した帳簿・書類を、そのまま電子データで保存する
- スキャナ保存:紙で受け取った・作成した書類をスキャナで読み取り、電子データで保存する
- 電子取引データ保存:最初から電子でやりとりした取引情報(メール添付のPDF請求書など)を電子データのまま保存する

このうちスキャナ保存の根拠となるのが、電子帳簿保存法第4条第3項です。同項では、国税関係書類に記載された事項をスキャナで電磁的記録に記録する場合、その電磁的記録の保存をもって紙の書類の保存に代えることが「できる」と定められています。
前項に規定するもののほか、保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)の全部又は一部について、当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第4条第3項|e-Gov法令検索
ここでいう「財務省令で定める装置」が、同法施行規則第2条第5項で「スキャナとする」と規定されています。スキャナ保存は、紙の国税関係書類をスキャナで読み取った電子データによって原本の保存に代えられる制度で、義務ではなく、要件を満たせば選択できる保存方法である点が特徴です。
スキャナ保存と「電子取引データ保存」の違い
混同しやすいのが、スキャナ保存と電子取引データ保存の違いです。区別の軸は、その書類がもともと紙か電子かにあります。取引先から郵送された紙の請求書をスキャンして保存するのがスキャナ保存、メールに添付されたPDFの請求書をそのままデータで保存するのが電子取引データ保存です。
両者は法律上の位置づけも異なります。スキャナ保存は第4条第3項で紙の保存に「代えることができる」とされる任意の方法ですが、電子取引データ保存は第7条で「保存しなければならない」と義務づけられています。電子でやりとりした取引情報は、紙に印刷して保存する方法が原則認められず、電子データのまま保存する必要があります。
出典・参考資料(1件)
スキャナ保存の要件(2026年時点)
スキャナ保存で満たすべき要件は、大きく「解像度・カラー」「タイムスタンプ」「検索機能」「入力期間」の4つに整理できます。以下は、2026年時点で満たすべき現行の要件をまとめたものです。
| スキャナ保存の主な要件 | 解像度・カラー | タイムスタンプ | 検索機能 | 入力期間 |
|---|---|---|---|---|
| 内容 | 200dpi以上で読み取る。カラーは赤・緑・青それぞれ256階調(24ビットカラー)以上(一般書類はグレースケール可) | 総務大臣が認定する時刻認証業務のタイムスタンプを付与。訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムでの代替も可 | 取引年月日・取引金額・取引先で検索できる。税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合は、範囲指定検索と複合検索は不要 | 早期入力:おおむね7営業日以内/業務処理サイクル:最長2か月+おおむね7営業日以内(事務処理規程の整備が前提) |
| 根拠 | 施行規則第2条第6項第2号イ/第7項 | 施行規則第2条第6項第2号ロ・ハ | 施行規則第2条第6項第5号 | 施行規則第2条第6項第1号・国税庁一問一答 問23 |
※2026年9月時点の電子帳簿保存法・同法施行規則・国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)にもとづきます。
この4つに加えて、保存したデータをいつでも確認・出力できる状態にしておくための「備付け」要件が2つあります。
1つは見読可能装置の備付けです。14インチ(映像面の最大径が35cm)以上のカラーディスプレイとカラープリンタ、これらの操作説明書を備え付ける必要があります。保存したデータは、整然とした形式かつ書面と同程度に明瞭な状態で、画面・書面に速やかに出力できるようにしておきます(拡大・縮小や4ポイントの大きさの文字の判読ができることも含みます)。
もう1つはシステム関係書類等の備付けです。使用するシステムの操作説明書と、受領から保存までの事務手続を明らかにした書類(事務処理規程・マニュアル)を備え付けます。システムの概要書・開発関係書類は、自社でプログラムを開発して使う場合に限って必要です。
見読可能装置は一般的なパソコンとカラープリンタの環境で満たせ、操作説明書は製品のマニュアルで代えられます。一方、事務手続を明らかにした書類は利用者が自分で整備する必要があり、対応システムを導入してもこの書類の備付けが不要になるわけではありません。
出典・参考資料(2件)
解像度・カラーの要件
スキャンする際の解像度は200dpi以上、カラーは赤・緑・青それぞれ256階調(あわせて約1,677万色の24ビットカラー)以上で読み取ることが求められます。施行規則では、日本産業規格にもとづく一般文書のスキャニング時の解像度として、次のように定められています。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 第2条第6項第2号イ|e-Gov法令検索
- (1)解像度が、日本産業規格…Z六〇一六附属書AのA・一・二に規定する一般文書のスキャニング時の解像度である二十五・四ミリメートル当たり二百ドット以上で読み取るものであること。
- (2)赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ二百五十六階調以上で読み取るものであること。
「二十五・四ミリメートル当たり二百ドット」が200dpiにあたります。カラーが必須なのは契約書や領収書などの重要書類で、見積書や注文書といった一般書類は白黒階調(グレースケール)での読み取りも認められています。ただし一般書類のルールを使うには、事務の手続き(責任者や入力の順序・方法など)を定めた書類の備付けが必要です。
タイムスタンプの要件
スキャンした電子データには、書類の作成または受領後、速やかにタイムスタンプを付与します。付与するタイムスタンプは、総務大臣が認定する時刻認証業務にかかるものである必要があります。
当該国税関係書類の作成又は受領後、速やかに一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に総務大臣が認定する時刻認証業務(電磁的記録に記録された情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務をいう。)に係るタイムスタンプ…を付すこと
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 第2条第6項第2号ロ|e-Gov法令検索
タイムスタンプの認定制度は2022年(令和4年)の改正で総務大臣による認定に移行しました。以前の一般財団法人日本データ通信協会による「タイムビジネス信頼・安心認定制度」は2024年(令和6年)3月に廃止されているため、現在は総務大臣が認定する時刻認証事業者のタイムスタンプが基準となります。
タイムスタンプを付与する代わりに、記録事項の訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムに保存する方法も認められています。ただし、この方法をとる場合も、システムが時刻を証明する機能を備え、入力期間内に保存したことを確認できることが求められます。
出典・参考資料(2件)
検索機能の要件
保存した電子データは、あとから探し出せる状態にしておく必要があります。検索の条件として設定できるようにする項目は、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先の3項目です。
当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 第2条第6項第5号|e-Gov法令検索
- イ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先(ロ及びハにおいて「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
- ロ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
- ハ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
このうち、税務職員からのデータのダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、日付・金額の範囲を指定する検索(ロ)と、2項目以上を組み合わせる検索(ハ)は不要になります。一方で、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できること(イ)は、ダウンロードに応じられる場合でも満たす必要があります。
出典・参考資料(1件)
入力期間の要件
スキャンして保存する(入力する)までの期間にも制限があり、入力の方法は次の2つのいずれかを選べます。
1つ目は、書類の作成・受領後に速やかに入力する「早期入力方式」で、おおむね7営業日以内が目安です。2つ目は、月次処理などの業務サイクルを経てから入力する「業務処理サイクル方式」で、最長で受領などから2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいとされています。
国税庁の一問一答でも、「最長では、国税関係書類の受領等から2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります」と示されています。ただし業務処理サイクル方式をとるには、書類の受領から入力までの各事務の処理に関する規程(事務処理規程)をあらかじめ定めておくことが条件です。
事務処理規程とは、書類の受領から入力までの責任者や事務の順序・方法を定めた社内規程です。国税庁は電子帳簿保存法の特設サイトで、参考となる各種規程のサンプルを公開しています。「おおむね7営業日」の「おおむね」は、営業日の数え方に一定の幅を認める趣旨で、厳密な日数が固定されているわけではありません。
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対象書類の区分(重要書類・一般書類)
スキャナ保存の対象は、国税関係書類のうち決算関係書類を除いたものです。国税庁の一問一答でも、対象外となる書類が具体的に示されています。
規則第2条第4項に規定する書類とは、具体的には棚卸表、貸借対照表及び損益計算書などの計算、整理又は決算関係書類であり、これ以外の国税関係書類がスキャナ保存の対象となります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問2|国税庁
対象となる書類は、資金や物の流れに直結・連動するかどうかで「重要書類」と「一般書類」に分かれ、区分によって解像度・カラーや入力期間の扱いが変わります。自社が扱う書類がどちらにあたるかを確認しておくと、必要な対応が判断しやすくなります。
| 重要書類と一般書類の違い | 重要書類 | 一般書類 |
|---|---|---|
| 代表的な書類 | 契約書、領収書、請求書、納品書、送り状、約束手形 など(資金や物の流れに直結・連動する書類) | 見積書、注文書、検収書、入庫報告書 など(資金や物の流れに直結・連動しない書類) |
| カラー | 必要(赤・緑・青 各256階調以上) | グレースケール(白黒階調)でも可 |
| 入力期間 | 制限あり(早期入力または業務処理サイクル) | 事務手続を定めて備え付ければ、制限なく入力することも可能 |
※国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」問2の区分にもとづきます。
棚卸表・貸借対照表・損益計算書などの決算関係書類はスキャナ保存の対象外で、これらは対象書類の区分に含まれません。自社で作成する帳簿そのものの電子保存は、スキャナ保存ではなく電子帳簿等保存の区分で扱います。
出典・参考資料(2件)
スキャンした紙の原本は廃棄してよいか
結論から言うと、要件を満たしてスキャンし、電子データと書面の内容が同じであることの最低限の確認(折れ曲がりなどがないかを含む確認)を行った後であれば、紙の原本は即時に廃棄して差し支えありません。国税庁の一問一答でも次のように示されています。
令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、以下(※)の場合を除いて、スキャナで読み取り、最低限の同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(折れ曲がり等がないかも含みます。)することをいいます。以下同じです。)を行った後であれば、即時に廃棄して差し支えありません。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問3|国税庁
2021年(令和3年)度の改正で、紙の段階での改ざんを防ぐための「適正事務処理要件」(相互けん制・定期検査など)が廃止されたため、定期検査のために原本を残しておく必要がなくなりました。原本を廃棄してよいかどうかは、次の点を満たしているかで判断できます。
- 解像度200dpi以上・所定の階調(重要書類はカラー)で読み取っている
- 入力期間内にタイムスタンプを付与している(または訂正・削除の履歴が残るなどのシステムに保存している)
- 取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にしている
- 電子データと原本の内容が同じであることを確認している
一方で、入力期間を過ぎてしまった書類は、その他の要件を満たして入力するとともに、紙のまま保存する必要があります。この場合は原本を廃棄できません。また、紙の原本を廃棄できても、スキャンした電子データ自体は、法人税法や所得税法などで定められた期間(法人は原則7年など)にわたって保存する必要があります。「原本を廃棄する=もう何も残さなくてよい」ではない点に注意が必要です。

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改正の変遷と誤読しやすいポイント
スキャナ保存の要件は複数回の改正で段階的に緩和されてきました。「いま満たすべき要件はどれか」を押さえるうえで、改正の流れと、誤解されやすいポイントを整理します。
改正の流れと2026年時点で満たすべき要件
2021年(令和3年)度の税制改正では、税務署長の事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件の緩和、適正事務処理要件の廃止、検索要件の3項目への緩和などが行われました。これらは2022年(令和4年)1月1日以後に保存する書類から適用されています。
続く2023年(令和5年)度の税制改正では、解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要になるなどの見直しが行われ、こちらは2024年(令和6年)1月1日以後に保存する書類から適用されています。
令和5年度の税制改正後の要件によりスキャナ保存を行うことができるのは、令和6年1月1日以後に保存する一定の国税関係書類です。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問66|国税庁
したがって2026年時点で満たすべきなのは、令和5年度改正後の要件です。具体的な内容は前掲の「スキャナ保存の要件」の一覧のとおりで、解像度200dpi以上・所定のカラー、総務大臣認定のタイムスタンプ(または代替措置)、3項目の検索、入力期間の順守が柱になります。
「解像度の情報が不要」は200dpi要件の廃止ではない
改正内容のなかで最も誤解されやすいのが、「解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要になった」という点です。これを「200dpiやカラーの要件そのものがなくなった」と読み取ってしまうと、要件を満たさない読み取りをしてしまうおそれがあります。国税庁の一問一答は、この点をはっきり区別しています。
令和5年度の税制改正において、スキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保持が不要とされましたが、スキャナ保存については、引き続きスキャニング時の解像度が200dpi以上である必要があります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問27|国税庁
不要になったのは、読み取った解像度・階調・大きさという「情報(データ)を保存しておくこと」であって、スキャン時に200dpi以上・所定のカラーで読み取るという要件そのものは現在も必要です。実際、施行規則第2条第6項第2号イの解像度・カラーの規定は現行も残っています。
税務調査で解像度の確認があった場合は、ファイルのプロパティ情報を提示するなどの方法で、読み取り時の解像度を説明できるようにしておきます。
出典・参考資料(1件)
スキャナ保存のメリットと導入時の注意点
スキャナ保存に対応すると、紙の書類にまつわる業務をいくつか軽くできます。一方で、対応にあたって押さえておきたい注意点もあります。
スキャナ保存のメリット
紙の原本を廃棄できるため、書類の保管に使っていたスペースやファイリング・保管にかかるコストを削減できます。電子データで一元管理すれば、必要な書類を検索で素早く取り出せるようになり、書類を探す手間や再発行の依頼も減らせます。オフィスに出社しなくても書類を確認できるようになるため、テレワークで経理業務を進めやすくなる点も挙げられます。
導入・運用の注意点
要件を満たすには、200dpi以上で読み取れるスキャナやシステムを用意し、タイムスタンプや検索の仕組みを整える必要があります。スキャンした電子データには取引情報が含まれるため、アクセス権限の管理などのセキュリティ対策も欠かせません。前述のとおり、入力期間を過ぎた書類は紙のまま保存する必要がある点にも注意します。
さらに、スキャナ保存した電子データについて隠ぺいや仮装があった場合、通常の重加算税に10%が加重される措置が設けられています。電子帳簿保存法第8条第5項が、国税通則法の重加算税に上乗せする形で定めており、スキャナ保存したデータを削除・改ざんして売上除外や経費の水増しを行った場合などが対象です。適正な運用を前提とした制度である点は押さえておく必要があります。
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スキャナ保存の始め方と要件を満たすシステム・スキャナの選び方
ここからは、実際にスキャナ保存を始めるための進め方と、要件を満たすためのシステム・スキャナの選び方を整理します。
始め方の手順
まず、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態を整えることから始めます。次に、入力期間内にタイムスタンプを付与するか、訂正・削除の履歴が残るシステムに保存して、データの真実性を確保します。あわせて、200dpi以上・所定のカラーで読み取れるスキャナやスマートフォンを用意する必要があります。
業務処理サイクル方式で入力する場合は、受領から入力までの手順を定めた事務処理規程を整備しておきます。これらを満たしたうえで書類をスキャンし、原本との同等確認を行えば、紙の原本を廃棄できます。
要件を満たすシステム・スキャナの選び方
複合機でスキャンしてフォルダに保存するだけでは、タイムスタンプや検索の要件を満たせないことがあります。要件を満たせるかどうかを確認する際は、次の観点が判断材料になります。
1つ目は、JIIMA認証の有無です。公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)は、市販のソフトウェアが電子帳簿保存法の機能要件に適合しているかを確認(認証)しており、認証を受けたソフトはスキャナ保存の機能要件を満たしているといえます。認証は必須ではありませんが、要件を満たしているかを手早く確認できる中立的な目安になります。
2つ目は、取引年月日・取引金額・取引先での検索に対応しているか、3つ目は、タイムスタンプの付与または訂正・削除の履歴管理に対応しているかです。4つ目として、スマートフォンやデジタルカメラでの読み取りに対応しているかも確認しておくとよいでしょう。スマートフォンでの撮影も、書類の大きさに応じた画素数(解像度200dpi以上)を満たせば認められます(A4サイズならおよそ387万画素以上が目安)。
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要件対応をシステムで自動化する
前掲の選び方の観点を満たす手段として、電子帳簿保存法に対応したクラウドの電子保存サービスや請求書受領サービスがあります。こうしたサービスを使うと、タイムスタンプの付与や検索できる状態での保存を個別に手配せずに済み、要件を満たす形での保存を自動化しやすくなります。
以下は、電子帳簿保存法のスキャナ保存に対応したサービスの比較です。ここで取り上げるほかにも同様のサービスはありますが、受け取った紙のスキャンまで代行するタイプ(Bill One 請求書受領)と、自社でスキャンして電子保存するタイプ(楽楽電子保存・バクラク電子帳簿保存)という違いに注目すると選びやすくなります。
| 電子帳簿保存法スキャナ保存に対応した主なサービスの比較 | Bill One 請求書受領 | 楽楽電子保存 | バクラク電子帳簿保存 |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド請求書受領 (紙は代理受領・スキャン代行) | クラウド電子保存 (証憑の一元管理型) | クラウド電子保存 (電帳法3区分対応型) |
| 電帳法スキャナ保存対応 | ●受領した紙を代理スキャン | ● | ●電帳法3区分すべて |
| AI-OCR自動読取 | ●AI+入力オペレーターで代行 | ●6項目を自動抽出 | ●最大100枚を一括読取 |
| タイムスタンプ | ● | ● | ● |
| 検索要件(日付・金額・取引先) | ● | ● | ● |
| JIIMA認証 | △代理受領・スキャン代行型のため電子取引ソフト認証 | ●スキャナ保存ソフト認証 | ●「バクラク請求書」との連携名義 |
| 初期費用 | 要問い合わせ (導入支援込み) | 50,000円(税抜) | 無料 (大規模は別途見積もり) |
| 月額費用 | 要問い合わせ (受領件数に応じた年額制) | 17,000円〜(税抜) | 0円〜 (有料は月12,000円/税別〜) |
| 無料プラン | ×公式に明記なし | △「楽楽明細」受領分のみ無料 | ●月200件まで |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。料金は変動する場合があります。
スキャナ保存に対応した請求書受領サービスは、ここで取り上げた3社のほかにも数多くあります。受け取る請求書の量や既存の会計・経費精算システムとの連携をふまえて幅広く比べたい場合は、以下の記事で主要な請求書受領サービスの選び方・料金・電子帳簿保存法/インボイス制度への対応をまとめて確認できます。
Bill One(ビルワン)請求書受領(Sansan株式会社)

Bill One 請求書受領は、Sansan株式会社が提供するクラウド請求書受領サービスです。取引先から届く紙・メール・PDF・アップロードなどあらゆる形式の請求書を代理で受け取り、郵送された紙の請求書はスキャン代行でデータ化します。
受け取った書類にタイムスタンプを付与し、取引先・日付・金額での検索や、原本の保管・返却・破棄まで対応するため、受領した紙のスキャナ保存を一連の流れとして任せられる点が特徴です。
電子帳簿保存法とインボイス制度への対応を標準で備え、利用企業は約26.8万社以上(2026年5月時点、公式特長ページ)と導入実績も豊富です。自社でスキャン体制を整えるのが難しい場合や、受領業務そのものを効率化したい企業に向いています。
楽楽電子保存(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供する「楽楽電子保存」は、電子データと紙のスキャン画像を問わず、請求書・領収書・納品書などの証憑を一元管理できるクラウド型の電子帳簿保存システムです。AI-OCRが取引年月日・金額・取引先名などを自動で読み取り、タイムスタンプの自動付与や複数項目での検索、訂正・削除の履歴管理に対応します。
電帳法のスキャナ保存ソフトとしてのJIIMA認証を取得している点も、要件対応の判断材料になります。
料金は初期費用50,000円(税抜)、月額17,000円(税抜)からで、月間のアップロード件数に応じて変動します。経費精算システム「楽楽精算」や電子請求書発行システム「楽楽明細」と同じシリーズで、これらと組み合わせて使いたい企業にも検討しやすいサービスです。
バクラク電子帳簿保存(株式会社LayerX)

「バクラク電子帳簿保存」は、電子帳簿保存法が定める電子取引・スキャナ保存・国税関係帳簿書類の3区分すべてに対応する、株式会社LayerXのクラウドサービスです。書類をアップロードするとAI-OCRが取引先名・取引日・取引金額を自動で読み取り、スキャナ保存時には解像度を自動で判定します。タイムスタンプの付与や、確認・編集のロックによる改ざん防止にも対応します。
月間の保管件数が200件までの無料プランがあり、法対応の基本機能から試せるため、「まず何を用意すればよいか」を確かめたい企業の入口として使いやすいのが特徴です。件数が増える場合は、月額12,000円(税別)からの有料プランに移行できます。
まとめ
電子帳簿保存法のスキャナ保存は、紙で受け取った請求書や領収書などをスキャンして電子データで保存し、要件を満たせば紙の原本を廃棄できる制度です。2026年時点で満たすべき要件は、解像度200dpi以上・所定のカラー、総務大臣認定のタイムスタンプ(または訂正・削除の履歴が残るなどの代替措置)、取引年月日・取引金額・取引先での検索、入力期間の順守が柱になります。
「解像度の情報が不要になった」という改正は200dpi要件そのものの廃止ではない点や、入力期間を過ぎた書類は紙のまま保存する点など、誤解しやすいポイントを押さえておくことが安全な運用につながります。自社のスキャン・保存体制で要件を満たせるかを確認し、手作業での対応が難しい場合は、電子帳簿保存法に対応した電子保存・請求書受領サービスの活用も検討するとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. スキャナ保存と電子取引データ保存は、何が違いますか?
A. スキャナ保存と電子取引データ保存の違いは、対象書類がもともと紙か電子か、そして保存が任意か義務かにあります。紙で受け取った請求書などをスキャンして電子データで保存するのがスキャナ保存で、電子帳簿保存法第4条第3項により紙の保存に「代えることができる」任意の方法です。
一方、メールに添付されたPDFなど最初から電子でやりとりした取引情報を保存するのが電子取引データ保存で、同法第7条で「保存しなければならない」と義務づけられており、原則として紙に印刷して保存する方法は認められません。
出典・参考資料(1件)
Q. スキャナ保存では、タイムスタンプを必ず付けなければなりませんか?
A. スキャナ保存でタイムスタンプは必ずしも必須ではなく、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムに入力期間内に保存すれば、タイムスタンプの付与に代えられます。ただし、この代替が認められるのは、そのシステムが時刻を証明する機能を備え、入力期限内に入力したことを確認できる場合に限られます。
タイムスタンプを付与する場合は、総務大臣が認定する時刻認証業務に係るものを、書類の作成・受領後速やかに付与します。
出典・参考資料(1件)
Q. スマートフォンやデジタルカメラで撮影した書類も、スキャナ保存として認められますか?
A. スマートフォンやデジタルカメラで撮影した書類も、解像度200dpi以上などの要件を満たせばスキャナ保存として認められます。専用のスキャナや複合機に限られず、認められるかどうかは読み取った書類の大きさと画素数をもとに判断されます。A4サイズの書類であれば、およそ387万画素(縦2,338×横1,654画素)以上が目安とされています。
出典・参考資料(1件)
Q. スキャナ保存の入力期間を過ぎてしまった書類は、どうすればよいですか?
A. スキャナ保存の入力期間を過ぎた書類は、その他の要件を満たして入力するとともに、紙の原本のまま保存する必要があります。入力期間を過ぎた電子データはスキャナ保存の要件を満たさないため、この場合は電子データだけで原本に代えることはできず、紙の原本を廃棄できません。入力期間は、早期入力方式でおおむね7営業日以内、業務処理サイクル方式で最長2か月とおおむね7営業日以内が目安です。
出典・参考資料(1件)
Q. スキャナ保存の要件を満たすには、JIIMA認証を受けたシステムが必須ですか?
A. スキャナ保存に、JIIMA認証を受けたシステムは必須ではありません。JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)は市販ソフトが電子帳簿保存法の機能要件に適合しているかを確認(認証)しており、認証を受けたソフトはスキャナ保存の機能要件を満たしているといえます。
認証は要件を満たしているかを手早く確認できる中立的な目安ですが、認証がなくても、解像度・タイムスタンプ・検索などの要件を自社で満たせれば問題ありません。
出典・参考資料(1件)
Q. スキャナ保存で紙の原本を廃棄した後、スキャンした電子データも捨ててよいですか?
A. スキャナ保存で紙の原本を廃棄できても、スキャンした電子データは法定の保存期間にわたって保存する必要があります。電子帳簿保存法は所得税法や法人税法などの保存方法の特例を定めるものであるため、スキャンデータもそれぞれの法律で定められた期間(法人は原則7年など)保存しなければなりません。「原本を廃棄する=もう何も残さなくてよい」ではない点に注意が必要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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