給与や賞与、外注先への報酬を支払うとき、「源泉徴収でいくら差し引けばよいのか」をその場で正確に出したい場面は多いものです。給与か賞与か報酬・料金かで求め方が異なり、使う表や税率も変わります。
本記事では、源泉徴収税額の計算方法を対象別(給与・賞与・報酬・料金・退職金)に分け、令和8年分の税額表・税率にもとづく具体的な計算例つきで解説します。税額表のどの欄を見るか、報酬の10.21%をどう適用するかまで、手を動かして数字を出せる形でまとめました。
計算のあとの納付期限や、毎月の計算を自動化する給与計算ソフトの選び方まで確認できます。自社の支払いに当てはめながら読み進めてください。
目次
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源泉徴収税額の計算方法【対象別の早わかり】
源泉徴収税額は、支払うものが給与か賞与か報酬・料金かによって、使う表と計算式が変わります。まず自分のケースの求め方を、以下の早わかりで確認してください。
| 給与 | 賞与 | 報酬・料金 | 退職金 | |
|---|---|---|---|---|
| 計算方法の要点 | 社会保険料等を差し引いた金額と扶養親族等の数から、税額表の交わる欄の金額を読む | 前月の給与をもとに率を求め、(賞与−社会保険料等)×率 | 支払金額×10.21%(100万円を超える部分は20.42%) | (退職金−退職所得控除額)×1/2 を速算表に当てはめる |
| 使う表・根拠 | 給与所得の源泉徴収税額表(月額表・日額表) | 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 | 所得税法第204条/国税庁タックスアンサー | 退職所得の源泉徴収税額の速算表 |
いずれの表も、国税庁が毎年公表する「源泉徴収税額表」に収録されています。本記事の数値例は、令和7年度税制改正を反映した令和8年分の税額表にもとづきます。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/01.htm)
給与の源泉徴収税額の計算方法(税額表の引き方)
ここからは、給与から源泉徴収する税額を「給与所得の源泉徴収税額表」で求める手順を解説します。表の交点を読むだけなので、次の順に進めれば税額にたどり着けます。

まず社会保険料等を差し引いた金額を求める
税額表を引く前に、その月の給与から社会保険料等を差し引いた金額を計算します。国税庁の「給与所得の源泉徴収税額の求め方」では、税額表を使う基準の金額を次のように定めています。
税額表は…その月の社会保険料等控除後の給与等の金額によります(健康保険料及び雇用保険料などの社会保険料等を控除した後の金額)。
出典:給与所得の源泉徴収税額の求め方(令和8年分 源泉徴収税額表)|国税庁
ここでの社会保険料等とは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などを合計した金額です。たとえば給与420,000円から社会保険料等63,400円を差し引くと、税額表を引く基準の金額は356,600円になります。この金額を使って、あとは表の該当欄を読むだけです。
月額表と日額表を使い分ける
給与所得の税額表には「月額表」と「日額表」があり、給与の支払い方によって使い分けます。月給制なら月額表、日払い・週払いなら日額表を使います。
- 月額表:月ごと、半月ごと・10日ごと、月の整数倍の期間ごとに支払う給与に使う
- 日額表:毎日支払うもの、週ごとに支払うもの、日割りで支払うもの、日雇賃金に使う
甲欄・乙欄・丙欄のどれを使うか(3欄の使い分け)
税額表は甲欄・乙欄・丙欄の3つに分かれ、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出しているかどうかなどで使う欄が決まります。3欄は次のとおり使い分けます。
| 甲欄 | 乙欄 | 丙欄 | |
|---|---|---|---|
| 対象となる給与 | 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与等 | その他の人に支払う給与等 | 日雇賃金 |
| 主な場面 | 主たる勤務先(多くの正社員・パート) | 申告書の提出がない人、2か所以上から給与を受ける人の従たる勤務先 | 日々雇い入れられ、労働した日ごとに支払う給与(継続2か月超の部分を除く) |
甲欄は扶養親族等の数(0人〜7人)で欄が分かれているため、申告書で把握した扶養親族等の数に応じた列を使います。乙欄は甲欄より高い税額になり、丙欄は日雇賃金だけに使う欄です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:給与所得の源泉徴収税額の求め方(令和8年分 源泉徴収税額表 19〜22ページ)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/data/19-22.pdf)
扶養親族等の数の列と金額の行が交わる欄を読む
基準となる金額と使う欄が決まったら、あとは表の交点を読みます。国税庁が示す月額表・甲欄の使用例で、実際の引き方を確認しましょう。
- 社会保険料等控除後の給与等の金額:356,600円(420,000円−63,400円)
- 扶養親族等の数:2人
- 月額表の「356,000円以上359,000円未満」の行と、甲欄「扶養親族等の数2人」の列が交わる欄の金額 → 7,020円
この7,020円が、その給与から源泉徴収する税額です。金額の行と扶養親族等の数の列が交わる欄を読むだけなので、基準の金額と使う欄さえ間違えなければ計算は完了します。
自社の給与額で税額を読むには、国税庁の令和8年分 給与所得の源泉徴収税額表(月額表・PDF)を開き、社会保険料等控除後の金額が含まれる行と、甲欄・扶養親族等の数の列が交わる欄を読みます。日払い・週払いの場合は日額表(PDF)を使います。
令和8年分(令和7年度税制改正)で変わった点
数値例で令和8年分を参照しているのは、令和7年度税制改正により税額表そのものが変わったためです。国税庁は令和8年分の税額表について、次のように注意を促しています。
令和7年度税制改正において、所得税の基礎控除の見直し等が行われたことに伴い、税額や扶養親族等の数の算定方法が変更となっています。
出典:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁
基礎控除の見直しなどにより、同じ給与額でも税額が変わる場合があります。古い年分の税額表を使うと計算が合わなくなるため、計算する年に対応した税額表を使うことが大切です。
源泉徴収税額が0円になるケース
給与額が一定額を下回ると、源泉徴収税額は0円になります。令和8年分の税額表では、次の水準が目安です。
- 月額表・甲欄で扶養親族等の数が0人の場合、社会保険料等控除後の給与が105,000円未満なら0円
- 日額表・丙欄では、日額9,800円未満なら0円
以前よく見かける「88,000円未満」「9,300円未満」という数字は令和7年分以前の水準で、令和8年分では上記のとおり引き上がっています。また、税額が0円でも所得税徴収高計算書(納付書)の提出は必要です(詳しくは納付の項で解説します)。
賞与の源泉徴収税額の計算方法(算出率の表)
賞与は給与とは別の求め方をします。「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で率を求め、社会保険料等を差し引いた賞与に掛ける、という手順です。
算出率の表の引き方と計算例
まず前月の給与(社会保険料等を差し引いた金額)と扶養親族等の数から、算出率の表で率を求めます。次に、賞与から社会保険料等を差し引いた金額にその率を掛けます。国税庁の設例で確認しましょう。
- 賞与の支給額:554,000円/賞与から控除する社会保険料等:85,593円
- 前月の給与(社会保険料等控除後):196,616円/扶養親族等の数:2人
- 算出率の表・甲欄で、扶養2人・前月給与196,616円が含まれる行の率 → 2.042%
- (554,000円−85,593円)×2.042%=9,564円(1円未満切り捨て)
賞与では「前月の給与」で率が決まる点が、給与の計算との大きな違いです。率さえ求められれば、あとは社会保険料等控除後の賞与に掛けるだけで税額が出ます。
自社の率は、国税庁の令和8年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)で、前月の社会保険料等控除後の給与額と扶養親族等の数から読み取ります。
前月の給与の10倍を超える場合などの特例
賞与の額が前月の給与の10倍を超える場合や、前月に給与の支払いがない場合は、算出率の表ではなく月額表を使う特例があります。国税庁の求め方は次のとおりです。
ただし、前月中に普通給与の支払がない場合又は賞与の額が前月中の普通給与の額の10倍を超える場合には、月額表を使います。
出典:給与所得の源泉徴収税額の求め方(令和8年分 源泉徴収税額表)|国税庁
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.2523 賞与に対する源泉徴収|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2523.htm)
報酬・料金の源泉徴収税額の計算方法(10.21%・100万円超は20.42%)
外注先のデザイナーやライター、士業などに報酬・料金を支払うときも、源泉徴収が必要な場合があります。給与のような表は使わず、支払金額に決まった税率を掛けて計算します。
源泉徴収の対象になる報酬・料金
居住者に支払う報酬・料金のうち、源泉徴収が必要なものは所得税法で定められています。主なものは次のとおりです。
- 原稿料・講演料・デザイン料など
- 弁護士・公認会計士・司法書士・税理士などへの報酬
- プロ野球選手・モデル・外交員などへの報酬、映画・演劇・芸能人の役務提供の報酬
- ホステス等の報酬、役務提供の契約金、広告宣伝のための賞金など
支払先が法人の場合は、原則として源泉徴収は不要です(一部の賞金などを除く)。対象かどうか迷う場合は、国税庁のタックスアンサーで区分を確認してください。
計算式と計算例(100万円を超える場合)
報酬・料金の源泉徴収税額は、支払金額の10.21%です。ただし、同じ相手に1回で支払う金額が100万円を超える場合は、超えた部分だけ20.42%になります。
| 100万円以下 | 100万円超 | |
|---|---|---|
| 計算式 | A×10.21% | (A−100万円)×20.42%+102,100円 |
たとえば原稿料150万円を支払う場合は、(1,500,000円−1,000,000円)×20.42%+102,100円=204,200円が源泉徴収税額です。式のなかの102,100円は、100万円×10.21%の部分にあたります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm)
- 出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm)
消費税の扱い
報酬・料金の源泉徴収は、原則として消費税込みの金額を対象にします。ただし、請求書で報酬・料金と消費税額が明確に区分されている場合は、消費税を除いた金額だけを対象にできます。
弁護士や税理士などからの請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えありません。
出典:No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税|国税庁
計算した源泉徴収税額に1円未満の端数が出たときは、切り捨てます。請求書の書き方次第で対象額が変わるため、区分の有無は請求書ごとに確認しておくと安全です。
10.21%の内訳と、令和9年以降の税率
報酬・料金の10.21%は、所得税10%に復興特別所得税(所得税額の2.1%分=10%×2.1%=0.21%)を上乗せした税率です。この復興特別所得税について、令和8年度税制改正で令和9年以降の扱いが定められました。
復興特別所得税について、その税率が1.1%(改正前:2.1%)に引き下げられ、課税期間が令和29年12月31日まで(改正前:令和19年12月31日まで)10年間延長されました。…改正前(復興特別所得税の税率2.1%)と改正後(防衛特別所得税の税率1%及び復興特別所得税の税率1.1%)とで、合計税率(2.1%)に変更はありませんので、改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません。
出典:防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A|国税庁
令和9年1月1日以後の所得については、復興特別所得税が1.1%に下がる一方で防衛特別所得税1%が新たに加わり、上乗せ分の合計は2.1%のまま変わりません。報酬の10.21%・20.42%という税率自体も引き続き同じです。「税率が下がる」わけではない点に注意してください。
司法書士など一部の士業報酬は計算式が異なる
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士への報酬は、他の報酬と計算式が異なります。1回に支払う金額から1万円を差し引いた残額に10.21%を掛けます。
源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、同一人に対し、1回に支払われる金額から10,000円を差し引いた残額に10.21パーセントの税率を乗じて算出します。
出典:No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金|国税庁
たとえば司法書士へ5万円を支払う場合は、(50,000円−10,000円)×10.21%=4,084円です。同じ士業でも、弁護士や税理士への報酬には1万円の控除はなく、支払金額×10.21%で計算します。職種によって扱いが分かれる点に気をつけてください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm)
- 出典:No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2801.htm)
外注先への報酬を年に数回支払うだけであれば、上記の式で都度計算すれば十分です。毎月の給与計算とあわせて源泉徴収を自動化したい場合は、給与計算ソフトの活用も選択肢になります。
退職金の源泉徴収税額の計算方法(補足)
退職金(退職手当等)も源泉徴収の対象です。給与や報酬とは計算の流れが異なり、勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いてから税額を求めます。
まず、退職金から退職所得控除額を差し引いた額の2分の1が「課税退職所得金額」です。退職所得控除額は勤続年数で決まります。
- 勤続20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年)
課税退職所得金額を求めたら、「退職所得の源泉徴収税額の速算表」に当てはめ、(課税退職所得金額×税率−控除額)×102.1%で税額を計算します。末尾の102.1%が復興特別所得税を含めた部分です。速算表の主な区分は次のとおりです。
| 課税退職所得金額(A) | 税率(B) | 控除額(C) |
|---|---|---|
| 1,950,000円以下 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円超 3,300,000円以下 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円超 6,950,000円以下 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円超 9,000,000円以下 | 23% | 636,000円 |
たとえば勤続30年の従業員に退職金2,000万円を支払う場合を考えます。退職所得控除額は800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円です。課税退職所得金額は(2,000万円−1,500万円)×1/2=250万円となります。
これを速算表の「1,950,000円超3,300,000円以下」(税率10%・控除額97,500円)に当てはめます。(2,500,000円×10%−97,500円)×102.1%=155,702円が、この退職金から源泉徴収する税額です。「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合は、退職金の支払金額に一律20.42%を掛けて源泉徴収します。
退職金については、所得税・復興特別所得税とは別に、住民税も支払時に特別徴収される点にも留意してください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm)
- 参考資料:退職所得の源泉徴収税額の速算表(令和8年分 源泉徴収税額表 18ページ)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/data/17-18.pdf)
計算した源泉徴収税額の納付(期限・納期の特例)
源泉徴収した所得税・復興特別所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに国に納めます。ここからは、納付期限と、少人数の事業者向けの特例を解説します。
納付期限は原則として翌月10日
給与・報酬・退職金いずれについても、源泉徴収した税額は徴収した日の属する月の翌月10日までに納付します。所得税法は、支払者がその支払いの際に所得税を徴収し、翌月10日までに国に納付しなければならないと定めています。
納期の特例(常時10人未満の事業者)
給与の支給人員が常時10人未満の事業者は、税務署長の承認を受ければ、源泉徴収した税額を半年分まとめて納付できます。納付期限は次のとおりです。
- 1月〜6月に源泉徴収した分:7月10日
- 7月〜12月に源泉徴収した分:翌年1月20日
7月〜12月分の納付期限は、翌年1月10日ではなく翌年1月20日です。半年分をまとめて納めるため、納付額が大きくなる点にも備えておきましょう。
源泉徴収税額が0円でも徴収高計算書は提出する
計算の結果、納める税額が0円になった月でも、所得税徴収高計算書(納付書)の提出は必要です。国税庁は、納付税額を0円と記載した徴収高計算書を提出(e-Taxでは送信)するよう案内しています。提出を忘れないよう注意してください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm)
手取り額から源泉徴収前の金額を逆算する方法
「手取りで◯円を渡したい」という場面では、源泉徴収前の支払額を逆算する必要があります。報酬・料金のように税率が一定の場合は、手取り額を(1−税率)で割ると支払額が求められます。
たとえば手取り100,000円を渡したい報酬(100万円以下・税率10.21%)なら、100,000円÷(1−0.1021)=約111,371円が源泉徴収前の支払額です。この金額から10.21%を源泉徴収すると、手取りがおよそ100,000円になります。
一方、給与は税額表が金額の幅ごとに区切られているため、報酬のような単純な割り戻しでは正確な逆算ができません。給与で手取りから逆算したい場合は、税額表を行き来しながら近い金額を探すか、後述の給与計算ソフトを使うのが現実的です。
そもそも源泉徴収税額とは(前払い納税の仕組み)
ここまで計算方法を見てきましたが、あらためて源泉徴収の仕組みを押さえておきましょう。源泉徴収税額とは、給与や報酬を支払う人が、その支払いの際に差し引いて国に納める所得税・復興特別所得税の金額です。
受け取る側に代わって、支払う側が所得税を天引きして国に前払いで納める仕組みで、この支払う側を「源泉徴収義務者」と呼びます。報酬を受け取った側は、源泉徴収された金額を、後日の確定申告で精算します。
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毎月の源泉徴収税額の計算を自動化する方法(給与計算ソフト)
ここまで見てきたとおり、源泉徴収税額の計算は対象ごとに手順が分かれ、税額表の更新や法改正への対応も毎年発生します。毎月・都度これを手作業で行うのは負担が大きく、給与計算ソフトで自動化する企業が増えています。
給与計算ソフトはなぜ税額表と一致するのか(電子計算機特例)
給与計算ソフトが税額表と同じ税額を自動で出せるのは、国税庁が「電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法」を財務省告示で定めているためです。
その給与等の支払額に関する計算を電子計算機などの事務機械によって処理しているときは、月額表の甲欄を適用する給与等については、以下の別表(別表第一〜別表第四)を用いて源泉所得税及び復興特別所得税の額を求めることができる特例が設けられています。
出典:月額表の甲欄を適用する給与等に対する源泉徴収税額の電算機計算の特例(令和8年分 源泉徴収税額表)|国税庁
この特例に沿って計算するため、給与計算ソフトは税額表を引いた場合とほぼ同じ税額を自動で算出できます。税額表の年分更新や法改正への追従もソフト側で行われるため、担当者が毎年の変更を手作業で反映する必要がありません。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示(令和8年分 源泉徴収税額表 18ページ)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/data/18.pdf)
ここからは、源泉徴収税額の自動計算に対応した給与計算ソフトを2つ紹介します。自社の規模や必要な機能に合わせて比較してください。
| サービス名 | 弥生給与 Next | CYBER XEED給与 |
|---|---|---|
| 対象規模 | 中小企業(300名未満) | 中堅〜大企業 |
| 源泉徴収税額の自動計算 | ●税額表を自動反映 | ●税額表を自動反映 |
| 賞与・報酬の源泉計算 | △賞与に対応(報酬・料金は対象外) | △賞与に対応(報酬・料金は対象外) |
| 年末調整 | △ベーシックライト以上で対応(下位プランは税理士委託前提) | ● |
| 法改正への対応 | ●法令改正に自動対応 | ●法改正時に無償アップデート |
| 料金・提供形態 | クラウド型 初期費用0円/月額1,700〜7,000円 (税抜・年契約の月額換算) | クラウド型 初期費用50万円〜/月額2万円〜 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
※料金・機能は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各サービスの公式情報をご確認ください。
1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextは、会計・給与ソフトを幅広く手がける弥生が提供するクラウド型の給与計算サービスです。給与・賞与の計算から源泉徴収税額の自動計算、年末調整、法改正への自動対応までをカバーし、税額表の年分更新もソフト側で反映されます。
中小企業や小規模事業者が自社で運用しやすい料金体系が特徴で、はじめて給与計算ソフトを導入する企業にも向いています。源泉徴収の手計算をなくし、毎月の給与実務を効率化したい場合の選択肢になります。
2. CYBER XEED給与(アマノビジネスソリューションズ株式会社)

給与計算に特化したクラウドサービスが、アマノグループのCYBER XEED給与です。所得税の自動計算に加え、住民税の管理やWeb源泉徴収票の発行に対応し、法改正時には無償でアップデートが提供されます。
中堅規模の企業を中心に、給与計算の専門機能をしっかり備えたい場合に適しています。初期費用が発生するため、対象規模や運用体制に合うかを確認したうえで検討してください。
ここで取り上げた2製品以外にも、給与計算ソフトは対応規模や搭載機能によってさまざまな選択肢があります。以下の記事では、主要な給与計算ソフトを機能・料金・対応規模で比較し、自社に合う一台の選び方を詳しく解説しています。導入を検討される方はあわせてご覧ください。
まとめ
源泉徴収税額の計算方法は、対象によって次のように分かれます。給与は税額表の交点を読み、賞与は前月給与から求めた率を掛け、報酬・料金は10.21%(100万円超の部分は20.42%)で計算します。退職金は退職所得控除を差し引いてから速算表に当てはめます。
いずれも国税庁が公表する令和8年分の税額表・タックスアンサーが根拠です。計算した税額は原則として翌月10日までに納付し、税額が0円でも徴収高計算書は提出します。毎月の計算負担を減らしたい場合は、税額表への追従を自動化する給与計算ソフトの導入も検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 源泉徴収税額とは何ですか?
A. 源泉徴収税額とは、給与や報酬を支払う人が、その支払いの際に差し引いて国に納める所得税・復興特別所得税の金額です。受け取る側に代わって支払う側(源泉徴収義務者)が税金を前払いで納める仕組みで、給与・賞与・報酬・料金・退職金などが対象になります。差し引かれた側は、後日の年末調整や確定申告で精算します。
Q. 給与と報酬・料金で源泉徴収税額の計算方法はどう違いますか?
A. 給与は税額表の交わる欄を読んで求め、報酬・料金は支払金額×10.21%(100万円を超える部分は20.42%)で計算します。給与は社会保険料等を差し引いた金額と扶養親族等の数から「給与所得の源泉徴収税額表」の該当欄を読み、賞与はさらに前月給与から求めた率を掛けます。一方、報酬・料金は表を使わず税率を掛けるだけで、対象は原稿料・講演料や士業報酬など所得税法で定められたものに限られます。
Q. 報酬・料金の源泉徴収税額は消費税を含めて計算しますか?
A. 原則は消費税込みの金額が対象ですが、請求書で報酬・料金と消費税額が明確に区分されている場合は、消費税を除いた本体価格だけを対象にできます。区分がなければ税込みの総額に10.21%を掛けます。計算した源泉徴収税額に1円未満の端数が出たときは切り捨てます。区分の有無で対象額が変わるため、請求書ごとに確認しておくと安全です。
Q. 源泉徴収税額が0円になるのはどんなケースですか?
A. 給与では、月額表・甲欄で扶養親族等の数が0人の場合、社会保険料等控除後の給与が105,000円未満なら0円になります(令和8年分)。日額表・丙欄では日額9,800円未満が0円の目安です。以前よく使われた「88,000円未満」は令和7年分以前の水準で、令和8年分では引き上がっています。また、税額が0円でも所得税徴収高計算書(納付書)の提出は必要です。
Q. 源泉徴収した税額はいつまでに納付しますか?
A. 原則として、給与や報酬を支払った月の翌月10日までに納付します。給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けている事業者は、1〜6月に源泉徴収した分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日に、それぞれ半年分まとめて納付できます。7〜12月分の期限は翌年1月10日ではなく、翌年1月20日である点に注意してください。
Q. 令和9年以降、報酬の源泉徴収税率10.21%は変わりますか?
A. 令和9年1月1日以後も、報酬の源泉徴収税率は10.21%(100万円を超える部分は20.42%)のまま変わりません。令和8年度税制改正で復興特別所得税が2.1%から1.1%に引き下げられる一方、防衛特別所得税1%が新たに加わり、上乗せ分の合計は2.1%で変わらないためです。「税率が下がる」わけではない点に注意してください。
Q. 古い年分の税額表で給与の源泉徴収税額を計算しても大丈夫ですか?
A. 源泉徴収税額は、計算する年に対応した税額表で求める必要があり、古い年分の表では正しい税額になりません。令和7年度税制改正で基礎控除の見直し等が行われ、令和8年分では税額や扶養親族等の数の算定方法が変わりました。同じ給与額でも税額が変わる場合があるため、必ずその年分の税額表を使ってください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















