システム開発の案件を抱えていると、プロジェクトごとの採算が月次の締めを待たないと見えてこない、という悩みはないでしょうか。エンジニアの工数が労務費としてどの案件に乗っているのか、外注費や準委任の稼働がどこまで原価に反映されているのかが、表計算ソフトの手集計では追いきれなくなりがちです。
原価管理システムは製品ごとに得意分野が大きく異なり、資料だけでは「自社の案件・工数・外注費が実際にその画面にどう載るのか」までは判断しづらいのが実情です。そこで多くの企業が、オンラインデモや無料トライアルで実際に操作感を確かめてから候補を絞り込んでいます。
本記事では、システム開発業の案件別原価管理に対応する12製品を、デモ・無料トライアルで試せるかどうかを軸に比較・解説します。案件別原価の考え方と必要な機能、デモの種類と確認すべきポイント、選び方を整理したうえで、各製品の対応範囲・料金・実績を具体的にまとめました。自社に合うシステムをデモで見極めるための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事が対象とするのは、受託・準委任を中心とするシステム開発会社やSIer、ソフトウェア・アプリ・Web・ゲーム開発などの案件型ビジネスです。こうした事業で、案件(プロジェクト)別の原価に対応する製品を、デモ・無料トライアルで試して選ぶための記事です。工数や外注費を案件別の原価に集計し、個別原価計算や間接費の配賦に対応できる製品を扱います。
システム開発業の原価管理には、(1) システム開発会社が自社の案件原価を管理する、という意味と、(2) 原価管理のシステムそのものを開発(フルスクラッチ構築)する、という意味の両方があります。本記事が扱うのは(1)の、既製の製品を試して選ぶケースです。自社向けに原価管理システムを一から開発する方法をお探しの場合は、本記事の扱う範囲とは異なります。
システム開発業という業種の絞り込みを外し、管理会計システムを目的・規模別に幅広く比較したい場合は、以下の記事でタイプ別の違いと選び方を整理しています。
システム開発業の案件別原価とは
システム開発業は、受注した案件ごとに成果物を作る受注生産型のビジネスです。製造業が製品単位で原価を積み上げるのと同じように、システム開発では案件(プロジェクト)を単位として原価を集計します。この、個々の案件ごとに原価を把握する方法を個別原価計算と呼びます。
システム開発の原価で中心になるのは、エンジニアが案件に費やした工数、つまり労務費です。給与や単価に工数をかけて案件ごとの人件費を算出し、ここに外注先への委託費(外注費)や、ライセンス・クラウド利用料などの経費を加えて、案件の原価を組み立てます。受注額からこの原価を差し引いたものが案件の粗利益になります。
さらに、特定の案件に直接ひもづかない費用、たとえば管理部門の人件費やオフィス賃料などの間接費・共通費を、一定の基準で各案件に割り振る処理が必要になることもあります。これを配賦と呼びます。配賦まで行うかどうかは会社の方針によりますが、全社の損益と案件別の採算を一致させたい場合には重要になります。

案件別に原価を組み立てる考え方は、システム開発業に限らず受託・プロジェクト型のビジネス全般に共通します。工数から案件別の原価や粗利をどう作るかを、業種やデモの有無で絞らずタイプ別に比較したい場合は、以下の記事が参考になります。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
案件別原価管理に必要な機能
システム開発業で案件別の原価を管理するには、原価管理システムに次のような機能が求められます。製品によって対応範囲は異なるため、自社の案件の形に合うかを確かめる際の観点にもなります。
- 工数・労務費・外注費の案件へのひもづけ:エンジニアの工数入力を労務費に変換し、外注費・経費とあわせて案件ごとに集計する
- 個別原価計算:案件(プロジェクト)を単位に原価を積み上げ、受注額との差で案件別の粗利益を算出する
- 間接費・共通費の配賦:案件に直接ひもづかない費用を、工数比などの基準で各案件に割り振る
- 予実管理と損益の着地見込み:見積もり時の予算と実績を比べ、進行中の案件が最終的にどの程度の採算になりそうかを早めに把握する
- 工数・工程管理との連携:工数入力やガントチャートなどの進捗管理と原価を一元化し、二重入力を避ける
製品によっては、工数管理や予実管理は得意でも、工数を案件別の原価へ自動で変換する個別原価計算までは標準で持たないものもあります。どこまでを自動で処理できるかは、後述するデモで実際に確かめられます。
デモ・無料トライアルで試して候補を絞る
ここからは、原価管理システムをデモ・無料トライアルで試す際に、どの形態を使えばよいか、そして使うときに自社の何を確かめればよいかを順に整理します。
デモ・無料トライアルの種類と違い
「デモ」と一口に言っても、提供のされ方は製品によって異なります。何ができるか・登録の要否・向いているケースを整理すると、次の4つに大きく分かれます。

- 商談型のオンラインデモ:営業担当が画面を共有しながら操作を見せる形式です。自社の案件の進め方を伝えて、該当する機能を実演してもらえるのが利点で、要件が固まっている場合に向きます。日程調整が必要で、その場で自由に触れるわけではありません
- 登録不要の体験デモ:申し込みをせずにサンプルデータの入った画面を操作できる形式です。入力や集計の操作感を手早く確かめたいときに向きます。試せる範囲はサンプルの範囲に限られます
- 製品ツアー(画面ガイド):主要な画面を順に案内する動画やガイドです。短時間で全体像をつかみたいときに向きますが、自分でデータを入れて試すことはできません
- 無料トライアル:一定期間、実際の環境を使える形式です。自社の案件データを入れて、工数入力から原価の集計までを通して検証できる点が最大の利点です。期間や機能に制限がある場合や、申し込みに審査を伴う場合があります
関係者で同じ画面を見ながら合意形成を進めたい場合は商談型のオンラインデモが、担当者がまず操作感だけを確かめたい場合は登録不要の体験デモや製品ツアーが使いやすいでしょう。導入可否を社内で判断する段階まで来ているなら、自社データで検証できる無料トライアルが最も確実です。
デモで確認すべきポイント(システム開発業の文脈)
デモや無料トライアルは、資料では判断しきれない「自社の案件がその画面に本当に載るか」を確かめる場です。システム開発業に特有の次の観点を、デモの場で実際のデータや操作に当てはめて確認すると、導入後のミスマッチを避けやすくなります。
- 準委任・請負の契約形態の違いを扱えるか:請負案件の原価管理だけでなく、準委任(SES)の稼働を案件や契約単位で原価・採算として扱えるか
- 多段階の委託・外注費を案件原価に載せられるか:一次請け・二次請けのように委託が重なる構造で、外注先への支払いを該当案件の原価として正しく集計できるか
- 保守・運用案件を扱えるか:開発案件だけでなく、月額で続く保守・運用契約の工数と採算を、継続案件として管理できるか
- エンジニアの工数が労務費に変換されるか:工数の入力が、単価や給与をもとに案件別の労務費へ自動で反映されるか、入力の手間はどの程度か
- 既存システムとの連携:すでに使っている会計・勤怠・工数管理のデータと連携できるか、二重入力が発生しないか
これらを事前にチェックリストとして用意し、デモの場で一つずつ当てはめて確認しておくと、稟議に進む際の判断材料がそろいます。次の章の選び方や、後半の比較表・診断とあわせて、確認する製品を絞り込んでいきましょう。
システム開発業向け原価管理システムの選び方
システム開発業の原価管理システムは、次の4つの観点で自社に合うかを見ると選びやすくなります。いずれもデモで確かめられる項目なので、候補を絞る物差しとして活用してください。
1. デモ・無料トライアルの提供形態で選ぶ。前章で整理したデモ・無料トライアルの形態のうち、自社の検討段階に合うものを提供している製品かを確認します。関係者で合意形成したい段階か、まず担当者が自分で触りたい段階かによって、向いている形態は変わります。
2. 原価管理の対応範囲で選ぶ。「案件別原価管理に必要な機能」で挙げた範囲のうち、自社が必要とするところまで対応しているかを確かめましょう。とくにシステム開発業では、準委任(SES)の稼働や多段階の委託、保守・運用案件の原価を自社の案件として載せられるかで差が出ます。工数管理はできても案件別原価の自動集計までは製品ごとに差があるため、実際の画面で確かめられます。
3. 守備範囲(原価管理専用かERP一体型か)で選ぶ。原価管理とプロジェクト管理に特化した製品は導入が軽く、案件採算の可視化に素早く取り組めます。一方、会計や販売管理まで一体化した基幹システム(ERP)型は、全社の数字と案件別の採算を同じ仕組みでそろえられる反面、導入の範囲や期間が大きくなります。自社がどこまでを一つのシステムでまかないたいかで決まります。
原価管理に特化した専用ツールと基幹システム(ERP)型のどちらが自社に合うか迷う場合は、ERPで何ができて会計ソフトや管理会計専用システムと何が違うのか、費用の目安まで整理した以下の記事が判断の助けになります。
4. 既存システムとの連携で選ぶ。すでに使っている会計・勤怠・工数・販売管理のデータと連携できるかは、運用の手間を左右します。連携の可否や方法(API・CSV取り込みなど)、二重入力が発生しないかを、デモで実際のデータの流れとして確かめておきましょう。
自社がどのタイプに適しているかの判断が難しいこともあります。下記の「30秒で終わる選定診断ツール」では、原価計算の方式や工数・外注費の持ち方、連携要件、規模などの質問に答えると、デモを試す候補を絞り込めます。
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【比較表】システム開発業の原価管理をデモで試せる製品
ここからは、システム開発業の案件別原価に対応する主要12製品を、デモ・無料トライアルの形態、原価管理の対応範囲、連携、料金で横並びに比較します。原価管理に特化した専用ツールから、全社の数字を一元化する基幹システム(ERP)型まで幅があるので、自社の規模と必要な範囲に合うものを探す起点にしてください。各製品の詳細は、表のサービス名から個別紹介へ移動して確認できます。
同じ「デモ」でも試せる深さには差があります。表で無料トライアルと記載した製品は、アカウントを作って自分の案件データで操作感まで確かめられます。商談デモや要問い合わせが中心の製品は、営業担当の説明を受けながら機能を確認する形が基本です。
自分で触って確かめたい場合は無料トライアルのある製品から、まず要件を相談したい場合は商談デモ中心の製品から見ていくと、目的に合わせて絞り込みやすくなります。
| サービス名 | Oracle NetSuite | OBPM Neo | クラウドERP ZAC | マネーフォワード クラウド個別原価 | MA-EYES | Reforma PSA | プロカン | HUE Classic Project Management | SMILE V 2nd Edition Project Director | eERP | 勘定奉行クラウド[個別原価管理編] | Task Relay |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 統合型ERP | IT特化のPM・原価管理 | 案件特化型ERP | 個別原価会計 | 案件特化型ERP | IT向けPSA | 案件収支管理 | プロジェクト収支管理 | プロジェクト収支管理 | 案件特化型ERP | 個別原価会計 | 工数・原価管理アプリ |
| デモ・無料トライアル | 製品デモ(商談型)/無料トライアルは記載なし | 無料トライアル(全機能)+デモ | 商談デモ・製品ツアー・無料相談/無料トライアルは記載なし | デモ・相談は要問い合わせ(無料トライアルなし) | 無料トライアル(30日間)+デモ | 無料デモ・商談/無料トライアルは記載なし | 無料デモ/無料トライアルは記載なし | デモのリクエスト導線/無料トライアルは記載なし | 実機デモ・無料体験版(期間限定トライアルの明記なし) | 無料トライアル(30日間・全機能・カード登録不要) | 無料トライアル(30日間)+オンラインデモ | 無料デモ(オンライン30分)/無料トライアルは明記なし |
| 案件別原価の対応範囲 | 工数→会計へ自動転記/案件別原価/直接費・間接費を案件予算に配賦 | 工数→工程別原価・社員ランク別標準原価の個別原価計算(間接費配賦は記載なし) | 工数→案件別労務費を自動集計/個別原価計算/共通費・販管費を配賦 | 工数→ワンクリックで個別原価計算/科目別に労務費を按分/部門・案件へ多段階配賦 | 工数×マスタ単価→労務費/個別原価/工数・人数・売上等を基準に配賦 | 工数→労務費配賦・共通費配賦/実行予算と案件別原価を自動計算(工数登録が前提) | 工数×労務単価→人件費/案件別の個別原価/間接費を按分 | 工程×配置人員で予定原価/勤怠・経費・売上を集約し人件費算出と配賦/案件別原価 | 工数×社員別単価→案件別労務費を自動更新(間接費配賦は公式に記載なし) | 工数→労務費/個別原価/間接費・共通費を自動配賦 | 労務費計上/個別原価計算/設定基準で自動配賦・進捗度基準の原価振替 | 工数×フルコスト単価(間接費を内包)で案件原価/直接・間接工数を分類/WIP計上(間接費配賦の明示なし) |
| 工数・工程管理 | ● | ◎統合PM・工程別 | ● | △原価特化(工数入力) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | △会計主体(工数は給与データ等から) | ◎WBS・工数を一体管理 |
| 予実・損益着地見込み | ●予算と実績を比較 | ◎PJ別採算EVMで評価 | ●案件損益をリアルタイム可視化 | 記載なし | ●部門別・案件別・顧客別に損益可視化 | ●仕掛中でも損益をタイムリー把握 | ●案件別に予算・実績を集約 | ◎赤字見込み案件を自動抽出 | ●アサイン予定と工数実績の差異を把握 | ◎予実差異・コスト消化率で赤字リスクを警告 | ●発生額・粗利・予算を同一画面で確認 | ●フェーズ別に計画と実績を比較 |
| 外部連携 | 会計・販売・在庫・CRMを単一基盤に統合 | 会計・勤怠・販売管理とWeb API/ETL連携 | 会計・販売管理を内包する統合ERP | MFクラウド会計Plusと共通マスタ/勤怠連携 | 勘定奉行クラウドとAPI連携(販売管理はERPで内包) | 勘定奉行クラウド・MFクラウド会計など会計システムへファイル連携 | 弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードと会計連携 | 勤怠・経費・売上を集約し仕訳作成・会計連携まで一連 | 会計(SMILE V 2nd Edition 会計)・勤怠(Universal 勤次郎)と連携 | 会計システムから外注費・経費を取り込み | 会計本体と一体/銀行・カード・給与データから自動仕訳 | Salesforce上で稼働(別途ライセンス必要) |
| 料金 | 要問い合わせ(年間ライセンス+初期費用、公式非公開) | 月額10.5万円〜(税抜、原価管理はEnterprise) | 初期10万円+月額(モジュール×ライセンス、保守6万円〜/月)、単価要問い合わせ | 要問い合わせ(利用人数・契約により変動、公式非公開) | 要問い合わせ(導入形態・人数・機能により変動、公式非公開) | 初期0円+月額3万円〜(税抜) | 初期15万円〜+月額3万円〜(税込16.5万/3.3万円〜) | 要問い合わせ(公式非公開) | 要問い合わせ(公式に料金表なし) | 初期4万円+月額4万円〜(税抜、11名目〜1名月1,000円加算) | 月額27,500円〜+初期50,000円(iAシステム) | 基本2,000円+工数管理1,000円/ユーザー・月(最低20、別途Salesforce) |
| 規模感・対象 | 中堅〜大・海外展開企業 | SIer・IT企業(中堅中心) | 案件型業種の中堅〜(IT・広告・コンサル) | IPO準備・中堅〜上場企業 | プロジェクト型(SES・受託・コンサル) | 従業員50名以下の中小・成長企業 | 受託型ビジネス(IT・システム開発) | 中堅〜大企業(SI・工事・コンサル) | ソフトウェア・IT/広告・制作 | 30〜1,000人規模のSIer・システム開発 | 受注生産・プロジェクト型事業 | Salesforce利用の受託開発 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※ 各製品のデモ・料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。「要問い合わせ」は公式が料金を公開していないものです。税表記は各社の表示に従います。
サービス個別紹介
ここからは、各製品のデモ提供形態・原価管理の対応範囲・連携・料金・システム開発業での導入実績を、一社ずつ具体的に紹介します。
1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

日本オラクル株式会社が提供する統合型クラウドERPです。会計・販売・在庫・CRMを単一のクラウド基盤にまとめ、専門サービス事業の収支・工数を管理するPSA(プロフェッショナルサービス自動化)製品「SuiteProjects」でプロジェクト管理・原価を扱います。基幹システムと一体で運用したい中堅〜大企業・海外展開企業向けの位置づけです。
案件別原価は、プロジェクト会計で購買発注を案件に紐付けて集計し、直接費・間接費を案件予算に対して配賦します。タイムシートで記録した工数は総勘定元帳へ自動転記され、タイム・アンド・マテリアルや固定価格など複数タイプのプロジェクトで予算と実績を比較できます。
製品デモを用意しています。料金は公式非公開で、コア・プラットフォーム・オプションモジュール・ユーザー数で構成する年間ライセンス料と初期費用が基本となり、金額は要問い合わせです。全世界で44,000社を超える導入実績があります(公式サイト表記、2026年10月1日確認)。
2. OBPM Neo(株式会社システムインテグレータ)

システム開発業(SIer・IT企業)向けに2008年から提供される統合型プロジェクト管理システムです。公式は「原価管理に強みを持つ」と訴求しており、クラウド版の「OBPM Neo」は2021年にリリースされました。開発・提供は株式会社システムインテグレータです。
工数入力から工程別原価や社員ランク別標準原価を積み上げ、原価見積・実行予算と、プロジェクト別採算を出来高管理(EVM)の考え方で予算・進捗とあわせて定量的に評価します。勤怠・販売管理・会計システムとはWeb APIやデータ連携(ETL)でつなぎ、月次の仕掛原価・完成原価を会計システムへ出力できます。
無料トライアルでは全機能を利用できます。料金は月額10万5千円(税抜)からで、原価管理機能はEnterpriseエディションで使えます。導入実績は300社以上・約56,000ユーザーで、SGシステムでは導入から7年で1,300名が利用しています。
3. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した統合型クラウドERPです。IT・システム開発、広告、コンサルティングなどが対象で、工数登録を労務費に変換して案件損益をリアルタイムに可視化します。提供元は東証プライム上場の株式会社オロです。
担当者が案件と作業項目を指定して登録した工数は、案件別の労務費として自動集計されます。直接作業は指定案件に直課し、間接作業は部門配下の案件に再配賦する仕組みで、共通費・販管費の配賦にも対応します。工事進行基準による売上の自動計算も可能です。
無料相談・製品デモ・製品ツアーを提供しています(期間を区切った無料トライアルは公開ページに記載がありません)。料金は初期設定費用10万円、機能(モジュール)×ライセンス数の課金に保守6万円〜/月で、単価は要問い合わせです。導入実績は1,100社超です。
4. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

公式が対象を「IT・システム開発業」などのプロジェクト型事業と明記する個別原価管理システムです。株式会社マネーフォワードが提供し、IPO準備・中堅〜上場企業向けと位置づけています。
工数入力をもとにワンクリックで労務費・外注費・経費から原価を算出します。勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して労務費を按分し、工数比率・従業員数比率・カスタム基準などで部門・プロジェクトへ多段階に配賦できます。マネーフォワード クラウド会計Plusとは共通マスタで連携します。
デモや相談は資料ダウンロード・無料見積もり・問い合わせ経由で、期間を区切った無料トライアルは公式に記載がありません。料金は利用人数・契約内容により変動し公式非公開です。IT・メディアのBrushupでは、月次の個別原価計算を導入前の丸2日程度から3時間ほどに短縮したとされています。
5. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

システム開発業・SES・受託開発・コンサルティングなど、プロジェクト型ビジネスに特化したクラウド型ERPです。工数・原価を集約し、部門別・案件別・顧客別など複数の切り口で損益を可視化します。提供元は株式会社ビーブレイクシステムズです。
メンバーのマスタに設定した基準時間の単価と作業時間を掛けて労務費を算出し、案件原価に反映します。配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報まで自由に設定できます。勘定奉行クラウドとのAPI連携で仕訳データの手入力を減らせます。
30日間の無料トライアルとデモを用意しています。料金は導入形態(SaaS/SaaS+/一括)と利用人数・機能により変動し、公式非公開で要問い合わせです。テックファームでは、経理の月次締め処理を5日から4日へ短縮したとされています。
6. Reforma PSA(株式会社オロ)

株式会社オロが、クラウドERP「ZAC」の機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したPSAです。従業員50名以下の中小・成長企業を主な対象としています。
従業員がプロジェクト・作業内容ごとに入力した工数をもとに労務費配賦・共通費配賦を行い(いずれも工数登録が前提)、実行予算と案件別の原価を自動計算します。仕掛中の案件でも損益をタイムリーに把握できます。勘定奉行クラウドやマネーフォワード クラウド会計など複数の会計システムへファイル連携します。
無料のデモ・商談を提供し、期間を区切った無料トライアルは公式に記載がありません。料金は初期費用0円、月額3万円(税抜)からで、導入期間は1〜2か月程度が目安です。導入実績は500社以上です。
7. プロカン(株式会社PROCAN)

案件単位で進行する受託型ビジネス向けのクラウド型プロジェクト収支管理システムです。「プロカンIT」としてIT・システム開発向けのラインを持ち、株式会社PROCANが提供しています。
案件(JOB)ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、工数に労務単価を掛けて人件費を換算、インフラ費やライセンス費などの間接費を按分して案件原価を算出します。会計連携は弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードに対応します。
無料のデモンストレーションを申し込めます(期間を区切った無料トライアルは公式に記載がありません)。料金は初期費用15万円(税込16万5千円)から、月額3万円(税込3万3千円)からで、利用人数に応じて変動します。IT・システム業のアイズバレルでは、Excel運用から移行し請求書作業を1日で完結できるようになったとされています。
8. HUE Classic Project Management(株式会社ワークスアプリケーションズ)

株式会社ワークスアプリケーションズが提供するプロジェクト収支管理システムで、SI・工事・コンサルティング・研究開発などプロジェクト型の業種・業態を対象とします。導入事例は大手〜中堅が中心で、中堅〜大企業向けの位置づけです。
必要工程と配属人員を積み上げて予定原価を作成し、月次決算時に勤怠・経費・売上を集約して人件費算出と配賦処理を行います。案件別の予実を月別・勘定科目別に比較し、事前に設定した基準値で赤字見込み案件を自動抽出します。原価の算出から仕訳作成・会計連携までを一連で処理します。
デモのリクエスト導線があり、無料トライアルは公式に記載がありません。提供形態はオンプレミス型パッケージに加え、AWS/OCI上で運用を代行する「HUE Classic Cloud」を選べます。料金は公式非公開で要問い合わせです。TDKでは、毎月の集計・分析業務を1週間程度から1日に短縮したとされています。
9. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社OSK)

案件単位で、見込み発生から受注・発注・仕入・売上・請求・入金・支払までを一元管理するプロジェクト収支管理システムです。株式会社OSKが開発し、株式会社大塚商会が販売しています。ソフトウェア・IT、広告・コンテンツ制作などが対象です。
Web画面で入力した工数を案件別に自動集計し、社員別に設定した単価と工数を掛け合わせてJOBごとの労務費を自動更新します。受注時のアサイン予定と工数実績の差異を把握でき、プロジェクト別・部門別・サービスカテゴリー別の収支管理帳票を出力します。間接費の配賦の対応可否は公式ページに記載がありません。
実機でのデモンストレーションと無料体験版を用意しています(期間を区切った無料トライアルの明記はありません)。会計(SMILE V 2nd Edition 会計)や勤怠管理「Universal 勤次郎」と連携できます。料金は公式に料金表がなく要問い合わせです。
10. eERP(株式会社コマースロボティクス)

株式会社コマースロボティクスが提供する中小企業向けクラウドERPで、商品販売・製造型とプロジェクト型に対応します。プロジェクト型ERPはSIer・システム開発を対象とし、30〜1,000人規模の企業に向けた構成です。
案件ごとに顧客・期間・予算・担当者を管理し、見積工数×単価から予算を自動計算します。日次で入力した工数から労務費を算定し、会計システムから取り込んだ外注費・経費と合わせて実績原価を自動集計、間接費・共通費は一定の基準で各プロジェクトへ自動配賦します。見積原価と実績原価の予実差異・粗利・コスト消化率を案件単位で表示し、赤字リスクを警告します。
30日間の無料トライアルを全機能・クレジットカード登録不要で利用できます。試用中に入力したデータは有料プランへ引き継げます。料金は公開されており、プロジェクト型ERPは初期費用4万円・月額4万円(税抜)で、11名目から1名あたり月1,000円が加算されます。
11. 勘定奉行クラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)
![勘定奉行クラウド[個別原価管理編]のウェブサイト](https://i0.wp.com/wpcatalog.cryptobk.jp/wp-content/uploads/2026/09/kanjo-bugyo-cloud-kobetsu-genka-sitecapture.png?resize=1200%2C517&ssl=1)
財務会計にプロジェクト単位の個別原価管理を加えた勘定奉行クラウドのエディションです。株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供し、受注生産・プロジェクト型事業の個別原価計算を会計本体と一体で扱います。
請負金額・進捗・予定期間をプロジェクトごとに一元管理し、プロジェクト別原価報告書をワンタッチで出力します。発生額・入金情報・粗利・予算を同一画面で確認でき、労務費計上、設定した基準に基づく自動配賦、進捗度を基準にした原価振替を自動化します。銀行明細・クレジットカード・給与データからの自動仕訳も備えます。
30日間の無料体験とオンラインデモを提供しています。料金はiAシステムが月額27,500円(初期費用50,000円)からで、分析機能付きのiB、管理会計機能付きのiSを選べます。奉行シリーズ全体の累計導入は86万です(OBCでのユーザー登録完了数、2026年8月末時点)。
12. Task Relay(株式会社クリエイターズマッチ)

Salesforce上で完結する受託開発向けのプロジェクト&工数管理アプリです。株式会社クリエイターズマッチが提供し、タスク(WBS)・工数・リソースを一体で管理します。利用にはSalesforceライセンスが別途必要です。
要件定義・設計・開発・テスト・保守など稼働種別ごとに工数を入力し、給与・社会保険料・間接費を含むフルコスト人件費単価で案件原価に換算します。稼働種別による直接・間接工数の分類や、未完了案件の工数からの月次計上(WIP)に対応し、フェーズ別に計画と実績を比較して案件粗利・予実を可視化します。
オンライン30分の無料デモを申し込めます(無料トライアルは製品サイトに明記がありません)。料金は基本ライセンス2,000円/ユーザー・月(最低20ユーザー)に、工数管理オプション1,000円/ユーザー・月を加える構成で、別途Salesforceライセンスが必要です。サイボウズ・Sansan・SmartHRなどの導入企業が公式に掲載されています。
まとめ
システム開発業の原価管理では、エンジニアの工数を案件別の労務費に変換し、外注費や経費とあわせて個別原価計算で案件ごとの採算を把握することが中心になります。対応できる範囲は製品ごとに差があるため、自社の案件がその画面にどう載るかを見極めることが欠かせません。
資料だけでは判断しきれない操作感や対応範囲は、デモ・無料トライアルで実際に試すのが近道です。準委任や多段階の委託、保守案件、エンジニアの工数が自社の案件としてその画面に載るかを、本記事の確認ポイントや比較表・診断を手がかりに検証し、自社に合う製品を絞り込んでください。
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よくある質問(FAQ)
Q. システム開発業の個別原価計算とは何ですか?
A. 個別原価計算とは、受注した案件(プロジェクト)を単位として、かかった原価を一つずつ積み上げて把握する方法です。システム開発業は案件ごとに成果物を作る受注生産型のため、エンジニアの工数から換算した労務費に、外注先への委託費やライセンス・クラウド利用料などの経費を加えて、案件ごとの原価と粗利益を計算します。
製品や部門全体でまとめて原価を把握する総合原価計算とは異なり、案件単位で採算が見える点が特徴です。
Q. システム開発業向け原価管理システムのデモを使うのに登録やインストールは必要ですか?
A. システム開発業向け原価管理システムはクラウド型が主流で、ブラウザから使うためインストールは基本的に不要です。登録の要否はデモの形態によって変わります。サンプルデータを触れる登録不要の体験デモもありますが、営業担当が画面を共有する商談型のオンラインデモや、自社データで検証する無料トライアルは、日程調整や申し込みが必要です。
まず手早く操作感だけを見たいのか、関係者で合意形成まで進めたいのかで、使う形態を選ぶとよいでしょう。
Q. 無料トライアルはどのくらいの期間使え、入力したデータは契約後に引き継げますか?
A. 無料トライアルの期間は30日間を目安とする製品が多く、試用中に入力したデータを有料プランへ引き継げる製品もあります。全機能をクレジットカード登録なしで試せるものもあり、どの製品がどの形で試せるかは比較表で確認できます。
ただし期間・利用できる機能・データ引き継ぎの可否は製品ごとに異なるため、自社の案件データで検証する前に条件を確認しておくと安心です。
Q. 既存の会計ソフトを残したまま、システム開発業の案件別採算まで管理できますか?
A. 多くの原価管理システムは会計システムと連携できるため、既存の会計ソフトを残したまま案件別の採算管理を追加できます。本記事で紹介した製品の多くは、勘定奉行・freee・マネーフォワード・弥生などの会計システムとAPIやファイルで連携し、工数から集計した案件別原価や仕訳データを受け渡しします。
原価管理側で案件別の採算を可視化し、会計は手元のものを使い続ける、という組み合わせが可能です。連携できる会計ソフトの種類と連携方法は、デモで実際のデータの流れとして確かめておきましょう。
Q. システム開発業向け原価管理システムは準委任(SES)や保守・運用の案件も扱えますか?
A. 請負案件だけでなく、準委任(SES)の稼働や月額で続く保守・運用案件の原価・採算を扱える製品があります。たとえば稼働種別ごとに工数を入力して原価へ換算する製品や、継続的に発生する保守費の請求に対応する製品があります。ただし対応の深さは製品ごとに差があるため、自社が抱える準委任・保守・多段階の委託といった契約形態を、デモの場で実際の案件に当てはめて確認することをおすすめします。
Q. システム開発業向け原価管理システムの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 導入期間は対象とする業務の範囲によって変わり、原価管理・プロジェクト管理に絞った製品であれば1〜2か月程度が目安です。導入期間の目安を公式に示している製品もあります。
一方、会計や販売管理まで含めた基幹システム(ERP)型として広く導入する場合は、要件整理やデータ移行の範囲が大きくなり、さらに期間がかかります。どこまでを一つのシステムでまかなうかによって期間が変わる点を踏まえ、スケジュールを組むとよいでしょう。
Q. 今使っているExcelの工数・原価データは移行できますか?
A. 多くの製品でExcelデータの移行は可能ですが、移行前にデータの整理が必要になります。案件名や取引先名の表記ゆれ、重複、入力ルールの不統一があると、そのまま取り込んでも正しく集計できないためです。移行するデータの量が多いほど整理に時間がかかるため、早めに着手し、どの範囲のデータを移すかを決めておくとスムーズです。移行作業の支援の有無も、製品選びの確認ポイントになります。
Q. システム開発業向け原価管理システムはクラウドとオンプレミスのどちらを選ぶべきですか?
A. 多くのシステム開発会社ではクラウド型が第一候補になります。初期費用を抑えやすく、社外やテレワーク環境からも工数を入力でき、保守の手間が少ないためです。本記事で紹介した製品の多くもクラウド型です。
一方、社外に出せないデータを扱う、既存の社内システムと密に連携させたいといった事情がある場合は、オンプレミス型や両者の併用を検討します。オンプレミスとクラウド運用の両方を選べる製品もあります。
Q. システム開発業向け原価管理システムの料金相場はどのくらいですか?
A. 月額3万円前後から利用できる製品がある一方、料金を公開せず要問い合わせとしている製品も多いのが実情です。本記事で紹介した製品では、初期費用0円・月額3万円(税抜)からのものや、初期費用15万円・月額3万円からのもの、月額27,500円からのものなど、価格を公開している製品があります。
基幹システム(ERP)型や中堅〜大企業向けの製品は、利用人数や機能構成で料金が変わり公式非公開のことが多いため、同じ条件で各社から見積もりを取り、デモで確かめた対応範囲とあわせて判断するのが確実です。
Q. 小規模・少人数のシステム開発会社でも原価管理システムを導入する意味はありますか?
A. 少人数のシステム開発会社でも、案件数が増えてきたり外注・準委任が絡んできたりすると、原価管理システムを導入する意味があります。人数そのものよりも、同時に動く案件の数や、工数・外注費の集計をExcelの手作業で追いきれているかが判断の目安になります。
従業員50名以下の中小・成長企業を主な対象とする製品や、30名規模から使える製品もあるため、小規模だからと諦めず、自社の案件規模に合う製品をデモで試してみるとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















