「ブロックチェーンで物流を効率化できないか」。展示会やニュースでこの言葉を見かけ、自社のトレーサビリティや紙書類の非効率に使えないか、当たりを付けたい担当者は少なくありません。ただ、解説を読んでも「透明性が上がる」「改ざんに強い」といった一般論が並ぶだけで、自社の何が良くなるのかが像を結ばないことも多いはずです。
そこで本記事は、実在の企業がブロックチェーンを物流のどの場面で使い、その結果なにが変わったのかを、具体的な事例から示します。三井倉庫ロジスティクスがドライバーの待機時間を1日平均45分削減した取り組みなど、社内で共有しやすい形で整理しました。
そのうえで、「物流のどの課題に、ブロックチェーンのどの特性が効くのか」を対応関係で解説し、導入の現実(コスト・合意形成・普及度)まで踏み込みます。読み終えたとき、自社で検討する価値があるか、次に何をすればよいかを判断できる状態を目指します。
目次
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実在企業のブロックチェーン物流 活用事例
ここからは、国内の企業がブロックチェーンを物流で実際に活用した事例を、用途と効果、発表の出所とあわせて一覧で見ていきます。
| 企業・取り組み | 三井倉庫ロジスティクス(東芝デジタルソリューションズ・LOZI・ZEROBILLBANK と共同) | 日本IBM「ヘルスケア・ブロックチェーン・コラボレーション(HBC)」(日本通運など物流4社が参画) | ヤマトグループ(Sustainable Shared Transport)×富士通 | トレードワルツ(TradeWaltz) |
|---|---|---|---|---|
| 物流での用途 | 店舗向け配送のトレース記録と帳票のペーパーレス化 | 医薬品の流通経路・在庫の可視化(トレーサビリティ) | 複数企業による共同輸配送プラットフォームのデータ連携 | 貿易手続きの書類電子化(貿易情報連携) |
| 何が変わったか(効果) | QRコードでトレースデータを記録し改ざんを防止。上新電機向けの店舗配送で、配送に携わる運送会社のうち7社を対象に、ドライバーの待機時間を1日平均45分削減 | 製薬・物流・医療の企業間で医薬品データを共有し、流通経路と在庫を可視化。偽造医薬品の混入や在庫の行き違いを防ぐ体制づくりとして2023年4月から運用検証を開始 | 富士通のブロックチェーン技術を活用し、複数社が参加しても外部からの閲覧を防ぎつつ、データ改ざんを検知・復旧できる安全なデータ連携を実現 | ブロックチェーン基盤で貿易手続きを電子化。同社発表では、API連携済みの企業で導入箇所のアナログ書類がなくなり44%以上の効率化がなされた。2023年3月末時点で50社超が有償利用 |
| 発表・出所 | 2024年8月・東芝デジタルソリューションズ発表 | 2023年3月・日本IBM発表 | 2025年1月・ヤマトホールディングス発表 | 2023年5月・トレードワルツ発表 |
とりわけ具体性が高いのが、三井倉庫ロジスティクスの事例です。スマートフォンでQRコードを読み取り、拠点や役務ごとのトレースデータをブロックチェーン基盤に記録することで、紙の帳票をなくしました。その効果は次のように公表されています。
導入した店舗向けの配送では、ドライバー1人あたりの待機時間について1日平均45分の削減効果を確認できています
出典:ニュースリリース(2024年8月7日)|東芝デジタルソリューションズ・三井倉庫ロジスティクス・LOZI・ZEROBILLBANK JAPAN
この45分という数値は、上新電機の配送業務に携わる運送会社のうち7社の車両を対象に、紙の廃止前後の作業時間の差分から算出されたものです。物流の「2024年問題」に直結する待機時間の短縮を、記録のデジタル化と改ざん防止で実現した点が参考になります。
医薬品の分野では、日本IBMが主導するコンソーシアム「HBC」に、日本通運をはじめとする物流会社4社が参画しています。製薬会社・物流会社・医療機関がブロックチェーンで医薬品データを共有し、流通経路と在庫を可視化する取り組みで、偽造医薬品の流通防止にもつながります。
出典・参考資料(3件)
- 出典:ニュースリリース(三井倉庫ロジスティクス・LOZI・ZEROBILLBANK JAPAN・東芝デジタルソリューションズ)|東芝デジタルソリューションズ(https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2024/08/news-20240807-01.html)
- 出典:ブロックチェーンを活用した医薬品の流通経路・在庫の可視化に関する運用検証を開始|日本アイ・ビー・エム(https://jp.newsroom.ibm.com/2023-03-27-HealthcareBlockchainCollaboration-pilot)
- 出典:共同輸配送プラットフォームの提供開始|ヤマトホールディングス(https://www.yamato-hd.co.jp/news/2024/newsrelease_20250127_1.html)
物流の課題別に見る、ブロックチェーンで何がどう変わるか
事例を「自社のどの痛みに効くのか」で読み解けるように、物流の代表的な課題と、そこに効くブロックチェーンの特性、解決のされ方を対応づけて整理します。メリットを単独で並べるのではなく、課題と特性の因果で見ると、自社に当てはまるかを判断しやすくなります。
| 物流の課題 | 荷物・商品の追跡が事業者ごとに分断される(トレーサビリティ) | 貿易・輸送書類の作成やり取りが非効率 | 記録の改ざん・商品の偽造リスク | 複数の取引先・運送会社をまたぐ情報連携 |
|---|---|---|---|---|
| 効くブロックチェーンの特性 | 分散台帳・透明性 | 分散台帳 | 耐改ざん性 | 分散台帳・透明性 |
| どう解決されるか | 生産から輸送・保管・納品までの記録を関係者が同じ台帳で共有し、どこで何が起きたかを一元的にたどれる | 書類を電子化して関係者間で同じデータを参照。二重入力や郵送・確認の手間を減らす | 記録を後から書き換えられない形で保存し、真正性を担保。偽造品の混入を検知しやすくする | 中央の管理者を置かずに関係各社が同じ台帳を参照し、データの食い違いや連携の遅れを抑える |
トレーサビリティは、先の医薬品プラットフォームのように「誰がどこで何を扱ったか」を関係者で共有できることが強みです。改ざんに強い記録は、三井倉庫ロジスティクスの事例が示すとおり、紙をなくしても記録の信頼性を保てる裏づけになります。多社間連携では、ヤマトグループと富士通の共同輸配送のように、外部からの閲覧防止と改ざん検知でデータの安全性を確保できます。
物流にとどまらず、調達から製造・販売まで含めたサプライチェーン全体でのブロックチェーン活用に視野を広げたい場合は、導入のメリットと具体的な事例を整理した以下の記事も参考になります。
ブロックチェーンの3つの特性を物流目線で理解する
対応表の「なぜ効くのか」を補うために、ブロックチェーンの基本的な特性を3つに整理します。総務省の情報通信白書は、一般社団法人日本ブロックチェーン協会の定義を引いて、次のように説明しています。
一般社団法人日本ブロックチェーン協会は広義のブロックチェーンを「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術」と定義している。
出典:平成30年版 情報通信白書「ブロックチェーンの概要」|総務省

分散台帳(分散型のデータベース):中央のサーバー1か所ではなく、ネットワーク上の複数の参加者が同じ記録を持ち合います。物流では、荷主・運送・倉庫・販売など立場の異なる関係者が同じ情報を参照できることを意味します。
耐改ざん性:電子署名とハッシュ(データの指紋のような値)で記録が連なっているため、過去のデータを後から書き換えると整合が崩れて検知されます。取引履歴やトレース記録の真正性が保たれ、偽装や不正の入り込む余地を小さくします。
透明性・データ同一性:同じデータが多数の参加者に共有されるため、関係者の間で情報の食い違いが起きにくくなります。多社が関わる物流で、誰の手元でも同じ事実を確認できる状態をつくれます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:平成30年版 情報通信白書「ブロックチェーンの概要」|総務省(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133310.html)
貿易・国際物流で進む書類電子化の動き
物流のなかでも書類のやり取りが特に重い貿易分野では、業界横断のプラットフォームづくりが進んでいます。船積書類や信用状など多くの紙とやり取りが介在する貿易手続きを、関係者が同じデータを参照する形に置き換える動きです。
代表例が、NTTデータなどが立ち上げたトレードワルツの「TradeWaltz」です。輸出入者・銀行・保険会社・物流事業者といった当事者が、船積書類や信用状の内容を同じ基盤の上で参照・入力できるようにし、紙と個別のやり取りに依存してきた貿易手続きの電子化を進めています。
1社だけで完結しない貿易のように、多くの当事者が関わる領域ほど、共通の台帳で情報を突き合わせる価値は大きくなります。書類の受け渡しや突き合わせに費やしていた時間を削れるため、同社は API 連携を行っている企業で、導入箇所の業務のアナログ書類がなくなり44%以上の効率化がなされたとしています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:住友商事から出資、資金調達累計56.5億円を達成|トレードワルツ(https://www.tradewaltz.com/news/5061/)
導入の現実:合意形成・コスト・処理速度・法整備・普及度
ここまで見た効果は魅力的ですが、ブロックチェーンの物流活用にはまだ乗り越えるべき論点があります。判断材料として、導入時に直面しやすい課題を端的に押さえておきます。
多社間の合意形成:ブロックチェーンの価値は複数の関係者が同じ台帳を使ってこそ生まれます。裏を返せば、参加する取引先すべての納得とルールづくりが前提になり、旗振り役や費用分担の調整が最初の壁になりがちです。
導入・運用のコスト:基盤の構築や既存システムとの連携には相応の投資が必要です。小規模な取引先ほど負担が重く感じられるため、対象業務を絞った小さな実証から始めるのが現実的です。
処理速度とデータの扱い:記録を積み重ねる仕組みの特性上、大量の取引をリアルタイムで処理する用途では設計上の工夫が要ります。一度書き込んだデータを消しにくい点も、個人情報などの取り扱いでは考慮が必要です。
法整備と標準化:貿易書類の電子化など制度面の整備は進行中で、業界をまたぐデータ形式の標準化もこれからの部分が残ります。だからこそ、TradeWaltz のような業界横断の枠組みや、国際的な標準化団体の動きが重要になります。
普及度:実証(PoC)から本番運用へと進む事例が国内でも増えてきた段階です。全面的な普及にはまだ時間がかかるものの、自社の一部業務で試す価値のある成熟度には達しています。
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ブロックチェーン物流を自社で始めるには(PoC・伴走支援サービスの活用)
自社で検討する場合、いきなり全社的なシステムを目指すのではなく、対象業務を絞った実証(PoC)から始め、手応えを確認しながら段階的に広げるのが定石です。もっとも、ブロックチェーンは事業への落とし込みまでの距離がある領域で、社内に知見が乏しいまま進めると企画段階でつまずきやすくなります。
そこで有効なのが、構想から実装までを伴走する外部の支援サービスです。物流だけを専門にするサービスは多くありませんが、企業間で共有する台帳(コンソーシアムチェーン)の構築や、PoCから実装までの伴走といった実装力は、物流の多社間連携やトレーサビリティをかたちにするうえで共通して役立ちます。

ここでは、ブロックチェーンの企画・PoC・システム開発を支援するサービスを紹介します。自社の課題に近い進め方をしてくれそうか、という視点で、特徴を一覧で比べたうえで各サービスの内容を見ていきましょう。
| サービス名 | Consensus Base | Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT | Decentierコンサルティング |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | コンセンサス・ベイス株式会社 | 株式会社アツラエ (旧クリプトリエ事業を承継) | 株式会社Decentier |
| 支援範囲 | 構想・設計・実装を一気通貫 (技術コンサル〜受託開発〜監査・運用) | 企画・PoC・実装・運用をワンストップ (コンサル+受託開発) | 市場調査・事業戦略から設計・開発まで一貫 (コンサルにとどまらず自ら開発) |
| 得意・対応領域 | 企業間で共有するコンソーシアムチェーン構築(Hyperledger Fabric / Besu) マルチチェーン対応・スマートコントラクト監査 実績: 累計43社・103件超(2015年創業) | 特定業種を限定しないWeb3全般のPoC伴走 課題起点(なぜWeb3を使うか)の企画整理 ISMS(ISO/IEC 27001)認証取得(旧クリプトリエ名義) | 市場調査〜要件定義〜システム開発を一貫(自ら開発) ブロックチェーンとAIの両方に知見 新規事業の構想段階から実装まで相談可 |
| 料金 | 要問い合わせ (初回ヒアリング・要件整理・技術調査は無料) | 要問い合わせ (プロジェクト個別見積もり) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
ここで挙げた3社に限らず、Web3・ブロックチェーンのビジネス活用を支援するサービスを幅広く比較し、支援範囲や選び方まで詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
ブロックチェーンコンサルとは?支援内容・会社のタイプ・選び方を解説
「自社でもブロックチェーンやWeb3で何かできないか検討してほしい」と言われたものの、社内に詳しい人がいない、という状況は少なくありません。技術の中身も、何から手をつければよいかも分からないまま、外部の専門家に相談したいと考えても、そもそも…
1. ブロックチェーン開発・実装支援|Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは2015年創業のブロックチェーン専門企業で、公式サイトでは「日本初のブロックチェーン技術の専門企業」を掲げています。実証実験から本番システムの開発まで、構想・設計・実装を一気通貫で請け負う点が中核です。
物流の多社間データ連携で鍵になるのが、企業間で共有する台帳を構築するコンソーシアムチェーンです。同社は Hyperledger Fabric や Besu といった企業向け基盤に対応し、スマートコントラクトの開発やセキュリティ監査まで工程に含めています。
伊藤忠テクノソリューションズやNEC、IIJ、セブン銀行などとの取引実績を公開しており、累計43社・103件超の実績を訴求しています。初回のヒアリング・要件整理・技術調査は無料で、料金は案件ごとの見積もりです。
2. Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT(株式会社アツラエ)

「なぜWeb3を使う必要があるのか」という課題起点の問いから整理する進め方を掲げるのが、株式会社アツラエの Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT です。企画の相談からPoC、実装、リリース後の運用までを同じチームで伴走する体制で、コンサルと開発の両輪をカバーする点を強みとしています。
特定業種に限定しないPoC開発支援を提供しており、「まずは実証で試したい」という段階からの相談に向いています。情報セキュリティマネジメントの国際規格 ISO/IEC 27001(ISMS)認証を旧クリプトリエ事業で取得しているのも、社内の合意形成や経営層への説明材料が要る場面での安心材料になります。料金はプロジェクト単位の個別見積もりです。
ブロックチェーン活用では、担当者自身は理解していても、社内の合意形成や経営層への説明の場で企画が止まりやすいという壁があります。この段階での伴走について、同社は次のように述べています。
Web3は、担当者様ご自身は理解されていても、上司や経営層にご説明する場で言葉に詰まってしまうことが多い領域です。そこで当社では、「なぜWeb3なのか」「この技術を使うと経営課題にどう効くのか」を第三者に説明するための資料やコンテンツをご提供し、必要であれば概算見積もりまでセットでお出しします。プロジェクトレベルで「この規模をこの期間で進めるとどの程度の費用感になるのか」を具体化してお渡しすることで、社内稟議の土台を一緒に作るイメージです。
3. Decentierコンサルティング(株式会社Decentier)

「Beyond Consulting We Build.」を掲げる株式会社Decentierは、ブロックチェーンを使った新規事業を、市場調査・事業戦略の策定からサービス設計・要件定義、システム開発まで一貫して支援します。コンサルティングにとどまらず自ら開発まで手がける姿勢を打ち出している点が特徴です。
強みは、市場調査から要件定義、システム開発までを一つのチームで担える一貫体制で、ブロックチェーンに加えてAIエンジニアリングの知見も持ちます。暗号資産やトークン化など手がける領域は広く物流特化ではありませんが、「ブロックチェーンで新しい事業を立ち上げたい」という構想段階から実装まで見据えて相談したい企業に向いた選択肢です。料金は問い合わせベースです。
まとめ
ブロックチェーンは、物流の「追跡が分断される」「書類のやり取りが重い」「記録の改ざんや偽造が怖い」「多社間の情報連携がうまくいかない」といった課題に、分散台帳・耐改ざん・透明性という特性で効きます。三井倉庫ロジスティクスの店舗配送や、医薬品トレーサビリティ・貿易書類の電子化のように、実証から本番へと進む事例も国内で積み上がってきました。
一方で、多社間の合意形成やコスト、標準化はこれからの部分も残ります。だからこそ、対象業務を絞ったPoCから小さく始め、必要に応じて開発・実装を伴走する支援サービスを活用するのが現実的です。自社のどの課題に効きそうかを見極める材料として、各社の資料もあわせてご確認ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ブロックチェーン物流とは何ですか?
A. ブロックチェーン物流とは、荷物や書類の記録を、複数の関係者が同じ台帳で共有し改ざん困難な形で管理するブロックチェーン技術を、物流やサプライチェーンに応用する取り組みです。生産から輸送・保管・納品までの履歴を関係各社が同じデータで参照できるようになり、荷物の追跡(トレーサビリティ)の一元化や貿易・輸送書類の電子化などに活用されます。
Q. ブロックチェーンと仮想通貨(暗号資産)は何が違うのですか?
A. ブロックチェーンは記録を分散管理する「技術」の総称で、仮想通貨(暗号資産)はその技術を使った応用先の一つにすぎません。物流で使うブロックチェーンは通貨の発行や売買とは切り離されており、荷物や書類の履歴を改ざんされにくい形で共有する用途に使われます。仮想通貨を保有・取引する必要はないため、社内説明の際は「暗号資産とは別物の記録管理の仕組み」として整理すると誤解を避けられます。
Q. ブロックチェーンを物流に使うと、具体的に何が変わりますか?
A. ブロックチェーンを物流に導入すると、紙の伝票・書類の電子化、荷物追跡(トレーサビリティ)の一元化、記録の改ざん・偽造の防止、多社間のデータ連携の円滑化が実現します。抽象的な「透明性向上」にとどまらず定量効果として表れることもあり、例えば三井倉庫ロジスティクスの事例では、トレース記録のデジタル化とペーパーレス化によってドライバーの待機時間を1日平均45分削減しています。
Q. ブロックチェーンの物流導入にはどのくらいの費用がかかりますか?
A. ブロックチェーンの物流導入費用は案件の規模や連携範囲で大きく変わり、多くの支援サービスは個別見積もりが基本です。一律の相場は示しにくいものの、対象業務を絞った小規模な実証(PoC)から始めれば初期投資を抑えて費用対効果を見極められます。無料で相談や要件整理に対応する事業者もあるため、まず相談するとよいでしょう。
Q. 中小企業や自社一社だけでもブロックチェーン物流を始められますか?
A. 小規模から着手することは可能ですが、ブロックチェーンの効果は複数の関係者が同じ台帳を使ってこそ最大化されます。自社内の記録管理や特定業務の実証であれば一社でも始められますが、トレーサビリティや多社間連携という本領を発揮するには取引先の参加が前提になります。まずは自社課題の整理とPoCで手応えを確かめ、必要に応じて取引先を巻き込んで広げていく進め方が現実的です。
Q. ブロックチェーンの物流活用はどのくらい普及していますか?
A. ブロックチェーンの物流活用は、実証実験から本番運用へと進む事例が国内でも増えてきた段階で、全面的な普及には至っていません。三井倉庫ロジスティクスやヤマトグループの共同輸配送、貿易分野のトレードワルツ(2023年3月末時点で50社超が有償利用)など具体的な取り組みは着実に増えており、自社の一部業務で試す価値のある成熟度には達しています。
Q. ブロックチェーン物流を自社で始めるには、何から着手すればよいですか?
A. まずは自社の物流課題のうちどれがブロックチェーンで解決できそうかを整理し、対象業務を絞った実証(PoC)から始めるのが定石です。社内に知見が乏しいまま進めると企画段階でつまずきやすいため、構想から実装までを伴走する外部の支援サービスに相談すると進めやすくなります。関連する支援サービスの資料を比較し、自社の課題に合う相談先を見つけることが具体的な次の一歩になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















