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ランサムウェア対策を依頼できる会社・サービスを比較|守る領域と選び方を解説

ランサムウェア対策を依頼できる会社・サービスのサムネイル画像

ランサムウェアによる被害は、企業の規模を問わず発生しています。警察庁の集計では、令和6年(2024年)中に報告されたランサムウェアの被害件数は222件にのぼり、そのうち中小企業が140件と、大企業の61件を上回りました。VPN機器の脆弱性やリモートデスクトップを突いた侵入、二重恐喝といった手口が主流となり、「うちのような会社は狙われない」という前提はもはや通用しなくなっています。

出典・参考資料(1件)

とはいえ、専任のセキュリティ担当者を置けない企業にとって、予防から検知、感染後の復旧・調査までを自社だけで守り切るのは簡単ではありません。そこで現実的な選択肢になるのが、対策のどこか、あるいは全体を外部の会社・サービスに任せるという方法です。

狙われる入口を塞ぐ予防、侵入を捕まえる検知、暗号化されても元に戻せる復旧、そして感染してしまった時の相談先まで、担い手となるサービスは領域ごとに分かれています。

本記事では、ランサムウェア対策を依頼できる会社・サービスの顔ぶれと、各社が「予防・検知・復旧・相談」のどこを担うかを整理します。あわせて、丸ごと任せるか自社で運用するかといった選び方、費用の目安、そして万一感染してしまった時の初動と駆け込み先まで解説します。自社に足りない対策を見極める材料としてご活用ください。

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本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

ランサムウェア対策を依頼できる会社・サービスの比較

ランサムウェア対策のサービスは、守る領域で大きく4つに分けられます。狙われる入口を事前に塞ぐ「予防」、侵入や不正な挙動を捕まえる「検知」、暗号化されても業務を元に戻す「復旧」、そして感染の疑いや被害が生じた時に調査・相談できる「相談」です。1つの会社が複数の領域を担うこともあれば、特定の領域に強みを持つ製品もあります。

ランサムウェア対策の4領域を攻撃の時間軸に沿って示した図解。事前に狙われる入口を塞ぐ予防、侵入時・侵入後に不正な挙動を捕まえる検知、暗号化されても業務データを元に戻す復旧、感染してしまった時に調査・相談できる相手を確保する相談の4つを、左から右への流れで示す。

各領域の中身と担い手の種別は後半で詳しく解説しますが、まずはどの会社・サービスがどの領域をカバーするかを横並びで確認してください。

表の検知・復旧欄では担い手を略語で示しています。EDRは端末を監視して不正な挙動を検知・対処、NDRは社内ネットワークの通信を監視、XDRは端末やクラウドなど複数を横断して検知、MDRは検知から対処までを専門事業者が代行する形を指します(詳細は後半の全体像で解説します)。

「提供形態」欄は運用の主体を表します。「マネージド型」やMDRは監視・対応まで運用を任せられる形、「製品導入」は製品を入れて自社で運用する形、「スポット診断」は必要な時に依頼する形です。専任者を置きにくい場合は、運用を任せられる形が現実的です。

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サービス名CoWorker 脆弱性診断サービスKATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージCrowdStrike FalconSentinelOneMicrosoft Defender XDRNetwork BlackboxAcronis Cyber Protect CloudVeeam Backup & ReplicationCoWorker 端末侵害診断サービス
守る領域予防予防・復旧・補償検知(エンドポイント)検知(エンドポイント)検知(エンドポイント)検知(ネットワーク)復旧復旧相談・感染後対応
対象規模の目安規模問わず中小企業向け
(100ノード前後が中心)
中小〜大企業
(中小はセルフ価格あり)
中小〜大企業Microsoft 365利用企業規模に応じて個別構成規模問わず
(プロバイダー経由)
小規模〜大企業
(無償版で小規模も可)
最大100台まで
一括診断可
提供形態スポット診断
(AI+専門家)
マネージド型パッケージ
(月次診断・伴走支援)
製品導入(SaaS)
MDRも選択可
製品導入(SaaS)
MDRあり
製品導入
(Microsoft 365/Defender製品)
製品導入
(アプライアンス/ミラーリング)
製品導入
(MSP/プロバイダー経由)
製品導入
(ライセンス/リセラー経由)
スポット・定期診断
(AI+専門家)
特徴AI「Red Agent」+専門家の二段診断。ソースコード・動的・ペネトレーションの3段階、最短3営業日で報告書月次の内部脆弱性診断・隔離バックアップ・サイバー保険を一体提供。専任者不在でも伴走単一の軽量エージェント。機械学習で亜種や実行後の挙動を検知・自動対応。24時間監視のMDR「Falcon Complete」もエージェント側AIが自律検知・隔離。1クリックのロールバック復旧、攻撃を再構成する「Storyline」ID・端末・メール・クラウドを横断し1インシデントで追跡。既存のMicrosoft 365環境を活かせる全パケットを保存するNDR。感染後に過去の通信まで遡り侵入経路を調査。EDR・SIEMと連携バックアップとセキュリティを統合。「Active Protection」がランサム挙動を検知・停止し復元。AES-256暗号化書き換え・削除できないイミュータブルリポジトリ。Secure Restore・クリーンルーム復元。仮想・物理・クラウド・SaaSを横断「感染したかも」の時に駆け込める端末フォレンジック。AI「Blue Agent」+専門家が解析、電子証拠保全にも対応
料金の目安150,000円〜
(上位プランは1,500,000円)
1台月額1,250円〜
(100ノード以下で年額90万〜150万円)
中小向け1台月額7.99ドル〜
(EDR含むEnterpriseは19.99ドル)。大規模・MDRは要見積もり
要お問い合わせ
(代理店見積もり)
Microsoft 365 E5に含む
(1ユーザー月額8,995円・年払い、Teams込み)
要お問い合わせ
(規模に応じた個別見積もり)
プロバイダー依存
(参考:100GBで月額8,350円〜)
要お問い合わせ
(代理店見積もり。10インスタンスまで無償版あり)
1台500,000円(税別)
+初期費用200,000円
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式資料を見る

※料金・提供形態は2026年9月時点の各社公式情報およびMCB FinTechカタログ掲載情報にもとづきます。非公開の料金は「要お問い合わせ」と表記しています。金額は変動するため、導入検討時は各社の最新情報をご確認ください。サービス名を選ぶと、記事内の個別紹介に移動します。

サービス個別紹介(各サービスが守る領域と提供範囲)

ここからは、比較表で挙げた各サービスが予防・検知・復旧・相談のどこを、どのように担うのかを個別に見ていきます。守る領域の順に紹介しますので、自社に足りない対策と照らし合わせながら、資料請求や相談の候補を絞り込んでください。

まず、狙われる入口を事前に塞ぐ「予防」を担うサービスです。

1. CoWorker 脆弱性診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 脆弱性診断サービスのウェブサイト

ランサムウェアの主要な侵入経路であるWebアプリケーションやAPI、ソースコードの弱点を事前に洗い出す脆弱性診断サービスです。CoWorker株式会社が自社開発したAI「Red Agent」による自動解析と、社内のセキュリティ専門家によるレビューを組み合わせ、二段構えで診断します。

診断メニューは、次の3段階で構成されています。

  • ソースコードAI診断:ソースコード・設計書をAIが解析する
  • 動的脆弱性診断:稼働中のWebアプリケーション・APIに実際に攻撃を試みる
  • 実践攻撃シミュレーション診断(ペネトレーションテスト):侵入可否と影響範囲を検証する

診断開始から最短3営業日でPDF形式の報告書を納品する短納期も訴求されています。

料金はソースコードAI診断が150,000円、動的診断まで含むLiteが500,000円、再診断が付くStandardが1,000,000円、Professionalが1,500,000円という段階制です(2026年9月時点)。

2. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージのウェブサイト

株式会社SYNCHROが提供するKATABAMIは、予防・復旧・補償の3本柱をひとつにまとめた、中小企業向けのパッケージ型サービスです。専任のセキュリティ人材がいなくても丸ごと任せられる設計で、問題点の指摘にとどまらず対策の進め方まで伴走する点を特徴としています。

予防は、ネットワークの内部から月次(年12回)で脆弱性を検出する「KATABAMI VDP」が担い、外部スキャンでは見えにくい社内機器の弱点まで洗い出します。復旧では、隔離した通信経路を通じてデータを自動バックアップする「KATABAMI CRA」を備え、攻撃者から到達できない経路にバックアップを退避します。

さらに、あいおいニッセイ同和損保のサイバー保険(賠償損害1億円・費用損害3,000万円)が自動付帯します。料金は1台あたり月額1,250円からで、100ノード以下は年額90万円から150万円が目安です。

続いて、侵入や不正な挙動を捕まえる「検知」を担うサービスです。まずは端末(エンドポイント)で検知するタイプを見ていきます。

3. CrowdStrike Falcon(クラウドストライク合同会社)

CrowdStrike Falconのウェブサイト

クラウドネイティブな単一の軽量エージェントで端末を保護する、エンドポイント検知(EDR/XDR)のプラットフォームです。次世代アンチウイルスの「Falcon Prevent」が実行前の不正なファイル・プロセスを機械学習でブロックし、「Falcon Insight XDR」が侵入後の挙動をリアルタイムで監視します。

ハッシュ照合に依存しない機械学習検知により、既知のシグネチャがない亜種のマルウェアやランサムウェアの実行後の挙動も捕捉し、自動で対応します。運用まで委託したい場合は、24時間体制で監視・対応を代行するマネージド検知・対応(MDR)サービス「Falcon Complete」も選べます。

中小企業向けにはセルフサービスの公開価格があり、次世代アンチウイルスの Falcon Go が1デバイスあたり月額7.99ドル(最大100デバイス)、EDRを含む Falcon Enterprise が月額19.99ドルです(米ドル建て、2026年9月時点)。大規模な構成やMDRは個別見積もりとなり、国内では代理店を通じた導入が中心です。

4. SentinelOne(SentinelOne Japan株式会社)

SentinelOne (Singularity Platform)のウェブサイト

エージェント側のAIが脅威を自律的に検知し、不正なプロセス・ファイルをリアルタイムで隔離・停止するエンドポイント検知製品です。SentinelOne の「Singularity Platform」は、次世代アンチウイルス(EPP)からEDR/XDRまでを単一の軽量エージェントと統合コンソールで提供します。

特にランサムウェア対策で目を引くのが、被害を受けたファイルをシステムの再構築なしに1クリックで元に戻す自動復旧(ロールバック)機能です。攻撃の流れを自動で再構成する特許技術「Storyline」により、手動解析なしで何が起きたかを追跡できます。料金は公式サイトでは非開示で、国内は東京エレクトロンデバイスなどの代理店を通じた見積もりが基本となります。

5. Microsoft Defender XDR(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Defender XDRのウェブサイト

ID・端末・メール・クラウドアプリを横断して脅威を検知・対応するXDRプラットフォームです。エンドポイント検知の核となる「Microsoft Defender for Endpoint プラン2」を起点に、ID保護やメール保護などのDefender製品を組み合わせます。これにより、フィッシングメールから侵害端末、横移動までを1つのインシデントとして追跡できます。

Microsoft 365 や Azure をすでに利用している企業であれば、既存の環境やライセンスを活かして検知・対応を始めやすい点が現実的な利点です。Microsoft Defender XDR は単独で購入する製品ではなく、複数のDefender製品を展開するか、Microsoft 365 E5 などのバンドルで有効化されます。

Microsoft 365 E5 は1ユーザーあたり月額8,995円(年払い、Teams込み)で、この中にエンドポイント検知の機能が含まれます(2026年9月時点)。

次は、ネットワークを流れる通信から不正を捕まえる「検知」を担うサービスです。

6. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxのウェブサイト

ネットワークを流れる全パケットを収集・保存し、脅威を検知・分析するNDR(Network Detection and Response)製品です。株式会社クワッドマイナージャパンが提供し、ミラーリング方式で導入するためネットワーク本体への影響を抑えられます。端末に常駐するエンドポイント検知が「端末側の目」なら、こちらは通信を見張る「ネットワーク側の目」にあたります。

収集(Capture & Collect)・検知(Detection)・ハンティング(Hunting)・フォレンジック(Forensic)・対応(Response)の5つの機能を1製品で備え、外部からの侵入や内部の不審通信、感染後の水平移動(ラテラルムーブメント)といったネットワーク上に痕跡が残る動きを捉えます。

全パケットを保存しているため、感染後に過去の通信まで遡って侵入経路を調べられる点が特徴です。EDRやSIEMとはSyslog・REST API経由で連携し、置き換えではなく補完する位置づけです。料金は対象ネットワークの規模に応じた個別見積もりとなります。

ここからは、暗号化されても業務を元に戻す「復旧」を担うサービスです。

7. Acronis Cyber Protect Cloud(アクロニス・ジャパン株式会社)

Acronis Cyber Protect Cloudのウェブサイト

バックアップとサイバーセキュリティを1つに統合したデータ保護プラットフォームです。バックアップ/復元、災害対策(DR)、マルウェア対策、エンドポイント管理を単一のコンソールで扱えます。物理マシン・仮想環境・クラウドVM・Microsoft 365・Google Workspace・モバイルと、幅広い対象を横断して保護できます。

ランサムウェア対策の要となるのが「Acronis Active Protection」で、AI・機械学習によってランサムウェア特有の挙動を検知すると処理を即時に停止し、暗号化されてしまったデータはバックアップから復元します。保存・転送時のデータはAES-256で暗号化されます。

本サービスはサービスプロバイダー(MSP)経由での提供が基本で、実際の料金・容量・サポート内容は契約するプロバイダーによって異なります。参考として、日立ソリューションズのプランではバックアップ容量100GBで月額8,350円からの例があります(2026年9月時点)。

8. Veeam Backup & Replication(ヴィーム・ソフトウェア株式会社)

Veeam Backup & Replicationのウェブサイト

仮想・物理・クラウド・SaaSを横断して保護するデータ保護ソリューションです。中核製品の Veeam Backup & Replication を中心に、監視・分析やリカバリ自動化を束ねた「Veeam Data Platform」として提供されます。

ランサムウェア対策として重要なのが、書き換えや削除ができない「イミュータブル(不変)リポジトリ」です。攻撃者がバックアップ自体を暗号化・消去しようとしても、バックアップを残せる設計になっています。加えて、AIによる脅威検知や、復元前にマルウェアを検査するSecure Restore、隔離環境で安全に復元するクリーンルーム復元など、被害後の回復力に振った機能を標準で備えます。

ライセンスはワークロード種別をまたいで割り当てられる Veeam Universal License が中心で、10インスタンスまで無償で使える Community Edition もあります。実額は国内リセラー経由の見積もりが基本です。

最後に、感染の疑いや被害が生じた時に頼れる「相談・感染後対応」を担うサービスです。

9. CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービスのウェブサイト

「感染したかもしれない」「感染した」という時に駆け込める、端末フォレンジック診断サービスです。対象のPCから専用ツールでログを収集し、CoWorker株式会社が開発したAI「Blue Agent」とセキュリティ専門家が事後に解析します。

常駐エージェントでリアルタイムに遮断するEDRとは異なり、退職時やインシデントの疑いが生じたタイミングを区切って、すでに侵害・情報漏えいが起きていないかを調べる位置づけです。

マルウェア感染や認証情報の漏えい、USB・クラウド経由のデータ持ち出しの痕跡を検出し、リスクの優先度を付けたレポートと報告会を提供します。退職者トラブルや内部不正の疑いに備え、訴訟対応を見据えた電子証拠保全にも対応します。Windows・Macに対応し、最大100台までの一括診断が可能です。

速報レポートは1週間以内、最終レポートは1か月以内という報告フローで、緊急性の高いリスクを検知した場合は即時に連絡されます。料金は1台あたりの診断費用が500,000円(税別)で、別途ヒアリング・導入稼働費として初期費用200,000円がかかります(カタログ掲載情報、2026年9月時点)。

ここまで、守る領域ごとに9つのサービスを見てきました。より多くの製品まで対象を広げ、入口・端末・ネットワーク・復旧の層ごとに横断して比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

ランサムウェア対策の全体像:予防・検知・復旧・相談の4領域と各領域を担うサービス種別

ここからは、先に見た会社・サービスが全体像のどこを埋めるのかを、ランサムウェアの手口とあわせて整理します。自社に足りない領域を見極める地図として読んでください。

ランサムウェアとは?最新の手口と主要な感染経路

ランサムウェアとは、パソコンやサーバーに保存されたデータを勝手に暗号化して使えない状態にし、元に戻すことと引き換えに「身代金(ランサム)」を要求する不正プログラムです。近年は単にデータを暗号化するだけでなく、より悪質な手口が主流になっています。

現在は、ネットワーク内のデータを盗み取って「身代金を支払わなければ、このデータを公開する」という「二重恐喝(ダブルエクストーション)」と呼ばれる、より悪質な手口が主流となっています。
さらに、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを盗み取り対価を要求する手口「ノーウェアランサム」による被害も確認されています。

出典:ランサムウェア、あなたの会社も標的に?被害を防ぐためにやるべきこと|政府広報オンライン

感染経路はVPN機器などの脆弱性を悪用する侵入が多く、標的型攻撃メールも依然として目立ちます。警察庁の集計では、令和6年(2024年)に手口を確認できた被害のうち、VPN機器からの侵入が55.0%、リモートデスクトップサービスの悪用が31.0%を占めました。また、対価を要求する手口が確認された被害の82.8%が二重恐喝によるもので、ノーウェアランサムの被害も22件確認されています。

こうした手口には、入口を塞ぐ予防と、侵入されても気づける検知の両方が欠かせません。

出典・参考資料(2件)

予防・検知・復旧・相談×サービス種別×実名サービスの対応地図

ランサムウェア対策は「予防・検知・復旧・相談」の4つの領域に分けて考えると、自社に足りない部分が見えやすくなります。それぞれの領域を担うサービス種別と、本記事で紹介したサービスの対応を一覧にまとめました。

守る領域担うサービス種別主な役割本記事で紹介するサービス
予防脆弱性診断/EPP(次世代アンチウイルス)/多要素認証・権限最小化狙われる入口や弱点を事前に塞ぐCoWorker 脆弱性診断サービス、KATABAMI
検知(エンドポイント)EDR/XDR端末上の不正な挙動を検知し自動で対応するCrowdStrike Falcon、SentinelOne、Microsoft Defender XDR
検知(ネットワーク)NDR(フルパケットキャプチャ)通信を監視し、侵入や内部拡散を捉えるNetwork Blackbox
復旧ランサムウェア対応バックアップ(イミュータブル/隔離)暗号化されても業務データを元に戻すAcronis Cyber Protect Cloud、Veeam Backup & Replication、KATABAMI
相談・感染後対応インシデント対応・フォレンジック/MDR・SOC感染の調査・封じ込め・運用の代行CoWorker 端末侵害診断サービス

サイバー保険を自動付帯する予防・復旧一体型のパッケージもありますが、補償は予防・検知・復旧・相談の4領域の外側にある付加価値です。被害時の金銭的損失に備える保険として、4領域の対策とは切り分けて考えてください。

種別の呼び方を整理しておきます。EPP(Endpoint Protection Platform)は端末のウイルス対策を担う仕組み、EDR(Endpoint Detection and Response)は侵入後の不正な挙動を検知して対応する仕組みです。

XDR(Extended Detection and Response)は、端末に加えてID・メール・クラウドなど複数の情報を相関させて検知の範囲を広げたもの、NDR(Network Detection and Response)はネットワークの通信から脅威を捉えるものを指します。

これらを自社で運用せず、監視・対応を外部の専門チームに任せる形がMDR(Managed Detection and Response)で、企業のセキュリティ監視を担う拠点・体制をSOC(Security Operation Center)と呼びます。

このうち端末を守るEDRと、検知の範囲をID・メール・クラウドまで広げたXDRは、どちらを選ぶか迷いやすい領域です。両者の違いや、製品ごとに監視できる範囲・他製品との連携で選ぶ視点は、以下の記事で詳しく比較しています。

予防の領域では、政府広報オンラインが企業の取るべき基本対策を示しています。

  • 利用している機器のOS(基本ソフト)やソフトウェアなどの更新ファイルやパッチ等を適用して、常に最新の状態を保つようにし、脆弱性を残さないようにしましょう。
  • ウイルス対策ソフトやEDRを導入し、常に最新の状態に保って管理しましょう。ランサムウェアに感染するリスクを低減できます。
  • 多要素認証などの認証手段の導入や、IPアドレス等によるアクセス制限と組み合わせるなどといった対策も積極的に活用しましょう。
  • それぞれのユーザーアカウントに割り当てる権限やアクセス可能とする範囲などは必要最小限にしましょう。
出典:ランサムウェア、あなたの会社も標的に?被害を防ぐためにやるべきこと|政府広報オンライン

OSやソフトの最新化・権限の最小化といった運用面は自社での対応が基本ですが、狙われやすいWebアプリケーションやネットワーク機器の弱点を洗い出す部分は、脆弱性診断サービスに委ねられます。EDRの導入・運用も、検知の領域を担うサービスの選定につながります。

復旧の領域で最も重要なのがバックアップです。ランサムウェアに感染すると、バックアップ用につないでいた記憶媒体まで暗号化されてしまうことがあるため、保管の仕方が結果を左右します。

ランサムウェアに感染すると、バックアップのためにつないでいた記憶媒体も暗号化されて使えなくなる場合もあります。バックアップデータは外付けの記憶媒体にも保存し、ネットワークから切り離して保管しておきましょう。
加えて、日頃からバックアップデータによるシステムの復旧手順を確認しておきましょう。

出典:ランサムウェア、あなたの会社も標的に?被害を防ぐためにやるべきこと|政府広報オンライン

バックアップの世界では、データを3つ持ち、2種類の媒体に分け、1つはオフラインや遠隔地に置くという「3-2-1ルール」が業界慣行として広く知られています。その根拠となるのは、上記のオフライン保管や復旧手順の確認に加え、書き換えできない状態での保管(イミュータブル)や、いざという時に本当に戻せるかを定期的に試す復元テストです。

米国のCISA(サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁)も、重要データを暗号化してオフラインで保管し、復旧できるかを定期的に検証すること、クラウドのイミュータブルストレージが有効であることを示しています。隔離型バックアップやイミュータブル対応のバックアップは、いずれもこの考え方を実装したものです。

出典・参考資料(2件)

バックアップを取っていても、それだけで守り切れるとは限りません。警察庁の調査では、ランサムウェア被害を受けた企業のうち、バックアップから被害直前の状態まで復元できた企業は3割に満たないとされています。バックアップ経路が通常のネットワーク上にあると、攻撃者がそこにも到達し、バックアップ自体を暗号化・消去してしまうためです。

出典・参考資料(1件)

暗号化されても戻せるバックアップをどう選ぶかは、復旧の成否を大きく左右します。イメージ/ファイルといった対応範囲や料金を含めた、法人向けバックアップの選び方は以下の記事で詳しく解説しています。

自社に合う選び方:丸ごと任せる(MDR/SOC)か、製品を入れて自社運用か

ランサムウェア対策のサービスをどう組み合わせるかは、大きく分けて「丸ごと任せる」か「製品を入れて自社で運用する」かの2つの方向で考えられます。判断の分かれ目は、専任担当者の有無・すでにある対策・予算の3点です。

セキュリティの専任者を置けない、あるいは情報システムの担当者が他業務と兼任している場合は、監視・対応まで外部に委ねる形が現実的です。EDR/XDRの運用を代行するMDRや、パッケージ型で予防から復旧・補償までをまとめて引き受けるサービスであれば、自社に高度な運用スキルがなくても対策を回せます。

「対策を入れて終わり」にせず、指摘だけでなく対応の進め方まで伴走してくれるかどうかを確認するとよいでしょう。

監視・対応を代行するMDRは、任せられる範囲や課金単位、24時間監視の中身がサービスごとに異なります。どこまで代行してもらえるかを見極めて選びたい場合は、以下の記事で各社を比較できます。

一方、情報システム部門があり、自社でログを確認したり運用を回したりできる体制があるなら、必要な領域の製品を選んで導入し、自社で運用する選び方が向いています。すでに端末側の検知(EDR)を導入しているなら、通信を見張るネットワーク検知(NDR)や、暗号化に備えたイミュータブルなバックアップを足すことで、弱い領域を補えます。

既存の会計・IT資産との相性も判断材料になり、Microsoft 365 をすでに使っているなら、その環境を活かせる検知製品から始めるのも一案です。

IPA(情報処理推進機構)は、被害に遭った組織への聞き取りをもとに、インシデント対応体制の整備・EDRの導入と定期的なログ監査・事業継続計画への反映・セキュリティベンダーとの関係構築を教訓として挙げています。自社だけで抱え込まず、いざという時に相談できる相手をあらかじめ持っておくことが、規模を問わず有効な備えになります。

出典・参考資料(1件)

費用感と導入のハードル(月額の目安・専任がいなくても運用できるか=マネージドの有無)

費用と運用負荷は、対策を進めるうえで避けて通れない判断材料です。ここでは領域ごとの費用の目安を整理します。金額はいずれも2026年9月時点の各社公式情報またはカタログ掲載情報に基づき、非公開のものは「要お問い合わせ」としています。

費用は担う領域によって水準が異なります。予防の脆弱性診断は数十万円台からのスポット費用、検知のEDR/XDRは1台・1ユーザーあたり月額数千円台からが目安です。復旧のバックアップは容量や台数に応じた月額、感染後の調査は1台あたり数十万円規模と、領域ごとに課金の考え方が変わります。個社の実額は比較表を参照してください。

同じ領域でも、マネージド(運用代行)が付くかどうかで費用と運用負荷は変わります。製品を入れて自社で運用する形は費用を抑えやすい一方、アラートの確認や対応に人手が要ります。MDRやパッケージ型は費用が上がる代わりに、監視・対応の負荷を外部に移せます。

費用を比べる時は、月額やライセンス料だけでなく、初期費用や運用にかかる人件費まで含めて見ることが大切です。表示価格が安くても、運用する担当者の工数を足すと総額は変わってきます。

料金の単位は製品ごとに異なり、1台・1ユーザー・1インスタンス・容量(GB)などまちまちです。比べる時は自社の規模(たとえば端末台数)に引き直して試算する必要があります。また、米ドル建ての製品は、円換算が為替で変わるため要問い合わせとなり、国内では代理店・カタログ経由で見積もりや相談ができます。

ランサムウェアに感染してしまったら:初動と駆け込み先

万一感染してしまった時に慌てないよう、初動でやるべきこと・やってはいけないこと、そして相談できる駆け込み先を先に押さえておきましょう。

感染直後の初動と、やってはいけないこと

最初にすべきは、被害の拡大を防ぐためのネットワークからの隔離です。政府広報オンラインは具体的な手順を示しています。

有線LANであればLANケーブルを抜きましょう。無線LANであれば、端末を機内モードに設定するか、Wi-Fiルータの電源を落として、ネットワークから隔離しましょう。

出典:ランサムウェア、あなたの会社も標的に?被害を防ぐためにやるべきこと|政府広報オンライン

一方で、避けるべき行動もあります。感染した端末の電源を切ったり再起動したりすると、復元に必要な情報が失われるおそれがあります。政府広報オンラインも「感染した端末の電源は切らないようにしましょう」と注意を促しています。ネットワークから切り離したうえで、電源は入れたままにしておくのが基本です。

身代金の支払いも避けるべきです。JPCERT/CCは「身代金の支払いは行うべきではありません」と明言しています。政府広報オンラインも、金銭を支払っても復号やデータ非公開の保証はないと述べており、支払いは解決を保証しません。また、慌ててバックアップを操作するのも危険です。

JPCERT/CCは、自動的にファイルをバックアップする仕組みがあると、実装や状況によっては「被害を免れていた有効なバックアップファイルが上書きされて消滅するなどの恐れがあります」と指摘しています。

出典・参考資料(2件)

駆け込み先=インシデント対応・フォレンジックと公的窓口

初動で隔離したら、次は調査と対応の方針を決めます。JPCERT/CCは、侵入型ランサムウェア攻撃を受けた際の対応方針として、被害の最小化を図る・考えられる侵入経路を塞ぐ・バックアップから復旧する、という3つを挙げています。何が起きたのか、どこから入られたのかを正確に把握するには、専門的な調査(フォレンジック)が欠かせません。

調査を外部に頼む場合、端末側の痕跡を調べる端末フォレンジック診断や、通信を遡って調べる全パケット保存型のNDRが選択肢になります。具体的なサービスは前半の比較表や個別紹介で確認できます。どこから入られたかが分かれば、同じ経路を塞ぐ再発防止にもつながります。

公的な相談窓口も押さえておきましょう。被害に遭ったら、自社を管轄する警察署または警察庁のサイバー事案に関する通報窓口に相談・通報します。あわせて、業種によっては所管省庁への報告のほか、IPAやJPCERT/CCに連絡して事後対応の指示を受けることが推奨されています。

また、欧州刑事警察機構(ユーロポール)などが運営する国際プロジェクト「The No More Ransom Project」では、一部のランサムウェアについて無料の復号ツールが公開されており、暗号化されたデータを復元できる可能性を確認できます。

出典・参考資料(5件)

まとめ

ランサムウェア対策は、予防・検知・復旧・相談の4つの領域を、自社の体制に合わせて組み合わせることが基本です。専任者を置けないなら監視・対応まで任せられるマネージドサービスやパッケージ型を、自社で運用できる体制があるなら足りない領域の製品を選んで補う形が現実的です。

どの領域から手をつける場合でも、暗号化されても戻せるバックアップと、いざという時に相談できる駆け込み先の確保は、規模を問わず備えておきたいポイントです。本記事で紹介した各社の資料を比べ、自社に足りない対策を見極めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. ランサムウェア対策とは何ですか?

A. ランサムウェア対策とは、データを勝手に暗号化して身代金を要求する攻撃に備え、「予防・検知・復旧・相談」の4つの領域を組み合わせて守ることです。狙われる入口を事前に塞ぐ予防、侵入や不正な挙動を捉える検知、暗号化されても業務データを元に戻す復旧、感染時に調査・相談できる先の確保という4領域を、自社の体制に合わせて分担します。

1つの会社がすべてを担うこともあれば、領域ごとに専門のサービスを組み合わせることもあります。

Q. ランサムウェア対策は自社でやるのと会社に任せるのと、どちらがよいですか?

A. ランサムウェア対策を丸ごと任せるか自社で運用するかは、専任担当者の有無・すでにある対策・予算の3点で判断するのが基本です。セキュリティの専任者を置けない、または情報システムの担当者が他業務と兼任している場合は、監視・対応まで代行するMDRや、予防から復旧・補償までをまとめて引き受けるパッケージ型が現実的です。

一方、自社でログを確認し運用を回せる体制があれば、足りない領域の製品を選んで導入し、自社で運用する形が向いています。

Q. ランサムウェア対策を会社・サービスに依頼する費用の目安は?

A. ランサムウェア対策の費用は、担う領域とマネージド(運用代行)の有無によって幅があり、月額数千円規模の製品から、数十万円単位の診断、数百万円規模のパッケージや調査まで分かれます

たとえば予防の脆弱性診断は150,000円から、予防・復旧・補償をまとめたパッケージ型は1台あたり月額1,250円から(100ノード以下で年額90万円から150万円)、感染後の端末フォレンジック診断は1台500,000円に初期費用200,000円が加わるといった目安です(2026年9月時点)。

製品を安く導入できても運用する人手がなければ効果は限られるため、費用の絶対額だけでなく、自社の体制で運用し切れるかも合わせて検討してください。

Q. 中小企業でもランサムウェア対策を会社に依頼できますか?

A. 中小企業でもランサムウェア対策は依頼でき、専任者を置きにくい中小企業ほど、予防から復旧・補償までを丸ごと任せられるパッケージ型やマネージドサービスが向いています。警察庁の集計では、令和6年(2024年)に報告されたランサムウェア被害のうち中小企業は140件と、大企業の61件を上回っており、規模の小ささは狙われない理由にはなりません。

専任のセキュリティ人材がいなくても丸ごと任せられる設計のサービスを選ぶことで、限られた人員でも対策を回せます。

出典・参考資料(1件)

Q. ランサムウェア対策を任せる会社はどう選べばよいですか?

A. ランサムウェア対策を任せる会社は、自社に足りない領域(予防・検知・復旧・相談)を見極め、その領域に強い会社・サービスを選ぶのが基本です。あわせて次の点を確認すると、社内でも「この会社にこの範囲を任せる」と説明しやすくなります。

  • 問題点の指摘だけでなく対応の進め方まで伴走してくれるか
  • 専任者がいなくても運用できるか(マネージドの有無)
  • 機能・料金・対象規模が公式情報で確認できるか

すでにEDRなどを導入している場合は、通信を見張るネットワーク検知や、暗号化に備えたバックアップなど、弱い領域を補える会社を選ぶとよいでしょう。

Q. ランサムウェアに感染してしまったら、どこに相談すればよいですか?

A. ランサムウェアに感染してしまったら、まず感染端末をネットワークから隔離し(電源は切らず)、管轄の警察署や警察庁のサイバー事案に関する相談窓口、IPA・JPCERT/CCに相談するのが基本です。有線LANならケーブルを抜き、無線LANなら機内モードやWi-Fiルータの電源オフで隔離します。復元に必要な情報が残っていることがあるため、感染端末の電源は切らないようにしてください。

業種によっては所管省庁への報告も必要です。民間に調査を頼む場合は、端末側の痕跡を調べる端末フォレンジック診断、ネットワーク上の侵入経路まで遡るなら全パケットを保存するNDRが役立ちます。

出典・参考資料(2件)

Q. ランサムウェアの身代金は支払うべきですか?

A. ランサムウェアの身代金は、支払うべきではありません。JPCERT/CCは「身代金の支払いは行うべきではありません」と明言しており、政府広報オンラインも「犯人の要求どおり金銭を支払っても、犯人が暗号化したデータを復号する保証も、盗み取ったデータの公開をやめてくれる保証もありません」と述べています。

まず公的窓口に相談し、欧州刑事警察機構(ユーロポール)などが運営する「The No More Ransom Project」で、暗号化されたデータの無料の復号ツールがないかを確認するのが先です。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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