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ランサムウェア対策ツール34選を比較|入口・端末・ネットワーク・復旧の4層で選ぶ

ランサムウェア対策ツール 34選を比較のサムネイル画像

取引先からセキュリティ対策の状況を報告するよう求められたり、同業他社の被害報道を目にしたりして、ランサムウェア対策の見直しを迫られていませんか。しかし調べ始めると、端末の監視、社内通信の監視、バックアップ、認証の強化と、別々の製品カテゴリが次々に出てきて、どれから手を付ければよいのか判断がつかなくなります。

その戸惑いには理由があります。「ランサムウェア対策ツール」という単一の製品カテゴリは存在せず、攻撃の流れのどこを止めるかによって、選ぶべき製品がまったく別のカテゴリに分かれるからです。

本記事では、ランサムウェア対策を「侵入の入口をふさぐ」「エンドポイントで侵入後のふるまいを検知・遮断する」「ネットワーク側で横移動や不審通信を検知する」「暗号化されてもデータを戻す」という4つの層に整理し、主要34サービスを同じ軸で比較します。層ごとに何ができて何ができないのか、限られた予算ならどこから埋めるべきかまで、自社の判断材料として使える形で整理しました。

また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

ランサムウェア対策ツールとは|対策が4つの層に分かれる理由

ここからは、ランサムウェア対策ツールが何を担う製品なのか、そしてなぜ複数の層に分かれるのかを整理します。

ランサムウェア対策ツールとは(何を防ぎ、何を担う製品か)

ランサムウェア対策ツールとは、データを暗号化して復旧と引き換えに金銭を要求する攻撃から、事業の停止とデータの喪失を防ぐために導入する法人向けの製品群を指します。単一のカテゴリではなく、攻撃の進み方に応じて役割の異なる製品が組み合わさって「対策」を構成します。

攻撃は、外部から社内ネットワークに侵入し、端末やサーバーを渡り歩いて権限を奪い、最後にデータを窃取したうえで暗号化する、という順序で進みます。この流れのどこかを止められれば被害は食い止められるため、止める場所ごとに別々の製品が選択肢になります。

対策は「入口・端末・ネットワーク・復旧」の4層に分かれる

攻撃の流れに沿って整理すると、対策は次の4層に分かれます。本記事はこの順序で、層ごとの役割・選び方・製品比較まで進みます。

ランサムウェア攻撃の進み方と、対策4層が止める場所の対応図。外部から社内ネットワークへの侵入には侵入の入口をふさぐ層、端末やサーバーを渡り歩いて権限を奪う段階にはエンドポイントで検知・遮断する層とネットワークで検知する層、データを窃取したうえでの暗号化には暗号化されてもデータを戻す層が対応する
  • 入口をふさぐ層:VPN機器やリモートデスクトップ、クラウドサービスへのログインを破られにくくする。端末にデータを置かない構成で、暗号化されても失うものを無くす方法も含みます
  • エンドポイントで検知・遮断する層:端末やファイルサーバー上の不審なふるまいを捉えて隔離する。暗号化そのものを遮断し、書き換えられたファイルを元に戻す製品もあります
  • ネットワークで検知する層:通信の異常から侵入や横移動を捉える。端末にソフトを入れられない機器も監視の対象にできます
  • データを戻す層:バックアップから復旧する。バックアップ自体が書き換えられない保存(保存したデータを保持期間中は変更も削除もできない方式。各社はイミュータブル保存、WORM、オブジェクトロックなどの名前で提供しています)になっているかが分かれ目です

警察庁もランサムウェア被害防止対策のページで、認証の強化・検知製品の導入・ネットワークの監視・オフラインでのバックアップを、いずれも実施すべき対策として並べて挙げています。

攻撃者の侵入やその前兆を検知して対処するには、ウイルス対策ソフトやEDR製品(Endpoint Detection and Response)、ネットワーク監視製品等のセキュリティ製品を導入することが有効です。

警察庁サイバー警察局「ランサムウェア被害防止対策

ウイルス対策ソフトだけでは何が足りないのか

すでにウイルス対策ソフトを導入していれば足りるのではないか、という疑問は自然なものです。しかし被害の実態を見ると、導入していても検知に至っていないケースが大半を占めます。

警察庁が令和7年(2025年)のランサムウェア被害組織に実施したアンケートでは、ウイルス対策ソフト等の導入状況は導入有105件・導入無14件(有効回答119件)でした。それにもかかわらず、検出状況は検出有25件に対し検出無64件(有効回答89件)となっています。

4層に当てはめると、ウイルス対策ソフトが担っているのは端末の層の一部にとどまります。侵入の入口、ネットワーク上の横移動、暗号化された後の復旧は、いずれも別の層の製品が受け持つ範囲です。「入れてあるから大丈夫」と判断できない理由がここにあります。

侵入経路と被害の実態|統計と当事者の公表資料から

どの層に予算を割くかを決めるには、実際に何が起きているのかを押さえておく必要があります。公的機関が公表している統計と、当事者が自ら公表した被害の記録から確認します。

主な侵入経路はVPN機器とリモートデスクトップ

警察庁の令和7年(2025年)の集計では、感染経路はVPN機器61件・リモートデスクトップ19件で、不審メールやその添付ファイルは2件でした(有効回答92件)。メールの添付ファイルを開いて感染する、という従来の想像とは実態が異なります。

近年は、インターネットに露出した箇所から攻撃者が遠隔操作でネットワーク内部に侵入する手口が多くを占め、標的型攻撃メール等の添付ファイルによる感染は少なくなっている。被害組織へのアンケート結果によると、侵入経路はVPN(Virtual Private Network)機器が6割以上を占める状況である。

攻撃者は、未修正のぜい弱性、漏えいした認証情報や簡易なパスワード、設定不備等を悪用して組織のネットワークへ侵入する。

警察庁サイバー警察局「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年3月)

盗まれた認証情報で正規の利用者として入られるため、メールのフィルタリングを強化しても防げません。入口の層で認証そのものを破られにくくする対策が要る、という結論がここから導かれます。

感染すると何が起きるのか(暗号化・二重恐喝・事業停止)

現在の攻撃は、暗号化して復号の対価を求めるだけでは終わりません。データを盗んだうえで「支払わなければ公開する」と迫る二重恐喝が主流になっています。警察庁の集計では、手口が判明した153件のうち二重恐喝型が136件、従来型が17件でした。

業務への影響を見ると、令和7年(2025年)は全業務停止が9件、一部の業務に影響有が97件、影響無が11件でした(有効回答117件)。全社が止まる例は限られるものの、117件のうち106件が何らかの業務影響を受けています。

被害の規模を企業規模別に見ると、令和7年(2025年)の被害件数226件のうち中小企業が143件を占めます。警察庁も「中小企業が約6割を占めている」と記述しており、大企業だけの問題ではありません。

この数字と現場の受け止めのずれについて、認証基盤を提供する株式会社インターナショナルシステムリサーチの平澤氏は、MCB FinTechカタログの独自インタビューで次のように話しています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

中小企業ではまだサイバー攻撃を他人事と捉えている方もいらっしゃいますが、実は昨今、中小企業が狙われるケースが増えています。また、官公庁や業界団体が策定するセキュリティガイドラインへの準拠を目的としたご相談も増えています。

国内で起きた被害事例と、復旧までにかかった時間

復旧に要した期間は、警察庁の令和7年(2025年)の集計では次のように分かれています。1か月未満で復旧した組織は5割強にとどまり、回答時点でまだ復旧できていない「復旧中」が25件あります。事業への影響を見積もるうえで見落とせない点です。

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即時〜1週間未満1週間〜1か月未満1か月〜2か月未満2か月以上復旧中(回答時点で未復旧)
件数29件31件15件7件25件

※警察庁「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」統計編(令和8年3月公表)。有効回答107件。

具体的な経過は、当事者が公表した資料から確認できます。アスクル株式会社は2025年10月19日にランサムウェアによる攻撃を検知し、同日16時半に受注・出荷業務を停止しました。停止前に提供していた全商品の注文再開を公表したのは2026年1月21日です。

同社が公表した原因分析は、入口・端末・復旧の3つの層で「そこが空いているとどうなるか」を示しています。入口については、次のように記載されています。

例外的に多要素認証を適用していなかった業務委託先に対して付与していた管理者アカウントのID とパスワードが何らかの方法で漏洩し不正利用されたことが確認されており、当該アカウントでの不正アクセスがあったことが確認されております。

アスクル株式会社「ランサムウェア攻撃の影響調査結果および安全性強化に向けた取り組みのご報告(第13報)」(2025年12月12日)

侵入を検知できなかった理由についても、同資料は「侵害が発生したデータセンターではサーバにEDR が未導入であり、また24 時間監視も行われていなかったため、不正アクセスや侵害を即時検知できませんでした」と記しています。

復旧が長引いた理由も同じ資料に書かれています。オンラインでのバックアップは実施していたものの、ランサムウェア攻撃を想定した構成になっておらず、一部のバックアップも暗号化されたと説明されています。この点は後段の復旧の層でも扱います。

アサヒグループホールディングス株式会社の事例では、侵入から暗号化までに時間差があったことが公表されています。同社は、システム障害が発生した2025年9月29日の「約10日前」に、拠点のネットワーク機器を経由して侵入されていたと説明しています。入口を破られた後に気づけるかどうかが結果を分ける、という点を示す記録です。

対策の層ごとに何をするツールなのか|4層それぞれの役割と限界

ここからは、4つの層がそれぞれ攻撃のどこを止め、どこから先は担えないのかを整理します。自社に足りていない層を見つけるための土台になります。まず全体を対照できる形で示します。

← 横にスクロールできます →
侵入の入口をふさぐエンドポイントで検知・遮断するネットワークで検知する暗号化されてもデータを戻す
攻撃のどこを止めるか外部からの侵入そのもの。VPN・リモートデスクトップ・クラウドサービスへのログインを破られにくくする侵入後の端末やファイルサーバー上のふるまい。暗号化そのものを遮断し、戻す製品もある社内を横に移動する通信、外部の指令サーバーとの通信、内部の探索暗号化された後の事業停止。保管したコピーから復旧する
この層では担えない範囲認証を突破された後の動き。機器の脆弱性を突かれた侵入も止められないソフトを入れられない機器。検知をすり抜けた攻撃暗号化が始まった後のデータの復旧窃取されたデータの公開(二重恐喝)。戻せても公開は止められない
代表的な製品カテゴリ多要素認証、シングルサインオン、データレス端末EDR、XDR、次世代アンチウイルス、ランサムウェア専用の遮断・復元NDR(ネットワークの検知・対応)、接続機器の許可制御クラウドバックアップ、改変されない保存方式

※「この層では担えない範囲」は、その層の製品が対象にしていない範囲を示すものです。製品ごとの対応可否は後述の比較表をご確認ください。

侵入の入口をふさぐタイプ(認証強化・データレス)

この層は、攻撃者が最初に通る経路を通れなくする製品です。VPN機器やリモートデスクトップ、業務で使うクラウドサービスへのログインに、パスワード以外の要素を組み合わせて認証を強化します。物理的なセキュリティキーやパスキーを使う方式では、認証情報が漏れても手元の鍵がなければログインできません。

接続元のIPアドレスや端末の条件でアクセスを制限する仕組みを併用すると、盗んだ認証情報を持つ攻撃者が外部から入ることをさらに難しくできます。IPAも対策として多要素認証やパスキーの利用を挙げています。

もう一つの考え方が、端末にデータを残さない構成です。業務データを手元の端末に置かず参照だけを行う方式であれば、端末が暗号化されても失うファイルがありません。

ただし、この層が守れるのは入口までです。認証を突破された場合や、認証を経由しない経路(機器の脆弱性を突く侵入など)で入られた場合、入口の製品は侵入後の動きを検知しません。

そのうえで、この層に何を期待できるのか。セキュリティキーの導入を支援する株式会社インターナショナルシステムリサーチの内田氏は、MCB FinTechカタログの独自インタビューで役割を次のように整理しています。

内田氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部 セールスアライアンス部 部長
内田氏
独自インタビューより

フィッシングやランサムウェアの被害が増えている中で、すべてが認証で解決するわけではありませんが、認証というのは家でいう玄関のようなところです。ここのセキュリティをがっちり強化することで、被害を大幅に低減できると考えています。今はパスワードが漏れているのが当たり前という世界ですので、パスワードを使わないパスワードレス認証への移行は極めて有効な対策となります。

エンドポイントで侵入後のふるまいを検知・遮断するタイプ

この層は、端末やサーバー、ファイルサーバー上で起きている不審な動きを捉えて止める製品です。短時間に大量のファイルが書き換えられる、正規の管理ツールが通常と違う使われ方をする、といった挙動から、既知のパターンに一致しない攻撃も検知の対象にします。

検知した端末をネットワークから自動的に隔離して被害の拡大を止める機能や、暗号化されたファイルを暗号化前の状態に戻す機能を備えるものもあります。暗号化のふるまいそのものを遮断することに特化した製品も存在します。

ファイルサーバー側で共有フォルダへのアクセスログを監視し、暗号化の兆候を捉えて接続を遮断する製品もこの層に含まれます。端末にソフトを入れていても、共有フォルダ上のファイルが暗号化される経路は残るためです。

守れる範囲は、ソフトを入れられる機器に限られます。検知そのものも万能ではありません。前掲のアスクルの資料は「当時のEDR シグネチャでは、検知が難しいランサムウェアも含まれていました」と記録しており、すり抜ける前提での備えが要ります。

ネットワーク側で横移動や不審通信を検知するタイプ

この層は、社内を流れる通信そのものを見て異常を捉える製品です。侵入した攻撃者がサーバー間を渡り歩く動き、外部の指令サーバーとの通信、内部の探索といった、端末単体では気づきにくい動きが検知の対象になります。

ネットワークを流れる通信を見るため、端末にソフトを入れる必要がありません。ソフトを導入できない機器が社内にある環境でも、その機器が関わる通信を監視の対象にできます。通信を記録して残す製品であれば、侵入後に経路をさかのぼって調べることも可能です。

この層には、通信のふるまいを分析するものとは別に、ネットワークへの接続そのものを許可制にする製品もあります。あらかじめ登録した機器以外がつながろうとした時点で検知・遮断する仕組みです。

一方で、暗号化が始まった後のデータを元に戻す機能はありません。検知して止めるまでの間に暗号化されたファイルは、別の層で復旧する必要があります。

暗号化されてもデータを戻せるタイプ

この層は、暗号化されたデータを別に保管しておいたコピーから戻す製品です。サーバー・PC・NAS・仮想環境に加え、クラウドサービス上のデータを保護対象にするものもあります。

ただし、保管したコピーが攻撃者の手の届く場所にあると、この層は機能しません。攻撃者はバックアップを消してから暗号化するため、通常のファイルとして保管されたコピーは一緒に失われます。警察庁も攻撃の流れの説明で次のように記しています。

一通り内部探索を終えると、データをクラウドストレージ等へアップロードして窃取した後、ランサムウェアを起動して暗号化を実行する。復旧を妨害するため、バックアップも一緒に暗号化される場合が多い。

警察庁サイバー警察局「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年3月)

ただし、盗まれたデータには効きません。二重恐喝では暗号化と窃取が同時に行われるため、復旧できても公開を迫られる状況は残ります。

どの層から手を付けるか|全部は買えないときの優先順位

4層すべてを一度に導入できる企業は多くありません。ここからは、自社の状況から埋める順番を決める手順を整理します。

ツールを買う前に済ませておく基本の対策

製品を検討する前に、費用をかけずに塞げる穴があります。警察庁はこれを最優先に位置づけています。

具体的には、基本的なセキュリティ対策の徹底を継続することが最も重要であり、例えば、ソフトウェア更新、パスワードの適切な管理、アクセス権限等の適切な設定等であり、特に、主要な侵入経路であるVPN機器等は速やかな対応が必要である。

警察庁サイバー警察局「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年3月)

実態として、この基本が徹底されていない状態で被害に遭う例が目立ちます。侵入経路とされる機器のセキュリティパッチ適用状況は、未適用のパッチ有が40件、最新のパッチを適用済みが31件でした(令和7年・有効回答71件)。

費用をかけずに着手できるのは、次の4点です。

  • インターネットに公開している機器の棚卸しと更新:VPN機器・ファイアウォール・リモートデスクトップの公開状況を一覧にし、更新プログラムの適用状況を確認します。使っていない公開設定はここで閉じます
  • 管理者権限の棚卸し:誰がどのシステムの管理者権限を持っているかを洗い出し、不要になったアカウントを削除します
  • 委託先アカウントの例外の洗い出し:外部に渡しているアカウントで、多要素認証の対象から外れているものがないかを確認します。前述の国内の被害事例では、ここが侵入の起点になりました
  • 復旧テストの実施:いま取っているバックアップから実際に戻せるかを試します。費用はかかりませんが、戻せない状態に気づける唯一の方法です

自社の穴を見つける4つの問い

どの層が空いているかは、次の4つの問いで確認できます。層の順序に対応しており、答えられない項目がそのまま検討の優先候補になります。

  • 入口:VPNやリモートデスクトップへのログインに、パスワード以外の要素を必須にしているか。外部の委託先に渡しているアカウントも含めて例外がないか
  • 端末:PCだけでなくサーバーにも、侵入後のふるまいを検知する仕組みが入っているか。検知したアラートに気づける体制があるか
  • ネットワーク:複合機・生産設備・入退室管理装置など、ソフトを入れられない機器が社内ネットワークにつながっていないか。つながっている場合、その通信を見る手段があるか
  • 復旧:いま取っているバックアップは、管理者権限を奪われても書き換えられない保存になっているか。実際に戻せるかを試したのはいつか

すでにある製品でどの層が埋まっているかを棚卸しする

4つの問いに答えたら、いま契約している製品を層に当てはめてみてください。ウイルス対策ソフトは端末の層の一部、UTMやファイアウォールは主に外部との境界を守る役割で、社内を横に移動する通信までは見ていないことが多くあります。

バックアップについては、契約している製品名だけでなく保存方式まで確認することが重要です。クラウドに置いてあること自体は、書き換えられない保存であることを意味しません。

この棚卸しで空欄になった層が、追加投資の候補です。すでに契約している製品に上位プランで該当機能が含まれている場合もあるため、新規購入の前に確認する価値があります。

1製品ですべてはカバーできない前提で、埋める順番を決める

1つの製品で4層すべてを賄えるか、という問いに対する答えは「賄えない」です。複数の層を束ねた統合型の製品でも、担う範囲には差があります。

専任のセキュリティ担当を置かず予算も限られる場合、着手の順番は次のとおりです。

  1. 費用のかからない基本対策:インターネットに公開している機器の更新、パスワードとアクセス権限の整理。警察庁が「最も重要」と位置づけている範囲で、ここに費用は要りません
  2. 入口の認証強化:侵入経路の実績が最も多い場所を塞ぎます。委託先に渡しているアカウントを含めて例外をなくすことが要点です
  3. 書き換えられない保存によるバックアップ:検知をすり抜けられても事業を再開できるかは、この層だけにかかっています。他の層が整うまで後回しにはできません
  4. 検知の層を段階的に:まずサーバーを含む端末側、次にソフトを入れられない機器が多い環境ならネットワーク側へ広げます

復旧を検知より先に置いているのは、検知が万能ではないためです。前掲のとおり、被害組織の大半はウイルス対策ソフトを導入していながら検知に至っていません。検知の層は「気づける確率を上げる」投資、復旧の層は「気づけなかったときに事業を続けられる」投資だと考えると、順番が決めやすくなります。

すでに検知の層に投資済みで、バックアップの保存方式だけが不明という場合は、3番から着手してください。順番は自社の埋まり具合で前後します。

同じ層の製品でどこに差が出るか|層ごとの選定の勘所

埋める層が決まったら、次はその層の製品同士を見比べる段階です。ここからは、各社の機能一覧では同じに見えても、運用に入ると差が出る点を層ごとに整理します。

入口の層:守れる経路の範囲と、既存のID基盤との関係

同じ「認証を強化する製品」でも、守れる経路の範囲が異なります。クラウドサービスへのログインだけを対象にするものと、VPN機器やリモートデスクトップ、Windowsへのログインまで含められるものがあり、後者でなければ主要な侵入経路は塞げません。導入前に、自社が実際に外部公開している経路を列挙し、それぞれに適用できるかを確認してください。

認証方式によって、フィッシングで認証情報を盗まれたときの結果も変わります。ワンタイムパスワードを画面に入力する方式は、偽サイトに入力させる手口で突破される余地が残ります。物理的なセキュリティキーやパスキーは、鍵が正しい接続先かどうかを判定する仕組みのため、この手口が通用しません。

既存のID基盤との関係も判断材料です。すでに社内でID管理の仕組みを使っている場合、認証だけを追加できるのか、ID基盤ごと入れ替えることになるのかで、導入の負担が変わります。

委託先に渡しているアカウントを対象に含められるかも見落としやすい点です。前掲のアスクルの事例では、例外的に多要素認証を適用していなかった委託先の管理者アカウントが侵入の起点になりました。

委託先まで認証を広げる動きは、制度面の変化とあわせて実際の引き合いにも表れていると、前出の内田氏は説明しています。

内田氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部 セールスアライアンス部 部長
内田氏
独自インタビューより

近年はサプライチェーン対策としての需要も高まっています。経済産業省による新たなセキュリティ対策評価制度の開始を見据え、委託先の認証強化を急ぐ企業が増えています。

認証を強化する製品は、複数のクラウドサービスのログインをまとめて守るID基盤ごと導入する型と、いま使っているVPNや社内システムに認証だけを足す型に分かれ、対応できる経路も料金の考え方も変わります。入口の層に本格的に投資すると決めたなら、認証方式・既存システムとの連携・料金を横並びにして候補を広げてください。

エンドポイントの層:対応OS・暗号化されたファイルを戻せるかの実力差・保証の条件

この層でもっとも差が出るのが、暗号化されたファイルを元に戻せるかどうかです。「ロールバック」「復元」と書かれていても、実際にできることは製品ごとに異なります。

確認したい点は3つあります。1つ目は対応OSで、自動復元がWindowsに限られる製品があります。2つ目は復元できる量で、1ファイルあたりと合計の容量に上限が設けられている製品があります。3つ目は、そもそもファイル単位の自動復元を公式に説明していない製品があることです。この層を「戻せる層」として当てにするなら、後述の比較表でこの3点を確認してください。

対応OSは復元機能以外にも効いてきます。Windows専用の製品は、Macや Linux サーバーが混在する環境ではその範囲を守れません。守りたい機器の構成を先に整理しておくと、候補を絞り込めます。

被害時に金銭的な補償を用意している製品もありますが、適用条件を確認する必要があります。対象OSが限定されていたり、有償オプションの契約や監視サービスの利用が前提になっていたりするためです。条件を満たさない使い方では補償の対象になりません。

運用面では、アラートに対応する人手を確保できるかが分かれ目になります。検知しても対応しなければ被害は止まりません。自社で担えない場合は、監視と初動対応を委託できるサービスの有無で候補が絞られます。

ネットワークの層:接続機器の許可制御と、通信のふるまい検知は別物

この層で混同しやすいのが、役割の異なる2種類の製品です。どちらも「ソフトを入れられない機器」に対する答えになりますが、できることが違います。

通信のふるまいを分析する製品は、すでにネットワークにいる機器の通信から、侵入・横移動・外部との不審な通信を捉えます。攻撃が始まった後に気づくための仕組みです。

接続機器を許可制にする製品は、登録していない機器がネットワークにつながること自体を検知して遮断します。持ち込まれた端末が起点になる経路を断つ仕組みで、すでに許可されている機器の内部での不審な動きは対象にしません。

選ぶ際は、通信を記録して残す期間も判断材料になります。侵入に気づいた時点から経路をさかのぼって調べるには、その期間の通信が残っている必要があります。ただし保存期間を公表していない製品が多いため、要件がある場合は個別に問い合わせて確認してください。

復旧の層:バックアップは「書き換えられない保存」でなければ意味がない

この層は、製品選びを誤ると被害時にまったく機能しません。バックアップを取っていた組織の大半が、実際には戻せていないためです。

警察庁の令和7年(2025年)の集計では、バックアップの取得状況は取得有105件・取得無11件(有効回答116件)でした。ところが復元結果は、復元可20件に対し復元不可79件(有効回答99件)です。復元できなかった理由の内訳は、バックアップの暗号化・消去が48件、運用上の不備が19件、その他が5件でした(有効回答72件)。

バックアップの保存方式による復旧可否の違いを示した図。通常のファイルとして保管したバックアップは管理者権限を奪われると変更・削除でき、元データと一緒に暗号化・消去される。保持期間中は変更も削除もできない書き換えられない保存では、保管したコピーから事業を再開できる

取っているかどうかではなく、攻撃者に書き換えられない形で取っているかどうかが結果を分けています。IPAは対策として、バックアップ自体の改ざん耐性を高める具体的な方式を挙げています。

・適切な取得日時、頻度を検討し、バックアップ運用を行う
WORM(Write Once Read Many)機能等バックアップ自体の改ざん耐性強化策やバックアップからの復旧訓練の実施も有効。

独立行政法人情報処理推進機構「情報セキュリティ 10大脅威2026 解説書[組織編]」(2026年3月)

製品を見比べるときは、この「書き換えられない保存」の実装に濃淡があることを踏まえてください。各社は同じ考え方をイミュータブル保存・WORM・オブジェクトロックなど別々の名前で提供しているため、名前の違いに惑わされず、保持期間中は変更も削除もできないと公式に書かれているかを見てください。

実装の段階は3つに分かれます。保持期間中は変更も削除もできない方式を明示している製品、改変されないコピーやネットワークから切り離した保管を訴求している製品、その方式が既定で有効になっている製品です。

一方で、複数世代を残して感染前の時点に戻す仕組みは持つものの、その世代が書き換えられない保証までは公表していない製品もあります。

世代管理だけの場合に何が起きるかは、JPCERT/CCが具体的に説明しています。

例えば、自動的にファイルをバックアップする仕組みを実装している場合、実装方法や状況によっては、被害を免れていた有効なバックアップファイルが上書きされて消滅するなどの恐れがあります。

一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター「侵入型ランサムウェア攻撃を受けたら読むFAQ

保管装置そのものが被害を受けた例もあります。大阪急性期・総合医療センターの調査報告書は「本事案では、病院に設置されたLTO バックアップ装置が暗号化の被害を受けたため、遠隔地保管のLTO バックアップからの復旧が可能かの判断が即座には困難であった」と記録しています。同報告書は、攻撃を直接受けないオフラインでのバックアップ取得を復旧の要と位置づけています。

もう一点、復旧できる状態を保てているかを定期的に確かめる必要があります。復元できなかった理由の19件は運用上の不備でした。同報告書も「バックアップが正常に実行できているかを定期的に確認することも重要である」と指摘しています。復旧テストを運用に組み込めるかどうかまで含めて、製品と体制を選んでください。

ここまでの4つの層と選定の勘所を踏まえても、自社がどの層から手を付け、どの製品を候補にすべきかの判断は簡単ではありません。貴社の状況に合わせて候補を最短で絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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【比較表】対策の層ごとに見るランサムウェア対策ツール

ここからは、自社の課題や要件に合わせた比較・選定ができるよう、主要34サービスを対策の4つの層に分類してご紹介します。層をまたいで読み比べられるよう、いずれの表も同じ観点で並べています。

【比較表】侵入の入口をふさぐタイプ

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サービス名YubiKey as a ServiceCloudGate UNOShadow DesktopiDoperation
守る対象FIDO2・PIVなどに対応したサービスへのログイン(Windows・macOS・iOS・Android・Linux)クラウドサービス・VPN機器(SAML連携)へのログインPC内の業務データ(端末にデータを残さない)特権ID・管理者アカウント(委託先ベンダーやマシンのIDを含む)
ランサムウェア対策として何をするか防ぐ:秘密鍵をキー内に保持する物理キーで認証し、IDとパスワードが漏れてもログインさせない防ぐ:パスキー(FIDO2)認証と、IPアドレス・デバイス証明書・国や地域などの条件でログインを制限する防ぐ:ファイルをクラウドへ自動退避して端末から消し、暗号化されても失うデータを減らす防ぐ:特権IDを申請・承認制で貸し出し、操作を記録して権限の奪取と横移動を抑える
暗号化されたデータを戻せるか該当なし(戻す層ではない)該当なし(戻す層ではない)1世代前のファイル群は無傷で残る(最大99世代のロールバックはバックアップオプション)該当なし(戻す層ではない)
導入方式物理セキュリティキー(各種サービス・端末の認証に利用)クラウドのみエージェント(Windows 11 x64 日本語版)クラウド版/オンプレミス版
運用委託なし(初期設定代行・導入支援はサブスクに付帯)なし(有償の上位サポートプランは別途)なし(管理コンソールは無償提供)なし
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約公式サイト

※この層は原則として暗号化されたデータを戻す機能を持ちません。Shadow Desktopのみ、端末にデータを置かない方式のため公式が示す復旧の動作を記載しています。各社の公開情報をもとに整理したもので、詳細な条件は各社へご確認ください。

【比較表】エンドポイントで侵入後のふるまいを検知・遮断するタイプ

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サービス名Trend Vision OneCrowdStrike FalconSentinelOne Singularity PlatformPalo Alto Cortex XDRFFRI yaraiMicrosoft Defender XDRAppCheckNeuShield Data SentinelHarmony EndpointDeep InstinctSophos Endpoint(旧 Sophos Intercept X)VVAULT AUDITVaronis Data Security Platform
守る対象PC・サーバー(メール・クラウド・ネットワークも同じ基盤で管理)PC・サーバー(ID・クラウドも同じ基盤で保護)PC・サーバーPC・サーバー(ネットワーク・クラウド・アカウントの記録も相関)PC・サーバー(Windowsのみ)PC・サーバー・ID・メール・クラウドアプリPC・サーバー(Windowsのみ)PC・サーバー上の保管データPC・サーバー・VDI・ブラウザ・モバイル端末PC・Mac、クラウドストレージ(S3・Azure)、NASPC・サーバーファイルサーバー(Windowsの共有フォルダ)ファイルサーバー・NAS・Microsoft 365・クラウドストレージ・データベース
ランサムウェア対策として何をするか検知・遮断:動作監視で未知のランサムウェアの暗号化のふるまいをブロックする検知・遮断:端末の挙動をクラウドで機械学習とふるまい分析にかけて検知・対応する検知・遮断・戻す:エージェント側のAIがプロセスの挙動を捉え、自律的に隔離・停止する検知・遮断:おとりファイルへの書き込みや暗号化を試みたプロセスをその場で遮断する検知・遮断:5つのエンジンでふるまいを判定し、端末の隔離やリモートでの駆除まで行う検知・遮断:進行中の攻撃と判定した端末を自動で隔離し、アカウントの認証やファイルアクセスを制限する検知・遮断・戻す:ファイル変更の箇所・速度・頻度から暗号化を捉え、起動不能化も防ぐ戻す:攻撃を検知するとデータをロックし、重ねた保護層を分離・除去して元に戻す検知・遮断・戻す:ふるまい検知で攻撃を止め、検体を駆除してファイルを自動復旧する防ぐ:ディープラーニングで実行される前にマルウェアかどうかを判定して止める検知・遮断・戻す:CryptoGuardが暗号化のふるまいを止め、プロセスを停止して復旧する検知・遮断:共有フォルダのアクセス記録を分析して暗号化を検知し、感染端末を特定する検知・遮断:データへのアクセス挙動の異常を検知し、アカウント無効化や遮断を自動で行う
暗号化されたデータを戻せるか自動バックアップから復元(1ファイル10MB・合計100MB・保持14日の上限あり)ファイル単位の自動復元は公式に記載なしWindows限定で自動復元(シャドウコピー利用。Protectモードでの稼働が条件)自社の復元機能なし(Windows標準のシャドウコピーの設定のみ)暗号化された正規ファイルの復元は公式に記載なし(駆除による原状復帰は対象)復元機能は公式ドキュメントに明示なし(封じ込め中心)ファイル単位で変更前の状態に自動復元保護層の分離・除去で攻撃前の状態に復元(誤削除の復元にも対応)定期的なシステムバックアップと組み合わせてファイルを自動復旧ファイル単位の復元機能は公式に記載なし暗号化されたファイルを正常な状態に復元(マスターブートレコードの保護も含む)単体では戻せない(VVAULT本体の冗長化・復元機能と組み合わせる)ファイル単位の復元機能は公式に記載なし
導入方式エージェント(Windows・macOS・Linux/クラウド管理)エージェント(Windows・macOS・Linux/クラウド管理)エージェント(クラウド管理)エージェント(Windows・macOS・Linux・Chrome OS・Android)エージェント(Windows専用/オンプレミス・クラウド管理)クラウド(複数のDefender製品の展開が前提)エージェント(Windows専用/クラウド型の管理コンソールあり)エージェント(公式の対応環境はWindows 7〜10・Windows Server 2008 R2〜2019)エージェント(Windows・macOS・Linux/単一エージェントに統合)エージェント(Windows・macOS/SaaS型の管理サーバー)エージェント(Windows・macOS・Linux/クラウド管理のSophos Central)ファイルサーバー向けソフトウェア公式に記載なし(要問い合わせ)
運用委託あり(別売のマネージド検知・対応サービス)あり(別ラインのFalcon Complete。金銭補償の適用条件にもなる)あり(上位パッケージに標準、下位はアドオン)あり(別売のUnit 42によるマネージド検知・対応)あり(マネージドサービス、または月額版でパートナーが代行)あり(別売のDefender Experts)なしなしなし(国内は複数の代理店が導入・日本語サポートを提供)なし(国内はSIer・代理店が導入支援)あり(日本語のマネージド検知・対応サービス)なしあり(有償のマネージドサービス)
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※「暗号化されたデータを戻せるか」は、暗号化されたファイルを元に戻す機能の有無と条件です。公式に記載を確認できないものは対応として扱っていません。対応OSや復元の上限、補償の適用条件は各社へご確認ください。

【比較表】ネットワーク側で横移動や不審通信を検知するタイプ

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サービス名Network BlackboxVectra AIDarktraceL2BlockerTrendAI Deep Discovery Inspector
守る対象ネットワーク全体(端末にソフトを入れられない機器を含む)ネットワーク全体・クラウド・ID基盤・Microsoft 365ネットワーク全体(メール・クラウド・OT・IDも同じ基盤で相関)社内LANに接続する機器(PC・Mac・Linux・スマートフォン・IP電話・ネットワーク機器)ネットワーク全体(100種類以上のプロトコル)
ランサムウェア対策として何をするか検知:通信を全量保存し、スキャン・横移動・拡散を検知して経路をさかのぼる検知:AIモデルで内部探索・横移動・指令サーバーとの通信・データの持ち出しを捉える検知・遮断:その環境の通常の通信からの逸脱を検知し、デバイス隔離・再認証・IP遮断まで実行する防ぐ:通信のふるまいは分析せず、登録のない機器のLAN接続そのものを検知して遮断する検知:シグネチャと専用サンドボックスで不審な通信・挙動を捉える(通信に割り込まないオフライン監視)
暗号化されたデータを戻せるか該当なし(戻す層ではない)該当なし(戻す層ではない)該当なし(戻す層ではない)該当なし(戻す層ではない)該当なし(戻す層ではない)
導入方式専用機器(ミラーリング接続、エージェント不要)エージェント不要(ネットワーク側で監視)専用機器またはクラウド(エージェント不要)専用機器(センサー)+管理サーバー(クラウド版/オンプレミス版)専用機器(物理アプライアンス/仮想アプライアンス)
運用委託なし(代理店の付帯サービスは要問い合わせ)あり(国内は代理店がアナリストによる監視・分析を提供)あり(24時間体制のグローバルSOCによる支援)なし(代理店が導入・運用支援を提供)なし
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト

※この層は暗号化されたデータを戻す機能を持ちません。L2Blockerは接続機器を許可制にするネットワークアクセス制御(NAC)で、通信のふるまいを分析する他の4製品とは役割が異なります。

【比較表】暗号化されてもデータを戻せるタイプ

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サービス名Acronis Cyber Protect CloudVeeam Backup & ReplicationArcserve UDP Cloud DirectAvePoint Cloud BackupSysCloudAOSBOX Business ProBackStoreUSEN GATE 02 クラウドバックアップサービス使えるデータプロテクトWideNetのCLOUD BACKUPFIT-Cloud バックアップサービスEASYクラウドバックアップ
守る対象物理マシン・仮想環境・クラウドVM・Microsoft 365・Google Workspace・モバイル仮想・物理サーバー、クラウド、NAS、SaaSサーバー(OS・設定・アプリケーションを含むイメージ)Microsoft 365などSaaS上のデータ(サーバー・PCのディスクイメージは対象外)Google Workspace・Microsoft 365・Salesforce・Slack・BoxなどSaaS上のデータPC・サーバー上のファイル(OSごと戻すイメージバックアップは非対応)物理・仮想サーバー、NAS、データベース、PC、Microsoft 365・Google Workspace・SalesforcePC・サーバー・NAS・SaaS(プランにより異なる)PC・サーバー・仮想マシン・Microsoft 365・Google WorkspacePC・サーバーサーバー・PC・NASサーバー・PC(OS・システムを含むイメージ)
ランサムウェア対策として何をするか戻す:改変できないストレージに保管したコピーから復元する戻す:削除と上書きを防いだ保存先から復元し、バックアップから仮想マシンを直接起動する戻す:クラウドへ直接送ったイメージからファイル単位・ボリューム単位で復元する戻す:メール・ファイルのバージョン・Teamsのスレッド単位で感染前の時点へ復元する戻す:スナップショットを検査して暗号化されたファイルを見つけ、攻撃前の時点へ自動で戻す戻す:保持した世代から感染前のファイルへ戻す戻す:無制限に保持した世代から、イメージ単位・ファイル単位で復元する戻す:クラウド、またはオンプレミスの専用機器に取ったコピーから復元する戻す:イメージからOS・アプリケーションごと復元する(端末側で暗号化の検知・停止も行う)戻す:預けたデータから復元する(別メーカーの機器や仮想・クラウド環境へのベアメタルリストアも可)戻す:多世代の保存データから感染前の状態へ復旧する戻す:イメージ単位、またはファイル・アプリケーション・ユーザーアカウント単位で復元する
暗号化されたデータを戻せるか改変不可保存(既定で有効・保持14日、1〜999日で変更可)改変不可保存(Linux強化リポジトリ・オブジェクトロック。Data Cloud Vaultは既定で有効)改変不可保存はCloud Direct単体では公式に記載なし(代替起動のDRaaSは2025年1月終了)不変コピー・論理的な分離を公式に訴求(技術的な実装方式は非公表)変更できない形式での保管を公式に訴求(実装方式は非公表)世代管理によるロールバック(改変不可の保存方式は公式に記載なし)世代無制限のロールバック(一定期間ロックする保存方式は公式に記載なし)Vaはオンプレミスの専用機器へ一次保存(クラウド側の改変不可保存はいずれのプランも公式に記載なし)イメージから復元(クラウドに保管したデータの改変不可保存は公式に記載なし)世代管理によるロールバック(改変不可の保存方式は公式に記載なし)多世代保持によるロールバック(世代データをロックする保存方式は公式に記載なし)改変不可の保存方式・保持できる世代数・復旧時間の目安はいずれも公式に記載なし
導入方式エージェント(SaaSはエージェント不要/認定サービスプロバイダー経由で契約)ソフトウェア(仮想はエージェントレス、物理はエージェント)エージェント(オンプレミスの専用機器は不要)クラウドのみ(エージェント不要)クラウドのみ(エージェント不要)エージェント(台数・ユーザー数の上限なし、契約容量に対する定額制)エージェント(専用機器不要)クラウド(Vaはオンプレミスの専用機器を併用)エージェント(保管先は国内の自社データセンター)エージェント(保管先は国内の自社データセンター)エージェント(保管先は富山県の自社データセンター)エージェント(専用機器不要、保管先は国内のデータセンター)
運用委託契約するサービスプロバイダーの提供範囲によるなし(国内は代理店が構築・導入支援を提供)なしなし(日本語サポートチームによる支援あり)なしなしなし(国内の専任スタッフによる電話・メールサポートあり)なし(問い合わせ窓口は平日10時〜18時)なしなし(無料のヒアリング・コンサルティングあり)なしなし(同社のマルウェア感染早期発見サービスと併用可)
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※改変不可の保存(保持期間中は変更も削除もできない保存方式)の有無は、各社が公式に明示している範囲で記載しています。記載がないものを非対応と断定するものではないため、要件にする場合は各社へご確認ください。

ランサムウェア対策ツール34選|層別のサービス紹介

ここからは、各サービスが担う層・保護の中身・提供形態・料金体系を個別に紹介します。層の順序はこれまでと同じく、入口・端末・ネットワーク・復旧の順です。

侵入の入口をふさぐタイプ

外部に公開している経路の認証を強化したい企業、端末にデータを残さない構成を検討している企業に向いた製品です。この層では、ログインを破られにくくする製品に加え、破られた直後に管理者権限を奪われて社内を渡り歩かれる段階を抑える製品も扱います。認証を強化する製品をより広く比べたい場合は、製品ごとの対応経路と料金を整理した記事もあわせてご覧ください。

1. YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

YubiKey as a Serviceのウェブサイト

Yubico社の物理セキュリティキー「YubiKey」を、キー本体の調達と導入・運用の支援をまとめてサブスクリプションで契約する形にしたサービスです。認証に使う秘密鍵はキーの内部に保持され、ネットワーク上には流れません。そのため、IDとパスワードが漏れても、手元にキーがなければログインは成立しません。

対応する規格はFIDO2/WebAuthn、FIDO U2F、PIV(スマートカード)、OpenPGP、OTPで、Windows・macOS・iOS・Android・Linuxで利用できます。スマートフォンを全社員に配布できない現場にも認証手段を配れる点が、認証アプリやSMSを使う方式との違いです。

キーを買い切るのではなく契約期間中の運用費として導入する形のため、PIN設定などの初期設定代行、初回送付時のバックアップキー同梱、契約期間中のキー種類の変更、担当者による導入支援が含まれます。価格は公式サイトに掲載がなく、問い合わせが必要です。

2. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

同社が2008年に始めたクラウド型シングルサインオンを源流とし、2013年から提供しているID管理基盤で、シングルサインオン・多要素認証・アクセス制限・ID管理を1つにまとめています。Google WorkspaceやMicrosoft 365など400以上のクラウドサービスと連携できます。

VPN機器についてはFortiGateやCiscoとのSAML連携に対応し、VPNへのログインをパスキー(FIDO2)認証に置き換える構成が取れると、同社のブログ(2026年5月公開)が説明しています。パスキー認証は上位プラン限定ではなく、全プラン・全ユーザーが無制限に利用できます。

アクセス制限は、IPアドレス・デバイス証明書・国や地域・曜日や時間帯・ブラウザの条件で設定できます。料金は1ユーザーあたり月額400円(税込440円)のStandard Plusから、Enterprise Plusが500円(税込550円)、Smart Packが600円(税込660円)です。初期費用は要問い合わせで、30日間の無料トライアルが用意されています。

3. Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopのウェブサイト

認証を強化するのではなく、端末にデータを置かないことで被害を抑える製品です。PCに保存したファイルはクラウドストレージへ自動でアップロードされ、ローカルのデータは削除されます。ファイルのアイコンは従来どおりPC上に表示され、ダブルクリックすると必要なものだけをクラウドから取り出して開きます。

感染したときの挙動について、公式サイトは「万一、ランサムウェアに感染した場合、最新のファイルは暗号化されてしまいますが、1世代前のファイル群は無傷のまま残っています」と説明しています。標準のバージョン履歴は1世代で、最大99世代の世代管理はバックアップオプションで利用します。オプション利用時は、管理者が管理コンソールで日時を指定して感染前の状態へ戻せます。

既存のPCにインストールする方式で、VDIのようなサーバー構築は不要です。保存先はAmazon S3やMicrosoft 365などのクラウドに加えてオンプレミスの共有フォルダーも選べ、公式サイトが示す対応OSはWindows 11(x64)日本語版です。初期費用は不要と公式サイトに記載があり、月額は要問い合わせ、契約は5ライセンスから、無料トライアルは最大30日間です。

4. iDoperation(NTTテクノクロス株式会社)

iDoperationのウェブサイト

特権IDの管理と操作の監視を担う製品群で、攻撃者が侵入後に管理者権限を奪って社内を渡り歩く段階を対象にします。特権アクセス管理のiDoperation PAM、エンドポイントの権限昇格を制御するiDoperation EPM、ユーザーの操作を監視するiDoperation SCの3製品で構成されます。

特権IDは申請と承認のワークフローを通じて貸し出し・返却され、いつ誰が何をしたのかを操作記録として残せます。社員のIDだけでなく、委託先のベンダーやマシンのIDも管理の対象にできます。

提供形態はクラウド版とオンプレミス版の2種類で、クラウド版は従量課金と公式サイトが説明しています。料金表の掲載はなく、価格は問い合わせが必要です。

この層にはもう一つ、端末にデータを残さない構成にして「暗号化されても失うものを無くす」という考え方があります。同じ考え方の製品でも、オフラインで使えるか、いま使っているPCをそのまま活かせるかは方式によって変わるため、この構成を軸に検討するなら方式ごとの違いから確認してください。

エンドポイントで侵入後のふるまいを検知・遮断するタイプ

侵入された後に気づく手段を持ちたい企業、暗号化されたファイルを戻す手段を端末側にも用意したい企業に向いた製品です。

この層は13製品あり、性格は3つに分かれます。暗号化されたファイルを戻す機能を持つもの、検知と封じ込めに特化するもの、そして端末ではなくファイルサーバーやクラウド上のデータ側で暗号化を捉えるものです。自社が「戻す手段を端末側にも持ちたいのか」「検知に絞るのか」「共有フォルダを守りたいのか」で読む対象を絞れます。

5. Trend Vision One(トレンドマイクロ株式会社)

Trend Vision Oneのウェブサイト

トレンドマイクロ株式会社が提供する、エンドポイント・サーバー・メール・クラウド・ネットワークを単一のコンソールで管理するSaaS型のプラットフォームです。各領域から集めた記録を相関分析して攻撃の全体像を可視化し、Windows・macOS・LinuxのほかAndroid・iOS向けのモジュールも用意されています。

ランサムウェアに対しては、動作監視により未知のランサムウェアがファイルを暗号化・変更する動きを検知してブロックします。不審なアクセスを受けたファイルは暗号化される前に自動でバックアップされ、改変を検知するとバックアップから元の内容に戻します。

ただし公式サポートには、バックアップの対象が1ファイルあたり10MB・合計100MBまで、保持期間は14日間と記載されています。画像や動画、データベースのファイルを多く扱う環境では、この範囲に収まりきらない可能性があります。ライセンスは2026年1月にクレジット制の「TrendAI Flex」へ一本化され、公式に固定価格の掲載はないため費用は問い合わせが必要です。

6. CrowdStrike Falcon(CrowdStrike, Inc.)

CrowdStrike Falconのウェブサイト

単一の軽量エージェントで、次世代アンチウイルスから検知・対応(EDR)、ID・クラウドの保護までをまかなうクラウド型のプラットフォームです。米国のCrowdStrike, Inc.が開発し、端末の挙動ログをクラウド側で集めて機械学習とふるまい分析にかけます。対応OSはWindows・macOS・Linuxです。

公式の価格は端末1台あたりで示されており、次世代アンチウイルス中心のFalcon Goが月額7.99ドル、ファイアウォール管理を加えたProが14.99ドル、EDRと脅威ハンティングを含むEnterpriseが19.99ドルです(米国公式サイトの掲載額、2026年8月時点)。国内では代理店経由の見積もりになることが多く、15日間の無料トライアルが用意されています。

暗号化されたファイルを1件ずつ元に戻す機能は、公式ページの範囲では確認できません。金銭補償は運用を委託するFalcon Complete(マネージド検知・対応)の契約者向けで、対象端末1台あたり最大2,000ドル、企業全体では利用モジュールに応じて最大100万〜200万ドルが上限です。適用には推奨の設定や多要素認証の適用といった条件が付きます。

7. SentinelOne Singularity Platform(SentinelOne, Inc.)

SentinelOneのウェブサイト

エージェント側のAIが端末上のプロセスの挙動を監視し、不正な動きを自律的に検知・隔離・停止する設計のプラットフォームです。米国のSentinelOne, Inc.が提供し、攻撃の流れをプロセスの連鎖として自動で再構成する「Storyline」により、手作業でログを追わなくても経路をたどれます。

暗号化・削除されたファイルを攻撃前の状態にワンクリックで戻すRollbackを備えます。ただしこの復元はWindows標準のシャドウコピー(VSS)を利用する仕組みで、Windows専用です。macOSやLinuxの端末・サーバーは対象外で、エージェントが「Protect」モードで動き、シャドウコピーが有効になっていることも条件になります。

金銭補償のRansomware Cyber Guarantee(端末1台あたり最大1,000ドル、企業全体で最大100万ドル)も同じくWindowsが対象で、EPPライセンスに追加費用を払う有償オプションとして提供されます。

ライセンス価格は、EDR/XDRを含むSingularity Completeが1エンドポイントあたり年額179.99ドル、上位のCommercialが229.99ドルと公式に掲載されています(米国公式サイトの掲載額、2026年8月時点。国内は代理店見積もりになります)。

8. Palo Alto Cortex XDR(パロアルトネットワークス株式会社)

Palo Alto Cortex XDRのウェブサイト

おとりのファイルを端末内の複数箇所に置き、そこへの書き込み・改名・暗号化を試みたプロセスを捉える方式でランサムウェアを検知します。パロアルトネットワークス株式会社が提供するエンドポイント起点のXDRで、ネットワーク・クラウド・アカウントの記録も同じ基盤で相関させます。

動作は2つのモードから選べ、おとりに触れたプロセスをその場で遮断するPrevention Modeと、止めずにイベントとして記録するNotification Modeがあります。一方で暗号化されたファイルを戻す自社のバックアップ機能は持たず、管理画面からWindows標準のシャドウコピーの有効・無効を設定できるにとどまります。

エージェントはWindows・macOS・Linux・Chrome OS・Androidに対応し、同じコンソールから管理できます。運用を委託したい場合は、脅威インテリジェンスチームのUnit 42による24時間365日のマネージド検知・対応を別売で追加できます。価格は公開されておらず、代理店経由の見積もりとなります。

9. FFRI yarai(株式会社FFRIセキュリティ)

FFRI yaraiのウェブサイト

2009年に提供が始まった純国産のエンドポイントセキュリティで、開発元は東証グロース上場の株式会社FFRIセキュリティです。定義ファイルとの照合ではなく、脆弱性を狙う攻撃の検出・実行前の静的解析・サンドボックス・機械学習・挙動監視という5つのエンジンでプログラムのふるまいを判定します。

対応OSはWindowsに限られ、クライアントはWindows 10と11、サーバーはWindows Server 2016から2025までが対象です。macOSやLinuxの端末を含む環境では、他の製品と組み合わせる必要があります。提供形態はオンプレミス・クラウド管理・運用委託のマネージドサービス・パートナー提供の月額版の4つで、オンプレミスとクラウドは5ライセンス以上から導入できます。

EDRの機能は本体ライセンスに追加費用なしで含まれ、端末の隔離やリモートでの駆除、ログの収集まで同じライセンスで行えます。マルウェアが作成したファイルやレジストリ設定を消して元の状態に戻す駆除機能もありますが、暗号化された正規のファイル自体を復元する機能については公式の明示がありません。価格は公開されておらず、販売パートナー経由の見積もりです。

10. Microsoft Defender XDR(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Defender XDRのウェブサイト

ID・エンドポイント・メール・クラウドアプリの記録を横断して脅威を検知・調査する統合レイヤーで、国内では日本マイクロソフト株式会社が提供します。単体で購入する製品ではなく、Defender for Endpoint プラン2をはじめとする複数のDefender製品を展開することで有効になる構成です。

ランサムウェアへの対応は「自動攻撃かく乱」が中心です。進行中の攻撃と判定すると、足がかりになった端末をネットワークから自動で隔離し、侵害された疑いのあるアカウントの認証やファイルアクセスを制限します。封じ込めに主眼を置いた設計で、暗号化されたファイルを元に戻す機能は公式ドキュメントに明示されていません。

費用はユーザー単位で、Microsoft 365 E5(Teamsあり)が月額8,995円相当、Defender製品を束ねたスイートが月額1,799円相当です(いずれも年払いの月額換算、2026年8月時点の公式価格。スイートはMicrosoft 365 E3などの保有が前提)。すでにE5を契約している企業は、追加のライセンスなしでこの機能を有効にできます。

11. AppCheck(株式会社JSecurity)

AppCheckのウェブサイト

用途をランサムウェア対策に絞った常駐型のソフトで、既存のウイルス対策ソフトと同時に動かす前提で設計されています。提供元は株式会社JSecurityで、ファイルの変更箇所・速度・頻度をリアルタイムに監視し、パターンファイルに依存せず暗号化のふるまいを捉えます。

通常の操作中にファイルを自動でバックアップしておき、暗号化された場合はファイル単位で変更前の状態に復元できます。ランサムウェアがマスターブートレコードを壊してPCを起動不能にする手口を防ぐ機能や、Officeなどの脆弱性を突く攻撃を止めるExploit Guardも備えます。

対応環境はWindowsのクライアントとサーバーで、クライアントはWindows 7から11、サーバーはWindows Server 2008 R2から2025までが対象です。クライアント向け・サーバー向け・クラウド型の管理コンソールに製品が分かれており、価格は公式サイトで公開されていないため問い合わせが必要です。

12. NeuShield Data Sentinel(NeuShield, Inc.)

NeuShield Data Sentinelのウェブサイト

保護対象のデータの上に薄い層を重ねる「Mirror Shielding」という方式を採る、米国NeuShield, Inc.のランサムウェア対策ソフトです。攻撃を検知するとデータをロックし、重ねた層だけを分離・除去することで攻撃前の状態に戻します。

データの複製を都度取得するバックアップとは異なる仕組みのため、復元にかかる停止時間とストレージの消費を抑えられると同社は説明しています。誤って削除したファイルやフォルダの復元にも対応し、OneDriveやGoogle ドライブとの併用もできます。

公式に記載されている対応環境はWindows 7〜10とWindows Server 2008 R2〜2019で、エディションはクライアント向けからサーバー・データセンター向けまで分かれます。国内は株式会社セキュリティストリングスが総代理店を務め、複数の販売代理店経由で提供されています。定価表は公開されておらず問い合わせが必要ですが、試用版が用意されています。

13. Harmony Endpoint(Check Point Software Technologies)

Harmony Endpointのウェブサイト

EPP・EDR・XDRの機能を1つのエージェントにまとめた製品で、イスラエル発のCheck Point Software Technologiesが提供しています。ファイルレス攻撃や不審な挙動を実害が出る前に捉えるBehavioral Guardを備え、脆弱性の検出とパッチ管理も自動化できます。

ランサムウェアについては、定期的にシステムのバックアップを取得したうえで、感染時に検体を駆除しファイルを自動で復旧する流れが用意されています。Windows・macOS・Linuxに加え、サーバー・VDI・ブラウザ・モバイル端末まで同じ製品で保護できます

価格は公式サイトに掲載がなく、無料トライアルまたはデモの申し込みを経た個別の見積もりになります。国内はアズジェント、SB C&Sなど複数の代理店が取り扱っており、日本語のサポートはこれらの代理店経由で提供されます。

14. Deep Instinct(Deep Instinct Ltd.)

Deep Instinctのウェブサイト

ディープラーニングを使い、実行される前の段階でマルウェアかどうかを判定する設計のエンドポイント製品です。イスラエル発のDeep Instinct Ltd.が開発した「DSX Brain」が生のデータから攻撃のパターンを学習するため、定義ファイルの更新を待たずに未知の亜種にも判定を下します。

守る範囲は端末だけではありません。現行のData Security X(DSX)では、Amazon S3やAzureのクラウドストレージ、Dell・NetAppのNASもスキャンの対象に含みます。ただしエンドポイントの対応OSはWindowsとmacOSで、Linuxは公式の対応環境に挙げられていません。

ゼロデイ攻撃の内容を生成AIが解説するDIANNAを備え、検知後の初動調査を支援します。エージェントは定期的なフルスキャンを必要としない設計です。価格は公開されておらず、情報技術開発やNTTドコモビジネスなど国内のSIer・代理店経由での見積もりとなります。

15. Sophos Endpoint(旧 Sophos Intercept X/Sophos Ltd.)

Sophos Intercept Xのウェブサイト

英国のSophos Ltd.が提供するエンドポイント製品です。2025年10月の製品体系の刷新でブランド名が整理され、現在の公式名称はSophos Endpoint、検知・対応の機能はSophos EDR/XDR/MDRという別々のライセンス名に分かれています。エージェントと管理画面のSophos Centralは従来から変わりません。

ランサムウェア対策の中核はCryptoGuardで、ファイルシステムのレベルで暗号化のふるまいを監視し、攻撃を検知した時点でプロセスを止めて暗号化されたファイルを正常な状態に戻します。マスターブートレコードの保護も含まれ、ディープラーニング型のエンジンによるマルウェア検知や60種類以上のエクスプロイト対策と組み合わせて動きます。

対応OSはWindows・macOS・Linuxで、2021年に開設した東京のデータセンターを使い、2022年から日本語のマネージド検知・対応サービスを提供しています。価格は公式サイトで非公開のため、30日間の無料試用版を経て個別の見積もりに進む形になります。

16. VVAULT AUDIT(株式会社ソリトンシステムズ)

VVAULT AUDITのウェブサイト

端末ではなく、ファイルサーバー側で暗号化の動きを捉える製品です。株式会社ソリトンシステムズが提供しており、Windowsの共有フォルダへのアクセス記録を一定間隔で収集・分析します。アクセス数の急増などランサムウェアに特有のパターンを検知すると、あらかじめ設定した宛先へアラートを送ります。

アラートを受けた後は、攻撃を実行した感染端末の特定まで行えます。この攻撃の検知・ブロック機能について、同社は特許を取得しています(2019年2月時点の報道)。

データの冗長化・復元機能を持つVVAULTシリーズ本体と組み合わせれば、検知・遮断・復旧を同じ製品群で構成できます。価格は確認できる公式ページに掲載がなく、サポート内容とあわせて問い合わせが必要です。

17. Varonis Data Security Platform(Varonis Systems, Inc.)

Varonis Data Security Platformのウェブサイト

ファイルサーバーやNASだけでなく、Microsoft 365・クラウドストレージ・データベースまでを対象に、アクセス権限とユーザーの操作を継続的に記録するプラットフォームです。提供元は米国のVaronis Systems, Inc.で、大量のファイルが一度に暗号化されるといった通常とは異なる動きを、あらかじめ用意された検知ポリシーで捉えます。

検知した後は、アカウントの無効化やアクセスの遮断といった対応を自動で実行できます。過剰に与えられたアクセス権限を洗い出して適正化する機能も備えており、権限の棚卸しと日々の監視を同じ基盤で行えます。

社内に24時間の監視体制を置けない場合は、有償のマネージドサービス(MDDR)を利用できます。価格は公開されていないため問い合わせが必要ですが、導入前の判断材料として無料のリスク評価が用意されています。

ネットワーク側で横移動や不審通信を検知するタイプ

ソフトを入れられない機器が社内にある企業、侵入後の経路をさかのぼって調べられる状態にしておきたい企業に向いた製品です。

18. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxのウェブサイト

韓国の Quad Miners が開発し、日本法人である株式会社クワッドマイナージャパンが国内で提供する、ネットワークの通信を分析して脅威を検知・対応する NDR(Network Detection and Response)製品です。流れるパケットを全量取り込んで保存し、シグネチャによる既知の脅威の検知と、ふるまいの異常検知を併用します。

同社が2023年6月に公表した証券会社での導入事例には、ランサムウェア攻撃を段階ごとに捉えた記録が示されています。外部IPアドレスから内部ネットワークへの大量のスキャン、そのIPアドレスとActive Directoryサーバー間のRDPセッション、同じIPアドレスによる内部へのランサムウェアの拡散をそれぞれ検知し、二次感染の翌日に感染経路を特定したとしています。

導入はミラーリング方式で、監視対象の端末や機器にソフトを入れる必要がありません。国内総代理店が公開している事例では、OSやリソースの制約でウイルス対策ソフトやEDRを導入できない工場の制御コンソールを、ネットワーク側の監視で可視化したケースが紹介されています。

検知した後の調査には、MITRE ATT&CK に基づくシナリオ単位の脅威ハンティングと、保存したパケットを再構成して通信内容を確認するフォレンジック機能を使います。通信を全量保存する設計のため、侵入に気づいた時点から過去の通信をさかのぼって経路を追える点が、検知に特化した製品との違いです。料金は公式・代理店ページとも非公開で、ネットワーク規模や構成に応じた個別見積もりとなります。

19. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

Vectra AIのウェブサイト

既知のパターンとの一致ではなく、攻撃者の行動をAIモデルで判定する方式をとるNDR製品です。米国の Vectra AI, Inc. が2011年から開発しており、監視対象は社内ネットワークにとどまらず、AWS・Azure などのクラウド、Active Directory や Microsoft Entra ID といったID基盤、Microsoft 365 まで含みます。

公式ブログでは、ランサムウェア攻撃に対して、内部のポートスキャンやファイル共有の探索、psexec やRDPを悪用した横移動、外部の指令サーバーとの通信、大量のファイル転送によるデータの持ち出しを、それぞれ別の検知モデルで捉えると説明しています。エージェントは不要で、ネットワーク側の可視化は数日で立ち上げられるとしています。

国内ではマクニカ株式会社が販売窓口となり、アナリストによる監視・分析の代行やトライアルの相談にも対応します。調査会社ITRの「NDR市場:2020年度〜2023年度予測」では4年連続で国内トップシェア(2023年度の予測値で35.7%)とされています(Vectra AI Japanが2024年9月に公表したプレスリリースによる)。料金は要問い合わせです。

20. Darktrace(Darktrace Limited)

Darktraceのウェブサイト

英国ケンブリッジで2013年に設立された Darktrace Limited の製品群です。組織ごとの通常の通信をAIが学習し、そこからの逸脱を異常として検知する方式で、ネットワークを担う Darktrace/NETWORK を中核に、メール・クラウド・OT・アイデンティティ・エンドポイントの各製品が同じプラットフォーム上で相関します。

国内代理店が公開している検知事例の解説では、拡張子を偽装した実行ファイルのダウンロードや、SMB上で同じ容量の読み込みと書き込みが繰り返される動き(暗号化の兆候)を、その環境の通常の通信からの逸脱として捉えたケースが紹介されています。

検知した後は、Cyber AI Analyst がアラートを自動で調査して優先度を付け、デバイスの隔離・強制的な再認証・IPアドレスの遮断といった封じ込めを製品側で実行できます。24時間体制のグローバルSOCによる支援も公式に明記されています。料金は非公開で、監視対象のデバイス数に応じた個別見積もりです。

21. L2Blocker(エクスジェン・ネットワークス株式会社)

L2Blockerのウェブサイト

社内LANへの接続を許可制にするネットワークアクセス制御(NAC)製品で、エクスジェン・ネットワークス株式会社が提供しています。通信のふるまいを分析して脅威を検知する製品ではなく、いまネットワークにつながっている機器が登録済みかどうかを判定し、登録のない機器を検知・遮断する仕組みです。

セグメント単位に設置したセンサーがARPパケットを読み取って機器を識別するため、監視対象の機器にソフトを入れる必要がありません。Windows PCのほか、Mac、Linux、スマートフォンやタブレット、IP電話、ネットワーク機器まで検知の対象になります。

動作は、接続機器を集めるだけのモード、一定期間は接続を許可してから遮断へ移行するモード、登録のない機器を自動で遮断するモードの3段階から選べます。社内の機器を棚卸ししてから遮断へ進める運用が可能です。管理サーバーはクラウド版とオンプレミス版のいずれかを選択できます。

公式サイトにはセンサー単体の価格が掲載されています。接続機器数の制限がないスタンダードセンサーが1セグメントあたり140,000円、最大32VLANに対応するタグVLANセンサーが1台340,000円です(2026年8月時点)。総額は設置するセンサーの台数と管理サーバーの構成によって変わります。導入前には無料の評価機貸出も利用できます。

22. TrendAI Deep Discovery Inspector(トレンドマイクロ株式会社)

TrendAI Deep Discovery Inspectorのウェブサイト

トレンドマイクロ株式会社の統合プラットフォーム Trend Vision One とは別に、ネットワーク層の検知だけを切り出して導入できるアプライアンス製品です。物理アプライアンスと仮想アプライアンスのモデルが用意されています。

100種類以上のプロトコルを監視対象とし、シグネチャによる検知に加えて、不審な挙動を専用のサンドボックスで分析します。既存の通信に割り込まないオフライン監視のため、内部を通る通信も検知の対象にできると説明されています。

価格は公式サイトに記載がなく、アプライアンスのモデル別の見積もりになります。下位モデルのラインナップ変更と一部価格の改定が2025年1月に実施されています。

ここまで見てきたとおり、端末側とネットワーク側の検知は守れる範囲が重なりながらもずれており、両方を一度に入れられる企業ばかりではありません。この2層に絞って製品を比べ、自社ではどちらから整備するかを決めたい場合は、以下の記事で製品一覧と判断の順序を整理しています。

暗号化されてもデータを戻せるタイプ

検知をすり抜けた場合でも事業を再開できる状態を確保したい企業、いま取っているバックアップの保存方式に不安がある企業に向いた製品です。

23. Acronis Cyber Protect Cloud(アクロニス・ジャパン株式会社)

Acronis Cyber Protect Cloudのウェブサイト

バックアップとマルウェア対策を1つの管理コンソールに統合したプラットフォームで、利用企業はAcronis認定のサービスプロバイダー経由で契約します。国内では日立ソリューションズ、さくらインターネット、ニフクラなどが自社のクラウドバックアップサービスの基盤に採用しています。

バックアップデータはイミュータブルストレージ(削除を指定しても保持期間中は物理的に消えない保存方式)に保管されます。保持期間は既定で14日、1〜999日の範囲で変更できます。新規テナントでの既定有効化は2024年9月、国内のAcronisクラウドストレージ利用者への自動適用は2025年3月17日から始まりました。

保護できる範囲は物理マシン・仮想環境からAmazon EC2やAzureの仮想マシン、Microsoft 365、Google Workspace、モバイルまで広く、保存時・転送時ともAES-256で暗号化します。エンドユーザーが支払う料金は契約するプロバイダーごとに異なるため、容量とサポート範囲をあわせて見積もりを取る流れになります。

24. Veeam Backup & Replication(ヴィーム・ソフトウェア株式会社)

Veeam Backup & Replicationのウェブサイト

2008年に仮想環境向けのイメージバックアップとして登場し、現在は物理サーバー・クラウド・NAS・SaaSまで対象を広げたデータ保護基盤です。同社は全世界55万社以上での利用を公表しています。監視のVeeam ONE、復旧手順を自動化するVeeam Recovery Orchestratorと組み合わせ、3つのエディションで提供されます。

保存側は、削除と上書きをOSレベルとAPIレベルの双方でブロックするLinux強化リポジトリと、Amazon S3・Azure Blobのオブジェクトロックに対応します。フルマネージドのVeeam Data Cloud Vaultは既定で不変設定が有効です。復旧側では、バックアップイメージをホストへ直接マウントして仮想マシンを稼働させるインスタントVMリカバリを備えます。

戻す前の安全確認として、バックアップ内容をマルウェアスキャンするSecure Restore、復元できるかを自動検証するSureBackupも用意されています。課金は保護対象10インスタンス単位のライセンスが中心で、実額は代理店見積もり。10インスタンスまで無償・無期限のCommunity Editionがあり、検証から始められます。

25. Arcserve UDP Cloud Direct(arcserve Japan合同会社)

Arcserveのウェブサイト

オンプレミスにバックアップサーバーやステージング用の機器を置かず、サーバーにエージェントを入れてクラウドへ直接イメージバックアップを送る形態です。OS・設定・アプリケーションを含めて丸ごと保護し、復元はファイル単位とボリューム単位から選べます。保管先は日本国内リージョンと米国リージョンを選択できます。

検討時に押さえておきたいのは、クラウド上で代替の仮想マシンを起動するディザスタリカバリ(DRaaS)が2025年1月31日で終了している点です。現行はバックアップと復元の機能が中心で、代替起動を要件にする場合はArcserve UDPまたはUDP Cloud Hybridへの切り替えが公式に案内されています。

改変できない保存については、Cyber Resilient StorageがオンプレミスのUDP復旧ポイントサーバー向けオプションとして用意されている一方、Cloud Direct単体で同じ保護が働くかは公式に明示されていません。料金は容量ベースの年額サブスクリプションで、公式価格表(2024年1月更新)には1TBあたり年額240,000円(税抜)と記載があります。

26. AvePoint Cloud Backup(AvePoint Japan株式会社)

AvePoint Cloud Backupのウェブサイト

守る対象をSaaS上のデータに絞った製品です。Microsoft 365(Exchange Online・SharePoint・OneDrive・Teams・Power Platform・Entra ID)を主対象とし、オプションでGoogle Workspace・Salesforce・Dynamics 365まで広げられます。サーバーやPCのディスクイメージは対象外となります。

米国本社の製品ページでは、暗号化・不変性・論理的なエアギャップを有効にできると記載しており、バックアップを本番環境から切り離した不変のコピーとして保持する考え方をとります。技術的な実装方式までは公表されていません。AIによる異常検知と組み合わせ、感染前の時点へ戻す運用を想定しています。

復元の粒度は細かく、メールの個別復元、ファイルのバージョン単位復元、Teamsのスレッド単位復元に加え、チャットボット「AVA」を使った利用者本人による復元にも対応します。バックアップは1日最大4回、保持期間と容量は無制限。保管リージョンは国内を含む12カ所から選べます。初期費用は無料で、料金は3年プランが1ユーザー月額320円(税抜)、無期限プランが640円(税抜)です。30日間試せます。

27. SysCloud(シスクラウドジャパン株式会社)

SysCloudのウェブサイト

2013年に米国で提供が始まったSaaSデータ保護サービスで、日本法人は2024年4月に設立されました。Google Workspace・Microsoft 365・Salesforce・Slack・Boxなど複数のクラウドアプリを対象に、ファイル・メール・オブジェクト・メタデータを自動でバックアップします。

米国本体の製品コピーは「Automated and Immutable Cloud Backup for SaaS Apps」で、変更できない形式での保管を前面に置いています(実装方式は公表されていません)。スナップショットを検査して暗号化されたファイルを見つけ、攻撃前の時点へ戻すところまでを自動化ワークフローで組めます。

日本向けのデータはAWS東京リージョンに保管され、国内保管を条件とする企業でも検討しやすい構成です。課金は対象サービス数×ユーザー数で、容量と保持期間は無制限。日本円建ての料金は公開されていないため見積もりが必要になります。30日間の無料トライアルが用意されています。

28. AOSBOX Business Pro(AIデータ株式会社)

AOSBOX Business Proのウェブサイト

課金の考え方が他と異なり、契約したストレージ容量に対する定額制で、バックアップ対象のPC・サーバーの台数とユーザー数に上限がありません。入退社や端末の入れ替えで台数が動いても費用は変わらない一方、保護できるのはファイル単位で、OSごと戻すイメージバックアップには対応していません。

ランサムウェア対策の中身は世代管理によるロールバックです。2世代から無制限までバージョンを保持し、暗号化されたファイルを感染前の世代へ戻します。一定期間は削除も上書きもできない保存方式を明示している製品とは仕組みが異なるため、そこを要件にするなら事前の確認が必要です。

価格は通常ストレージの100GBが年額40,000円(税別)から、長期保存向けのコールドストレージは1TBが年額120,000円(税別)。ただしコールドストレージは復元に3〜5時間程度かかると公式に示されており、止められない業務のデータをどちらに置くかで選択が変わります。保管先はAWS東京リージョンのマルチAZ構成です。

29. BackStore(株式会社BackStore)

BackStoreのウェブサイト

セイコーソリューションズの全額出資子会社が運営し、国内1,700社以上への導入を公表しています。物理・仮想サーバー、NAS、SQL ServerやOracleのデータベース、Windows・Mac・LinuxのPC、Microsoft 365・Google Workspace・Salesforceまでを、製品を使い分けずに1つの管理画面で扱えます。

イメージとファイルの両方式に対応し、世代は無制限に保持できます。ブロック単位の重複排除を標準で備え、課金は重複排除と圧縮を行った後の容量が基準です。仮想マシンはフルリストア・仮想ディスク単位・ファイル単位の3通りで戻せます。

一方で、保管したバックアップを一定期間ロックする仕組みについては、公式サイトにもサポートページにも記載が見当たりません。改変されない保存を条件にするなら問い合わせて確かめておきたいところです。料金はサーバー向けが1TBあたり月52,000円から、PC向けが1ユーザー月1,000円(25ユーザーから)で、初期費用は無料です。

30. USEN GATE 02 クラウドバックアップサービス(株式会社USEN ICT Solutions)

USEN GATE 02 クラウドバックアップサービスのウェブサイト

方式の異なる複数のプランを束ねたサービス群です。クラウド型で容量従量課金のAJ、オンプレミスの専用機器を一次保存先に置くハイブリッド型のVa、Druva製品をベースにしたinSync(PC・SaaS向け)とPhoenix(サーバー・NAS向け)に分かれます。

復旧の層として見たときに特徴が出るのはVaです。一次バックアップ先が手元の専用機器のため、公式は「オフラインでもバックアップ可能でランサムウェア対策に有効」と説明しています。ただし、クラウドに保管したデータを改変できない状態にする仕組みは、いずれのプランについても公式に記載がありません。

料金はAJが初期費用0円・500GBで月額21,000円(税別)、超過分は1GBあたり42円。Vaは初期費用100,000〜300,000円、月額19,000〜250,000円で、容量は500GBから10TBまで選べます。Druvaベースの2プランは個別見積もりです。問い合わせ窓口は平日10時から18時まで対応しています。

31. 使えるデータプロテクト(使えるねっと株式会社)

使えるデータプロテクトのウェブサイト

2026年1月に「使えるクラウドバックアップ」から改称し、ウイルス防御・機器の一元管理・災害時の復旧までを含む構成へ再編されました。イメージバックアップでOS・アプリケーション・データを丸ごと保護し、PC・サーバー・仮想マシン・Microsoft 365・Google Workspaceを対象にします。

ランサムウェア対策として挙がるActive Protectionは、暗号化を検知して不正なプロセスを止め、キャッシュからファイルを戻す機能です(Windowsのみ・管理者権限が必要)。これは端末側で働く仕組みであり、クラウドに保管したバックアップを改変できない状態にする仕組みとは別のもので、後者は公式に記載がありません。

保管先は長野県長野市の自社データセンター(ISO 27001認定)で、AES-256で暗号化して保存します。料金は公式に3構成が示されており、バックアップのみが月額2,400円から、災害時の復旧まで含む最上位が月額10,700円から。最上位の復旧については「最短5分で復元」と記載しています。

32. WideNetのCLOUD BACKUP(株式会社ネディア)

WideNetのCLOUD BACKUPのウェブサイト

群馬県前橋市の自社データセンター(ISO 27001認定)へ、PC・サーバーのデータをインターネット経由で預ける完全クラウド型のサービスです。システムイメージ型とファイル・フォルダー型の両方に対応し、別メーカーのハードウェアや仮想環境・クラウド環境へのベアメタルリストアもできます。

価格が公開されている点は見積もり前の判断材料になります。PC向けは200GBで月額1,780円から、サーバー向けは200GBで月額13,180円から(いずれも税別・1台あたり)。初期費用は0円で、30日間の試用版があります。多拠点・多台数を1つのWeb管理画面から集中管理できます。

追加オプションのActive Protectionは、AIで未知の脅威を検知・遮断する端末側の機能です(Windowsのみ、料金は非公開)。クラウドに置いたバックアップを改変できない状態にする仕組みは公式に記載がなく、日次の世代を週単位・月単位で保持する世代管理が保護の中心になります。

33. FIT-Cloud バックアップサービス(北電情報システムサービス株式会社)

FIT-Cloud バックアップサービスのウェブサイト

北陸電力グループのシステム会社が、富山県の自社データセンターを保管先として提供しています。サーバー・PC・NASにエージェントを入れ、OSを含む丸ごとのバックアップと、指定したフォルダ・ファイル単位のバックアップの両方に対応します。復元先はクラウドでも物理サーバーでもよく、他社クラウドへ戻すことも想定されています。

課金は容量に対して行われ、契約容量の範囲内であれば対象台数を増やしても追加費用が発生しません。契約容量は100GBからで、実額は公表されていないため問い合わせが必要です。接続はインターネットのほか、VPNやデータセンター構内接続も選べます。

復旧を支えるのは多世代保持の世代管理で、公式も感染前の状態への復旧を用途に挙げています。ただし世代データそのものをロックする保存方式については記載がなく、バックアップ先を富山県へ遠隔分離している点が実質的な守りになります。復旧にかかる時間の目安も公表されていません。

34. EASYクラウドバックアップ(株式会社セキュアイノベーション)

EASYクラウドバックアップのウェブサイト

沖縄でセキュリティ診断やSOC運用を手がける企業が2020年6月に提供を始めたサービスです。Acronisのバックアップエンジンを利用し、専用機器を用意せずに導入できます。OS・システムを丸ごと戻すイメージバックアップと、ファイル・アプリケーション・ユーザーアカウント単位のバックアップに対応します。

データはSSLで暗号化した経路で転送し、国内のデータセンターで保管します。初期費用はかかりません。同社のマルウェア感染早期発見サービス「EISS」との併用を想定しており、検知と復旧を1社にまとめたい場合の選択肢になります。

ただし改変できない保存方式の有無、保持できる世代数、復旧にかかる時間の目安は、いずれも公式に示されていません。月額料金も公式ページには掲載がないため、保護対象と容量、必要な保持条件を伝えたうえで見積もりを取る前提で検討することになります。

復旧の層は、戻したい対象(サーバーを丸ごとか、ファイル単位か、Microsoft 365などクラウド上のデータか)と保管する容量によって、候補も費用も変わります。この層をさらに要件で絞り込みたい場合は、料金・容量・対応範囲を軸に整理した以下の記事が判断の材料になります。

導入・運用にかかる費用と体制

製品の候補が絞れたら、費用と運用体制の見通しを立てる段階に入ります。ここでは公表されている価格の考え方と、導入後に起きやすいつまずきを整理します。

層ごとの費用の目安と課金単位

この分野は価格を公開していない製品が多く、横並びの相場を示せる状態にはありません。判断できるのは課金の考え方と、価格を公開している製品の実額です。

課金単位は層によって傾向が分かれます。入口の層は利用者数、エンドポイントの層は保護する端末やサーバーの台数、ネットワークの層は監視する範囲や機器の構成、復旧の層は保管する容量または保護対象の台数が基準になることが一般的です。台数課金の製品は守る範囲を広げるほど費用が伸びるため、どの機器まで対象にするかを先に決めておくと見積もりの幅が絞れます。

本記事で扱った34製品のうち、価格を公式に公開しているのは次の12製品です。残りは公式に価格を掲載しておらず、見積もりを取る前提になります。税の表記や為替の扱いは各社の掲載どおりに記載しているため、社内比較に使う場合は条件をそろえてください。

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入口エンドポイントエンドポイントエンドポイントネットワーク復旧復旧復旧復旧復旧復旧復旧
サービス名CloudGate UNOCrowdStrike FalconSentinelOneMicrosoft Defender XDRL2BlockerAvePoint Cloud BackupArcserve UDP Cloud DirectAOSBOX Business ProBackStoreUSEN GATE 02 クラウドバックアップサービス使えるデータプロテクトWideNetのCLOUD BACKUP
課金単位1ユーザー月額端末1台月額1エンドポイント年額1ユーザー月額センサー単位1ユーザー月額容量年額容量年額容量/ユーザー月額容量月額構成別月額容量/台月額
公開されている価格月額400円(税込440円)のStandard Plusから、Enterprise Plus 500円(税込550円)、Smart Pack 600円(税込660円)Falcon Go 7.99ドル、Pro 14.99ドル、Enterprise 19.99ドル(米国公式サイトの掲載額)Singularity Complete 179.99ドル、Commercial 229.99ドル(米国公式サイトの掲載額)Microsoft 365 E5 が月額8,995円相当、Defender製品を束ねたスイートが月額1,799円相当(いずれも年払いの月額換算)スタンダードセンサー 1セグメント140,000円、タグVLANセンサー 1台340,000円(総額は設置台数と管理サーバー構成による)3年プラン 月額320円(税抜)、無期限プラン 月額640円(税抜)。初期費用0円1TBあたり年額240,000円(税抜)。DRaaS終了案内に添付された継続契約向けの価格表(2024年1月更新)のため、新規契約は要確認通常ストレージ100GB 年額40,000円(税別)から、コールドストレージ1TB 年額120,000円(税別)サーバー向け 1TBあたり月52,000円から、PC向け 1ユーザー月1,000円(25ユーザーから)。初期費用は無料AJ は初期費用0円・500GBで月額21,000円(税別)、超過分1GBあたり42円。Va は初期費用100,000〜300,000円・月額19,000〜250,000円バックアップのみが月額2,400円から、災害時の復旧まで含む最上位が月額10,700円からPC向け 200GBで月額1,780円から、サーバー向け 200GBで月額13,180円から(いずれも税別・1台あたり)

※2026年8月時点で各社が公式に公開している価格。Arcserve のみ公式価格表の更新日(2024年1月)を併記。構成・契約数により変動します。

ネットワークの層は、通信のふるまいを分析する製品がいずれも価格を公開していません。監視する範囲や機器構成で総額が変わるため、自社のネットワーク構成を伝えたうえで見積もりを取る前提で進めてください。

投資の判断材料として、被害に遭った場合の費用も押さえておく価値があります。

警察庁の令和7年(2025年)の集計では、調査・復旧費用の総額は次のように分布しています。1,000万円以上を要した組織が半数を超えます。これは身代金ではなく、調査と復旧にかかった費用の集計です。

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100万円未満100万円以上500万円未満500万円以上1,000万円未満1,000万円以上5,000万円未満5,000万円以上1億円未満1億円以上
件数16件18件9件32件9件5件

※警察庁「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」統計編(令和8年3月公表)。有効回答89件。

費用を抑える公的な支援制度

予算が限られる場合、導入費用の一部に公的な支援制度を使える場合があります。中小企業向けには、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)に「セキュリティ対策推進枠」が設けられており、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が示す要件を満たす「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のリスト掲載サービスが対象になります。

対象になりやすいのは、月額または年額で契約するクラウド型の製品です。買い切りのハードウェアや、既存契約の更新分は対象外になることがあります。補助率・上限額・申請期間は制度と公募回ごとに変わるため、検討している製品が対象かどうかも含めて、最新の公募要領で確認してください。

自社で運用するか、監視を委託するか

検知する製品を入れると、アラートに対応する業務が発生します。アラートは深夜や休日にも上がるため、他業務と兼務している体制では見落としが起きます。

前掲のアスクルの資料は、侵害されたデータセンターで「24 時間監視も行われていなかったため、不正アクセスや侵害を即時検知できませんでした」と記録しています。製品を導入しているかどうかとは別に、上がった通知に誰がいつ対応するかが結果を左右します。

自社で担えない場合は、監視と初動対応を専門事業者に委託する選択肢があります。検討時は、委託の範囲(検知の通知までか、隔離などの対応まで含むか)と、製品価格に含まれるか別契約かを確認してください。補償を用意する製品では、この監視サービスの契約が適用条件になっている場合があります。

専任の担当者を置けず、運用の軽さと費用を最優先に候補を絞りたい場合は、中小規模での導入を前提に選択肢と公的な支援制度を整理した以下の記事もご覧ください。

導入後につまずきやすい点

導入すれば安心という状態にはならない、という前提で運用を設計する必要があります。導入したあとに起きやすいつまずきは3つあります。

1つ目は、検知をすり抜ける攻撃があることです。前掲のアスクルの資料は、攻撃者が検知製品を無効化したうえで侵害を広げたこと、当時の定義情報では検知が難しいランサムウェアが含まれていたことを記録しています。

2つ目は、業務上の正常な操作を不審と判定する誤検知です。運用の初期には調整に手間がかかり、放置すると通知そのものを見なくなる状態を招きます。

3つ目は、バックアップが取れているつもりで運用が止まっていることです。前述のとおり、復元できなかった理由のうち19件は運用上の不備でした。定期的に復旧を試す手順まで含めて運用に組み込んでください。

感染が疑われたときの初動と、身代金を払わずに戻すための備え

製品を選ぶ作業と並行して、被害が起きたときの動き方を決めておく必要があります。初動の判断を誤ると、その後の調査や復旧が難しくなるためです。

感染が疑われたときにまずやること

最初の対応は、感染した機器をネットワークから切り離すことです。ここで電源を落としてしまうと原因の調査に必要な記録が消えるため、警察庁は注意を促しています。

被害拡大を防止するため、感染したパソコン等のLANケーブルを抜く・無線をオフにするなどして、ランサムウェアに感染したパソコン等をネットワークから隔離してください。感染原因等の調査に必要なログ等が消失する場合もあるので、パソコンやネットワーク機器等の電源は落とさないでください。

警察庁サイバー警察局「ランサムウェア被害防止対策

無事だったバックアップを守ることも初動に含まれます。JPCERT/CCは、被害を受けていないバックアップサーバーやファイルについて、安全が確認できるまで切り離しや退避を検討するよう案内しています。自動でバックアップを取る仕組みが動いたままだと、無事なコピーが上書きされて失われる可能性があるためです。

相談先と公的な支援

被害に遭った場合の相談先は公的機関に用意されています。警察庁は、最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口への通報・相談を案内しており、初動対応の支援や復号ツールの案内を受けられる場合があります。JPCERT/CCとIPAも、インシデント対応の相談窓口を設けています。

暗号化されたファイルを戻す復号ツールが公開されている場合もありますが、期待できる範囲は限られます。警察庁は次の3点に注意するよう挙げています。

一部のランサムウェアにしか復号ツールが対応していないこと
復号ツールが利用できるランサムウェアとして紹介されていた場合であっても、バージョン等の違いにより、復号ツールが使えないことがあること
対応した復号ツールでも、暗号化されたファイル全てを復号できるとは限らないこと

警察庁サイバー警察局「ランサムウェア被害防止対策

JPCERT/CCも、暗号化されたファイルを復号することは通常困難であり、バックアップが残されていないファイルは復旧が難しい前提で事業継続を検討するのが一般的だと説明しています。復号ツールを当てにした計画は立てられません。

身代金を払う判断の前に確認すること

支払いについては、公的機関がそろって支払わない方針を示しています。JPCERT/CCは初動対応の相談に対して3つの方針を伝えており、その3つ目が「攻撃者の要求には応じず、バックアップから復旧する」です。

原則として身代金は支払わずに復旧を行うこと。身代金を支払っても、データ復元や流出防止の保証はない。もし、身代金を支払って復旧させた場合、「金銭の支払いに応じた企業」として攻撃者間で情報共有され、異なる攻撃者から再び狙われるおそれがある。

独立行政法人情報処理推進機構「情報セキュリティ 10大脅威2026 解説書[組織編]」(2026年3月)

警察庁も、支払いについて「犯罪グループ等の活動資金となることが懸念される」「暗号化されたデータの復号が保証されるわけではない」旨を被害者に説明しているとしています。

この方針を実行できるかどうかは、被害が起きてから決まるものではありません。戻せるバックアップを平時に用意できているかどうかで決まります。復旧の層への投資は、支払わずに済ませるための備えでもあります。

まとめ

ランサムウェア対策は単一の製品で完結せず、入口・端末・ネットワーク・復旧の4つの層に分かれます。侵入経路の大半がVPN機器やリモートデスクトップである以上、入口の層は外せません。侵入された後に気づく手段として端末とネットワークの層があり、検知をすり抜けたときに事業を再開できるかどうかは復旧の層にかかっています。

自社に足りない層を見つけるには、外部に公開している経路の認証、サーバーを含む端末側の検知、ソフトを入れられない機器の通信、バックアップの保存方式という4点を順に確認してください。すでに契約している製品がどの層を埋めているかを棚卸しすると、追加投資の対象が絞り込めます。

とくに復旧の層は、取っているかどうかではなく、攻撃者に書き換えられない形で取れているかどうかで結果が分かれます。

予算が限られる場合の着手順は、費用のかからない基本対策、入口の認証強化、書き換えられない保存によるバックアップ、検知の層の順です。入口が空いているなら認証の層から、バックアップの保存方式に不安があるなら改変されない保存を明示している製品から、それぞれ資料を取り寄せて条件を確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q. ランサムウェア対策ツールとは何ですか?

A. ランサムウェア対策ツールとは、データを暗号化して復旧と引き換えに金銭を要求する攻撃から、事業の停止とデータの喪失を防ぐために導入する法人向けの製品群です。

単一の製品カテゴリではなく、攻撃を止める場所ごとに、侵入の入口をふさぐ製品・端末上の不審なふるまいを検知して遮断する製品・ネットワークの通信から侵入や横移動を捉える製品・暗号化されてもデータを戻す製品の4つに分かれます。警察庁もランサムウェア被害防止対策のページで、認証の強化、ウイルス対策ソフトやEDR製品の導入、ネットワーク監視製品の導入、オフラインでのバックアップを並べて挙げています。

Q. ウイルス対策ソフトを導入していれば、ランサムウェア対策ツールは不要ですか?

A. ランサムウェア対策ツールは、ウイルス対策ソフトだけでは埋まらない層があるため、別途必要になります

警察庁が令和7年(2025年)の被害組織に実施したアンケートでは、ウイルス対策ソフト等の導入状況は導入有105件・導入無14件(有効回答119件)でしたが、検出状況は検出有25件に対し検出無64件(有効回答89件)でした。ウイルス対策ソフトが担うのは端末の層の一部であり、侵入の入口・ネットワーク上の横移動・暗号化された後の復旧は、いずれも別の層の製品が受け持ちます。

Q. ランサムウェア対策ツールは1製品ですべてをカバーできますか?

A. ランサムウェア対策ツールは、1製品で入口・端末・ネットワーク・復旧の4層すべてを賄えるものはありません

複数の層を束ねた統合型の製品もありますが、担える範囲には差があります。すでに使っている製品でどの層が埋まっているかを棚卸ししたうえで、空いている層を埋める順番を決める進め方が確実です。

Q. 中小企業でもランサムウェア対策ツールは必要ですか?

A. ランサムウェア対策ツールは中小企業にも必要です。被害報告の多くは中小企業から出ています

警察庁の令和7年(2025年)の被害報告件数226件の内訳は、中小企業143件・大企業64件・団体等19件でした。攻撃者は企業規模を選んで狙うのではなく、インターネットに露出したVPN機器やリモートデスクトップの弱点を突いて侵入するため、規模の小ささは狙われない理由になりません。

予算が限られる場合は、ソフトウェアの更新やVPN機器のパッチ適用、パスワードとアクセス権限の管理といった費用のかからない基本対策から着手できます。

Q. ランサムウェア対策ツールは部分的・段階的に導入できますか?

A. ランサムウェア対策ツールは層ごとに製品が分かれているため、必要な層から部分的・段階的に導入できます

現実的な進め方は、費用のかからない基本対策と入口の認証強化を先に固め、暗号化されても戻せる状態を確保したうえで、検知の層を段階的に広げる形です。ただし復旧の層だけは「他が整ってから」と後回しにしないでください。検知をすり抜けたときに事業を再開できるかどうかが、この層だけにかかっているためです。

Q. ランサムウェア対策ツールの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. ランサムウェア対策ツールの導入期間は、どの層の製品を、どの範囲に入れるかで大きく変わります

クラウドで提供され端末にソフトを配布するだけの製品は、対象範囲が限られていれば短期間で運用に入れます。一方、ネットワークを監視する製品は自社の構成把握と設置場所の設計が前提になり、復旧の層は初回のバックアップ転送にデータ量に応じた時間がかかります。

入口の層は、既存のID基盤との連携設計と利用者への周知が必要です。30日間の無料トライアルを用意している製品もあるため、検証にかける期間も含めて計画してください。

Q. ランサムウェア対策ツールの導入に使える補助金や支援制度はありますか?

A. ランサムウェア対策ツールの導入には、中小企業向けの公的な支援制度を使える場合がありますが、対象になるかは制度ごとの要件と公募回によって変わります

代表的なものに、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のセキュリティ対策推進枠や、中小企業向けに監視・相談・被害時の支援をまとめて提供する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の枠組みがあります。

いずれもあらかじめ登録されたツール・サービスが対象で、補助率や上限額、申請の締切は公募ごとに異なります。検討している製品が対象かどうかは、各制度の最新の公募要領と、製品の提供事業者への確認で判断してください。

Q. ランサムウェア対策ツールに付いている被害補償(ランサムウェア保証)はどんな条件で使えますか?

A. ランサムウェア対策ツールの被害補償は、製品を導入していれば自動的に使えるものではなく、対象OSや有償オプションの契約、監視サービスの利用といった適用条件が定められているのが一般的です

条件を満たさない使い方では対象になりません。補償の有無だけで製品を選ばず、対象となる費用の範囲(調査費用か、復旧費用か)、上限額、申請に必要な手続きと証跡までを契約前に確認してください。補償はあくまで被害後の負担を軽くする仕組みであり、暗号化そのものを防ぐ機能ではない点も踏まえて判断する必要があります。

Q. サイバー保険に加入していれば、ランサムウェア対策ツールは不要ですか?

A. サイバー保険に加入していても、保険が補うのは被害後の費用であり、事業が止まる期間そのものは短くならないため、ランサムウェア対策ツールは必要です

警察庁の令和7年(2025年)の集計では、復旧に要した期間は1か月から2か月未満が15件、2か月以上が7件で、回答時点でまだ復旧できていない「復旧中」が25件ありました(有効回答107件)。この間の受注や出荷の停止は保険金では取り戻せません。

補償の範囲・免責事項・保険金の上限は契約ごとに異なり、契約時に自社の対策状況を問われる場合もあります。保険は復旧費用の備えとして位置づけ、止まらないための対策と、止まっても戻せる備えは別に用意してください。

Q. Microsoft 365などクラウド上のデータも、ランサムウェア対策としてバックアップが必要ですか?

A. クラウドサービス上のデータも、ランサムウェア対策としては別途バックアップを用意するかどうかを検討する必要があります

クラウド側の標準機能で戻せる範囲は、保持期間や復元できる単位がサービスの仕様に依存し、期間を過ぎたデータや細かい単位の復元には対応していない場合があります。加えて、同期しているパソコンが感染すると、暗号化されたファイルがクラウド側にも反映されることがあります。

SaaS上のデータを対象にしたバックアップ製品もあるため、まず契約中のサービスの標準機能で何をいつまで戻せるのかを確認し、足りない範囲を製品で補う進め方が確実です。

出典・参考資料(8件)

  • 出典:令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(令和8年3月)|警察庁サイバー警察局(PDF
  • 出典:ランサムウェア被害防止対策|警察庁サイバー警察局(リンク
  • 出典:情報セキュリティ 10大脅威2026 解説書[組織編](2026年3月)|独立行政法人情報処理推進機構(PDF
  • 出典:侵入型ランサムウェア攻撃を受けたら読むFAQ|一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(リンク
  • 出典:ランサムウェア攻撃の影響調査結果および安全性強化に向けた取り組みのご報告(第13報・2025年12月12日)|アスクル株式会社(PDF
  • 出典:サービスの復旧状況について(第17報・2026年1月21日)|アスクル株式会社(PDF
  • 出典:サイバー攻撃被害の再発防止策とガバナンス体制の強化について(2026年2月18日)|アサヒグループホールディングス株式会社(リンク
  • 出典:情報セキュリティインシデント調査報告書(2023年3月28日)|地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター(PDF

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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