新規の取引先と掛け取引を始めるとき、その会社の支払い能力や経営状況を自社だけで見極めるのは簡単ではありません。決算書を入手できない相手や、設立まもない企業が相手だと、判断材料そのものが足りないためです。こうした場面で頼りになるのが、企業情報を専門に収集・分析する信用調査会社です。
もっとも、ひとくちに信用調査会社といっても、全国の調査網で詳細レポートを作成する国内大手から、海外企業に強い外資系、公開情報をオンラインで自動収集するサービスまで幅があり、料金や納期、得意分野は各社で異なります。「大手ならどこでも同じ」と考えて選ぶと、必要な情報が得られなかったり、費用をかけすぎたりしかねません。
本記事では、大手・主要な信用調査会社をタイプ別に整理し、調査範囲・保有データ量・料金相場・納期・海外対応・継続モニタリングの可否を横並びで比較します。信用調査と与信調査の違いといった基礎から、目的別の選び方、与信管理を仕組み化する選択肢までを扱います。新規取引先の与信判断や反社チェック、継続的な取引先管理で依頼先を選ぶ立場の方が、自社に合うサービスを見極める材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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信用調査会社とは?与信調査・興信所との違いと役割
信用調査会社は、企業の財務状況・経営体制・取引実績・沿革などの情報を収集・分析し、その会社の支払い能力や信用力を第三者の立場から評価する専門機関です。調査結果は信用調査報告書や企業評点といった形で提供され、取引先の与信判断や取引条件の設定に使われます。
まず押さえておきたいのが、混同されやすい「与信調査」「興信所」との違いです。ここからは、それぞれの言葉が指す範囲を整理します。
信用調査・与信調査・興信所の違い
信用調査と与信調査は、実務ではほぼ同じ意味で使われます。取引先の信用力を調べる行為を指し、その結果をもとに「いくらまで掛け取引を認めるか」という与信限度額を決める判断につなげます。信用調査を担うのが信用調査会社で、収集した企業データや現地調査をもとに評価を提供します。
一方の興信所は、もともと企業や個人の信用に関する調査を請け負ってきた事業者を指す古い呼び方で、現在では個人の身辺調査を扱う探偵事務所に近い意味で使われることが増えています。企業間取引の与信判断で用いるのは、企業情報を体系的に収集・データベース化している信用調査会社です。両者は調査の対象と手法が異なるため、目的に応じて使い分けます。
信用調査会社を利用するメリット
取引先の信用力を確かめないまま掛け取引を始めると、代金を回収できない貸し倒れや、取引先の倒産による連鎖的な損失を招くおそれがあります。自社で登記情報や公開情報を集めることはできますが、財務の分析や同業他社との比較、経営者の評価まで踏み込むには専門的な知見と時間が必要です。
信用調査会社を利用すると、次のような利点があります。
- 調査にかかる時間と手間を自社で抱えずに済む
- 長年蓄積されたデータベースや現地調査による、信憑性の高い情報を得られる
- 第三者の客観的な評価として、社内の稟議や与信判断の根拠に使える
とくに、評点という形で数値化された評価は、担当者の主観に頼らない与信判断の物差しとして役立ちます。
大手・主要な信用調査会社の顔ぶれ(タイプ別に整理)
信用調査会社は、調査の手法と対応範囲によっていくつかのタイプに分かれます。ここでは、まず調査手法の違いを押さえたうえで、規模・形態の観点から主要な会社を4つのタイプに整理します。自社が国内取引と海外取引のどちらを重視するか、単発の詳細調査と継続的な監視のどちらを求めるかによって、向くタイプが変わります。
調査手法による違い(データベース検索・実地調査・オンライン自動)
信用調査の手法は、大きく3つに分けられます。それぞれ得られる情報の深さ・費用・所要日数が異なるため、目的に応じて選びます。
1つ目はデータベース検索です。調査会社が保有する企業データベースから、財務データや評点、企業概要をオンラインで即時に取得します。費用は1件あたり数千円程度に収まることが多く、多数の取引先を効率的にスクリーニングする用途に向きます。ただし、報告書に載っているのは既存の蓄積情報が中心です。
2つ目は実地調査による調査レポートです。調査員が対象企業を訪問し、経営者へのヒアリングや現地確認を通じて、財務の背景や経営の実態まで踏み込んで報告書を作成します。1件あたりの費用は数万円からと高く、納期も数週間かかりますが、決算書が入手できない相手や、重点的に見極めたい取引先に有効です。
3つ目はオンラインで自動収集する方法です。インターネット上の公開情報やネガティブ情報をシステムが自動で集めて評価し、継続的なモニタリングやアラートまで担います。1件あたりの単価は低く、多数の取引先を定期的に監視する運用に向きます。単発の深い調査というより、与信管理を仕組みとして回す用途で使われます。
これらの手法を踏まえ、主要な信用調査会社を規模・形態でタイプ分けすると、次のように整理できます。
| 国内大手の信用調査会社 | 海外・外資系の信用調査会社 | オンライン・自動型の与信・信用調査サービス | 専門・総合調査会社 | |
|---|---|---|---|---|
| 特徴と主な調査手法 | 全国の調査網と長年蓄積した企業データベースを持ち、実地調査による詳細レポートと評点を提供します。国内企業を広く網羅します。 | 海外取引先の与信に対応します。対応国・地域の広さ、制裁リスト照合、グローバルな信用格付が強みです。 | 公開情報の自動収集やオンラインでの即時取得を軸に、与信・信用調査をオンラインで完結できます。一部は継続的なモニタリング・アラートにも対応し、運用の仕組み化に向きます。 | 実地調査やレピュテーション調査に対応し、大手データベース型が対応しづらい非公開情報・現地取材まで踏み込みます。 |
| 該当する主なサービス | 帝国データバンク、東京商工リサーチ、リスクモンスター(e-与信ナビ) | Dun & Bradstreet、Creditsafe、Coface、CONOCER | パワーサーチ、Riskdog、G-Search、Neuro Watcher、SMART、SCORE LINK | トクチョー |
※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別のサービスの調査範囲・料金・対応状況は各社の公式情報をご確認ください。
国内大手の信用調査会社
国内大手は、全国に配置した調査員による現地調査と、長年かけて蓄積した企業データベースの両輪で企業を評価するのが特徴です。国内企業の網羅性が高く、決算書のない中小企業でも一定の情報を得られます。代表的なのが帝国データバンクと東京商工リサーチの2社で、両社で国内の信用調査市場の大半を占めるとされます。
加えて、独自の企業評価「RM格付」や与信限度額の算出をオンラインで提供するリスクモンスター(e-与信ナビ)も、国内大手系の選択肢に含まれます。詳細な報告書と数値化された評点を重視するなら、この系統が中心的な候補になります。
海外・外資系の信用調査会社
海外の取引先を審査する場合は、対応国・地域が広く、各国の企業情報や制裁リスト・要注意人物の照合に対応した外資系・国際系のサービスが向きます。
世界最大手のDun & Bradstreetは日本では東京商工リサーチが窓口となって提供しており、そのほかCreditsafeやCoface、三井物産クレジットコンサルティングのCONOCERなどが選択肢に挙がります。国内取引が中心なら国内大手で足りますが、輸出入や海外拠点との取引が発生するなら、対応国数とレポートの提供形式を確認しておきたいところです。
オンライン・自動型の与信・信用調査サービス
近年広がっているのが、公開情報などをオンラインで自動的に収集・スコアリングし、与信確認をオンラインで完結できるタイプです。企業名を入力してその場で結果を得る使い方が中心で、サービスによっては取引先を継続的に監視し、リスクの兆候をアラートで受け取る運用にも対応します。
パワーサーチやRiskdog、G-Search、Neuro Watcher、SMART、SCORE LINKなどがこの系統にあたり、与信管理をシステムで仕組み化したい企業の入り口になります。
専門・総合調査会社
大手データベース型では十分な情報が集まらないケースに対応するのが、実地調査やレピュテーション調査を得意とする専門・総合調査会社です。設立まもない企業や、データベースに情報が少ない取引先、取引に不安がある相手を、現地取材や周辺調査まで踏み込んで見極めます。
トクチョーのように、信用調査に加えて反社チェックや市場調査まで手掛ける会社もあり、費用は高めで納期も長くなりますが、大手では拾いきれない実態を確認できます。
自社に合うタイプがわかる選定診断ツール
自社がどのタイプに適しているか、単独では判断が難しいこともあります。そのような場合でも自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】大手・主要な信用調査会社を比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、主要な信用調査会社を調査手法・保有データ・料金の目安・納期・海外対応・継続的なモニタリングの可否といった軸で横並びに整理します。各社名をクリックすると、後半のサービス個別紹介にジャンプします。
| サービス名 | 帝国データバンク | 東京商工リサーチ/tsr-van2 | e-与信ナビ | D&B Hoovers | Creditsafe | Coface | CONOCER | パワーサーチ | Riskdog | G-Search | Neuro Watcher | SMART | SCORE LINK | トクチョー |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 国内大手 | 国内大手 | 国内大手 | 海外・外資系 | 海外・外資系 | 海外・外資系 | 海外・外資系 | オンライン・自動型 | オンライン・自動型 | オンライン・自動型 | オンライン・自動型 | オンライン・自動型 | オンライン・自動型 | 専門・総合 |
| 調査手法 | 実地調査(現地現認)・DB検索 | 実地調査・DB検索(tsr-van2) | オンライン(RM格付) | オンライン(DB検索) | オンライン(DB検索) | 海外現地調査レポート | 海外レポート仲介(複数機関) | オンライン自動収集 | オンライン・AI自動収集 | オンライン横断検索(複数機関DB) | オンライン(スコアリング格付) | オンライン(MCC格付)+伴走支援 | AI-OCR+企業審査分析 | 実地調査・聞き込み(側面調査) |
| 保有・参照データ | 国内151万社(COSMOS2) 全国47都道府県・83事業所 | 国内1,000万件超 (tsr-van2は700万件超) | RM格付 累計570万社超 倒産分析データ 約120万社 | 240超の国・地域 6億件超(アクティブ3.3億件超) | 国内550万件・490万社 海外4.3億件超(160カ国以上) | 世界約200カ国 DRA(0〜10)で評価 | ACP 230カ国以上/CRIF 240カ国以上 MCC格付(15段階)を付与 | 公開情報・提携DBを自動収集 3段階(要警戒/注意/チェック) | 企業540万社・リスクデータ1.5億件 制裁・PEPs 30万件 | 全国約145万社 TDB・TSR・リスモンを横断検索 | TSR企業・財務情報+独自モデル 約100万社を9段階格付 | TSR企業情報を活用 MCC格付で評価 | 外部データ連携(TDB・日経NEEDS等) 決算書をAI-OCRでデータ化 | 60年超蓄積の独自情報網 取材・聞き込み中心 |
| 料金の目安 | COSMOSNET 月額3,000円〜 企業信用調査 1件24,000円〜 (5枚120,000円〜) | tsr-van2 月額3,000円〜(税別) レポート 1件1,200円〜 | 入会金30,000円+月額20,000円 1件1,200円〜(税抜) | 要問い合わせ | 初期費用0円 月額 要問い合わせ(サブスク型) | レポート 20,350円〜31,350円 (G-Search経由・地域別・税込) | レポート 1件13,500円〜24,000円 利用料 要問い合わせ | 初期費用0円 1件500円〜(弥生プラン 月額1,000円〜) | 要問い合わせ 最低契約12ヶ月(トライアルあり) | 基本料 月660円〜/年9,900円(税込) TDB 2,200円・TSR 1,760円/件 | 登録料・基本料0円 信用格付 1件1,200円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 企業信用調査 50,000円〜(税別) 反社調査 200,000円〜 |
| 標準納期 | 新規調査 約29営業日 (特急11〜16営業日・超特急7〜11営業日) | オンライン情報は即時 新規調査は要問い合わせ | オンラインで即時 | オンラインで即時(検索) | 国内は原則即時 新規調査 最短4営業日 | 通常 約14営業日 (至急 約7営業日) | ACP 約7営業日〜 CRIF 通常12営業日 | オンラインで即時 | 要問い合わせ(AI自動収集) | 国内は即時 海外(コファス)7〜14営業日 | オンラインで即時 海外調査 3〜14営業日 | オンラインで即時 (導入は約1週間) | 要問い合わせ(導入型) | 企業信用調査 約2週間 反社調査 約3週間 |
| 海外対応 | ●現地提携網・5段階区分に変換 | ●D&B提携(240超の国・地域) | △海外は別サービス(要問い合わせ) | ◎世界最大級のDB(D-U-N-S番号) | ●160カ国以上をカバー | ◎取引信用保険も同一グループで対応 | ●海外取引に特化・日本語で運用 | ●海外企業レポートに対応 | △国内中心(海外は記載なし) | ●コファスの海外レポートを取次 | ●240以上の国・地域(CRIF) | △海外は別サービス(CONOCER) | ●英語決算書の読み取りに対応 | △海外は個別案件対応 |
| 継続モニタリング | ●SAFETY・C-モニタリング | ●モニタリング機能(月1,000円/社〜) | ●e-管理ファイル・登記アラート | △別製品(D&B Risk Analytics) | ●モニタリング機能 | ●URBA360で継続監視 | △レポート蓄積・比較(アラート非対応) | △継続監視は別サービス(モニタリング) | ●24時間自動監視・即時通知 | ×都度検索中心(監視機能なし) | ●月次更新・格付変化を通知 | ●格付等変動通知サービス | ×モニタリング機能は非対応 | ×都度受託型(継続監視なし) |
| 詳細情報 | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式資料を見る | サービス詳細 | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください |
※本表は各社の公式情報・公開資料をもとに作成した比較の目安です(2026年9月時点)。料金は税表記やプランにより異なり、納期・海外対応・継続モニタリングの範囲も変わります。最新の料金・仕様は各社の公式情報でご確認ください。
※マークは ◎=特に手厚い対応、●=対応、△=条件付き・別サービスでの対応、×=対応の記載なし、を表します。海外対応の◎は、自社・提携の調査網やレーティング、取引信用保険まで自前で持ち手厚く対応できる場合(Dun & Bradstreet・Coface等)、●は主にデータ提供やレポート取次で対応する場合です。
主要な信用調査会社の個別紹介
比較表で全体像をつかんだうえで、ここからは各社の特徴・調査範囲・料金・対応範囲を個別に紹介します。まずは、全国の調査網と企業データベースを持つ国内大手からです。
国内大手の信用調査会社
1. 帝国データバンク(株式会社帝国データバンク)

帝国データバンクは、1900年の創業以来、企業信用調査を手がけてきた国内最大手です。単一の与信管理システムではなく、調査員が対象企業を訪問する企業信用調査、企業概要データベース「COSMOS2」、モニタリングツールなどを組み合わせて与信業務を支えるサービス群として提供されています。
全国47都道府県・83事業所に調査取材部門1,700名を配置し、「現地現認」を方針に企業を訪問調査します。企業信用調査業界で60%超のシェアを公式サイトに記載しており、企業概要データベース「COSMOS2」には全国全業種の151万社を収録しています。
調査報告書には評点(100点満点)が付与され、A〜Eの5段階で信用力を確認できます(評点の構成は後述します)。企業信用調査は調査問合票を購入する会員制で、料金は5枚120,000円(1枚24,000円)からとなっています。オンラインサービス「COSMOSNET」による24時間の報告書参照、「SAFETY」やC-モニタリングでの継続監視、海外企業信用調査にも対応します。
2. 東京商工リサーチ/tsr-van2(株式会社東京商工リサーチ)

東京商工リサーチは、1892年創業の信用調査会社です。全国の自社調査員による国内企業調査に加え、インターネット企業情報サービス「tsr-van2」で企業情報の検索・与信管理・モニタリングをオンラインに一元化しています。
全国81拠点(本社2、支社8、支店71)の調査員が企業へ直接取材し、報告書には評点(100点満点)を付与します(配点は後述します)。あわせて、12カ月以内の倒産確率を1〜100で示す「リスクスコア」を日次で算出し、財務情報がない企業でも約165万社をスコアリングできます。
1994年にはDun & Bradstreet(D&B)と提携し、日本国内で唯一のD&B正規代理店として、240以上の国・地域の海外企業情報を提供します。
tsr-van2はミニマムチャージ制で、最低利用プランなら月額3,000円(税別)から利用でき、企業情報レポートは1件1,200円から取得できます。G-Search保有の新聞・雑誌記事(約100媒体・約30年分)を使ったコンプライアンスチェックも利用できます。
3. e-与信ナビ(リスクモンスター株式会社)

e-与信ナビは、リスクモンスター株式会社が提供するオンライン型の与信管理・企業信用調査ツールです。企業信用格付「RM格付」、与信限度額の算出、反社チェックを1つの画面に統合し、取得したデータはモニタリング機能へ自動で引き継げます。
「RM格付」はAIによる評価ロジックと専門アナリストの分析を組み合わせ、企業をA〜Fの6段階(細分化で9段階と判断不能のG格)に分類する指標です。約120万社の倒産分析データをもとに算出し、格付ロジックは年2回見直しています。与信限度額は、自社の財務体力・取引先への依存度・社内決裁ルールの3基準から導いた最小値を提示します。
料金は入会金30,000円と月額20,000円(いずれも税抜)に、1件あたり1,200円(税抜)の従量課金を組み合わせる体系です。取得データは「e-管理ファイル」に格納され、信用不安情報にもとづく継続監視や、商業登記PDFの即時取得・登記変更のメールアラート(18ヶ月監視)に対応します。1ヶ月で最大10件まで試せる無料トライアルも用意されています。
海外・外資系の信用調査会社
続いて、海外取引先の与信に対応する外資系・国際系のサービスです。対応国・地域の広さや、レポートの提供形式に違いがあります。
4. D&B Hoovers(米ダン・アンド・ブラッドストリート/日本国内提供元: 株式会社東京商工リサーチ)

D&B Hoovers は、米国の Dun & Bradstreet が保有する企業データベースをオンラインで検索・活用できる海外企業情報サービスです。日本国内では株式会社東京商工リサーチ(TSR)が唯一の販売・サポート窓口となっており、契約や問い合わせはTSRを通じて行います。
240を超える国・地域、6億件超(うち活動中のアクティブ企業は3.3億件超)の企業情報を、9桁の企業識別コード「D-U-N-S番号」を軸に横断検索できます。200項目を超える条件でのターゲットリスト作成や、Salesforce・Microsoft Dynamics といったCRM・SFAとの連携にも対応します。
D&B Hoovers 自体は企業検索・リスト作成が主な機能で、信用力を示すD&Bレーティングや支払実績スコア「Paydex」を含む個社の詳細な信用調査は「ダンレポート」、制裁リストや要注意人物の照合は「D&B Onboard」と、同じTSR経由の別サービスで提供されます。料金は要問い合わせで、7日間の無料トライアルが用意されています。
5. Creditsafe(株式会社クレディセイフ企業情報)

Creditsafe は、1997年にノルウェーで設立された Creditsafe Group の企業情報サービスで、日本では株式会社クレディセイフ企業情報が提供しています。国内外の信用調査レポート・クレジットスコア・モニタリング・KYC/AML(本人確認・マネロン対策)チェックを、1つのプラットフォームにまとめている点が特徴です。
国内は550万件・490万社の企業情報をサブスクリプション形式(閲覧し放題)で提供し、海外は160カ国以上をカバーする4億3,000万件超のレポートにアクセスできます。信用力は、今後12ヶ月の倒産確率を統計的に予測するA〜Eの5段階「クレジットスコア」で示され、国内レポートは原則オンラインで即時取得できます。
初期費用は0円で、利用件数以外の追加料金がかからないサブスクリプション型の料金体系を採り、月額は要問い合わせです。日本法人の導入実績は3,400社超で、初回は国内企業レポート1社分を無料で取得できます。
6. Coface(コファス・サービス・ジャパン株式会社)

Coface は、1946年にフランスで設立され、取引信用保険を中核とする与信リスクマネジメントの企業グループ Coface SA が母体です。日本では、海外企業の信用調査・情報サービスをコファス・サービス・ジャパン株式会社が、取引信用保険をコファスジャパン信用保険会社が担う2社体制で提供しています。
海外企業信用調査レポートは、登記情報・沿革・財務データ・取引銀行・訴訟記録などを収録し、企業のデフォルト確率を0〜10で示す独自指標「DRA(Debtor Risk Assessment)」を備えます。取引先のリスクを一元評価し、変化をアラートで知らせるオンラインプラットフォーム「URBA360」も提供します。
与信調査から、貸し倒れ損失を補償する取引信用保険までを同一グループで手当てできる点が、信用調査専業との違いです。
日本国内ではG-Searchやジェトロ(JETRO e-Venue)などの窓口経由でレポートを購入でき、G-Search経由の会員価格は地域別で、北米・西欧が20,350円、アジアが25,850円、対象地域によっては31,350円までと幅があります(いずれも税込)。レポートは基本的に英文で、中国・台湾は日本語版が用意されています。
7. CONOCER(三井物産クレジットコンサルティング株式会社)

「みんなの海外取引 CONOCER」は、三井物産の100%子会社である三井物産クレジットコンサルティング株式会社が、商社で培った与信管理の手法を土台に提供する、海外取引の信用調査・取引先管理をクラウドで一元化するサービスです。
特徴は、自社で現地調査を行うのではなく、ACP・クレディセイフ・CRIFなど複数の海外信用調査機関のレポートを1つの窓口から発注・受領できるマーケットプレイス型である点です。ACPレポートは230カ国以上、CRIFレポートは240カ国以上に対応し、取得したレポートには同社独自の15段階格付「MCC格付」が付与されます。
レポートの日本語翻訳や格付の付与により、英語レポートを読み解く負担を抑えて日本語で運用できます。レポート単価は提供元により異なり、ACPレポートは1件13,500円〜(公式サイトにより15,000円〜の表記もあり)、CRIFのフルレポートは1件24,000円〜(税抜)で、プラットフォーム利用料は要問い合わせです。
制裁リストやPEPs(重要な公的地位を有する者)の照合は、CRIFレポートのオプション機能として利用できます。
オンライン・自動型の与信・信用調査サービス
ここからは、公開情報などをオンラインで自動的に収集し、与信確認をオンラインで完結できるオンライン・自動型のサービスです。多数の取引先を低コストでチェックしたい企業や、継続的な監視まで仕組み化したい企業に向きます。
8. パワーサーチ(アラームボックス株式会社/弥生グループ)

パワーサーチは、アラームボックス株式会社が開発・運営する企業調査サービスです。企業名や代表者名を入力すると、インターネット上の公開情報や提携先のデータベースをもとに、取引前に確認したい与信情報や反社チェック、登記情報をオンラインでまとめて取得できます。2025年7月には弥生株式会社がアラームボックス株式会社をグループ会社化しています。
調査結果は「要警戒」「注意」「チェック」の3段階で表示されます。反社チェック・信用チェックはいずれも1件500円からの都度課金で利用でき、少ない件数から始めやすい料金体系です。弥生製品のユーザー向けには、月額1,000円・初期費用0円の専用プランも用意されています。
国内企業だけでなく、海外企業向けの調査レポートにも対応します。月額費用の税込・税別の区分など、料金の詳細は変更される場合があるため、導入前に公式の最新情報で確認してください。
9. Riskdog(Baseconnect株式会社)

Riskdogは、Baseconnect株式会社が2025年1月に提供を開始したAI与信リスク管理サービスです。企業名または法人番号を入力すると、ニュース・SNS・行政処分・訴訟・許認可といった公開情報をAIが自動で収集・解析し、リスクスコアや実体リスク判定として提示します。与信管理・反社チェック・法人確認を1つのプラットフォームに統合している点が特徴です。
同社が法人営業支援データベース「Musubu」で蓄積した企業データ基盤を土台にしており、取引先の企業だけでなく、役員・親会社・子会社も自動で追跡対象に含めます。名寄せAIで同姓同名や類似企業の情報を整理し、必要なリスク情報を抽出して提示します。
料金は公式サイトでは公開されておらず、最低契約期間は12ヶ月と案内されています。契約前にトライアルアカウントで試せるほか、登録した取引先を継続的に監視するモニタリング機能も備えます。具体的な金額は問い合わせで確認する形です。
10. G-Search 企業情報・与信情報サービス(株式会社ジー・サーチ)

G-Search 企業情報・与信情報サービスは、富士通グループの株式会社ジー・サーチが運営するビジネス情報データベースの一部として、企業の与信情報を提供します。帝国データバンク・東京商工リサーチ・リスクモンスターなど複数の信用調査機関のデータベースを、1つの契約・1つの画面から横断的に検索・取得できる点が特徴で、全国約145万社の企業情報を収録しています。
料金は、クレジットカード会員なら月額660円(税込)、法人会員なら年額9,900円(税込)の基本料に、取得した情報ごとの従量課金を組み合わせる形です。たとえば帝国データバンクの企業情報は1件2,200円(税込)、東京商工リサーチの企業情報は1件1,760円(税込)で、必要な情報だけをその都度購入できます。
海外の取引先については、コファス(Coface)グループの海外企業信用調査レポートを取り次いでおり、各国の提携機関が現地調査を行います(納品まで通常7〜14営業日)。国内主要3社のデータと海外調査を1か所で使い分けたい場合の選択肢になります。
11. Neuro Watcher(AGS株式会社)

東京商工リサーチの企業・財務情報と、AGS株式会社が金融機関向けシステム開発で培った融資審査のノウハウを組み合わせたクラウド型の与信管理サービスが、Neuro Watcherです。ニューラルネットワークによるスコアリングで取引先を9段階に格付けし、その格付をもとに与信限度額を自動で算出できます。
登録料・基本料は0円で、利用した件数に応じて費用が発生する完全従量課金制です。スコアリング信用格付は1件1,200円、反社・行政処分情報を照会するコンプライアンスチェックは1件250円で、少ない件数からでも始められます。
月次のデータ更新で登録企業の格付や財務情報に変化があればメールで通知し、格付が変わった企業だけを一括で更新する機能も備えます。海外は240以上の国・地域を対象とした企業調査に対応し、国内外の与信評価を同じプラットフォームで扱えます。
12. SMART(三井物産クレジットコンサルティング株式会社)

SMARTは、三井物産グループが商社の実務で培ってきた与信管理手法を、三井物産クレジットコンサルティング株式会社がオンラインツール化した与信管理サービスです。企業の信用力を独自の「MCC格付」で評価し、取引先ごとの与信限度額の算出、取引先情報のクラウド管理、格付・財務情報の変動モニタリングを一元的に行えます。
与信限度額の算出ロジックを自社の業態や取引形態に合わせてオーダーメイドで設計し、取引ガイドラインの策定まで担当コンサルタントが伴走する点が特徴です。ASP型のクラウド利用のほか、csvやExcelでのデータ提供のみのプランも選べます。
料金は公式サイトでは公開されておらず、利用プランごとに設定される要問い合わせの形です。海外の取引先については、同社が別に提供する「CONOCER」が海外取引リスク管理を担います。
13. SCORE LINK(TISI株式会社)

SCORE LINKは、TISI株式会社(旧TIS株式会社)が1997年から提供する与信審査支援ソリューションです。紙やPDFの決算書をAI-OCRで読み取ってデータ化する「財務諸表入力ソリューション」と、デフォルト率算出モデルや財務診断表などで企業を分析する「企業審査分析ソリューション」をパッケージで提供します。
銀行・信用金庫・信用保証協会といった金融機関を中心に300社を超える導入実績があり、商社や製造業などの事業会社でも使われています。XBRL・EDINET(金融庁の電子開示システム)や帝国データバンク、日経NEEDSなど、複数の財務・企業情報ソースとの連携にも対応します。
英語の決算書を読み取る海外対応機能も持ち、日本政策投資銀行などでの採用実績があります。料金は公式サイトでは公開されておらず、導入時は問い合わせで確認する形です。
専門・総合調査会社
最後に、実地調査やレピュテーション調査まで踏み込む専門・総合調査会社です。大手データベース型では拾いきれない取引先を見極めたい場面で選択肢になります。
14. トクチョー(株式会社トクチョー)

1965年創業のトクチョーは、信用調査を含む幅広い調査を1社で引き受ける総合調査会社です。取引先の企業信用調査や反社会的勢力調査に加え、レピュテーション(風評)調査・人物調査・競合調査まで扱い、東京都公安委員会への探偵業届出や日本調査業協会への加盟のもとで運営しています。
特徴は、大手データベース型が対応しづらい案件に踏み込める点です。データベースに情報が乏しいスタートアップや、先方が取材を拒否した相手についても、調査員による取材・聞き込みを軸に実態を調べます。財務や登記といった定量情報だけでなく、経営者の経歴や業界内の評判など、数値に表れない定性情報の収集を訴求しています。
料金は会員登録型の月額課金ではなく、案件ごとの個別見積もり・都度払いです。企業信用調査は50,000円〜(税別、納期2週間程度)、反社会的勢力調査は200,000円〜(税別、納期3週間程度)が公式サイトに示されています。データベース検索を定額で使う大手とは費用の考え方が異なるため、調査したい対象や深さに応じて見積もりを取るのが前提になります。
信用調査の費用相場(調査手法別の料金レンジ)
信用調査の費用は、依頼する調査手法によって大きく変わります。同じ「信用調査」でも、オンラインのデータベース検索と、調査員が現地に赴く実地調査レポートでは、単価が一桁以上異なります。3つの調査手法は前掲の顔ぶれ節で解説したとおりで、ここでは手法別の概算レンジと、その根拠となる代表的な実額を整理します。
| データベース検索 | 実地調査レポート | オンライン・自動型 | |
|---|---|---|---|
| 費用の概算レンジ | 1件あたり数千円程度 | 1件あたり数万円〜 | 月額数千円台〜/1件数百円〜の従量制 |
| 代表的な実額(根拠) | G-Search経由で帝国データバンク2,200円・東京商工リサーチ1,760円(各1件・税込、別途基本料 月660円〜)。tsr-van2の企業情報レポートは1件1,200円〜 | 帝国データバンクの新規調査は調査問合票5枚120,000円(1枚24,000円)〜。トクチョーの企業信用調査は50,000円〜(税別) | パワーサーチは1件500円〜、Neuro Watcherは登録0円・信用格付1件1,200円〜。tsr-van2やCOSMOSNETは月額3,000円〜 |
※上記は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく代表例です。税表記・プラン・契約形態により異なります。
費用を抑えたい場合は、まずオンラインのデータベース検索で全体をスクリーニングし、重点的に見極めたい取引先だけ実地調査レポートを依頼するといった使い分けが有効です。すべての取引先に高額な詳細調査を依頼する必要はなく、取引金額やリスクの大きさに応じて調査手法を選ぶことで、必要十分な水準に費用を抑えられます。
大手2社(帝国データバンク・東京商工リサーチ)の評点の見方と保有データ量
国内の信用調査で中心となる帝国データバンクと東京商工リサーチは、いずれも企業を点数化した「評点」を提供しています。評点は、担当者の主観に頼らずに取引先の信用力を比べられる客観的な指標で、社内の与信判断や稟議の根拠として使われます。ここでは、両社の評点の構成要素と読み方、そして保有データの規模を具体的に見ていきます。
評点は、企業の財務内容や経営の安定性、成長性などを複数の観点から総合して算出され、点数が高いほど信用力が高いと評価されます。ただし、その構成要素も配点も各社で異なります。
帝国データバンクの評点は100点満点で、業歴・資本構成・規模・損益・資金現況・代表者・企業活力の7要素から算出されます。点数はA(86〜100点)・B(66〜85点)・C(51〜65点)・D(36〜50点)・E(35点以下)の5段階に区分され、報告書ではこのランクで信用力の水準を確認します。
公式に「何点以上なら安全」と定義されているわけではありません。ただし実務上は、評点がC評点(51〜65点)とD評点(36〜50点)の境目にあたる50点前後を下回るかどうかを、与信を慎重に見る目安とする読み方が、同社の公式コラムでも紹介されています。
東京商工リサーチの評点も100点満点ですが、配点は安定性45点・成長性25点・経営者能力20点・公開性および総合世評10点で構成され、安定性に大きな比重が置かれています。
同社は信用度の目安として、80〜100点=警戒不要、65〜79点=無難、50〜64点=多少注意、30〜49点=一応警戒、29点以下=警戒というレンジを公式に示しています。点数の読み方が各社で異なることが分かります。
そのため、帝国データバンクの評点と東京商工リサーチの評点は同じ尺度ではなく、点数をそのまま横並びで比較するのではなく、それぞれの基準のなかで高低を読み解く必要があります。
保有するデータの規模も国内大手ならではの強みですが、その数え方は両社で異なります。帝国データバンクは企業概要データベース「COSMOS2」に全国全業種の約151万社を収録しています。一方、東京商工リサーチは国内で1,000万件超の企業データを保有し、オンラインのtsr-van2では700万件超を提供しています。
帝国データバンクの数字は「収録企業数」、東京商工リサーチの数字は「保有データの件数」を指すため、大きさをそのまま比べることはできません。いずれも全国の調査網で情報を更新し続けており、この網羅性が、決算書を入手できない中小企業や新規取引先でも一定の評価を得られる裏付けになっています。
出典・参考資料(4件)
帝国データバンクは国内企業の網羅性と「現地現認」を掲げる全国の訪問調査網に、東京商工リサーチはDun & Bradstreetの日本唯一の正規代理店として海外取引先の与信まで一つの窓口でまかなえる点に強みがあります。自社が国内取引の網羅を重視するのか、海外取引先の与信まで含めて揃えたいのかが、両社を見比べる際の軸になります。
評点の具体的な算出基準や最新のデータ件数は各社の公式情報で更新されるため、実際の与信判断に使う際は公式の定義を確認してください。
目的別の選び方(総合か専門か・費用・納期・報告書形式・海外対応)
信用調査会社を選ぶときは、自社の目的に照らして複数の軸を確認します。まず、幅広い企業を網羅的に調べたいなら国内大手のような総合型が、特定の相手を深く調べたいなら実地調査に強い専門型が向きます。次に費用は、前述のとおり調査手法によって単価が大きく変わるため、取引金額やリスクの大きさに見合った手法を選ぶことが基本です。
納期も見落とせません。オンラインのデータベース検索なら即日に近い形で結果を得られますが、実地調査レポートは数週間かかります。取引開始の判断に間に合うスケジュールかどうかを、あらかじめ確認しておきます。あわせて、報告書の形式が自社にとって読み取りやすいか、評点や財務指標がどの粒度で提供されるかも、継続的に使ううえで効いてきます。
海外取引先の与信で見るポイント
海外の取引先を審査する場合は、国内向けとは別の観点が必要になります。まず、対象国・地域がサービスの対応範囲に含まれているかを確認します。国によって企業情報の開示制度が異なるため、対応国数だけでなく、その国でどこまで詳細な情報を得られるかも見ておきます。
また、海外取引では信用力の確認に加えて、取引相手が制裁対象や要注意人物のリストに含まれていないかの照合が求められる場面があります。こうしたリスク照合に対応しているか、レポートがどの言語・形式で提供され、取得までにどれくらいの日数がかかるかを、あらかじめ確認しておくと安心です。
反社チェック・側面調査など付随するリスク確認の考え方
信用調査は支払い能力の評価が中心ですが、取引の可否を判断するうえでは、反社会的勢力との関わりがないかの確認(反社チェック)や、取引先の評判・トラブルの有無を調べる側面調査もあわせて必要になることがあります。信用調査会社のなかには、これらのリスク確認を同じサービス内やオプションで提供している会社もあります。
もっとも、反社チェックは相手方の会社名や代表者名を調べるだけで十分とは限りません。弁護士の阿部由羅氏は、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が広がる近年の状況を踏まえ、反社チェックに求められる水準について次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
信用力の評価と、反社チェックや側面調査は目的が異なるため、どこまでを1社にまとめて依頼し、どこからを専用のツールで補うかを整理しておくと、抜け漏れなくコストを抑えられます。多数の取引先を継続的にチェックするなら、オンライン・自動型のサービスでこれらをまとめて監視する方法も選択肢になります。
反社チェックを専用のツールで補いたい場合は、料金やデータソース、判定精度といった観点で各サービスを比較した以下の記事も参考になります。
都度の調査依頼から与信管理の仕組み化へ(継続モニタリング)
信用調査会社への依頼は、新規取引の開始時など、必要なタイミングで単発に行うのが基本です。ただし、取引先の経営状況は時間とともに変わります。取引開始時は健全だった会社が、数年後に資金繰りに行き詰まることもあり、一度の調査だけでは支払い遅延や倒産の兆候を早期に捉えきれません。
そこで有効なのが、取引先を継続的に監視する仕組みの導入です。オンライン・自動型のサービスや、大手が提供する企業モニタリングサービスを使うと、登録した取引先の情報更新や評点の変化、ネガティブ情報の発生をアラートで受け取れます。都度の調査依頼で「点」の情報を得るのに対し、モニタリングは「線」で取引先の変化を追える点が違いです。
取引先が増え、与信管理を担当者の手作業で回すのが難しくなってきた場合は、与信管理システムの導入によって、調査依頼・限度額の設定・モニタリングを一元的に運用する方法もあります。自社の取引先数や与信業務の負荷に応じて、単発の調査依頼と継続的な仕組み化のバランスを検討するとよいでしょう。
与信管理システムは、取引先ごとの調査依頼・与信限度額の設定・継続的なモニタリングを一元化し、与信業務そのものを仕組み化するためのツールです。機能や料金、タイプ別の選び方は、以下の記事で詳しく比較しています。
まとめ
信用調査会社は、全国の調査網と企業データベースで国内企業を網羅する国内大手、海外取引に対応する外資系・国際系、公開情報を自動収集して継続的に監視するオンライン・自動型、実地調査に強い専門・総合調査会社に大別できます。それぞれ調査手法・料金・納期・対応範囲が異なるため、「大手だから安心」と一括りにせず、自社の目的に照らして選ぶことが大切です。
幅広い企業を網羅的に調べるのか、特定の相手を深く見極めるのか、国内か海外か、単発の調査で足りるのか継続的な監視まで必要か——これらを整理すると、向く依頼先が絞り込めます。まずは各社の資料で調査範囲と料金を確認し、自社の与信業務に合うサービスを比較検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 信用調査会社とは何ですか?
A. 信用調査会社とは、企業の財務状況・経営体制・取引実績・沿革などを収集・分析し、その会社の支払い能力や信用力を第三者の立場から評価する専門機関です。調査結果は信用調査報告書や企業評点といった形で提供され、新規取引先の与信判断や取引条件(与信限度額)の設定に使われます。実務では「与信調査」もほぼ同じ意味で使われますが、個人の身辺調査に近い「興信所」とは調査の対象と手法が異なります。
Q. 大手の信用調査会社である帝国データバンクと東京商工リサーチの違いは何ですか?
A. 信用調査会社の国内大手は帝国データバンクと東京商工リサーチの2社で、両社で国内の信用調査市場の大半を占めます。
帝国データバンクは全国47都道府県・83事業所の調査員による「現地現認」と企業概要データベース「COSMOS2」を強みとし、東京商工リサーチは全国81拠点の取材網に加え、Dun & Bradstreetの日本唯一の正規代理店として240以上の国・地域の海外企業情報も提供します。
いずれも企業を点数化した評点(100点満点)を提供しますが、算出の内訳や重み付けは各社で異なるため、両社の点数をそのまま横並びで比較するのではなく、それぞれの基準のなかで高低を読み解きます。
Q. 信用調査の費用相場はどのくらいですか?
A. 信用調査の費用は調査手法によって大きく変わり、データベース検索は1件あたり数千円程度、実地調査による調査レポートは1件あたり数万円から、オンライン・自動型は月額数千円台からが目安です。
データベース検索は保有データから財務データや評点を即時取得して多数の取引先をスクリーニングする用途、実地調査レポートは調査員が現地確認・経営者ヒアリングまで行う詳細調査、オンライン・自動型は多数の取引先を継続的に監視する運用に向きます。実際の料金は各社の体系や契約形態で変わるため、目安として捉えてください。
Q. 信用調査の納期はどのくらいかかりますか?
A. 信用調査の納期は手法によって変わり、オンラインのデータベース検索なら即日に近い形で結果を得られ、実地調査による調査レポートは数週間かかります。取引開始の判断に間に合うスケジュールかどうかを、依頼前に確認しておくと安心です。海外企業の調査レポートは、現地の提携機関が調査を行うため、通常7〜14営業日程度かかる場合があります。
Q. 信用調査会社に海外取引先の与信調査も依頼できますか?
A. 海外取引先の与信調査も依頼でき、対応国・地域が広い外資系・国際系のサービスや、国内大手が窓口となる海外企業情報サービスを利用します。Dun & Bradstreet(日本では東京商工リサーチが窓口)やCreditsafe、Coface、三井物産クレジットコンサルティングのCONOCERなどが代表例です。
海外与信では、対象国がサービスの対応範囲に含まれるかに加えて、制裁対象や要注意人物のリストとの照合に対応しているか、レポートがどの言語・形式で、どれくらいの日数で提供されるかを確認しておきます。
Q. 個人事業主や設立まもない会社も信用調査の対象になりますか?
A. 個人事業主や設立まもない会社も調査対象になりますが、公開情報が少ないためデータベース検索では十分な情報が出にくいことがあります。その場合は、調査員が現地取材や聞き込みで実態を調べる実地調査型の専門・総合調査会社や、インターネット上の公開情報を自動収集するオンライン・自動型のサービスが向きます。決算書を入手できない相手ほど、どの調査手法を選ぶかが結果を左右します。
Q. 信用調査を行うと取引先に知られますか?
A. データベース検索やオンライン・自動型の調査は公開情報をもとに行うため、取引先に知られることはありません。一方、調査員が対象企業を訪問してヒアリングする実地調査レポートでは、調査対象に接触するため相手に伝わる場合があります。相手に知られずに信用力を確認したい場合は、公開情報ベースの調査サービスを選ぶとよいでしょう。
Q. 単発の調査依頼と継続的なモニタリングはどう使い分ければよいですか?
A. 新規取引の開始時など特定のタイミングで信用力を確かめたい場合は単発の調査依頼、取引先の経営状況の変化を早期に捉えたい場合は継続的なモニタリングが向きます。
単発の調査が「点」で信用力を把握するのに対し、モニタリングは登録した取引先の評点の変化やネガティブ情報の発生をアラートで受け取り「線」で変化を追えます。取引先が増えて手作業での与信管理が難しくなった場合は、調査依頼・与信限度額の設定・モニタリングを一元的に運用する与信管理システムの導入も選択肢になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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