営業から「この新規取引先と掛取引を始めたい」と言われたものの、名前を聞いたことのない会社だと、そのまま信用して商品やサービスを先に渡してよいか判断に迷います。取引先の信用調査は、こうした場面で「この相手と掛けで取引しても大丈夫か」を確かめるための作業です。
信用調査と聞くと調査会社に依頼するイメージが先に立ちますが、実際には登記事項証明書の取得や決算書の確認など、自社で今日から手を動かせる調べ方が数多くあります。まずは自力でどこまで確認できるかを押さえ、それでも判断がつかないときに調査会社を使う、という順序で進めるのが現実的です。
取引先の信用調査を怠ると、売掛金が回収できない貸し倒れや、取引先の倒産に連鎖して自社まで資金繰りが悪化する連鎖倒産のリスクを抱えることになります。企業倒産は継続的に発生しており、2026年7月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は1,028件と前年同月を上回りました。この記事では、自社でできる調べ方の手順から、調査会社への依頼、集めた情報の与信判断までを、出所とともに整理します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:2026年7月の全国企業倒産1,028件|東京商工リサーチ(リンク)
目次
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取引先の信用調査とは?調査方法の全体像
取引先の信用調査とは、取引の相手企業が代金をきちんと支払えるか(支払能力)と、支払う意思があるか(信用度)を、実在性・財務状況・評判などから確かめる作業です。掛取引では商品やサービスを先に渡して後から代金を受け取るため、相手の支払能力を見誤ると売掛金の未回収につながります。
調査の方法は、大きく4つに分けて考えると自社のケースにどれを使うか判断しやすくなります。それぞれ分かること・費用の目安・相手に伝わるかが異なります。
| 調査方法 | 主に分かること | 費用の目安 | 相手に伝わるか |
|---|---|---|---|
| 社内調査 (既存資料・取引履歴) | 過去の取引条件・入金状況、名刺や商談記録から見える実態 | 無料(自社の情報を確認) | 伝わらない |
| 直接調査 (訪問・ヒアリング) | 事業所の実在・稼働状況、代表者の受け答え、現場の雰囲気 | 無料〜交通費程度 | 伝わる |
| 外部調査 (登記・ネット・報道) | 会社の登記情報、公式サイトや報道での評判、行政処分歴など | 証明書600円/閲覧330円・ネットは無料 | 伝わらない |
| 依頼調査 (信用調査会社) | 財務データ・評点・取引先情報を含む調査報告書 | 1件1万円台〜(依頼先による) | 原則伝わらない |
社内調査・外部調査・依頼調査は相手に知られずに進められるのに対し、直接調査は訪問という形で相手に伝わります。一般的には、自社で確認できる社内調査と外部調査から着手し、判断がつかない場合や取引金額が大きい場合に依頼調査を組み合わせるのが効率的です。次章から、自社でできる調べ方を具体的な手順で見ていきます。
この記事で解説する信用調査の進め方は、大きく次の4ステップです。自社調査から着手し、必要に応じて調査会社を使い、与信判断・限度額の設定を経て継続モニタリングにつなげる流れを、全体像として押さえておきましょう。

自社でできる信用調査のやり方【手順】
ここからは、費用をかけずに自社で進められる調べ方を、着手しやすい順に解説します。登記情報の取得、ネットや報道での確認、そして入手した決算書の読み解き(次章)という流れで進めると、取っ掛かりのない相手でも段階的に実態をつかめます。
- 登記情報で会社の実在と基本情報を確認する:商号・本店所在地・代表者・設立年月日・資本金などを登記事項証明書または登記情報提供サービスで確認します。
- 公式サイト・ネット・報道で評判を確認する:事業内容や取引実績、ネガティブな報道や行政処分の有無を調べます。
- 入手できれば決算書で財務状況を確認する:自己資本比率や流動比率などの財務指標から支払能力を読み解きます(詳しくは次章)。
登記事項証明書の取得先と見どころ
費用をかける前の最初の一手として、国税庁の法人番号公表サイトで会社の商号・本店所在地・法人番号を無料で確認できます。ここで会社が実在するかを押さえたうえで、より詳しい情報が必要なら登記に進むと無駄がありません。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:法人番号公表サイト|国税庁(リンク)
登記事項証明書は、会社の商号・本店所在地・代表者・設立年月日・資本金・事業目的などが記載された、法務局が発行する公的な書類です。誰でも取得でき、取得しても相手に通知されないため、実在性に加えて役員や資本金まで踏み込んで確かめられます。
取得方法は、法的な証明力が必要かどうかで使い分けます。証明書として取得する場合、法務局の窓口では1通600円、オンラインで請求して郵送で受け取る場合は520円、オンライン請求で最寄りの登記所などで受け取る場合は490円です(いずれも現行額)。内容を画面で確認できれば十分な場合は、登記情報提供サービスを使うと登記記録の全部事項が1件330円で閲覧でき、費用を抑えられます(証明力はありません)。
見どころは、設立からの年数と資本金の規模、そして本店所在地や代表者が短期間で何度も変わっていないかです。設立間もない会社や、所在地・役員がひんぱんに変わっている会社は、事業の安定性を慎重に見る必要があります。
ネット・SNS・報道での確認
登記で基本情報を押さえたら、公式サイト・検索エンジン・報道記事で事業の実態と評判を確認します。公式サイトの事業内容・沿革・主要取引先・採用情報からは事業が実際に動いているかを、社名での検索からは未払いや訴訟、行政処分といったネガティブな情報の有無を読み取れます。
SNSや口コミも、更新が止まっていないか、取引先や従業員の評判に不自然な点がないかを見る材料になります。ただしネット上の情報は真偽が確かめにくいため、あくまで登記や決算書などの一次情報を補う位置づけとして扱い、断定的な判断材料にはしないのが安全です。
相手に知られず・失礼にならずに調べられるか
「信用調査をするのは相手に失礼ではないか」と気にする担当者は少なくありません。結論から言えば、登記情報の取得やネットでの確認、信用調査会社への依頼は、いずれも相手に伝わらない形で進められます。信用調査会社の調査も、依頼した企業の情報は調査員に知らされない仕組みが取られており、誰が調査を依頼したかが相手に伝わることは通常ありません。
相手に伝わるのは、訪問やヒアリングといった直接調査だけです。むしろ与信管理は、取引を継続するうえで双方を守る通常の商習慣であり、掛取引を始める前に相手の支払能力を確認すること自体は、ビジネス上ごく一般的な手続きだと捉えて差し支えありません。
決算書で見る財務指標と危険シグナル
取引先の財務状況を確かめる決算書は、通常はそのままもらえるものではありません。入手経路はいくつかあります。掛取引を始める条件として相手に決算書の提出を依頼するほか、株式会社に義務づけられた官報などの決算公告を確認する方法もあります。上場企業であれば、EDINET(金融庁の電子開示システム)で有価証券報告書を閲覧できます。
これらの方法でも入手できない相手は、後述する信用調査会社の報告書で財務データや評点を補うのが現実的です。
決算書を入手できたら、財務指標から支払能力と経営の安定性を読み解きます。どの数字をどう見れば危ないのかを押さえておくと、「なんとなく不安」ではなく根拠のある判断ができます。ここでは、支払能力を見るうえで基本となる指標と、注意すべきサインを整理します。
| 財務指標 | 計算式 | 何が分かるか | 危険シグナル |
|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資本 | 返済不要の自己資本が総資本に占める割合。財務の安全性の目安 | 比率が低い、マイナス(債務超過) |
| 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 | 1年以内に返す負債を、1年以内に現金化できる資産でどれだけ賄えるか | 100%を下回る(短期の支払いに窮する恐れ) |
| 当座比率 | 当座資産 ÷ 流動負債 | 在庫を除いた、より確実な短期支払能力 | 流動比率に比べ著しく低い |
| 売上高営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 | 本業でどれだけ利益を出せているか | 赤字(マイナス)、前期からの急落 |
出典・参考資料(1件)
- 出典:財務の基礎知識|J-Net21(中小企業基盤整備機構)(リンク)
目安として、流動比率は120〜150%以上あれば短期の支払いに余裕があるとされ、自己資本比率は高いほど財務が安定していると読まれますが、適正な水準は業種によって差があります。そのため単一の基準値だけで判断せず、複数の指標を組み合わせて全体像を見ることが大切です。
特に注意したいのは、数値そのものより変化のサインです。自己資本比率がマイナスの債務超過、流動比率の100%割れ、営業利益の赤字転落や利益率の急落は、いずれも資金繰りの悪化を示す危険なサインになります。1期分だけでなく複数期を並べ、悪化のトレンドが出ていないかを確かめるのが基本です。
粉飾を疑うサインもあります。売上が伸びていないのに売掛金や在庫だけが不自然に増えている場合は、架空売上や不良在庫の抱え込みが疑われます。利益は出ているのに現金が一向に増えない場合は、利益と資金繰りの乖離を示すサインです。損益計算書の利益だけでなく、貸借対照表の資産の動きやキャッシュフローと合わせて見ると、数字の見栄えに惑わされにくくなります。
信用調査会社に依頼する場合の費用・納期・報告書
自社の調査で判断がつかないときや、取引金額が大きくリスクを慎重に見極めたいときは、信用調査会社への依頼を検討します。信用調査会社は、企業の財務データや取引先情報、独自の評点(企業の信用力を点数化したもの)を含む調査報告書を提供します。ここでは、代表的な依頼先の費用・納期・報告書の中身を比較します。
主な信用調査会社の比較
国内の代表的な信用調査会社は、東京商工リサーチ(TSR)と帝国データバンク(TDB)です。両社とも直接の依頼は会員制で、料金は購入方法や契約スキームによって変わるため、単価が公開されにくいのが実情です。一方、東京商工会議所は両社の調査を固定の会員特別価格で仲介しており、実額と納期を公表しています。
| 依頼先 | 費用の目安 | 納期の目安 | 報告書の特徴 |
|---|---|---|---|
| 東京商工リサーチ(TSR・直接) | 会員制・購入スキームにより変動(単価は非公表) | 新規調査で数週間程度 | 評価項目200以上、100点満点の評点 |
| 帝国データバンク(TDB・直接) | 会員制・個別見積もり(単価は非公表) | 新規調査で数週間程度 | 現地調査を重視、100点満点の評点 |
| 東京商工会議所 経由 (TSR・TDBの調査を仲介) | 既存報告書14,300円〜/新規調査27,500円(+速度料金) | 既存報告書は当日〜4日程度、新規調査は約40営業日(特急オプションで短縮可) | TSR・TDBの調査報告書を会員特別価格で入手 |
出典・参考資料(3件)
すでに作成済みの既存報告書を購入する方法は、費用が安く当日から数日で入手できるため、まず概況を素早く押さえたいときに向きます。一方、最新の状況を現地調査から取得する新規調査は、費用も納期もかかりますが、直近の実態を詳しく把握できます。速度料金のオプションを付ければ、新規調査の納期を短縮することも可能です。料金は改定されることがあるため、依頼前に各公式ページで最新額を確認してください。
自力調査と依頼調査の使い分け
自力調査と依頼調査は、取引の金額とフェーズで使い分けると無駄がありません。取引額が小さく、登記や決算書で支払能力が確認できる相手であれば、自社調査だけで十分なケースが多くあります。
一方、取引額が大きい、決算書が入手できない、あるいは業界内での評判が読めないといった場合は、調査会社の報告書で財務データや評点を補うと判断の精度が上がります。まずは費用の安い既存報告書で概況を確認し、それでも判断がつかない重要な取引に限って新規調査をかける、という段階的な使い方が費用対効果に優れています。
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集めた情報からの与信判断と与信限度額の決め方
調査で集めた情報は、最終的に「この相手と取引していいか」「いくらまでなら掛けで売ってよいか」の判断につなげてこそ意味を持ちます。ここでは、与信判断のチェック項目、反社チェック、与信限度額の決め方、そして取引開始後の継続的な確認までを整理します。
与信判断のチェック項目
与信判断では、集めた情報を次のような観点で総合的に見ます。ひとつの数字だけで決めず、複数の視点を突き合わせて判断するのが基本です。
- 支払能力:売掛金を期日どおりに支払える資金力があるか(流動比率・当座比率など)
- 財務・資産状況:自己資本比率や利益の推移から見た経営の安定性
- 経営方針・事業の継続性:事業内容や取引実績から見た将来性
- 代表者の信頼性:経歴や受け答え、経営姿勢に不安がないか
反社・コンプライアンスチェック
信用調査とあわせて、取引先が反社会的勢力に該当しないかの確認も欠かせません。政府指針では、反社会的勢力を次のように捉えるとされています。
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)
各都道府県の暴力団排除条例は、事業者に対し、取引先が暴力団関係者でないことの確認に努めることを求めています(東京都暴力団排除条例第18条など)。取引先の与信管理や反社チェックを怠って会社に損害を与えた場合、取締役は善管注意義務(会社法第330条・民法第644条)を問われる可能性もあるため、取引開始前の確認は経営上のリスク管理としても重要です。
取引先が反社会的勢力に該当しないかを確認する際は、社名や代表者名を検索するだけでは実態をつかみきれない点にも注意が必要です。弁護士の阿部由羅氏は、名前を調べるだけの反社チェックの限界について次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
実質的支配者まで遡る反社チェックを社名検索だけで行うのは難しく、専用ツールで公知情報や反社データベースを照合する企業も増えています。取引先の反社チェックの具体的な進め方やツールの選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。
反社チェックツールおすすめ16選を比較|料金・データソース・精度で失敗しない選び方
取引先や株主、採用候補の反社チェックを、担当者が新聞記事やインターネットを手作業で検索して進めていませんか。1件ずつ調べる方法は時間がかかるうえ、調べ漏れ(見落とし)と、同姓同名による誤判定(過検知)の両方が起きやすく、調査の質が担当者の経…
与信限度額の決め方
与信限度額とは、その取引先に対して「掛けでどれくらいまで売ってよいか」という上限金額のことです。東京商工リサーチは、与信限度額を「その取引先にどれくらい売り込んでよいか」という最高金額と説明し、相手先の支払能力と自社の与信供与能力とで決まるものと位置づけています。
設定の基準には、大きく分けて「自社の売掛債権を基準にする」「自社の純資産を基準にする」「取引先の仕入債務を基準にする」の3つの考え方があります。たとえば自社の純資産を基準にする場合は、純資産に一定割合と取引先の格付けに応じたウェイトを掛けて限度額を算出します。
イメージとしては、自社の純資産が5,000万円で、1社への与信を純資産の10%までと決め、取引先の格付けが標準(ウェイト0.5)であれば、限度額は5,000万円 × 10% × 0.5=250万円、という形です。割合やウェイトは自社の方針や取引先の信用度に応じて調整し、1社への与信が過大にならないよう、自社の体力に見合った上限を設けるのが基本です。
取引開始後の継続モニタリング
与信管理は、取引開始時の1回で終わるものではありません。取引先の経営状況は時間とともに変化するため、与信管理の実務では、定期的な見直しと情報収集の継続が基本とされています。決算期ごとの財務チェックや、入金遅延の兆候の把握を続けることで、取引先の信用悪化を早期に察知できます。
とはいえ、取引先が増えるほど継続的なモニタリングを手作業で回すのは負担が大きくなります。次章では、信用調査から与信限度額の管理、入金の消込、未回収時の督促・回収までを仕組み化するサービスを紹介します。
継続的な与信・債権管理を仕組み化するサービス
取引先が増えると、与信判断・入金確認・督促を人手だけで管理し続けるのは現実的ではありません。ここからは、信用調査の「その後」にあたる与信・貸し倒れ防止・債権回収を継続的に仕組み化するサービスを紹介します。
信用調査に直結する与信審査や売掛金保証を備えたサービスもあれば、取引開始後の入金消込・督促に強いサービスもあり、役割が異なります。下の比較表で「与信審査・信用調査」「売掛金保証」の列を見ると、自社が信用調査の延長で重視したい機能を持つサービスを見分けられます。ここでは信用調査からの流れで役立つ代表的なサービスを取り上げます。
消込一体型・請求一体型・与信督促型・ERP統合型といったタイプ別の違いから、債権管理システム全体を比較して自社に合う一本を選びたい方は、選び方をまとめた以下の記事もあわせてご覧ください。
| サービス名 | 請求まるなげロボ | 請求管理ロボ | Bill One債権管理 | 債権回収ロボ | マネーフォワード クラウド債権管理 | URIHO(ウリホ) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ROBOT PAYMENT | Sansan株式会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社マネーフォワード | 株式会社ラクーンフィナンシャル |
| 主な役割 | 与信〜請求・回収を代行+売掛金保証 | 請求・入金消込・督促の自動化 | 債権管理(バーチャル口座で消込) | 督促・回収の自動化 | 入金消込・債権管理の自動化 | 売掛保証(未回収リスクを移転) |
| 与信審査・信用調査 | ●契約前に反社・支払能力を審査 | × | × | × | × | ●取引先を5段階で信用診断 |
| 売掛金保証(貸し倒れ防止) | ●適格・与信通過債権を100%保証 | × | × | × | × | ●倒産・1ヵ月以上の遅延を保証 |
| 入金消込の自動化 | ●消込業務も代行 | ●入金情報を自動照合 | ●バーチャル口座で自動消込 | × | ●機械学習で自動照合 | × |
| 督促・回収 | ●弁護士法人対応まで代行 | △自動催促メール(電話/SMSは連携) | △リマインドメールで一括通知 | ●メール・SMS・オートコールで自動督促 | △滞留督促管理・営業へ通知 | ×未回収分は保証金で補填 |
| 料金の目安 | 手数料1.0%〜(初期・月額は要問い合わせ) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額4,980円〜(初期費用無料) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボは、企業間取引の与信審査から請求書発行・送付・代金回収・入金消込・督促までを株式会社ROBOT PAYMENTが代行するサービスです。信用調査の観点で特徴的なのは、契約前に反社チェックと支払能力調査を含む与信審査を実施し、審査を通過した適格債権については売掛金を100%保証する点です。
与信を通過しなかった取引先の請求も同じプラットフォーム上で自社管理でき、与信・保証の対象分と自社管理分を一元的に扱えます。督促には弁護士法人による対応も含まれ、未回収リスクを社外に移しながら請求業務全体を任せられる形です。手数料は取引条件に応じた個別見積もりとなるため、詳細は資料で確認してください。
2. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

株式会社ROBOT PAYMENTの請求管理ロボは、請求書の発行・送付から集金、入金消込(入金と請求データの照合)、未入金の催促までをクラウドで自動化する請求・債権管理システムです。単発・定期定額・定期従量の請求タイプに対応し、金融機関の入金情報を取得して請求と入金を自動で照合する自動消込機能を備えます。
取引開始後の売掛金を継続的に管理し、未入金を可視化して自動催促メールで初動を早める用途に向きます。電話やSMSを含む本格的な督促は同社の「債権回収ロボ」と連携して補える設計で、請求から回収までを段階的に自動化できます。料金は資料請求で確認できます。
3. Bill One債権管理(Sansan株式会社)

Bill One債権管理は、名刺管理サービスを提供するSansan株式会社の債権管理サービスです。請求先ごとに固有のバーチャル口座番号を割り当て、その口座を振込先とすることで、入金情報と債権を自動でマッチングして消込を行う点が中核です。
複数請求分をまとめて振り込む合算入金や、債権名義と振込人名義が一致しない入金など、従来の自動消込が苦手とするケースも自動で処理できると訴求しています。バーチャル口座は、住信SBIネット銀行のBaaS(銀行機能を外部サービスに提供する仕組み)基盤を用いた「Bill One Bank」で発行されます。料金は請求書の発行件数に応じた個別見積もりです。
4. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボは、未入金の督促・回収業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)といった複数のチャネルを組み合わせた督促シナリオを設計し、債務者の属性や債権額に応じて自動で実行します。2026年3月に提供が始まり、催促スケジュールを最適化する技術で特許出願も行っています。
継続モニタリングで検知した滞納・未入金に対し、督促の初動から回収までを人手をかけずに回せるのが強みです。単独でも利用でき、同社の請求管理ロボと連携すれば、請求から督促・回収までを一元管理できます。詳細はオンライン相談で確認できます。
5. マネーフォワード クラウド債権管理(株式会社マネーフォワード)

入金消込・債権残高管理から回収予定管理・滞留督促管理までをカバーするのが、株式会社マネーフォワードのクラウド債権管理です。機械学習による自動照合を採用し、使うほど自動照合の精度が高まる仕組みが特徴です。
請求書発行機能は内包せず、すでに別システムで請求書を発行している企業が消込部分だけを効率化する用途にも対応します。得意先ごとの請求残高を経過月数別に表示する管理帳票など、取引開始後の債権を継続的にモニタリングする機能がそろいます。取引件数の多い企業を主な想定顧客としており、料金は利用状況に応じた個別提案です。
自動照合の精度が使い続けることでどう高まっていくのかについて、提供元のマネーフォワードは自社インタビューで次のように説明しています。

機械学習を使っているため、最初から100点を目指すというよりは、使い続けていくことで照合精度が上がっていく仕組みです。目安としては3ヶ月程度で精度が安定してきますが、お客様のシチュエーションによっても異なります。継続的にお取引をされる企業が中心なのか、新規の取引先が多く入ってくるのかによっても学習のスピードは変わってきます。
6. URIHO(株式会社ラクーンフィナンシャル)

URIHO(ウリホ)は、株式会社ラクーンフィナンシャルが運営するネット完結型の売掛保証サービスです。取引先の倒産や1ヵ月以上の支払い遅延で売掛金が回収できなくなった場合に、保証会社が取引代金を支払う仕組みで、未回収リスクそのものを移転できます。
月額定額制で、保証する取引先数に上限がなく、ミニプラン4,980円からA・B・Cの各プランが用意されています(保証料は月額料金に含まれ、取引先ごとの従量課金はありません)。独自のノウハウで取引先の信用リスクを診断し、保証推奨度を5段階で表示する与信管理機能も備え、信用調査を継続的な保証につなげられます。
まとめ
取引先の信用調査は、まず登記事項証明書やネット、入手できれば決算書を使って自社で確認し、判断がつかない場合や取引額が大きい場合に信用調査会社の報告書で補う、という順序で進めるのが現実的です。財務指標では、数値そのものよりも債務超過や利益の急落といった危険なサインに注目すると、支払能力を根拠を持って見極められます。
そして与信管理は、取引開始時の1回で終わらせず、限度額の管理や継続的なモニタリングまで続けることで貸し倒れや連鎖倒産を防げます。取引先が増えて手作業での管理が難しくなってきたら、与信・入金消込・督促を仕組み化するサービスの活用も検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 取引先の信用調査とは何ですか?
A. 取引先の信用調査とは、取引の相手企業に代金の支払能力と支払う意思があるかを、実在性・財務状況・評判などから確かめる作業です。掛取引では商品やサービスを先に渡すため、相手の支払能力を見誤ると売掛金の未回収につながります。調査方法は社内調査・直接調査・外部調査(登記・ネット)・依頼調査(信用調査会社)の4つに大別できます。
Q. 取引先の信用調査は相手に失礼になりませんか?
A. 取引先の信用調査は、登記情報の取得やネットでの確認、信用調査会社への依頼であれば相手に伝わらず、失礼にはあたりません。信用調査会社の調査でも、依頼した企業の情報は調査員に知らされない仕組みが取られており、誰が依頼したかが相手に伝わることは通常ありません。相手に伝わるのは訪問やヒアリングといった直接調査だけで、掛取引を始める前に相手の支払能力を確認すること自体は、双方を守る通常の商習慣です。
Q. 取引先の信用調査は無料でどこまで自分でできますか?
A. 社内の取引履歴やネット・報道での評判調べは無料、登記情報も1件330円程度から確認でき、費用をかけず自社でかなり調べられます。登記情報提供サービスなら全部事項を1件330円で画面確認でき、証明書として取得する場合もオンライン請求で490〜520円、法務局の窓口で600円です。決算書を入手できれば、自己資本比率や流動比率などの財務指標まで読み解けます。
Q. 信用調査会社に依頼すると費用はいくらかかりますか?
A. 東京商工会議所経由なら、既存報告書が14,300円から・新規調査が27,500円からと実額が公表されています。東京商工リサーチや帝国データバンクへの直接依頼は会員制で、単価は購入スキームにより変わります。既存報告書は安く当日〜数日で入手でき、現地調査を伴う新規調査は費用も納期もかかります。料金は改定されることがあるため、依頼前に各公式ページで最新額を確認してください。
Q. 決算書を入手できない取引先はどう調べればよいですか?
A. 決算書を入手できない取引先は、登記情報・公式サイト・報道・現地訪問で実態を確認し、それでも判断がつかなければ信用調査会社の報告書で財務データや評点を補うのが現実的です。まず登記事項証明書で実在性と設立からの年数・資本金を押さえ、ネットや直接調査で事業が実際に動いているかを確かめます。取引額が大きい相手や業界内の評判が読めない相手は、調査会社の評点で支払能力を補うと判断の精度が上がります。
Q. 与信限度額はどうやって決めればよいですか?
A. 与信限度額は、その取引先に掛けで売ってよい上限金額のことで、相手先の支払能力と自社の与信供与能力の両面から決めます。設定の基準には「自社の売掛債権を基準にする」「自社の純資産を基準にする」「取引先の仕入債務を基準にする」の3つの考え方があります。1社への与信が過大にならないよう、自社の体力に見合った上限を設けるのが基本です。
Q. 取引先の反社チェックは法律上の義務ですか?
A. 取引先の反社チェックは、各都道府県の暴力団排除条例により、取引先が暴力団関係者でないことの確認に努めることが事業者に求められています。たとえば東京都暴力団排除条例第18条がこれを定めています。確認を怠って会社に損害を与えた場合、取締役が善管注意義務(会社法第330条・民法第644条)を問われる可能性もあるため、信用調査とあわせて取引開始前に確認しておくことが重要です。
Q. 信用調査は取引開始時に一度だけ行えばよいですか?
A. 信用調査や与信管理は、取引開始時の一度きりでは不十分で、取引開始後も定期的な見直しと情報収集を続ける必要があります。取引先の経営状況は時間とともに変化するため、決算期ごとの財務チェックや入金遅延の兆候の把握を続けることで、信用悪化を早期に察知できます。取引先が増えて手作業での管理が難しくなってきたら、与信・入金消込・督促・回収を仕組み化するサービスの活用も検討するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















