海外の取引先との契約や、外国籍従業員との雇用契約を進めるなかで、英語で契約書を取り交わす場面が増えていませんか。紙の契約書を国際郵送でやり取りすると締結まで日数がかかり、英文と和文の契約書が部署ごとに散らばって管理も煩雑になりがちです。
電子契約システムを使えばこうした手間は減らせますが、日本語専用の製品では、海外の署名者に画面や通知メールが日本語のまま届いてしまい、かえって混乱を招きます。英語(および中国語などの多言語)に対応した製品を選ぶことが、海外取引や外国籍雇用の契約をスムーズに回す前提になります。
本記事では、英語・多言語に対応した電子契約システム16サービスを比較・解説します。各製品が「UI・署名依頼メール・署名画面のどこまで英語になるのか」という対応の範囲や、対応言語・料金・セキュリティ認証を整理し、海外での電子契約の法的な有効性まで確認できるようにまとめました。自社の取引相手や利用シーンに合う製品を見つけるための検討材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、海外の取引先との契約や、外国籍従業員との雇用契約を英語・多言語で締結・管理したい企業に向けて、英語(および中国語などの多言語)に対応した電子契約システム16サービスを、対応言語・英語対応の範囲・料金・海外での法的有効性から比較します。
英語対応にこだわらず、電子契約システム全般を機能・料金・導入実績などから広く比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
英語対応の電子契約システムとは(どこまで英語になるのか)
英語対応の電子契約システムとは、契約の締結にかかわる画面や通知を英語で表示できる電子契約システムを指します。一口に「英語対応」といっても、製品によって英語になる範囲は異なります。自社の取引相手にとって過不足のない製品を選ぶには、まず「どこまで英語になるのか」を分解して理解しておくことが役立ちます。
英語対応の範囲は、主に次の3つの要素に分かれます。1つ目は、契約書を送る側(自社)が操作する管理画面の表示言語、2つ目は、契約相手に届く署名依頼メールの言語、3つ目は、相手が署名・合意を行う署名画面の言語です。
海外の取引先とやり取りするなら、相手が直接触れる署名依頼メールと署名画面が英語で表示されるかどうかが特に重要です。
注意したいのは、画面や通知が英語に切り替わっても、利用者が入力した文字までは自動で翻訳されない製品が多いことです。署名者の氏名・書類のタイトル・メッセージなどに日本語で入力した内容は、英語表示に設定してもそのまま日本語で表示されます。英語で契約を進めるなら、こうした入力項目も英語で記入する運用が前提になります。

対応する言語の数も製品ごとに幅があります。日本語と英語の2言語に対応するものから、中国語・ベトナム語などアジア圏の言語や、欧州の複数言語まで対応するものまでさまざまです。取引相手の国や、契約を交わす相手の使用言語に照らして、必要な言語がそろっているかの確認が欠かせません。
英語・多言語対応の電子契約システムのタイプ
ここからは、英語・多言語対応の電子契約システムを、開発元と対応言語の広さの観点から3つのタイプに分けて解説します。自社の取引相手や必要な言語に照らして、どのタイプが合うかを見極める手がかりにしてください。
1つ目は、国内で開発され、英語に加えて中国語・ベトナム語・ポルトガル語など複数の言語にも対応するタイプです。海外取引と日本の商習慣・法対応を両立したい企業に向いています。2つ目は、同じく国内開発で、表示言語を英語に切り替えて使うことを中心とするタイプです。取引先が英語圏の場合や、外国籍従業員との雇用契約を英語で交わしたい場合に適しています。
3つ目は、海外で開発され、十数言語から40言語超まで幅広く対応するタイプです。海外拠点や多国籍の取引相手が多く、世界的に標準となっている署名の仕組みをそのまま使いたい企業に向いています。
| 特徴・向いている企業 | 該当する主なサービス | |
|---|---|---|
| 国産・多言語対応 | 英語に加え中国語・ベトナム語・ポルトガル語など複数の言語やメールに対応。海外取引と日本の商習慣・法対応を両立したい企業向け | 電子印鑑GMOサイン、クラウドサイン、SMBCクラウドサイン、freeeサイン、契約大臣、FAST SIGN |
| 国産・英語対応 | 表示言語を英語に切り替えて利用。英語圏の取引先や外国籍従業員との契約を、国内運用を主としつつ英語で回したい企業向け | マネーフォワード クラウド契約、WAN-Sign、サインタイム、jinjerサイン、LegalOn Cloud、Great Sign |
| 海外製・グローバル標準 | 十数〜40言語超・多くの国と地域に対応。海外拠点や多国籍の取引相手が多く、世界的に使われている署名の仕組みをそのまま使いたい企業向け | Zoho Sign、ドキュサイン、Dropbox Sign、DottedSign |
※上記は各タイプにおける一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の対応言語や機能の詳細については各社情報をご確認ください。
英語対応の電子契約システムの選び方
ここからは、英語・多言語対応の電子契約システムを選ぶ際に確認したい観点を解説します。自社の取引相手や運用体制に照らして、次の4つの観点で確認し、最後に診断ツールで裏づけると、候補を絞り込みやすくなります。
対応言語の範囲を確認する
最初に確認したいのは、英語対応の範囲と対応言語の数です。前述のとおり、英語になるのが自社の管理画面だけなのか、契約相手に届く署名依頼メールや署名画面まで含むのかは製品によって異なります。海外の取引先と契約するなら、相手が直接操作する署名依頼メールと署名画面が英語で表示される製品を選ぶことが重要です。
対応言語の数も、日本語・英語の2言語のみか、中国語やアジア圏・欧州の言語まで広くカバーするかで分かれます。取引相手の国や使用言語を洗い出し、必要な言語がそろっているかの確認が欠かせません。
国際規格への準拠を確認する
海外の取引先と契約を交わす場合、相手企業から自社が使う電子契約システムのセキュリティ水準を問われることがあります。情報セキュリティマネジメントの国際規格である「ISO/IEC 27001」や、クラウドサービスの運用状況を第三者が評価する「SOC 2」といった認証を取得しているかは、判断材料の1つになります。
これらの認証は、システムの安全性を客観的に示す指標として、海外の取引先やグループ会社に説明する際に役立ちます。取得している認証の種類と、その対象範囲がどのサービスまで含むのかを公式情報で確認しておくと、社内外への説明の根拠になります。
グローバルサポート体制を確認する
海外の取引先が操作でつまずいたときに、どのようなサポートを受けられるかも確認したい点です。問い合わせ窓口が日本語だけでなく英語にも対応しているか、海外の時間帯でも連絡が取れるかは、海外拠点や海外の取引先が多い企業ほど重要になります。
海外で開発された製品はもともと多言語のサポート体制を持つことが多い一方、国内開発の製品は日本語での手厚いサポートが強みになります。自社の運用体制と、契約相手がサポートを必要とする可能性を踏まえて、必要なサポート水準を見極めます。
料金体系を確認する
料金では、初期費用の有無と月額の課金モデルの2点が確認の軸になります。電子契約システムの課金は、利用する人数(ID数)に応じて増えるものと、契約書を送信した件数に応じて増えるものに大きく分かれます。海外との契約は件数が読みにくいこともあるため、想定する送信件数と利用人数に照らして、自社にとって費用を見積もりやすいモデルを選ぶとよいでしょう。
多言語対応の機能が上位プランや有料オプションでのみ使える製品もあるため、英語・多言語対応を使うために必要なプランと、その料金まで含めて比較することが大切です。具体的な料金の桁感は、本記事後半の費用相場もあわせて参考にしてください。
自社に合うサービスを診断する
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】英語・多言語対応の電子契約システムを比較
ここからは、英語・多言語対応の電子契約システム16サービスを、対応言語・英語対応の範囲・料金・主なセキュリティ認証の観点でタイプ別に比較します。「英語対応の範囲」の列では、UI表示言語・署名依頼メール・署名画面・入力値の翻訳可否のうち、どこまで英語になるかを整理しました。自社の取引相手に必要な範囲を満たす製品を見つける手がかりにしてください。
国産・多言語対応(英語+中国語・ベトナム語・ポルトガル語など)の比較
| サービス名 | 電子印鑑GMOサイン | クラウドサイン | SMBCクラウドサイン | freeeサイン | 契約大臣 | FAST SIGN |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応言語 | 日本語・英語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語・ミャンマー語・ベトナム語(8言語) | 日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字) | 日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字) | 日本語・英語・ベトナム語(3言語) | 受信側画面が多言語表示に対応(対応言語一覧は公式非公表) | 日本語・英語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語 |
| 英語対応の範囲 | 管理画面(UI)を英語表示。署名依頼メールのテンプレートを日英から選択可 | 受信者に届く案内メール・署名(確認)画面を英語・中国語で表示(有料のLightプラン以上) | 受信者の案内メール・確認画面を英語・中国語で表示(Lightプラン以上。クラウドサインと同一基盤) | 受領者に届くメールを日本語・英語・ベトナム語から選択。送信者の操作画面も英語・ベトナム語に切替可(相手の署名画面・メール文面は別途設定) | 契約相手が見る受信側画面が多言語表示に対応。送信者の管理画面の英語対応範囲は公式非公表(要問い合わせ) | 受信者の通知メール・締結画面を英語・ポルトガル語・スペイン語で表示(プレスリリースで公表・現行公式サイトに記載がなく要確認) |
| 初期費用 | 0円(基本サービス) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 公式サイトに記載なし(要問い合わせ) | 0円 | 0円 |
| 月額費用 | 9,680円(税込)〜(ライトプラン・年間契約)+送信110円/件(税込) | 12,100円(税込)〜(Lightプラン)+送信242円/件(税込) | 11,000円(税込)〜(Lightプラン)+送信220円/件(税込) | 7,180円〜(Starterプラン・月払い/年払い5,980円)※税区分は要確認 | 4,400円(税込)〜(有料最小プラン)。電子署名オプションは1送信220円(税込) | 11,000円(税込)〜(ライトプラン)。締結ベースの従量課金 |
| 主なセキュリティ認証 | ISO/IEC 27001・27017、ISMAP登録、SOC 2 Type2受領 | ISO/IEC 27001・27017、SOC 2 Type1受領、ISMAP登録 | 公式未記載(要問い合わせ)。同一基盤のクラウドサインはISO/IEC 27001・27017等を取得 | 運営会社がISMS(ISO/IEC 27001)取得(サービス単体への適用範囲は要問い合わせ) | 公式未記載(要問い合わせ) | サービス単体は公式未記載(運営会社マルジュはISMS取得) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
国産・英語対応(英語UI切替中心)の比較
| サービス名 | マネーフォワード クラウド契約 | WAN-Sign | サインタイム | jinjerサイン | LegalOn Cloud | Great Sign |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応言語 | 日本語・英語(2言語) | 日本語・英語(2言語) | 日本語・英語(2言語) | 日本語・英語(英語切替に対応) | 英文など多言語契約書の翻訳・AIレビューに対応(署名機能はDocuSign連携) | 英語対応を掲げる(対応言語一覧は公式非公表) |
| 英語対応の範囲 | 送信時に相手の表示言語を英語に指定でき、署名依頼メール・署名画面が英語表示。自社の管理画面の英語化は公式に明記なし | 管理画面と署名依頼メールを日英で切替。送信先ごとに英語表示を選択可 | 管理画面を英語に設定すると署名依頼メール・署名画面も英語表示。氏名・書類名など入力値は自動翻訳されない | 管理者・従業員画面を英語表示。相手へのメール通知・合意画面も英語(プロプランまたは英語対応オプションが必要。登録した項目名は翻訳されない) | 英文契約書の翻訳・言語確認・AIレビューに対応。締結(署名)はDocuSign連携のため、署名画面などの英語範囲はDocuSign側に準ずる | 英語対応を機能として掲げるが、UI・メール・署名画面のどこまで英語になるかは公式非公表(要問い合わせ) |
| 初期費用 | 0円 | 0円(基本プラン) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 2,480円(税抜)〜(電子契約の入口プラン・年払い。月払いは3,980円)。送信料・保管料は0円 | 0円(基本プラン・従量課金)。立会人型は月10件・当事者型は月3件まで無料、超過分は各100円/300円/件(税抜) | 8,600円(税抜/税込9,460円)〜(電子契約プラン・月払い)。ユーザー数・送信通数は無制限 | 10,000円〜(ID数無制限)+送信ごとに電子署名200円・タイムスタンプ30円。プラン別確定額・税区分は要確認 | 8,200円(税別)〜(電子契約「サイン」)。モジュール・契約書量で変わり個別見積り | 8,580円(税込)〜(ライトプラン・送信件数無制限)+締結ごと165円(税込) |
| 主なセキュリティ認証 | クラウド契約単体の認証は公式未記載(同社ISMSはデジタルインボイス事業に限定) | ISO/IEC 27001・27017、JIIMA認証(運営会社) | 公式未記載(要問い合わせ) | 運営会社がISO/IEC 27001・プライバシーマーク取得(サービス単体への適用範囲は要問い合わせ) | ISO/IEC 27001・27017、SOC 2 Type2受領 | ISO/IEC 27001、プライバシーマーク、JIIMA認証 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
海外製・グローバル標準の比較
| サービス名 | Zoho Sign | ドキュサイン(DocuSign) | Dropbox Sign | DottedSign |
|---|---|---|---|---|
| 対応言語 | 管理画面が英語を含む12言語に対応 | 署名画面が44言語に対応 | 日本語・英語(署名者・送信者の双方の画面が日本語対応) | 日本語・英語・中国語(繁体/簡体)・ドイツ語・フランス語・スペイン語・韓国語・イタリア語(9言語) |
| 英語対応の範囲 | 管理画面が英語を含む12言語に対応。署名者向けの複数言語対応は上位プランで利用 | 署名画面が44言語に対応(全プラン共通)。相手の国の言語で署名画面を表示して依頼でき、日本語UIにも対応 | 署名者・送信者の双方の画面が日本語・英語に対応。グローバルではeIDAS(適格電子署名)・GDPRにも対応 | UIが英語を含む9言語に対応。署名者が開く画面も多言語表示 |
| 初期費用 | 0円 | 要問い合わせ | 0円 | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 1,200円(税別)〜(スタンダード・年間契約/1ユーザー)。無料プラン(1ユーザー・月5件)あり。公式日本円料金は通貨切替式のため要確認 | 1,333円〜(Personal・月払い)、Standard 3,300円/ユーザー〜。送信3通まで無料のフリーアカウントあり ※税区分は要確認 | 月15ドル〜(Essentials・年払いは実質月10.05ドル)、Standard 25ドル/ユーザー〜(米ドル建て)。30日ごと3件まで無料 | 要問い合わせ(Proは月額・年額の選択制、Businessは年額契約)。他者への署名依頼を3件まで試せる無料プランあり |
| 主なセキュリティ認証 | ISO/IEC 27001、SOC 2 Type II、ISO 27017・27018(Zoho社全体。Zoho Sign単体・国内DCへの適用範囲は要確認) | ISO/IEC 27001:2022、SOC 1/2 Type 2、PCI DSS | ISO/IEC 27001、SOC 2 Type II、eIDAS、GDPR(保有主体・取得年は要確認) | ISO/IEC 27001、GDPR対応(保有主体は要問い合わせ) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
英語・多言語対応の電子契約システム16選
ここからは、比較表で取り上げた16サービスを、タイプ別に個別に紹介します。各製品の対応言語や英語対応の範囲、料金、特徴を確認し、自社の取引相手や利用シーンに合う製品を見つけてください。
国産・多言語対応(英語+中国語・ベトナム語・ポルトガル語など)
まずは、国内で開発され、英語に加えて中国語やベトナム語などにも対応する製品です。海外取引と日本の商習慣・法対応を両立したい企業に向いています。
1. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインは、日本語・英語・中国語に加え、スペイン語・ポルトガル語・タイ語・ミャンマー語・ベトナム語を含む8言語に対応しており、国産サービスの中でも対応言語の幅が広い電子契約システムです。取引相手のブラウザの言語設定に応じて操作画面が英語で表示され、署名依頼メールのテンプレートも日本語・英語から選べるため、相手が受け取る通知と画面を相手の言語で提示できます。
署名方式は、メール認証で締結する立会人型(契約印タイプ)と、電子証明書で本人性を担保する当事者型(実印タイプ)の両方に対応し、両者を組み合わせたハイブリッド署名も利用できます。導入実績は350万社以上で、上場企業の約82%(2026年6月末時点)が利用しています。
ISO/IEC 27001・27017に加え、政府の評価制度ISMAPへの登録やSOC2 Type2の報告書受領といった認証を自社で保有しており、海外の取引先にセキュリティ水準を説明する際の材料になります。送信料は立会人型で1件110円(税込)、月5件まで無料の「お試しフリープラン」も用意されています。
2. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスで、導入社数250万社以上・累計送信件数4,000万件超(2024年度実績)の利用規模を持ちます。締結方式は、メール認証で契約を結ぶ立会人型(事業者署名型)が標準です。
海外との契約では、書類の送付先ごとに言語を指定でき、相手に届く案内メールと署名画面を英語・中国語(簡体字・繁体字)で表示できます。この英語・中国語での契約締結機能は有料プラン(Light以上)で利用でき、フリープランは対象外です。
ただし、マイナンバーカード署名などの高度な認証を設定した書類は言語が日本語に固定され、英語・中国語では送信できない点に注意が必要です。セキュリティ面ではISO/IEC 27001・27017の取得、SOC2 Type1の報告書受領、ISMAPへの登録があります。料金はLightプランが月額11,000円(税抜・税込12,100円)、送信料が1件220円(税抜・税込242円)です。
3. SMBCクラウドサイン(SMBCクラウドサイン株式会社)

SMBCクラウドサインは、三井住友フィナンシャルグループ(51%)と弁護士ドットコム(49%)が2019年に設立した合弁会社が運営する電子契約サービスです。前掲のクラウドサインと同じ製品基盤を使いつつ、金融機関や大企業向けの導入支援をSMBCグループと連携して提供する点を打ち出しています。
製品基盤を共有するため、英語・中国語での契約締結に対応しており、この多言語対応はLightプラン以上で利用できます。「銀行も利用する電子契約」を掲げ、SMBCグループ23社での導入実績を示しています。
料金はLightプランが月額10,000円(税抜)、送信料が1件200円(税抜)で、1名・月2件まで永年無料のFreeプランもあります。自治体での導入は300超(2025年6月時点)とされますが、これはクラウドサインとの合算値である点に留意してください。
4. freeeサイン(フリー株式会社)

freeeサインは、フリー株式会社が提供する電子契約システムで、弁護士監修のテンプレート約100種を使った契約書の作成から、送信・締結、締結後の保管までを1つのサービスでカバーします。freee人事労務やfreee業務委託管理と連携し、雇用契約や業務委託契約の管理を一元化できます。
多言語対応では、受領者に届くメールを日本語・英語・ベトナム語の3言語から選択でき、送信者側の操作画面も英語・ベトナム語に切り替えられます。ただし操作画面の切替は自社側の表示のみが対象で、相手が署名・合意する画面やメール文面の言語は別途設定する必要があります。
料金は月1通まで送れる無料プラン(3名まで)のほか、Starterプランが月額7,180円(年払い時5,980円/月)、Standardプランが月額35,760円(年払い時29,800円/月)です。中国語・韓国語などへの対応は公式に確認できていないため、取引相手の言語が英語・ベトナム語以外の場合は事前確認が必要です。
5. 契約大臣(株式会社TeraDox)

契約大臣は、株式会社TeraDoxが中小企業・個人事業主・スタートアップ向けに提供する電子契約システムです。初期費用が無料で、有料の最小プランは月額4,400円(税込)からと、低価格帯のプラン構成を打ち出しています。
締結は、取引先がメールのURLから内容を確認して合意する立会人型の「電子サイン」を基本とし、受信側にアカウント登録を求めません。認定タイムスタンプは無料で付与され、公開鍵暗号方式による「電子署名」は1送信220円(税込)の有料オプションとして選べます。
多言語については、契約相手が確認する受信側の画面が多言語表示に対応するとされています。ただし対応言語の一覧や、送信者が使う管理画面の対応範囲は公式サイトで明示されていないため、英語や特定の言語での締結が必要な場合は事前に問い合わせて確認することをおすすめします。
6. FAST SIGN(株式会社マルジュ)

FAST SIGNは、株式会社マルジュが提供する電子契約サービスで、雇用契約書・労働条件通知書・業務委託契約書の電子化を主な用途に想定しています。派遣・パート・アルバイトの雇用契約での利用を訴求しており、固定月額制に超過分のみ従量課金する料金設計を採ります。
同社のプレスリリースによると、2024年に契約相手(受信者)側の受信通知画面や締結画面を英語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語で表示する機能を順次追加しています。外国人材の雇用契約を想定した対応で、署名依頼の通知メールと締結画面が各言語で表示されます。ただしこれはプレスリリースで確認できる機能で、現行の公式サイトには記載がないため、利用時は提供状況を確認する必要があります。
料金は初期費用0円で、月10件まで送れる無料プランのほか、ライトプランが月額10,000円(税込11,000円)です。有料プランは相手が署名を完了した時点でカウントする「締結ベース」の課金で、発行しただけの契約書には課金されません。
国産・英語対応(英語UI切替中心)
次に、国内開発で、表示言語を英語に切り替えて利用することを中心とする製品です。英語圏の取引先や、外国籍従業員との雇用契約を英語で交わしたい企業に適しています。
7. マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

会計・請求書・経費などをそろえるバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」の一機能として提供される、電子契約・契約書管理サービスです。契約書の作成・社内申請・締結・保管までをクラウド上で完結でき、同社の他サービスと同一アカウント・同一プランで利用します。
英語対応は、書類の送信時に相手方の表示言語を「日本語」か「English」から選ぶ方式です。Englishを選ぶと、相手に届く署名依頼メールと、相手が承認・押印を行う署名画面が英語で表示されます。確認できる対応言語は日本語・英語の2言語です。
ただし画面内の一部ガイド・注釈は日本語のまま残り、契約書を作成・送信する自社側の管理画面自体を英語化できるかは公式に明記がありません。海外の相手に署名を依頼する用途を中心に確認するとよいでしょう。
料金は初期費用0円で、契約を含む入口プランは年払いで月2,480円から(税抜)。会計・請求書など12サービスが基本料金内で使え、有料プラン契約後は送信料・保管料が0円です。1ヶ月の無料トライアルはクレジットカード登録なしで利用できます。
8. WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ)

文書保管・機密書類管理を本業とする株式会社NXワンビシアーカイブズが、GMOグローバルサインと共同開発した電子契約・契約管理サービスです。電子証明書を用いる当事者型(実印版)、メール認証の立会人型(認印版)、両者を組み合わせるハイブリッド版に対応し、契約ごとに本人性のレベルを選べます。
英語対応は、操作画面(管理画面)と署名依頼メールの双方を日本語・英語で切り替えられます。管理画面はブラウザの設定言語、依頼メールは送信先の設定画面での言語選択で切り替え、送信先ごとに英語表示を選べるため海外取引先との契約にも使えます。
対応言語は日本語・英語の2言語で、eIDASなど海外の電子署名規格への準拠は公式には示されていません。料金は基本プランが初期費用・月額0円の従量課金型で、立会人型は月10件、当事者型は月3件まで無料、超過分はそれぞれ100円・300円/件(税抜)です。
ユーザー数は無制限で、運営会社はISO/IEC 27001・27017やJIIMA認証を取得しています。紙の契約書原本の保管サービスと連携し、電子契約と書面契約を一元管理できる点も、文書管理を本業とする同社ならではの構成です。
9. サインタイム(サインタイム株式会社)

アップロードした契約書に署名欄を配置して送る操作性を持つ電子契約サービス「SignTime」です。署名者はサインタイムへの登録なしに署名でき、2022年には法務省の認定事業者として、電子署名した取締役会議事録などを商業登記のオンライン申請の添付書類に使えるようになりました。
英語対応では、送信者側の管理画面を日本語・英語で切り替えられ、表示言語を英語に設定して書類を送ると、署名依頼メールと署名者が開く署名画面も英語で表示されます。対応言語は日本語・英語の2言語です。
ただし署名者名・書類のタイトル・メッセージなど送信者が入力した内容は自動翻訳されないため、英語で契約を進めるならこれらも英語で入力します。eIDASなど国際規格への準拠は公式ページでは確認できません。
料金は、期間の定めなく合計10通まで送れるフリープランが0円、電子契約プランが月払い8,600円(税抜、税込9,460円)で、ユーザー数・送信通数はいずれも無制限です。
10. jinjerサイン(jinjer株式会社)

統合型人事システム「ジンジャー」のラインナップの一つとして提供される電子契約サービスです。人事労務・勤怠・給与などのバックオフィス機能を同じブランドでそろえられ、相手先がジンジャーサインを導入していなくても、受信側はアカウント登録なしで契約を締結できます。
2022年6月から表示言語の英語切替に対応し、管理者・従業員の画面を英語で表示できます。宛先やCcを英語で設定すると、相手方へのメール通知と合意画面も英語で表示され、外国籍従業員との雇用契約や海外企業との契約が想定用途に挙げられています。
ただし英語対応はプロプランまたは英語対応オプションの契約者向けの機能で、全プランの標準ではありません。対応言語は英語のみで、契約締結証明書は日本語のみで発行され、利用者が独自に登録した項目名は翻訳されない点にも注意が必要です。
料金は公式が「月額1万円〜・ID数無制限」とし、送信ごとに電子署名200円・タイムスタンプ30円・認証のみ無料の従量課金が発生します(プラン別の確定額は要問い合わせ)。1ヶ月・契約書3通までの無料トライアルも用意されています。
11. LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

契約審査(レビュー)から契約管理、電子契約の締結までを1つのプラットフォームで運用できるAI法務基盤です。締結前のレビューと締結後の台帳管理を同じ環境でつなぐCLM(契約ライフサイクル管理)型で、契約業務全体を支援します。
英語まわりでは、英文をはじめとする多言語契約書の翻訳・言語確認を支援する機能や、英文契約のAIレビュー・情報抽出に対応します。電子契約の署名技術は「DocuSign」との提携を採用し、審査を終えた契約書からそのまま署名依頼を送れる構成です。
セキュリティ面では、運営会社がISO/IEC 27001・27017に加えSOC 2 Type 2の報告書を受領しており、海外の取引先へ安全性を説明する際の材料になります。
電子契約「サイン」の料金は月額8,200円(税別)からとされますが、モジュール選択や契約書のボリュームで変わるため個別見積りとなります。恒久的な無料プランやセルフサービス型の無料トライアルはなく、申し込むと営業担当による無料デモ体験を受けられます。
12. Great Sign(株式会社TREASURY)

株式会社TREASURYが運営するクラウド型の電子契約サービスで、電子署名とタイムスタンプの付与により、契約書の送信・締結・保管をオンラインで完結できます。2024年には、国・地方公共団体の契約書類でも有効な電子署名として認められた点を公表しています。
英語対応を機能の一つとして掲げ、決済連携(Payment機能)や反社チェックなど契約締結の周辺業務も標準で備えます。メールアドレスの登録だけで、累計10件までの契約書送信を無料で試せるフリープランがあり、上限に達すると送信はできなくなります(有料プランへ移行すると締結済みのデータを引き継げます)。
有料プランは、月額8,580円(税込)で送信件数が無制限になるライトプランからで、契約書の締結ごとに165円(税込)が別途発生します。ISO/IEC 27001やプライバシーマーク、JIIMA認証などをサービスの特徴として掲げています。
海外製・グローバル標準(多言語・世界標準の署名体験)
最後に、海外で開発され、幅広い言語と国・地域に対応する製品です。海外拠点や多国籍の取引相手が多く、世界的に使われている署名の仕組みをそのまま利用したい企業に向いています。
13. Zoho Sign(ゾーホージャパン株式会社)

Zoho Sign は、業務アプリスイート「Zoho」を展開するゾーホージャパン株式会社が提供するクラウド型の電子署名サービスです。開発元はインド発祥の Zoho Corporation で、Zoho CRM・Zoho People など同社製品と連携させて契約フローを組み立てられる点が設計上の軸になっています。
管理画面は日本語・英語を含む12言語に対応します。外資系の製品ながら、東京・大阪の国内データセンターでの運用や、セイコーソリューションズのタイムスタンプサービスとの連携、日本円での課金に対応しており、データを国内に保管したい企業の要件にも合わせやすい構成です。
料金は無料プラン(1ユーザー・月5件、月次リセット)から始められます。有料のスタンダードプラン以上ではタイムスタンプ付与や承認ワークフローを利用できますが、公式の日本円料金は通貨切替式のページで表示されるため、導入前に最新額を確認しておく必要があります。
14. ドキュサイン(DocuSign)(ドキュサイン・ジャパン株式会社)

契約書の準備から署名・締結・管理までをオンラインで完結する電子署名サービスで、米国 Docusign, Inc. が2003年から提供し、日本へはドキュサイン・ジャパン株式会社が展開しています。世界180か国以上で利用されている大規模な署名基盤です。
署名画面は44言語に対応し、これは全プラン共通で利用できます。海外の署名者にも、その国の言語で署名画面を表示して依頼できるため、多国籍の取引先とやり取りする場面で扱いやすくなっています。日本語UI・日本円課金にも対応し、シヤチハタとの提携による電子印鑑(eHanko)機能など、日本のハンコ文化に合わせた機能も備えます。
セキュリティ面では ISO/IEC 27001:2022・SOC 1/2 Type 2・PCI DSS などを本体で取得しています。料金は個人向けの Personal プランが月額1,333円(月払い)から、Standard プランが1ユーザーあたり月額3,300円からで、送信3通まで無料のフリーアカウント(受信・署名は無制限)も用意されています。
15. Dropbox Sign(Dropbox Japan株式会社)

オンラインストレージ大手の Dropbox が手がける電子署名サービスが Dropbox Sign です。前身は2011年創業の HelloSign で、米 Dropbox, Inc. が2019年に買収し、2022年10月に現名称へ改称しました。日本市場は Dropbox Japan株式会社が担っています。
米国発の英語ベースのシステムですが、署名者・送信者の双方の画面が日本語表示に対応しています。グローバルでは EU の eIDAS(適格電子署名)や GDPR にも対応しており、海外取引や多国籍チームでの利用も想定されたサービスです。
特徴は、Dropbox のストレージと署名機能を一体で運用できる点です。すでに Dropbox を使っている組織なら、署名済み文書の保管までまとめられます。
料金は公式では米ドル建てで、Essentials プランが月額15ドル(年払いは実質月10.05ドル)、Standard プランが1ユーザーあたり月額25ドルです。署名依頼を30日ごとに3件まで送れる無料プランもあり、自己署名は無制限で利用できます。
16. DottedSign(ドットサイン)(株式会社Kdan Japan)

DottedSign(ドットサイン)は、台湾発の Kdan Mobile グループが開発し、日本では2023年設立の株式会社Kdan Japan が提供するクラウド型の電子署名サービスです。SaaS 版に加えて、API 連携やセルフホスト環境も選べる導入形態の幅があります。
UI は日本語のほか、英語・中国語(繁体/簡体)・ドイツ語・フランス語・スペイン語・韓国語・イタリア語の9言語に対応します。アジア圏から欧州まで幅広い言語をカバーするため、多国籍の相手と契約を交わす場面で選択肢になります。対面での署名(フロントデスクサイン)や遠隔署名、複数署名者への依頼、社判による捺印管理、OTP(ワンタイムパスワード)での署名者本人確認にも対応します。
Dropbox・Google Drive・OneDrive や Microsoft Teams との連携も用意されています。料金は Pro プランが月額・年額の選択制、Business プランが年間の署名文書量に応じた年額契約で、具体的な金額は問い合わせが必要です。自己署名は無制限で、他者への署名依頼を3件まで試せる無料プランがあります(依頼件数の更新周期は公式サイトで要確認です)。
海外で電子契約は法的に有効か(各国電子署名法)
海外の取引先と電子契約を結ぶうえで気になるのが、「電子契約は相手国でも法的に有効なのか」という点です。結論として、日本・米国・EUをはじめとする多くの国では、電子的な形式であることだけを理由に契約や署名の効力が否定されないことが法律で定められています。ここでは、主要な法域ごとに根拠となる規定を確認します。
米国(ESIGN法・UETA)
米国では、連邦法である電子署名法(ESIGN法、Electronic Signatures in Global and National Commerce Act)が、州際または外国との取引について、電子的形式であることのみを理由に効力を否定しないという一般原則を定めています。
a signature, contract, or other record relating to such transaction may not be denied legal effect, validity, or enforceability solely because it is in electronic form
出典:15 U.S.C. §7001(a)(1)|U.S. Government Publishing Office(govinfo.gov)
これは「取引に関する署名・契約その他の記録は、電子的形式であることのみを理由として、法的効力・有効性・執行可能性を否定されない」という趣旨です。あわせて、各州が採択する統一電子取引法(UETA、Uniform Electronic Transactions Act)も同じ趣旨を定めており、連邦法と州法の二層で電子契約の効力が支えられています。
ただしESIGN法には、消費者向けの開示に一定の手続きを求める規定や、遺言・家族法など適用対象外となる分野もあるため、あらゆる契約が無条件に電子で有効になるわけではない点には留意が必要です。
EU(eIDAS規則)
EUでは、加盟国に直接適用される「eIDAS規則」(Regulation (EU) No 910/2014)の第25条が、電子署名の法的効力を定めています。第25条第1項は、電子的形式であることや適格電子署名の要件を満たさないことのみを理由に、法的効力と裁判での証拠能力を否定されないとしています。
An electronic signature shall not be denied legal effect and admissibility as evidence in legal proceedings solely on the grounds that it is in an electronic form or that it does not meet the requirements for qualified electronic signatures.
A qualified electronic signature shall have the equivalent legal effect of a handwritten signature.
出典:Regulation (EU) No 910/2014 (eIDAS) Article 25|EUR-Lex(EU公式官報)
注意したいのは、手書き署名と同等の効力を持つとされるのは、第25条第2項が定める「適格電子署名(qualified electronic signature)」に限られる点です。すべての電子署名が手書き署名と完全に同等になるわけではなく、電子的形式であることだけを理由に効力を否定されない、という非差別の原則と、適格電子署名が手書き署名と同等になるという規定は分けて理解しておく必要があります。
日本(電子署名法)
日本では、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)の第3条が、一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書について、真正に成立したものと推定すると定めています。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第三条|e-Gov法令検索(デジタル庁)
この規定は「電子署名があれば契約が有効になる」と直接定めるものではなく、本人による適正な電子署名が行われていれば、その電子文書が本人の意思で作成されたものと裁判上推定される、という効果を与えるものです。押印された文書が本人の意思で作成されたと推定されるのと同じ位置づけと考えると分かりやすいでしょう。海外の取引先との契約でも、日本法が準拠法となる場合にはこの推定が働きます。
一方、中国やアジア圏など、ここで取り上げた以外の国では、電子署名や電子契約の扱いが国ごとに異なります。取引相手の国の法制度が不明な場合は、契約書でどの国の法律を適用するか(準拠法)と、紛争時にどの国の裁判所や仲裁機関で解決するか(裁判管轄)を定めておくと、電子契約の効力をめぐる不確実性を抑えられます。相手国の制度が読めないときほど、この準拠法・裁判管轄の設計が実務上の備えになります。
英語契約書と日本語契約書の違い
英語で契約を締結・管理する前に、英語契約書と日本語契約書の違いを押さえておくと、電子契約システムの運用や社内での確認に役立ちます。違いは主に3つの観点にあらわれます。
1つ目は、準拠法と裁判管轄です。海外の取引先との契約では、どの国の法律を適用し、紛争が起きたときにどの国の裁判所で解決するかを契約書で定めます。日本語契約書が日本法・日本の裁判所を前提とするのに対し、英語契約書では相手国の法律や第三国の仲裁機関が指定されることもあり、締結前の確認が欠かせません。
2つ目は、契約書の構成や表現です。英文契約書は定義条項や責任範囲を細かく規定する傾向があり、あいまいな表現は後の解釈で不利に働くことがあります。3つ目は、契約に関する商習慣の違いです。署名の位置づけや契約締結までの手順は国によって異なり、電子署名の受け止め方にも差があります。これらを踏まえ、英文契約書は法務部門や専門家の確認を経てから締結する運用が安全です。
英語・多言語対応の電子契約システムを導入するメリット
英語・多言語対応の電子契約システムを導入すると、海外取引の契約業務にいくつかの利点が生まれます。
まず、締結までの時間を短縮できます。紙の契約書を国際郵送でやり取りすると、往復に日数がかかり、時差もあって締結が遅れがちです。電子契約なら、署名依頼から合意までをオンラインで完結でき、海外の相手ともその日のうちに契約を交わせます。
次に、郵送費や印紙にかかるコストを削減できます。国際郵送の送料が不要になるうえ、電子契約は印紙税の課税対象外とされているため、契約件数が多い企業ほど負担が軽くなります。さらに、和文と英文の契約書をシステム上で一元管理でき、部署や担当者ごとに散らばりがちな契約書を検索性の高い状態でまとめて保管できます。海外拠点との契約状況を本社で把握しやすくなる点も、多言語対応システムならではの利点です。
導入・運用時の注意点
英語・多言語対応の電子契約システムを導入する際は、いくつか運用上の注意点があります。事前に把握しておくことが、導入後の運用で役立ちます。
1つ目は、入力した文字は翻訳されないことです。画面や通知を英語表示にしても、署名者の氏名や書類のタイトルなどに日本語で入力した内容はそのまま表示されます。英語で契約を進めるなら、入力項目も英語で記入する運用ルールを社内で共有しておきます。
2つ目は、多言語対応の利用条件です。英語・多言語対応が上位プランや有料オプションに限られる製品もあるため、必要な機能が自社の契約プランで使えるかの確認が必要です。
3つ目は、相手側の操作環境です。海外の取引先が電子署名に不慣れな場合、署名画面が英語で表示されても操作に迷うことがあります。署名の手順を英語で案内できるよう準備しておくと、締結が滞りにくくなります。加えて、契約締結の証明書などの一部書類は日本語のみの対応となる製品もあるため、相手に提示する書類の言語まで確認しておく必要があります。
英語・多言語対応の電子契約システムの費用相場
英語・多言語対応の電子契約システムの費用は、提供形態や課金モデルによって異なります。クラウド型のサービスでは、初期費用が無料の製品も多く、月額費用は基本料金に加えて契約書の送信件数に応じた従量課金が発生する形が一般的です。
国産の製品は、無料で始められるプランから月額1万円前後の有料プランまで幅があり、送信1件あたり数十円から数百円程度の従量課金が加わることが多くなっています。英語・多言語対応を上位プランや有料オプションに限る製品もあるため、その機能を含むプランの料金で比較します。
海外で開発された製品は、利用人数(ID数)に応じた課金が中心で、料金が1ユーザーあたり月10〜25ドル程度とドル建てで表示される場合もあります。円換算の額は為替で変動する点も見込んでおきます。具体的な各社の料金は、前掲の比較表もあわせてご確認ください。
まとめ
英語・多言語対応の電子契約システムを選ぶうえで最も重要なのは、「英語対応の範囲」を自社の取引相手に合わせて見極めることです。海外の取引先と契約するなら、相手が直接触れる署名依頼メールと署名画面が英語で表示される製品を選び、対応言語が取引相手の使用言語をカバーしているかを見極めることが重要です。あわせて、国際規格への準拠・サポート体制・料金体系も比較すると、自社に合う製品を絞り込めます。
海外取引が中心なら幅広い言語に対応する海外製やアジア圏の言語まで対応する国産の製品を、英語圏の取引先や外国籍従業員との契約が中心なら英語対応を軸とする国産の製品を、といった形でタイプから絞り込むのも有効です。本記事の比較表や診断ツールを使って、自社の状況に合うサービスの資料を取り寄せ、機能や料金を具体的に確認してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 英語対応の電子契約システムとは何ですか?
A. 英語対応の電子契約システムとは、契約の締結にかかわる管理画面・署名依頼メール・署名画面などを英語で表示できる電子契約システムです。
一口に「英語対応」といっても、英語になる範囲は製品ごとに異なります。対応言語も、日本語・英語の2言語だけのものから、中国語・ベトナム語などアジア圏や欧州の言語まで幅広く対応するものまであり、取引相手の使用言語に合わせて選びます。
Q. 英語対応の電子契約システムは、画面のどこまで英語で表示されますか?
A. 英語対応の範囲は主に3つに分かれ、自社が操作する管理画面・契約相手に届く署名依頼メール・相手が署名する署名画面のうち、どこまで英語になるかが製品によって異なります。
海外の取引先とやり取りするなら、相手が直接触れる署名依頼メールと署名画面が英語で表示されるかが特に重要です。管理画面だけが英語になる製品もあるため、本記事の比較表の「英語対応の範囲」の列で、送りたい相手に必要な範囲まで英語になるかを確認してください。
Q. 英語対応の電子契約システムでは、入力した氏名や書類タイトルも自動で翻訳されますか?
A. 画面や通知を英語表示に切り替えても、利用者が入力した署名者の氏名・書類のタイトル・メッセージまでは自動翻訳されない製品が多いです。
日本語で入力した内容は、英語表示に設定してもそのまま日本語で表示されます。英語で契約を進めるなら、これらの入力項目も英語で記入する運用ルールを社内で共有しておく必要があります。
Q. 海外の取引先と結ぶ電子契約は法的に有効ですか?
A. 日本・米国・EUをはじめ多くの国では、電子的な形式であることだけを理由に契約や署名の効力が否定されないことが法律で定められています。
米国では連邦法のESIGN法と各州が採択するUETA、EUではeIDAS規則、日本では電子署名法がその根拠にあたります。ただし、eIDAS規則で手書き署名と同等の効力を持つのは「適格電子署名」に限られ、米国でも遺言・家族法など適用対象外の分野があるなど、あらゆる契約が無条件に電子で有効になるわけではない点には留意が必要です。
出典・参考資料(3件)
Q. 電子契約システムは、国産と海外製のどちらを選べばよいですか?
A. 海外拠点や多国籍の取引相手が多く世界標準の署名体験を求めるなら海外製、日本の商習慣・法対応を保ちながら英語や中国語などで締結したいなら国産が向いています。
海外製は十数〜40言語超と対応言語が広く、多言語のサポート体制を持つことが多い一方、国産は日本語での手厚いサポートや国内の商習慣への対応が強みです。英語圏の取引先や外国籍従業員との雇用契約が中心なら、英語UIへの切り替えを軸とする国産製品も選択肢になります。
Q. 英語対応の電子契約システムを選ぶとき、対応言語は何を確認すればよいですか?
A. 相手が直接操作する署名依頼メールと署名画面が対応言語で表示されるか、そして取引相手の使用言語がカバーされているかを確認します。
対応言語は、日本語・英語の2言語のみの製品から、中国語・ベトナム語などアジア圏や欧州の言語まで対応する製品まで幅があります。取引相手の国や使用言語を洗い出し、必要な言語がそろっているかを事前に確認してください。
Q. 英語対応の電子契約システムの料金はどのくらいかかりますか?
A. 月額の基本料金は無料プランから月額1万円前後まで、契約書の送信1件あたりは数十円から数百円程度が目安です。
初期費用が無料の製品も多い一方、多言語対応の機能が上位プランや有料オプションでのみ使える製品もあるため、必要な機能を含むプランの料金で比較することが大切です。海外製は利用人数(ID数)に応じた課金が中心で、料金がドル建てで表示される場合もあります。具体的な各社の料金は、本記事の比較表もあわせてご確認ください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















