取引先が突然倒産すれば、納品済みの代金(売掛金)はそのまま焦げ付き、自社の資金繰りを直撃します。それを避けるために欠かせないのが、取引先や自社の「倒産リスクを測る指標」を知っておくことです。
倒産リスクを測る指標は、大きく2つに分かれます。1つは決算書から自分で計算する財務指標(流動比率・自己資本比率など)、もう1つは信用調査会社が提供する外部スコア・格付(東京商工リサーチのリスクスコア、帝国データバンクの倒産予測値、リスクモンスターのRM格付など)です。
この記事では、両方の指標を計算式・危険水準の目安・読み方つきで一覧にし、どう使い分けるかまで整理します。危険水準の取引先が見つかったときに、未回収リスクをどう抑えるかの選択肢も最後にまとめます。
目次
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倒産リスクを測る指標は「財務指標」と「信用調査会社スコア」の2系統
まず全体像から押さえます。倒産リスクを測る指標には、大きく分けて2つの系統があります。どちらから当たるかで、必要な手間も、見えてくるものも変わります。

- ①決算書から自分で計算する財務指標:流動比率・自己資本比率などを、相手企業(または自社)の決算書から計算します。追加コストがかからない一方、決算書を入手できる相手にしか使えません。
- ②信用調査会社が提供する外部スコア・格付:東京商工リサーチ・帝国データバンク・リスクモンスターなどが、多数の倒産実績データをもとにした統計モデルで、企業ごとの倒産確率や格付を数値化しています。決算書を入手できない相手にも使えますが、利用には料金がかかります。
①は「自社の目で決算書を読む」アプローチ、②は「外部の統計モデルに判定を任せる」アプローチです。どちらをどう組み合わせて使い分けるかは、両方の早見表を見たあとの後半で詳しく整理します。
収益力・支払能力・成長力などを合成した独自の複合指数を提供する調査会社もありますが、計算の前提が各社固有で、決算書からすぐ計算できる指標にはなりにくいものです。ここでは①②の実務で使いやすい指標を中心に取り上げます。
ここからは、①の財務指標から順に、計算式と危険水準の目安を見ていきます。
決算書から計算する財務指標の早見表(流動比率・自己資本比率など)
決算書から倒産リスクを読むときの中心は、支払能力を測る「安全性分析」の指標です。ここでは、すぐに支払える力を見る「短期支払能力」と、財務体質の底力を見る「長期支払能力」に分けて、計算式・目安・何が分かるかを一覧にします。計算式は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の経営ハンドブックに掲載されているものです。
短期支払能力を見る指標(流動比率・当座比率)
1年以内に支払う負債を、1年以内に現金化できる資産でまかなえるかを見る指標です。目先の資金ショートの危険を早めに察知できます。
| 指標 | 流動比率 | 当座比率 |
|---|---|---|
| 計算式 | 流動資産 ÷ 流動負債 × 100 | 当座資産 ÷ 流動負債 × 100 |
| 危険水準の目安 | 一般に120〜150%以上で安全、200%以上で優良とされ、100%割れは注意 | 120%程度あれば安全とされる |
| 何が分かるか | 1年以内に返す負債を、1年以内に現金化できる資産でまかなえるか | 在庫を除いた、より確実性の高い短期の支払能力 |
当座比率は、流動資産から在庫(棚卸資産)を除いた「当座資産」で見る点が流動比率との違いです。在庫は売れ残ると現金にならないため、当座比率のほうが厳しめに支払能力を測れます。いずれも目安であり、大手企業は中小企業より低めに出る傾向があるほか、業種によっても水準に幅があります。
長期支払能力・財務体質を見る指標(自己資本比率・固定比率など)
数年単位で見た財務の安定性や、設備投資の資金繰りの健全さを測る指標です。短期の指標と組み合わせると、倒産リスクの見立ての精度が上がります。
| 指標 | 自己資本比率 | 負債比率 | 固定比率 | 固定長期適合率 | インタレスト・カバレッジ・レシオ |
|---|---|---|---|---|---|
| 計算式 | 自己資本 ÷ 総資本 × 100 | 負債(他人資本)÷ 自己資本 × 100 | 固定資産 ÷ 自己資本 × 100 | 固定資産 ÷(自己資本 + 固定負債)× 100 | (営業利益 + 受取利息)÷ 支払利息 |
| 危険水準の目安 | 30%以上が一つの目安、40%以上で安全圏、20%未満は危険水域とされる(業種・規模で幅) | 低いほど安全。明確な定型の危険水準はなく、業種で幅がある | 100%以下が安全、150%超えは警戒水準とされる | 100%未満であれば長期の資金でまかなえている | 高いほど利払いに余力があり、1倍を下回ると本業の利益だけでは利息を払えない |
| 何が分かるか | 返済不要の自己資本がどれだけあるか(財務の安定性) | 自己資本に対して、返済義務のある負債がどれだけ大きいか | 設備などの固定資産を、返済不要の自己資本でまかなえているか | 固定資産を、自己資本と長期借入など安定した資金でまかなえているか | 借入金の利息を、本業の利益でどれだけ払えるか |
※危険水準は一般的な目安で、業種・企業規模によって適正水準に幅があります。
自己資本比率の目安は、実際の企業の水準と照らすと絶対視できないことが分かります。中小企業庁「中小企業白書(2021年版)」によると、中規模企業の自己資本比率は2019年度時点で42.8%と大企業(44.8%)とほぼ同水準まで上がっている一方、小規模企業は17.1%と依然として低い水準にあります。
この実態を踏まえると、「20%未満は危険」という目安は、小規模企業に一律には当てはめられません。指標の数字だけでなく、相手の規模や業種を踏まえて読むことが欠かせません。
出典・参考資料(5件)
信用調査会社のスコア・評点・格付の早見表(TSR・TDB・リスクモンスター)
決算書を入手できない相手や、取引先が多くて1社ずつ計算していられない場合に頼りになるのが、信用調査会社の外部スコアです。各社が多数の倒産実績データをもとにした統計モデルで倒産リスクを数値化しており、点数・パーセント・格付など表し方は異なります。まず3社を横断で並べ、その後に各社の詳細を見ていきます。
| 提供会社 | 東京商工リサーチ(TSR) | 帝国データバンク(TDB) | リスクモンスター |
|---|---|---|---|
| 指標名 | リスクスコア | 倒産予測値 | RM格付 |
| スコアの形 | 1〜100点(点が低いほど倒産リスクが高い) | 1年以内の倒産確率0〜100%+G1〜G10の10段階グレード | A〜Fの6段階(細分化で9段階) |
| 危険水準の目安 | 20点以下は倒産確率が高く要注意 | グレードG8〜G10が高リスク企業群 | 下位のE・F格が通常取引に注意が必要な水準 |
※各社の公式情報にもとづく要約です。点数・確率・格付は表し方が異なるため、詳細は下記の各社解説を参照してください。
これらの外部スコアは、各社と契約して利用する有料サービスです。料金は利用する範囲や契約形態によって変わるため、導入を検討するときは、各社への問い合わせで見積もりを確認するとよいでしょう。
東京商工リサーチ「リスクスコア」(1〜100点)
東京商工リサーチのリスクスコアは、企業の倒産リスクを1〜100点で表す指標です。点数が低いほど倒産リスクが高く、低いほど倒産確率が高いという読み方になります。
「リスクスコア」では、企業の倒産リスクを1~100点でスコアリング。点数が低いほど倒産リスクが高い企業であるということを示しています。実際に倒産した企業の約半数以上は20点以下に集中しており、注意が必要と言えます。
出典:リスクスコア|東京商工リサーチ
公式ページでは、スコア別に「向こう12カ月の倒産確率」の目安も示されています。倒産確率はあくまで今後12カ月の見通しである点に注意が必要です。
| リスクスコア | 向こう12カ月の倒産確率 |
|---|---|
| 1 | 19.84% |
| 2〜4 | 3.96% |
| 5〜10 | 1.82% |
| 11〜20 | 1.07% |
| 21〜49 | 0.55% |
| 50〜75 | 0.28% |
| 76〜89 | 0.15% |
| 90〜95 | 0.09% |
| 96〜98 | 0.05% |
| 99〜100 | 0.02% |
1点の企業は今後12カ月で約5社に1社が倒産する計算になる一方、99〜100点では0.02%まで下がります。20点以下に倒産企業の半数以上が集中するため、20点が実務上の警戒ラインになります。
出典・参考資料(1件)
帝国データバンク「倒産予測値」(0〜100%・G1〜G10)
帝国データバンクの倒産予測値は、企業が1年以内に倒産する確率をパーセントで数値化し、あわせて10段階のグレードで示す指標です。
企業が1年以内に倒産する確率を0~100%の間の値で個別企業ごとに数値化した倒産予測値。また、その倒産予測値をもとに、個社の倒産予測値が「全体の平均に比べて何倍のリスクであるか」を表したG1~G10の10段階で構成された格付け予測値グレードも提供します。
出典:倒産予測値(B-Predict)|帝国データバンク
倒産予測値には、対象範囲と精度の異なる3つのモデルがあります。網羅性を重視するC2モデルは約148万件、精度を重視するCCRモデルは約30万件、両者を組み合わせて最も高い精度を保持するMIXモデルは約15万件の予測値を算出できます。
グレードは「平均に比べて何倍のリスクか」を10段階で表すもので、G1が最も倒産リスクが低く、G10が最も高くなります。帝国データバンクの分析調査では、このうちG8〜G10を「高リスク企業」と定義しています。
個別企業ごとに予測したリスク指標をG1~G10の10段階のグレードに設定しており、G1が最も倒産リスクが低く、G10が最もリスクが高いグレードとなっていてグレードが高いほど実際に倒産が発生している(中略)※高リスク企業 ・倒産予測値のグレードが8~10であり、倒産リスクが高い企業群
出典:全国企業「倒産リスク」分析調査(2025年)|帝国データバンク
TSRやリスクモンスターのようなグレードごとの倒産確率の一覧は公開されていないため、TDBについては倒産確率そのものの数値化(0〜100%)と、高リスク群(G8〜G10)の位置づけで押さえておくとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
リスクモンスター「RM格付」(A〜Fの格付)
リスクモンスターのRM格付は、企業をA〜Fの6段階(細分化を含めると9段階)で格付し、各格付に年間の想定倒産確率を対応させた指標です。120万社を超える倒産実績データにもとづく統計ロジックで算出されます。
企業をA、B、C、D、E、Fの6段階(※細分化を含めると9段階)に格付しています。(中略)倒産した企業の約92.0%が下位格付であるE・F格に分類されており、2000年のサービス提供開始以来、高い判別力を維持しています。
出典:RM格付|リスクモンスター
| RM格付 | 定義 | 想定倒産確率(年間) |
|---|---|---|
| A | 支払能力が非常に高い | 0.05〜0.1% |
| B | 支払能力が高い | 0.5〜1.0% |
| C | 支払能力は中程度 | 1.0〜1.5% |
| D | 将来の支払能力に懸念がある(取引には多少調査が必要) | 2.0〜2.5% |
| E1・E2 | 支払能力に懸念がある(取引には調査が必要) | 3.0〜3.5% |
| F1・F2・F3 | 通常取引不適格先(取引には十分な調査が必要) | 5.0〜7.0% |
倒産企業の約92.0%がE・F格に集中するため、E格以下は取引条件の見直しを検討する目安になります。新設企業や情報が乏しく判定できない企業は「G(判断不能先)」に分類されます。
出典・参考資料(1件)
決算書だけでは見抜けない倒産の兆候(定性サイン)
財務指標や外部スコアは、決算という「過去の数字」を土台にしています。決算書が手に入らない取引先や、直近の急変を早くつかみたい場面では、日々の取引に表れる定性的なサインも合わせて見ておくと、倒産リスクの兆候を早めに察知できます。
- 支払い・入金の乱れ:支払い遅延や入金遅延が続く、支払サイト(支払いまでの期間)の延長を求められる、といった変化は資金繰り悪化の代表的なサインです。
- 手形決済の乱れ:手形の不渡り(支払期日に決済できない状態)が続くと、銀行との取引が停止され、事業継続が難しくなります。
- 組織・人の動き:経営陣や経理担当者の頻繁な交代、主要人材の相次ぐ退職など、内部の不安定さを示す動きも警戒サインになります。
- 取引条件の急な変更:値引きや前払いの要請、発注の急増・急減など、それまでと異なる取引行動も、背景に資金事情がある場合があります。
これらは与信実務で古くから警戒サインとして知られているものの一例で、1つあれば即倒産というわけではありません。ただし、財務指標や外部スコアの数字と、こうした日々のサインが同じ方向を指しているときは、与信の見直しを検討する合図になります。
財務指標と外部スコアはどう使い分ける?(自力計算の限界と補完)
2系統の指標は、どちらか一方だけで十分というものではありません。自分で計算する財務指標には、次のような限界があるためです。
- 決算書が手に入らない相手が多い:上場企業や取引のある相手なら決算書を確認できますが、新規のBtoB取引先や非上場企業では、そもそも決算書を入手できないことが少なくありません。
- 情報が最大でも年1回・過去のもの:決算書は基本的に年1回で、しかも過去の期間の数字です。決算後に業績が急変しても、次の決算までは指標に表れません。
- 目安を一律に当てはめられない:先に見たとおり、小規模企業の自己資本比率は実態として17.1%(2019年度)と低く、「20%未満は危険」という目安がそのままでは通用しません。指標の読み方には相手の規模・業種の知識が要ります。
信用調査会社の外部スコアは、こうした限界を補います。多数の企業を統計モデルで横並びに評価するため、決算書を入手できない相手にも倒産確率の目安を得られ、月次のモニタリングで急変も追いやすくなります。一方で利用には料金がかかります。
実務では、決算書が手に入る主要取引先は財務指標で深く確かめ、決算書を入手しにくい相手や取引先数が多い場合は外部スコアで幅広くカバーする、という使い分けが現実的です。どちらの指標で見ても危険水準に近い取引先が見つかったら、次は「その未回収リスクをどう抑えるか」を考える段階に移ります。
複数の指標や定性サインが同じように危険を示す取引先ほど、優先して与信の見直しに動くのが実務的です。
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危険水準の取引先が見つかったときの対策
指標で危険水準に近い取引先が見つかったら、放置せず取引条件を調整するのが基本です。基本の打ち手は、与信限度額(後払いを認める上限)の引き下げ、支払サイトの短縮、担保・保証の追加などです。そのうえで、未回収リスクそのものを外部に移す選択肢もあります。
- 売掛保証:自社で与信判断は続けつつ、取引先が倒産・支払不能になったときの損失を保証会社が肩代わりする仕組みです。
- 掛け払い(請求代行・決済代行一体型):与信審査から請求書発行・代金回収・入金消込・督促、未回収時の保証までを事業者に一括で任せる仕組みです。与信管理そのものの工数を減らせます。
こうした売掛保証は、実際にどのような動機で導入されているのでしょうか。企業間取引の債権保証を手がけるリコーリース株式会社の担当者は、寄せられる相談の背景を次のように説明しています。

相談の理由としては、大きく3つのパターンがあります。1つ目は、倒産件数が右肩上がりで増えている中での「倒産への懸念」という守りの側面です。2つ目は、保証を活用することで今まで取引できなかった先にも販路を拡大できるという「攻めの営業」です。そして3つ目は、社内で行っていた与信管理業務を外部に委託する「アウトソース」としての使い方です。
売掛保証は、保証範囲・保証料率・審査スピードや、ファクタリング(売掛債権の売却による資金化)との位置づけが、保証会社によって異なります。料金や保証範囲で各社を比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
純粋な売掛保証は上の比較記事に譲り、ここでは与信審査から請求・回収・売掛金保証までを一括で担う請求代行・掛け払い型のサービスを2つ紹介します。いずれも株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、用途の異なるサービス(請求業務の代行型と掛け払い決済型)です。まず主要な比較軸を並べます。
| サービス名 | 請求まるなげロボ | RP掛け払い |
|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ROBOT PAYMENT |
| サービス種別 | 請求業務の代行(与信〜回収) | 掛け払い(後払い)決済の代行 |
| 代行業務範囲 | 与信審査・請求書発行/送付・代金回収・入金消込・督促 | 与信審査・請求書発行/送付・代金回収・入金消込・督促 |
| 売掛金保証 | 与信通過した適格債権を100%保証 | 与信通過した適格債権を100%保証 |
| 手数料 | 1.0%〜(公式サイト表記。商材・金額により変動し要見積もり) | 公式ページにより0.5〜2.0%と表記揺れ(要問い合わせ) |
| 対応決済 | 口座振替・銀行振込 | 銀行振込・口座振替・クレジットカード |
| 入金サイクル | 5営業日締め・当月末入金 | 当月末支払い/早期払いオプションで最短5営業日 |
| 対象 | 法人(BtoB取引) | 法人のみ(個人事業主は利用不可) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボは、東証グロース上場の株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、企業間取引の請求業務を丸ごと代行するサービスです。与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、督促までを引き受け、自社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した売掛金については100%を保証します。
与信を通過した債権であれば、取引先が期日に支払わなくても回収結果にかかわらず入金される仕組みで、未回収リスクそのものをサービス側へ移せる点が特徴です。手数料は公式サイトで1.0%〜と案内されていますが、取扱商材や金額によって変動するため、具体的な料率は見積もりで確認するのが確実です。
2. RP掛け払い(株式会社ROBOT PAYMENT)

同じくROBOT PAYMENTが手がけるRP掛け払いは、BtoBの掛け払い(後払い)決済を代行するサービスです。都度の取引をまとめて請求し、与信審査・請求書発行・代金回収・入金消込・督促までを代行します。与信を通過した適格債権は、貸し倒れや入金遅延が起きても100%保証されます。
利用企業は毎月の請求情報をアップロードすれば、あとは入金を待つだけという設計です。法人間取引が対象で、個人事業主は利用できません。手数料は公式ページ内で複数の下限表記が併存しているため、適用条件を含めて問い合わせで確認するのが確実です。
取引ごとの対策だけでなく、与信判断や取引先のモニタリングそのものを継続的に仕組み化したい場合は、与信管理システムの導入も選択肢になります。以下の記事で、選び方や主な機能を詳しく解説しています。
まとめ
倒産リスクを測る指標の要点を整理します。
- 指標は2系統:決算書から計算する財務指標(①)と、信用調査会社の外部スコア・格付(②)がある。
- 財務指標:流動比率・当座比率で短期の、自己資本比率・固定比率などで長期の支払能力を測る。数値は目安であり、業種・規模で幅がある。
- 外部スコア:TSRのリスクスコア(1〜100点・20点以下が要注意)、TDBの倒産予測値(0〜100%・G1〜G10、G8〜G10が高リスク)、リスクモンスターのRM格付(A〜F・E格以下が要注意)。決算書が入手できない相手にも使える。
- 定性サイン:支払い遅延・手形の乱れ・急な人事異動なども、数字を補う倒産の兆候になる。
- 危険水準が見つかったら:与信限度額の見直しに加え、売掛保証や掛け払い(請求代行)で未回収リスクを外部に移す選択肢がある。
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よくある質問(FAQ)
Q. 倒産リスク指標とは何ですか?
A. 倒産リスク指標とは、取引先や自社が倒産する可能性を測るための、決算書から計算する財務指標と、信用調査会社が提供する外部スコア・格付の総称です。
前者は流動比率・自己資本比率など決算書から自分で計算する指標、後者は東京商工リサーチのリスクスコア、帝国データバンクの倒産予測値、リスクモンスターのRM格付などが代表例です。決算書を読むアプローチと、外部の統計モデルに判定を任せるアプローチの2系統がある、と押さえると全体像を掴みやすくなります。
Q. 倒産リスク指標は何を見ればいいですか?
A. 倒産リスク指標は、決算書が手に入る相手なら財務指標を、決算書を入手しにくい相手や取引先数が多い場合は信用調査会社の外部スコアを見るのが基本です。
財務指標では、短期の支払能力を流動比率・当座比率で、長期の財務体質を自己資本比率・固定比率などで確認します。外部スコアは1社ずつ計算する手間なく倒産確率の目安を得られるため、決算書が手に入る主要取引先は財務指標で深く確かめ、それ以外は外部スコアで幅広くカバーする使い分けが現実的です。
Q. 倒産リスク指標は上場企業と非上場企業で見る指標が違いますか?
A. 倒産リスク指標は、上場・非上場で見る指標の種類が根本的に変わるわけではありませんが、決算書を入手できるかどうかで実務上の使い分けが変わります。
上場企業は決算が公開されているため財務指標を自分で計算しやすい一方、非上場の取引先は決算書を入手できないことが少なくなく、その場合は決算書がなくても評価できる信用調査会社の外部スコアの比重が上がります。また、自己資本比率のような目安は企業規模で実態が大きく異なる(小規模企業は水準が低く出やすい)ため、相手の規模・業種を踏まえて読むことが欠かせません。
Q. 信用調査会社のスコアは自分で無料で見られますか?
A. 信用調査会社のリスクスコア・格付は、基本的に有料の調査サービスで提供されるもので、無料で自由に閲覧できる指標ではありません。東京商工リサーチのリスクスコア、帝国データバンクの倒産予測値、リスクモンスターのRM格付は、いずれも各社と契約して利用します。
一方、財務指標は相手の決算書さえ入手できれば、追加コストをかけずに自分で計算できます。まずは入手できる決算書で財務指標を確かめ、決算書が手に入らない相手や継続的なモニタリングが必要な場合に外部スコアの利用を検討するとよいでしょう。
Q. 財務指標だけで取引先の倒産リスクは判断できますか?
A. 財務指標だけでは、倒産リスクを判断しきれない場面があります。決算書は基本的に年1回・過去の期間の数字で、決算後に業績が急変しても次の決算まで指標に表れません。
また、そもそも決算書を入手できない取引先も多く、危険水準の目安を業種・規模を無視して一律に当てはめることもできません。こうした限界は、決算書がなくても評価できる外部スコアや、支払い遅延・手形の乱れ・急な人事異動といった日々の定性サインで補うのが実務的です。
Q. 危険水準の取引先が見つかったらどうすればいいですか?
A. 危険水準の取引先が見つかったら、まず与信限度額の引き下げや支払サイトの短縮、担保・保証の追加で取引条件を調整し、そのうえで売掛保証や掛け払い(請求代行)で未回収リスクそのものを外部に移す方法があります。
売掛保証は自社で与信判断を続けながら、取引先の倒産・支払不能による損失を保証会社が肩代わりする仕組みです。掛け払い(請求代行・決済代行一体型)は、与信審査から請求・回収・入金消込・督促、未回収時の保証までを事業者に一括で任せられ、与信管理そのものの工数も減らせます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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