サービス比較の記事一覧

余剰資金を有効活用したい(預金・投資・運用)
法人保険でリスクに備えたい
カーボンクレジットを活用したい

サービス比較の記事一覧

余剰資金を有効活用したい(預金・投資・運用)
法人保険でリスクに備えたい
カーボンクレジットを活用したい

不正利用・金融トラブルを未然に防ぎたい

督促・売掛金回収代行
の関連情報


関連サービス資料を
無料で一括ダウンロード

債権請求とは?未回収の売掛金を回収する手順・法的手段・費用を実務目線で解説

債権請求とは?回収の手順・法的手段・費用のサムネイル画像
督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

主要21サービスの料金・機能を無料で一覧比較

督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先に請求書を送ったのに、支払期日を過ぎても代金が振り込まれない。電話をしても「もう少し待ってほしい」と言われるばかりで、1か月以上おかしい――。「債権請求」と検索したのは、この相手からどうやってお金を取り戻せばよいのかを知りたいからではないでしょうか。

この記事は、自社の売掛金など未回収の代金を「請求して回収する側(債権者)」の立場で、督促から法的手続きまでの進め方を、費用や期間、根拠となる条文とあわせて実務目線で整理します。どの手段を選ぶかの判断基準や、見落とすと権利を失う消滅時効、やってはいけない取り立ての線引きまで確認できます。

「債権請求」という言葉は、検索する人によって指す内容が3つに分かれます。最初にその交通整理をしてから、本題の回収の進め方に入ります。専門用語はその都度かみ砕いて説明するので、法律にくわしくなくても読み進められます。

「債権請求」の3つの意味を整理する

まず、自分がどれに当てはまるかを確認しておくと、必要な情報に迷わずたどり着けます。

「債権請求」が指す3つの意味を振り分ける図解。(A) 未回収の代金を回収したい(支払われない売掛金や貸付金を請求して取り戻したい)はこの記事で解説、(B) でんさいの債権者請求方式(電子記録債権を受け取る側から発生記録を請求する方式)はでんさいネットで確認、(C) 心当たりのない架空請求(身に覚えのない債権の請求で詐欺の可能性)は警察・法務局に相談。
  • (A) 未回収の代金を回収したい:支払われない売掛金や貸付金を、請求して取り戻したい。この記事が主に解説するのはこのケースです
  • (B) でんさいの「債権者請求方式」を調べている:電子記録債権(でんさい)の発生記録を、受け取る側から請求する方式のこと
  • (C) 心当たりのない架空請求が届いた:身に覚えのない「債権」を請求された。詐欺の可能性があるケースです

(A) に当てはまる場合は、次章以降を読み進めてください。(B)(C) の場合は、それぞれ次の公的な一次情報を確認するのが確実です。

(B) でんさいの「債権者請求方式」を探している場合

でんさい(電子記録債権)の「債権者請求方式」は、代金を受け取る側(債権者)が発生記録を請求する方式で、未回収債権の取り立てとは別の話です。でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)の公式な定義では、次のように説明されています。

債権者請求方式とは、電子記録権利者(発生記録においては債権者)である利用者が発生記録等を記録請求する方式です。この方式では、5営業日以内に、電子記録義務者(発生記録においては債務者)が、「でんさい」の発生記録について承諾しなければ、その請求が効力を失います。

出典:債権者請求方式|でんさいネット

でんさいの記録請求の手順を知りたい場合は、上記のでんさいネット公式や利用している金融機関の案内を確認してください。この記事では、以降は (A) 未回収債権の回収を扱います。

(C) 心当たりのない架空・詐欺の請求が届いた場合

身に覚えのない「債権」を請求された場合は、架空請求(詐欺)の可能性があります。東京法務局は、架空の債権請求について次のように注意を呼びかけています。

1.心当たりのないものは支払う必要はありません。請求には応じないようにしましょう。
2.悪質な業者には一切連絡しないようにしましょう。
3.架空の債権の請求は、犯罪にあたる可能性がありますので、悪質な場合には、最寄りの警察署に相談しましょう。

出典:架空の債権請求についてのお知らせ|東京法務局

あわせて同法務局は、法務省や法務局が債権回収を業者に依頼したり、債権回収会社を認定・認可したりすることはない、とも案内しています。公的機関を名乗る請求は、この点からも見分けられます。心当たりのない請求はこの章で完結です。次章からは、実際に支払われるべき代金を回収する方法を解説します。

出典・参考資料(2件)

売掛金・未回収債権を回収する全体の流れ(5段階)

ここからは、未回収の代金を回収する進め方を解説します。負担の軽い手段から順に試し、相手が応じなければ段階的に強い手続きへ進むのが基本です。まず全体の道筋を確認してから、各段階を見ていきます。

売掛金・未回収債権を回収する流れの5段階を示した図解。STEP1 電話・書面で督促、STEP2 内容証明郵便を送る、STEP3 支払督促・民事調停、STEP4 少額訴訟・通常訴訟、STEP5 強制執行(差押え)の順に、負担の軽い手段から段階的に強い手続きへ進む。強制執行には債務名義が必要。
  1. 電話・書面で督促する:入金遅れを知らせ、支払いを促す(社内でできる初動)
  2. 内容証明郵便を送る:請求した事実を記録に残し、時効の進行を一時的に止める
  3. 支払督促・民事調停を申し立てる:裁判所を通じて支払いを求める、または話し合う
  4. 少額訴訟・通常訴訟を起こす:判決という形で支払義務を確定させる
  5. 強制執行(差押え)で回収する:相手の財産を差し押さえて回収する

いきなり差押えに進めるわけではなく、後述するとおり強制執行には判決などの「債務名義」が必要です。まずは動き出す前に、契約書・発注書・請求書で請求先・金額・支払期日を確認し、これまでの入金履歴と、次章で解説する消滅時効の状況を整理しておくと、その後の手続きがスムーズになります。

ステップ1|電話・書面で督促する

最初の一手は、電話やメール、書面での催促です。単なる入金忘れや事務処理の遅れであれば、この段階で解決することも少なくありません。「いつまでに・いくらを・どの口座へ」と、支払いの期限と方法を具体的に伝えるのがポイントです。

この段階でも、いつ・誰に・どんな催促をしたかを記録に残しておくと、後の手続きで役立ちます。感情的なやり取りは避け、事実にもとづいて冷静に進めます。携帯番号あてのSMS(ショートメッセージ)は開封されやすく、電話やメールに反応しない相手への連絡手段としても使われます。

ステップ2|内容証明郵便を送る

口頭やメールの催促に応じない場合は、内容証明郵便で督促状を送ります。内容証明郵便は、郵便局(日本郵便)が文書の内容と差し出した事実を証明してくれる制度です。

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

出典:内容証明|日本郵便

注意したいのは、内容証明郵便それ自体に、支払いを強制する力はない点です。あくまで「請求した事実・日付・文面」を公的に残す手段で、相手に本気度を伝える心理的な効果と、次に述べる時効対策としての意味が中心になります。差し出しには一般書留が必要で、基本の郵便料金に一般書留の料金と内容証明の加算料金(480円、2枚目以降は1枚ごとに290円増)が加わり、1枚なら合計で千数百円程度になります。

時効の面では、内容証明による請求(民法上の「催告」)を行うと、その時から6か月間は時効の完成が先延ばしになります。ただしこれは時効を止める「時間稼ぎ」であって、リセットするものではありません(くわしくは後述の消滅時効の章で解説します)。

出典・参考資料(2件)

ステップ3|支払督促・民事調停を申し立てる

任意の催促で解決しないときは、裁判所を利用する手続きに進みます。相手と話し合う余地があるかどうかで、支払督促と民事調停を使い分けます。

支払督促は、簡易裁判所の裁判所書記官が、債権者の申立てにもとづいて相手に支払いを命じる手続きです。書類審査だけで進むため、裁判のように出廷する必要がありません。対象は金銭の支払いなどを求める請求で、売掛金の請求も含まれます。

金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。

出典:民事訴訟法 第382条|e-Gov法令検索

申立先は、相手(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官です。相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てないと、仮執行宣言が付き、強制執行を申し立てられる状態になります。一方、相手が異議を申し立てると、通常の民事訴訟へ移行します。

民事調停は、簡易裁判所で調停委員を交えて話し合い、当事者の歩み寄りで解決を図る手続きです。相手にも支払う意思はあるが、金額や時期で折り合わない、といった場合に向きます。おおまかには、相手が話し合いに応じそうなら民事調停、応じる気配がなく書類審査で早く進めたいなら支払督促、と整理すると選びやすくなります。

出典・参考資料(2件)

ステップ4|少額訴訟・通常訴訟を起こす

相手が支払いに応じず争う場合や、支払督促に異議が出た場合は、訴訟で支払義務を判決という形に確定させます。請求額に応じて、少額訴訟と通常訴訟を使い分けます。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える簡易な手続きです。

簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

出典:民事訴訟法 第368条|e-Gov法令検索

少額訴訟は原則として1回の審理で判決まで進むため、最初の期日までに主張と証拠をそろえておく必要があります。裁判所の案内によると、利用回数は1人につき同じ簡易裁判所で年間10回までに制限されています。60万円を超える請求や、相手が本格的に争ってくる場合は、通常訴訟で対応します。

出典・参考資料(2件)

ステップ5|強制執行(差押え)で回収する

判決や支払督促を得ても相手が支払わないときは、最終手段として強制執行を申し立て、相手の預金・売掛金・給与などの財産を差し押さえて回収します。裁判所は、この手続きを次のように説明しています。

判決や和解調書どおりにお金が支払われない場合などに、債務者の給与や銀行預金等を差し押さえ、債権者が債務者の勤務先や銀行等から支払を受けること等により、債権を回収する手続です。

出典:債権執行(債務名義に基づく差押え)|裁判所

ここで重要なのは、強制執行には「債務名義」が必要だという点です。債務名義とは、支払義務があることを公的に証明する文書で、確定判決・仮執行宣言付きの支払督促や少額訴訟判決・和解調書・強制執行に応じる旨を記した公正証書などが該当します。いきなり相手の財産を差し押さえることはできず、先にステップ3・4で債務名義を得ておく意味はここにあります。

取引先(法人)から回収する場合、差押えの対象として現実的なのは相手の銀行預金や、相手が持つ売掛金です。ただし差押えには相手の取引銀行や売掛先を特定する必要があり、債務名義を得ても差し押さえる財産が見つからなければ回収につながりません(空振りに終わります)。動き出す前に、相手の口座や主要な取引先の手がかりがあるかを確認しておくことが、回収できるかどうかを大きく左右します。

相手が個人事業主などで給与を差し押さえる場合は、生活保障のため、原則として手取りの4分の3は差し押さえられません(差し押さえられるのは原則4分の1まで。高額な給与では政令で定める額が上限になります)。

次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。

出典:民事執行法 第152条|e-Gov法令検索
出典・参考資料(2件)

どの法的手段を選ぶ?費用・期間・根拠の比較と選び方

ここからは、支払督促から強制執行までの法的手段を、費用・期間・向くケース・根拠条文で横並びにして比べます。自社の状況に近いものから当たりをつけてください。ただし期間は、事案の内容や裁判所の混み具合で変わるため、あくまで目安です。

← 横にスクロールできます →
手段支払督促民事調停少額訴訟通常訴訟強制執行(債権執行)
申立手数料の目安訴え提起の基本手数料の半額(請求60万円で3,000円)請求額に応じた申立手数料(支払督促と同程度の低めの水準)通常訴訟と同じ基本手数料(請求60万円で6,000円)請求額に応じた基本手数料(請求60万円で6,000円)手数料は原則4,000円+郵便料(別途)
進み方・期間の目安書類審査のみ・出廷不要。申立てから発付まで数週間〜1か月程度。相手の異議は受取後2週間以内で、異議があれば通常訴訟へ移行調停委員を交えた話し合い。期日は月1回程度で、成立まで数か月見込み。合意できなければ不成立60万円以下限定・原則1回の審理で即日判決。申立てから期日まで1〜2か月程度。年10回まで複数回の期日で審理し、判決まで数か月〜1年程度。相手が本格的に争う場合に対応債務名義を得たうえで預金・売掛金等を差押え。申立てから差押命令まで数週間程度。回収できるかは相手の財産次第
向いているケース相手が争わない見込みで、早く債務名義を得たい相手に支払う意思はあり、条件で折り合いたい60万円以下で、証拠がそろい早期解決したい60万円超、または相手が争い証拠関係が複雑判決等があるのに支払われず、相手の財産が分かる
債務名義になるかなる(仮執行宣言付き)なる(調停調書)なる(判決)なる(確定判決)(債務名義が前提の手続き)
主な根拠民事訴訟法382条民事調停法民事訴訟法368条民事訴訟法民事執行法

※申立手数料は請求額に応じて変わり、期間は事案・裁判所の混雑により変動する目安です。2026年5月の簡易裁判所のオンライン申立て化により、支払督促・少額訴訟の郵便費用は申立手数料に一本化されました(債権執行は郵便料が別途)。最新の手数料は裁判所の早見表でご確認ください。

費用と進み方をまとめると、書類審査だけで早く債務名義を得たいなら支払督促、話し合いの余地があるなら民事調停、60万円以下で証拠がそろっているなら少額訴訟、金額が大きい・相手が本格的に争うなら通常訴訟、判決等があるのに支払われないなら強制執行、という並びになります。

出典・参考資料(3件)

請求額・証拠・相手の資力で手段を選び分ける

どの手段が適しているかは、次の3つの条件で見当がつきます。自社のケースに当てはめてみてください。

  • 請求額はいくらか:60万円以下なら少額訴訟が使えます。60万円を超えるなら通常訴訟、争いが少なそうなら金額を問わず支払督促も選択肢です
  • 証拠がそろっているか:契約書・請求書・納品書・やり取りの記録がそろっていれば、少額訴訟や支払督促で早期に決着しやすくなります。証拠が弱い・相手が事実を争うなら、審理を尽くせる通常訴訟が向きます
  • 相手に支払う資力・財産があるか:判決や支払督促を得ても、差し押さえる財産が分からなければ回収につながりません。相手の預金口座・取引銀行・主要な売掛先などの手がかりがあるかを、早い段階で確認しておきます

相手の所在が不明で公示送達が必要な場合は支払督促を使えないなど、手続きごとに前提条件があります。判断に迷う場合や金額が大きい場合は、後述する専門家への相談が近道です。

消滅時効は原則5年——時効を止める方法と違法な取り立て

債権回収で最も注意したいのが、消滅時効です。一定期間、権利を行使しないまま放置すると、支払いを求める権利そのものが消えてしまうことがあります。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条|e-Gov法令検索

売掛金のような通常の取引債権は、取引の時点で「いつ支払われるべきか」を把握しているのが普通です。そのため実務上は、いずれか早い方である「5年」で時効が完成しやすいと考えておくと安全です。

この5年/10年のルールは、2020年4月に施行された改正民法によるものです。それより前に発生した古い債権には改正前のルールが適用される場合があるため、時効が問題になりそうな古い債権は個別に専門家へ相談することをおすすめします。

時効の完成を防ぐ方法には、大きく2種類あります。効果が違うので、混同しないように整理しておきます。

消滅時効の完成を防ぐ2つの方法を対比した図解。完成猶予(時間稼ぎ)は内容証明などで請求(催告)するとその時から6か月間は時効が完成しないが催告を繰り返しても猶予は延びない(民法150条)。更新(リセット)は支払督促・訴訟・調停など裁判上の請求で権利が確定すると時効がそこから新たに進行し直し、相手が支払義務を認めた場合も更新される(民法147条)。
  • 完成猶予(時間稼ぎ):内容証明などで請求(催告)すると、その時から6か月間は時効が完成しません(民法150条)。ただし催告を繰り返しても猶予は延びません
  • 更新(リセット):支払督促・訴訟・調停などの裁判上の請求を行い、確定判決等で権利が確定すると、時効はそこから新たに進行し直します(民法147条)。相手が支払義務を認めた場合も更新されます

内容証明による催告はあくまで6か月の時間稼ぎです。その間に支払督促や訴訟へ進み、時効を確実に止める(更新する)ことが重要です。

出典・参考資料(2件)

やってはいけない取り立て(自分が加害者にならないために)

支払われないと焦る気持ちは分かりますが、行き過ぎた取り立ては違法になり、かえって自社が不利になります。正当な債権であっても、超えてはいけない一線があります。相手を脅すような言動は、刑法上の脅迫罪や恐喝罪などに問われるおそれがあります。

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。

出典:刑法 第222条(脅迫)|e-Gov法令検索

このほか、脅して支払わせれば恐喝罪(刑法249条)に問われます。要求を受けても自宅や事務所から退去しない居座りは住居侵入等(刑法130条)、大声や実力行使で相手の業務を妨げれば業務妨害罪(刑法233条・234条)に当たり得ます。深夜や早朝の執拗な連絡、取引先の関係者や第三者に債務を言いふらす行為も、不法行為として損害賠償の対象になり得ます。

消費者金融など貸金業者の取り立てには、深夜早朝の連絡や第三者への公表を禁じる貸金業法の細かなルールがあります。この規制は貸金業者が対象で、自社の売掛金を自分で回収する場面にそのまま適用されるわけではありません。ただし「どこまでが許されない取り立てか」を判断する目安にはなります。迷ったら、次章で述べる専門家への相談が安全です。

出典・参考資料(1件)

自分でやる/弁護士/債権回収会社/ファクタリングの使い分け

ここまでの手続きは、内容証明の送付や支払督促の申立てなど、自社で進められるものも少なくありません。一方で、金額が大きく確実に回収したい、相手が争って訴訟になりそう、相手の財産が分からない、時効が迫っている、といった場合は、専門家に任せたほうが結果的に回収率が上がり、手間も減ります。依頼先の選択肢を整理します。

弁護士・認定司法書士に依頼する

弁護士は、金額や裁判所の種類にかかわらず、交渉から訴訟・強制執行まで代理できます。認定司法書士(法務大臣の認定を受けた司法書士)は、訴額140万円以下の簡易裁判所の手続きについて代理できます。140万円を超える請求や地方裁判所以上の手続きは、弁護士に依頼することになります。

費用は、相談料に加えて、依頼時に支払う着手金と、回収できた金額に応じた報酬金が発生するのが一般的です。金額は事務所ごとに異なりますが、目安として、2004年に自由化される前の旧報酬基準では、着手金は回収を目指す金額の8%前後、報酬金は回収できた額の16%前後とされ、今もこの水準を参考にする事務所が少なくありません。

少額の債権では費用が回収額を上回る「費用倒れ」になることもあるため、依頼前に見積もりを取り、回収見込み額とのバランスを確認しましょう。

依頼先ごとの手数料の相場や、費用が回収額を上回る「費用倒れ」を避ける目安を先に押さえておきたい場合は、弁護士・サービサー・回収代行・ファクタリングの費用を実額で比べた以下の記事が参考になります。

債権回収会社(サービサー)に頼めるか

先に結論を言うと、一般の会社どうしの通常の売掛金は、原則としてサービサー(債権回収会社)には依頼できません。理由をあわせて整理します。債権回収を専門に行う会社を「サービサー」と呼び、サービサーは法務大臣の許可を受けた株式会社だけが営めます。

債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない。

出典:債権管理回収業に関する特別措置法 第3条|e-Gov法令検索

そもそも、報酬を得る目的で他人の債権回収を代理・代行できるのは、弁護士を除けば法律に別段の定めがある場合に限られます(弁護士法72条・73条)。その受け皿がサービサー法です。

ただしサービサーが扱えるのは、金融機関の貸付債権など法律が定めた「特定金銭債権」に限られ、一般の会社どうしの通常の売掛金は原則として取り扱い対象に含まれません。許可を受けていない業者による取り立ては違法なので、依頼先が許可業者かどうかは必ず確認します。通常の売掛金は、弁護士・認定司法書士への依頼が基本の選択肢になります。

ファクタリングで早期に資金化する

ファクタリングは、保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して、支払期日を待たずに資金化する方法です。ただし、すでに支払期日を過ぎて延滞している債権は買取の対象外とされることが多く、いま滞っている1件の回収手段としては使いにくい点に先に触れておきます。

向くのは、まだ期日前の売掛金を早期に現金化したい場面です。厳密には「回収」ではなく資金調達の手段で、手数料が差し引かれるため手取りは額面より少なくなります。

ファクタリングで早期に資金化することを検討する場合は、手数料や入金スピード、買取可能額で会社を比較した以下の記事が会社選びの参考になります。

出典・参考資料(2件)

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
一括ダウンロードする

督促の自動化・回収代行に使えるサービス

いま特定の1件を回収したい場合は、前章の弁護士・認定司法書士への相談やファクタリングが近道です。一方で、未入金の督促が毎月のように繰り返し発生する場合は、督促の連絡や回収の運用そのものを仕組み化・外部委託して、担当者の手間を減らす選択肢があります。ここではその代表的なサービスを課題別に整理します。

以下で紹介するのは督促の自動化ツールや集金代行の外部委託(BPO)で、延滞債権の取立てそのものを代行する「サービサー(債権回収会社)」とは別物です。自社の督促・請求業務を効率化するための仕組みで、サービサーとは目的が異なります。

  • 督促の自動化:メール・SMS・自動音声(オートコール)などで、未入金者への催促を自動で実行する
  • 回収業務の外部委託:請求書発行から督促・入金管理・回収までを、外部のBPOにまとめて任せる

それぞれ得意分野が異なるため、自社の課題に近いものから資料を見比べてみてください。

← 横にスクロールできます →
サービスDHKクラウドオートコールSMSマルチPay債権回収ロボLectoFOC 集金代行
提供会社株式会社電話放送局株式会社ネクスウェイ株式会社ROBOT PAYMENTLecto株式会社芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社
タイプ・役割督促の自動化(オートコール)請求・回収(SMS+オンライン決済)督促の自動化(多チャネル)督促の自動化(多チャネル)回収業務の外部委託(人手BPO)
主な督促チャネル自動音声・SMSSMS(+督促架電・督促状のBPO)メール・SMS・自動音声メール・SMS・自動音声・書面督促状の郵送など(人手で代行)
初期費用50,000円〜20,000円〜要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
月額費用50,000円〜(月1,000件の応答まで含む)0円(送信単価20円〜)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
特徴未入金者へ自動音声で一斉架電。応答した分だけ課金されるSMSから本人認証・オンライン決済まで完結。決済手段は25種類債務者の属性・債権額に応じた督促シナリオを自動実行債務者・債権・入金・交渉の履歴を一元管理し督促を自動化請求書発行から督促状発送・入金管理・回収まで人手でまとめて代行
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る

※2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の料金・仕様は各社の資料でご確認ください。

回収代行や督促自動化のサービスを、依頼先のタイプごとの選び方や費用相場まで含めて広く比較したい場合は、以下の記事で20を超えるサービスを整理しています。

1. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールのウェブサイト

未入金者へ自動音声で一斉に架電するオートコール(自動音声応答・IVR)サービスです。あらかじめ用意した音声メッセージで督促の電話を大量にかけられ、在宅率の高い時間帯にまとめて連絡できます。応答した分だけ課金される仕組みのため、郵送のように全件コストがかかりません。人手をかけずに督促電話の量をこなしたい場合に向きます。SMSと組み合わせた連絡にも対応します。

督促を自動化する際は、架電の効率だけでなく、案内の仕方が苦情やトラブルにつながりやすい点への目配りも欠かせません。提供元の株式会社電話放送局は、督促にオートコールを使うときの考え方を次のように話しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。一方で、入金コールは人が案内する場合と比べて、トラブルや苦情を軽減できる側面もあります。だからこそ、まずは”自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。

オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

2. SMSマルチPay(株式会社ネクスウェイ)

SMSマルチPayのウェブサイト

SMSで支払い通知を送り、相手がその場でオンライン決済まで完了できる、請求・未収金回収に特化したサービスです。届いたSMSから本人確認を経て複数の決済手段で支払える導線を作れるため、電話や郵送よりも回収までの距離を縮められます。反応がない相手には督促架電や督促状発送のBPOも組み合わせられ、未収金の回収を一気通貫で設計できます。

3. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのウェブサイト

メール・SMS・オートコール(IVR)といった複数のチャネルを使い分け、督促を自動で実行できるサービスです。債務者の属性や債権額に応じて督促のシナリオを設定でき、いつ・誰に・どの手段で連絡したかという状況を一元管理できます。督促の抜け漏れをなくし、担当者の作業を標準化したい企業に適しています。導入相談はオンラインの打ち合わせで受け付けています。

4. Lecto(Lecto株式会社)

Lectoのウェブサイト

メール・SMS・IVR・書面など複数の手段で督促を自動送信し、債務者・債権・入金・交渉の履歴をまとめて管理できる督促回収のプラットフォームです。督促から回収までの一連のワークフローを標準化でき、対応状況を可視化しながら運用できます。督促業務が属人化していて、社内の回収オペレーションを立て直したい場面で選ばれます。

5. FOC 集金代行・収納代行サービス(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社)

FOC 集金代行・収納代行サービスのウェブサイト

請求書の発行から督促状の発送、入金管理、回収までを人手のBPOでまとめて運用代行するサービスです。督促・回収の専任リソースを社内に持たない企業でも、機能を自前でそろえずに外部へ委託できます。ツールの導入・運用に手が回らない、回収業務そのものを任せたい、という場合の選択肢になります。

まとめ

未回収の売掛金の回収は、電話・書面での督促から始め、応じなければ内容証明郵便、支払督促や民事調停、少額訴訟・通常訴訟、そして強制執行へと段階的に進めるのが基本です。手段ごとに費用・期間・向くケースが異なり、強制執行には判決などの債務名義が要ります。動き出す前に消滅時効(原則5年)を確認し、行き過ぎた取り立てで自社が不利にならないよう気をつけることも欠かせません。

金額が大きい・相手が争うといった場合は弁護士や認定司法書士への相談が近道です。あわせて、繰り返す未入金には督促の自動化や回収代行といったサービスを使い、回収の手間そのものを減らす方法もあります。自社の状況に合った一手から動き出してください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. 債権請求とは何ですか?

A. 債権請求とは、取引先などの相手に対して、支払われるべき代金や貸付金の支払いを求めることです。実務では、支払期日を過ぎても入金されない売掛金を回収する場面で使われることが多く、電話・書面での督促から、内容証明郵便、支払督促や訴訟、強制執行へと段階的に進めるのが基本の流れです。

「債権請求」はでんさいの「債権者請求方式」や心当たりのない架空請求を指す場合もありますが、本記事が扱うのは未回収代金の回収です。

Q. 売掛金の消滅時効は何年ですか?

A. 売掛金など通常の取引債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から原則5年です(民法166条1項。権利を行使できる時から10年のいずれか早い方で完成します)。売掛金は支払期日を把握しているのが普通のため、実務上は5年で時効が完成しやすいと考えておくと安全です。

この5年/10年のルールは2020年4月施行の改正民法によるもので、それ以前に発生した古い債権は改正前のルールが適用される場合があります。時効の完成が迫ったら、内容証明による催告で6か月の完成猶予を得て(民法150条)、その間に支払督促や訴訟へ進んで時効を更新する(民法147条)ことが重要です。

出典・参考資料(1件)

Q. 支払督促と少額訴訟は、どちらを選べばよいですか?

A. 相手が争わない見込みで早く債務名義を得たいなら支払督促、請求額が60万円以下で証拠がそろい早期に決着したいなら少額訴訟が向きます。支払督促は簡易裁判所の書記官が書類審査だけで支払いを命じる手続きで、出廷が不要です(民事訴訟法382条)。

少額訴訟は60万円以下の金銭請求に使える簡易な手続きで、原則1回の審理で判決まで進みます(民事訴訟法368条。同じ簡易裁判所では年10回まで)。60万円を超える請求や、相手が本格的に争ってくる場合は通常訴訟で対応します。

出典・参考資料(1件)

Q. 内容証明郵便を送れば、必ず支払ってもらえますか?

A. いいえ。内容証明郵便それ自体に、支払いを強制する力はありません。内容証明は「いつ・どんな内容の文書を・誰から誰あてに送ったか」を郵便局(日本郵便)が証明する制度で、請求した事実を公的に残し、相手に本気度を伝える心理的な効果が中心です。

加えて、内容証明による請求(民法上の「催告」)を行うと、その時から6か月間は時効の完成が先延ばしになります(民法150条)。ただしこれは時間稼ぎであり、強制的に回収するには、支払督促や訴訟で判決などの債務名義を得たうえで強制執行に進む必要があります。

出典・参考資料(2件)

Q. 給与を差し押さえるとき、全額を差し押さえられますか?

A. 給与の差押えは、生活保障のため原則として手取りの4分の3は差し押さえられず、差し押さえられるのは原則4分の1までです(民事執行法152条)。手取りが高額な場合は、政令で定める額が上限になります。強制執行で差し押さえられる財産は給与のほかに預金や売掛金などもありますが、いずれも判決や仮執行宣言付きの支払督促といった債務名義を得たうえで、裁判所に申し立てて行う必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 債権回収を弁護士に依頼する費用の目安は?

A. 弁護士への依頼費用は、相談料に加えて、依頼時に支払う着手金と、回収額に応じた成功報酬が発生するのが一般的です。少額の債権では費用が回収額を上回ることもあるため、依頼前に見積もりを取り、回収見込み額とのバランスを確認しましょう。

また、訴額140万円以下の簡易裁判所の手続きであれば、認定司法書士(法務大臣の認定を受けた司法書士)にも代理を依頼でき、費用を抑えやすい選択肢になります。140万円を超える請求や地方裁判所以上の手続きは、弁護士への依頼となります。

Q. 債権回収は自分(自社)で進めることもできますか?

A. 内容証明の送付や支払督促の申立てなど、自社だけで進められる手続きは少なくありません。まずは電話・書面での督促から始め、応じなければ内容証明、支払督促と、負担の軽い手段から段階的に進めるのが基本です。

一方で、金額が大きく確実に回収したい、相手が争って訴訟になりそう、相手の財産が分からない、時効が迫っている、といった場合は専門家に任せたほうが回収率が上がり、手間も減ります。また、報酬を得て他人の債権回収を代行できるのは弁護士などに限られ(弁護士法72条・73条)、一般の売掛金は債権回収会社(サービサー)の取扱い対象外です。委託する場合は弁護士・認定司法書士が基本の相談先になります。

出典・参考資料(1件)

売掛金の督促・回収を助けるサービスの料金・資料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、督促の自動化から回収代行まで、未回収の売掛金対策に使えるサービスの最新資料を無料で一括請求できます。機能・対応チャネル・費用を比べて、自社に合う一社を見つけられます。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

関連記事

新着記事

督促・売掛金回収代行
おすすめの診断サービス