仮想通貨(暗号資産)の取引を複数の取引所やDeFi・NFTで重ねるほど、1年分の損益計算は複雑になり、確定申告を自分でやりきるのが難しくなります。そこで選択肢になるのが、損益計算や確定申告そのものを外部に任せる「代行」です。
ただし、ひと口に代行といっても、損益計算だけを請け負うサービス、計算から申告まで一括で任せられる代行専門会社、暗号資産に強い税理士など、依頼先の種類も任せられる範囲も料金もさまざまです。本記事では、どこに・いくらで・どこまで任せられるのかを横断的に比較し、自分に合う代行先を選べるように整理します。
費用相場や選び方の軸、依頼から申告までの流れまでを一つにまとめました。代行を検討し始めた段階から、依頼先を決める段階まで、判断の材料にしてください。
また、任せたい範囲や取引の複雑さ(海外取引所・DeFi/NFTの有無)、個人か法人かから、自分に合う代行先のタイプを絞り込める「かんたん代行先診断」も用意しています。あわせて活用してください。
目次
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仮想通貨の確定申告は「どこに・何を」任せられるのか(依頼先の3つの種類)
仮想通貨の確定申告は、依頼先の種類によって任せられる範囲が変わります。まずは、どこに何を任せられるのかを整理します。
仮想通貨の確定申告にまつわる作業は、大きく「取引履歴を集めて1年分の損益を計算する」工程と、「その結果をもとに確定申告書を作成・提出する」工程に分かれます。どちらの工程を誰に任せるかによって、依頼先は主に次の3種類に整理できます。
損益計算だけを代行するツール提供元のサービス(計算代行)
暗号資産の損益計算ツールを提供する会社が、計算の部分を人手で請け負う形態です。取引所やウォレットのデータをまとめて送れば、専門スタッフが損益計算や仕訳データの作成まで代行し、確定申告書の作成・提出は自分または顧問税理士が行います。
「顧問税理士はいるが暗号資産の計算だけ手が回らない」「取引が複雑で自分での帳簿作成が難しい」といったケースに向きます。この形態にあたる計算代行サービスは、後半の比較表と個別紹介で取り上げます。
計算代行を探すときに候補として名前が挙がりやすい損益計算ツールのGtaxは、2026年10月5日にクリプタクトへ統合され、Gtaxとしての提供を終了することが公式に発表されています(確定申告サポート「Guardian」はpafinが引き継ぐ予定です)。ほかの記事でGtaxの名前を見かけても、2026年分の確定申告に向けて単独で選べるサービスではない点に注意してください。
計算から申告まで一括で任せる代行専門会社
取引履歴を提出すれば、損益計算から提携税理士による確定申告書の作成・提出まで、一括で完了する形態です。窓口が1つにまとまるため、「計算も申告もまとめて任せたい」場合の負担が小さく済みます。
計算から申告まで一括で任せられるサービスも、後半の比較表と個別紹介で取り上げます。多くは取引履歴の提出・損益計算・確定申告という数ステップで完結し、税理士探しから始める手間もかかりません。
暗号資産に強い税理士・会計事務所に依頼する
顧問契約やスポットで、税務相談から申告書の作成・提出、税務調査への対応までを税理士に任せる形態です。節税の相談や、事業所得に該当しうるケースの判断など、個別性の高い相談をしたい場合の選択肢になります。
依頼先を選ぶ前提として、暗号資産の申告実績がある事務所を選ぶことが欠かせません。料金・対応範囲は事務所ごとに幅が大きく横並びで比べにくいため、依頼するなら個別に見積もりを取って選ぶことになりますが、継続的に相談できる相手を持ちたい場合には有力な選択肢です。
「計算だけ」か「申告まで」かで任せられる範囲が変わる
3種類の違いは、「損益計算だけ」を任せるのか、「確定申告書の作成・提出まで」を任せるのかという範囲にあります。計算代行なら申告書の作成・提出は自分か顧問税理士が担い、一括代行や税理士への依頼なら提出まで完了します。税理士であれば、その後の税務調査への対応まで継続して相談できます。
依頼先のタイプごとに、損益計算から税務調査対応までのどの工程まで任せられるかは、次のように変わります。

費用対効果の観点も押さえておきましょう。取引がそれほど多くなければ、自分で暗号資産の損益計算ツール(年額数千円台から)を使って計算し、申告だけ自分で行うほうが安く済むこともあります。
目安として、取引所が数社以上になり、海外取引所やDeFi・NFTが絡んで取引履歴が膨大になってくるあたりから、計算代行や一括代行に任せる価値が大きくなります。まずは「計算のどこに詰まっているのか」を見極めることが、依頼先選びの出発点です。
自分で計算する場合に使う損益計算ツールは、対応する取引所やDeFi・NFT、料金、法人対応といった観点で選べます。以下の記事で比較しているので、代行に任せるか自分で計算するかを見極める材料にしてください。
仮想通貨の税金計算ツールおすすめ13選を比較|対応取引所・料金・法人対応で選ぶ
複数の取引所とウォレットを使い分けていると、年末になって「1年間の損益がいくらだったのか、自分でも分からない」という状態に陥りがちです。取引所ごとに履歴の書式は違い、DeFiやNFTの取引は履歴として残らないものもあります。 暗号資産の損益…
仮想通貨の確定申告代行の費用相場|取引所数・損益額でいくら変わるか
代行に任せる場合の費用は、依頼先の種類と依頼範囲でおおよその相場が決まります。
代行の料金は、依頼範囲・取引所やウォレットの数・年間の損益額・取引の複雑さ(DeFiやNFTの有無)で変わります。目安として、損益計算だけの代行はおおむね10万円台から、計算から確定申告まで一括で任せる場合はおおむね15万〜40万円程度(サービスやプランによって幅があります)が中心的な価格帯です(2026年9月時点、各社公式の料金ページ)。実際の金額は次のように分かれます。
- 損益計算だけを任せる場合:計算代行はおおむね10万円台からで、取引データの件数に上限を設けた買い切りの料金体系が中心です。申告書の作成・提出は自分または顧問税理士が行います。ツール提供元のなかには、提携税理士による確定申告まで含むパッケージ(十数万円台〜)を用意するところもあります。
- 計算から申告まで一括で任せる場合:おおむね15万〜40万円程度が目安です。取引所の数でプランが分かれ、年間の損益額に応じた加算やDeFi・NFTなどのオプションが乗る料金体系が一般的で、税務調査対応まで基本プランに含むサービスもあります(対応時に日当が別途かかる場合があります)。同じ一括代行でも、公式サイトと特定商取引法の表示で料金が異なるサービスがあるため、依頼前の確認が要ります。
料金が変わる主な要因は次のとおりです。見積もりの金額がどこで上下するのかを押さえておくと、各社の料金を比べやすくなります。
- 対応してもらう取引所・ウォレットの数(社数でプランが分かれる料金体系が多い)
- 年間の損益額(損益が大きいほど加算される体系が一般的で、たとえば損益1,000万円超で数万円台の加算が乗るサービスがあります)
- DeFi・NFT・過年度分・高頻度取引などのオプション(例:DeFi対応で50,000〜70,000円台の追加)
- 依頼範囲(損益計算だけか、確定申告書の作成・提出まで含むか)
たとえば取引所を8社使い、DeFi取引があって年間の損益が1,200万円ある個人が一括代行に依頼するとします。この場合、10社まで対応するプラン(30万円前後)にDeFi対応の加算(数万円台)と損益額の加算(数万円台)が乗り、合計でおおむね40万円前後が目安です。自分の取引所数・損益額・オプションの有無を当てはめると、概算をイメージしやすくなります。
暗号資産に強い税理士に依頼する場合の費用は、依頼のしかたで分かれます。相談から記帳・申告まで通年で任せる顧問契約は月額1万円台からが目安で、これに確定申告・決算の料金(個人で10万円台〜、法人はさらに高め)が加わります。確定申告だけをスポットで頼む場合は、損益の規模に応じておおむね十数万〜数十万円が相場です(2026年9月時点、暗号資産対応をうたう税理士事務所の公開料金より)。
料金を「非開示・要見積もり」としている会社もあります。正確な金額は、取引所数や取引内容を伝えて見積もりを取るのが確実です。料金は改定されることがあるため、依頼前には各社公式の料金ページで最新の金額を確認してください。
仮想通貨の確定申告代行の選び方|見比べるべき5つの軸
依頼先を見比べるときに確認したい軸は、大きく5つあります。各社が「安心」「丸投げ」と訴える強みを、自分の状況に当てはめて判断できる軸に整理します。このうち任せられる範囲・対応取引所・税務調査対応は次の比較表で横並びに確認でき、料金体系の透明性と実績は数値で並べにくいため各社の見積もり・公式サイトで個別に確かめる軸として扱います。
任せられる範囲は「計算だけ」か「申告まで」か
最初に確認したいのが、そのサービスが損益計算だけを行うのか、確定申告書の作成・提出まで含むのかです。顧問税理士がいて計算だけ困っているなら計算代行で足りますが、税理士がいない場合は、提携税理士による申告まで含む一括代行を選ばないと、計算結果を受け取ってから自分で申告する手間が残ります。「計算後に誰が申告書を出すのか」を契約前に必ず確認しましょう。
自分が使う取引所・DeFi/NFT・海外取引所に対応しているか
暗号資産の損益計算は、自分が取引したすべての取引所・ウォレットのデータを漏れなく集約できて初めて正確になります。国内取引所だけでなく、利用している海外取引所やDeFi・NFTの取引に対応しているかは、対応の可否で仕上がりが大きく変わる軸です。
特に、すでに閉鎖・倒産した取引所の履歴、過年度分の申告漏れ、頻度の高い取引といった複雑なケースは、対応可否とオプション料金がサービスごとに異なります。自分の取引に当てはまる要素があれば、見積もり時に「その取引に対応できるか」「追加料金はいくらか」を具体的に確認してください。
税務調査への対応・書面添付をしてもらえるか
申告後に税務署から問い合わせや調査が入ったときに、対応してもらえるかも確認しておきたい軸です。申告を税理士が担う一括代行や税理士への依頼であれば、税務調査への立ち会いまで相談できます。
税理士が申告書に「書面添付」を付ける場合は、税務署が調査に入る前にまず税理士へ意見を聴く手続きが取られるため、いきなり調査に入られにくくなる効果が期待できます。損益計算だけの代行では申告後の対応は範囲外になるのが一般的なので、調査対応まで求めるなら申告を担う相手を選びます。
料金体系が取引所数・損益額のどこで変わるか明示されているか
費用相場の項でも触れたとおり、代行の料金は取引所数・損益額・オプションで変わります。料金ページで「どの条件でいくら加算されるか」が明示されているサービスは、依頼後に想定外の追加費用が出にくく、比較もしやすくなります。逆に「要見積もり」だけのサービスは、自分の取引内容を伝えたうえで見積もりを取り、内訳(基本料金と加算・オプションの区分)まで確認してから判断すると安心です。
暗号資産の申告実績がどれくらいあるか
暗号資産の税務は、総平均法・移動平均法といった計算方法やDeFi・NFTの扱いなど、一般的な確定申告とは異なる論点を含みます。暗号資産に特化した実績(累計対応件数や対応年数)があるかは、複雑な取引を正確に処理してもらえるかの目安になります。
累計件数や対応年数を公開しているサービスは判断材料が得やすく、公開がない場合は見積もり時に「自分と近い取引規模・取引形態の対応経験があるか」を尋ねるとよいでしょう。
以下の診断では、任せたい範囲や取引の複雑さ(海外取引所・DeFi/NFTの有無)、個人か法人かといった条件から、上記の軸を踏まえて自分に合う代行先のタイプを絞り込めます。
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【比較表】仮想通貨の確定申告代行サービス比較
ここまでの選び方の軸をもとに、主要な仮想通貨の確定申告代行サービスを、任せられる範囲・料金・対応取引所やDeFi/NFT・税務調査対応などの観点で横断的に比較します。各サービス名を選ぶと、記事内の個別紹介にジャンプします。
| サービス名 | クリプトリンク損益計算代行 | コインタックス(COINTAX) | Bittax |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | 損益計算代行 | 計算〜申告一括代行 | 計算〜申告一括代行 |
| 任せられる範囲 | 損益計算・仕訳データ作成まで (申告書の作成・提出は自分か顧問税理士。別パッケージで提携税理士による申告代行も可) | 損益計算・申告書作成・申告提出まで (提携税理士が申告を担当) | 損益計算・申告書作成・申告提出まで (提携税理士が申告を担当) |
| 料金の目安 | 計算代行 個人143,000円〜/法人198,000円〜(税込・買い切り、計算1回) 確定申告代行まで含むパッケージ 187,000円(税込)〜(提携税理士が申告) | 20万〜40万円 (取引所数別・通常価格。時期により早割あり) | 特定商取引法表示 150,000〜250,000円 公式トップ表示 88,000〜220,000円と差あり・要確認 |
| 対応取引所・DeFi/NFT | 海外80取引所以上 DeFi・NFT対応 | 国内外の取引所に対応 DeFi・NFT対応(有料オプション) | 70以上の取引所・サービスに対応 DeFi・NFT対応(有料オプション) |
| 税務調査・書面添付対応 | △計算代行は範囲外(申告代行パッケージは提携税理士対応) | △提携税理士が対応(日当が別途) | 要問い合わせ |
| 個人/法人対応 | 個人・法人対応 | 個人向け中心 (法人対応は公式に明示なし) | 個人向け中心 (法人対応は公式に明示なし) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく一般的な傾向です。料金・対応範囲は改定される場合があるため、実際の金額や対応可否は各社の最新情報をご確認ください。
仮想通貨の確定申告代行サービスの個別紹介
ここからは、比較表で取り上げた各サービスについて、任せられる範囲・料金・対応する取引所やDeFi/NFT・実績を個別に紹介します。
1. クリプトリンク損益計算代行(クリプトリンク株式会社)

クリプトリンク損益計算代行は、暗号資産の損益計算ツールを手がけるクリプトリンク株式会社が、計算作業を人手で請け負う委託型のサービスです。取引所やウォレットのデータを送れば、専門スタッフが法定通貨換算・損益計算・仕訳データの作成まで代行し、個人には収支計算報告書、法人には会計ソフトへインポートできる仕訳データを納品します。
料金は初期費用が無料で、個人プランが143,000円(計算1回)から、法人プランが198,000円からです。海外80取引所以上に対応し、DeFiのウォレットデータやNFTの損益計算も扱えるため、複数のチェーンをまたぐ複雑な取引をまとめて任せたい場合に向きます。
この代行の範囲は計算・仕訳データの作成までで、確定申告書の作成・提出は自分または顧問税理士が行います。2025年11月に始まった「計算代行+確定申告代行パッケージ」(187,000円・税込〜)を使えば、提携する7社以上の税理士事務所を通じて確定申告書の作成・提出まで一括で委託できます。
2. コインタックス(コインタックス株式会社)

利益計算から確定申告書の作成・提出までをワンストップで任せられるのが、コインタックス(COINTAX)です。利益計算はコインタックス株式会社のスタッフが担当し、確定申告書の作成と税務署への提出は提携税理士が行う役割分担で、計算から申告までを一度に委託できます。
料金は取引所数に応じたプラン制で、5社以内のライトが200,000円、10社以内のベーシックが300,000円、取引所数の制限がないアドバンスが400,000円です(いずれも通常価格。時期により早期割引が設定される場合があります)。利益額が1,001万円以上の場合の加算や、DeFi対応・閉鎖した取引所への対応などは、オプションとして金額が公式に明示されています。
DeFi・ステーキング・NFT・ブロックチェーンゲーム・ICOなど、取引所以外の取引にも対応します。公式サイトの利用事例は会社員や自営業の個人が中心で、税務調査への対応は提携税理士による日当が別途発生する扱いです。
3. Bittax(株式会社マイビジ)

70以上の取引所・サービスと15,000以上の通貨への対応をうたうのが、株式会社マイビジが運営するBittaxです。bitFlyerやCoincheckなどの国内取引所、BINANCEやKrakenなどの海外取引所、Ledger・TREZORといったウォレットまで幅広く扱い、損益計算から確定申告代行までを担います。
損益計算はBittax(マイビジ)が担当し、確定申告書の作成・提出は仮想通貨税務に精通した提携税理士が担当します。料金はプラン制で、取引所数・取引件数・利益額に応じておおむね15万〜25万円、DeFiやNFT、過年度分の計算は有料オプションです(公式サイトと特定商取引法の表示で料金が異なるため、依頼前に最新料金の確認を推奨します)。
手続きはすべてオンラインで完結し、取引履歴のダウンロード方法もサポートされます。納期は損益計算まで通常1ヶ月程度、申告書の作成・提出まで2週間程度が目安で、確定申告シーズンは定員制で受付を締め切る運用がとられています。
代行を依頼してから申告までの流れ|用意する資料と期間
実際に代行を依頼してから確定申告が終わるまでの流れと、用意する資料を見ていきます。サービスによって細部は異なりますが、計算から申告まで任せる場合はおおむね次のステップで進みます。
- 問い合わせ・見積もり:利用している取引所数やおおよその取引件数・損益額、DeFiやNFTの有無を伝え、料金の見積もりを受け取ります。
- 申し込み・取引履歴の提出:契約後、各取引所・ウォレットの取引履歴(年間取引報告書やCSVデータ)をまとめて提出します。
- 損益計算:専門スタッフが総平均法などの計算方法で1年分の損益を計算し、内容を確認します。
- 確定申告書の作成・提出:計算結果をもとに、一括代行や税理士への依頼であれば提携税理士が申告書を作成し、電子申告まで完了します。計算代行の場合は、この工程を自分または顧問税理士が担います。
依頼時に用意しておくとスムーズなのは、次の資料です。取引履歴は取引所ごとに取得方法が異なるため、早めにダウンロードしておくと、確定申告の期限(原則として翌年3月15日)に余裕を持って間に合わせやすくなります。
- 利用したすべての取引所の年間取引報告書・取引履歴(CSVなど)
- ウォレットのアドレスやDeFi・NFTの取引記録
- 過年度に暗号資産の申告をしている場合は、その申告内容が分かる資料
取引所数や取引の複雑さによって計算にかかる期間は変わります。確定申告シーズン(2〜3月)は依頼が集中し、特急対応の追加費用がかかる場合もあるため、年内から年明けの早い時期に依頼しておくと安心です。
代行に任せる前に押さえておきたい暗号資産の税金の基礎
代行に任せる場合でも、暗号資産の税務の基本を押さえておくと、見積もりの内容や必要書類が理解しやすくなります。ここからは、確定申告の前提となる要点を、国税庁の公式情報にもとづいて簡潔に整理します。
暗号資産の利益は原則として雑所得・総合課税
暗号資産の売買や使用で得た利益は、所得税では原則として雑所得(その他雑所得)に区分され、給与などほかの所得と合算して税額を計算する総合課税の対象になります。
暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。
出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和7年12月)|国税庁 2-2 暗号資産取引の所得区分
ただし、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超え、かつ帳簿書類の保存がある場合などは、事業所得に区分されることがあります。株式やFXのような申告分離課税とは異なり総合課税である点が、暗号資産の税務の特徴です。
損益計算は総平均法・移動平均法で行う
同じ種類の暗号資産を繰り返し売買した場合の損益(譲渡原価)は、総平均法または移動平均法のいずれかで計算します。個人が評価方法を届け出ていない場合は、総平均法で計算することとされています。
総平均法又は移動平均法のうちいずれか選択した方法(選択しない場合、個人においては総平均法、法人においては移動平均法)により計算した金額となります。
出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和7年12月)|国税庁 2-4 暗号資産の譲渡原価
移動平均法を選びたい場合は、初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。複数の取引所やDeFi・NFTで取引履歴が膨大になるほど、この計算は煩雑になり、自力での計算が難しくなります。代行に価値が出るのは、まさにこの計算工程です。
確定申告が必要になる金額の目安
会社員などの給与所得者の場合、給与を1か所から受けていて、その全額が源泉徴収の対象であるときは、暗号資産の利益を含む給与以外の所得の合計が年20万円を超えると確定申告が必要になります。
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人
出典:タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」|国税庁
これは暗号資産に限らず給与所得者に共通する規定で、給与を2か所以上から受けている場合や給与収入が2,000万円を超える場合などは別の基準になります。また、法人が事業年度末に保有する暗号資産のうち、活発な市場が存在するものは時価法による評価が必要です。自分が個人か法人かによって扱いが変わる点も、代行に相談する際の前提として押さえておきましょう。
出典・参考資料(3件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和7年12月)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
- 出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)
- 出典:No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm)
まとめ
仮想通貨の確定申告の代行は、損益計算だけを任せる計算代行、計算から申告まで一括で任せる代行専門会社、税務相談や調査対応まで任せる暗号資産に強い税理士の3種類に整理できます。自分が「計算のどこに詰まっているのか」「申告まで任せたいのか」を出発点に、任せられる範囲・対応する取引所やDeFi/NFT・税務調査対応・料金体系の透明性・実績という5つの軸で見比べると、自分に合う代行先を絞り込めます。
料金は取引所数・損益額・依頼範囲で変わるため、複数のサービスから見積もりを取り、内訳まで確認して比較するのが確実です。まずは各社の資料を取り寄せて、対応範囲と料金を並べて検討することから始めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 仮想通貨の確定申告代行とは何ですか?
A. 仮想通貨の確定申告代行とは、暗号資産取引の損益計算や確定申告書の作成・提出を外部の専門業者に任せられるサービスの総称です。依頼先は、損益計算だけを請け負う計算代行、計算から申告まで一括で任せる代行専門会社、税務相談や税務調査対応まで任せられる暗号資産に強い税理士の3種類に分かれ、任せられる範囲と料金がそれぞれ異なります。
Q. 仮想通貨の確定申告代行の費用はいくらかかりますか?
A. 損益計算だけを任せる場合はおおむね10万円台から、計算から確定申告まで一括で任せる場合は15万〜40万円程度が中心的な価格帯です(2026年9月時点、各社公式の料金ページ)。金額は依頼範囲・取引所やウォレットの数・年間の損益額・DeFiやNFTの有無で変わります。
取引所数が多い、損益額が大きい、DeFiやNFTを含むといった条件が重なるほど加算やオプションで金額は上がります。各サービスの具体的な料金は本文の比較表で確認でき、正確な金額は取引内容を伝えて見積もりを取るのが確実です。
Q. 自分で損益計算ツールを使うのと、代行に任せるのはどちらが得ですか?
A. 取引がそれほど多くなければ自分で損益計算ツール(年額数千円台から)を使うほうが安く済み、複数の取引所やDeFi・NFTで取引履歴が膨大になるほど代行に任せる価値が大きくなります。判断の出発点は「計算のどこに詰まっているのか」を見極めることです。ツールにうまく取り込めない複雑な取引が多い場合や、申告まで丸ごと任せたい場合は代行が向きます。
Q. 仮想通貨の確定申告代行は、海外取引所やDeFi・NFTの取引にも対応していますか?
A. 多くの代行サービスが海外取引所やDeFi・NFTの取引に対応していますが、DeFi・NFTは有料オプション扱いになることが多い点に注意が必要です。対応できる取引所の範囲やオプション料金はサービスごとに異なります。
暗号資産の損益計算は、自分が取引したすべての取引所・ウォレットのデータを漏れなく集約して初めて正確になります。自分が使う取引所やサービスを挙げて、対応可否と追加料金を見積もり時に確認してください。
Q. 過年度の申告漏れや、倒産・閉鎖した取引所の履歴も代行に頼めますか?
A. 過年度分の申告漏れや、すでに閉鎖・倒産した取引所の履歴、頻度の高い取引といった複雑なケースも、多くの代行サービスが有料オプションなどで対応します。ただし対応可否と追加料金はサービスごとに差があるため、こうした事情に心当たりがあれば、見積もり時に「その取引に対応できるか」「追加料金はいくらか」を具体的に伝えて確認するのが確実です。
Q. 申告後に税務調査が入っても代行に対応してもらえますか?
A. 申告を税理士が担う一括代行や税理士への依頼であれば税務調査への立ち会いまで相談できますが、損益計算だけの代行では申告後の対応は範囲外になるのが一般的です。税理士が申告書に書面添付を付ける場合は、税務署が調査に入る前にまず税理士へ意見を聴く手続きが取られるため、いきなり調査に入られにくくなる効果が期待できます。税務調査への対応まで求めるなら、申告を担う相手を選びましょう。
Q. 仮想通貨の確定申告の期限はいつですか?
A. 仮想通貨の利益を含む所得税の確定申告の期限は、原則としてその年の翌年3月15日です。取引所ごとの取引履歴の取得や1年分の損益計算には時間がかかるため、代行に依頼する場合も、必要な資料を早めに準備しておくと期限に余裕を持って間に合わせやすくなります。
Q. 仮想通貨の確定申告を代行に依頼するとき、どんな資料を用意すればよいですか?
A. 代行に依頼するときは、利用したすべての取引所の年間取引報告書・取引履歴(CSVなど)、ウォレットのアドレスやDeFi・NFTの取引記録、過年度に申告している場合はその申告内容が分かる資料を用意します。取引履歴は取引所ごとに取得方法が異なり、ダウンロードに手間取ることもあるため、早めに集め始めておくとスムーズです。
Q. 仮想通貨の確定申告代行は、いつ依頼するのがよいですか?
A. 確定申告シーズン(2〜3月)は依頼が集中し、特急対応の追加費用がかかったり定員制で受付を締め切ったりするため、年内から年明けの早い時期に依頼しておくのがおすすめです。取引所数や取引の複雑さによって損益計算にかかる期間は変わるので、早めに動くほど期限に余裕を持って申告できます。
Q. 仮想通貨の確定申告代行は、相談や見積もりだけでも依頼できますか?
A. 多くの代行サービスは、契約前の相談や見積もりを無料で受け付けています。料金を「要見積もり」としている会社もあるため、取引所数や取引内容を伝えて見積もりを取り、基本料金とオプション・加算の区分といった内訳まで確認したうえで依頼先を決めると安心です。
Q. 仮想通貨の確定申告代行は、個人でも法人でも依頼できますか?
A. 個人・法人のどちらでも依頼でき、多くの代行サービスが個人向けプランと法人向けプランを分けて用意しています。法人向けプランは個人向けより料金が高めに設定されることが多く、会計ソフトにインポートできる仕訳データの納品に対応するサービスもあります。
法人は事業年度末に保有する暗号資産のうち活発な市場が存在するものに時価法による評価が必要になるなど、個人とは扱いが異なる点があります。自分がどちらで申告するのかを前提に相談しましょう。
Q. 会社員ですが、仮想通貨の利益はいくらから確定申告が必要ですか?
A. 給与を1か所から受けていて、その全額が源泉徴収の対象である会社員の場合、暗号資産の利益を含む給与以外の所得の合計が年20万円を超えると確定申告が必要になります。これは暗号資産に限らず給与所得者に共通する規定で、給与を2か所以上から受けている場合や給与収入が2,000万円を超える場合などは別の基準になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)
Q. 仮想通貨の利益にはどんな税金がかかりますか?
A. 暗号資産の売買や使用で得た利益は、所得税では原則として雑所得(その他雑所得)に区分され、給与などほかの所得と合算して税額を計算する総合課税の対象になります。株式やFXのような申告分離課税ではないため、所得が大きいほど税率が上がる累進課税で計算されます。ただし、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超え、かつ帳簿書類の保存がある場合などは、事業所得に区分されることがあります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和7年12月)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
Q. 仮想通貨の利益を確定申告しないとどうなりますか?
A. 必要な確定申告をしなかったり、本来より少なく申告したりすると、無申告加算税や過少申告加算税、延滞税などのペナルティが課される可能性があります。取引所の取引データは税務当局が把握しうるため、計算が複雑で申告に不安がある場合こそ、計算代行や税理士に任せて正確に申告することが、こうしたペナルティの回避につながります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















