確定申告の時期が近づくたびに、通帳の明細とレシートの束を前に手が止まっていませんか。個人事業主・フリーランスの申告は、日々の記帳から決算書の作成、e-Taxでの提出までを自分ひとりで進めることになります。
簿記を学ぶ時間はかけたくない、それでも青色申告特別控除は取りたい。この2つを両立するには、どの会計ソフトを選べばよいのでしょうか。
本記事では、個人事業主・フリーランスが自分で申告まで終えられる会計ソフト16製品を、5つのタイプに分けて比較します。年間の支払額、青色申告特別控除65万円を満たす経路、e-Taxをソフトがどこまで担うか、消費税申告と電子帳簿保存法への対応まで横並びで整理しました。自分の状況に合う1本を絞り込む材料としてご活用ください。
また、ご自身の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
本記事の対象範囲
本記事が対象にするのは、法人格を持たず、自分で確定申告を行う個人事業主・フリーランスです。青色申告・白色申告のどちらで申告する方も、副業の所得を事業所得として申告する方も含みます。
取り上げる16製品は、利用者本人が青色申告決算書または収支内訳書を作成できる製品です。確定申告書の作成まで担うかは製品により異なり、比較表のe-Tax欄に記載しています。帳簿づけだけを担う製品や、法人専用の製品は含みません。
すでに法人を設立している方や、事業規模を絞らずに製品を見比べたい方は、次の記事をご覧ください。個人事業主・小規模法人向けから中堅・上場準備企業向け、業種特化型までを含む15製品を、規模・タイプ別の選び方と料金で比較しています。
青色申告か白色申告かで、必要な会計ソフトは変わる
ここからは、申告方式によって会計ソフトに求められる機能がどう変わるかを整理します。
白色申告で提出するのは収支内訳書で、収入と経費を集計できれば作成できます。青色申告で55万円・65万円の控除を受ける場合は、取引を「正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)」により記帳し、そこから作った貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する必要があります。
複式簿記の帳簿と貸借対照表を用意できるかどうかが、ソフト選びの最初の分かれ目です。白色申告のままでよいなら収支の集計に絞った製品でも足り、青色申告で控除を狙うなら複式簿記に対応した製品が要ります。
55万円と65万円を分けるのは、記帳の方法ではなく書類の出し方です。複式簿記で記帳したうえで、申告書と決算書をe-Taxで提出するか、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿として保存するかのどちらかを満たすと、控除額が65万円になります。
65万円控除の要件をどちらの経路で満たせるかは製品ごとに異なります。要件そのものは制度対応の章で扱います。
10万円の控除は、55万円・65万円の要件に当てはまらない青色申告者が受けられる区分です。簡易な記帳でも青色申告はできますが、控除額はこの区分になります。

青色申告には事前の申請が要る(提出期限は原則3月15日)
青色申告で申告するには、税務署長の承認が必要です。国税庁は、承認を受けるための申請書と提出期限を次のように案内しています。
(1)原則
出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
白色申告から青色申告へ切り替える場合も、この(1)の期限が当てはまります。今年分から青色申告にしたいなら、申請書の提出は今年の3月15日までに済んでいる必要があります。
期限を過ぎてから提出した申請は、その年分の青色申告には間に合いません。翌年分から青色申告にするなら、翌年の3月15日までに同じ申請書を提出することになります。
どのソフトを選んでも、承認を受けていない年に青色申告特別控除は使えません。会計ソフトを比べる前に、自分がどの年から青色申告できるのかを先に確かめてください。
出典・参考資料(2件)
会計ソフトでできること(記帳・決算書作成・e-Tax提出)
会計ソフトが担う仕事は、大きく3つに分かれます。
1つ目は日々の記帳です。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、勘定科目を推測して仕訳に変える機能や、レシートを撮影して読み取る機能がここに含まれます。
2つ目は決算書の作成で、記帳したデータから青色申告決算書または収支内訳書を組み立てます。貸借対照表まで自動で作れるかどうかは、受けられる青色申告特別控除の金額に直結します。
3つ目は確定申告書の作成と提出です。ソフトの画面からe-Taxへ送信できる製品もあれば、申告データを書き出して国税庁のサイトで送信する製品、決算書までを作って申告書は自分で入力する製品もあります。
この3つ目をどこまで担うかは製品ごとに差が大きく、記帳と集計に用途を絞ったアプリでは確定申告書そのものを作れません。
個人事業主向け会計ソフトは大きく5タイプ
ここからは、個人事業主向けの会計ソフトを、使う人の状況にそって5つのタイプに分けて解説します。型を決める軸は、簿記の知識をソフトにどこまで肩代わりさせたいか、かけられる費用、主に使う端末、毎年払い続けてよいかの4つです。
提供形態から見ると、毎年の支出を平準化したいならクラウド型、支払総額を抑えたいなら買い切りのインストール型、記帳の習慣づけを優先するならスマホアプリ型が出発点になります。形態ごとの運用の違いは選び方で扱います。
5つのタイプは重なることがあります。複数に当てはまるなら、まず外せない条件を1つ決めてから、その型のところを読んでください。
青色申告特別控除65万円が外せない条件なら、費用を最優先にする型は候補になりにくくなります。この型に入る製品は、白色申告専用か、65万円の要件を満たせるかを公式に確認できないか、無料期間について別の記載があるかのいずれかだからです。
簿記を学ばずに、記帳から確定申告まで終わらせたい人向け
借方・貸方といった簿記の用語を表に出さず、質問への回答や銀行・カード明細の自動仕訳から帳簿を組み立てるクラウド型です。学習にかける時間を、機能で肩代わりする設計になっています。
複式簿記での記帳から青色申告決算書の作成、e-Taxでの送信まで1本で完結でき、青色申告特別控除65万円の要件も満たせます。簿記を学ぶ時間が取れない人が、最初に検討する型といえます。
費用をかけずに申告まで済ませたい人向け
白色申告の収支内訳書で足りる人や、副業の売上が小さい人が、無料プランや低価格プランのまま申告まで到達することを狙う型です。
無料の範囲でできることは製品ごとに差があり、e-Taxへの送信、明細の自動仕訳、電子帳簿保存法への対応が外れることがあります。「無料」という言葉だけで決めず、どこまで無料かを読み比べる必要があります。
スマホだけで記帳から提出まで終わらせたい人向け
スマホアプリを主な画面にし、レシートの撮影やスワイプ操作での仕訳、マイナンバーカードの読み取りによるe-Tax提出までを携帯端末で完結させる型です。
クラウド型でも、アプリは記帳までで申告書の作成はパソコンから、という製品があります。スマホ1台で終わらせたいなら、アプリ単体で申告書の作成と送信までできるかを確かめてください。
毎年の利用料を払い続けたくない人向け
パソコンにインストールして使う買い切り型です。本体の価格は5,000円台から1万円台が中心で、翌年以降は保守やサポートを更新するかどうかを選べます。
判断の分かれ目になるのは、対応OSと更新の条件です。多くがWindows専用で、税制改正に対応した最新版を使うには保守契約の継続か買い直しが必要になります。
買い切りで使いながら、サポートや事業の広がりにも備えたい人向け
同じ買い切りでも、電話サポートや税制改正への対応を含む保守が手厚く、複数の事業所や法人の決算まで見据えられる製品がこの型です。
初年度の費用も2年目以降の保守料も前の型より高いため、何に対して払うのかをはっきりさせてから選びます。事業を広げる予定がある人や、記帳の相談先が欲しい人に向きます。
ご自身がどのタイプに当てはまるか、判断が難しい場合もあります。そのようなときでも状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
【比較表】個人事業主向け会計ソフト16選を料金・青色申告65万円控除・e-Tax・消費税申告・電子帳簿保存法で比較
ここからは、16製品を初年度の費用、2年目以降の年額、青色申告特別控除65万円を満たす経路、e-Tax、消費税申告、電子帳簿保存法の6点で横並びに比較します。まず16製品の費用と控除の経路を1枚にまとめ、続けてタイプ別に残りの項目まで並べます。
金額は税込・年額にそろえ、最安プランのプラン名を併記しています。表は横にスクロールできます。
インボイス登録を済ませている方は、初年度の費用の列ではなく、消費税申告の列に書かれたプランの金額で比べてください。最安プランでは消費税申告ができない製品があり、必要なプランに上げると製品どうしの価格の順位が入れ替わります。
【一覧】16製品の費用と青色申告65万円控除の充足経路
| サービス名 | freee会計 | やよいの青色申告 オンライン | ジョブカン青色申告 | やよいの白色申告 オンライン | フリーウェイ経理Lite | 円簿青色申告 | マネーフォワード クラウド確定申告 | タックスナップ | 確定申告FinFin | みんなの青色申告 | ジョブカンDesktop 青色申告 | やるぞ!青色申告 | MJSかんたん!青色申告 | 青色申告らくだ | やよいの青色申告 26 | 会計王 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 初年度の費用 | 12,936円(スタータープラン、年払い) | 0円(セルフプラン、1年間無料キャンペーン) | 13,200円(1ライセンス年額の単一料金) | 0円(フリープラン、期間の制限なし) | 0円(無料版、期間の制限なし) | 0円(初期費用・月額料金ともになし) 公式ページの脚注には「無料期間は新規ご登録から1年間」の記載 | 11,880円(パーソナルミニ、年払い) | 12,936円(カンタンプラン、年払い) | 12,400円(かんたんプラン、年払い) | 10,780円(本体の買い切り。初年度の年間保守は無償) | 5,500円(ダウンロード版) パッケージ版は8,140円 | 10,799円(Windows)/11,799円(Mac)(2026年版フルサポートパック、正規販売代理店の販売価格) | 5,990円(かんたん!青色申告13 単体、認定販売店の販売価格) | 13,200円(青色申告らくだ26、流通している販売情報の定価) | 15,400円(セルフプラン付き本体、オンラインストア価格) | 44,000円(本体1ライセンスの買い切り。初年度の年間保守は無償) |
| 2年目以降の年額 | 12,936円(スタータープラン、年払い) | 12,980円(セルフプラン) | 13,200円(1ライセンス年額の単一料金) | 0円(フリープラン、期間の制限なし) | 0円(無料版、期間の制限なし) | 1年経過後の扱いは公式サイトに記載なし | 11,880円(パーソナルミニ、年払い) | 12,936円(カンタンプラン、年払い) | 12,400円(かんたんプラン、年払い) | 7,700円(バリューサポート) | パッケージ版は基本使用サービス終了後も本体機能を使える ダウンロード版の継続利用条件は公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし(サポート期間の記載もなし。確定申告期間中は土日祝も対応) | 5,500円(サポート更新料。旧版向けの表記例) | 有償の年間保守サービスの年会費は公式サイトに記載なし | 11,330円(あんしん保守サポート セルフプラン) | 38,500円(バリューサポート) |
| 青色申告65万円控除 | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせる | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせる | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせる(公式サイトに最大65万円控除への対応を明記) | 対象外(白色申告のため) | 複式簿記での記帳・青色申告決算書の作成に対応。65万円控除の要件を満たせるかは公式サイトに記載なし | 複式簿記での記帳と、最高65万円控除に対応する決算書の作成に対応。e-Taxでの送信は利用者が国税庁のサイトで行う | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせると公式に案内 | 複式簿記への対応は公式サイトに明記なし。65万円控除は推薦コメント内で言及されるのみで、製品仕様としての明記は確認できない | 複式簿記への対応を示す記載が公式サイトになく、要件を満たせるかは公式の情報からは判断できない | 製品ページには記載がないが、同社の電子帳簿保存の特設ページでは65万円控除の対象製品として案内(優良な電子帳簿の経路では届出書の提出が別途必要) | 製品ページに65万円の特別控除への対応を明記(e-Taxでの電子申告と組み合わせる) | 提供元(株式会社リオ)の直販ショップに最大65万円の青色申告特別控除への対応を明記 | 複式簿記での記帳と貸借対照表・損益計算書の作成に対応し、要件を満たせる(公式サポートFAQ) | 「最高55万円」と「最大65万円」の表記が混在し、要件を満たせるかは公式サイトに記載なし(複式簿記方式には対応) | 簡易帳簿の入力を複式簿記の帳簿へ自動転記し、ソフト内からのe-Tax送信で要件を満たせる | e-Taxでの電子申告、または優良な電子帳簿保存の要件に対応する構成(優良な電子帳簿の経路では届出書の提出が別途必要) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月1日時点で各社の公式サイト・認定販売店の販売ページを確認した内容です。金額は税込・年額にそろえ、最安プランのプラン名を併記しています。無料お試し期間、e-Tax・消費税申告・電子帳簿保存法の欄、税抜表記からの換算例は、以下のタイプ別の表に記載しています。サービス名をタップすると各製品の紹介へ移動します。
ここからは、同じ16製品をタイプ別に分け、e-Tax、消費税申告、電子帳簿保存法まで含めて並べます。
【比較表】簿記を学ばずに、記帳から確定申告まで終わらせたい人向け
| サービス名 | freee会計 | やよいの青色申告 オンライン | ジョブカン青色申告 |
|---|---|---|---|
| 初年度の費用 | 12,936円(スタータープラン、年払い) 無料お試しは30日間 | 0円(セルフプラン、1年間無料キャンペーン) | 13,200円(1ライセンス年額の単一料金) 新規登録から30日間は無料 |
| 2年目以降の年額 | 12,936円(スタータープラン、年払い) | 12,980円(セルフプラン) | 13,200円(1ライセンス年額の単一料金) |
| 青色申告65万円控除 | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせる(確定申告書類の作成は全プラン) | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせる | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせる(公式サイトに最大65万円控除への対応を明記) |
| e-Tax | e-Taxでの電子申告に対応(全プラン) ソフトから直接送信か書き出し経由かは公式サイトに記載なし | ソフトから直接送信(確定申告e-Taxオンライン。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要) | 国税庁のe-Taxソフトへ書き出して送信(拡張子.xtxのファイルを出力し、ダウンロード版またはWEB版に取り込む) |
| 消費税申告(インボイス登録後) | スタンダードプラン以上で対応(年額26,136円)。スタータープランでは不可 | 対応(セルフプラン。3プランとも使える機能は同一) | 対応(年額13,200円の単一プラン) |
| 電子帳簿保存法(JIIMA電子帳簿ソフト認証) | なし ただしスキャナ保存(009000-01)・電子取引(607100-01)の認証は取得 | あり(106800-00、2026年4月取得) | あり(106100-00、2024年4月取得) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月1日時点で各社の公式サイトを確認した内容です。金額は税込・年額にそろえ、公式が税抜表記の製品(freee会計・やよいの青色申告 オンライン)は税込に換算しています(例: やよいの青色申告 オンライン セルフプラン 11,800円+税=12,980円)。月額と年額がある製品は年払い価格の年額を採り、最安プランのプラン名を併記しています。電子帳簿保存法の行は、JIIMAの「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得しているかどうかだけを示します。国税庁は、この認証が満たすのは「優良な電子帳簿」の機能要件であり、事務手続関係書類の備付けなど機能以外の要件も別途満たす必要があると案内しています。認証の有無は、要件を満たしていることの証明ではありません。
【比較表】費用をかけずに申告まで済ませたい人向け
| サービス名 | やよいの白色申告 オンライン | フリーウェイ経理Lite | 円簿青色申告 |
|---|---|---|---|
| 初年度の費用 | 0円(フリープラン、期間の制限なし) | 0円(無料版、期間の制限なし) 有料の企業版は年額39,600円 | 0円(初期費用・月額料金ともになし) 公式ページの脚注には「無料期間は新規ご登録から1年間」の記載 |
| 2年目以降の年額 | 0円(フリープラン、期間の制限なし) | 0円(無料版、期間の制限なし) | 1年経過後の扱いは公式サイトに記載なし |
| 青色申告65万円控除 | 対象外(白色申告のため) | 複式簿記での記帳・青色申告決算書の作成に対応。65万円控除の要件を満たせるかは公式サイトに記載なし | 複式簿記での記帳と、最高65万円控除に対応する決算書の作成に対応。e-Taxでの送信は利用者が国税庁のサイトで行う |
| e-Tax | ソフトから直接送信(確定申告e-Taxオンライン) e-Tax申告データの書き出しにも対応 | 国税庁のe-Taxソフトへ書き出して送信(e-Tax読み込み用の財務諸表ファイルを出力) | ソフトは決算書まで。送信は利用者が国税庁のe-Taxサイトに入力(直接の連携機能なし) |
| 消費税申告(インボイス登録後) | 対応(フリープラン。3プランとも使える機能は同一) | インボイス制度(適格請求書発行事業者の登録番号の管理)には無料版も対応 消費税申告書の作成可否は公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし |
| 電子帳簿保存法(JIIMA電子帳簿ソフト認証) | なし 機能一覧に電子帳簿保存法対応の記載はあるが、本製品単体での認証取得は公式サイトに記載なし | なし(現行のVer7.12は非対応) JIIMA一覧の登録名は「フリーウェイ経理」(107400-00・Ver8.00)。公式FAQでは Ver8.00 の対応対象はProと顧問先版で、無料版・企業版は対象外 | なし(JIIMA一覧に掲載なし) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月1日時点で各社の公式サイトを確認した内容です。金額は税込・年額にそろえ、公式が税抜表記の製品(やよいの白色申告 オンライン・フリーウェイ経理Lite)は税込に換算しています(例: フリーウェイ経理Lite 企業版 年額36,000円+税=39,600円)。月額と年額がある製品は年払い価格の年額を採り、最安プランのプラン名を併記しています。電子帳簿保存法の行は、JIIMAの「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得しているかどうかだけを示します。国税庁は、この認証が満たすのは「優良な電子帳簿」の機能要件であり、事務手続関係書類の備付けなど機能以外の要件も別途満たす必要があると案内しています。認証の有無は、要件を満たしていることの証明ではありません。
【比較表】スマホだけで記帳から提出まで終わらせたい人向け
| サービス名 | マネーフォワード クラウド確定申告 | タックスナップ | 確定申告FinFin |
|---|---|---|---|
| 初年度の費用 | 11,880円(パーソナルミニ、年払い) 無料お試しは1か月 | 12,936円(カンタンプラン、年払い) 公式サイトの表記は「14日間無料キャンペーン中」 | 12,400円(かんたんプラン、年払い。税抜11,273円の税込換算) 有料機能は14日間試用可 |
| 2年目以降の年額 | 11,880円(パーソナルミニ、年払い) | 12,936円(カンタンプラン、年払い) | 12,400円(かんたんプラン、年払い) |
| 青色申告65万円控除 | 複式簿記での記帳+e-Taxでの電子申告で要件を満たせると公式に案内 | 複式簿記への対応は公式サイトに明記なし。65万円控除は推薦コメント内で言及されるのみで、製品仕様としての明記は確認できない | 複式簿記への対応を示す記載が公式サイトになく、要件を満たせるかは公式の情報からは判断できない(e-Taxでの提出には対応) |
| e-Tax | ソフトから直接送信(アプリでマイナンバーカードを読み取り提出まで完結) | ソフトから直接送信(アプリでマイナンバーカードを読み取り提出) | ソフトから直接送信(アプリでマイナンバーカードを読み取り提出) |
| 消費税申告(インボイス登録後) | パーソナルプラン以上で対応(年額16,896円)。パーソナルミニでは不可 | 公式サイトに記載なし(FAQに項目はあるが回答本文を確認できず) | 対応(かんたんプラン。消費税申告書の作成・提出まで) |
| 電子帳簿保存法(JIIMA電子帳簿ソフト認証) | あり(104400-00、登録名は「マネーフォワード クラウド会計、マネーフォワード クラウド確定申告」) | なし(JIIMA一覧に掲載なし) | なし(JIIMA一覧に掲載なし) 公式サイトにも電子帳簿保存法への対応の記載なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月1日時点で各社の公式サイトを確認した内容です。金額は税込・年額にそろえ、公式が税抜表記の3製品はいずれも税込に換算しています(例: マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミニ 年額一括10,800円+税=11,880円)。月額と年額がある製品は年払い価格の年額を採り、最安プランのプラン名を併記しています。電子帳簿保存法の行は、JIIMAの「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得しているかどうかだけを示します。国税庁は、この認証が満たすのは「優良な電子帳簿」の機能要件であり、事務手続関係書類の備付けなど機能以外の要件も別途満たす必要があると案内しています。認証の有無は、要件を満たしていることの証明ではありません。
【比較表】毎年の利用料を払い続けたくない人向け
| サービス名 | みんなの青色申告 | ジョブカンDesktop 青色申告 | やるぞ!青色申告 | MJSかんたん!青色申告 | 青色申告らくだ |
|---|---|---|---|---|---|
| 初年度の費用 | 10,780円(本体の買い切り。初年度の年間保守バリューサポートは無償) 30日間の試用版あり | 5,500円(ダウンロード版。基本使用サービスは12ヶ月) パッケージ版は8,140円で利用期間の制限なし | 10,799円(Windows)/11,799円(Mac)(2026年版フルサポートパック、正規販売代理店ソースネクストの販売価格) | 5,990円(かんたん!青色申告13 単体、認定販売店の販売価格) あんしん!サポートパッケージ1年付きは9,400円 | 13,200円(青色申告らくだ26、流通している販売情報の定価。購入後1年間は無償の保守が付帯) |
| 2年目以降の年額 | 7,700円(バリューサポート)。加入しなくてもソフトは使えるが、法令改正への対応版の提供と電話サポートは受けられない | パッケージ版は基本使用サービス終了後も本体機能を使い続けられる(電話サポートは終了) ダウンロード版の12ヶ月経過後の継続利用条件は公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし(サポート期間の記載もなし。確定申告期間中は土日祝も対応) | 5,500円(サポート更新料。旧版向けの表記例)。単体版はアップデートの提供が3か月間のみで、翌年の税制改正に対応するには新版の購入かサポート加入が必要 | 有償の年間保守サービスに加入すると法改正対応版やアップデートを受け取れる。年会費は公式サイトに記載なし |
| 青色申告65万円控除 | 製品ページには記載がないが、同社の電子帳簿保存の特設ページでは65万円控除の対象製品として案内(優良な電子帳簿の経路では届出書の提出が別途必要) | 製品ページに65万円の特別控除への対応を明記(e-Taxでの電子申告と組み合わせる) | 提供元(株式会社リオ)の直販ショップに最大65万円の青色申告特別控除への対応を明記 | 複式簿記での記帳と貸借対照表・損益計算書の作成に対応し、要件を満たせる(公式サポートFAQ) | 「最高55万円」と「最大65万円」の表記が混在し、要件を満たせるかは公式サイトに記載なし(複式簿記方式には対応) |
| e-Tax | 確定申告・電子申告用のソフトを無料で利用してデータを作成 ソフトから直接送信できるかは公式サイトに記載なし | 国税庁のe-Taxソフトへ書き出して送信 | 提供元の直販ショップにe-Taxでの申告への対応を明記 送信方式(直接送信か書き出しか)は記載なし | 国税庁のe-Taxソフトへ書き出して送信 | 公式サイトに記載なし |
| 消費税申告(インボイス登録後) | 消費税申告書作成に対応(公式機能一覧に明記) 製品ページにインボイス制度対応の記載あり | 対応(ダウンロード版5,500円から消費税申告書を作成可) | 消費税申告書の作成に対応(提供元の直販ショップに明記。インボイス制度への対応済みも明記) | 対応(単体版5,990円から。消費税の自動集計・申告書の作成) | 公式サイトに記載なし |
| 電子帳簿保存法(JIIMA電子帳簿ソフト認証) | あり(100401-02、主製品「MA1」の派生製品) | あり(103801-00、主製品「ジョブカンDesktop会計」の派生製品) | あり(101100-00) ただし認証有効期限は2026年8月28日で、一覧に更新審査中の表示なし | なし(JIIMA一覧に本製品の掲載なし) 同社はJIIMA認証の取得を案内しているが、本製品単体の認証かは公開資料から判別できない | なし(JIIMA一覧に掲載なし) 公式サイトにも電子帳簿保存法への対応の記載なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月1日時点で各社の公式サイト・認定販売店の販売ページを確認した内容です。金額は税込・年額にそろえています(買い切り型は本体価格と、2年目以降の保守・サポート更新料を分けて記載)。やるぞ!青色申告の価格は正規販売代理店ソースネクストの販売価格で、税込・税抜の別は提供元の公式サイトで確認できていません。電子帳簿保存法の行は、JIIMAの「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得しているかどうかだけを示します。国税庁は、この認証が満たすのは「優良な電子帳簿」の機能要件であり、事務手続関係書類の備付けなど機能以外の要件も別途満たす必要があると案内しています。認証の有無は、要件を満たしていることの証明ではありません。
【比較表】買い切りで使いながら、サポートや事業の広がりにも備えたい人向け
| サービス名 | やよいの青色申告 26 | 会計王 |
|---|---|---|
| 初年度の費用 | 15,400円(セルフプラン付き本体、オンラインストア価格。初年度のサポート料込み) 通常価格は26,730円。30日間の無料体験版あり | 44,000円(本体1ライセンスの買い切り。初年度の年間保守バリューサポートは無償、電話サポートは購入後最大15ヶ月まで無償) 30日間の無料体験版あり |
| 2年目以降の年額 | 11,330円(あんしん保守サポート セルフプラン)。更新しない場合は最新版へのアップデートとサポートを受けられない | 38,500円(バリューサポート) |
| 青色申告65万円控除 | 簡易帳簿の入力を複式簿記の帳簿へ自動転記し、ソフト内からのe-Tax送信で要件を満たせる | e-Taxでの電子申告、または優良な電子帳簿保存の要件に対応する構成(優良な電子帳簿の経路では、税務署への届出書の提出が利用者側の手続きとして別途必要) |
| e-Tax | ソフトから直接送信(確定申告e-Taxオンライン。マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンでの電子署名が必要) | 国税庁のe-Taxソフトへ書き出して送信(ソフト本体からの直接送信ではない) |
| 消費税申告(インボイス登録後) | 対応(セルフプラン付きの本体から消費税申告書を作成可) | 対応(本体44,000円に含む。原則課税方式・簡易課税方式とも出力可) |
| 電子帳簿保存法(JIIMA電子帳簿ソフト認証) | あり(100700-01) 一覧の登録名は「弥生会計、やよいの青色申告」(Ver.29.0.1以降) | あり(100402-02、主製品「MA1」の派生製品) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月1日時点で各社の公式サイトを確認した内容です。金額は税込・年額にそろえ、公式が税抜表記のやよいの青色申告 26 は税込に換算しています(例: あんしん保守サポート セルフプラン 10,300円+税=11,330円)。買い切り型のため、本体価格と2年目以降の保守・サポート更新料を分けて記載しています。電子帳簿保存法の行は、JIIMAの「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得しているかどうかだけを示します。国税庁は、この認証が満たすのは「優良な電子帳簿」の機能要件であり、事務手続関係書類の備付けなど機能以外の要件も別途満たす必要があると案内しています。認証の有無は、要件を満たしていることの証明ではありません。
個人事業主向け会計ソフトおすすめ16選
ここからは、16製品をタイプごとに紹介します。自分に当てはまる型のところだけを読んでも、候補を絞り込めるようにしています。
1〜3. 簿記を学ばずに、記帳から確定申告まで終わらせたい人向け
簿記の知識がないまま、記帳から青色申告決算書の作成、e-Taxでの提出までを1本で終わらせたい人はこの3製品が候補になります。自動仕訳の精度と、初めての申告を支えるサポートの厚みが選び分けの中心です。
1. freee会計(フリー株式会社)

クラウド会計ソフトのfreee会計には、個人事業主向けにスターター・スタンダード・プレミアム・入力おまかせの4プランが用意されています。年払いの年額は税抜でそれぞれ11,760円、23,760円、39,800円、49,800円、無料お試しは全プラン30日間です。
確定申告書類の作成は青色・白色とも全プランで行え、複式簿記での記帳とe-Taxでの電子申告により青色申告特別控除65万円の要件を満たせます。銀行口座・クレジットカード・決済サービスなど1,000以上のサービスとの自動連携も全プラン共通です。
気をつけたいのはプランの境界で、消費税申告(インボイス制度対応)はスタンダード以上、電話サポート・税務調査サポート・データ移行代行はプレミアム以上が対象です。入力おまかせでは、オペレーターによる入力・仕訳の代行が加わります。
JIIMAの認証は、スキャナ保存と電子取引の区分で取得しています。電子帳簿ソフトの区分での認証はないため、優良な電子帳簿の経路で65万円控除を受けたい場合は、要件の満たし方を個別に確認してください。
2. やよいの青色申告 オンライン(弥生株式会社)

3つのプランが並びますが、使える機能はどれも同一で、違いはサポートの範囲だけです。2年目以降の年額は税抜でセルフ11,800円、ベーシック22,800円、トータル39,600円。セルフとベーシックは1年間無料、トータルは初年度半額の19,800円(税抜)というキャンペーン価格が案内されています。
Web FAQだけのセルフに対し、ベーシックでは電話・メール・チャットと画面共有が使えます。仕訳や経理業務、確定申告そのものの相談まで受けられるのはトータルプランです。青色申告決算書・確定申告書に加え、消費税申告書もどのプランでも作成できます。
作成した申告データは、ソフト内からe-Taxへ送信できます。確定申告e-Taxオンラインの利用には、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要です。銀行・クレジットカードの明細は連携可能なサービス2,500件以上(うち金融機関1,100件以上)から取り込め、AIが仕訳を提案します。
JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証は2026年4月に取得しています。スマホアプリ「弥生 申告」が担うのは取引入力とレシート撮影までで、申告書類の作成はWindowsまたはMacのパソコンで行います。農業所得用・現金主義用の決算書には対応していません。
3. ジョブカン青色申告(株式会社ジョブカン会計)

旧「ツカエル青色申告オンライン」が2024年2月に改称した、ブラウザから使うクラウド型の申告ソフトです。料金は1ライセンス年額13,200円(税込)の一本で、1ライセンスにつき最大3名まで同時に利用できます。新規登録から30日間は全機能を無料で試せます。
電子申告は、ソフトから直接送信する方式ではありません。申告データを拡張子.xtxのファイルに書き出し、国税庁のe-Taxソフト(ダウンロード版またはWEB版)に取り込んで送信する連携方式です。
青色申告決算書は一般・不動産・農業・兼業に対応し、確定申告書と消費税申告書も作成できます。公式サイトでは最大65万円の青色申告特別控除への対応を明記しており、JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証も2024年4月に取得しています。
銀行明細・クレジットカードの自動取込に対応し、適格請求書に対応した仕訳入力、税率別の消費税自動集計、登録番号の設定・印刷も備えます。問い合わせ窓口の対応時間は平日9時30分〜17時です。
4〜6. 費用をかけずに申告まで済ませたい人向け
白色申告や少額の副業で、無料または低価格のまま申告まで到達したい人向けの3製品です。無料の範囲がどこまでかは製品ごとに違うため、その差に注目して読んでください。
4. やよいの白色申告 オンライン(弥生株式会社)

フリープランには期間の制限がなく、確定申告書の作成もe-Taxも金融機関連携も無料のまま使えます。3プランで使える機能は同一で、差はサポート範囲のみ。2年目以降の年額は税抜でベーシック11,500円、トータル21,000円、初年度はベーシックが1年間無料、トータルが半額の10,500円(税抜)です。
フリープランのサポートはWeb FAQに限られます。電話・メール・チャットと画面共有はベーシックから、仕訳や経理業務、確定申告の相談はトータルからの対応です。
作成できるのは収支内訳書・確定申告書・消費税申告書で、減価償却費と家事按分の計算にも対応します。白色申告向けの製品のため、青色申告特別控除は利用できません。確定申告e-Taxオンラインでの申告と、e-Tax申告データのダウンロードに対応しています。
金融機関は全国1,100件以上、連携可能なサービスは2,500件以上(2025年8月時点)と公式ページに記載があります。スマホアプリが担うのは取引入力とレシート撮影までで、書類の作成にはWindowsまたはMacのパソコンが必要です。電子帳簿保存法は機能一覧に対応の記載がある一方、JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証を本製品が取得したという公式発表は見当たりません。
5. フリーウェイ経理Lite(株式会社フリーウェイジャパン)

パソコンにインストールして使う会計ソフトで、動作環境として公式に案内されているのはWindows 11とWindows 10です。無料版は期間の制限なく使え、インストールもバージョンアップも税制改正への対応も無料の範囲に含まれます。
有料の企業版は月額3,000円・年額36,000円(いずれも税抜)で、会社や個人ごとにデータを分ける場合はデータ数分の利用料がかかります。明細の自動仕訳や部門管理、電話・メール・遠隔サポートは企業版の機能で、無料版は仕訳・出納帳の手入力と、FAQ・マニュアル・動画での自習が基本になります。
決算書と試算表の出力は無料版でも行えます。電子申告は、e-Tax読み込み用の財務諸表ファイルを出力し、国税庁のe-Taxソフトに読み込ませる方式です。インボイス制度には、適格請求書発行事業者の登録番号の管理を含め、無料版でも追加費用なしで対応します。
電子帳簿保存法については、現行のVer7.12が非対応です。2026年9月以降にリリース予定のVer8.00で対応が入る予定ですが、公式FAQによれば対応の対象はフリーウェイ経理Proと顧問先版で、無料版・企業版は対象外とされています。
6. 円簿青色申告(株式会社円簿インターネットサービス)

簿記の知識がなくても入力できる画面を掲げるクラウド型の青色申告ソフトで、インストールは不要です。Windows・Mac・タブレット・スマートフォンのブラウザから使え、メールアドレスのほかYahoo! IDや楽天IDでもログインできます。
初期費用も月額料金もかからず、公式ページの本文は機能限定なしで無料と説明しています。ただし同じページの脚注には「無料期間は新規ご登録から1年間」と記載があり、1年が過ぎた後の扱いについての説明は見当たりません。登録前に問い合わせて確かめておきたい点です。
公式ページでは、複式簿記での記帳と、最高65万円控除の青色申告に対応する決算書を作成できると案内しています。銀行口座・クレジットカードの明細取込、レシート撮影による入力補助、3期分のデータ保存、弥生の青色申告データからの移行も用意されています。
一方で、e-Taxとの直接の連携機能はありません。公式FAQによれば、作成した決算書の内容を確認しながら、利用者自身が国税庁のe-Taxサイトへ入力して電子申告する運用になります。消費税申告やインボイス制度への対応は、サービスページ上に記載が見当たりません。
7〜9. スマホだけで記帳から提出まで終わらせたい人向け
移動中や外出先で記帳を済ませ、提出までスマホで完結させたい人はこの3製品を比べてください。アプリ単体でどこまでできるかが製品ごとに異なります。
7. マネーフォワード クラウド確定申告(株式会社マネーフォワード)

銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、青色申告決算書と確定申告書第一表〜第四表までを作成できる、株式会社マネーフォワードの個人事業主向けクラウドソフトです。専用アプリはマイナンバーカードの読み取りからe-Taxでの提出まで対応し、消費税申告書もアプリから送信できます。利用にはiOS 13以上またはAndroid 6以上の端末が必要です。
個人向けは3プランで、年払いの場合、パーソナルミニが月額900円(年額一括10,800円)、パーソナルが月額1,280円(年額一括15,360円)、電話サポートの付くパーソナルプラスが月額2,980円(年額一括35,760円)です(いずれも税抜)。レシート撮影の無料件数は順に月15件・30件・100件で、超過分は1件20円(税抜)がかかります。
注意したいのはプランの境界です。消費税の申告に対応するのはパーソナル以上で、最安のパーソナルミニでは消費税申告ができません。インボイス制度の登録を受けている、またはこれから受けるなら、パーソナル以上の価格で見積もってください。
複式簿記で記帳し、e-Taxで電子申告すれば青色申告特別控除65万円の要件を満たせると公式に案内されています。連携先は公式サイトで銀行・カードなど2,300以上とされ(2026年8月時点)、サポートはメール・チャットが基本で、電話が付くのはパーソナルプラスだけです。無料のお試し期間は1か月あります。
8. タックスナップ(株式会社タックスナップ)

レシートをスマホのカメラで撮影し、スワイプ操作で仕訳を確定していく記帳方法をとる確定申告アプリです。株式会社タックスナップが2023年7月にリリースしたもので、借方・貸方を意識せずに記帳を進められる操作を想定しています。
青色申告決算書と確定申告書を作成でき、マイナンバーカードを使ったe-Tax提出もアプリから行えるため、記帳から提出までをスマホだけで終えられます。一方で、複式簿記への対応は公式サイトに明記がありません。
料金は税抜で、カンタンプランが年払い月額980円(年額11,760円)、月払い1,780円です。仕訳を任せられる安心プランは年額29,800円(月額換算2,483円)、レシートを郵送して入力を代行してもらうレシート郵送プランは年額59,760円(同4,980円)となっています。無料プランは控除のみの申告や雑所得の申告に向けたもので、事業所得の青色申告は有料プランが前提です。
無料トライアルは、公式サイトで「14日間無料キャンペーン中」と案内されています。税務調査で追徴課税が発生した場合に利用料を全額返金する保証も掲げており、適用条件は問い合わせが必要です。freee・マネーフォワード クラウド・弥生などからのデータ移行にも対応します。
65万円控除は、税理士による推薦コメントのなかで触れられているだけで、製品仕様としての明記は確認できません。消費税申告(インボイス)と電子帳簿保存法への対応内容、パソコンからの利用可否も公式サイトからは読み取れないため、申し込み前に提供元へ確認してください。
9. 確定申告FinFin(会計バンク株式会社)

会計バンク株式会社が提供するスマートフォン専用アプリで、2026年5月1日に「スマホ会計FinFin」から現在の名称へ変わりました(機能・利用方法の変更はありません)。開発元は、会計王シリーズのソリマチグループでFinTech事業を担う会社です。
銀行口座・クレジットカード・電子マネーの連携とAI-OCRによるレシートの読み取りで仕訳を作り、質問に答える形で申告書を仕上げる流れです。マイナポータル連携にも対応し、青色申告決算書・確定申告書に加えて消費税申告書の作成と提出まで扱えます。e-Taxへの送信はマイナンバーカードで行います。
料金は税抜で、かんたんプランが年払い月額940円(年額11,273円)、月払い1,318円です。レシート画像からAIが控除項目を判定する機能が付くまるなげ控除プランは年額18,000円(月額換算1,500円)となっています。無料プランは仕訳や口座登録などの基本機能にとどまり、確定申告書の印刷やe-Tax送信は有料プランで利用します(有料機能は14日間試せます)。
公式サイトには複式簿記への対応を示す記載がなく、青色申告特別控除65万円をこのアプリだけで満たせるかは公式の情報からは判断できません。65万円の控除を前提にするなら、複式簿記による帳簿と貸借対照表を作成できるかを申し込み前に提供元へ確認してください。
適格請求書の発行は別アプリの「請求書FinFin」が担い、電子帳簿保存法への対応については公式サイトに記載がありません。パソコン版は提供されていないため、決算前の確認や修正もスマホの画面で行うことになります。
10〜14. 毎年の利用料を払い続けたくない人向け
毎年の利用料を避けて買い切りで済ませたい人向けの5製品です。対応OSと、2年目以降に税制改正へ対応した版を使うための条件が判断の軸になります。
10. みんなの青色申告(ソリマチ株式会社)

1事業所の確定申告と青色申告決算書の作成に用途を絞った、個人事業主専用のソフトです。ソリマチ株式会社が展開する「みんなのシリーズ」の申告特化製品にあたり、対応OSはWindows 11のみで、macOSでは使えません。
本体は10,780円(税込)の買い切りで、初年度は年間保守「バリューサポート」が無償で付きます。2年目以降のバリューサポートは年額7,700円(税込)です。加入しなくてもソフト自体は使い続けられますが、法令改正への対応版の提供と電話サポートは受けられなくなります。
製品ページには、全国99%の銀行やクレジットカードと連携して入出金データを一括で取り込めること、インボイス制度と改正電子帳簿保存法への対応が記載されています。公式の機能一覧には消費税申告書作成も明記され、電子申告は確定申告・電子申告用のソフトを無料で使う形です。
65万円控除は製品ページに記載がなく、同社の電子帳簿保存の特設ページで対象製品として案内されているにとどまります。優良な電子帳簿の経路で受けるなら、税務署への届出書の提出が別途必要になる点も含めて、購入前に提供元へ確認してください。
11. ジョブカンDesktop 青色申告(株式会社ジョブカン会計)

かつて「ツカエル青色申告」の名称で販売されていた製品で、2021年11月18日のシリーズ改称により現在は「ジョブカンDesktop 青色申告」として販売されています。対応OSはWindows 11(Sモードを除く)で、Windows 10は2025年10月14日でサポート保証が終了しました。
パッケージ版は8,140円(税込)で利用期間の制限がなく、ダウンロード版は5,500円(税込)で基本使用サービス期間が12ヶ月です。どちらも12ヶ月間は電話・Web対応などの基本使用サービスが付き、パッケージ版は期間終了後も本体機能を使い続けられます(電話サポートは終了)。
65万円の青色申告特別控除への対応が製品ページに明記され、消費税申告書も作成できます。電子申告は国税庁のe-Taxソフトへデータを渡す方式で、ソフトから直接は送信しません。
銀行・クレジットカード明細の取り込みは、パッケージ版では基本使用サービスの期間内に限られます。電子帳簿保存法は購入者が無料で使える別製品「ジョブカン電子帳簿保存」との連携で対応し、インボイス制度への対応は製品ページに記載がありません。
12. やるぞ!青色申告(株式会社リオ)
株式会社リオが開発するインストール型の申告ソフトで、Windows 11・10 と macOS 12〜15・26 の両方に対応します。買い切りのパッケージ版・ダウンロード版のほか、定期購入版も用意されています。
製品は年度ごとの版で提供され、2026年版のフルサポートパックは正規販売代理店であるソースネクストの販売価格で10,799円(Windows)/11,799円(Mac)です。メールサポートのみの「かんたん節税申告パック」もありますが、2026年版の価格は公開情報からは確認できません。サポート期間は公式サイトに記載がなく、確定申告の受付期間中は土日祝も受け付けます。
提供元である株式会社リオの直販ショップには、最大65万円の青色申告特別控除・e-Taxでの申告・消費税申告書の作成・インボイス制度・電子帳簿保存法のいずれにも対応すると明記されています。ただし電子申告の方式(直接送信か書き出しか)までは記載がありません。
銀行・クレジットカード連携についての案内は、確認できた範囲の製品情報には見当たりません。明細の自動取込を前提にするなら、購入前に提供元へ確認してください。
13. MJSかんたん!青色申告(株式会社ミロク情報サービス)

白色申告と青色申告のどちらにも使えるインストール型ソフトで、法人向け会計システムを手がけるミロク情報サービス(東証プライム上場)が提供しています。対応OSはWindows 11・10・8.1です。
本体はオープン価格で、認定販売店では現行版「かんたん!青色申告13」単体が5,990円、あんしん!サポートパッケージ1年付きが9,400円で販売されています。更新料は旧版向けの表記例で1年5,500円(税込)です。サポートに加入しない単体版はアップデートの提供が3か月間のみで、翌年の税制改正に対応するには新版の購入かサポート加入が要ります。
複式簿記での記帳と貸借対照表・損益計算書の作成に対応するため、65万円控除の要件を満たせます。電子申告は国税庁のe-Taxソフト向けにデータを書き出す方式です。銀行口座とクレジットカードの明細は自動で取り込め、インボイス制度にも対応します。電子帳簿保存法についてはJIIMA認証の取得が案内されていますが、本製品単体の認証かどうかは公開資料からは判別できません。
14. 青色申告らくだ(株式会社ビーエスエルシステム研究所)

公式に「個人事業者専用」と明記された複式簿記方式のソフトで、給与計算の「給料らくだ」などを手がけるビーエスエルシステム研究所(1992年設立)が販売しています。自宅兼事務所の家事按分、青色申告決算書・白色申告・確定申告書Bの作成に対応します。
現行版「青色申告らくだ26」は、流通している販売情報では定価13,200円(税込)です。購入後1年間は無償の保守が付き、2年目以降は有償の年間保守サービスに加入することで法改正対応版やアップデートを受け取れます。保守の年会費は公式ページの確認できる範囲には記載がありません。
青色申告特別控除については「最高55万円」と「最大65万円」の表記が混在しており、65万円控除の要件(電子申告または優良な電子帳簿保存)を満たせるかは明示されていません。電子申告の方式、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応、銀行・クレジットカード連携、対応OSも公開情報からは読み取れないため、いずれも購入前に提供元へ確認する必要があります。
15〜16. 買い切りで使いながら、サポートや事業の広がりにも備えたい人向け
買い切りを選びつつ、電話サポートや事業の広がりにも備えたい人はこの2製品が対象です。初年度費用と保守料が上がる分、何が付くのかを確認しながら読み進めてください。
15. やよいの青色申告 26(弥生株式会社)

簡易帳簿の入力から複式簿記の帳簿への自動転記、決算書と確定申告書の作成、e-Taxでの送信までを1本でまかなうインストール型ソフトです。Windows 11 専用で、Macでは使えません(Macの場合は同社のクラウド版が対象になります)。
費用は本体の購入価格とあんしん保守サポートの年間契約の2階建てです。本体はセルフプラン付きが通常24,300円、オンラインストア価格14,000円(いずれも税抜)で、初年度のサポート料を含みます。2年目以降はセルフプラン10,300円・ベーシックプラン17,250円・トータルプラン30,000円の年額(税抜)がかかり、更新しない場合は最新版へのアップデートとサポートを受けられなくなります。
電子申告は「確定申告e-Taxオンライン」からソフト内で直接送信でき、マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンでの電子署名が必要です。
銀行明細の自動仕訳は連携先が金融機関1,100件以上(2025年8月時点、公式機能ページ)、インボイス制度は受領した請求書の登録番号から適格請求書を判定する機能で対応します。電子帳簿保存法は電子取引とスキャナ保存に対応し、JIIMA認証(認証番号100700-01)を取得しています。
16. 会計王(ソリマチ株式会社)

会計王は個人事業主と法人の両方を対象にした会計ソフトで、2事業所以上の登録や経営分析にも対応します。確定申告だけが目的なら同社のみんなの青色申告のほうが用途に合い、法人化や事業所の追加を見込む場合にこちらが候補になります。対応OSはWindows 11で、Macには対応しません。
本体は44,000円(税込・1ライセンス)の買い切りで、初年度の年間保守「バリューサポート」は無償、電話サポートは購入後最大15ヶ月まで無償で付属します。2年目以降のバリューサポートは年額38,500円(税込)で、同社のみんなの青色申告の7,700円とは開きがあります。30日間の無料体験版も用意されています。
青色申告決算書・白色申告収支内訳書・消費税申告書を作成でき、インボイス制度と改正電子帳簿保存法に対応します。JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証を取得しています(認証番号100402-02、主製品「MA1」の派生製品。ソリマチ公式サイトには認証区分の明示はありません)。
65万円控除は電子申告または優良な電子帳簿保存の要件に対応する構成で、税務署への届出書の提出は利用者側の手続きになります。
電子申告は作成した申告データを国税庁のe-Taxソフトへ渡す方式で、銀行・カード明細の取り込みはMoneyLinkが担います。
個人事業主向け会計ソフトの選び方
比較表と個別紹介で候補が絞れたら、次の5つの観点を自分の状況に当てはめて確かめます。費用の実額と制度の要件は、この後の2つの章で詳しく扱います。
自分が使っている銀行口座・カード・決済サービスが連携できるか
記帳の手間がどれだけ減るかは、明細を自動で取り込めるかどうかでほぼ決まります。対象になるのは、事業用の入出金がある口座、経費の支払いに使うカード、売上が入る決済サービスの3つです。
連携できる金融機関の数は各社が公表していますが、数が多くても自分の使っている先が含まれていなければ意味がありません。ネット銀行や地方銀行、個人名義のカード、キャッシュレス決済のアカウントは対応が分かれます。
確かめる順序は、公式サイトの対応金融機関一覧で名前を探し、無料期間のうちに実際に連携して明細が取り込めるところまで試すことです。取り込めない口座が残るなら、その分は手入力になると見込んで判断してください。
使っている端末とOSで使えるか(Windows/Mac/スマホアプリ)
インストール型はWindows専用の製品が多く、Macで使えるものは限られます。Macを使っているなら、ブラウザで動くクラウド型か、macOSに対応した数少ないインストール型に候補が絞られます。
スマホアプリは、あるかないかではなく、どこまでできるかを確かめることが重要です。レシート撮影と仕訳の確認までのアプリと、申告書の作成と送信まで完結するアプリでは、確定申告期の動き方が変わります。
クラウド型・インストール型・スマホアプリ型の違いと選び分け
クラウド型はブラウザで使い、税制改正への対応や機能の追加が自動で反映されます。パソコンとスマホの両方から同じデータを扱える一方、費用は毎年発生します。
インストール型はパソコンに入れて使い、本体を買えばその年の申告は追加費用なしで終えられます。翌年以降に税制改正へ対応した版を使うには、保守契約の更新か買い直しが必要です。
スマホアプリ型は入力の手軽さが強みで、外出先でその場で記帳できます。長い明細の確認や決算前の修正はパソコンのほうが速いため、年に一度の作業をどこで行うかで選び分けるのが一般的です。
運用で最も差が出るのは、税制改正や様式の変更がどう届くかです。クラウド型は提供元が対応した時点で画面に反映され、インストール型は保守契約の更新か買い直しをしない限り前年の版のまま残ります。
どの形態から検討するかの目安は前掲の5タイプで示したとおりです。長く使う前提なら、この更新の手間と費用まで含めて比べてください。
請求書作成など、記帳以外の機能まで必要か
取引先へ請求書を出す人は、請求書の作成と発行を会計ソフト側でできるかを確かめることが重要です。ソフト内で発行すれば売上の仕訳が自動で立ち、別のツールと金額を突き合わせる手間がなくなります。
インボイス制度の登録を受けているなら、登録番号や税率ごとの区分を記載した請求書を出せるかの確認も望まれます。見積書や納品書、入金の消込まで要るかは事業の形で変わるので、使わない機能のために上位プランを選ばないでください。
発行する件数が多く、会計ソフトに付いている請求書機能では足りない場合は、請求書の発行に特化したシステムを別に使う選択肢もあります。次の記事では、22サービスを対応できる業務範囲でタイプ分けし、料金と無料で使える範囲、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応を比較しています。
サポートの範囲と条件(電話・チャット・確定申告期の対応)
サポートは、付くかどうかより何を聞けるかで比べることが重要です。操作方法だけに答える窓口と、仕訳や確定申告の相談まで受ける窓口では、同じ「サポート付き」でも中身が違います。
クラウド型にはプランの差がサポート範囲だけという製品もあり、機能は同じまま上位プランで電話やチャットが付きます。インストール型は保守契約の中にサポートが含まれ、更新しなければ翌年以降は問い合わせができません。
確定申告期は問い合わせが集中します。土日祝の対応や返答までの目安を公式サイトで確認し、初めて申告する年は相談できる窓口のあるプランを選ぶという判断もあります。
料金の目安(プラン・支払条件・初年度と2年目以降)
ここからは、年間にいくら払うことになるのかを、支払い方と初年度・2年目以降の別に分けて見ていきます。製品ごとの実額は前掲の比較表で確認できます。
クラウド型は年払いにすると年額1万円台から始まり、消費税申告や電話サポートが付く上位プランで3万円台から5万円台になります(2026年8月時点、本記事で取り上げる製品の公式料金を税込・年額に換算)。
インストール型の買い切りは、本体が5,000円台から4万円台までの幅があります。初年度はサポートが本体価格に含まれる製品が多く、2年目以降は保守・サポートの更新料として年額5,000円台から3万円台がかかります。
買い切りのほうが安く済むかどうかは、3年ほどの期間で足し合わせると見えてきます。
本体1万円台の買い切り型に年7,000円台の保守を2年分足すと、3年の支払総額は2万6,000円台になります。初年度が無料で2年目以降が1万3,000円弱のクラウド型も3年で2万6,000円弱になり、総額はほぼ並びます。
差がつくのは保守を更新しない場合です。買い切り型は本体価格だけで使い続けられる代わりに、税制改正に対応した版と電話サポートを受け取れなくなります。製品ごとの実額は比較表で確認してください。
初年度が無料や半額になるキャンペーンを実施している製品では、2年目から通常価格に戻ります。契約前に、キャンペーン終了後の年額と、消費税申告を始めたときに必要になるプランの価格まで確かめておくと、想定外の増額を避けられます。
支払い方は、月払いより年払いのほうが割安になる製品が多く見られます。月額表示だけを見て年間の負担を見誤らないよう、12か月分に直して比べてください。
無料の会計ソフトでどこまでできる?(無料プラン・無料期間の実態)
「無料」と書かれていても、中身は3つに分かれます。期間の制限なく使える恒久無料、30日や1か月といった試用期間つき、機能を絞った無料プランの3つです。
恒久無料でも、全機能が使えるものと、自動仕訳や明細の自動取り込みが有料版だけのものがあります。試用期間つきの製品では、期間中に決算・申告の機能を試せないことがあり、申告の直前になって使えないと気づく事態が起きます。
無料の範囲から外れやすいのは、確定申告書の印刷とe-Taxへの送信、明細の自動取り込みと自動仕訳、電子帳簿保存法(優良な電子帳簿)への対応、電話やチャットの有人サポートです。
公式サイトの本文で「ずっと無料」とうたいながら、ページの脚注に無料期間を1年と記した製品もあります。料金ページは注記まで読み、無料の期間が終わった後にいくらかかるのかを確かめてから登録してください。
月額数百円のアプリの中には、帳簿づけと集計に用途を絞り、確定申告書そのものを作れない製品もあります。記帳の手間は減っても申告には別のソフトが要るため、申告書の作成機能があるかを最初に確認します。
本記事で取り上げた16製品を確認した限りでは、恒久的に無料のまま青色申告特別控除65万円とインボイス登録後の消費税申告まで満たせる製品はありませんでした(初年度無料のキャンペーンを除く)。
恒久的に無料で使える製品は、白色申告専用か、65万円控除の要件を満たせるかを公式に確認できないか、無料期間について別の記載があるかのいずれかでした。青色申告で65万円を取りたいなら、費用の見積もりは初年度無料のキャンペーンか有料プランから始めることになります。
会計ソフトの費用は経費にできる?勘定科目の扱い
事業のために使う会計ソフトの購入費や利用料は、事業所得の必要経費として処理できます。私用と兼ねている場合は、事業で使う割合の分だけを計上します。
クラウド型の月額・年額の利用料は、通信費や支払手数料、消耗品費といった科目から選んで処理します。どの科目にするかよりも、いったん決めた科目を毎年変えずに使い続けるほうが、帳簿の見やすさでは効いてきます。
買い切りのパッケージを購入した場合は、金額によって、その年の経費として一括で処理するか、資産に計上して数年に分けて償却するかが分かれます。判断に迷う金額なら、税務署の窓口や税理士に確認してから処理してください。
会計ソフト選びで押さえる制度対応
ここからは、購入の判断に直結する3つの制度対応を確認します。青色申告特別控除、インボイス登録後の消費税申告、電子帳簿保存法の順に見ていきます。
青色申告65万円控除の要件をソフト側で満たせるか(複式簿記+e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿での保存)
国税庁は、65万円の控除を受けるための要件を次のように示しています。
65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
(1) 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。
(2) 次のいずれかに該当していること。
イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記<参考>参照)を行っていること(※注1)。
ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと(※注2)。(※注1)(2)イに該当している場合で、令和4年分以後の青色申告特別控除(65万円)の適用を受けるためには、その年分の事業における仕訳帳および総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行い、一定の事項を記載した届出書を提出する必要があります。
出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁
複式簿記での記帳、決算書の添付、期限内の申告に加えて、e-Taxでの提出か優良な電子帳簿での保存のどちらかを満たす形になっています。
このうちソフトの機能だけで完結するのは、e-Taxの経路です。優良な電子帳簿の経路は、要件を満たした保存に加えて届出書の提出が必要で、認証を受けたソフトを入れただけでは条件を満たしません。
e-Taxには、本人確認の方法としてマイナンバーカード方式とID・パスワード方式があります。後者について、e-Taxは次のように説明しています。
ID・パスワード方式とは、「確定申告書等作成コーナー」でのみ利用できる送信方式です。
※ ID・パスワード方式は、令和9年分確定申告からは利用できなくなる予定です。
出典:ID・パスワード方式について|e-Tax(国税電子申告・納税システム)
ID・パスワード方式は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」専用の送信方式で、会計ソフトから送信する経路では使えません。ID・パスワードは令和7年(2025年)10月1日に新規発行が停止されており、これから電子申告を始める人はマイナンバーカードを用意することが前提になります。
出典・参考資料(1件)
製品側の実装は3つに分かれます。ソフトの画面から直接送信できるもの、申告データ(拡張子.xtx)を書き出して国税庁のe-Taxソフト(WEB版)で読み込んで送信するもの、決算書までを作って申告書は自分で作成コーナーに入力するものです。

2027年分(令和9年分)の所得税からは、青色申告特別控除の区分が変わります。所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)が令和8年(2026年)3月31日に成立・公布され、附則第33条で令和9年分(2027年分)以後の所得税について適用すると定められました。
改正後は、現行の55万円の区分にe-Taxでの提出が適用要件として加わったうえで、控除額が65万円へ引き上げられます。さらに仕訳帳と総勘定元帳について電子帳簿保存法の定めに従って電磁的記録の保存等を行っている場合に75万円となり、その細目は財務省令に委ねられている部分があります。
10万円の区分は廃止ではありません。取引を「正規の簿記の原則に従って記録していないもの」のうち、前々年分の収入金額が1,000万円を超える人が対象から外れる形の見直しです。
次に行う申告は令和8年分(2026年分、申告は2027年2〜3月)で、そこには現行の55万円・65万円・10万円の区分が適用されます。75万円が関係してくるのは2028年春の申告からで、いま選ぶソフトにはまず現行の65万円の要件を満たせることを求めれば足ります。
出典・参考資料(3件)
インボイス登録後の消費税申告まで同じプランで完結するか
適格請求書発行事業者の登録を受けると、消費税の申告が必要になります。国税庁は「課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合には、納税義務は免除されません」と示しています。
ここで見落としやすいのが、会計ソフトのプラン境界です。最も安いプランでは消費税申告に対応せず、1段上のプランでなければ消費税の申告書を作れない製品があります。
所得税の申告だけを見て最安プランを選ぶと、登録した年の申告期に契約を変更することになります。登録済みか、近いうちに登録する予定があるなら、消費税申告に対応する最小のプランの価格で比べてください。
納付額を抑える特例にも期限があります。2割特例を適用できるのは令和5年(2023年)10月1日から令和8年(2026年)9月30日までの日の属する各課税期間で、個人事業者は令和8年分の申告が最後です。
令和9年分(2027年分)・令和10年分(2028年分)は3割特例に切り替わり、いずれも確定申告書にその旨を付記して適用します。
出典・参考資料(3件)
電子帳簿保存法への対応が必要になる場面
電子帳簿保存法が関わってくるのは、65万円控除を優良な電子帳簿の経路で受ける場合と、帳簿を紙ではなく電子データのまま保存したい場合です。
優良な電子帳簿の要件は、訂正削除履歴の保存等、帳簿間の相互関連性、検索機能の確保の3つです。仕訳帳・総勘定元帳がこの要件を満たす形で保存されている必要があります。
出典・参考資料(1件)
比較表の電子帳簿保存法の欄は、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の電子帳簿ソフト法的要件認証の有無を示しています。この認証について、国税庁は次のように注意を促しています。
※JIIMAが認証した電子帳簿ソフトは、電子帳簿保存法における「優良な電子帳簿」の機能要件を満たしたものです。ただし、電子帳簿保存法の保存等の要件には、事務手続関係書類の備付けに関する事項等、機能に関する事項以外の要件もあり、それらを含め全ての要件を満たす必要がありますのでご注意ください。また、認証ソフトがご自身が作成している帳簿に対応しているかもご確認ください。
出典:JIIMA認証情報リスト|国税庁
JIIMA自身も、認証が何を保証するものかを次のように限定しています。
本認証制度は、あくまで認証基準に基づき、電子帳簿ソフト製品が電子帳簿保存法、電子帳簿保存法施行規則、通達等、及びその他の税法に定められた機能を有することを、製品のマニュアル等のみで評価し認証するものであり、それ以外の事項を保証するものではありません。
出典:電子帳簿ソフト法的要件認証制度|公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)
認証があることは、ソフトが機能要件を満たしていることの確認までで、要件を満たした運用ができている状態を示すものではありません。事務手続関係書類の備付けなど利用者側で行う準備が別に必要で、65万円控除を優良な電子帳簿の経路で受けるなら届出書の提出も要ります。
無料版が対応の対象から外れる製品もあります。認証の有無を見るときは、自分が使うプランやエディションが対象に含まれているかまで確かめてください。
電子帳簿保存法には、ここで扱った帳簿の電子保存のほかに、紙の領収書などをスキャンして保存する区分と、メールやWebでやり取りした請求書・領収書を電子データのまま保存する区分があります。後者は個人事業主も含めて対応が必要です。
制度全体で何が求められ、対応にどこまで手間がかかるのかは次の記事で整理しています。
会計ソフトを使うメリットと、導入前に知っておきたい注意点
ここからは、導入後につまずきやすい点も含めて、会計ソフトを使うことの効果と限界を整理します。
会計ソフトを導入するメリット
銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めるため、通帳とレシートを見ながら1件ずつ入力する時間がなくなります。取引の件数が多い事業ほど差が出ます。
簿記の知識がなくても、入力した取引から仕訳帳・総勘定元帳・貸借対照表までが組み立てられ、青色申告特別控除の要件を満たす形の決算書が手元に残ります。
税率や様式の変更には製品側が対応するため、改正のたびに自分で調べ直す負担が減ります。前年のデータが残っていれば、2年目以降は勘定科目の推測も当たりやすくなります。
導入前に知っておきたいデメリットと注意点
自動仕訳は万能ではありません。取り込んだ明細の勘定科目は推測にもとづくため、事業と私用が混ざる支出や、複数の取引がまとまった入金は自分で直す必要があります。
連携できない金融機関や決済サービスの分は手入力になります。契約前に対応先を確認しないまま始めると、期待した省力化が得られません。
クラウド型は使い続ける限り毎年費用がかかり、解約後にデータをどこまで見られるかは製品ごとに違います。買い切り型は初期の支出を抑えられる一方、税制改正に対応した版を使うために更新費用がかかります。
無料や格安の製品では、確定申告書を作れない、e-Taxに送信できないといった制限が、申告の直前に問題として表面化することがあります。
導入から確定申告までの流れ
ここからは、ソフトを選んでから提出までの手順を、順を追って確認します。

まず申告方式を決めてください。青色申告を選ぶ場合は税務署への事前の手続きが必要になるため、開業したばかりなら申請の期限を先に確認しておくことが重要です。
次に候補のソフトを無料期間中に触り、事業用の口座とカードを連携して明細が取り込めるところまで試してください。取り込めない先が多い製品は、契約後の手間が増えることになります。
使う製品を決めたら、年初からの取引を記帳します。年の途中から使い始める場合は、期首の残高とそれまでの取引をさかのぼって入力する作業が最初に発生します。
記帳が終わったら決算書を作成し、確定申告書へ反映します。e-Taxで提出するなら、マイナンバーカードと、カードを読み取る機器(スマートフォンまたはICカードリーダー)の準備が望まれます。
提出したら、帳簿と決算書を保存します。電子データのまま保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす形になっているかを確認してください。
出典・参考資料(1件)
無料トライアル中に自分の口座・カードを実際につないで確かめる
対応金融機関の一覧に名前があっても、実際の取り込みでつまずくことがあります。支店や口座の種類によって連携できない場合や、ネットバンキングの契約が前提になる場合があるためです。
無料期間のうちに、事業用の口座、経費の支払いに使うカード、売上が入る決済サービスを1つずつ連携し、直近の明細が取り込めるかを確かめてください。仕訳の候補がどれくらい当たるかも見ておくと、契約後の手間を見積もれます。
試用期間中に決算・申告の機能を使えない製品もあります。申告まで試せない場合は、公式サイトの操作画面の説明やサポート範囲で補って判断してください。
乗り換え・法人化のときにデータをどう引き継ぐか(年の途中から/他のソフトから/法人化したとき)
年の途中で使い始めるときは、期首の残高と、それまでの取引を入力し直します。取引件数が多いなら、明細の自動取り込みが年初までさかのぼれるかを先に確認しておくことが重要です。
他のソフトから乗り換えるときは、前のソフトから仕訳や残高をCSVで書き出し、新しいソフトの取り込み形式に合わせます。項目名の対応づけが必要になることが多く、書き出せる範囲は製品によって違います。
法人化したときは、個人事業の帳簿は個人の申告で完結し、法人は別の帳簿を新たに作ります。同じ提供元に法人向けの製品があるかを見ておくことが望まれます。
移行の手間は、切り替える時期によっても変わります。乗り換えに向くタイミングの見極め方と、データを移す手順・つまずきやすい点は次の記事で詳しく解説しています。法人での運用を前提にした記述も含みますが、残高の引き継ぎ方やCSVでの書き出しといった進め方は個人事業主でも共通です。
まとめ
個人事業主向けの会計ソフト選びは、自分がどの型に当てはまるかを決めるところから始まります。簿記を学ばずに終わらせたいのか、費用を抑えたいのか、スマホで完結させたいのか、買い切りで毎年の支払いを避けたいのか、買い切りにサポートや事業の広がりまで求めるのかで候補が変わります。
型が決まったら、青色申告特別控除65万円をどの経路で満たすか、e-Taxをソフトがどこまで担うか、消費税申告に必要なプランはどれかの3点で絞り込みます。この3点は契約後に変えにくく、後から気づくと申告期の負担になります。
代表的な条件の組み合わせについて、絞り込んだ結果をここで示します。金額はいずれも税込・年額で、前掲の比較表と同じ値です。
65万円控除を取り、インボイス登録も済ませていて、簿記は学びたくない場合は、簿記を学ばずに終えたい型のうち、最安プランのまま消費税申告書を作れる2製品(初年度0円〜年額13,200円)が残ります。該当製品は比較表の消費税申告の列で確認できます。
同じ型でも、最安プランでは消費税申告ができず1段上のプランが要る製品では、年額16,896円から26,136円になります。最安プランの金額のままでは比べられません。
残る違いは電子申告の方式です。ソフトの画面から直接送信できるか、申告データを書き出して国税庁のe-Taxソフトに取り込む方式かは、比較表のe-Taxの列に製品ごとに書き分けています。
白色申告で費用を抑えたい場合は、費用をかけずに申告まで済ませたい型のうち、期間の制限がない無料プランで収支内訳書・確定申告書・消費税申告書の作成とe-Taxでの送信まで0円で行える製品が1つあります。
記帳から提出までスマホで終わらせたい場合は、スマホだけで終わらせたい型が対象です。インボイス登録済みなら年額16,896円、消費税申告が要らないなら年額12,936円が起点になります。
毎年の支払いを避けたうえで65万円控除も必要な場合は、毎年の利用料を払い続けたくない型のうち、65万円控除への対応を公式に確認でき消費税申告書も作れる2製品(5,500円・5,990円)が候補です。比較表の65万円控除と消費税申告の列で照らし合わせてください。
この2製品はいずれも、電子申告が国税庁のe-Taxソフトへの書き出しを経由します。翌年以降に税制改正へ対応した版を使うには、サポートの更新料か新版の購入が必要になる点も確かめてください。
金額は初年度だけでなく2年目以降まで見て、無料の範囲と更新の条件を確かめてから決めてください。ここに挙げた条件に当てはまらない場合は、比較表と診断ツールで自分の条件に合う候補を絞り込めます。
MCB FinTechカタログでは、これらの会計ソフトの詳細な資料を無料で請求できます。ぜひ各社の資料をご覧になって、比較検討を進めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人事業主向け会計ソフトとは何ですか?
A. 個人事業主向け会計ソフトとは、日々の記帳から青色申告決算書または収支内訳書の作成、確定申告書の提出までを、事業主本人が自分で行うためのソフトです。
銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込んで仕訳に変える機能、記帳したデータから決算書を組み立てる機能、e-Taxへ提出する機能が中心になります。部門別会計や連結決算といった法人向けの機能は持たず、一人で申告まで終えることに設計が絞られている点が、法人向けの会計ソフトとの違いです。
Q. 個人事業主に会計ソフトは必要ですか?
A. 個人事業主に会計ソフトが必要かどうかは申告方式で変わり、青色申告で55万円・65万円の控除を受けるなら、複式簿記の帳簿と貸借対照表が要るため実質的に必要になります。
白色申告や10万円の控除区分で足りるなら、表計算ソフトでも収支の集計はできます。それでも、集計から申告書類の作成までを1本で終えられる分、作業にかかる時間は短くなります。
Q. 白色申告でも個人事業主向け会計ソフトを使ったほうがよいですか?
A. 白色申告でも会計ソフトは使えますが、白色申告には特別控除がないため、費用をかけた分の見返りは青色申告ほど大きくなりません。
白色申告で提出するのは収支内訳書で、収入と経費を集計できれば作成できます。無料プランや低価格プランでも足りることが多いため、費用を抑えた製品から検討するのが現実的です。将来的に青色申告へ移る予定があるなら、そのまま複式簿記に切り替えられる製品を選んでおくと、乗り換えの手間を避けられます。
Q. 個人事業主向け会計ソフトは無料プランのままで青色申告決算書まで作れますか?
A. 無料の範囲で青色申告決算書まで作れるかは製品によって分かれ、恒久無料で申告書類まで作れるものもあれば、決算書の作成やe-Taxへの送信が有料プランだけのものもあります。
「無料」には、期間の制限なく使えるもの、30日程度の試用期間つきのもの、機能を絞った無料プランの3種類があります。無料の範囲から外れやすいのは、確定申告書の印刷とe-Taxへの送信、明細の自動取り込みと自動仕訳、電話やチャットの有人サポートです。公式サイトの本文で「ずっと無料」とうたいながら、脚注に無料期間を書いている製品もあるため、注記まで読んでから登録してください。
Q. 青色申告特別控除65万円の要件は、個人事業主向け会計ソフトだけで満たせますか?
A. 65万円控除の要件のうちソフトの機能だけで完結するのはe-Taxで提出する経路で、優良な電子帳簿による保存で満たす経路は届出書の提出が別途必要です。
国税庁は、複式簿記による記帳・貸借対照表等の添付・期限内の申告に加えて、仕訳帳と総勘定元帳の電子帳簿保存を行うか、確定申告書と決算書等を期限までにe-Taxで提出するかのいずれかを要件としています。JIIMAの認証を受けたソフトを使っている場合も、認証が示すのは機能要件を満たしていることまでで、事務手続関係書類の備付けなど利用者側の準備は別に必要です。
出典・参考資料(2件)
Q. 個人事業主が会計ソフトからe-Taxで申告するには、マイナンバーカードが必要ですか?
A. 会計ソフトの画面からe-Taxへ送信する場合は、マイナンバーカードによる電子署名が前提になります。
もう一つの本人確認方法であるID・パスワード方式は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でのみ利用できる送信方式で、会計ソフトからの送信には使えません。ID・パスワードは令和7年(2025年)10月1日に新規発行が停止され、令和9年分(2027年分)の確定申告からは利用できなくなる予定です。
これから電子申告を始めるなら、マイナンバーカードと、カードを読み取るスマートフォンまたはICカードリーダーを用意してください。
出典・参考資料(2件)
Q. 2027年分からの青色申告特別控除の改正は、いま選ぶ個人事業主向け会計ソフトに影響しますか?
A. 改正が申告に効いてくるのは2028年春の申告からで、いま選ぶソフトには、まず現行の65万円控除の要件(複式簿記による記帳とe-Taxでの提出)を満たせることを求めれば足ります。
所得税法等の一部を改正する法律は令和8年(2026年)3月31日に成立・公布され、青色申告特別控除の見直しは令和9年分(2027年分)以後の所得税について適用されます。改正後は、現行の55万円の区分にe-Taxでの提出が適用要件として加わったうえで、控除額が65万円へ引き上げられます。
さらに、仕訳帳と総勘定元帳について電子帳簿保存法の定めに従って電磁的記録の保存等を行っている場合は75万円になります(その細目は財務省令に委ねられている部分があります)。次に行う令和8年分(2026年分)の申告には、現行の区分がそのまま適用されます。
出典・参考資料(2件)
Q. インボイス登録をしたら、個人事業主向け会計ソフトのプランを上げる必要がありますか?
A. インボイス登録後は消費税の申告が必要になるため、最安プランが消費税申告に対応していない製品では、1段上のプランへの変更が必要になります。
適格請求書発行事業者の登録を受けている場合、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても納税義務は免除されません。登録済みか、近いうちに登録する予定があるなら、所得税の申告だけを見て最安プランを選ばず、消費税申告に対応する最小のプランの価格で比べてください。
出典・参考資料(1件)
Q. 消費税の2割特例は、個人事業主はいつまで使えますか?
A. 2割特例を適用できるのは令和5年(2023年)10月1日から令和8年(2026年)9月30日までの日の属する各課税期間で、個人事業者は令和8年分(2027年2〜3月の申告)が最後です。
令和9年分(2027年分)・令和10年分(2028年分)の申告は3割特例に切り替わります。どちらも事前の届出は不要で、確定申告書にその旨を付記することで適用を受けます。会計ソフトを選ぶときは、消費税の申告書を作成する機能がこの付記に対応しているかも確認しておくと安心です。
出典・参考資料(2件)
Q. 個人事業主向け会計ソフトは年の途中からでも使い始められますか?
A. 年の途中からでも使い始められますが、その年の1月にさかのぼって、期首の残高とそれまでの取引を入力する作業が最初に発生します。
取引の件数が多いなら、明細の自動取り込みが何か月前までさかのぼれるかを契約前に確認しておくと、この作業を短くできます。青色申告をこれから始める場合は税務署への事前の手続きに期限があるため、ソフトの導入と合わせて確認してください。
Q. 他の会計ソフトから乗り換えるとき、これまでのデータは引き継げますか?
A. 多くの製品は前のソフトからCSVで書き出した仕訳や残高を取り込めますが、勘定科目の設定や項目名が製品ごとに違うため、対応づけの作業が残るのが一般的です。
書き出せる範囲も製品によって差があるので、乗り換え先の取り込み形式と、いま使っているソフトから何を書き出せるかを先に確認します。法人化する場合は、個人事業の帳簿は個人の申告で完結し、法人は別の帳簿を新たに作ることになります。同じ提供元に法人向けの製品があるかを見ておくと、操作を覚え直す負担が小さくなります。
Q. 個人事業主向け会計ソフトはスマホだけで記帳から提出まで完結できますか?
A. スマホだけで完結できるかは製品によって分かれ、アプリ単体で確定申告書の作成とe-Tax送信まで行える製品もあれば、アプリは記帳までで申告書の作成はパソコンからという製品もあります。
マイナンバーカードの読み取り自体はスマートフォンで行えるため、アプリ側が申告書の作成と送信に対応していれば、パソコンを使わずに提出まで到達できます。スマホ1台で終わらせたいなら、記帳ができるかではなく、申告書の作成と送信までアプリでできるかを確認してください。
Q. 個人事業主向け会計ソフトはMacでも使えますか?
A. Macで使う場合は、ブラウザで動くクラウド型か、macOSに対応した数少ないインストール型に候補が絞られます。
インストール型はWindows専用の製品が多く、そのままではMacで動きません。クラウド型はOSを問わず使えるため、Macを使っていて買い切りにこだわらないなら、クラウド型から検討するのが早道です。買い切りを選ぶ場合は、購入前に対応OSの表記を必ず確認してください。
Q. 個人事業主向け会計ソフトを使えば、税理士に依頼しなくても確定申告できますか?
A. 記帳から決算書・確定申告書の作成、e-Taxでの提出までは会計ソフトで完結できますが、経費にできるかどうかの判断や税務調査への対応、節税の相談は人の助けが要る場面です。
クラウド型には、税理士にアクセス権限を渡して同じ帳簿を見てもらえる製品が多くあります。ふだんは自分で記帳し、必要になったときだけ相談するという使い方も可能です。処理に迷う取引が出たときは、税務署の窓口や税理士に確認してから記帳してください。
Q. 簿記の知識がある場合でも、個人事業主向け会計ソフトを使う意味はありますか?
A. 簿記が分かる人にとっても、明細の自動取り込みと決算書の自動作成によって作業時間が短くなるため、導入する意味があります。
ただし選ぶ製品は変わります。簿記の用語を表に出さない設計より、仕訳を直接入力できる画面や振替伝票を備えた製品のほうが、手が速い人には作業が進みます。自動仕訳が付けた勘定科目を自分でまとめて修正できるかどうかも、知識がある人にとっては使い勝手の差になります。
Q. 複数の事業を行う個人事業主でも、1つの会計ソフトで管理できますか?
A. 複数の事業でも1つのソフトで管理でき、事業ごとの売上と経費を分けるには、補助科目やタグ、部門といった機能を使うのが一般的です。
これらの機能が下位プランで使えるかは製品ごとに違うため、事業別の集計が必要なら、対応するプランの価格で比べてください。所得の種類(事業所得か雑所得かなど)が分かれる場合は申告上の扱いも変わるため、判断に迷うときは税務署や税理士に確認してください。
Q. クラウド型の個人事業主向け会計ソフトはセキュリティ面で安全ですか?
A. クラウド型のセキュリティは製品側の対策だけで決まるものではなく、二段階認証の設定やパスワードの管理といった利用者側の運用まで含めて決まります。
多くの製品が通信の暗号化や二段階認証を用意しているため、比較の段階でここが決め手になることは多くありません。対応の内容は各製品のセキュリティに関する説明ページで確認できます。銀行口座やカードを連携すると明細を参照する権限をソフトに預けることになるため、二段階認証は有効にしたうえで使ってください。
Q. 個人事業主向け会計ソフトを確定申告の時期だけ契約して使うことはできますか?
A. 月払いで契約できる製品なら申告の時期だけ使うことも可能ですが、1年分の取引をあとからまとめて入力することになるため、年間を通じて使う場合より負担は大きくなります。
年払いのほうが割安な製品が多く、数か月だけ月払いにしても支払額が大きく下がるとは限りません。支払いを1回で終えたいなら、買い切りのインストール型を選ぶという方法もあります。
Q. 個人事業主向け会計ソフトを解約したら、それまでの帳簿データはどうなりますか?
A. 解約後にデータをどこまで見られるかは製品ごとに違い、閲覧だけできる期間を設ける製品もあれば、解約と同時に使えなくなる製品もあります。
帳簿と決算書は申告後も保存しておく必要があるため、解約の前に仕訳データや決算書をCSVやPDFで書き出し、手元に残してください。他のソフトへ乗り換える場合も、前のソフトを解約する前に書き出しを済ませておくと、取り込みでつまずいたときに元のデータへ戻れます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修者は記事の内容について監修しています。

















