FD宣言(顧客本位の業務運営に関する方針)を自社サイトに掲げる保険代理店が、この数年で目立って増えました。保険会社からの業務品質評価や、2026年6月に施行された改正保険業法をきっかけに、業界全体の関心が「規模」から「品質」へと移っていることが背景にあります。
ところが、いざ自社で作ろうとすると「うちのような代理店だと、結局なにを書けばいいのか」で手が止まりがちです。原則の解説を読んでも、自社の宣言文に落とし込む具体までは見えてきません。
この記事では、まずそのまま自社のたたき台に使えるFD宣言の文例と、金融庁が定める7つの原則ごとに「保険代理店なら何を書くか」を対応させた表を示します。
そのうえで、FD宣言の位置づけ(義務か努力目標か)、策定から自社サイト公表・金融庁への報告までの手順、差戻しを避けるチェックポイント、作った方針を「名ばかり」で終わらせないための運用記録までを解説します。
白紙から悩む前に、まず現物を見て自社のFD宣言のドラフトを書き始められる状態を目指します。
目次
保険代理店のFD宣言 雛形・記載例(7原則対応)
ここからは、保険代理店のFD宣言に「なにを・どう書くか」を、コピーして使える文例と対応表で示します。まず文例の全体像を見て、続く対応表で各項目が7つの原則のどれに対応するかを確認する流れです。
コピーして使えるFD宣言の文例(雛形本体)
以下は、乗合の保険代理店が自社のFD宣言を作る際のたたき台にできる文例です。金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下、本原則)の各原則に対応する形で、方針を7つに整理しています。そのまま貼り付けるのではなく、自社の実際の取組・体制に合わせて書き換えてください。実態と合わない文言をそのまま使うと、後述する「名ばかりFD」として当局から問題視されます。
この文例は、後述する金融庁への報告で必要になる「本原則との対応関係」を意識して、各方針に対応する原則番号を添えています。自社では実施しない原則がある場合も空欄にはせず、その理由や代替策を記載します(理由は差戻しを避けるチェックポイントで解説します)。
7原則 × 保険代理店|各項目に何を書くかの対応表
文例の各方針は、金融庁の本原則に一つずつ対応しています。原則は全部で7つあり、保険代理店の業務に引き付けると、それぞれ次のような内容を書くことになります。
| 原則 | 原則1 方針の策定・公表等 | 原則2 顧客の最善の利益の追求 | 原則3 利益相反の適切な管理 | 原則4 手数料等の明確化 | 原則5 重要な情報の分かりやすい提供 | 原則6 顧客にふさわしいサービスの提供 | 原則7 従業員への適切な動機づけの枠組み等 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 原則の趣旨(要点) | 明確な方針を策定・公表し、取組状況を定期的に公表・見直す | 誠実・公正に業務を行い顧客の最善の利益を図る。企業文化として定着 | 利益相反の可能性を把握し、対応方針をあらかじめ策定して管理 | 顧客が負担する手数料等の詳細を、対価の内容を含め理解できるよう提供 | 販売・推奨に係る重要情報を顧客が理解できるよう分かりやすく提供 | 資産状況・取引経験・知識・目的やニーズを把握し、ふさわしい商品を提供 | 顧客の最善の利益を促す報酬・評価体系、研修、ガバナンスを整備 |
| 宣言に書く一文の例 | 本方針と取組状況を当社サイトで公表し、少なくとも年1回見直します | 手数料の多寡ではなく、お客様のニーズと最善の利益を基準に商品をご提案します | 特定の保険会社からの便宜が提案に影響しないよう、利益相反の管理基準を定めます | お客様にご負担いただく費用と、その対価の内容を明示します | 保障内容・免責など加入判断に必要な情報を、分かりやすくお伝えします | 意向把握にもとづき、比較・推奨(ロ方式=意向に沿って商品を絞り込む方式)を行います | 募集品質を高める研修と評価の仕組みを整えます |
※上記は原則の要点を保険代理店向けに整理したものです。各原則の正式な文言は下記の原文をご確認ください。
対応表の「原則の趣旨」は要点をまとめたものです。宣言に転記する際は、次の原文の文言を確認してください。原則1(方針の策定・公表)を含む7つすべてが対象で、金融庁への報告では原則の文言に沿った対応関係を示す必要があるためです。
【顧客本位の業務運営に関する方針の策定・公表等】原則1.金融事業者は、顧客本位の業務運営を実現するための明確な方針を策定・公表するとともに、当該方針に係る取組状況を定期的に公表すべきである。当該方針は、より良い業務運営を実現するため、定期的に見直されるべきである。
【顧客の最善の利益の追求】原則2.金融事業者は、高度の専門性と職業倫理を保持し、顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図るべきである。金融事業者は、こうした業務運営が企業文化として定着するよう努めるべきである。
【利益相反の適切な管理】原則3.金融事業者は、取引における顧客との利益相反の可能性について正確に把握し、利益相反の可能性がある場合には、当該利益相反を適切に管理すべきである。金融事業者は、そのための具体的な対応方針をあらかじめ策定すべきである。
【手数料等の明確化】原則4.金融事業者は、名目を問わず、顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を、当該手数料等がどのようなサービスの対価に関するものかを含め、顧客が理解できるよう情報提供すべきである。
【重要な情報の分かりやすい提供】原則5.金融事業者は、顧客との情報の非対称性があることを踏まえ、上記原則4に示された事項のほか、金融商品・サービスの販売・推奨等に係る重要な情報を顧客が理解できるよう分かりやすく提供すべきである。
【顧客にふさわしいサービスの提供】原則6.金融事業者は、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズを把握し、当該顧客にふさわしい金融商品・サービスの組成、販売・推奨等を行うべきである。
【従業員に対する適切な動機づけの枠組み等】原則7.金融事業者は、顧客の最善の利益を追求するための行動、顧客の公正な取扱い、利益相反の適切な管理等を促進するように設計された報酬・業績評価体系、従業員研修その他の適切な動機づけの枠組みや適切なガバナンス体制を整備すべきである。
出典:顧客本位の業務運営に関する原則(2024年9月26日改訂版)|金融庁
各原則には(注)が付されており、原則5・原則6には具体的な情報提供や意向把握の留意点が細かく示されています。宣言を作り込む際は、原文の(注)まで目を通すと、自社の記載の抜け漏れを防げます。原文は上記の引用元(金融庁PDF)で確認できます。
FD宣言(顧客本位の業務運営方針)とは|保険代理店に求められる背景
雛形を作るうえで、FD宣言が「義務なのか、努力目標なのか」を押さえておくと、社内や当局への説明がしやすくなります。ここでは位置づけを整理します。
FD宣言とは、金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、自社の方針を策定・公表する取組を指します。「FD」はフィデューシャリー・デューティー(受託者としての責任)の略で、この原則にもとづく方針は「顧客本位の業務運営に関する方針」とも呼ばれます。
この原則は、細かな行動を条文で縛る「ルールベース」ではなく、各社が自らの状況に応じて実質的に顧客本位を実現する「プリンシプルベース」の枠組みです。この枠組みのもとでは、FD宣言の採択そのものは法的な強制ではなく任意です。ただし採択した場合は、方針の策定・公表、取組状況の定期的な公表、方針の定期的な見直しがセットで求められます。
本原則は、金融事業者がとるべき行動について詳細に規定する「ルールベース・アプローチ」ではなく、金融事業者が各々の置かれた状況に応じて、形式ではなく実質において顧客本位の業務運営を実現することができるよう、「プリンシプルベース・アプローチ」を採用している。
出典:顧客本位の業務運営に関する原則(2024年9月26日改訂版)|金融庁
一方で、「顧客本位」そのものは任意の努力目標にとどまりません。金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(金融サービス提供法)第2条は、保険募集を含む業務について、顧客等の最善の利益を勘案し、誠実かつ公正に業務を遂行しなければならないと定めています。FD宣言というプリンシプルの取組と、この法的な誠実公正義務が、顧客本位を支える二つの柱になっています。
- 出典:金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律 第2条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000101)

「なぜ今なのか」という点では、2026年6月1日に施行された改正保険業法(令和7年法律第54号)が業界の関心を高めています。もっとも、この改正が体制整備を義務づける対象は、特定大規模乗合損害保険代理店や保険会社などに限定されており、すべての代理店にFD宣言を義務づける条文があるわけではありません。
多くの中小・中堅代理店にとっては、上乗せの体制整備義務そのものの対象ではない点に注意が必要です。金融庁は改正の政策目的として「顧客本位の業務運営の徹底」を掲げており、この流れが、規模を問わずFD宣言に取り組む動きを後押ししています。
- 出典:保険業法の一部を改正する法律案 説明資料(2025年3月)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/common/diet/217/01/setsumei.pdf)
この動きは、制度面だけでなく、保険会社が代理店に求める水準が上がっていることの表れでもあります。保険代理店向けにシステムを提供するトラストオフィス株式会社の小守氏は、評価軸の変化を次のように述べています。

ただ、法改正だけが背景ではありません。業界全体として「規模」から「品質」へと評価軸が変化してきていることも大きな流れです。数年前までは、代理店の規模が大きいことそのものが評価される傾向がありました。しかし最近は、保険会社様からも業務品質がしっかり求められるようになっています。面談記録の整備や必要な研修の受講といった基本動作ができていないと、同じ手数料を稼いでいても評価面で差が付いてしまう状況になってきています。数字だけを追うのではなく、業務の質をきちんと整えることが、代理店様にとってますます重要になっている実感があります。
FD宣言の策定〜開示〜金融庁報告までの手順
ここからは、文例をもとに作った方針を、実際に公表し金融庁へ報告するまでの流れを順に見ていきます。自社サイトへの掲載だけで完結するのか、金融庁への報告まで必要なのかは、目的によって変わります。

- 方針の策定と社内決裁:文例をたたき台に、自社の実際の取組に合わせて方針を作成します。経営会議やコンプライアンス部門で内容を確認し、実態と乖離がないかを点検します。
- 方針・取組状況の自社サイト公表:策定した方針と、それに対応した取組状況を、お客様が見やすい場所に掲載します。
- 対応関係表(報告フォーマット(2))の作成・掲載:方針が本原則のどこに対応するかを示す対応関係表を作成し、自社サイトにも掲載します。対象は原則2〜7に加え、プロダクトガバナンスに関する補充原則1〜5の欄も含みます。補充原則は主に商品を組成する会社向けで、保険代理店は「非該当」となることが多いものの、その場合も「非該当」であることとその理由を記載します。
- 金融庁への報告(希望する場合):「金融事業者リスト」への掲載を希望する場合のみ、作成した報告様式で金融庁に報告します。掲載を希望しなければ報告は不要です。
- 定期的な見直しと再報告:方針・取組状況は定期的に見直します。リスト掲載を継続するには、原則として毎年の報告が必要です。
報告に使う様式一式(報告フォーマット(1)(2)・記載例・Q&A)は、金融庁「顧客本位の業務運営について」のページで配布されています。ここから様式を入手し、記載例に沿って作成します。提出の方法や期限も、同ページで案内される報告受付の要領に従ってください。
- 出典:顧客本位の業務運営について(報告様式・記載例・Q&A の配布ページ)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
ここで押さえておきたいのが、金融庁への報告は「金融事業者リスト」への掲載を希望する場合の手続きだという点です。自社サイトでFD宣言を公表するだけであれば、報告そのものは求められません。
本原則を採択し、取組方針等を公表した金融事業者のうち、「金融事業者リスト」への掲載を希望する金融事業者が報告対象となります。掲載を希望しない場合には、金融庁への報告は不要です。
出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁
報告する場合、本原則との対応関係は「対応関係表(報告フォーマット(2))」で明示することが必要です。これは、お客様が複数の金融事業者の取組方針を比較しやすくするための様式です。加えて、この対応関係表を自社サイトに掲載する際は、掲載年月日が報告期限から起算して過去1年以内である必要があります。掲載日が古いまま放置されていると、要件を満たさなくなる点に注意してください。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
差戻しを避けるための3つのチェックポイント
金融庁へ報告したものの、要件を満たさず金融事業者リストに掲載されない(実務では「差戻し」と呼ばれます)ケースの多くは、内容の善し悪しではなく形式的な不備が原因です。提出前に、次の3点を確認してください。
①について、金融庁のQ&Aは、実施しない原則がある場合も理由や代替策を分かりやすく記載するよう求めています。
「一部実施」・「不実施」・「非該当」の原則や(注)であっても、自らのウェブサイトに掲載されている取組方針等に、その理由や代替策を、分かりやすい表現で記載することが求められます。「対応関係表」の取組方針等の該当箇所欄には、当該取組方針等において実施しない理由や代替策を示している項目名・見出し・ページなどを記載してください。
出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁
③の完全一致の要件も、Q&Aで具体的に示されています。書式を変えたり項目を足し引きすると、リストに掲載できなくなります。
自らのウェブサイトに掲載する「対応関係表」は、報告様式の「報告フォーマット(2)」の3行目(掲載・更新年月日)から51 行目(連絡先)までの全ての項目を記載する必要があり、かつ、記載内容が一致している必要があります。
出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁
これらはいずれも、内容の巧拙ではなく「様式を正しく満たしているか」の問題です。提出前のチェックリストとして使えば、再提出の手間を減らせます。
「名ばかりFD」にしないための取組状況・KPIの記録と公表
FD宣言でつまずきやすいのが、宣言を「掲げて終わり」にしてしまうことです。ここでは、方針を実態のある運用につなげるための考え方を整理します。
金融庁は、原則の文言を少し変えただけの取組方針では、顧客へ十分に説明できているとは言えないとしています。他社の宣言をそのまま写した「名ばかりFD」が問題視されるのは、実態と方針が結びついていないためです。方針は、自社が実際に行っている取組の言葉で書く必要があります。
実施しない原則や(注)がある場合は、金融事業者の取組方針等に、それが「一部実施」、「不実施」又は「非該当」であることと、その理由や代替策を、分かりやすい表現で記載する必要があります。
出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁
取組状況を分かりやすく示すうえでは、定性的な記述に加えてKPI(重要業績評価指標)を示すことが望ましいとされています。ただし、これは義務ではなく、保険代理店向けにこの数値を出すべきという当局指定のKPIリストがあるわけでもありません。自社が重視する指標を選び、意向把握の実施状況、比較推奨の記録整備、募集人研修の受講、苦情対応などの中から、実態に合うものを公表するのが現実的です。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
名ばかりFDを避けるうえで実務的に効いてくるのが、日々の募集プロセスの記録です。意向把握の内容、比較推奨で示した候補と理由、そして自己点検の結果を証跡として残せていれば、公表するKPIも実態に裏づけられたものになります。逆に、記録が紙やExcelに散在していると、取組状況を正確に示すこと自体が難しくなります。
ここで挙げた比較推奨と自己点検は、それぞれ制度の理解が前提になります。比較推奨をイ・ロ・ハのどの方式で行うか(2026年の見直しでハ方式に相当する取扱いが削除される点を含む)は、保険代理店の比較推奨販売(イ・ロ・ハ方式)とはで詳しく解説しています。
また、代理店自己点検チェックシートで具体的に何を問われ、どのシステム機能で対応できるかは、代理店自己点検チェックシートとシステム機能の対応関係で確認できます。
FD宣言の実践・運用を支える保険代理店システム
ここからは、FD宣言を「掲げて終わり」にせず、意向把握・比較推奨・自己点検の証跡を残す運用につなげる手段として、保険代理店システム(CRM)を紹介します。宣言に書いた取組を、記録として日々積み上げられるかどうかが、取組状況やKPIを正確に公表できるかを左右します。
ここで取り上げるのは、意向把握から比較推奨、自己点検(点検表)までの記録を一つの流れとして残せるサービスです。まず次の比較表で特徴を一覧で確認し、続いて個別に紹介します。
| サービス名 | hokan | YouWill-CRM |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド型(SaaS) | クラウド型(SaaS) |
| 意向把握記録 | ● | ● |
| 比較推奨(ロ方式)対応 | ● | ●(スコアリング方式) |
| 自己点検・点検表 | △(活動記録・案件管理で対応) | ◎(点検表・不備を自動抽出) |
| 監査証跡 | ●(活動記録・報告テンプレート) | ●(意向〜決定理由を記録) |
| 共同GW連携 | ● | ● |
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 200,000円(税別) |
| 月額費用 | 要お問い合わせ | 3,000円/人〜(最少5人) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 詳細を見る |
※hokanは2026年5月時点、YouWill-CRMは2026年4月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の機能・料金は各社にご確認ください。
1. hokan(株式会社hokan)

hokanは、株式会社hokanが提供する保険代理店業務特化型のクラウドシステムです。顧客・契約管理から意向把握・比較推奨の記録、満期更改、案件管理までを単一のプラットフォームで扱い、乗合代理店の情報分断や属人化の解消を狙っています。
FD宣言の運用という観点では、意向把握から商品提案までのペーパーレス化と、活動記録・報告のテンプレート機能による監査証跡の確保が特徴です。保険会社共同ゲートウェイ(共同GW)連携により既契約情報を一括で取り込めるため、名寄せの精度向上と手入力負担の削減にもつながります。料金は公式サイトの料金シミュレーション形式で、初期費用・月額とも要お問い合わせです(2026年5月時点)。
2. YouWill-CRM(トラストオフィス株式会社)

YouWill-CRMは、元・保険代理店経営者が「使いやすさ」を軸に開発した生損保両対応のクラウドCRMです。トラストオフィス株式会社が提供し、必要十分な機能をシンプルな操作性で使える点を訴求しています。料金は月額3,000円/人(Standardプラン、最少5人)からで、中小代理店でも導入しやすい設定です(2026年4月時点)。
FD宣言の運用に直結するのが「点検表」機能です。契約ごとに意向把握や比較推奨が適切に記録されているかを一覧で確認でき、高齢者募集や外貨建て保険など詳細なヒアリングが必要な契約では、入力の抜け漏れがあるものだけを自動で抽出します。比較推奨はスコアリング方式に対応し、意向を重み付けして候補商品を並び替える設計です。自己点検や監査対応の負担を軽くしたい代理店に向いています。
本記事では、FD宣言の運用(意向把握・比較推奨・自己点検の証跡管理)に強みのある2サービスに絞って紹介しました。提供形態や料金、機能の幅を含めて保険代理店システム全体を見渡し、自社に合う一本を選びたい場合は、以下の記事で21サービスを比較・解説しています。
まとめ
保険代理店のFD宣言は、金融庁の7原則に沿って自社の取組を言葉にすることから始まります。本記事の文例と対応表をたたき台に、自社の実態に合わせて方針を書き換えれば、白紙から悩む段階は抜けられます。
公表や金融庁への報告に進む場合は、対応関係表の空欄・対応関係の明記・報告様式との完全一致という3つのチェックポイントを押さえれば、差戻しの多くは防げます。そして宣言を実態のある運用にするには、意向把握・比較推奨・自己点検の証跡を日々残す仕組みが欠かせません。まずは自社の記録体制を見直し、FD宣言のドラフト作成に取りかかってください。
よくある質問(FAQ)
Q. FD宣言とは何ですか?
A. FD宣言とは、金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、顧客本位の業務運営に関する自社の方針を策定・公表する取組を指します。「FD」はフィデューシャリー・デューティー(受託者としての責任)の略で、この原則にもとづく方針は「顧客本位の業務運営に関する方針」とも呼ばれます。
原則は全部で7つあり、保険代理店は各原則について「実施する場合はその対応方針」「実施しない場合はその理由や代替策」を分かりやすく盛り込むことが求められます。
- 出典:顧客本位の業務運営に関する原則(2024年9月26日改訂版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/news/r6/20240926/02.pdf)
Q. 保険代理店のFD宣言は義務ですか、それとも努力目標ですか?
A. FD宣言(本原則の採択と方針の策定・公表)そのものは、法律で強制される義務ではなく任意の取組(プリンシプルベース)です。ただし、顧客本位の業務運営そのものは努力目標にとどまりません。金融サービス提供法第2条は、保険募集を含む業務について「顧客等の最善の利益を勘案しつつ、誠実かつ公正に業務を遂行しなければならない」と定めており、これは法的な義務です。
FD宣言というプリンシプルの取組と、この誠実公正義務が、顧客本位を支える二つの柱になっています。また、任意で採択した場合は、方針の策定・公表、取組状況の定期的な公表、方針の定期的な見直しがセットで求められます。
- 出典:金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律 第2条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000101)
- 出典:顧客本位の業務運営に関する原則(2024年9月26日改訂版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/news/r6/20240926/02.pdf)
Q. 保険代理店のFD宣言は自社サイトで公表するだけでよく、金融庁への報告は不要ですか?
A. 自社サイトでFD宣言を公表するだけであれば、金融庁への報告は不要です。報告が必要になるのは「金融事業者リスト」への掲載を希望する場合のみで、掲載を希望しなければ報告義務は生じません。リストへの掲載は、複数の金融事業者の取組を横断的に比較できるようにするための仕組みで、掲載するかどうかは各社の判断に委ねられています。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
Q. FD宣言の対応関係表は、実施しない原則があれば空欄にしてよいですか?
A. 実施しない原則があっても、対応関係表を空欄にすることはできません。「一部実施」「不実施」「非該当」の原則や(注)であっても、その理由や代替策を自社サイトに掲載する取組方針に分かりやすく記載し、対応関係表の該当欄には、その理由や代替策を示した箇所(項目名・見出し・ページ)を書く必要があります。空欄は、金融事業者リストに掲載されない(差戻しになる)主な原因の一つです。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
Q. 本原則との対応関係は、必ず報告フォーマット(2)の様式で示す必要がありますか?
A. 本原則との対応関係は、対応関係表(報告フォーマット(2))を用いて明示することが必要です。これは、顧客が複数の金融事業者の取組方針をより容易に比較できるようにするための様式で、他の方法(原則の順に取組方針を記載するなど)との併用は妨げられません。
自社サイトに掲載する対応関係表は、報告様式の3行目(掲載・更新年月日)から51行目(連絡先)まで全項目を記載し、報告する内容と完全に一致させる必要があります。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
Q. 保険代理店のFD宣言にKPI(数値目標)の記載は必須ですか?
A. KPI(定量的な取組目標・成果)の記載は義務ではなく、「望ましい」とされる任意の取組です。金融庁が保険代理店向けに「この指標をこの数値で公表すべき」と定めた標準リストがあるわけでもありません。
顧客に分かりやすく情報発信する観点から、定性的な記述に加えてKPIを示すことが望ましいとされているだけなので、意向把握の実施状況、比較推奨の記録整備、募集人研修の受講、苦情対応など、自社が実際に重視する指標を選んで公表するのが現実的です。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
Q. 2026年6月施行の改正保険業法で、すべての保険代理店にFD宣言が義務づけられますか?
A. 改正保険業法は、すべての保険代理店にFD宣言を義務づけてはいません。体制整備の上乗せ義務が課される対象は、特定大規模乗合損害保険代理店や保険会社などに限定されており、多くの中小・中堅代理店は上乗せ義務そのものの対象ではありません。
ただし金融庁は、この改正の政策目的として「顧客本位の業務運営の徹底」を掲げています。義務化の有無にかかわらず、規模を問わずFD宣言に取り組む動きが広がっているのは、この流れが背景にあります。
- 出典:保険業法の一部を改正する法律案 説明資料(2025年3月)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/common/diet/217/01/setsumei.pdf)
Q. 保険代理店のFD宣言はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
A. FD宣言(取組方針・取組状況)は定期的な見直しが求められ、少なくとも年1回の見直しが実務上の目安です。より良い業務運営を実現するため、取組の実態や制度改正をふまえて見直します。
加えて、金融事業者リストへの掲載を継続する場合は原則として毎年の報告が必要で、自社サイトに掲載する対応関係表の掲載年月日も、報告期限から起算して過去1年以内である必要があります。掲載日が古いまま放置されると要件を満たさなくなる点に注意してください。
- 出典:「金融事業者リスト」への掲載等に関するQA(2025年9月10日版)|金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html)
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