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青色申告ソフトおすすめ21選を比較|65万円控除の要件・料金と、法人の青色申告対応まで解説

青色申告ソフト おすすめ21選を比較のサムネイル画像

青色申告の準備を始めようとして、ソフトの数の多さに手が止まっていませんか。クラウド型に買い切り型、スマホアプリ、無料のものまで並んでいて、価格も年額1万円前後から無料まで幅があります。

迷いやすいのは、どれも「青色申告ソフト」と名乗っているのに、到達できるところが同じではないからです。複式簿記の帳簿は作れても確定申告書は作れないもの、e-Taxへの送信までは面倒を見ないもの、そもそも簡易簿記までしか対応していないものが混ざっています。名前と価格だけで選ぶと、青色申告特別控除で数十万円を取り損ねることが起こります。

本記事では、青色申告に使える21のソフトを比較します。最大65万円の控除を受けるためにソフト側で満たしておくべき条件を整理したうえで、初年度に実際いくらかかるか、どの書類まで作れるかを製品ごとに並べました。法人の青色申告に使う会計ソフトも扱っています。自分の記帳の仕方と予算に合う1本を選ぶ材料としてお使いください。

また、記事の中ほどには、記帳の慣れや端末・予算から候補を絞り込める「30秒で終わる選定診断ツール」もご用意しています。

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青色申告特別控除65万円を受けるためにソフトへ求める条件

ソフトを比べる前に、控除額が何で決まるのかを押さえておきます。ここが分かっていないと、比較表のどの項目を見るべきか判断できません。

結論を先に書くと、65万円を受けるためにソフト側で満たしておきたいのは「複式簿記で記帳できる」「青色申告決算書と確定申告書を作れる」「e-Taxで送信できる(または優良な電子帳簿の要件を満たせる)」の3点です。ここだけ押さえれば比較表は読めます。以下は、その3点がどこから来ているのかの確認です。

ソフトを選ぶ前に確認したいこと

青色申告特別控除を受けるには、その前提として青色申告承認申請書を税務署へ提出し、承認を受けている必要があります。提出期限は、青色申告をしようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内)です。この期限を過ぎた年は、複式簿記で記帳していても青色申告はできません

まだ提出していない場合は、翌年分に向けて申請書を出したうえで、いま記帳を始めるのが次善の進め方になります。手続きの詳細は申告期限から逆算した進め方で扱います。

65万円・55万円・10万円の控除額は何で決まるか

青色申告特別控除の額が何で決まるかを示した図解。簡易簿記での記帳や期限に遅れた申告は10万円、複式簿記で記帳し貸借対照表・損益計算書を添付した確定申告書を翌年3月15日までに提出すると55万円、それに加えてe-Taxでの送信か優良な電子帳簿での保存のいずれか一方を満たすと65万円(2026年分の現行制度)

青色申告特別控除の額は、記帳の方法と申告の仕方で3段階に分かれます。国税庁は55万円の控除について、次の3つを要件として示しています。

(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書および所得の金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。

出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

この55万円に10万円が上乗せされて65万円になる条件が、次のどちらかを満たすことです。

イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記<参考>参照)を行っていること(※注1)。
ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと(※注2)。

出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

「イ」と「ロ」はいずれか一方を満たせば足ります。両方が必要なわけではありません。実務上は、e-Taxで送信するほうが手間が少ないため、こちらを選ぶ人が多くなります。

10万円の控除は、55万円・65万円の要件に当てはまらない青色申告者が受けられるものです。簡易簿記で記帳している場合や、期限に遅れて申告した場合がこれに当たります。

整理すると、制度上の要件は次の3つです。

  1. 正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を作ること
  2. それらを添付した確定申告書を、翌年3月15日の期限までに提出すること
  3. e-Taxで送信するか、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿の要件で保存すること(65万円の場合)

期限内の提出は、還付を受ける申告であっても外せません。国税庁は「還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する必要があります」と明記しています。

この3つの要件を、ソフト選びの言葉に置き換えると次の4点になります。以下で1つずつ見ていきます。

複式簿記に対応していないソフトでは65万円に届かない

まず確認したいのが記帳の方式です。青色申告ソフトと名乗っていても、簡易簿記(単式簿記)にしか対応していない製品があります。この場合、受けられる控除は最高10万円にとどまります。

法令の条文は「複式簿記」という言葉を使わず、「正規の簿記の原則」と書いています。その中身を具体化しているのが所得税法施行規則58条1項で、備え付けるべき帳簿を次のように定めています。

第五十八条 青色申告者は、すべての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、すべての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、財務大臣の定める取引に関する事項を記載しなければならない。

出典:所得税法施行規則 第58条第1項|e-Gov法令検索

選定時に見るべきは「仕訳帳と総勘定元帳を作れるソフトか」という一点です。仕訳帳は取引を発生順に借方と貸方に分けて記録した帳簿、総勘定元帳はそれを勘定科目ごとにまとめ直した帳簿で、どちらも複式簿記に対応したソフトなら自動で作られます。製品ページに「複式簿記対応」と書かれていればまず問題ありませんが、記載がない安価な製品や、家計簿に近い設計のアプリでは、この点を必ず確かめてください。

青色申告決算書と確定申告書は、そのソフトで作れるか

次に確かめたいのが、書類の作成範囲です。青色申告で提出するのは、青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)と確定申告書の2種類です。

ここが製品によって最も分かれるところで、帳簿づけと決算書の作成まではできても、確定申告書は作れないソフトがあります。その場合、決算書の数字を国税庁の確定申告書等作成コーナーに自分で入力し直すことになります。手作業が1工程増えるだけとも言えますが、転記の間違いが起きやすい部分でもあります。

無料のソフトや記帳特化のアプリにこの型が多く見られます。「青色申告ソフト」という同じ名前で並んでいても、決算書止まりなのか申告書まで作れるのかは、選ぶ前に分けて考えてください。本記事の比較表では、この2つを別の項目として示しています。

e-Taxで送信できるか、e-Taxソフトへの書き出しまでか

65万円の控除を狙ううえで見落としやすいのが、e-Tax対応の中身です。製品ページに「e-Tax対応」と書かれていても、意味は2通りあります。

  • ソフトの中で送信まで完結する:作成した申告書をそのまま送信できます。クラウド型に多い方式です
  • e-Taxソフトへ読み込ませるデータを書き出すまで:申告書のデータを出力し、国税庁のe-Taxソフトに取り込んで送信します。インストール型に多く見られます

どちらでも最終的にe-Taxで提出できるので控除の要件は満たせます。ただし、書き出し型では別のソフトの操作を覚える必要があり、初めて電子申告をする人には負担になります。年に1回しか触らない作業なので、翌年には手順を忘れていることも珍しくありません。

あわせて、e-Taxの始め方についても知っておきたい変化があります。従来はマイナンバーカード方式とID・パスワード方式の2つがありましたが、国税庁は2025年(令和7年)10月1日にID・パスワードの新規発行を停止しました。

これを受け、マイナンバーカードを用いた e-Tax の利用をより一層進める観点から、令和7年 10 月1日より、今後新たに e-Tax で申告される方へは「マイナンバーカード方式」をご案内することとし、「ID・パスワード方式」 で使用するID・パスワードについては、新規発行を停止することといたしました。

出典:「確定申告書等作成コーナー」で利用するID・パスワードの新規発行停止について|国税庁(PDF)

すでに届出を済ませている人は当面そのまま使えますが、e-Taxのページには「ID・パスワード方式は、令和9年分確定申告からは利用できなくなる予定です」と記載されています。これから電子申告を始める場合は、マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダライタ)を用意する前提で考えてください。ソフト側も、マイナンバーカードでの送信に対応しているかを確認しておくと安心です。

優良な電子帳簿の保存に対応しているか

65万円へのもう一方のルートが、仕訳帳と総勘定元帳を「優良な電子帳簿」の要件で保存する方法です。国税庁は要件を3つ挙げています。

イ 訂正削除履歴の保存等
ロ 帳簿間の相互関連性
ハ 検索機能の確保

出典:優良な電子帳簿の要件|国税庁

検索機能については、取引年月日・取引金額・取引先で検索できること、日付や金額の範囲で検索できること、2つ以上の項目を組み合わせて検索できることが求められます。ソフト側でこれらを備えているかどうかの目安になるのが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の電子帳簿ソフト法的要件認証です。

ただし、認証があれば自動的に65万円が受けられるわけではありません。国税庁は認証について次のように注意を促しています。

※JIIMAが認証した電子帳簿ソフトは、電子帳簿保存法における「優良な電子帳簿」の機能要件を満たしたものです。ただし、電子帳簿保存法の保存等の要件には、事務手続関係書類の備付けに関する事項等、機能に関する事項以外の要件もあり、それらを含め全ての要件を満たす必要がありますのでご注意ください。

出典:JIIMA認証情報リスト|国税庁

さらに、このルートで65万円を受けるには、適用を受けようとする年の翌年3月15日までに、所轄税務署へ届出書を提出しておく必要があります。ソフトの機能だけで完結する話ではないため、e-Tax送信のほうが確実だと考える人が多いのはこのためです。

2027年分から変わる青色申告特別控除と、2026年分の申告への影響

はじめに押さえておきたいのは、いま準備している2026年分(令和8年分)の申告は、これまでどおりの制度で計算するということです。上限は65万円で、これから書く改正の影響は受けません。

青色申告特別控除の2026年分までと2027年分からを比べた図解。2026年分までは65万円・55万円・10万円の3段階で、e-Taxでの送信か優良な電子帳簿での保存のどちらか一方を満たすと65万円、紙で提出する場合は55万円。2027年分からは75万円・65万円・10万円となり、55万円の区分がなくなる

青色申告特別控除は、2027年分(令和9年分)の所得税から仕組みが変わります。所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)が2026年(令和8年)3月31日に公布され、租税特別措置法25条の2の改正部分は2027年(令和9年)1月1日に施行されます。すでに成立した法律であり、検討中の案ではありません。

改正後の控除額は75万円・65万円・10万円の3段階になります。改正後の条文に55万円という区分は登場しません。財務省の税制改正大綱は、この見直しを次のように説明しています。

① 55 万円の青色申告特別控除について、その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うことを適用要件に加えた上、控除額を 65 万円に引き上げる。


② 65 万円の青色申告特別控除について、対象者を上記①の見直し後の要件を満たす者であって、その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳につき、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の保存等を行っていること(次に掲げる場合のいずれかに該当する場合に限る。)との要件を満たすものとした上、控除額を 75 万円に引き上げる。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省(PDF)

ソフト選びに関わる変化は2つあります。1つは、65万円を受けるにもe-Taxでの送信が必須になることです。紙で提出して55万円という道がなくなります。もう1つは、75万円を受けるには優良な電子帳簿の要件を満たす保存が求められることで、これまで65万円の代替ルートだった電子帳簿保存が、より上の控除額の条件に位置づけ直されます。

では、いま準備している申告はどちらの制度で計算するのか。改正法の附則が明確に定めています。

第三十三条 新租税特別措置法第二十五条の二の規定は、令和九年分以後の所得税について適用し、令和八年分以前の所得税については、なお従前の例による。

出典:所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)附則第33条|e-Gov法令検索

2026年分(令和8年分)までの所得税には、これまでどおりの制度が適用されます。上限は65万円です。75万円が関わってくるのは2027年の取引からで、その申告は2028年の春になります。

これから数年使うソフトを選ぶという意味では、e-Tax送信にソフト内で対応しているか、優良な電子帳簿の要件を満たせるかは、いま以上に重みを持つ条件になります。2027年以降を見据えるなら、この2点を備えた製品を選んでおくと、途中で乗り換える手間を避けられます。

出典・参考資料(5件)

【診断】条件を選ぶだけで自分に合う青色申告ソフトがわかる

要件は分かったものの、どの条件を優先すべきか決めかねている場合は、以下の診断をお試しください。申告するのが個人事業か法人か、記帳にどれくらい慣れているか、使う端末と予算を選ぶと、条件に合う候補が絞り込まれます。

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青色申告ソフトのタイプ別の特徴

青色申告ソフトは、使い方と料金の持ち方で6つのタイプに分かれます。自分がどのタイプに当てはまりそうかを掴んでおくと、候補を絞り込めます。

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青色申告の記帳と申告に絞ったクラウド型請求書の発行まで一体で使えるクラウド型スマホだけで記帳を済ませるアプリ型買い切りで長く使うインストール型費用をかけずに使える無料ソフト法人の青色申告に対応する会計ソフト
特徴ブラウザで使い、機能を青色申告に必要な範囲に絞っている。年額固定の料金が中心で、記帳から申告までを一通り任せられる帳簿づけに加えて請求書の作成・発行を同じサービス内で行え、発行した請求書が売上として計上されるスマートフォンのアプリが主戦場。レシート撮影やその場の入力で記帳を進める。申告まで完結するかは製品で分かれるパソコンにインストールして使う。購入すればその年度版は使い続けられ、オフラインでも動く。Windows専用の製品が多い期間の制限なく無料で使える。複式簿記と決算書までは対応するものがあるが、確定申告書の作成やサポートは対象外のことが多い法人税の青色申告に向けて帳簿と決算書を作る。法人税申告書(別表)は申告ソフト連携か税理士の関与が前提になる
向いている人年に1回の申告のためだけに使い、プラン選びで迷いたくない人毎月請求書を発行する業種で、記帳と請求を1つにまとめたい人移動が多く、パソコンを開く時間を取りにくい人毎年の利用料を払い続けるより、購入して長く使いたい人取引の件数が少なく、簿記の基本を理解していて自分で申告書を作れる人すでに法人化している、または近いうちに法人成りを考えている人
詳細比較表を見る比較表を見る比較表を見る比較表を見る比較表を見る比較表を見る

※上記は各タイプにおける一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の対応範囲は各社情報をご確認ください。

青色申告の記帳と申告に絞ったクラウド型

ブラウザで使い、機能を青色申告に必要な範囲へ絞ったタイプです。帳簿づけの画面が申告の流れに沿って作られており、簿記の知識がなくても質問に答える形で入力を進められる製品が多くなっています。

料金は年額で固定されているものが中心で、プランの数も少なめです。年に1回の申告のためだけに使う人にとっては、機能の取捨選択で悩まずに済む点が向いています。パソコンを買い替えてもデータの移行が要らないのもクラウド型の利点です。

請求書の発行まで一体で使えるクラウド型

帳簿づけに加えて、請求書の作成・発行を同じサービスの中で行えるタイプです。発行した請求書の内容がそのまま売上として計上されるため、月々の入力の手間が減ります。

毎月継続して請求書を出す業種、たとえば受託開発やデザイン、コンサルティングのように取引先へ請求書を送る仕事では、記帳と請求を別々のツールで管理する必要がなくなります。インボイス制度に対応した請求書の様式にもそのまま対応できます。一方で、請求書を発行する機会がほとんどない業種では、使わない機能の分だけ料金が高くなることがあります。

スマホだけで記帳を済ませるアプリ型

スマートフォンのアプリを主に使うタイプです。家計簿アプリに近い操作で、レシートを撮影したりその場で金額を入力したりして記帳を進めます。移動が多い仕事や、パソコンを持たずに事業をしている人に向いています。

注意したいのは、アプリ型の中には記帳の機能だけを持ち、決算書や確定申告書の作成は別のソフトに任せる設計のものがある点です。スマホで完結させたい場合は、申告書の作成と送信までアプリの中で行えるかを必ず確かめてください。

買い切りで長く使うインストール型

パソコンにインストールして使うタイプです。購入時に代金を払えばその年度版はずっと使えるため、毎年の支払いが発生するクラウド型に比べて、長く使うほど費用を抑えやすくなります。インターネットにつながっていない環境でも作業できます。

ただし、税制改正や申告様式の変更に対応するには、年度版を買い直すか更新料を払う必要があります。対応OSがWindowsのみという製品も多く、Macを使っている場合は選択肢が限られます。また、青色申告会の会員向けに提供されているソフトのように、購入に条件があるものもこのタイプに含まれます。

費用をかけずに使える無料ソフト

期間の制限なく無料で使えるタイプです。複式簿記に対応し、青色申告決算書まで作れるものもあります。取引の件数が少なく、簿記の知識がある程度ある人であれば、費用をかけずに申告を済ませられます。

対応範囲は有料製品より狭く、確定申告書の作成やe-Tax送信、サポートが対象外になっていることがほとんどです。どこまでできてどこから自分で補うのかは製品ごとに違うので、無料の青色申告ソフトはどこまで使えるかで個別に整理しています。

法人の青色申告に対応する会計ソフト

法人にも青色申告の制度があり、法人税の申告で使います。個人事業主向けのソフトでは法人の決算に対応できないため、法人成りした場合は法人向けの会計ソフトに移ることになります。

このタイプで押さえておきたいのは、会計ソフトが作れるのは決算書までで、法人税の申告書そのものは別の仕組みが必要になる点です。詳しくは法人の青色申告に対応する会計ソフトで扱います。

青色申告ソフトの選び方

控除の条件を満たすソフトは複数あります。そこから先は、記帳のしやすさや費用など、自分の状況に合わせて優先順位をつけて選ぶことになります。ここでは6つの観点を取り上げます。

複式簿記と自動仕訳で、簿記の知識がなくても記帳できるか

複式簿記に対応していても、入力の作り方は製品によって大きく違います。仕訳の形式(借方・貸方)でそのまま入力させるものと、「何にいくら払ったか」を答えると裏側で仕訳に変換してくれるものがあります。

簿記を学んだことがない場合は後者を選ぶと、勘定科目を覚えなくても記帳を進められます。反対に、簿記の知識があって仕訳を自分で切りたい人には、変換型の画面がかえって遠回りに感じられることがあります。無料期間や体験版で入力画面を実際に触り、自分の考え方と合うかを確かめるのが確実です。

銀行口座・クレジットカードの明細をどこまで自動で取り込めるか

記帳にかかる時間を最も左右するのが、明細の自動取得です。事業用の銀行口座やクレジットカードを登録しておくと、取引明細が自動で取り込まれ、勘定科目の候補まで提示されます。

取引が月に数十件を超えるなら、この機能の有無で作業量が変わります。判断の材料になるのは、自分が使っている金融機関やキャッシュレス決済に対応しているかどうかです。連携できる先の数はサービスによって差があり、インストール型や無料ソフトでは自動取得に対応していないものもあります。逆に、取引が月に数件で現金中心なら、手入力でも十分間に合います。

初年度に実際いくらかかるか(月額・年額・買い切り・無料期間の読み方)

料金の表示方法がタイプごとに違うため、単純に金額だけを見比べると実態がつかめません。月額表示のものは12倍して年間の額に直し、買い切り型は使う年数で割って1年あたりの負担を出すと、同じ土俵で比べられます。

初年度に限っては、無料キャンペーンの有無が金額を大きく動かします。1年目が無料になるクラウド型と、購入時に1万円台を払う買い切り型では、初年度の負担が逆転することがあります。ただし2年目以降は関係が入れ替わるため、2〜3年使う前提で総額を出しておくと判断を誤りません。

買い切り型では、サポートを受けるための保守契約が別料金になっている製品もあります。本体価格だけを見て安いと判断する前に、サポートの有無と価格まで含めて確認してください。

スマホだけで完結できるか、対応OS・端末は合っているか

対応OSは、インストール型を検討する場合に真っ先に確かめたい項目です。Windowsのみ対応の製品が多く、Macで使えるものは限られます。

クラウド型はブラウザで動くためOSを選びませんが、スマホアプリの機能は製品ごとに幅があります。アプリでできるのがレシート撮影と経費入力までで、決算書の作成や申告はパソコンから行う設計のものもあります。スマホだけで申告まで終えたい場合は、その旨が公式に明記されているかが分かれ目になります。

サポート・操作性と、年に1回しか使わない前提での続けやすさ

青色申告ソフトは、日々の記帳を除けば年に1回しか本格的に使いません。前年の操作を覚えていない状態で申告期を迎えるのが普通なので、画面の分かりやすさと、詰まったときに聞ける窓口があるかどうかが効いてきます。

サポートの手段は、電話・チャット・メールで違いがあり、上位プランでのみ電話に対応する製品もあります。初めての申告なら、電話で相談できるプランを1年目だけ選び、慣れたら下位プランに変える使い方も現実的です。仕訳の判断や税務相談まで受け付けるかどうかは製品によって異なるため、サポートの範囲も見ておくとよいでしょう。

事業が伸びたとき・法人成りしたときに乗り換えずに済むか

売上が増えて従業員を雇ったり、法人化したりすると、必要な機能が変わります。給与計算や請求管理を別のサービスで行うようになると、会計ソフトとの連携が課題になります。

同じブランドの中に個人向けと法人向けの製品が揃っているサービスなら、法人成りの際にデータを引き継いで移行できる場合があります。数年内に法人化を考えているなら、移行の道筋があるかどうかを最初の選定時に見ておくと、後で帳簿を作り直す手間を避けられます。

年1回の申告だけでなく、日々の記帳や請求書の発行、経費の管理まで含めて会計ソフトを選び直したい場合は、青色申告に絞らない比較も見ておくと判断しやすくなります。以下の記事では、個人事業主から中堅企業までを対象に、事業規模・タイプ別のクラウド会計ソフトの選び方と料金を整理しています。法人成りの後に使うソフトを先に見ておきたい場合にも使えます。

【比較表】個人事業主向け青色申告ソフト17選|初年度費用と65万円控除への対応

ここからは、個人事業主が青色申告に使える17のソフトを横並びで比較します。まず控除の要件と初年度の費用を一覧で示し、続いてタイプごとに使える環境をまとめます。残る4サービスは法人の青色申告に使うもので、後半の法人の青色申告に対応する会計ソフトに別の表としてまとめています。

表を見る前に、申告までの流れのどこでソフトの守備範囲が分かれるのかを整理しておきます。

青色申告の帳簿づけ・青色申告決算書の作成・確定申告書の作成・e-Taxでの送信という4段階の流れを示した図解。確定申告書を作れず決算書までのソフトがあること、e-Tax対応にはソフト内で送信まで完結する方式とe-Taxソフトへ読み込ませるデータを書き出すまでの方式の2通りがあることを示している

青色申告特別控除の要件別 対応表

複式簿記から e-Tax送信まで、どこまでソフトの中で完結するかを製品ごとに示しました。「そのソフトを使って到達できる控除額の上限」は、2026年分(令和8年分)の現行制度で、そのソフトの対応範囲から導ける上限です。

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初年度の費用0円
(セルフ・ベーシックは初年度無料。トータルは19,800円・税別)
12,000円(税抜)/13,200円(税込)0円
(一般プランは12ヵ月間無料。以降は有償のベーシック年9,500円・税抜〜)
11,760円(税抜)〜
(スターター・年払い)
10,800円(税抜)〜
(パーソナルミニ・年払い。1か月の無料期間あり)
年払いで月980円(税抜)〜
(事業所得の青色申告はカンタンプラン以上)
0円
(無料プランで所得税の確定申告書の提出まで可)
15,400円(税込)〜
(セルフプラン付きのオンラインストア優待価格。通常26,730円)
10,780円(税込)
(初年度のバリューサポートは無償)
9,850円(税込)〜
(フルサポートパックのダウンロード版)
公式サイトで確認できず
(無料体験版あり)
5,500円(税込)〜
(ダウンロード版は12か月間。パッケージ版8,140円は期間の制限なし)
13,200円(税込)5,500円(税込)33,000円(税込)
(那覇青色申告会の案内。本体19,800円+3年分の保守料13,200円。別途、会の年会費)
0円
(Windows版のスタンダード・エディション)
0円
(無料版は利用期間の制限なし)
複式簿記公式サイトで確認できず
(青色申告決算書の作成には対応)
公式の青色申告ソフト紹介ページが65万円控除(記帳方法=複式簿記)を前提に案内公式サイトで確認できず
(青色申告決算書の作成には対応)
簡易入力を自動で仕訳に変換×簡易簿記のみ
青色申告決算書の作成一般・不動産・農業に対応一般用全プランで作成可カンタンプラン以上(無料プランは対象外)一般・不動産一般・不動産一般・農業・不動産・兼業一般・不動産公式サイトで確認できず決算書は作成可(青色申告決算書の様式かは公式サイトで確認できず)
確定申告書の作成全プランで作成可第一表〜第四表無料プランでも提出まで可消費税申告書にも対応公式サイトで確認できず公式サイトで確認できず消費税の確定申告書と付表にも対応×国税庁の確定申告書等作成コーナーへ転記×公式FAQで作成できないと明記
e-Tax送信ソフト内で送信まで完結
(マイナンバーカード方式)
ソフト内で送信まで完結非対応
(決算書の内容をe-Taxへ手入力)
ソフト内で送信まで完結
(マイナンバーカード方式)
e-Taxソフトへ書き出し
(xtx形式)
ソフト内で送信まで完結
(マイナンバーカード方式)
ソフト内で送信まで完結
(マイナンバーカード方式)
ソフト内で送信まで完結
(マイナンバーカード方式)
e-Taxに対応と案内
(送信まで完結するかは公式サイトで確認できず)
e-Taxに対応と案内
(送信まで完結するかは公式サイトで確認できず)
e-Taxソフトへ書き出しe-Taxソフトへ書き出し公式サイトで確認できず公式サイトで確認できずe-Taxに対応と案内
(送信まで完結するかは公式サイトで確認できず)
非対応
(確定申告書等作成コーナーから送信)
非対応
(申告書を作成しないため)
優良な電子帳簿への対応(JIIMA認証)JIIMA認証あり(2026年4月取得)JIIMA認証あり(2024年4月取得)電子帳簿保存法に対応と記載(JIIMA認証は確認できず)JIIMA認証はスキャナ保存・電子取引の2区分JIIMA認証あり(電子帳簿等保存など3区分)スキャナ保存機能あり(JIIMA認証は確認できず)公式サイトで確認できずJIIMA認証あり(認証番号100700-01)電子帳簿保存法に対応と記載(優良な電子帳簿の明記なし)JIIMA認証と案内(優良な電子帳簿の明記なし)公式サイトで確認できずJIIMA認証あり(認証番号103801-00)公式サイトで確認できず公式サイトで確認できず電子帳簿保存法に対応と案内(JIIMA認証は確認できず)公式サイトで確認できず公式サイトで確認できず
そのソフトを使って到達できる控除額の上限65万円65万円要確認
複式簿記の明記がないため、65万円を前提にするなら購入前に確認
65万円65万円
送信は国税庁のe-Taxソフトで行う
65万円要確認
複式簿記の明記がないため、65万円を前提にするなら購入前に確認
65万円55万円
e-Tax送信までソフト内で行えれば65万円(送信の方式は要確認)
55万円
e-Tax送信までソフト内で行えれば65万円(送信の方式は要確認)
65万円
送信は国税庁のe-Taxソフトで行う
65万円
送信は国税庁のe-Taxソフトで行う
55万円
e-Tax送信までソフト内で行えれば65万円(送信の方式は要確認)
10万円
簡易簿記のみのため、55万円・65万円は対象外
55万円
e-Tax送信までソフト内で行えれば65万円(送信の方式は要確認)
55万円
決算書の数字を国税庁の確定申告書等作成コーナーへ入力して送信すれば65万円も可
55万円
決算書の数字を国税庁の確定申告書等作成コーナーへ入力して送信すれば65万円も可
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイトサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※JIIMA認証は「優良な電子帳簿」の機能要件を満たすことについての認証です。この要件で65万円の控除を受けるには、届出書の提出など機能以外の要件も満たす必要があります。料金・対応範囲は2026年8月時点で各社の公式サイトに掲載されている情報に基づいています。

青色申告の記帳と申告に絞ったクラウド型の比較表

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サービス名やよいの青色申告 オンラインジョブカン青色申告円簿青色申告
初年度の費用0円
(セルフ・ベーシックは初年度無料。トータルは19,800円・税別)
12,000円(税抜)/13,200円(税込)0円
(一般プランは12ヵ月間無料。以降は有償のベーシック年9,500円・税抜〜)
料金体系年額
次年度以降はセルフ11,800円/ベーシック22,800円/トータル39,600円(いずれも税別)
年額の単一プラン
機能・サポートによる追加料金なし(30日間の無料お試しあり)
年額
ベーシック9,500円/スタンダード19,000円/プレミアム98,000円(いずれも税抜)
対応OS・端末ブラウザ(Windows・Mac)
スマホアプリあり
ブラウザ(Windows・Mac)
スマホアプリあり
ブラウザ(Windows・Mac)
専用アプリなし
銀行・カード連携2,500以上の金融機関公式サイトで確認できず
(記帳は手入力が中心)
サポートメールは全プラン
電話・チャットはベーシック以上
仕訳・確定申告の相談はトータル
メール(平日9:30〜17:00)公式サイトで確認できず
(ヘルプ・操作マニュアルあり)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト

請求書の発行まで一体で使えるクラウド型の比較表

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サービス名freee会計マネーフォワード クラウド確定申告
初年度の費用11,760円(税抜)〜
(スターター・年払い)
10,800円(税抜)〜
(パーソナルミニ・年払い。1か月の無料期間あり)
料金体系年額・月額
年払いの月額換算でスターター980円/スタンダード1,980円/プレミアム3,316円/入力おまかせ4,150円(いずれも税抜)
年額・月額
年払いでパーソナルミニ月900円/パーソナル月1,280円/パーソナルプラス月2,980円(いずれも税抜)
対応OS・端末ブラウザ(Windows・Mac)
スマホアプリあり
ブラウザ(Windows・Mac)
スマホアプリあり
銀行・カード連携全プランで利用可2,300以上のサービス
サポートメール・チャットは全プラン
電話はプレミアム以上
メール・チャットは全プラン
電話はパーソナルプラス
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト

スマホだけで記帳を済ませるアプリ型の比較表

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サービス名タックスナップスマホ会計FinFin
初年度の費用年払いで月980円(税抜)〜
(事業所得の青色申告はカンタンプラン以上)
0円
(無料プランで所得税の確定申告書の提出まで可)
料金体系月額(年払い・月払い)
カンタン 年払い月980円(月払い1,780円)/安心 年払い月2,483円・年間29,800円/レシート郵送 年払い月4,980円・年間59,760円(いずれも税抜)
月額(年払い)
かんたん 月940円・年11,273円/まるなげ控除 月1,500円・年18,000円(公式サイトに税込・税抜の別の記載なし)
対応OS・端末スマホアプリ(iOS・Android)スマホアプリ(iOS・Android)
iPad・Mac(Apple M1以降)にも対応
銀行・カード連携連携先の一覧は非公開口座・カード・電子マネー
サポートAIチャットは24時間
LINE・有人サポートあり(電話窓口なし)
公式サイトで確認できず
詳細情報公式サイト公式サイト

買い切りで長く使うインストール型の比較表

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サービス名やよいの青色申告(デスクトップ版)みんなの青色申告やるぞ!青色申告かんたん!青色申告ジョブカンDesktop 青色申告青色申告らくだかるがるできる青色申告ブルーリターンA
初年度の費用15,400円(税込)〜
(セルフプラン付きのオンラインストア優待価格。通常26,730円)
10,780円(税込)
(初年度のバリューサポートは無償)
9,850円(税込)〜
(フルサポートパックのダウンロード版)
公式サイトで確認できず
(無料体験版あり)
5,500円(税込)〜
(ダウンロード版は12か月間。パッケージ版8,140円は期間の制限なし)
13,200円(税込)5,500円(税込)33,000円(税込)
(那覇青色申告会の案内。本体19,800円+3年分の保守料13,200円。別途、会の年会費)
料金体系買い切り+任意の年間サポート
2年目以降のあんしん保守サポートは年11,330円(税込)から
買い切り+任意の年間サポート
2年目以降のバリューサポートは年7,700円(税込)
買い切り
パッケージ版は11,880円(税込)から。年額課金の定期購入版もあり
買い切り
ユーザー登録から5年間は法令改正対応プログラムを追加費用なしで提供
買い切り
パッケージ版を継続する場合の更新料は12か月7,700円(税込)
買い切り
(年間サポート契約の有無は公式サイトで確認できず)
買い切り
1年間の無償保守サービス付き
買い切り+3年ごとの保守料13,200円(税込)
青色申告会への入会が前提
対応OS・端末Windows 11
(Mac版なし)
Windows 11
(Mac版なし)
Windows 10・11
macOS 13/14/15/26
Windows 11・10Windows 11Windows
(Mac版の案内なし)
公式サイトで確認できずWindows 11・10
銀行・カード連携スマート取引取込MoneyLinkで一括取込公式サイトで確認できずインターネットバンキング・カード明細基本使用サービスの有効期間内公式サイトで確認できず公式サイトで確認できず公式サイトで確認できず
サポートセルフはバージョンアップのみ
電話・メール・チャットはベーシック以上
電話・メール・チャット等
(電話は土日祝を除く10:00〜17:00)
メール(24時間365日)・電話・画面共有が無料
確定申告期間中は土日祝も受付
有償の「あんしん!サポート」あり
(対応時間は公式サイトで確認できず)
パッケージ版は電話・Web
ダウンロード版はWebのみ
公式サイトで確認できず1年間の無償保守サービス
(対応時間は公式サイトで確認できず)
加入した青色申告会の職員に操作・記帳を相談できる
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

費用をかけずに使える無料ソフトの比較表

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サービス名aoiroフリーウェイ経理Lite
初年度の費用0円
(Windows版のスタンダード・エディション)
0円
(無料版は利用期間の制限なし)
料金体系無料
プレミアム・エディションは3,900円(税込)の買い切り(macOS版はプレミアムのみ配信)
無料
有料版(企業版)は月額3,000円(税抜)
対応OS・端末Windows 10・11/macOS 10.15以降Windows 10・11
(macOS非対応)
銀行・カード連携×公式サイトに非対応と明記有料版(企業版)のみ
サポートメールのみ無料版はFAQ・マニュアル・解説動画のみ
有料版は電話・メール・遠隔
詳細情報公式サイト公式サイト

各青色申告ソフトの詳細

ここからは、それぞれのソフトの対応範囲と料金、どんな使い方に向くかを個別に見ていきます。

青色申告の記帳と申告に絞ったクラウド型の各ソフト

1. やよいの青色申告 オンライン(弥生株式会社)

やよいの青色申告 オンラインのウェブサイト

弥生株式会社が個人事業主・フリーランス向けに提供するクラウド型の青色申告ソフトです。複式簿記の帳簿づけから青色申告決算書・確定申告書の作成、e-Tax送信までをこの1本で進められます。対象は所得税の青色申告で、法人税の申告には使えません。

料金はセルフ・ベーシック・トータルの3プランで、セルフとベーシックは初年度無料、次年度以降はそれぞれ年11,800円・22,800円(いずれも税別)です。トータルプランは初年度19,800円(税別。2027年3月15日までの申し込みが対象)、次年度以降は39,600円(税別)で、仕訳や確定申告の相談にも対応します。3つのプランで使える機能は同じで、違いはサポートの範囲だけです。

e-Taxはマイナンバーカード方式に対応し、スマートフォンの「弥生 電子署名」アプリで電子署名して送信します。2026年4月には、優良な電子帳簿の機能要件を対象とするJIIMA認証(電子帳簿ソフト法的要件認証)を取得しました。明細の自動取得は2,500以上の金融機関に対応します。

2. ジョブカン青色申告(株式会社ジョブカン会計)

ジョブカン青色申告のウェブサイト

料金プランを年額12,000円(税抜)・13,200円(税込)の1本に絞ったクラウド型のソフトです。提供元は株式会社ジョブカン会計で、個人事業主専用として案内されています。機能やサポートによる追加料金はなく、申し込み前に30日間、全機能を試せます。

帳簿づけ、青色申告決算書と確定申告書の作成、e-Tax送信までをこのサービスだけで完結できます。決算書は一般用に加えて不動産所得用・農業所得用にも対応し、事業所得との兼業でも作成できます。

クラウド版のジョブカン青色申告は2024年4月にJIIMA認証(電子帳簿ソフト法的要件認証)を取得し、優良な電子帳簿の要件に対応しています。銀行口座・クレジットカードの明細は自動で取り込め、iOS・Android向けのアプリもあります。1契約で最大3名まで同時に使え、メールサポートは平日9:30〜17:00の受付です。

3. 円簿青色申告(株式会社円簿インターネットサービス)

円簿青色申告のウェブサイト

「クラウド円簿」のブランドで提供されている、個人事業主向けの青色申告ソフトです。株式会社円簿インターネットサービスが運営し、青色申告決算書(一般用)と所得税申告書の作成に対応します。期首が1月1日に固定されるなど、所得税の確定申告に合わせた作りです。

2025年2月17日にシリーズ全体が有償化され、現在は「円簿PRO」の料金体系で提供されています。有償プランはベーシックが年9,500円(税抜)、スタンダードが年19,000円(税抜)、プレミアムが年98,000円(税抜)です。

12ヵ月間無料で使える一般プランも用意されていますが、AI-OCRの読み取りは月10枚、ストレージは100MBに制限され、期間が終わると帳票の表示・閲覧とCSVデータ書き出しだけが残ります。

公式のよくある質問では、e-Taxへの送信には対応しておらず、作成した決算書の内容を自分でe-Taxへ入力し直す運用が案内されています。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む機能も、公式サイトには案内がありません。記帳は手入力が中心になります。

請求書の発行まで一体で使えるクラウド型の各ソフト

4. freee会計(フリー株式会社)

freee会計の公式サイト

フリー株式会社が提供するクラウド会計ソフトで、個人事業主向けはスターター・スタンダード・プレミアム・入力おまかせの4プラン構成です。いずれのプランでも複式簿記での記帳と青色申告決算書・確定申告書の作成に対応しており、プラン間で変わるのは消費税申告の可否とサポートの範囲です。法人向けプランも同じブランドで提供されているため、法人成りした後の移行先を同じサービス内に持てます。

見積書・請求書の作成も全プランに含まれ、請求業務と帳簿づけを1つのサービスで進められます。請求書はインボイス制度に対応した適格請求書・簡易請求書・返還請求書の形式で発行できます。

確定申告書はマイナンバーカード方式でのe-Tax送信までソフト内で行えます(ID・パスワード方式には対応していません)。帳簿の保存面では、電帳法スキャナ保存と電子取引の2区分でJIIMA認証を取得しています(いずれも認証日2022年8月26日)。

料金は年払いの月額換算でスターターが980円(年11,760円)、スタンダードが1,980円(年23,760円)、電話サポートが付くプレミアムが3,316円(年39,800円)で、いずれも税抜です。スターターは消費税申告に対応せず、レシートの撮影・アップロードも月5枚までのため、消費税の申告が必要な人やレシートの多い人はスタンダード以上が前提になります。

法人成りしたあとも同じブランドで続けられる点も、個人事業主が最初に選ぶ理由になります。法人向けは料金体系が変わり、ひとり法人向けのプランは月額2,980円(税抜・年払い)からです。法人税の申告書(別表)そのものは別製品の「freee申告」(年29,800円・税別から)が担い、freee会計の決算データを連携して電子申告まで行えます。

5. マネーフォワード クラウド確定申告(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド確定申告の公式サイト

個人事業主・フリーランス向けに絞った確定申告ソフトで、法人の会計・申告には株式会社マネーフォワードの別製品が必要です。銀行口座やクレジットカードの明細、アップロードした請求書・領収書の情報をAIが判別して仕訳を入力し、青色申告決算書と確定申告書第一表〜第四表を作成できます。

料金は年払いで、消費税申告を使わないパーソナルミニが月900円(年10,800円)、インボイス制度に対応した消費税申告を使えるパーソナルが月1,280円(年15,360円)、電話サポートが付くパーソナルプラスが月2,980円(年35,760円)です。いずれも税抜で、1か月の無料期間はクレジットカードを登録せずに試せます

電子申告は、確定申告書の確認・提出画面からxtx形式のファイルを書き出し、e-Taxソフトに読み込ませて提出する流れです。電子帳簿保存法については電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3区分でJIIMA認証を取得しており、仕訳履歴保存機能で優良な電子帳簿の要件である訂正・削除履歴の確保に対応できます。

スマホだけで記帳を済ませるアプリ型の各ソフト

6. タックスナップ(株式会社タックスナップ)

タックスナップの公式サイト

レシートの撮影と、取引を「ビジネス」「プライベート」に振り分けるスワイプ操作で仕訳を作るスマホアプリです。株式会社タックスナップが2023年7月に提供を開始し、簿記の知識がなくても記帳を進められる操作性を打ち出しています。

青色申告決算書と所得税の確定申告書の作成、マイナンバーカードを使ったe-Tax送信に対応します。ただし無料プランは控除のみ・雑所得の申告向けで、事業所得の青色申告は対象外です。事業所得で決算書まで作るには、月980円(年払い、税抜)のカンタンプラン以上を選ぶことになります。

仕訳の入力自体を任せたい場合は、丸投げ仕訳と税務調査リスクチェックが付く安心プラン(年払いで月2,483円・年間29,800円、税抜)や、レシートを郵送するだけで仕訳が完了するレシート郵送プラン(同月4,980円・年間59,760円)が用意されています。freee・マネーフォワード・弥生・PayPayからのデータ移行に対応し、問い合わせは24時間対応のAIチャットが受け付けます。

7. スマホ会計FinFin(会計バンク株式会社)

スマホ会計FinFinの公式サイト

会計バンク株式会社が展開するFinFinシリーズのうち、記帳と確定申告を担うアプリです。アプリストアでは「スマホ会計FinFin」、公式サイトでは「確定申告FinFin」の名称で案内されています(請求書FinFin・開業FinFinは別のアプリです)。

銀行口座・クレジットカード・電子マネーとの連携で取引を取り込み、領収書や源泉徴収票は画像から読み取れます。質問に答える形で確定申告書を作り、マイナンバーカードを使えばアプリから直接提出できます。無料プランのままでも所得税の確定申告書の提出まで行え、制限がかかるのは消費税申告書で、こちらはPDF出力にとどまります。

有料プランは、消費税申告書の提出まで含むかんたんプラン(年払いで月940円・年間11,273円)と、領収書画像から控除項目をAIが判定するまるなげ控除プラン(同月1,500円・年間18,000円)の2段階で、いずれも公式料金ページの表示額です(税込・税抜の別は明記されていません)。公式サイトに複式簿記との記載はないため、65万円控除に必要な貸借対照表まで作れるかは事前に確認してください。

買い切りで長く使うインストール型の各ソフト

毎年の利用料を払い続けるより、購入して手元のパソコンで長く使いたい人に向くソフトです。

※インストール型は年度版で提供されるため、申告する年分に対応した版が必要です。現行版がどの年分の申告に対応するかは各社サイトでご確認ください。

8. やよいの青色申告(デスクトップ版)(弥生株式会社)

やよいの青色申告(デスクトップ版)の公式サイト

弥生株式会社は青色申告ソフトを2系統で展開しており、こちらはパソコンにインストールして使う年度版のほうです。2026年8月時点の最新版は令和7年分の所得税確定申告に対応した「やよいの青色申告 26」で、対応OSはWindows 11。Mac版は用意されていません。

帳簿づけから青色申告決算書・確定申告書の作成、e-Taxでの送信までを1本で扱えます。送信にはマイナンバーカードとカード対応のスマートフォンが必要です。銀行明細やクレジットカードの取引は「スマート取引取込」で自動的に取り込め、JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証(認証番号100700-01)も取得しています。

弥生の直販ストアでは製品本体と初年度のサポートプランがセットで販売されており、セルフプラン付きが通常26,730円(税込)、登録時の申し込みなど条件を満たした場合のオンラインストア優待価格が15,400円(税込)です。2年目以降もバージョンアップやサポートを受けるには、あんしん保守サポートの更新料が年11,330円(税込)から必要になります。30日間の無料体験版も配布されています。

9. みんなの青色申告(ソリマチ株式会社)

みんなの青色申告の公式サイト

個人事業主専用と割り切った買い切り型のソフトです。1972年設立のソリマチ株式会社が提供しており、対応OSはWindows 11のみ、法人の決算には使えません。青色申告決算書は一般用と不動産用の両方を作成できます。

本体価格は10,780円(税込)で、電話・メール・チャット等のサポートが受けられるバリューサポートが初年度は無償で付きます。2年目以降も継続する場合は年7,700円(税込)で、加入は任意です。30日間試せる無料版も配布されています。

記帳では振替伝票や仕訳日記帳など複数の入力形式を選べ、MoneyLink機能で銀行やクレジットカードの入出金データを一括で取り込めます。電話サポートの受付は土日祝を除く10時から17時まで。電子申告への対応も案内されていますが、送信までソフト内で完結するかどうかは公式サイトの記載からは読み取れませんでした。

10. やるぞ!青色申告(株式会社リオ)

Windows版とMac版の両方が用意されている点が、Windows専用の製品が多いインストール型のなかでは目を引きます。株式会社リオが提供しており、Windows 10/11とmacOS 13/14/15/26に対応。最新版は令和8年分の申告に対応した「やるぞ!青色申告・確定申告2027」です。

青色申告決算書と所得税の確定申告書に加えて、消費税申告書の作成にも対応します。サポートはメール(24時間365日受付)・電話・パソコンの画面共有の3種類が無料で提供され、確定申告期間中は土日祝も受け付けています。

価格はフルサポートパックのダウンロード版が9,850円から、パッケージ版が11,880円から(いずれも税込。Windows版とMac版で幅があります)。年額課金の定期購入版や、10件から500件までのライセンスを選べる業務用Proも用意されています。

11. かんたん!青色申告(株式会社ミロク情報サービス)

かんたん!青色申告の公式サイト

勘定科目を選んで金額を入れる簡易な入力を、システム側で複式簿記の仕訳に変換する設計です。簿記を学んでいなくても複式簿記の帳簿を作れるため、公式サイトでは最大65万円の青色申告特別控除に対応するとしています。勘定科目の体系は個人一般用と個人不動産用で、法人には対応しません。

提供元の株式会社ミロク情報サービスは1977年設立、東京証券取引所プライム市場に上場する会計ソフトベンダーです。ユーザー登録から5年間は法令改正に対応したプログラムが追加費用なしで提供されるため、毎年の年度版を買い直さずに使い続けられます。無料体験版も配布されています。

気をつけたいのはe-Taxの扱いです。電子申告はソフトの中では完結せず、青色申告決算書と確定申告書のデータを国税庁のe-Taxソフトに書き出して送信します。対応OSはWindows 11と10で、インターネットバンキングやクレジットカードの明細は自動で取得できます。

12. ジョブカンDesktop 青色申告(株式会社ジョブカン会計)

ジョブカンDesktop 青色申告の公式サイト

旧製品名は「ツカエル青色申告」。開発元のビズソフト株式会社が2021年6月に株式会社DONUTSの子会社となり株式会社ジョブカン会計へ社名を変更した後も、デスクトップ製品として提供が続いています。同社のクラウド版「ジョブカン青色申告」とは別の製品で、料金体系も異なります。

一般・農業・不動産・兼業の所得区分に対応し、それぞれの青色申告決算書を作成できます。JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証(認証番号103801-00)を取得しており、購入者は書類をクラウドに保存する「ジョブカン電子帳簿保存」を無料で利用できます。対応OSはWindows 11です。

価格はパッケージ版が8,140円(税込)で利用期間の制限がなく、ダウンロード版は5,500円(税込)で12か月間という違いがあります。パッケージ版を継続する場合の更新料は12か月で7,700円(税込)。e-Taxはソフト内で送信までは行わず、e-Taxソフトを利用して電子申告する方式をとります。30日間の無料トライアルがあります。

13. 青色申告らくだ(株式会社ビーエスエルシステム研究所)

青色申告らくだの公式サイト

出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳から総勘定元帳・仕訳帳・振替伝票まで、複式簿記の入力形式を幅広く備えた個人事業者専用のソフトです。株式会社ビーエスエルシステム研究所が提供する買い切り型で、帳簿のデータはExcel・CSV・TSV形式で書き出せます。

現行版は「青色申告らくだ26」で、価格は13,200円(税込)。消費税は税込・税抜のどちらの処理にも対応し、取引ごとに税区分とインボイスの区分を指定できます。青色申告決算書は一般用と不動産用を作成できます。

一方で、e-Taxでの電子申告や電子帳簿保存に対応するかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。65万円の控除を前提に選ぶのであれば、購入前に提供元へ直接確かめておくと安心です。対応OSはWindowsで、Mac版の案内は見当たりません。

14. かるがるできる青色申告(株式会社ビーエスエルシステム研究所)

かるがるできる青色申告の公式サイト

同じビーエスエルシステム研究所の製品ですが、こちらは簡易簿記による記帳に特化しており、複式簿記には対応しません。そのため受けられる青色申告特別控除は最高10万円にとどまり、55万円・65万円の控除は対象外になります

最新版は2025年10月23日発売の「かるがるできる青色申告26」で、価格は5,500円(税込)、1年間の無償保守サービスが付きます。現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳の作成に対応し、明細行ごとに税区分や適格請求書の区分、仕入税額控除を指定できます。

65万円を狙うのであれば、同社の複式簿記対応製品である「青色申告らくだ」を選ぶことになります。両者は記帳データの構造が異なるため、後から乗り換えてもデータは引き継げません。価格の安さだけで決めると控除額で差が出るので、自分がどの控除を目指すのかを先に決めてから検討してください。

15. ブルーリターンA(一般社団法人全国青色申告会総連合)

ブルーリターンAの公式サイト

全国の青色申告会が会員向けに提供しているソフトです。一般には販売されておらず、利用するには地域の青色申告会に入会することが前提になります。提供元は1955年創立の一般社団法人全国青色申告会総連合で、青色申告会が積み重ねてきた記帳指導のノウハウをもとに開発されています。

複式簿記による記帳から青色申告決算書、所得税の確定申告書、消費税の確定申告書と付表の作成までを1本で行えます。公式サイトでは65万円の青色申告特別控除に対応するとしており、電子申告にも対応すると案内されています。対応OSはWindows 11と10です。

導入後は、加入した青色申告会の職員に操作や記帳の相談ができる点が、市販のソフトと大きく違うところです。費用はソフト代金に加えて会の年会費がかかり、金額の案内は地域ごとに異なります。那覇青色申告会は導入時33,000円(税込、本体19,800円+3年分の保守料13,200円)としており、申し込み先の会で最新の金額を確認してください。

費用をかけずに使える無料ソフトの各ソフト

16. aoiro(個人開発・HIRUKAWA Ryo 氏)

会計アプリ aoiro のウェブサイト

青色申告に必要な帳簿と決算書を作ることに機能を絞った、Windows・macOS向けのインストール型ソフトです。開発と提供は法人ではなく、HIRUKAWA Ryo氏が個人で手がけています。サポートの窓口もメールのみです。

Windows版は無料のスタンダード・エディションで、仕訳入力と、仕訳帳・総勘定元帳・損益計算書・貸借対照表の作成、PDF保存まで期間の制限なく使えます。独自の勘定科目の追加や家事按分の割合設定は3,900円(税込・買い切り)のプレミアム・エディションの機能で、月額・年額の継続費用はかかりません。macOS版はMac App Storeでプレミアム・エディションのみが配信されています。

一方で、作れるのは決算書までで、確定申告書の作成とe-Tax送信には対応していません。決算書は国税庁の確定申告書等作成コーナーへ転記しやすいレイアウトで出力される設計です。銀行やクレジットカードの明細の自動取得もできないと公式サイトに明記されているため、仕訳を自分で入力し、転記まで進められる人向けの選択肢になります。

17. フリーウェイ経理Lite(株式会社フリーウェイジャパン)

フリーウェイ経理Liteのウェブサイト

無料版に利用期間の制限がなく、月額0円のまま使い続けられるWindows専用の会計ソフトです。提供元は、業務システムのフリーウェイシリーズを手がける株式会社フリーウェイジャパン(1991年設立)です。

入力は仕訳形式と出納帳形式の両方に対応し、仕訳日記帳・総勘定元帳・合計残高試算表・月次損益計算書などの帳票を作成できます。無料版に操作サポートは付かず、FAQ・マニュアル・解説動画を見ながら進める形です。銀行口座やカードの明細の自動取得と、電話・メール・遠隔のサポートは、月額3,000円(税抜)の有料版(企業版)の機能になります。

注意したいのは書類の範囲で、確定申告書や法人税の申告書類は作成できません。日々の帳簿づけと決算書の作成までが対象だと公式のFAQで明言されており、申告書は国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで別途作ることになります。macOSには対応していないため、Windows環境があり、記帳と転記を自分で進められる人に向きます。

法人の青色申告に対応する会計ソフトの各ソフト

ここからは法人向けの会計ソフトです。個人事業主として青色申告をする方は、この4サービスは読み飛ばしていただいて構いません。すでに法人化している方、近いうちに法人成りを考えている方に向く製品を紹介します。

18. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next公式サイトのスクリーンショット

弥生株式会社が2025年4月に提供を始めた法人向けのクラウド会計サービスです。同社の個人向け製品「やよいの青色申告 オンライン」とは別の製品で、法人成りした後はこちらが受け皿になります。会計に加えて見積書・請求書の発行、経費精算、証憑の管理を1つにまとめており、請求や経費のデータがそのまま会計へ流れます。

作れるのは帳簿と決算書までで、法人税の申告書(別表)を作成する機能は搭載されていません。公式のサポート情報にもその旨が明記されています。別表が必要な場合は、会計データを税務申告ソフト「達人シリーズ」へXML形式で書き出して申告書を作るか、顧問税理士に共有権限を付与し、同じ画面を見ながら決算・申告を進める形になります。

料金は年契約でエントリープランが34,800円、ベーシックプランが50,400円、ベーシックプラスプランが84,000円(いずれも年額・税抜)で、初期費用はかかりません。最大2か月の無料体験も用意されていますが、決算書の作成と出力は体験の対象外です。

19. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)公式サイトのスクリーンショット

公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービスが、自社のクラウド会計ソフト「10book」と、記帳から決算・申告までを担う会計サービスを組み合わせて提供しています。ソフトは会計サービスの契約者に無料で提供され、支払管理や請求書発行、給与計算までが1つのシステムに収まっています。

ソフト単体で提供される他の会計ソフトと違い、専門チームが法人税の申告書の作成まで代行します。対応する税目は法人税・所得税・消費税で、法人税のうちグループ通算制度・組織再編税制・国際税務は範囲外、相続税や贈与税も含まれません。関与するメンバーは原則3名のチーム制です。

料金は月額制で、免税事業者向けが29,500円(月額24,000円+相談料5,500円)、課税事業者向けが43,500円(月額36,000円+相談料7,500円)。年間一括払いはそれぞれ300,000円と475,000円です。初期費用と決算料はかからず、決算期に追加の費用が出ません。

20. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計公式サイトのスクリーンショット

ひとり法人から従業員50名程度までの中小企業を対象にした法人向けのクラウド会計で、個人向けの「マネーフォワード クラウド確定申告」から法人化に伴って移る先にあたります。銀行やクレジットカードなど2,300以上の金融関連サービスと連携して明細を取り込み、AIが勘定科目を提案して仕訳を作ります。

対応範囲は仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿と、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書といった決算書までです。公式ブログでも、製品内で法人税の申告には対応せず決算書の出力までである旨が案内されており、申告書は外部の法人税申告ソフトか税理士に引き継ぐことになります。

料金プランは3種類で、経営者1名の新設法人向けの「ひとり法人」が月額3,980円、「スモールビジネス」が5,980円、「ビジネス」が7,980円(いずれも税抜・月払い)。年払いにすると月あたり2,480円・4,480円・6,480円になります。ひとり法人プランは利用者1名・1会計年度あたり500仕訳までの制限があり、初期費用は0円、無料トライアルは1か月です。

21. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

ジョブカン会計公式サイトのスクリーンショット

勤怠管理や経費精算などを揃えるジョブカンシリーズの一角として、株式会社DONUTSが提供するクラウド型の会計ソフトです。同じ「ジョブカン」の名前で、買い切り型のインストール製品や個人事業主向けの青色申告ソフトを別の会社が提供しているため、申し込む際は提供元を確かめてください。

決算書は損益計算書・貸借対照表に加えて株主資本等変動計算書と個別注記表まで作成でき、消費税申告書と消費税還付申告明細書にも対応します。ただし法人税の申告書を作成できるかは公式サイトに記載がなく、必要であれば申し込み前に問い合わせて確認してください。

料金はスタートアッププランが月額2,500円(3ユーザーまで)、ビジネスプランが5,000円(5ユーザーまで、権限管理・承認・履歴管理が加わる)、エンタープライズプランが50,000円(ユーザー数の上限なし)。初期費用は0円で、30日間の無料トライアル期間中から電話サポートを利用できます。

無料の青色申告ソフトはどこまで使えるか

「無料あり」と書かれていても、無料の中身は同じではありません。ここでは、無料で使えるソフトの実際の範囲と、どこで有料に切り替える判断をすべきかを整理します。

期間限定の無料と、期間無制限の無料は別のもの

無料には2種類あります。1つは有料サービスの無料キャンペーンや体験期間で、一定期間が過ぎると通常の料金がかかります。もう1つは、期間の制限なく無料で使えるソフトです。

前者は初年度の負担を抑える手段としては有効ですが、2年目からは年額の費用が発生します。初年度無料をうたうクラウド型は、キャンペーンの適用範囲がプラン単位で決まっていることもあるため、無料になるのがどのプランなのか、翌年からいくらになるのかを申し込み前に確認してください。

無料の範囲で65万円控除に届くか

期間無制限で無料のソフトは、複式簿記に対応し、青色申告決算書までは作れるものがあります。控除の要件のうち、記帳と決算書の部分はここで満たせます。

止まりやすいのは確定申告書の作成とe-Tax送信です。確定申告書の作成に対応していない製品では、決算書の数字を国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力して申告書を作ることになります。e-Tax送信もソフトの外で行います。この場合でも、作成コーナーから電子申告すれば65万円の要件そのものは満たせますが、ソフト1本で完結はしません。

サポートも、無料のソフトでは原則として付きません。操作で迷ったときに問い合わせる先がなく、公式のマニュアルや利用者同士の情報を頼りにすることになります。簿記の知識があり、自分で調べて解決できる人でなければ、申告期に立ち往生する可能性があります。

料金改定で無料でなくなった製品もある

無料ソフトを紹介する情報は、更新が追いついていないことがあります。かつて無料で提供されていたサービスが有料に切り替わった後も、サービス自身の紹介ページに以前の「無料」という表記が残っている例があります。

無料であることを決め手に選ぶ場合は、申し込みページの料金表示を必ず自分の目で確認してください。

無料で済ませてよい人・有料を選んだほうがよい人

無料のソフトが向くのは、取引の件数が少なく、簿記の基本を理解していて、確定申告書の作成を自分で進められる人です。副業の規模で経費の項目も限られているなら、無料の範囲で十分に申告を終えられます。

反対に、初めての青色申告で簿記に不慣れな場合や、取引の件数が多く明細の自動取得で手間を減らしたい場合は、有料のソフトを選んだほうが結果的に負担が軽くなります。年額1万円前後の費用と、控除を確実に取れることや作業時間の短縮を比べて判断してください。

法人の青色申告に対応する会計ソフト

青色申告は個人事業主だけの制度ではありません。法人にも青色申告があり、法人税の申告で使います。法人成りを控えている場合や、すでに法人化している場合に必要なソフトの範囲を整理します。

個人事業主の青色申告と、法人の青色申告は何が違うか

個人の青色申告は所得税、法人の青色申告は法人税が対象です。法人税法121条1項は、税務署長の承認を受けた内国法人が中間申告書と確定申告書を青色の申告書で提出できると定めています。

特典の中身も異なります。個人の青色申告特別控除にあたるものは法人にはなく、代わりに大きいのが欠損金の繰越控除です。赤字が出た事業年度の欠損金を、その後10年以内の黒字と相殺できます。

この10年の繰越が青色申告と結びついているのは、法人税法58条1項が、青色申告書を提出していない事業年度に生じた欠損金について、災害による損失などを除いて「ないものとする」と定めているためです。国税庁も次のように説明しています。

確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前10年(注)以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。

出典:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁

設立初年度は赤字になることが多いため、この繰越を使えるかどうかは数年先の税額に影響します。承認申請の期限も個人とは違い、法人税法122条により、設立の日の属する事業年度については「設立の日以後3か月を経過した日」と「その事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日が期限です。個人の「開業から2か月以内」と混同しないよう注意してください。

会計ソフトで作れるのは決算書まで

法人向けの会計ソフトを検討するときに、あらかじめ知っておきたいことがあります。会計ソフトが作るのは仕訳帳・総勘定元帳と決算書までで、法人税の申告書(別表)そのものを作れる製品はほとんどありません。

申告書の作成には、会計ソフトとは別に申告用のソフトを使うか、税理士に依頼するのが一般的です。申告ソフトを同じベンダーが別製品として提供している場合もあれば、他社の申告ソフトへデータを渡す形をとる場合もあります。会計と申告をまとめて代行するサービスを選ぶという選択肢もあります。

個人の青色申告では1つのソフトで申告書まで作れるのが当たり前なので、法人になると同じ感覚では進みません。法人向けのソフトを選ぶときは、決算書の後の工程を誰がどう担うのかまで含めて考えてください。なお、法人税の電子申告が義務づけられているのは資本金1億円を超える法人などで、法人成り直後の小規模な法人に義務はありません。

法人成りのタイミングと、個人向けソフトからの引き継ぎ

法人成りをすると、個人事業としての最後の確定申告と、法人としての初めての決算・申告の両方が必要になります。個人事業の廃業までの期間は個人向けソフトで申告し、法人設立日以降の取引は法人向けの会計ソフトで記帳する、という切り分けが基本です。

個人時代のデータをそのまま法人の帳簿に持ち込むことはできません。法人は個人とは別の人格として会計を始めるためです。ただし、同じベンダーの製品を使い続ければ、操作画面や勘定科目の考え方が変わらないぶん、移行の負担は軽くなります。

以下は、法人の青色申告に使える会計ソフトの比較です。決算書の作成範囲と、申告書をどう扱うかを併せて示しました。

出典・参考資料(3件)
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サービス名弥生会計 NextTenbook(テンブック)freee会計マネーフォワード クラウド会計ジョブカン会計
費用年額34,800円(税抜)〜
エントリー34,800円/ベーシック50,400円/ベーシックプラス84,000円(初期費用0円)
月額29,500円〜(免税事業者)/43,500円(課税事業者)
年間一括は300,000円/475,000円。初期費用・決算料なし
月額2,980円(税抜)〜
ひとり法人2,980円/スタンダード8,980円〜(いずれも年払い。スターター以上は従量課金別)
月額2,480円(税抜)〜
ひとり法人2,480円/スモールビジネス4,480円/ビジネス6,480円(いずれも年払い)
月額2,500円〜
スタートアップ2,500円(3ユーザー)/ビジネス5,000円(5ユーザー)/エンタープライズ50,000円(初期費用0円)
決算書の作成記帳から決算まで代行キャッシュフロー計算書にも対応株主資本等変動計算書・個別注記表にも対応
法人税申告書(別表)非対応
「達人シリーズ」へのXML書き出しか、税理士との共有が前提
対応
専門チームが作成まで代行(グループ通算制度・組織再編税制・国際税務は範囲外)
別製品で対応
「freee申告」(freee会計利用者向け・年29,800円税別〜)が別表の作成と電子申告に対応
非対応
決算書の出力まで。外部の法人税申告ソフトか税理士に引き継ぐ
公式サイトで確認できず
(決算書・消費税申告書までは対応)
個人向け製品からの移行個人向けは同じ弥生の「やよいの青色申告 オンライン」公式サイトで確認できず
(法人向けサービスとして案内)
個人事業主向けプランと同一ブランド個人向けは「マネーフォワード クラウド確定申告」個人向け「ジョブカン青色申告」は別会社の製品
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

青色申告ソフトとは|できること・白色申告や手書きとの違い

ここまでで候補は絞れたはずです。最後に、ソフトが引き受けてくれる範囲と、そもそも青色申告を選ぶ意味を確認しておきます。

青色申告ソフトでできること

青色申告ソフトは、日々の取引の記録から申告書の提出までを一続きで扱います。流れは大きく4段階です。

  1. 帳簿づけ:取引を入力し、仕訳帳と総勘定元帳を作ります。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込める製品もあります
  2. 青色申告決算書の作成:帳簿の数字を集計し、貸借対照表と損益計算書を作ります
  3. 確定申告書の作成:決算書の内容と、所得控除などの情報から申告書を作ります
  4. e-Taxでの送信:作成した申告書と決算書を電子申告で提出します

どこまでを1本のソフトで行えるかは、製品ごとに違います。4段階のすべてに対応していれば、ソフトを立ち上げてから提出まで途切れずに進められます。

手書き・Excelでの記帳と何が変わるか

複式簿記の帳簿は、手書きの帳簿やExcelでも作れます。実際、簿記の知識があれば表計算ソフトで仕訳帳と総勘定元帳を組むことは可能です。

違いが出るのは、集計と転記の正確さ、そして様式の変更への対応です。ソフトを使えば、仕訳を入力した時点で総勘定元帳と決算書に自動で反映され、貸借が合わない場合はその場で気づけます。申告書の様式が変わったときも、更新に合わせて対応されます。

また、優良な電子帳簿の要件である訂正削除の履歴保存や検索機能は、Excelで満たすのは現実的ではありません。将来的に電子帳簿での保存を考えるなら、対応するソフトを使うほうが確実です。

青色申告と白色申告では、記帳の手間と受けられる控除がどう違うか

白色申告には青色申告特別控除がありません。加えて、家族への給与の扱いと赤字の繰越にも差があります。

項目青色申告白色申告
特別控除最高65万円(2026年分)なし
家族への給与届出の範囲内で、労務の対価として相当な額を必要経費にできる配偶者は最高86万円、その他の親族は最高50万円
赤字の繰越純損失を翌年以後3年間繰り越せる変動所得の損失・被災事業用資産の損失を除き繰り越せない
記帳と保存複式簿記での記帳と、決算書の作成・保存が必要簡易な方法での記帳

家族に給与を払っている場合の差は特に大きくなります。国税庁は白色申告の事業専従者控除について「配偶者は最高 86 万円、15 歳以上のその他の親族は最高 50 万円を必要経費として差し引くことができます」と説明しており、青色申告ではこの上限がなく、労務の対価として相当と認められる額を経費にできます。

ただし、青色事業専従者給与に関する届出書を、その年の3月15日(1月16日以後に開始した場合は開始日から2か月以内)までに提出しておく必要があります。

赤字の繰越は、所得税法70条1項が「その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る」と定めています。開業初年度に設備投資で赤字が出た場合、青色申告なら翌年以降3年の黒字と相殺できます。

複式簿記の記帳という手間はかかりますが、ソフトを使えばその負担は大きく下がります。控除と経費算入の差を考えると、事業として継続するなら青色申告を選ぶ意味は小さくありません。

出典・参考資料(3件)

青色申告ソフトを導入するメリットと、導入後につまずきやすい点

ソフトを使うことで得られるものと、使い始めてから直面する制約を対にして見ておきます。

導入するメリット

簿記の知識が少なくても複式簿記の帳簿を作れる

65万円の控除には複式簿記が要件ですが、借方・貸方を自分で判断できる必要はありません。取引の内容を選んでいくと仕訳に変換される設計のソフトなら、簿記を学んでいなくても要件を満たす帳簿を作れます。控除額の差が実質的な導入コストを上回ることも多く、ここが最も分かりやすい効果です。

決算書・申告書の作成と提出までの時間が短くなる

帳簿づけが済んでいれば、決算書と申告書は集計された数字から自動で作られます。銀行口座やクレジットカードを連携していれば、記帳そのものも明細の確認と分類が中心になります。申告期に数日かけていた作業が、数時間で終わる状態を目指せます。

税制改正や様式変更への対応が反映される

申告書の様式や控除の要件は毎年のように変わります。クラウド型では更新が自動で適用され、インストール型でも年度版の更新やプログラムの適用で対応されます。2027年分から控除の区分が変わることを踏まえると、この対応があるかどうかは今後さらに効いてきます。

導入後につまずきやすい点

自動仕訳は「完全自動」ではなく、勘定科目の確認が要る

明細の自動取得と自動仕訳は便利ですが、提示されるのはあくまで候補です。同じ店での買い物でも、事業用の備品なのか私用なのかはソフトには判断できません。取り込んだ明細をそのまま確定させると、経費に入れるべきでないものが混ざります。月に一度は明細を見直す時間を確保しておくと、申告期にまとめて確認する負担を避けられます。

対応範囲がソフトごとに違う

確定申告書まで作れない製品や、e-Taxへの送信を別のソフトに任せる製品があります。導入してから気づくと、申告期に慌てて別の手段を探すことになります。契約前に、自分が必要とする工程のどこまでをそのソフトが担うのかを確かめてください。

毎年の更新費用・年度版の買い直しが発生する場合がある

買い切り型は一度購入すれば使い続けられますが、税制改正に対応した最新版を使うには年度版の購入や更新料が必要になることがあります。サポートを受けるための保守契約が別料金の製品もあります。初年度の価格だけで比べず、数年使う前提の総額で判断してください。

サービス終了・提供条件の変更というリスク

提供が終了するソフトや、無料から有料へ条件が変わるソフトもあります。会計データは事業を続ける限り使い続けるものなので、乗り換えが必要になったときにデータを書き出せるかは確認しておきたい点です。CSVなどでの出力に対応していれば、別のソフトへ移す際の負担が軽くなります。

実際に別のソフトへ移るときは、事業年度の区切りに合わせるなど、帳簿を作り直さずに済む進め方があります。移行の手順と注意点は以下の記事で解説しています。

申告期限から逆算した進め方

ソフトを決めたら、次は申告までの段取りです。特に初めての青色申告では、ソフトを用意するより先に済ませておくべき手続きがあります。

青色申告承認申請書を出していないと控除は受けられない

青色申告をするには、事前に税務署の承認が必要です。所得税法144条が提出期限を定めています。

(青色申告の承認の申請)第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

出典:所得税法 第144条|e-Gov法令検索

読み違えやすいのが「開業から2か月以内」という特例の条件です。これはその年の1月16日以後に業務を開始した場合の話で、1月1日から15日までに開業した場合は原則どおり3月15日が期限になります。

すでに事業を始めていて、これから青色申告に切り替える場合は、適用を受けたい年の3月15日までに提出します。たとえば2027年分から青色申告にしたいなら、2027年3月15日が期限です。申請書を出していなければ、どれだけ丁寧に複式簿記で記帳しても控除は受けられません。ソフトを選ぶ前に、申請の有無を確認してください。

初年度に何から手を付けるか

ソフトを契約したら、最初に行うのは、事業用の銀行口座とクレジットカードの連携です。過去の明細をさかのぼって取得できる期間はサービスによって違うため、早めに設定しておくと、後から手入力する範囲を減らせます。

次に必要になるのが、期首の残高の登録です。事業を始めた時点で持っていた現金や預金、事業用の資産をここで入れておかないと、貸借対照表が合いません。開業前に買った備品も、開業費や資産として計上できる場合があります。

前年まで白色申告だった場合は、貸借対照表を作っていないため、期首残高の元になる数字が手元にありません。年初時点の事業用口座と現金の残高、売掛金や買掛金の残り、前年までに買って使い続けている備品などを自分で洗い出して登録することになります。

そのうえで、日々の記帳は月単位で進めるのが現実的です。年末にまとめて1年分を入力すると、領収書の内容を思い出せずに経費の計上漏れが起きます。月に一度、明細を確認して分類する時間を決めておくのが結局は近道です。e-Taxで送信する場合は、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限も確認しておいてください。

自分で記帳するか、税理士に任せるか

ソフトを使わず、記帳から申告まで税理士に任せるという選び方もあります。売上の規模が大きくなり、消費税の課税事業者になった場合や、従業員を雇って給与計算が必要になった場合は、専門家に任せたほうが安全に進むことがあります。

費用は依頼する範囲によって変わります。記帳まで含めて任せるのか、自分で記帳して申告書の作成と確認だけを頼むのかで大きく違います。後者であれば、ソフトで記帳したデータをそのまま渡せるため、費用を抑えつつ内容の確認を受けられます。

また、青色申告会に入会して記帳の指導を受けるという方法もあります。自分で記帳しながら、分からない点はその都度相談できる形です。ソフトを選ぶ前に、どこまでを自分でやるつもりなのかを決めておくと、必要な機能とサポートの範囲がはっきりします。

まとめ

青色申告ソフトを選ぶときにまず確かめるべきは、複式簿記での記帳、青色申告決算書と確定申告書の作成、e-Taxでの送信という一連の工程をどこまで1本で担えるかです。同じ「青色申告ソフト」という名前でも、決算書までで止まる製品や、簡易簿記にしか対応しない製品があり、そこを見落とすと控除額が変わります。

そのうえで、記帳の入力方式が自分の簿記の知識に合うか、使っている金融機関の明細を自動で取り込めるか、初年度と2年目以降の費用がいくらになるかを比べていくと、候補は絞られます。

簿記を学んだことがなく、今年から青色申告を始めるのであれば、記帳と申告に絞ったクラウド型か、請求書の発行まで一体で使えるクラウド型が無理のない出発点になります。いずれも年額1万円前後で、明細の自動取得と申告書の作成、e-Tax送信までを1本で担えるためです。

費用を最優先するなら無料ソフトや買い切り型も選べますが、確定申告書の作成やe-Tax送信をソフトの外で行う製品が含まれます。その手間を引き受けられるかどうかが分かれ目です。スマホ中心で記帳したい場合はアプリ型が候補になり、その場合は申告まで完結する有料プランが前提になります。

2027年分からは控除の区分が変わり、65万円を受けるにもe-Taxでの送信が必須になります。これから選ぶのであれば、ソフト内で送信まで完結し、電子帳簿の要件にも対応できる製品を選んでおくと、数年先まで使い続けられます。本記事の比較表と診断ツールを使って、自分の記帳の仕方と予算に合う1本を見つけてください。

青色申告ソフト選びでよくある質問

Q. 青色申告ソフトとは何ですか?

A. 青色申告ソフトとは、青色申告に必要な複式簿記の帳簿づけから、青色申告決算書と確定申告書の作成、e-Taxでの送信までを支援する会計ソフトです。

仕訳を入力すると総勘定元帳や決算書に自動で反映され、貸借が合わない場合もその場で分かります。申告書の様式が変わったときも更新で対応されます。ただし、帳簿づけ・決算書の作成・確定申告書の作成・e-Tax送信という4つの工程のうち、どこまでを1本で担うかは製品ごとに違い、決算書までで止まるものもあります。

Q. 無料の青色申告ソフトでも65万円の青色申告特別控除を受けられますか?

A. 無料のソフトでも、複式簿記で記帳して青色申告決算書を作れる製品であれば65万円の控除に届きます。控除額はソフトの価格ではなく、記帳の方法と提出の仕方で決まるためです。

ただし、期間無制限で無料の製品には確定申告書の作成やe-Tax送信に対応していないものがあります。その場合は決算書の数字を国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力して申告書を作り、そこから送信することになります。これでも要件は満たせますが、ソフト1本では完結しません。無料のソフトは原則としてサポートも付かないため、簿記の基本を理解していて自分で調べて進められるかが判断の分かれ目になります。

出典・参考資料(1件)

Q. e-Taxを使わずに65万円の青色申告特別控除を受けることはできますか?

A. 2026年分(令和8年分)までの申告であれば、e-Taxを使わなくても、仕訳帳と総勘定元帳を「優良な電子帳簿」の要件で保存すれば65万円の控除を受けられます。国税庁が示す上乗せの条件は電子帳簿保存とe-Tax送信のいずれかであり、両方を求めてはいません。

ただし電子帳簿保存のルートには、訂正削除履歴の保存・帳簿間の相互関連性・検索機能というソフト側の要件に加えて、適用を受けようとする年の翌年3月15日までに所轄税務署へ届出書を提出するという手続きが必要です。手間の少なさではe-Tax送信のほうが確実で、こちらを選ぶ人が多くなります。

2027年分(令和9年分)以後は制度が変わり、65万円の控除を受けるにもe-Taxでの送信が必須になります。紙で提出して55万円という区分自体がなくなるため、これから選ぶソフトはe-Tax送信に対応しているかを前提条件として見てください。

出典・参考資料(3件)

Q. マイナンバーカードがなくても、青色申告ソフトからe-Taxで申告できますか?

A. これからe-Taxを始める場合は、マイナンバーカードが事実上必要です。もう一方の入口だったID・パスワード方式は、令和7年10月1日に新規発行が停止されており、これから新たに取得することはできません。

すでに届出を済ませている人は当面そのまま利用できますが、e-Taxのサイトには「ID・パスワード方式は、令和9年分確定申告からは利用できなくなる予定です」と記載されています。カードの読み取りには、マイナンバーカードに対応したスマートフォンかICカードリーダライタが必要です。電子証明書の有効期限が切れていると送信できないため、申告期の前に確認しておいてください。

出典・参考資料(2件)

Q. 青色申告特別控除は2027年分から75万円になると聞きましたが、2026年分の申告はどうなりますか?

A. 2026年分(令和8年分)までの所得税にはこれまでどおりの制度が適用され、青色申告特別控除の上限は65万円のままです。改正法の附則33条が「令和九年分以後の所得税について適用し、令和八年分以前の所得税については、なお従前の例による」と定めています。

75万円が関わってくるのは2027年1月以降の取引で、その申告を行うのは2028年の春です。改正後の控除額は75万円・65万円・10万円の3段階になり、55万円という区分はなくなります。いま使うソフトを決めるうえでは、e-Tax送信にソフト内で対応しているか、優良な電子帳簿の要件を満たせるかを見ておくと、数年先に乗り換える手間を避けられます。

出典・参考資料(2件)

Q. 青色申告承認申請書を出していない場合、今年から青色申告できますか?

A. 青色申告承認申請書は適用を受けたい年の3月15日まで(その年の1月16日以後に業務を開始した場合は開業日から2か月以内)に提出する必要があり、この期限を過ぎた年は青色申告ができません(所得税法144条)。

期限に間に合わなかった場合、その年は白色申告で行い、翌年の3月15日までに申請書を提出して翌年分から青色に切り替えることになります。なお「開業から2か月以内」という特例は1月16日以後に開業した場合の話で、1月1日から15日までに開業した人は原則どおり3月15日が期限です。ソフトをどれだけ丁寧に使っても、申請書を出していなければ控除は受けられないため、契約より先に提出の有無を確認してください。

出典・参考資料(2件)

Q. 簿記の知識がなくても、青色申告ソフトで複式簿記の帳簿を作れますか?

A. 簿記を学んだことがなくても、取引の内容を選ぶと裏側で仕訳に変換してくれる設計のソフトを選べば、65万円控除の要件である複式簿記の帳簿を作れます。

入力の作り方は製品によって分かれ、借方・貸方の形式でそのまま仕訳を切らせるものと、「何にいくら払ったか」を答えていく形式のものがあります。後者なら勘定科目を覚える必要はありません。ただし、明細の自動取得で提示される仕訳はあくまで候補で、同じ店での支払いが事業用か私用かはソフトには判断できません。月に一度は取り込んだ明細を確認する時間を取ってください。

入力画面が自分の考え方に合うかは、無料期間や体験版で実際に触って確かめるのが確実です。

Q. スマホだけで青色申告を終えられますか?

A. スマホだけで完結できるかは製品によって分かれ、アプリでできるのはレシート撮影と経費入力までで、決算書の作成や申告はパソコンから行う設計の製品もあります

スマホで済ませたい場合は、帳簿づけだけでなく、青色申告決算書と確定申告書の作成、e-Taxでの送信までアプリで行えると公式に明記されているかを確認してください。あわせて、マイナンバーカードの読み取りに対応した端末かどうかも要確認です。読み取りができないと、申告書までアプリで作れても最後の送信で止まります。

Q. 青色申告ソフトの費用は年間どのくらいかかりますか?

A. 青色申告ソフトの費用は、クラウド型が年額1万円前後の継続課金、インストール型が1万円台の買い切りというのが目安で、期間の制限なく無料で使える製品もあります。

比べるときは、月額表示のものを12倍して年額に直し、買い切り型は使う年数で割って1年あたりの負担を出すと同じ土俵に乗ります。初年度に限ると無料キャンペーンの有無で金額が大きく動き、クラウド型と買い切り型の負担が逆転することもあります。2〜3年使う前提の総額で比べるほうが判断を誤りません。買い切り型はサポートを受けるための保守契約が別料金の製品もあります。

製品ごとの実額は本記事の比較表にまとめています。

Q. 買い切り型の青色申告ソフトは、毎年買い直しが必要ですか?

A. 買い切り型は購入した版をそのまま使い続けられますが、税制改正や申告書の様式変更に対応した最新版を使うには、年度版の購入や更新料が必要になる製品があります

控除の要件は2027年分から変わり、申告書の様式もたびたび改定されます。改正への対応が無償の更新で提供されるのか、年度版を買い直す前提なのかは、製品によって扱いが違います。サポートが保守契約に紐づいている製品もあるため、本体価格だけでなく、数年使ったときの総額とサポートの条件まで含めて確認してください。

Q. 青色申告ソフトを乗り換えるとき、これまでの会計データはどうなりますか?

A. 乗り換えでデータを引き継げるかは、元のソフトが仕訳データをCSVなどで書き出せるか、移行先がその取り込みに対応しているかで決まります

帳簿や決算書は申告後も一定期間保存する義務があるため、解約後に過去分を参照できるかも確認しておきたい点です。クラウド型では、解約するとデータの閲覧ができなくなるサービスもあります。移行の時期は、期首残高の登録をやり直さずに済む事業年度の区切りに合わせるのが無難です。

なお法人成りの場合は事情が異なり、法人は個人とは別の人格として会計を始めるため、個人時代のデータをそのまま法人の帳簿へ持ち込むことはできません。

Q. 初めての青色申告でサポートを重視する場合、青色申告ソフトのどこを見ればよいですか?

A. サポートで選ぶなら、電話・チャット・メールのどの手段に対応しているか、それが自分の契約するプランに含まれるか、仕訳の判断や税務の相談まで受け付けるかの3点を確認してください。

上位プランでのみ電話に対応する製品があるため、料金表のプラン名だけでなくサポート欄まで読む必要があります。1年目は電話で相談できるプランにして、慣れたら下位プランに変える使い方も現実的です。青色申告ソフトは日々の記帳を除けば年に1回しか本格的に使わず、前年の操作を忘れた状態で申告期を迎えるのが普通なので、画面の分かりやすさも同じくらい効いてきます。

ソフト以外では、青色申告会で記帳の指導を受ける方法や、自分で記帳したデータを渡して申告書の作成と確認だけを税理士に頼む方法もあります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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