保有しているソフトウェアライセンスが何本で、そのうち実際に使われているのは何本か——この問いに即答できず、Excel台帳とメーカーごとの管理画面を行き来しながら棚卸しに追われていないでしょうか。
買ったまま使われていない余剰ライセンス、部門が個別に契約して全社では把握できていないSaaS、退職した社員のアカウントが残ったまま——こうした乖離は、コンプライアンス違反と過剰なコストの両面でリスクになります。
ソフトウェアライセンス管理ツールは、購入したライセンス数と実際の使用状況を突き合わせ、過不足や契約違反を可視化する仕組みです。ソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)の中核を担い、余剰ライセンスの削減とBSA監査・内部監査への対応を同時に進められます。
ただし一口にライセンス管理ツールといっても、SaaSのアカウントと契約更新を自動で追うタイプと、PC・オンプレソフトまで含めて全社で棚卸しするタイプでは、守備範囲も向く企業も大きく異なります。自社が管理したい対象を見極めないまま選ぶと、必要な範囲をカバーできなかったり、逆に使いこなせない機能に費用を払い続けたりします。
本記事では、ソフトウェアライセンス管理ツール13製品を「SaaS管理特化型」と「統合IT資産管理型」の2タイプに分けて比較します。SAMツール・IT資産管理ツール・SaaS管理ツールの違いから、同時使用ライセンス上限の監視・購入証書の紐付け・BSA監査対応レポートといったライセンス管理特有の機能軸や、関連法令への対応まで整理しました。自社に合うタイプと製品を判断する材料としてご活用ください。
また、SaaS中心か全社のPC統合かなど、自社の状況に合うタイプを最短で絞り込めるよう「選定診断ツール」をご用意しています。どのタイプから比較すべきか迷う場合は、こちらもあわせてご利用ください。
目次
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SAMツール・IT資産管理ツール・SaaS管理ツールの違い
ここでは、ライセンス管理を調べ始めると必ず出会う3つの呼び方——SAMツール・IT資産管理ツール・SaaS管理ツール——が、それぞれ何を対象にするのかを整理します。呼称の違いは対象範囲の違いなので、ここを押さえると「自社が探しているのはどれか」が判断しやすくなります。
SAMツール(Software Asset Management)とは
SAM(ソフトウェア資産管理)は、保有しているソフトウェアライセンスと、実際の使用実態を突き合わせて管理する取り組みです。SAMツールは、購入したライセンス数・インストール数・SaaSのアカウント数を収集し、過不足や契約違反を検出することに主眼を置きます。
ソフトウェアライセンス管理ツールは、このSAMを支えるツールの総称です。ハードウェアの棚卸しよりも「ライセンスをどれだけ持っていて、どれだけ使っているか」の突合に軸足があり、余剰ライセンスの削減と監査対応が主な目的になります。
IT資産管理ツールとの違い
IT資産管理ツールは、PC・サーバー・モバイル端末といったハードウェアから、OS・業務ソフト・ライセンスまで、社内のIT資産全体を対象にします。ソフトウェアライセンスの管理はその一部で、多くの製品では操作ログの記録・USBデバイスの制御・OSパッチの適用状況といったセキュリティ寄りの機能も含みます。
両者は対立するものではありません。統合型のIT資産管理ツールがライセンス管理機能(SAMモジュール)を内包しているケースが一般的で、PC全体の棚卸しとライセンス管理を1つのツールで完結させたい場合はIT資産管理ツールが候補になります。ライセンスの突合だけを軽く回したいのか、PC資産全体を統合管理したいのかで、選ぶ範囲が変わります。
ライセンス管理にとどまらず、PC・サーバー・モバイル端末まで含めた社内のIT資産全体を1つのツールで棚卸ししたい場合は、IT資産管理ツールを機能範囲や課金モデルから比較した以下の記事もあわせてご覧ください。ソフトウェアライセンス管理をIT資産管理の一部として捉えたときの製品選びの全体像を確認できます。
SaaS管理ツールとの違い
SaaS管理ツールは、クラウドサービス(SaaS)のアカウントと契約に特化して管理する仕組みです。シングルサインオン(SSO)や各SaaSのAPIと連携し、どの部門がどのSaaSを何アカウント契約し、そのうち何アカウントが実際にログインしているかを自動で収集します。
PCにインストールする買切りソフトの管理は苦手な一方、部門ごとにSaaS契約が分散し、休眠アカウントや解約漏れが起きている企業には効果的です。SaaSの利用が中心で、契約更新日と利用実態を全社で押さえたい場合は、SaaS管理に特化したタイプが向きます。
自社の主目的がSaaSのアカウントと契約の管理にあたる場合は、SaaS管理に特化したツールだけを製品単位で比較した記事も参考になります。可視化・棚卸しから退職者アカウントの停止まで、SaaS管理の観点で15製品を整理しています。
3類型の対象範囲・強み・向く企業
3つの呼び方の対象範囲を整理すると、次のようになります。実際の製品はこれらの領域が重なり合っており、SAMを軸にSaaS管理まで広げたもの、IT資産管理を軸にSAMを内包したものなど、組み合わせで選ぶことになります。
| 呼び方 | 主な対象範囲 | 強み | 向く企業 |
|---|---|---|---|
| SAMツール/ソフトウェアライセンス管理ツール | 保有ライセンス・インストール実態・購入証書の突合 | ライセンスの過不足検出・監査対応・コスト最適化 | ライセンスコンプライアンスと余剰削減を優先したい企業 |
| IT資産管理ツール | PC・端末などのハードウェア+ソフトウェア・ライセンス全般 | 資産全体の棚卸し・操作ログ・セキュリティ統制まで一元化 | PC全社の統合管理とライセンス管理をまとめたい企業 |
| SaaS管理ツール | SaaSのアカウント・契約・利用実態 | SSO/API連携によるSaaSアカウント検出・契約更新の把握 | 部門ごとのSaaS契約が分散している企業 |
ソフトウェアライセンス管理ツールとは
ここからは、ソフトウェアライセンス管理ツールそのものの定義と、管理の対象になるライセンスの内実を確認します。ライセンス形態によって「何を数えれば正しいのか」が変わるため、その分岐点まで押さえておくと選定でぶれません。
定義と管理対象(インストール実態・SaaSアカウント・購入証書の3層)
ソフトウェアライセンス管理ツールとは、企業が保有するソフトウェアの使用許諾(ライセンス)を、購入から使用、廃棄までの一連で管理するためのツールです。中核にあるのは、購入したライセンス数と実際の使用数を突き合わせ、不足(無許諾使用)と余剰(未使用)の両方を可視化する機能です。
管理対象は大きく3層に分かれます。1つ目はPCにインストールされたソフトの実態、2つ目はSaaSで発行されたアカウント、3つ目は発注書・ライセンス証書・契約書といった購入の証跡です。この3層を突き合わせて初めて「何本を正規に保有し、何本を実際に使っているか」が確定します。
ライセンス形態の種類と管理上の分岐点
ライセンスは契約形態によって数え方が変わります。代表的なのは、1台ごとに購入するパッケージライセンス、契約数量をまとめて購入するボリュームライセンス、サーバーのCPU数やコア数に応じたCPUライセンス、利用者単位で割り当てるユーザーライセンスです。
特に管理が難しいのが、同時に使用できる本数だけを購入する同時使用(フローティング)ライセンスです。インストール自体は多くの端末に許されるものの、同時起動できる数に上限があるため、インストール数を数えるだけでは違反かどうか判断できません。自社が扱うライセンス形態に、ツールの計測方式が対応しているかが分岐点になります。

ソフトウェアライセンス管理の課題
ここでは、情報システム部門がライセンス管理で直面しやすい課題を、実務の痛点として言語化します。いずれもExcel台帳とメーカー個別の管理画面だけで運用していると、規模の拡大とともに深刻になっていくものです。
購入数と実利用数の乖離(余剰ライセンス・シェルフウェア)
部署の要望に応じて都度購入していると、退職や異動で使われなくなったライセンスが棚に眠ったまま(シェルフウェア)になります。実利用数を把握できていないと、余っているのに追加購入してしまう二重の無駄が生じます。
SaaS契約が部門ごとに分散し全社で把握できない
クレジットカードで手軽に契約できるSaaSは、情シスを通さず現場部門が個別に契約しがちです。結果として、全社で同じサービスを重複契約していたり、契約更新日を誰も管理しておらず自動更新で払い続けていたりと、コストと統制の両面で穴が開きます。
退職者・異動者のアカウント放置と監査指摘
退職した社員のSaaSアカウントが有効なまま残っていると、不正アクセスの温床になるうえ、無駄なライセンス費用が発生し続けます。入退社のたびに手作業でアカウントを発行・削除していると漏れが避けられず、セキュリティ監査で繰り返し指摘される項目になります。
同時使用ライセンス(フローティング)上限のはみ出し
同時使用ライセンスは、繁忙期に一斉に使うと知らないうちに上限を超えることがあります。上限超過は契約違反として追加費用や損害賠償の対象になり得るため、同時起動数をリアルタイムで監視する仕組みがないと、違反に気づけません。
BSA・内部監査・上場審査でのコンプライアンスリスク
ソフトウェアの違法コピーは、業界団体BSAへの通報を端緒とする調査や、著作権法にもとづく法的責任につながります。加えて、上場審査やISMS・Pマークの取得・更新では、ソフトウェア資産の管理体制そのものが問われます。台帳と実態の整合を証跡として示せる状態になっているかが、監査対応の分かれ目です(法令・規格の詳細は関連法令・監査対応で解説します)。
ソフトウェアライセンス管理の実務(購入・使用・証書と管理台帳)
ここからは、ツール選定の前提として、そもそもライセンス管理の実務がどう回るのかを整理します。管理は「購入」「使用」「証書」の3つの側面からなり、それらを支える基盤がライセンス台帳です。

購入ライセンスの管理(発注・購入証書・契約更新日)
購入側の管理では、いつ・どのライセンスを・何本購入したかを、発注書やライセンス証書とともに記録します。契約更新日や保守期限を押さえておかないと、気づかないうちに失効したり、逆に不要な契約を自動更新し続けたりします。証書は監査で保有権原を証明する根拠になるため、紛失しない保管が欠かせません。
使用ライセンスの管理(インストール実態・SaaSアカウント検出・同時使用状況)
使用側の管理では、実際にどの端末にインストールされ、どのSaaSに何アカウントが存在するかを収集します。PCについては端末にエージェントを配布してインストール状況を自動収集する方式が一般的で、SaaSについてはSSOやAPI連携でアカウントと利用実態を取得します。同時使用ライセンスでは、起動状況をリアルタイムに数える仕組みが必要です。
証書・監査対応の管理(提出資料の自動生成・棚卸台帳)
監査に備える管理では、購入側(保有)と使用側(消費)を突き合わせた棚卸台帳を、いつでも提出できる状態に保ちます。手作業で台帳を作り直していると、監査通知が来てから資料をそろえるだけで数週間を要することもあります。突合結果と証跡を自動で出力できる仕組みがあれば、監査対応の負荷は大きく下がります。
ライセンス台帳で最低限管理すべき項目
実務の基盤になるライセンス台帳では、少なくとも次の項目を押さえておくと、購入・使用・証書の3側面を突き合わせられます。Excelでも作れますが、端末数やSaaS数が増えると手作業での更新が追いつかなくなり、自動収集への移行の目安になります。
- ソフトウェア名・バージョン・エディション
- ライセンス形態(パッケージ/ボリューム/CPU/ユーザー/同時使用)と保有本数
- 購入日・購入証書の保管場所・契約更新日/保守期限
- インストール/割り当て先(端末・利用者・部門)と使用本数
- 保有本数と使用本数の差分(過不足)
ソフトウェアライセンス管理ツールを導入するメリット
ここでは、ツール導入で得られる便益を、先に挙げた課題と1つずつ対応させて整理します。「課題がどう解消されるのか」という因果で読むと、自社にとっての効果を見積もりやすくなります。
余剰ライセンス・シェルフウェアの解消(購入数と実利用数のギャップを可視化)
保有本数と使用本数を自動で突き合わせることで、使われていないライセンスが数字で見えるようになります。余剰分を次の購入に充当したり、契約数を実態に合わせて減らしたりと、ライセンスコストを実利用に近づける判断ができます。
BSA監査・内部監査対応の自動化(提出資料と証跡の一元生成)
保有ライセンスと使用実態を突き合わせた棚卸資料を自動で出力できれば、監査通知が来てから資料をそろえる手間を大幅に減らせます。証書や購入履歴と紐付けて管理しておくことで、保有権原の証明までを一貫して示せます。
退職者・異動者アカウントの棚卸自動化(SSO/人事マスタ連携による発行・削除)
人事マスタやSSOと連携すると、入社・退職・異動に合わせてアカウントの発行・削除を自動化できます。退職者のアカウント放置という監査指摘の常連を、手作業に頼らず解消でき、不正アクセスのリスクと無駄な費用の両方を抑えられます。
同時使用ライセンス上限の可視化(フローティングライセンスのはみ出し防止)
同時起動数を監視できるツールなら、上限に近づいた段階でアラートを出し、超過による契約違反を未然に防げます。繁忙期に一時的に上限を超えていないか、逆に上限に余裕がありすぎて契約数を減らせないかといった判断材料も得られます。
部門横断のSaaS契約と購入証書の一元管理(Excel・メーカー個別画面からの脱却)
部門ごとに分散したSaaS契約と、メーカーごとに分かれた管理画面を1つに集約できます。契約更新日・支払い・利用実態を横断して見られるようになり、Excel台帳の属人的な更新から脱却して、担当者が代わっても運用が続く体制を作れます。
ソフトウェアライセンス管理ツールの2タイプ
ここからは、ソフトウェアライセンス管理ツールを、守備範囲で2つのタイプに分けて解説します。個別の製品紹介は後半の比較表とサービス紹介に譲り、ここでは各タイプの仕組みと向き不向きに絞って、自社がどちらに当てはまるかを見極めます。
先に整理した3類型は、この2タイプに対応します。SaaS管理ツールがSaaS管理特化型に、IT資産管理ツールが統合IT資産管理型にあたり、純粋なSAM専業製品は規模要件に応じて統合型に上乗せして検討します。

SaaSが中心でも監査要件が重い場合は、SaaS管理特化型に監査対応の仕組みを別途足すか、統合IT資産管理型でSaaSの細かな連携は割り切るかの二択で考えると整理しやすくなります。
SaaSのライセンス実態と契約更新を全社で把握したい企業向けタイプ
SSOや各SaaSのAPIと連携し、サービスごとのアカウント数・利用実態・契約更新日を自動で収集するタイプです。SaaSの利用が業務の中心で、部門ごとに分散した契約を全社で集約したい企業に向きます。休眠アカウントの検出や、入退社に合わせたアカウントの自動発行・削除を得意とします。
一方で、PCにインストールする買切りソフトや、同時使用ライセンスの上限監視といった領域は守備範囲外のことが多く、オンプレミスのソフトを厳密に管理したい場合は次のタイプが必要になります。
PC・オンプレソフト・SaaSを1つで棚卸・監査したい企業向けタイプ
端末にエージェントを配布してPCのインストール実態を収集し、購入証書・同時使用上限・部門別の割り当てまで統合的に管理するタイプです。従業員数百名以上で、PC全社の棚卸しとBSA監査・内部監査への対応が課題になっている企業に向きます。IT資産管理ツールがライセンス管理機能を内包している製品が多く、操作ログやセキュリティ統制まで一元化できます。
トレードオフとして、SaaSのSSO連携は付帯的な位置づけの製品が多く、SaaS管理特化型ほどきめ細かく追えない場合があります。SaaSと買切りソフトのどちらの管理を重視するかで、2タイプのどちらを軸にするかが決まります。
海外SAM専業(Snow/Flexera など)を検討する場合の追加観点
数千席以上のエンタープライズや、外資系本社のSAMポリシーに準拠する必要がある企業では、海外のSAM専業製品が選択肢に入ります。これらは独立したタイプというより、上記2タイプの選択に上乗せする観点として捉えるのが実務的です。
検討の際は、日本語サポートの範囲・国内代理店の有無・監査帯同の可否を確認します。グローバルの製品ライセンス(サーバー製品のCPUライセンスなど)を厳密に管理する要件では強みを発揮しますが、国内向けの導入支援やサポート体制が国産ツールほど手厚くない場合がある点に注意します。
ソフトウェアライセンス管理ツールの選び方
ここからは、自社の要件からどの軸を確認すべきかを、逆引きで整理します。タイプが持つ性質(前章)を踏まえたうえで、次の観点を自社の状況に当てはめて判断すると、候補を絞り込めます。
管理したい資産範囲はSaaS中心かPC全社統合か
まず、管理したい対象がSaaSのアカウント中心なのか、PCにインストールする買切りソフトまで含むのかを切り分けるところから始まります。モバイルアプリや、部門で使う特殊なソフトまで対象にしたい場合は、その範囲をカバーできるかが確認ポイントです。ここが最初の分岐で、SaaS中心なら特化型、PC全社統合なら統合型が起点になります。
SAM特有機能はそろっているか
ライセンス管理として実効性を持たせるには、SAM特有の機能が要件を満たすかがポイントになります。具体的には、同時使用ライセンスの上限監視、購入証書との紐付け・保管、SaaSのアカウント検出、監査対応レポートの自動生成です。台数の棚卸しやOS対応といった一般的なIT資産管理機能だけでは、ライセンスの過不足や契約違反までは追えません。
自社のライセンス形態に対応しているか
自社が保有するライセンスの形態に、ツールの計測方式が対応しているかを確かめておく必要があります。パッケージ・ボリューム・CPU・ユーザー・同時使用のうち、特に同時使用(フローティング)ライセンスは、インストール数ではなく同時起動数で管理する必要があるため、対応の有無が製品によって分かれます。サーバー製品のCPUライセンスを持つ場合も、専用の計測方式が要ります。
監査要件との整合はとれているか
自社が対応すべき監査の要件と、ツールが出力できる証跡が整合するかが重要になります。BSA監査・ISMS・Pマーク・上場審査では、それぞれ求められる証跡の粒度が異なります。棚卸台帳・保有権原の証明・変更履歴などを、要求される形式で出力できるかを事前に確認しておくと、監査対応で慌てずに済みます。
日本語サポート・国内代理店は必要か
海外のSAM専業製品を検討する場合は、日本語サポートの範囲と国内代理店の有無が導入後の運用を左右します。導入支援・トラブル対応・監査帯同を日本語で受けられるか、国内での導入実績があるかが確認ポイントです。国産ツールを選ぶ場合はこの観点の優先度は下がりますが、その分だけ対応できるグローバル製品の範囲は限られます。
提供形態と対象規模は自社に合うか
SaaS・オンプレミス・ハイブリッドのどの提供形態かによって、初期構築の負荷とセキュリティ要件への適合が変わります。オンプレミスを求められる業種か、クラウドで問題ないかを見極める必要があります。あわせて、想定する管理台数(数十台〜数万台)に製品が対応しているかも、費用と運用の両面で押さえておきたいところです。
ここまでの観点を踏まえ、自社に合うタイプを手早く絞り込みたい場合は、次の診断ツールをご利用ください。
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【比較表】ソフトウェアライセンス管理ツールの機能・料金比較
ここでは、比較する13製品を、2タイプに分けて機能・料金の軸で横並びに比較します。SaaSアカウント検出・同時使用上限監視・購入証書の紐付け・監査対応レポートといった、ライセンス管理特有の機能を中心に整理しました。各製品の詳細は、表の下のサービス紹介で解説します。
SaaS管理特化型の比較
| サービス名 | マネーフォワード Admina | ジョーシス(Josys) | freee IT管理 |
|---|---|---|---|
| 対応する資産範囲 | SaaSアカウント中心 +デバイス台帳 | SaaSアカウント +デバイス(PC・モバイル) | SaaSアカウント/デバイス/備品 |
| SaaSアカウント検出(SSO/API連携) | ●380以上のSaaS連携 | ●350以上のネイティブ連携 | ●人事マスタ連携・SCIM対応 |
| 同時使用ライセンス上限監視 | × | × | × |
| ライセンス台帳・契約管理 | ●SaaS契約・更新日・コスト管理 | ●ライセンス契約・利用状況分析 | ●コスト・契約更新日管理 |
| 監査対応レポート出力 | △SaaSアカウント棚卸し・利用状況 | △SaaS Scorecard・棚卸し | △監査ログ・棚卸しアンケート |
| 提供形態 | SaaS(クラウド) | SaaS(クラウド) | SaaS(クラウド) |
| 料金の目安(初期/月額) | 初期:記載なし 50ID以下:無料 51ID〜:300円/ID(税別) | 初期・月額とも要問い合わせ (グローバル版は月100米ドル〜) | 初期・月額とも要問い合わせ |
| 日本語サポート/国内代理店 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 |
| 導入実績 | 累計社数は非公表 (導入事例は多数公開) | 導入企業1,000社以上 | JTB(13,000名規模)ほか |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト |
※◎=特に手厚く対応/●=対応(公式情報で確認)/△=一部・条件付き・オプションで対応/×=対応範囲外/要確認=公式に記載がなく問い合わせが必要。料金・機能は各社の公開情報にもとづく2026年8月時点のもので、プランやオプションにより変わります。導入前に各社の最新情報をご確認ください。
統合IT資産管理型の比較
| サービス名 | AssetView | SKYSEA Client View | MCore | SS1(System Support best1) | LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版 | PalletControl | MaLionCloud | Endpoint Central Cloud(ManageEngine) | Snow License Manager(Flexera One) | Snipe-IT |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応する資産範囲 | PC・ソフト・ライセンス SaaS(Cloud+) | PC・ネットワーク機器 ソフト・ライセンス/MDM | PC・ソフト・ライセンス MDM(モバイル) | PC・サーバー・ソフト ライセンス | PCソフト・ライセンス モバイル(MDM) | PC・ソフト・ライセンス 契約 | PC(Win/Mac)・ソフト ライセンス/MDM | PCソフト・ライセンス モバイル/パッチ | PCソフト・SaaS クラウド/AIエージェント | PC・ソフト・ライセンス 消耗品 |
| SaaSアカウント検出(SSO/API連携) | △Cloud+のSaaS管理プランで対応 | × | × | × | × | × | × | × | ●SaaS・シャドーIT・AI検出 | × |
| 同時使用ライセンス上限監視 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| ライセンス台帳・契約管理 | ●ライセンス管理モジュール | ●ソフトウェア台帳・ライセンス管理 | ◎5管理台帳(ライセンス・契約を含む) | ●SAM・契約管理(リース等) | ●ソフトウェアライセンス管理 | ●PC・ソフト・ライセンス一元管理 | ●ライセンス台帳・保有/使用の突合 | △ServiceDesk Plus連携でSAM拡張 | ◎AI契約取込・entitlement自動突合 | ●ライセンス・消耗品台帳 |
| 監査対応レポート出力 | △CSV出力(資産・操作履歴) | ●SAM台帳・各種ログレポート | ●統計レポート・ソフトウェア資産管理 | ●SAMサービス・ログレポート | ●レポート機能・操作ログ | △稼働状況レポート | △AI分析レポート・ログ監視 | ●インベントリ・ライセンス追跡 | ◎ライセンス突合による監査対応 | △レポート・REST API |
| 提供形態 | オンプレ/クラウド | オンプレ/クラウド | オンプレ(クラウド構築可) | オンプレ/クラウド | クラウド(オンプレ版別途) | オンプレ/クラウド | クラウド(オンプレ版別途) | クラウド/オンプレ | クラウド/オンプレ | OSS(セルフホスト)/クラウド |
| 料金の目安(初期/月額) | 要問い合わせ Cloud+は最低50台〜 | 要問い合わせ | 初期:300台で初年度230万円〜 年額:2年目以降70万円〜 | オンプレ:1ライセンス5,500円〜 (100台55万円〜)/クラウド:要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期:0円 月額:900円/ライセンス〜(100ライセンス時) | 初期:記載なし 50台で年間21.8万円〜(税別) | 要問い合わせ (エンタープライズ見積) | セルフホスト版は無料 クラウド版・国内サポートは要問い合わせ |
| 日本語サポート/国内代理店 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 国産・日本語対応 | 日本語対応(ゾーホージャパン) | △代理店経由(日本語は限定的) | △国内はデージーネット等が対応 |
| 導入実績 | 官公庁・大手に導入 (社数は非公表) | 累計26,156社/1,342万台 (2026年7月末) | 三菱マテリアル約14,000台ほか 大規模運用 | 5,100社突破(2026年1月) | 累計40,000社以上 金融機関の約1/3が導入 | 山梨県・第四銀行ほか (社数は非公表) | 学研HD3,100台ほか (社数は非公表) | 世界30,000社以上 | Fortune 500ほかグローバル大手 Gartner MQリーダー | 5,950社・管理資産2,177万件 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※記号の凡例は前掲の表と共通です(◎=特に手厚く対応/●=対応/△=一部・条件付き・オプションで対応/×=対応範囲外/要確認=公式に記載がなく問い合わせが必要)。料金・機能は各社の公開情報にもとづく2026年8月時点のものです。海外・OSS製品の日本語サポートは代理店により異なります。導入前に各社の最新情報をご確認ください。
比較表で「同時使用ライセンス上限監視」が「要確認」や「×」となっている製品が多いのは、同時起動数を常時監視する仕組みが、専用のライセンスサーバー製品や個別オプションとして提供される領域だからです。
CADや解析ソフトなど高価なライセンスを部門で共用している企業には重要な選定軸になりますが、共用がなければ優先度は下がります。この監視を必須要件とする場合は、各ベンダーにフローティングライセンスへの対応可否を個別に確認してください。
ソフトウェアライセンス管理ツールおすすめ13選
ここからは、比較表で俯瞰した各製品を、機能・料金・実績にもとづいて個別に紹介します。前章と同じく2タイプに分けているので、自社が当てはまるタイプから読み進めてください。
SaaSのライセンス実態と契約更新を全社で把握したい企業向けタイプ
まずは、SaaSのアカウントと契約を全社で一元管理するタイプの製品です。SSOやAPI連携でSaaSの利用実態を自動収集し、休眠アカウントの検出や入退社に伴うアカウント管理の自動化を得意とします。
1. マネーフォワード Admina(マネーフォワードi株式会社)

「情シス向け業務OS」を掲げるSaaS・IT資産管理プラットフォームで、2023年2月に「マネーフォワード IT管理クラウド」から現行名称へ変更されました。従業員を軸に、SaaSアカウントの可視化・棚卸しから、入退社時のアカウント発行・停止、シャドーIT検知、コスト管理までを一つの画面で扱えます。
SaaSの可視化にとどまらず、アカウントのライフサイクル管理まで踏み込むのが持ち味です。Google Workspace・Microsoft 365・Azure ADと連携して退職者アカウントを自動判定し、不要なアカウントを3クリックで削除できます。連携できるSaaSは380以上(2026年8月時点)に達します。
料金は50ID以下であれば無料で全機能を利用でき、51ID以上は1IDあたり月額300円(税別)、初期費用の記載はありません。小規模な情シス体制でも無償の範囲から導入を始められるのが料金設計上の分岐点で、14日間の無料トライアルも用意されています。
2. ジョーシス(ジョーシス株式会社)

ラクスル株式会社の社内プロジェクトから2022年に法人化したジョーシス株式会社が運営する、SaaS管理プラットフォームです。分散しがちなSaaSアカウントとITデバイスを一元管理し、可視化・棚卸しから、入社時の付与・退職時の停止までのライフサイクルを自動化します。
退職ステータスへの変更をトリガーに、紐づくSaaSアカウントやデバイスの削除・停止タスクを自動生成するワークフローを、テンプレートとして備えます。ネイティブ連携は350以上(公式サイト、2026年8月時点)で、導入企業は1,000社を超えます。
SaaS Management Platforms 分野のGartner Magic Quadrantに2回連続で選出(2025年9月、Niche Player)されています。ツールの提供だけでなく、デバイス・SaaS管理業務そのものを月額8万円から委託できるアウトソーシング(BPO)も選べる点が特徴で、日本向けの料金は要問い合わせとなっています。
3. freee IT管理(freee株式会社)

「Bundle by freee」を前身とするIT管理サービスで、SaaSアカウント・デバイス・備品の管理と自動化をクラウドで提供します。人事マスタとSaaSを自動で名寄せし、台帳に載っていない「シャドーアカウント」を検出できるのが入口の機能です。
ノーコードで入退社時のアカウント発行・削除を自動化でき、二要素認証の未設定といった設定リスクの可視化や、従業員向けの棚卸しアンケートにも対応します。外部連携はGraphQLとSCIMに対応しています。
freee人事労務・freee会計と併用すれば、人事マスタからSaaSまでを一貫して管理できます。JTB(13,000名規模)などの導入実績があり、初期費用・月額とも要問い合わせで、契約前に試せるトライアル環境が用意されています。
PC・オンプレソフト・SaaSを1つで棚卸・監査したい企業向けタイプ
続いて、PCのインストール実態から購入証書・同時使用上限まで統合的に管理するタイプの製品です。エージェント配布でPC資産を棚卸ししつつライセンス管理を担い、監査対応やセキュリティ統制まで一元化できます。海外SAM専業やOSSも、このタイプの選択肢としてあわせて紹介します。
4. AssetView(株式会社ハンモック)

1994年設立の株式会社ハンモックが提供する統合型IT資産管理ソフトで、PCインベントリの自動収集・ソフトウェアライセンス管理・操作ログ・USB制御などを、目的別のモジュールとして選んで導入できます。オンプレミス版・CLOUD版と、人事情報と連携する「AssetView Cloud+」の3形態をそろえ、運用体制に合わせて構成できます。
ライセンス管理はIT資産管理モジュールに含まれ、Active Directory連携による組織単位・役職単位の制御にも対応します。全機能を一括で契約する必要はなく、必要なモジュールだけを選んで導入できるのが構成上の特徴です。Cloud+ ではSaaS管理を含む4プランを各50台から選べ、料金は要問い合わせとなっています。
5. SKYSEA Client View(Sky株式会社)

Sky株式会社が提供する、IT資産管理・情報漏洩対策のクライアント運用管理ソフトです。PC・ネットワーク機器の資産管理、操作ログ収集、USBデバイス制御、ソフトウェアライセンス管理、MDMを1つの管理コンソールで扱えます。累計導入は26,156社・1,342万台(2026年7月末時点)に達します。
ソフトウェア資産管理では、PCごとのインストール状況とライセンス使用状況を台帳化できます。提供形態はオンプレミス版(最大50,000台)とクラウド版(1〜20,000台)から選べ、料金はいずれも要問い合わせです。富士キメラ総研の調査では、2023年度の端末管理・セキュリティツール市場でベンダーシェア1位を獲得しています。
6. MCore(住友電工情報システム株式会社)

住友電工グループのシステムインテグレーターである住友電工情報システムが自社開発した、統合型のIT資産管理・セキュリティ管理ツールです。IT資産管理・セキュリティパッチ管理・USB制御・操作ログ・ネットワーク検疫までを1つのシステムに束ね、複数ツールの併用を避けられる構成になっています。
ソフトウェア資産管理は5つの台帳で構成され、ソフトウェア辞書と組み合わせて不正利用を抑止します。大容量パッチをP2Pで配る分散配信により、拠点間のネットワーク負荷を軽減できる点も特徴です。
料金は300台規模で初年度230万円から、2年目以降は年70万円からが目安です(公式サイト記載の目安価格、2026年8月時点)。三菱マテリアルで約14,000台、住友電気工業で全世界約40,000台という大規模な運用実績があります。
7. SS1(System Support best1)(株式会社ディー・オー・エス)

System Support best1(SS1)は、1975年創業の株式会社ディー・オー・エスが手がけるIT資産管理・ログ管理ツールで、Excel風の管理画面を採用しています。PC・サーバーのハードウェア/ソフトウェア情報を自動収集し、基本機能に操作ログ・USB制御・リモートコントロールなどのオプションを必要な範囲で組み合わせる構成です。
ソフトウェア資産管理はSAMサービスとしてオプション提供され、リースやレンタルの契約管理にも対応します。提供形態は、買い切り型のオンプレミス版と、サーバー構築が不要なクラウド版から選べます。
オンプレミス版は1ライセンス5,500円から(100台構成で55万円から)の買い切り型で、クラウド版の月額は要問い合わせです。導入実績は5,100社を突破し(2026年1月時点)、大日本印刷の34,210台などの事例が公開されています。
8. LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版(エムオーテックス株式会社)

PCとスマートフォンを1つのコンソールで管理できる、エムオーテックスのクラウド型エンドポイント管理ツールです。旧「LANSCOPE An」からブランドを統一した製品で、ソフトウェアライセンス管理・操作ログ・デバイス制御・MDMを包括的にカバーします。
クラウド版のほかにオンプレミス版も用意され、同ブランドのEDR/NGAV製品と連携すれば、資産管理からセキュリティ運用までを一続きで運用できます。累計導入は40,000社以上で、日本の金融機関の約3分の1、上場企業の約4分の1が導入していると公式に案内されています。初期費用・月額とも要問い合わせです。
9. PalletControl(JALデジタル株式会社)

1995年、JALグループが自社の大規模なPC環境を短期間で展開するために内製したツールを起源とする、国産のIT資産管理ソフトです。現在はJALデジタル株式会社(旧・株式会社JALインフォテック)が提供し、資産管理・配布管理・セキュリティ・ユーザーサポートの4つの機能で構成されています。
PC情報とソフトウェア・ライセンス情報を一元管理しつつ、大規模展開で鍛えられたソフトウェア配布機能を強みとしています。買い切り型の「PalletControl 10」と、サーバーやVPNが不要なクラウド版から選べ、30日間の無料トライアルを利用できます。導入事例には山梨県や第四銀行があり、初期費用・月額は要問い合わせです。
10. MaLionCloud(株式会社インターコム)

Windows・MacのPCからスマートフォン・タブレットまでを一元管理する、株式会社インターコムのクラウド型統合運用管理ツールです。情報漏洩対策・IT資産管理・労務管理支援・運用管理支援の4カテゴリで、50を超える機能を標準搭載しています。
ライセンス管理では、保有ライセンス台帳とインストール数を突き合わせて超過の有無を確認でき、約32万件のソフトウェア辞書を活用します。サーバー構築が不要で、最小5ライセンスから始められます。料金は初期費用0円、月額900円/ライセンスから(100ライセンス利用時の参考単価、保守サポート費用込み)で、最大30日間の無料トライアルが用意されています。
11. Endpoint Central Cloud(ManageEngine)(ゾーホージャパン株式会社)

米ZohoのManageEngine製品群に属するエンドポイント管理ツールで、日本法人のゾーホージャパンが提供・サポートしています。旧称は「Desktop Central」(2022年に改称)。モバイルデバイス管理・ソフトウェア配布・インベントリ管理・パッチ管理・ソフトウェアライセンス管理までを統合します。
ソフトウェアライセンス管理はServiceDesk Plusとの連携でSAM機能として拡張でき、Windows・Mac・Linux・iOS・Android・ChromeOSを単一コンソールで扱えます。料金は50台・1ユーザーで年間21.8万円から(税別、保守サポート込み)と公開されており、30日間の無料トライアルも利用できます。世界30,000社以上の導入実績があります。
12. Snow License Manager(Flexera One)(Flexera)

ソフトウェア資産管理(SAM)のグローバル大手プラットフォームで、米Flexeraが2022年にSnow Softwareを買収し、自社ブランド下で提供しています。ソフトウェアインベントリの統合ビュー、ライセンス最適化、SaaSやAIエージェントの検出、監査対応までを単一基盤で扱えます。
エンタイトルメント(保有権原)とライセンス利用状況を自動で突き合わせ、監査対応の作業を短縮できる点が持ち味です。Gartner Magic Quadrant(Software Asset Management Tools)でリーダーに位置づけられています。料金はエンタープライズ向けの個別見積もりです。
一方、日本市場では販売代理店経由の導入が中心で、日本語の公式情報やドキュメントは限定的です。国内で導入する際は、日本語サポートや監査帯同に対応できる代理店の体制を事前に確認しておくと安心です。
13. Snipe-IT(Grokability, Inc.)

米国のGrokability社が開発する、オープンソースのIT資産管理システムです。ハードウェア資産・ソフトウェアライセンス・消耗品・ユーザーの貸与状況を一元管理でき、スプレッドシート運用からの移行先として使われています。REST APIを備え、独自の統合や自動化にも対応します。
セルフホスト版はオープンソースとして無料で利用でき(LAMPスタック環境が必要)、Grokability社が提供するクラウドホスト版も並行しています。国内では株式会社デージーネットがOSSサポートを提供し、日本語での導入相談を受けられます。公式サイトには5,950社・管理資産2,177万件の利用実績が記載され、クラウド版や国内サポートの費用は要問い合わせです。
関連法令・監査対応(BSA監査/著作権法119条/JIS X 0164-1)
ここでは、ライセンス管理を怠った場合に問われる法的責任と、監査対応で参照される規格を、一次情報にもとづいて整理します。恐怖をあおるためではなく、読者が根拠にあたって判断できるよう、条文や規格の出所を示します。
BSA(Business Software Alliance)による監査と対応
BSA(The Software Alliance)は、世界のソフトウェア企業を代表する業界団体で、不正なソフトウェア使用の取り締まりを行っています。日本では、ソフトウェアの違法コピーに関する通報窓口を公式に設けており、有力な情報の提供者に報奨金を支払う制度を運用しています。
BSA に報告することで、最高100万円の報奨金を受け取ることができるほか、ご希望の慈善団体に寄付することも可能です。
不正コピーを通報する|BSA|The Software Alliance
通報は元従業員や取引先からも行われ得るため、違法コピーは「気づかれない」前提に立てません。BSAは正規ソフトウェアの使用促進やソフトウェア資産管理の支援も行っており、管理体制を整えること自体が最善の予防策になります。
出典・参考資料(1件)
著作権法にもとづく刑事責任(個人・法人)
ソフトウェアの無許諾複製は、著作権侵害として刑事責任の対象になります。行為者個人については、著作権法第119条第1項が罰則を定めています。
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(……を除く。)は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第119条第1項|e-Gov法令検索
企業内での違法コピーは、実際に行為をした従業者が個人として上記の責任を負うだけでなく、法人にも別途罰金刑が科されます。法人への重い罰金の根拠は、第119条ではなく両罰規定である第124条にあります。
法人の代表者(……)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。/一 第百十九条第一項若しくは第二項第三号から第六号まで又は第百二十二条の三第一項 三億円以下の罰金刑
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第124条第1項|e-Gov法令検索
つまり、業務上の違法コピーでは、行為者個人に第119条(10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)、法人に第124条(3億円以下の罰金)が科され得ます。
加えて、ライセンス上限を超えた使用は、契約違反による損害賠償(民法第415条)や、著作権侵害としての不法行為(同第709条)など、民事上の責任の対象にもなり得ます。
JIS X 0164-1(ソフトウェア資産管理/ITアセットマネジメントの規格)
ソフトウェア資産管理の体制づくりでは、国際規格ISO/IEC 19770-1に対応する日本産業規格「JIS X 0164-1」が参照されます。2019年の改正で規格名は「ソフトウェア資産管理」から「ITアセットマネジメント」へと改称され、対象もIT資産全般に広がりました。
この規格は,組織の状況におけるITアセットマネジメントシステムの要求事項について規定する。全ての種類のITアセットの種類に適用し,全ての種類及び規模の組織によって適用することができる。
JIS X 0164-1:2019 ITアセットマネジメント―第1部:ITアセットマネジメントシステム―要求事項|日本規格協会
この規格は認証取得のためだけのものではなく、管理すべき項目とプロセスの体系を示す指針として、自社の管理体制を点検する物差しになります。国内では、この規格に整合する業界基準として、IT資産管理評価認定協会(SAMAC)が「IT資産管理基準」を公表しています。
出典・参考資料(1件)
ISMS/Pマーク/上場審査での要求事項との対応
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークの取得・更新、上場審査では、情報資産の目録管理が要求されます。ソフトウェアライセンスもその情報資産に含まれ、保有と使用の実態を台帳として維持し、証跡を示せる状態が求められます。
ライセンス管理ツールで保有・使用・証書を突き合わせた台帳を自動維持できれば、これらの審査で求められる資産管理の証跡を、無理なく用意できます。監査対応を人手の台帳整備に頼らない体制にしておくことが、審査時の負荷軽減につながります。
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まとめ
ソフトウェアライセンス管理ツールは、購入したライセンスと実際の使用実態を突き合わせ、余剰の削減とコンプライアンス違反の防止を同時に進めるための仕組みです。まずは自社が管理したい対象を、SaaS中心か、PCを含む全社統合かで見極めることが出発点になります。
SaaSの利用と契約更新を全社で押さえたい場合はSaaS管理特化型が、PC・オンプレソフトまで含めて棚卸しと監査対応を一元化したい場合は統合IT資産管理型が軸になります。
数千席規模のグローバル要件があれば、海外SAM専業を上乗せの観点として検討します。そのうえで、同時使用上限の監視・購入証書の紐付け・監査対応レポートといったSAM特有の機能が、自社のライセンス形態と監査要件に合うかを確認してください。比較表と診断ツールを、自社に合うタイプと製品を絞り込む材料としてご活用ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ソフトウェアライセンス管理ツールとは何ですか?
A. ソフトウェアライセンス管理ツールとは、企業が購入したソフトウェアライセンス数と実際の使用実態を突き合わせ、過不足や契約違反を可視化するツールです。ソフトウェア資産管理(SAM)の中核を担い、PCへのインストール実態・SaaSアカウント・購入証書の3層を突き合わせて「何本を正規に保有し、何本を実際に使っているか」を確定します。
余剰ライセンスの削減とBSA監査・内部監査への対応を同時に進められる点が導入の主な目的です。
Q. SAMツールとIT資産管理ツールの違いは何ですか?
A. SAMツールがソフトウェアライセンスの保有と使用の突合に軸足を置くのに対し、IT資産管理ツールはPC・サーバー・端末などのハードウェアまで含めたIT資産全体を対象にします。両者は対立するものではなく、統合型のIT資産管理ツールがライセンス管理機能(SAMモジュール)を内包しているのが一般的です。
ライセンスの突合だけを軽く回したいのか、PC資産全体をまとめて棚卸ししたいのかで、選ぶツールの範囲が変わります。
Q. SaaS管理特化型と統合IT資産管理型は、どちらを選べばよいですか?
A. 管理したい対象がSaaSのアカウント・契約中心ならSaaS管理特化型、PC・オンプレソフトまで含めた全社の棚卸しと監査対応が中心なら統合IT資産管理型が起点になります。SaaS管理特化型はSSOやAPI連携による休眠アカウント検出や入退社の自動化を得意とする一方、買切りソフトや同時使用上限の監視は守備範囲外のことが多いです。
統合型はPCのインストール実態や購入証書まで一元管理できますが、SaaSのSSO連携は付帯的な位置づけの製品が多い点がトレードオフです。数千席以上でグローバル拠点や外資本社のSAMポリシー準拠が要る場合は、海外SAM専業を上乗せの観点として検討します。
Q. 同時使用(フローティング)ライセンスの上限監視は、どのくらいの規模から必要ですか?
A. 同時使用ライセンスのソフトを部門で共用している場合は、規模の大小にかかわらず上限監視が必要です。同時使用ライセンスはインストール数ではなく同時起動数で契約するため、繁忙期に一斉に使うと知らないうちに上限を超え、契約違反として追加費用や損害賠償の対象になり得ます。
特にCADや解析ソフトなど高価なライセンスを複数人で融通している環境では、同時起動数をリアルタイムで監視できるツールがないと違反に気づけません。逆に、こうした共用ライセンスを扱っていなければ、この機能の優先度は下がります。
Q. Excel台帳での管理から専用ツールに移行する目安はありますか?
A. 管理する端末数やSaaS数が増えて、手作業での台帳更新が追いつかなくなったときが専用ツールへの移行の目安です。ライセンス台帳自体はExcelでも作れますが、インストール実態やSaaSアカウントの増減を手で追い続けると、更新漏れと属人化が避けられません。
棚卸しのたびに数日から数週間かかる、担当者しか台帳の中身が分からない、監査通知が来てから資料集めに追われる——こうした状態は、保有と使用を自動収集する仕組みへ移行を検討するサインです。
Q. 退職者のアカウント放置にはどんなリスクがあり、どう自動化できますか?
A. 退職者のSaaSアカウント放置は、不正アクセスの温床になると同時に、無駄なライセンス費用が発生し続けるリスクがあり、セキュリティ監査で繰り返し指摘される項目です。
人事マスタやSSOと連携できるツールを使えば、入社・退職・異動に合わせてアカウントの発行・削除を自動化でき、手作業による削除漏れを防げます。SaaS管理特化型の多くがこの自動化を得意とするため、退職者アカウント対策を重視する情報システム部門には特化型が向きます。
Q. BSA監査は本当に来るのですか?違反した場合の罰則と対応策は?
A. BSA監査は元従業員や取引先からの通報を端緒に実際に行われ得るため、「気づかれない」前提には立てません。BSA(The Software Alliance)は違法コピーの通報窓口を公式に設け、有力な情報の提供者に報奨金を支払う制度を運用しています。
ソフトウェアの無許諾複製は著作権侵害にあたり、行為者個人には著作権法第119条により10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金が、法人には両罰規定である第124条により3億円以下の罰金が科され得ます。最善の対応策は、保有ライセンスと使用実態を突き合わせた台帳を平時から維持し、監査通知が来ても証跡をすぐ提出できる状態にしておくことです。
出典・参考資料(2件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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