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法人スマホの管理方法とMDM・UEM21製品の比較|台帳・棚卸しから紛失・退職時の対応まで

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IT資産管理ソフトウェア比較表(2026年版)

従業員に会社支給のスマートフォンを配り始めると、管理の仕事は思っていたより早く増えていきます。誰にどの端末を渡したかを記録した台帳が実態と合わなくなり、退職者の回線がそのまま残り、紛失の連絡が入ったときに何から手をつけるかが決まっていない、という状態は珍しくありません。

台数が数十台を超えたあたりから、この作業を人の手だけで回し続けるのは難しくなります。設定の抜けや対応のばらつきが起きやすくなり、私的利用や会社が把握していないアプリの利用も見えなくなっていくためです。ここで登場するのが、端末を遠隔からまとめて管理するMDM(モバイルデバイス管理)という仕組みです。

本記事では、法人スマホの管理として実際に何をやるのかを台帳づくり・棚卸し・紛失や退職時の対応手順まで具体的に整理したうえで、それを仕組みに寄せるためのMDM・UEM21製品を3つのタイプに分類し、比較表とともに紹介します。

今すぐ製品を比べたい方に向けて、「MDM・UEM21製品の比較表」と、自社の台数やOS構成から候補が絞れる「30秒で終わる選定診断ツール」を用意しています。あわせてご活用ください。

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法人スマホの管理でやること(業務の全体像)

ここからは、法人スマホの管理として発生する仕事を一覧で押さえます。日々発生するもの、定期的に回すもの、いつ起きるか読めないものの3つに分けると、自社でどこが手つかずかを照らし合わせやすくなります。

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管理業務の区分主な業務内容
日常的に発生する業務新しく配る端末の初期設定(キッティング)とアプリの導入/利用者からの問い合わせ対応/故障・修理の受付と代替機の手配/アプリの追加申請の可否判断
定期的に回す業務台帳と現物の突き合わせ(棚卸し)/OSやアプリの更新状況の確認/契約している回線数と実際の利用者数の照合/利用ルールの見直しと社内への周知
いつ起きるか読めない業務紛失・盗難が起きたときの初動対応/退職者からの端末回収と回線の停止・解約/異動にともなう利用者情報の変更と端末の引き継ぎ/ルール違反が見つかったときの対応

この中で最も工数を食うのは、日常業務のうち初期設定と問い合わせ対応です。一方で、事故につながりやすいのは「いつ起きるか読めない業務」のほうで、手順が決まっていないと対応が遅れ、被害が広がります。

担当を決めていない場合、これらの仕事は総務と情報システムのあいだで宙に浮きがちです。端末そのものの管理は情報システム、回線契約と請求は総務、というように業務ごとに担当部署をはっきりさせておくと、抜けが起きにくくなります。

管理台帳のつくり方と棚卸しの回し方

ここからは、管理の土台になる台帳について解説します。どのツールを入れるとしても、「どの端末を誰が使っているか」が正確に分かっていなければ、遠隔でロックすることも、回線を止めることもできません。

管理台帳に記載する項目

台帳に何を書くかは、「事故が起きたときに、その情報がないと動けないか」で判断します。次の項目が揃っていれば、紛失時の回線停止から退職時の回収まで一通り対応できます。

  • 端末情報:メーカー・機種名・製造番号(IMEI)・シリアル番号・OSとそのバージョン・購入日・保証期限
  • 回線情報:電話番号・キャリア・契約プラン・SIMの管理番号・契約開始日
  • 利用者情報:氏名・社員番号・所属部署・役職・貸与日・返却予定日
  • 状態:貸与中/在庫/修理中/返却済み/廃棄済みの区分と、その変更日
  • 管理ツールの登録状況:MDMに登録済みか、どのポリシーを適用しているか
  • 付属品:充電器・ケース・保護フィルムなど貸与した物品と、保証書・取扱説明書の保管場所

特に忘れられやすいのが製造番号(IMEI)です。電話番号は解約や機種変更で変わりますが、IMEIは端末に固有の番号なので、キャリアへの照会や警察への遺失届でそのまま使えます。

付属品も台帳に残しておくと、返却時の確認が早く済みます。充電器やケースの回収漏れは金額こそ小さいものの、件数がまとまると無視できない負担になります。

棚卸しのやり方と頻度

棚卸しは、台帳の記載と現物が一致しているかを確かめる作業です。年1回では差異が溜まりすぎて追跡できなくなるため、半期に1回を目安に、人事異動の時期に合わせて実施すると効率よく回せます。

やり方は、台帳の一覧を部署ごとに切り出し、各部署に現物の確認を依頼する形が基本です。確認してもらうのは、手元にある端末のIMEIまたはシリアル番号と、実際に使っている人の氏名の2点に絞ると回収率が上がります。

差異が出たときは、原因を3つに切り分けます。台帳の更新漏れ(異動や機種変更が反映されていない)、現物の所在不明(誰かの引き出しで眠っている)、そして回収漏れ(退職者が持ったまま)です。3つ目が最も危険なので、退職者リストとの突き合わせは棚卸しとセットで行います。

回線契約の一覧をキャリアの管理ポータルから出力し、台帳の「貸与中」の件数と突き合わせる作業も同時にやっておくと、使われていない回線をここで拾えます。

表計算ソフトでの管理が続かなくなる理由

台帳を表計算ソフトで作ること自体は、台数が少ないうちは合理的な選択です。問題が出るのは、更新のタイミングと実態がずれ始めてからです。

端末の貸与や返却は日々発生しますが、台帳の更新は担当者が手を空けたときにまとめて行われがちです。この時間差のあいだに異動や退職が重なると、どこまでが反映済みか分からなくなります。

更新作業が特定の担当者に集中する点も、続かなくなる理由の1つです。その担当者が異動すると、台帳の書き方や運用ルールが引き継がれず、次の担当者は実態が分からないまま引き受けることになります。

加えて、表計算ソフトの台帳は「書いてある内容が本当に正しいか」を自力で検証できません。端末のOSバージョンやインストール済みアプリのように、現物を見なければ分からない情報は、書いた時点から古くなっていきます。この部分を自動で埋められるのが、後述するMDMの資産管理機能です。

ケース別に見る法人スマホの対応手順

ここからは、実際に起きたときに迷いやすい4つの場面について、手をつける順番を整理します。それぞれの最後に、どこまでを人が動き、どこからを仕組みに任せられるかを示しました。

【紛失・盗難】発生直後にやることと順番

紛失時にまず優先するのは、探すことよりも先に、端末から社内の情報に触れられない状態を作ることです。探すことを優先して連絡が遅れると、その間に情報が引き出される可能性が残ります。

  1. 利用者から管理部門への連絡:気づいた時点ですぐ報告してもらいます。連絡先と受付時間(夜間・休日を含む)を事前に周知しておくことが前提になります。
  2. 遠隔でのロック・データ消去:MDMを導入していれば管理画面から実行します。端末が電源オフや圏外の場合は即時に実行されず、通信が回復した時点で処理される点に注意が必要です。
  3. キャリアへの回線停止の依頼:通話・データ通信を止めます。SIMを抜かれて別の端末に差し替えられた場合の悪用も防げます。
  4. 業務アカウントの認証情報の変更:メール・グループウェア・業務システムのパスワードを変更し、その端末に発行済みの認証を無効にします。端末が手元になくても、保存済みのセッションから入られる経路を塞ぐ工程です。
  5. 警察への遺失届の提出:受理番号を控えます。保険や社内の事故報告で求められることがあります。
  6. 記録と再発防止の確認:発生から各工程までの時刻、端末に入っていた情報の範囲、実施した措置を記録します。個人情報が含まれる場合は、報告義務の要否をここで判断します。
法人スマホの紛失・盗難が起きたときの初動6ステップを縦に並べた図。1利用者から管理部門への連絡、2遠隔でのロック・データ消去、3キャリアへの回線停止の依頼、4業務アカウントの認証情報の変更、5警察への遺失届の提出、6記録と再発防止の確認。このうちMDMで実行できるのは2の遠隔ロック・データ消去だけで、ほかは人が動く工程であることを示している。

MDMをまだ導入していない場合にできること

手順の2番目はMDMがある前提の工程ですが、導入前でも打てる手はあります。会社支給の端末であっても、次の経路から遠隔操作できる場合があります。

  • 端末を探す機能:iPhone・iPadはApple IDに紐づく「探す」、AndroidはGoogleアカウントに紐づく端末を探す機能から、位置の確認・遠隔ロック・データ消去ができます。利用者本人のアカウントで設定されている場合は、本人に操作してもらう形になります。
  • 業務アカウント側からのサインアウト:Microsoft 365 や Google Workspace の管理画面から、その端末に発行済みのセッションを失効させられます。端末そのものは操作できなくても、業務データへの入口は塞げます。
  • キャリアへの利用中断の依頼:法人向けの管理ポータルまたは窓口から回線を止めます。手続きには契約番号や製造番号(IMEI)が必要になることがあるため、台帳から取り出せる状態にしておきます。

ただし、これらは端末ごとの設定に依存し、管理部門が一括で実行できるわけではありません。誰の端末でどの機能が有効になっているかを会社が把握できていない点が、MDMを入れる前の最大の弱点です。

この順番は、内閣官房国家サイバー統括室(旧・NISC)が公開している手引書の考え方とも一致します。同書は、盗難・紛失時の対処手順をあらかじめ整備して全利用者に周知するよう求めたうえで、手順に含める事項を次のように挙げています。

・報告受付窓口(組織、役職名 等)
・報告内容(盗難・紛失した場所、時間、対処状況等)
・対処手順(端末ロック、データワイプ、通信事業者への連絡)
・端末の所在の確認
・関係機関、所轄警察署への連絡

出典:スマートフォン等の業務利用における情報セキュリティ対策の実施手順策定手引書|内閣官房国家サイバー統括室(2025年7月1日)

同書は「端末の盗難・紛失が確定していない場合であっても、そのおそれがある場合は報告するよう、手順に定め」ておくことも勧めています。見つかるかもしれないという判断で報告が遅れる状況を、あらかじめルールで防ぐという考え方です。

この手順のうち、2番目の遠隔ロック・データ消去だけが仕組みに寄せられる工程です。回線停止とパスワード変更、遺失届は人が動くしかありません。夜間・休日に管理者が対応できない体制であれば、ロックとワイプの操作を代行するオプションを持つ製品が選択肢になります。

もう1つ押さえておきたいのが、遠隔での消去が万能ではない点です。同書は、遠隔操作によるデータ削除について「通信圏外等の通信機能が動作していない状態では有効に機能しない」と指摘し、パスワードの入力失敗が一定回数を超えた場合に端末側でデータを削除する機能の併用を検討するよう勧めています。製品を選ぶ際は、この端末側での消去に対応しているかも確認しておくと安心です。

出典・参考資料(1件)

【退職】端末の回収と回線の停止・解約

退職時の処理は、退職日を過ぎてから動くと回収も解約も遅れます。人事から退職予定の情報を受け取った時点で着手するのが基本です。

  1. 退職日に合わせた利用停止の予約:業務アカウントの停止日と、端末の利用停止日を揃えます。
  2. 端末と付属品の回収:本体だけでなく、充電器・ケース・SIMカードまで台帳の記載どおりに揃っているかを確認します。
  3. データの消去と初期化:業務データと業務アカウントを消去します。端末を再利用する場合は、MDMの登録を解除してから次の利用者向けに設定し直します。
  4. 回線の停止・解約または引き継ぎ:後任がいれば利用者情報を変更し、いなければ解約します。判断を保留したまま放置すると、そのまま料金が発生し続けます。
  5. 台帳の更新:状態を「返却済み」または「在庫」に変え、回線の扱いも記録します。

仕組みに寄せられるのは、3番目のデータ消去と、5番目の台帳更新です。MDMが端末情報を自動で収集していれば、登録解除とあわせて台帳側も揃います。一方、現物の回収と回線の解約は人の手続きが必要な工程として残ります。

【異動・名義変更】利用者情報とSIM・端末の引き継ぎ

異動では、端末をそのまま持っていくのか、部署に置いていくのかで手順が変わります。判断基準を決めておくと、その都度の確認が減ります。

端末を本人が持っていく場合は、台帳の所属部署を書き換えるだけで済みます。部署の予算で契約している場合は、請求先の付け替えも忘れずに処理します。

端末を後任に引き継ぐ場合は、初期化してから渡すのが原則です。前任者のアカウントや連絡先が残ったまま渡すと、後任が業務外の情報に触れられる状態になります。法人契約では、契約者名義は会社のままで利用者情報だけを変更する形になるため、キャリアの法人向け管理ポータルから手続きします。

この工程のうち仕組みに寄せられるのは、初期化と再設定です。MDMの管理画面から遠隔で実行できるため、端末を物理的に手元へ戻さずに引き継げます。一方で、台帳の所属部署の書き換えと、キャリアの管理ポータルでの利用者情報の変更は人の手続きとして残ります。

【支払い・請求】名義と口座の一本化、使われていない回線の見直し

回線の契約が部署ごとにばらばらに増えていくと、請求書も支払い口座も分散します。この状態では、契約数と実際の利用者数が合っているかを誰も確認できません。

契約者名義と支払い口座を会社として一本化しておくと、キャリアの管理ポータルで全回線を一覧でき、棚卸しのときに台帳と突き合わせられます。名義が個人のままになっている回線が混ざっていると、退職時に解約できず、本人にも会社にも不利益が残ります。

使われていない回線は、契約数と台帳の「貸与中」件数の差として現れます。差が出た回線について、休止・解約・後任への引き継ぎのいずれかを決めるところまでを棚卸しの工程に含めておくと、判断が先送りされません。

請求書の保存方法にも確認しておきたい点があります。キャリアの管理ポータルやメールでPDFの請求書を受け取っている場合、それは電子帳簿保存法上の「電子取引」に当たります。国税庁の一問一答は、クラウド経由での受領についても次のように示しています。

クラウドサービスを利用して取引先から請求書等を受領した場合にも、電子取引に該当します。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問7|国税庁(令和7年6月)

電子取引に当たるデータは、電磁的記録のまま保存する必要があります。印刷して紙で保管するだけの運用になっていないか、この機会に確認しておくとよいでしょう。

この節の作業は、4つのケースの中で唯一、仕組みに寄せられる工程がありません。回線の契約・請求・名義はキャリアとの取引で、後述するMDMの守備範囲の外にあるためです。棚卸しの工程に「契約数と台帳の件数を突き合わせる」ステップとして組み込み、人の手で定期的に回すのが現実的な形になります。

出典・参考資料(2件)

法人スマホの運用ルールに定めること

ここからは、端末を渡すときに示すルールについて解説します。ルールが曖昧なままだと、私的利用を見つけても注意する根拠がなく、事故が起きたときの責任の所在もはっきりしません。

ルールに書く項目

ルール文書は網羅を目指すより、実際に判断が割れる場面に絞って書くほうが機能します。次の項目は、どの会社でも問い合わせが発生しやすいところです。

  • 私的利用の範囲:通話・データ通信を私用で使ってよいか、使ってよい場合はどこまでか。全面禁止にするなら、休憩時間の扱いも書いておきます。
  • アプリの追加:利用者が自由にインストールしてよいか、申請制にするか。申請制なら、申請先と判断基準を示します。
  • 社外ネットワークとクラウドの利用:公衆Wi-Fiへの接続の可否、個人のクラウドストレージやメッセージアプリで業務データをやり取りしてよいか。
  • 端末の持ち出しと保管:社外への持ち出しの可否、自宅での保管方法、第三者に貸してはいけないこと。
  • 紛失・故障時の連絡フロー:誰に・どの連絡先へ・いつまでに連絡するか。夜間や休日の窓口も明記します。
  • 会社が取得する情報と実施する措置:端末から何を取得するか、どのような場合にロックやデータ消去を行うか。

最後の項目は、後述するBYOD(私物端末の業務利用)を認める場合には特に重要になります。会社支給の端末であっても、位置情報の取得のように従業員の心理的な抵抗が生まれやすい機能は、目的と範囲を明示しておくと運用が安定します。

決めたルールを守らせる

ルールを文書にしただけでは、利用者はまず読みません。端末を渡すその場で説明し、内容に同意した記録を残す形にすると、後から認識の食い違いが起きにくくなります。

説明のタイミングとして確実なのは、入社時の研修と端末の貸与時の2回です。既存の利用者に対しては、棚卸しの案内と一緒にルールの改訂版を配る形にすると、追加の手間が生まれません。

ルールで抑えきれない部分は、端末側の設定で物理的に塞ぐという考え方もあります。アプリのインストールを禁止したいなら、注意喚起よりもMDMでインストール自体を制限するほうが確実です。ルールで示すのは判断が要る領域に絞り、判断の余地がないものは設定で固定すると、運用の負担が減っていきます。

管理が行き届かないと何が起きるか

ここまでの台帳・棚卸し・ルールは、どれも人が手を動かして維持するものです。台数が増えるとこの維持が追いつかなくなり、次のような形で表面化します。

紛失・盗難による情報漏えい

業務用スマホには、顧客の連絡先、社内メール、共有ファイルへのアクセス権が入っています。端末を失ったときに問題になるのは本体の価格ではなく、そこから見える情報の範囲です。

画面ロックが設定されていない端末や、パスコードが単純な端末が混ざっていると、拾った人がそのまま中身を見られる状態になります。設定を利用者任せにしている限り、この状態の端末が何台あるかは把握できません。

端末に顧客の個人データが入っている場合、この状態は法律上の要請とも直接ぶつかります。個人情報保護法は、個人情報取扱事業者に対して次のように定めています。

第二十三条 個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

出典:個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第23条|e-Gov 法令検索

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、この条文で求められる措置の一つとして「個人データを取り扱う機器、電子媒体及び書類等の盗難又は紛失等を防止するために、適切な管理を行わなければならない」ことを挙げています。会社が貸与するスマートフォンはこの「機器」に当たります。

台帳が不正確で「どの端末に誰の情報が入っていたか」を説明できない状態は、事故が起きた後の対応そのものを難しくします。漏えいの範囲を特定できなければ、報告や本人への通知の要否も判断できません。

出典・参考資料(2件)

端末の私物化・私的利用

会社が貸与した端末を私用で使い続ける状態は、通信量の増加という形でまずコストに出ます。動画視聴やゲームが常態化すると、契約しているデータ容量では足りなくなり、追加料金が発生します。

費用よりも扱いが難しいのは、私用のアカウントで端末を使われるケースです。個人のクラウドに業務データが同期されたり、退職後も個人のアカウントが端末に紐づいたまま残ったりすると、会社側から状況を確認する手段がありません。

シャドーIT(会社が把握していないアプリ・クラウドの利用)

業務を進めるために、利用者が自分の判断で便利なアプリを入れることがあります。ファイル転送サービスやメッセージアプリで顧客とやり取りする、といった使い方です。

本人には悪意がなく、むしろ仕事を早く進めるための工夫であることが多いため、注意喚起だけでは減りません。会社が把握していないアプリに業務データが渡っている状態は、そのサービス側で事故が起きたときに影響範囲を追えないという問題を残します。

どの端末にどのアプリが入っているかを一覧できれば、危険なものだけを個別に止められます。この可視化は、人手の台帳では実質的に不可能な領域です。

退職・異動の処理漏れが残す回線費用

退職者の回線を止め忘れると、誰も使っていない回線の基本料が毎月発生し続けます。1回線あたりの金額は小さくても、数年分が積み上がると相応の額になります。

この漏れが厄介なのは、請求書を見ても気づきにくい点です。回線数が数十を超えると請求は合計額でしか確認されなくなり、内訳と利用実態を突き合わせる機会が失われます。

回収されないまま残った端末も同じ構造で、台帳上は「貸与中」のまま在庫にも戻らず、次の利用者に回せません。ここまで挙げた4つは、いずれも実態を自動で把握する仕組みがないことから生まれています。

MDM(モバイルデバイス管理)とは

MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)は、会社が貸与する端末を管理者が遠隔からまとめて設定・制御するための仕組みです。端末に専用のプロファイルやアプリを入れ、管理画面から指示を送る形で動きます。

導入を検討するうえで先に押さえたいのは、MDMが引き受ける範囲と引き受けない範囲です。ここを取り違えると、入れたのに管理の手間が減らないという結果になります。

MDMでできること

  • 遠隔でのロック・データ消去:紛失時に管理画面から端末をロックし、必要に応じて初期化します。会社のデータだけを消して個人の領域は残す方式(セレクティブワイプ)に対応する製品もあります。
  • アプリの配布と制限:業務アプリをまとめて配り、会社が認めていないアプリのインストールを禁止します。
  • 設定の一括適用:パスコードの桁数、画面の自動ロック時間、カメラや画面録画の可否、Wi-Fiやメールの接続設定を、グループ単位でまとめて反映します。
  • 端末情報の自動収集:機種名・OSバージョン・インストール済みアプリ・製造番号を端末から吸い上げ、台帳を自動で最新に保ちます。
  • 位置情報の把握:紛失時のおおよその所在を確認します。取得の可否や頻度は設定で変えられるのが一般的です。
  • 初期設定の自動化:購入した端末を箱から出して電源を入れるだけで、必要な設定とアプリが自動で入る状態を作ります(ゼロタッチ導入)。

MDMでできないこと

MDMが扱うのは端末の中の話に限られます。次の作業は、MDMを入れても人の手続きとして残ります。

  • 回線の停止・解約・名義変更:キャリアとの契約手続きなので、管理ポータルや窓口で別途行います。
  • 端末の物理的な回収:退職者から現物を受け取る作業は変わりません。
  • 通信費の最適化:料金プランの見直しや不要回線の解約判断は、MDMの管理対象外です。
  • ルールを決めること・守らせること:どこまで制限するかを決めるのは会社の判断で、MDMはその決定を端末に反映する道具にすぎません。

先ほどのケース別の手順に当てはめると、紛失時の6工程のうちMDMが担うのは遠隔ロックとデータ消去の1つ、退職時の5工程のうちデータ消去と台帳更新の2つです。MDMは工数を消すのではなく、事故に直結する工程を確実に・速く実行できるようにするものと捉えると、期待値がずれません。

MDMが引き受ける範囲と引き受けない範囲を2列で示した図。端末の中は遠隔ロック・データ消去、アプリの配布と制限、設定の一括適用、端末情報の自動収集、位置情報の把握、初期設定の自動化がMDMでできる。端末の外は回線の停止・解約・名義変更、端末の物理的な回収、通信費の最適化、ルールを決め守らせることが人の手続きとして残る。紛失時の6工程のうちMDMが担うのは1つ、退職時の5工程のうち2つ。

iOSとAndroidで管理できる範囲はどう違うか

同じMDMを使っても、iPhoneとAndroidでは管理できる範囲が違います。OSごとに管理の仕組みが別に用意されており、さらに端末をどう会社に登録したかによって使える機能が変わるためです。製品を選ぶ前に、この前提を押さえておく必要があります。

iPhone・iPadの場合、鍵になるのは「監視対象」という状態です。Appleは登録方式ごとの違いを次のように説明しています。

一般に、監視対象とは、組織がデバイスを所有し、デバイスの構成や制限を詳細に制御できることを示します。

出典:Appleデバイスでの登録方法|Apple Platform Deployment(2026年8月24日確認)

会社が購入した端末をApple Business Manager(現・Apple Business、以下ABM)経由で「自動デバイス登録」した場合、その端末は登録の時点で監視対象になります。一方、従業員の個人端末を想定した「アカウント駆動型ユーザ登録」では監視対象になりません。

この差は具体的な機能の差として現れます。Appleの資料では、ユーザ登録で管理できない機能として次が挙げられています。

  • シリアル番号などの一意のデバイス識別子の照会
  • 電話番号の照会
  • すべてのアプリのリストの照会
  • すべてのコンテンツと設定のリモート消去
  • 複雑なパスコードの要求
  • ソフトウェアアップデートの強制

個人用のカレンダーやメール、メッセージへのアクセスも同様です。

資産管理として端末のシリアル番号を自動で台帳化したい、紛失時に端末を丸ごと初期化したい、という要件があるなら、会社所有の端末をApple Business Managerに登録して自動デバイス登録で配ることが前提になります。

問題は、すでに配ってしまった端末をどうするかです。量販店やキャリアショップで個別に購入した端末は、購入経路によってはApple Business Managerに登録できず、自動デバイス登録の対象になりません。

この場合、監視対象にするには端末を一度初期化して登録し直す必要があります。稼働中の端末を止めることになるため、全台を一斉に切り替えるのではなく、機種変更や故障交換のタイミングで順次移行していくのが現実的な進め方です。

Androidでは、Android Enterpriseという仕組みが管理モードを分けています。Googleは主なモードを次のように説明しています。

  • 仕事用プロファイル(work profile):業務用のアプリとデータを端末内の分離された領域に保存する機能。企業は仕事用プロファイル内のアプリ・データ・設定を完全に管理できる一方、端末の個人用プロファイルに対しては「no visibility or access(可視性もアクセス権もない)」と明記されています。
  • フルマネージド(fully managed device):業務専用を意図した会社所有端末向けのモード。仕事用プロファイル内の管理に加えて、端末全体に対するポリシーを適用できます。
  • 専用デバイス(dedicated device):フルマネージドの一種で、単一のアプリまたは限られたアプリだけが使える状態に固定する使い方。店舗の受付端末や配送の業務端末が想定されています。

Androidの場合、仕事用プロファイルは稼働中の端末にも後から追加できますが、端末全体を管理するフルマネージドにするには同じく初期化が必要になります。どちらのOSでも、「今ある端末にどこまで適用できるか」は候補製品の問い合わせ時に必ず確認しておく項目です。

2つのOSを並べると、考え方は共通しています。会社が所有して業務専用で配る端末ほど強く管理でき、個人所有の端末では業務領域だけに管理が限定されるという構造です。iPhoneとAndroidが混在している職場では、この「登録方式・管理モードをどう揃えるか」がMDMの設定作業そのものになります。

iPhone・iPadとAndroidで管理できる範囲の違いを2行2列で示した図。会社所有・業務専用の端末は、iOSでは自動デバイス登録(Apple Business Manager経由)で登録の時点で監視対象になり構成や制限を詳細に制御でき、Androidではフルマネージドで端末全体にポリシーを適用できる。個人所有の端末(BYOD)は、iOSのアカウント駆動型ユーザ登録では監視対象にならずシリアル番号・電話番号の照会や全アプリの把握、端末全体の消去ができず、Androidの仕事用プロファイルでは業務領域は完全に管理できる一方、個人用プロファイルには可視性もアクセス権もない。
出典・参考資料(2件)

MDMを導入するメリット(管理業務がどう変わるか)

MDMの効果は、ここまで挙げた実務のどこが減るかで測ると具体的に見えます。

台帳については、端末情報の自動収集によって機種・OSバージョン・インストール済みアプリの欄が自動で埋まります。手入力が残るのは利用者名・部署・貸与日といった会社側でしか分からない情報だけになり、更新漏れが起きる範囲が狭まります。

紛失時は、連絡を受けてから管理画面でロックを実行するまでの時間が短縮されます。端末を探しに行く、利用者に操作を指示するといった工程が不要になるためです。

私的利用については、注意喚起ではなく設定で塞ぐ形に変わります。業務時間外のアプリ利用を制限する、認めていないアプリのインストールを禁止するといった制御を、全端末に一度で反映できます。

初期設定の負担も変わります。ゼロタッチ導入に対応していれば、届いた端末を利用者に渡すだけで設定が完了するため、管理部門が1台ずつ触る必要がなくなります。台数が多い企業ほど、この差が効いてきます。

MDM・EMM・MAM・MCM・UEMの違い

製品を調べていると、MDM以外の略語にも出会います。守る対象がどこかで整理すると区別しやすくなります。

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用語守る対象と役割
MDM(モバイルデバイス管理)端末そのもの。設定の強制、機能制限、遠隔でのロックや初期化を担う。
MAM(モバイルアプリケーション管理)業務アプリ。アプリの配布と、アプリ内のデータの持ち出し制御を担う。端末全体は管理せず、業務アプリの中だけを守る使い方ができる。
MCM(モバイルコンテンツ管理)社内文書などのコンテンツ。閲覧できる範囲の制御と配信を担う。
EMM(エンタープライズモビリティ管理)MDM・MAM・MCMを束ねた考え方。モバイル端末の管理全般を指す言葉として使われる。
UEM(統合エンドポイント管理)スマホ・タブレットに加えてPCやMacまで含めた全端末。1つの管理画面にまとめる考え方。

これらは上位互換の関係ではなく、併用が前提です。まず端末の土台をMDMで固め、業務アプリの中の持ち出し制御が必要になった段階でMAMを足す、という順序が現実的な進め方になります。

製品を比べるときに気をつけたいのは、この分類が売る側の製品区分である点です。読者にとって意味があるのは「自社の端末で何ができるか」であって、その製品がMDMを名乗るかUEMを名乗るかではありません。後半の比較では、名称ではなく管理できる範囲で分類しています。

MDM以外の選択肢(端末に業務データを残さない方式)

端末を管理する以外にも、情報漏えいを防ぐ考え方があります。そもそも端末に業務データを置かないという方向です。自社の課題がどちらに近いかで、検討する製品の種類が変わります。

1つ目はセキュアブラウザと呼ばれる方式です。専用のブラウザ経由でのみ社内システムにアクセスさせ、閲覧したデータを端末内に保存させません。ブラウザを閉じれば端末側に痕跡が残らないため、紛失しても持ち出された情報は限定されます。

2つ目は仮想デスクトップ方式です。社内のサーバーやクラウド上にあるデスクトップ環境を端末から呼び出して操作する形で、実際の処理はすべてサーバー側で行われます。端末は画面を映す窓の役割に留まります。

3つ目はセキュアコンテナ方式で、端末内に暗号化された業務専用の領域を作り、その中だけで業務アプリとデータを扱います。個人の領域と分離されるため、私物端末の業務利用と相性がよい方式です。

これらはMDMの代わりになる場面もありますが、守備範囲が違います。MDMは端末そのものの状態を管理するもので、端末にデータを残さない方式はデータの置き場所を端末の外に移すものです。端末の紛失そのものが最大の不安であればこれらの方式が効きますし、初期設定の負担や台帳の維持、私的利用の抑制まで含めて解決したいならMDMのほうが合います。両方を組み合わせている企業もあります。

このうちセキュアブラウザについては、方式ごとの違いや料金、仮想デスクトップ(VDI)との使い分けを以下の記事で詳しく比較しています。

私物スマホ(BYOD)はどこまで管理してよいか

従業員の私物スマートフォンを業務に使わせることを、BYOD(Bring Your Own Devices)と呼びます。端末の購入費を抑えられる一方で、会社の管理をどこまで及ぼしてよいかという難しさが生まれます。

検討の順番として、まず「認めるかどうか」自体を評価する工程が要ります。総務省のテレワークセキュリティガイドラインは、私物端末について次のように指摘しています。

個人所有端末を使用する場合、個人所有端末上にデータ保存が可能であることや、マルウェア対策ソフト等のインストールを強制できないなど、十分なセキュリティ統制が取れません。そのため、セキュリティインシデントが発生しうるリスクを認識し、このリスクが受容可能か評価をした上で、BYOD利用の可否を決定する必要があります。

出典:テレワークセキュリティガイドライン 第5版|総務省(令和3年5月)

会社が見られる情報・見られない情報

私物端末に会社の管理を入れる場合、現在の主流は端末全体ではなく業務領域だけを管理する方式です。Androidの仕事用プロファイルでは、企業が管理できるのはそのプロファイル内のアプリ・データ・設定に限られ、個人用プロファイルに対しては可視性もアクセス権もないとGoogleが明記しています。

iPhone・iPadでも、私物端末向けの登録方式では管理できる範囲が狭くなります。前述のとおり、シリアル番号や電話番号の照会、インストール済みアプリ全体の把握、端末の全体初期化はいずれも管理対象外です。個人のカレンダーやメール、メッセージにも会社は触れられません。

この構造を利用者に説明しておくことが、BYOD運用の出発点になります。「会社に私生活を覗かれる」という警戒が導入の最大の障害になりやすく、実際に取得できる情報の範囲を具体的に示すほうが納得を得やすいためです。

就業規則・同意書に書いておくこと

私物端末の業務利用では、技術的な線引きと文書での合意の両方が必要です。内閣官房国家サイバー統括室の手引書は、利用条件について合意した証拠を残す運用を勧めています。

利用条件について利用者が合意したことを示す証拠として誓約書等の文書に合意事項ごとのチェックマークにチェックし、利用者のサインを記入させるなどし、保管しておくとよい。

出典:スマートフォン等の業務利用における情報セキュリティ対策の実施手順策定手引書|内閣官房国家サイバー統括室(2025年7月1日)

同書は、合意しておくべき事項として次のような項目を挙げています。いずれも、後から解釈が割れると当事者間のトラブルになりやすいところです。

  • 契約者の名義:業務利用する端末の契約者が本人であることの確認。家族名義などを認める場合は、その条件を明確にしておきます。
  • 業務情報の扱い:業務情報を業務外に使わないこと、業務利用を終えるときにどう処理するか。
  • 会社による情報収集への同意:不正な利用や不正プログラムへの感染を確認するために利用状況を収集すること。同書はこの項目について「プライバシーに係る情報を含むことから、利用者の事前合意は必須」としています。
  • 会社による端末制御への同意:設定変更・機能制限・データ削除を会社が行うこと。事故対応時に個人のデータを含めて消去する可能性があるなら、その点まで明記しておく必要があります。

費用の負担については、労働法上の要請もあります。厚生労働省のテレワークガイドラインは、労働者に情報通信機器や作業用品の負担をさせる定めを置く場合、その事項を就業規則に規定しなければならないと示しています(労働基準法第89条第5号)。通信費を本人負担にするのか、手当として支給するのかを決めたら、就業規則にも反映させておきます。

出典・参考資料(3件)

私物端末の業務利用を認める場合、その管理にはMDMのほか、社内システムへのリモートアクセスや仮想環境を使う方法もあります。3つのタイプの違いと選び方は以下の記事で解説しています。

MDMの費用相場

ここからは、導入と運用にかかる費用の見方を整理します。製品ごとの実額は後半の比較表にまとめているので、この節では内訳と、見積りを比べるときに揃えるべき条件を扱います。

費用の内訳

MDMの費用は、月々のライセンス料だけを見ると実態から外れます。次の4つに分けて積み上げると、導入後に想定外の出費が出にくくなります。

  • ライセンス料:端末1台あたりの月額または年額。本記事で紹介する製品では、公開されているもので1台あたり月額100円台から500円程度の幅に収まっています。機能を絞ったプランを持つ製品では下限がさらに下がります。
  • 初期費用:契約時に1回だけ発生する費用。0円の製品と、2万円から5万円程度を設定している製品に分かれます。回線とセットで契約するタイプでは、工事費という名目で発生することもあります。
  • 初期設定・キッティングの費用:端末の設定を代行してもらう場合の費用。自社で行えば無料ですが、その分の工数が担当者にかかります。
  • 運用代行・オプションの費用:夜間や休日のロック・ワイプ代行、紛失時のサポート、Webフィルタリングなどは、基本料金に含まれず月額のオプションになっている製品があります。

見落とされやすいのが4番目です。基本料金の安さで選んだ結果、必要な機能がすべてオプションで、合計すると他社より高くなるという事態が起こり得ます。紛失時のサポートを重視するなら、その分の費用を含めた金額で比べる必要があります。

見積りを比べるときに揃える条件

複数社から見積りを取るときは、前提を揃えないと金額を比較できません。最低限、次の3点は共通の条件として伝えます。

台数は、現在の貸与台数だけでなく、1〜2年後の見込みも含めて伝えます。製品によっては最低契約台数が設定されており、10台や5ライセンスといった下限に満たないと契約できません。逆に台数が増えると単価が下がる製品もあります。

OS構成は、iPhone・Android・Windows・Macそれぞれの台数を伝えます。Windowsだけ単価が高く設定されている製品や、そもそもPCを管理対象外としている製品があるためです。

課金の単位も揃えます。1台あたりで課金する製品、1ユーザーあたりで課金する製品、端末数の枠でまとめて課金する製品が混在しており、単価だけを並べても比較になりません。月額の基本料を別に取る製品や、米ドル建てで見積もりが出る製品もあります。

契約期間は、月単位で解約できるのか、1年契約が前提なのかを確認します。年契約が前提の製品では、試験導入の位置づけで契約すると解約時期まで拘束されます。無料トライアルの有無と期間もここで押さえておきます。

MDMの選び方

ここからは、比較表を見る前に自社の要件を言語化するための確認軸を示します。前半で見た管理業務とリスクのうち、どれを仕組みに寄せたいかで優先順位が決まります。

管理したい端末の範囲はどこまでか

最初に決めるのは、スマートフォンとタブレットだけを管理するのか、PCやMacまで1つの台帳にまとめるのかです。この選択で候補となる製品群が変わります。

スマホだけでよいなら、MDMを専業とする製品のほうが単価が低く、設定項目も絞られていて扱いやすくなります。PCの資産管理も別ツールで回している場合、無理に統合しないほうが移行の負担は小さく済みます。

一方、PCの台帳が同じく手作業で回っていて、ソフトウェアのライセンス管理やパッチ適用も課題になっているなら、両方を1つの管理画面にまとめられる製品を選ぶ意味があります。棚卸しの作業が1回で済み、退職時の確認も端末の種類を問わず1画面で完結します。

スマートフォンだけでなく、PCやサーバー、ソフトウェアのライセンスまで含めてIT資産全体を台帳で管理したい場合は、対象範囲別の選び方と課金モデル別の料金相場を整理した以下の記事もあわせてご覧ください。

対応OSと管理方式が自社の端末に合うか

iPhoneとAndroidが混在している職場では、両方に対応していることに加えて、それぞれの管理方式に対応しているかを確認します。具体的には、ABM(Apple Business Manager)を使った自動デバイス登録と、AndroidのAndroid Enterpriseへの対応です。

この2つに対応していないと、前述したゼロタッチ導入や強い制限の適用ができません。すでに配ってしまった端末をこの方式に載せ替えられるかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。

回線契約とセットか、キャリアを問わず使えるか

キャリアが提供するMDMは、法人携帯の契約と同じ窓口で申し込めるという利点があります。請求もまとめられるため、総務部門の手続きは簡素になります。

気をつけたいのは、他社回線の端末やWi-Fi専用のタブレットも管理対象にできるかという点です。複数のキャリアが混在している職場や、回線契約のない端末がある職場では、この制約が後から効いてきます。製品によっては他社回線に対応するプランを別に用意しているため、契約前に確認しておきます。

キッティング・運用代行まで頼めるか

情報システムの専任者がいない、あるいは総務が兼任している体制では、ツールを入れても設定と運用が回りません。初期設定の代行や、紛失時のロック・ワイプ操作の代行を提供している製品が候補になります。

特に確認したいのが、夜間・休日の対応です。紛失は営業時間内に起きるとは限らず、管理者が対応できない時間帯に連絡が入ったときにどうするかを決めておく必要があります。24時間365日でロックとワイプを代行するオプションを持つ製品なら、この空白を埋められます。

導入をどう進めるか(要件を絞る→試験導入→横並びで比べる)

要件を洗い出す段階では、機能を並べるよりも「これができなければ導入する意味がない」という条件に絞ります。前半で挙げた管理業務のうち、どれが最も負担になっているかを起点にすると絞りやすくなります。

候補が2〜3製品に絞れたら、無料トライアルで実際の端末に入れて試します。確認すべきなのはカタログの機能一覧ではなく、自社で使っている業務アプリが問題なく配布・起動できるか、設定が全端末に確実に反映されるかという点です。

試験導入の結果が揃ってから、見積りを横並びで比較します。この順番にすると、価格だけで決めて要件を満たせなかった、という失敗を避けられます。

台帳の整備とMDMの導入はどちらが先か、という点もよく迷うところです。結論としては、台帳を完璧にしてから導入する必要はありません。MDMを入れれば機種名・OSバージョン・インストール済みアプリは自動で埋まるため、先に揃えておくべきなのは「誰にどの端末を渡しているか」という会社側しか分からない情報だけです。

数十台規模で情報システムの専任者がいない場合、進め方の目安は次のようになります。まず利用者と端末の対応表を作り、あわせて必要な機能を3つ程度に絞ります。次に候補を2〜3製品に絞ってトライアルを申し込み、自社の業務アプリで検証します。導入を決めたら、利用ルールと会社が取得する情報の範囲を文書にして周知し、端末への適用は機種変更や新規貸与のタイミングから順に広げていきます。

すでに稼働している端末を一斉に切り替えようとすると、初期化や再設定で現場の業務を止めることになります。急ぐ理由がなければ、段階的に移行するほうが結果的に早く落ち着きます。

30秒で終わる法人スマホ管理ツールの選定診断

ここまでの確認軸を踏まえて、自社に合う製品のタイプを絞り込める診断ツールを用意しました。管理したい範囲・OS構成・紛失時の対応体制・回線契約について答えると、候補が表示されます。

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【比較表】法人スマホ管理に使えるMDM・UEM21製品の比較

ここからは、法人スマホの管理に使える21製品を、管理できる範囲と調達の仕方で3つのタイプに分けて比較します。料金・対応OS・最低契約台数など、選定に直結する項目を横並びにしました。

記載している料金は各社の公式サイトで公開されている2026年8月時点の情報です。公開されていない製品については「要お問い合わせ」としています。

スマホ・タブレットのセキュリティ対策に強いタイプ

貸与端末のリスクを下げることを主目的にした製品群です。紛失時の遠隔ロックやデータ消去、アプリの制限、私的利用の抑制に必要な機能が揃っており、単価も抑えられています。

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サービス名OPTiM BizCLOMO MDMmobiconnectSPPM 3.0FiT SDMBizMobile Go!MDM MODEMFENCE-Mobile RemoteManagerJamf ProSOTI MobiControl
対応OSiOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
tvOS
iOS
Android
iOS・iPadOS
Android
Windows
iOS・iPadOS
macOS・tvOS
(Apple製品のみ)
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
Linux
料金(課金単位ごと)月額300円
(Windows・macOSは500円)
月額300円(税抜)
+基本利用料 月額2,100円
年額1,980円〜3,300円
(プランにより変動)
月額330円月額300円
(Windowsは500円。年額契約は3,300円)
月額300円(税込330円)月額150円〜300円
(プランにより変動)
月額300円
(Light版は100円)
要お問い合わせ要お問い合わせ
初期費用45,000円19,800円(税抜)33,000円0円50,000円0円20,000円0円要お問い合わせ要お問い合わせ
最低契約台数1台から5ライセンス要お問い合わせ1台から要お問い合わせ10台要お問い合わせ10台
(1年契約)
要お問い合わせ要お問い合わせ
ABM/Android Enterprise 対応●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterpriseに対応(Android Enterprise Recommended 取得)●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterpriseに対応△Android Enterpriseに対応(ABMは公式に記載なし)●ABM・Android Enterpriseに対応要お問い合わせ
(VPP配信に対応。ABM・Android Enterpriseの記載なし)
●ABM・Android Enterprise・Windows Autopilotに対応△ABMに対応(Androidは管理対象外)●ABM・Android Enterpriseに対応(Gold Partner認定)
回線契約の要否不要不要不要不要(他社回線・Wi-Fi専用端末も可)不要不要不要不要不要不要
PCのIT資産台帳(ソフト・ライセンス管理)×IT資産管理は上位のPremium×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ×PCは管理対象外×端末情報の収集のみ△Macのみ(ハード・ソフト情報を自動収集)×端末情報の収集のみ
夜間・休日のロック/ワイプ代行●有償オプション 月額200円/台(24時間対応)要お問い合わせ要お問い合わせ
(運用代行メニューあり)
●電話でオペレーターが代行(24時間365日)●おまかせロック・ワイプ(24時間365日・料金は要問い合わせ)要お問い合わせ●レスキューコール(365日24時間・別途申込み)●運用代行 月額20円/台(24時間365日)要お問い合わせ要お問い合わせ
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

PC・Macまで同じ画面で管理できるタイプ

スマートフォンだけでなく、WindowsやMacまで同じ管理画面で扱える製品群です。ただしPCの資産台帳づくり(インベントリの自動収集やソフトウェアのライセンス管理)まで備えるかは製品によって分かれます。端末を管理できることと、資産として台帳化できることは別なので、下の表ではこの2つを分けて示しました。

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サービス名Microsoft IntuneManageEngine Endpoint CentralLANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版AssetView MDMJumpCloudOmnissa Workspace ONE UEMIvanti Neurons for MDM
対応OSiOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
Linux・ChromeOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
Linux・ChromeOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
Linux
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
Linux・ChromeOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
ChromeOS ほか
料金(課金単位ごと)1ユーザー月額8米ドル
(Plan 1・年間契約)
50台/年 218,000円〜(Enterprise)
遠隔ワイプ・位置情報は UEM 50台/年 332,000円〜
プランⅡ 1台/年 3,600円〜(月額換算300円、税抜)
プランⅠ 1台/年 1,200円〜
※初期費用とセット
要お問い合わせ1ユーザー月額5米ドル〜
(デバイス管理・年払い)
要お問い合わせ要お問い合わせ
初期費用要お問い合わせ0円
(年額ライセンス料のみ)
プランⅠ 6,800円/台
プランⅡ 30,000円/社
※ライセンス単価とセット
要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
最低契約台数要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
ABM/Android Enterprise 対応●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterpriseに対応(登録手順は公式ナレッジベースに記載)●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterpriseに対応●ABM・Android Enterprise・Windows Autopilotに対応
回線契約の要否不要不要不要不要不要不要不要
PCのIT資産台帳(ソフト・ライセンス管理)×端末情報の収集のみ●資産台帳の自動作成・ライセンスの過不足表示●IT資産台帳の自動作成△AssetView本体のIT資産管理モジュール●IT資産管理(ITAM)機能を搭載×端末情報の収集のみ×IT資産管理は別製品(Neurons for ITAM)
夜間・休日のロック/ワイプ代行要お問い合わせ要お問い合わせ●紛失サポート 月額150円/台(24時間365日)要お問い合わせ
(窓口は平日9:00〜17:00)
要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
詳細情報サービス詳細サービス詳細公式サイトサービス詳細サービス詳細を見る公式サイト公式サイト

回線とまとめて相談できる通信キャリア系タイプ

通信キャリアやその関連会社が提供する製品群です。法人携帯の契約と同じ窓口で相談でき、キッティングや障害対応まで委託しやすいという特徴があります。ただし、この4製品のすべてが自社回線の契約を必須にしているわけではありません。他社回線の端末やWi-Fi専用端末も対象にできる製品が含まれるため、下の表では回線契約の要否を製品ごとに示しました。

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サービス名あんしんマネージャーNEXTKDDI Smart Mobile Safety Managerビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)スマートデバイスマネジメント
対応OSiOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
auケータイ(4G LTE)
iOS・iPadOS
Android
Windows・macOS
4Gケータイ
iOS
Android
Windows
料金(課金単位ごと)月額275円(税込)
(税抜250円)
月額330円(税込)
(auケータイは110円)
1IDあたり月額300円(税抜)
(PCは400円、4Gケータイは100円)
月額330円
(1ライセンス=1端末)
初期費用要お問い合わせ要お問い合わせ0円7,700円
(工事費)
最低契約台数要お問い合わせ要お問い合わせ1IDから要お問い合わせ
ABM/Android Enterprise 対応要お問い合わせ
(公式一次情報での明記なし)
●ABM・Android Enterpriseに対応△Android Enterpriseに対応(ABMは公式に記載なし)△ABMに対応(Android Enterpriseは公式に記載なし)
回線契約の要否不要(他社回線・Wi-Fi専用端末も可)要お問い合わせ
(他社回線での可否は公式に記載なし)
要お問い合わせ
(Androidはソフトバンク版・ワイモバイル版で動作確認)
不要(インターネット接続環境があれば利用可)
PCのIT資産台帳(ソフト・ライセンス管理)×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ×端末情報の収集のみ
夜間・休日のロック/ワイプ代行要お問い合わせ
(紛失サポート付きプラン「ライトNEXT」あり)
要お問い合わせ
(遠隔管理サポートは有償オプション。窓口は9:00〜18:00)
要お問い合わせ
(紛失時リカバリーは月額200円/ID。対応時間の記載なし)
要お問い合わせ
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※各サービスの公式サイト情報をもとに2026年8月時点で作成。料金・機能は変更される場合があるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

法人スマホ管理におすすめのMDM・UEM21選

ここからは、比較表で挙げた各製品を個別に見ていきます。機能・料金・対応OSに加えて、どんな状況の企業に向くのかを添えました。

スマホ・タブレットのセキュリティ対策に強いタイプ

まずは、スマートフォンとタブレットの管理に的を絞った製品からです。国内のMDM専業ベンダーが中心で、単価と機能のバランスが取りやすい領域になります。

1. OPTiM Biz(株式会社オプティム)

OPTiM Bizのウェブサイト

株式会社オプティムが開発するMDMで、Android・iOS・iPadOS・Windows・macOSを1つの管理画面から扱えます。遠隔ロックとデータ消去、アプリの配信と利用制限、位置情報の取得、初期設定の自動化までを標準機能として備えています。

料金は初期費用45,000円に加え、Android・iOS・iPadOSが月額300円/台、Windows・macOSが月額500円/台という構成です(2026年8月時点)。最低契約台数の制限がなく1台から利用でき、最大30日間の無料トライアルも用意されています。

製品名は2024年に「Optimal Biz」から「OPTiM Biz」へ変更されており、本記事の後半で紹介するKDDIとNTT東日本の製品は、いずれもこのMDMをエンジンとして採用しています。

夜間・休日のロックやワイプの操作を代行してもらうオプションも、月額200円/台(税抜)で用意されています。専任スタッフが24時間365日待機し、利用者からの電話を受けて遠隔処理を行う仕組みです。

市場シェアについては、公式サイトに、富士キメラ総研が2025年10月に発刊したモバイルセキュリティ管理ツール市場のベンダーシェア調査と、デロイト トーマツ ミック経済研究所が2025年9月に発行した「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2025年版」における2024年度のMDM出荷ID数の調査で、それぞれ1位である旨が記載されています。

2. CLOMO MDM(株式会社アイキューブドシステムズ)

CLOMO MDMのウェブサイト

2010年から提供されている国産のMDMで、iOS・iPadOS・macOS・Android・Windows 11に対応します。導入法人数は10,000社を超えています(2026年3月末時点)。

費用は初期19,800円、月額の基本利用料2,100円に、1台あたり月額300円を加える形です(いずれも税抜、2026年8月時点)。契約は5ライセンスからで、以降は1台単位で追加できます。教育機関・官公庁向けには最大40%引きのライセンスも設けられています。

デロイト トーマツ ミック経済研究所の「MDM自社ブランド市場」調査(出荷金額ベース)で、2011年度から2025年度まで15年連続で1位だったと公式に発表されています(2025年度は出荷金額予測を含み、シェアの数値そのものは公表されていません)。NTTドコモの「あんしんマネージャーNEXT」も、この製品を基盤にドコモが独自の調整を加えたものです。

3. mobiconnect(インヴェンティット株式会社)

mobiconnect(モビコネクト)の公式サイトのトップページ。「デバイス管理の“できない”を“もっとできる”に変えるMDM」の見出しと、端末の位置情報を表示するイメージ画像が並ぶ。

課金が年額単位になっているMDMです。1台あたりエントリープラン1,980円、ベーシックプラン2,640円、スタンダードプラン3,300円で、初期費用は33,000円です(2026年8月時点)。年度単位で予算を組む企業にとっては費用を見積もりやすい形といえます。

提供元はインヴェンティット株式会社で、iOS・Android・Windows・macOSに対応します。遠隔ロックとリモートワイプ、位置情報の取得、Managed Google Playを使ったアプリのホワイトリスト運用、ADEやゼロタッチ登録によるキッティングの自動化を扱えます。

注意しておきたいのは問い合わせ窓口で、公式FAQでは電話サポートを提供していない旨が案内されており、メールとオンライン相談が基本になります。緊急時に電話で相談したい場合は、ここが判断の分かれ目です。無料トライアルは30日間用意されています。

4. SPPM 3.0(株式会社AXSEED)

SPPM 3.0のウェブサイト

端末を紛失した際に、指定の電話番号へ連絡するとオペレーターがロックやデータ消去を代行します。管理者が管理画面を開けない時間帯や、担当者が1人しかいない体制では、この代行の有無が実務上の差になります。

提供元はソフトバンク株式会社が100%出資する株式会社AXSEEDで、料金は初期費用0円・1台あたり月額330円、1台から初月無償で始められます(2026年8月時点)。ID管理やウイルス対策、Webフィルタリングは別モジュールとして必要な分だけ追加する形です。

対応OSはAndroid・iOS/iPadOS・Windows・Macです。公式FAQでは通信キャリアの縛りがなく、回線契約のないWi-Fi専用端末も利用できると案内されているため、社用スマホと共用タブレットが混在していても管理先を分けずに済みます。

5. FiT SDM(株式会社アイ・エス・ビー)

FiT SDMのウェブサイト

東京証券取引所プライム市場に上場する株式会社アイ・エス・ビーが自社開発するMDMで、2024年9月に「VECTANT SDM」から現在の名称へ変わりました。Android・iPhone/iPad・Windows・Macの4系統を管理対象にできます。

初期費用は50,000円、月額契約は1IDあたり300円(Windowsのみ500円)、年額契約なら3,300円(Windowsは5,500円)です(2026年8月時点)。機能ごとの上位・下位プランを設けず、基本機能を1つの料金に統合しているため、プラン選びで迷う場面が少なくなります。

夜間や休日の紛失に備えて、ISB側がロックとワイプを代行する「おまかせロック・ワイプ」を24時間365日のオプションとして提供しています(料金は要お問い合わせ)。標準の問い合わせ窓口は平日10:00〜17:30です。Googleの認定制度であるAndroid Enterprise Recommendedも2024年2月に取得しています。

6. BizMobile Go!(IoT-EX株式会社)

BizMobile Go!のウェブサイト

課金の考え方に特色があり、MDMサーバーと通信が発生した端末だけが課金の対象になります。電源を切って在庫として置いている端末や、ネットワークにつないでいない端末には費用がかかりません。

自社直販の「BizMobile Go! Direct」は初期費用0円・月額固定費0円で、1台あたり月額300円(税込330円)、最低利用台数は10台です(2026年8月時点)。無料トライアルは60日間と長めで、試用中の設定はそのまま本契約に引き継げます。

機能面の核はジオフェンスで、Google Maps上に設定したエリアの出入りに応じてアプリや端末機能を自動で切り替える特許技術を持ちます。拠点や現場ごとに使わせる範囲を変えたい建設・小売・運送などで使い道があります。対応OSはiOS/iPadOS・Android・Windows・macOS・tvOSです。

7. MDM MODEM(株式会社AscentNetworks)

MDM MODEMのウェブサイト

1台あたり月額150円のLite Planから始められる、低価格帯のプランを持つ製品です。Standard Planが200円、アプリ管理とファイル管理まで含むEnterprise Planが300円で、初期費用は20,000円です(2026年8月時点)。契約は1年単位で、満了1か月前までに申し出がなければ自動更新されます。

提供するのは株式会社AscentNetworksで、管理対象はiOSとAndroidに限られ、WindowsやMacは対象外です。スマホとタブレットだけを低コストで押さえたい企業には候補になりますが、PCも同じ画面で見たい場合は別の製品を検討することになります。

デバイス管理に加え、社内アプリの配布や20GBのストレージを使ったファイル配信も同じ基盤で扱えます。紛失・盗難時には、従業員が直接オペレーターへ連絡してロックや初期化を代行してもらう「レスキューコール」(365日24時間、別途申込み)も用意されています。

8. FENCE-Mobile RemoteManager(富士通株式会社)

FENCE-Mobile RemoteManagerのウェブサイト

料金の刻みが細かく、全機能を使う標準版が1台あたり月額300円、紛失・盗難対策の機能だけに絞ったLight版が月額100円です(2026年8月時点)。初期費用はかからず、契約条件は10台以上・1年間となっています。

提供するのは富士通株式会社で、2011年から続くサービスです。Android・iOS/iPadOS・Windowsを対象に、遠隔でのロックと初期化、位置情報の把握、脱獄やroot化した端末の検知、ADEやWindows Autopilotによる一括セットアップに対応します。

紛失・盗難時の一次対応を24時間365日代行するオプションも、1台あたり月額20円の追加で利用できます。まずは紛失対策だけを最小構成で始め、必要になってから機能を広げる、という進め方が取りやすい料金設計です。無料トライアルは30日間です。

9. Jamf Pro(Jamf Japan合同会社)

Jamf Proのウェブサイト

管理対象をAppleデバイスに絞った製品です。Jamf Pro が扱うのは Mac・iPhone・iPad・Apple TV で、AndroidとWindowsの端末は対象外となっており、支給端末をiPhoneとiPadに統一している企業に向きます。

ただし提供元のJamfは2026年3月にAndroid Enterpriseの管理へ対応したと発表しており、別建ての「Jamf for Mobile」ではAndroidも管理対象に含まれます。iPhoneとAndroidが混在している場合は、Jamf Pro単体ではなくこちらの構成で見積もれるかを確認してください。

Apple Business Managerと連携したゼロタッチ導入により、端末を開封してネットワークにつなぐだけで設定とアプリの配布が終わります。宣言型デバイス管理による構成の一括適用、リモートロックやワイプ、パスコードの初期化も管理画面から実行できます。

料金は公式サイトでは非公開で、代理店または販売代理店への問い合わせが案内されています(2026年8月時点)。無料トライアルはクレジットカードの登録なしで申し込め、サポートは日本語を含む複数言語に対応し、日本語の電話窓口も設けられています。

10. SOTI MobiControl(SOTI Inc.)

SOTI MobiControlのウェブサイト

スマートフォンやPCに加えて、ハンディターミナルやキオスク端末といった業務用の堅牢デバイスまで同じ画面で管理できます。Zebra・京セラ・SATO・パナソニックなど業務用端末のメーカーとの提携があり、小売・物流・製造の現場を抱える企業に向いた構成です。

対応OSはAndroid・iOS/iPadOS・macOS・Windows・Linuxで、遠隔ロックとワイプ、位置情報に応じたポリシーの適用、ホーム画面を業務用に置き換えるキオスクモードを備えます。Android Enterpriseでは Gold Partner と Recommended の認定を保有しています。

料金は公開されておらず、デモや営業窓口を通じた見積もりが前提です(2026年8月時点)。無料トライアルは30日間・最大25台まで利用できます。国内窓口は日本法人のSOTI Japan株式会社が担い、上位のサポート契約では日本語を含む7言語で24時間365日の対応とSLAが定められています。

PC・Macまで同じ画面で管理できるタイプ

続いて、PCやMacまで管理対象に含められる製品です。スマホの管理をきっかけにIT資産の台帳そのものを整理し直したい場合は、端末を管理できるかだけでなく、資産台帳とソフトウェア管理まで備えるかを確かめてください。

11. Microsoft Intune(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Intuneの公式サイト

Microsoft 365 の E3・E5 に含まれるクラウド型のエンドポイント管理サービスです。Windows・macOS・iOS/iPadOS・Androidに加えてLinuxやChromeOSも管理でき、すでにE3・E5を契約している企業は追加のライセンス購入なしにIntune Plan 1を使えます。

紛失時にはリモートロック、工場出荷時状態へのワイプ、会社のデータと設定だけを消す破棄、iOS/iPadOSの紛失モードといった操作を使い分けられ、最大100台へまとめて実行することもできます。私物端末には、業務アプリとその中のデータだけを管理する仕組み(MAM)を適用し、個人のデータに触れずに会社データだけを消す運用も選べます。

単体で契約するIntune Plan 1は、英語版の公式価格ページで1ユーザーあたり月額8米ドル(年間契約)と示されています。日本語版ページには円建ての単体価格の記載がなく(2026年8月時点)、Microsoft 365 E3(Teamsあり)は1ユーザーあたり月額5,847円です。30日間の無料試用版が用意されています。

12. ManageEngine Endpoint Central(ゾーホージャパン株式会社)

ManageEngine Endpoint Centralの公式サイト

ZohoグループのManageEngineブランドが提供する統合エンドポイント管理ソフトで、国内はゾーホージャパン株式会社が扱っています。Windows・macOS・LinuxとiOS/iPadOS・Android・ChromeOSを1つのコンソールで管理でき、クラウド版の Endpoint Central Cloud とオンプレミス版から選べます。

クラウド版は年間ライセンス料が公式サイトで公開されており、Enterprise Editionが50エンドポイントで年額218,000円、100エンドポイントで334,000円、1,000エンドポイントで2,004,000円です(2026年8月時点)。位置情報の取得とリモートワイプは上位のUEM Edition以上に含まれる機能で、こちらは50エンドポイントで年額332,000円です。

コンピューターとモバイル端末をあわせて25台までの無料版があり、上限内であれば期限なく使えます。PC側ではIT資産台帳の自動作成、ソフトウェアライセンスの過不足の表示、1,100種類以上のサードパーティ製アプリを対象にしたパッチ配布に対応します。ただしオンプレミス版では、日本法人のサポート対象がEnterprise Editionに限られます。

13. LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版(エムオーテックス株式会社)

LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版の公式サイト

PCとスマートフォン・タブレットを1つのクラウド管理画面でまとめて扱い、ハードウェアや設定の情報を自動で集めてIT資産台帳を作れるサービスです。エムオーテックス株式会社が2012年から提供し、導入社数は20,000社以上(2026年7月時点、累計)と公式サイトに記載されています。

料金は初期費用とライセンス単価がセットになった2つのプランから選びます。プランⅠは登録料6,800円/台+ライセンス年額1,200円/台(ライトA)、プランⅡは初期費用30,000円/社+年額3,600円/台(同、月額換算300円)です(いずれも税抜、2026年8月時点)。

Windows・macOSの全機能が使えるベーシックは、プランⅠが年額3,600円/台、プランⅡが年額6,000円/台です。少台数ならプランⅠ、台数が多いならプランⅡが有利になるため、導入台数を決めてから見積もりを取ってください。60日間・10台までの無料トライアルがあり、本番環境へデータを引き継げます。

スマホ側はリモートロック・ワイプや位置情報の取得に対応し、Apple Business ManagerとAndroid Enterpriseによる自動登録とアプリ配信も行えます。ただし24時間365日の紛失サポート(月額150円/台)やVPPアプリ配信(同100円/台)は追加オプションで、表示価格だけでは総額を見積もれません。最低契約台数と契約期間は公式サイトに記載がありません。

14. AssetView MDM(株式会社ハンモック)

AssetView MDMの公式サイト

株式会社ハンモックのIT資産管理ソフト「AssetView」に含まれるMDMのモジュールです。iOS/iPadOS・Android・Windowsを同じ管理画面から扱い、必要な機能を必要なライセンス数だけ選んで導入する形をとります。

リモートロックとリモートワイプ、パスコードのリセット、位置情報の取得、Wi-FiやVPNのプロファイル配布に対応し、Apple Business ManagerとAndroid Enterpriseも利用できます。初期設定は二次元バーコードの読み取りで進められ、iOS/iPadOSでは紛失モードの設定やWebコンテンツのフィルタも行えます。

管理コンソールは管理者ごとに権限を分けられるため、部門や拠点の単位で運用を任せる構成をとれます。公式サイトにはパナソニックや山形市役所などの導入事例が掲載されています。料金は公開されておらず、MDM機能だけを単体で契約できるかも公式サイトでは確認できないため、いずれも問い合わせが必要です。

15. JumpCloud(JumpCloud, Inc.)

JumpCloudの公式サイト

MDM専業の製品ではなく、社員のID管理・シングルサインオン・多要素認証とデバイス管理を1つのコンソールにまとめたプラットフォームです。Windows・macOS・LinuxとiOS/iPadOS・Androidを横断して管理でき、退職や異動の際にアカウントの停止と端末の操作を同じ画面で進められます。

iOS/iPadOSではApple Business Managerと直接連携し、VPPストアからのアプリ配布と、遠隔でのロック・再起動・データ消去に対応します。Androidは、会社支給・私物・会社支給での個人利用併用・完全管理・用途を限定した専用デバイスという5つの利用形態をカバーし、仕事用と個人用のデータを分けられます。

料金は公式サイトに米ドル建てで公開されており、デバイス管理だけを個別に追加する場合は1ユーザーあたり月額5ドル(年払い)から、デバイス管理のパッケージは同9ドルからです。30日間の無料トライアルがあります。日本法人は無く、国内は代理店経由での円建て見積もりになります(2026年8月時点)。

16. Omnissa Workspace ONE UEM(Omnissa Japan合同会社)

Omnissa Workspace ONE UEMのウェブサイト

旧称はVMware Workspace ONE UEMで、2024年7月にVMwareのエンドユーザーコンピューティング事業がOmnissaとして独立したのに伴い現在の名称になりました。国内では日本法人のOmnissa Japan合同会社が事業を担い、販売と導入支援は正規代理店が窓口です。KDDIが自社ブランドで提供する「KDDI EMM」も本製品をもとにしたサービスです。

Windows・macOS・iOS/iPadOS・Androidに加えて、Linux(Ubuntu・RHEL・SUSEなど)やChromeOSまで1つのコンソールで扱えます。デスクトップやスマートフォンだけでなく、現場で使う堅牢端末やサーバー、特殊なデバイスも管理の対象に含まれます。

機能面ではリモートロック・ワイプ、アプリカタログの配布、業務コンテンツやメールの管理、Apple Business ManagerとAndroid Enterpriseを使ったゼロタッチ導入に対応します。料金は公式サイトに掲載がなく、国内では代理店からの個別見積もりになります(2026年8月時点)。

17. Ivanti Neurons for MDM(Ivanti, Inc.)

Ivanti Neurons for MDMのウェブサイト

スマートフォンやタブレットに加えて、Zebraなどの堅牢端末やHoloLens・Oculusといったウェアラブル・XRデバイスまで同じコンソールで管理できるクラウド型のMDM/UEMです。前身はMobileIron Cloudで、2020年12月のIvantiによる買収を経て現在の製品名になりました。

対応OSはAndroid・iOS/iPadOS・macOS・Windows・ChromeOSにtvOS・watchOS・visionOSを加えた構成です。Apple Business Manager・Android Enterprise・Windows Autopilotによる自動登録に対応し、リモートロックやワイプ、私物端末で業務データだけを消す選択的ワイプも行えます。

国内は日立ソリューションズやマクニカネットワークスが2013年から取り扱っており、日本語での問い合わせ窓口があります。料金は公式サイト・国内代理店ともに非公開で、個別の見積もりになります(2026年8月時点)。無料トライアルの有無も公式の製品ページには記載がありません。

回線とまとめて相談できる通信キャリア系タイプ

最後に、通信キャリア系の製品です。導入時の設定や運用の相談窓口を法人携帯と一本化しやすい一方で、自社回線の契約が前提かどうかは製品によって違います。ここが選定の分かれ目になるため、各製品でその点を先に示します。

18. あんしんマネージャーNEXT(株式会社NTTドコモ)

あんしんマネージャーNEXT

2022年9月に提供が始まったMDMです。開発はNTTドコモ、法人向けの契約窓口はNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)が担っています。基盤には国産MDMのCLOMO MDM(株式会社アイキューブドシステムズ)が採用されており、本記事で別に取り上げている製品と同じエンジンで動きます。

ドコモ回線の契約は前提ではありません。提供開始時の発表では、ドコモの回線だけでなく他の携帯電話事業者の回線やWi-Fiのみで利用する端末も一元管理できると明記されており、他社回線・Wi-Fi専用端末向けに「キャリアフリープラン」が用意されています(2022年9月29日 NTTドコモ報道発表)。

料金は1台あたり月額275円(税込、税抜250円)で、初回契約後31日間は無料です。初期費用と最低契約台数は公式サイトに記載がなく、問い合わせが必要になります。対応OSはiOS・iPadOS・macOS・Android・Windowsです(2026年8月時点)。

19. KDDI Smart Mobile Safety Manager(KDDI株式会社)

KDDI Smart Mobile Safety Manager

スマートフォン・タブレット・PC・auケータイ(4G LTE)を一元管理するMDMで、KDDIが自社ブランドで提供しています。MDMエンジンは株式会社オプティムのOptimal BizをOEMで採用しています。導入実績は公式サイトに1万社以上・250万台以上と記載されています(時点の表記はありません)。

機能面で特徴的なのがZone Managementです。時間帯・位置情報・接続しているネットワークに応じてセキュリティポリシーを自動で切り替えられるため、社内と社外で端末の制限を変える運用ができます。Android Enterpriseのゼロタッチ登録とApple Business Managerによるキッティングにも対応します。

料金は基本プランが1台あたり月額330円(税込)、auケータイ(4G LTE)向けプランが110円(税込)です。開通月の月額料金は無料で、3週間の無料トライアルがあります。基本プランを他キャリアの端末で利用できるかは公式サイト上で明記が確認できないため、au以外の回線で使う予定なら申し込み前に確認してください(2026年8月時点)。

20. ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント/BCDM(ソフトバンク株式会社)

ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)

ソフトバンクのクラウド型MDMで、iPhone・iPad・Android端末に加えて、Windows PC・Mac・4Gケータイまで同じ管理画面で扱えます。料金はID単位で、iOS・Androidが月額300円、4Gケータイが100円、Windows・Mac PCが400円(いずれも税抜)。初期費用は無料、最低1IDから、最低利用期間は1か月です。

2022年6月30日には、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストにMDM区分で登録されました(ソフトバンク 2022年6月30日ニュースリリース)。調達の要件に同制度への登録を求められる組織にとっては、そのまま判断材料になります。

他社回線の端末で使えるかは、公式サイトに可否いずれの記載も見当たりません。動作確認デバイスの一覧では、Androidが「ソフトバンク版、ワイモバイル版」と表記されています。

紛失・盗難に備える「紛失時リカバリーサービス」は月額200円/ID(iOS・Android、税抜)のオプションです。遠隔ロック・遠隔消去がどこまで基本料金に含まれるかは公式サイトに明示がないため、この2点は申し込み前の確認事項になります(2026年8月時点)。

21. スマートデバイスマネジメント(東日本電信電話株式会社)

スマートデバイスマネジメント

NTT東日本が2015年3月から提供しているクラウド型MDMです。MDMエンジンには株式会社オプティムのOptimal Bizを採用しており、前掲のKDDIの製品と同じエンジンをベースにしています。対応OSはiOS・Android・Windowsです。

機能は、業務外アプリやカメラの制限、USBなど外部記憶媒体の禁止設定、紛失時のリモートロック/リモートワイプ、root化・Jailbreakの検知、位置情報の履歴確認などです。料金は公式ページに明示されており、初回契約時の工事費7,700円と1ライセンスあたり月額330円が基本で、ウイルス対策などのオプションは月額110〜165円です。

回線契約は前提ではなく、料金ページには「インターネットに接続できる環境であればどなたでもご利用可能です」と記載されています。ただし提供元は事業区域を東日本エリア(1都16県)とする地域会社であり、エリア外の企業が契約できるかは公式サイトでは確認できません。西日本の拠点で使う場合は申し込み前に確認が必要です(2026年8月時点)。

複数のMDMや台帳のデータをまとめて一元管理するツール

ここで紹介するのは、比較表に挙げた21製品とは役割が異なる製品です。端末を遠隔で操作するMDMそのものではなく、MDMや各種の台帳からデータを取り込み、従業員単位の台帳に集約する層にあたります。

部署ごとに別のMDMを使っている、あるいはPCとスマホで管理ツールが分かれているといった状況では、全体を一覧できる場所がありません。そこを埋めるのがこのタイプで、入社・退社にともなうアカウントと端末の処理を1か所で確認したい場合に効いてきます。遠隔でのロックやデータ消去は連携先のMDM側の機能であり、この層がMDMを置き換えるわけではない点は押さえておく必要があります。

マネーフォワード Admina(マネーフォワードi株式会社)

マネーフォワード Adminaのウェブサイト

マネーフォワードのグループ会社であるマネーフォワードi株式会社が提供するIT管理ツールです。SaaSのアカウントとITデバイスを従業員情報に紐づけて扱い、最大10種類のデバイス台帳を1つに集約したうえで、在庫・利用・故障・廃棄といったステータスを管理できます。

MDM連携はMicrosoft Intune、Jamf、LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版に対応し、MDM上の端末データを台帳へ取り込んで変更を自動反映します。ただし端末の遠隔ロックや初期化は連携先のMDM側の機能であり、AdminaがMDMを置き換えるものではありません。紛失時の遠隔操作を目的とするなら、MDMを別途用意する前提で検討します。

料金は2026年8月時点で、50ID以下が永年無料(クレジットカードの登録は必要)、51ID以上は1IDあたり月額300円(税別)です。IDはGoogle WorkspaceまたはMicrosoft 365の有効ID数で数えます。デバイス管理はDeviceプランへの申し込みが必要で、追加料金の有無やサポート体制は公式サイトに記載がないため、問い合わせでの確認が必要です。

マネーフォワード Adminaのように、SaaSのアカウントと端末を従業員単位で棚卸し・可視化するツールは複数あります。入社・退職にともなうアカウントの停止まで含めて比べたい場合は、以下の記事をご覧ください。

まとめ

法人スマホの管理は、台帳をつくり、棚卸しで実態と合わせ、紛失や退職といった場面ごとに手順を決めておく、という地道な作業の積み重ねです。台数が増えるとこれを人手で維持しきれなくなり、情報漏えいや使われていない回線費用という形で表面化します。

MDMが引き受けるのは、その中でも遅れが被害に直結する部分です。台帳の自動更新と紛失時の遠隔操作が中心で、回線の解約や現物の回収といった手続きは引き続き人が担います。この線引きを踏まえて要件を絞ると、製品選びの軸が定まります。

製品は、スマホとタブレットに的を絞ったタイプ、PC・Macまで同じ画面で管理できるタイプ、回線とまとめて相談できる通信キャリア系タイプの3つに大きく分かれます。管理したい端末の範囲と、社内に運用できる体制があるかどうかで、どのタイプから見るかが決まります。

この3タイプとは別に、複数のMDMや台帳のデータを取り込んで従業員単位の台帳に集約するツールもあります。MDMを置き換えるものではありませんが、部署ごとに管理ツールが分かれている場合は、MDMを入れたあとの選択肢として押さえておくと役に立ちます。

候補が絞れたら、無料トライアルで自社の業務アプリが問題なく動くかを確かめてから見積りを比べる、という順番で進めてください。比較表と選定診断ツールもあわせてご活用ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 法人スマホのMDMは何台から導入すべきですか?

A. 法人スマホのMDMは、台数そのものではなく管理の複雑さで導入時期を判断するのが実務的です。部署や端末のOSが混在し、設定を全端末に強制したい、遠隔で対応したいという要求が出てきた時点が検討の入口にあたります。台数の目安としては、数十台を超えたあたりから台帳の更新と初期設定を人手で回しきれなくなります。

少ない台数でも契約はできますが、製品によっては最低契約台数(10台、5ライセンスなど)が設定されているため、見積りの段階で自社の台数が条件を満たすかを確認しておきます。全社で一度に始めず、端末の多い部署から適用して運用が固まってから範囲を広げると、設定の見直しが小さく済みます。

Q. 法人スマホの管理は、Microsoft 365 や Google Workspace の標準機能だけでは足りませんか?

A. 業務アカウント側の管理画面でも、端末に発行済みのセッションを失効させて業務データへの入口を塞ぐところまでは対応できますが、端末そのものの設定強制・アプリ配布の制御・ゼロタッチ導入・資産台帳の自動作成には専用のMDMが要ります。紛失時に端末を遠隔で初期化したい、私的なアプリの導入を止めたいという要件があるなら、標準機能だけでは届きません。

ただしMicrosoft 365 の場合、E3・E5 のライセンスには Microsoft Intune(Plan 1)が含まれます。すでにE3・E5を契約している企業は、追加のライセンス購入なしにMDMを始められる可能性があるため、まず自社のプランに何が含まれているかを確認するのが早道です。

一方 Google Workspace の端末管理は、独立した製品として価格が設定されているものではなく、契約プランに付随する機能です。標準機能で足りるかどうかは、MDMの選び方で挙げた確認軸に自社の要件を当てはめて判断してください。

Q. 今使っているMDMから別の製品に乗り換えるとき、法人スマホの再キッティングは必要ですか?

A. 1台の端末に登録できるMDMは原則1つなので、旧製品の登録を解除して新製品に登録し直す工程は必ず発生します。加えて、Apple Business Manager や Android Enterprise の管理画面で、端末の割り当て先を新しい製品に変更する手続きも入ります。

現場での作業がどこまで必要かは、いまどの方式で登録しているかで変わります。会社所有として強く管理している端末(iPhone・iPadの監視対象、Androidのフルマネージド)は、その状態のまま新製品へ引き継げないため、初期化して再セットアップする流れになります。Androidの仕事用プロファイル方式であれば、プロファイルの入れ替えだけで済む場合もあります。

いずれの場合も全台を一斉に切り替えると現場の業務が止まるため、機種変更や故障交換のタイミングに合わせて順に移していくほうが落ち着きます。移行にかかる作業量は製品ごとの支援体制でも変わるので、乗り換え前提であることを伝えたうえで見積りを取るのが確実です。

Q. 法人スマホにMDMを入れると、従業員の端末操作は不便になりますか?

A. 使い勝手が落ちるかどうかは、製品の違いではなく会社が適用するポリシーの強さで決まります。カメラの禁止やアプリのインストール制限は日常の操作にそのまま効くため、必要のない制限まで一律にかけると現場から反発が出ます。

判断の余地がないものだけを設定で固定し、それ以外は運用ルールで示すという切り分けにすると、制限は最小限で収まります。私物端末では業務領域だけを管理する方式が主流で、個人の使い方には影響しません。

導入前のトライアルでは機能一覧を眺めるより、自社の業務アプリが制限下でも問題なく動くかを実機で確かめておくと、運用開始後の問い合わせを減らせます。

Q. キャリアやOSが混在していても、法人スマホを1つのMDMでまとめて管理できますか?

A. 主要なMDMはiPhoneとAndroidの両方に対応しており、契約キャリアが分かれていても1つの管理画面でまとめて扱えるのが一般的です。ただし製品ごとに制御できる範囲や配布方式に差があり、キャリアが提供するMDMでは他社回線の端末やWi-Fi専用のタブレットが対象外だったり、別のプランが必要だったりします。

OSごとに管理できる範囲が変わる点は「MDM(モバイルデバイス管理)とは」で解説しています。問い合わせの際は、自社のOS構成とキャリアの内訳、回線契約のない端末の有無をそのまま伝えて、すべて管理対象にできるかを確認しておきます。

Q. 法人スマホが電源オフや圏外の状態でも、遠隔ロックやデータ消去はできますか?

A. オフラインの端末には命令が届かないため即時には実行されず、端末がオンラインに戻った時点で処理されます。紛失時にMDMの操作と並行して回線停止とパスワード変更を進めるのは、この空白を埋めるためです(手順は「ケース別に見る法人スマホの対応手順」にまとめています)。

内閣官房国家サイバー統括室の手引書は、パスワードの入力失敗が続いたときに端末側でデータを消す機能の併用を勧めています。この機能を持つかどうかは、候補製品への確認項目に入れておきましょう。

Q. 法人スマホにMDMを入れると、従業員のプライバシーを侵害することになりませんか?

A. 会社が貸与する端末であっても、取得する情報と実施する措置を業務上の目的の範囲に限って明示し、事前に本人の合意を得ておくことが前提になります。位置情報やアプリの利用状況の収集について、内閣官房国家サイバー統括室の手引書も利用者の事前合意を必須としています。

何を取得し、どんなときにロックやデータ消去を行うかを文書に落として貸与時に説明する具体的な進め方は、「法人スマホの運用ルールに定めること」で解説しています。

Q. 私物スマホ(BYOD)に会社のMDMを入れると、個人のデータまで消えてしまいますか?

A. 業務領域だけを管理する方式であれば、消去できるのは会社のデータに限られ、個人の写真や連絡先は残ります。ただし私物端末を会社所有と同じ方式で登録した場合や、事故時に端末を丸ごと初期化する運用にしている場合は、個人のデータも対象に入ります。

そのため、どの範囲が消えるのかを同意書に明記して導入前に示す必要があります。OSごとの管理範囲と合意事項の詳細は「私物スマホ(BYOD)はどこまで管理してよいか」を参照してください。

Q. MDMを導入すれば、個人情報保護法が求める安全管理措置を満たしたことになりますか?

A. MDMを導入しただけでは、安全管理措置を満たしたことにはなりません。個人情報保護法第23条は、個人データの漏えい・滅失・毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を求めています。

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)が示す5分類のうち、MDMが直接支えるのは機器の盗難・紛失の防止やアクセス制御といった一部です。担当と責任の割り当て、従業者への教育、事故時の報告体制は運用側で整える必要があります。

台帳が不正確なまま残るとなぜ事故後の対応が行き詰まるのかは、「管理が行き届かないと何が起きるか」で扱っています。

Q. 退職した従業員が法人スマホを返却しない場合はどうすればよいですか?

A. 現物の回収を待たず、業務データに触れられない状態を先に作ります。MDMを導入していれば管理画面から遠隔でロックまたは業務データの消去を実行し、あわせて業務アカウントを停止し、キャリアに回線の停止を依頼します。

そのうえで、台帳の状態を「未回収」として残し、督促と回線の解約可否をいつまでに判断するかを決めておきます。判断を保留したまま放置すると、誰も使っていない回線の基本料が発生し続けるうえ、その端末に業務情報が残ったままになります。貸与の時点で返却の義務と未返却時の扱いをルールとして示し、同意の記録を残しておくと、退職時のやり取りが揉めにくくなります。

Q. MDMを導入すれば、法人スマホの管理台帳は不要になりますか?

A. MDMの管理画面を台帳の中心に据えることはできますが、台帳そのものが不要になるわけではありません。MDMが自動で埋められるのは、機種名・OSバージョン・インストール済みアプリ・製造番号(IMEI)のように、端末から取得できる情報に限られるためです。

利用者の氏名・所属部署・貸与日、回線の契約プランや請求先、充電器などの付属品の貸与状況は端末側からは分からないため、手入力での維持が残ります。回線の契約情報はキャリアの管理ポータル側にあるので、MDMの端末一覧と回線の一覧を突き合わせる作業も、棚卸しの工程として必要です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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