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SaaS管理ツール比較15選|可視化・棚卸し・退職者アカウント停止で選ぶ

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社内で使うSaaSが数十から百近くまで増え、「どの部署が何を契約し、誰が使っているのか」を情シスが把握しきれなくなっていませんか。契約とアカウントが分散したままだと、退職者のアカウントが残り続けたり、使われていないライセンスに料金を払い続けたりと、セキュリティとコストの両面でリスクが積み上がります。

こうした課題を解決するのがSaaS管理ツールです。ただし製品ごとに得意分野が異なり、利用状況の可視化に強いもの、アカウントのID統制に強いもの、IT資産まで一元管理できるものと、選ぶ観点はいくつにも分かれます。自社の目的に合わないものを入れると、導入しても棚卸しが進まないという事態になりかねません。

本記事では、SaaS管理ツール15サービスを3つのタイプに分けて比較・解説します。利用状況の可視化・棚卸し、退職者アカウントの停止(オフボーディング)、コストの最適化という情シスの中心的な課題を軸に、選び方のポイントから棚卸しの実務手順までを整理しました。

また、自社の課題に合うタイプを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツールもご用意しています。あわせてご活用ください。

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SaaS管理ツールとは?

SaaS管理ツールとは、社内で利用する複数のSaaS(クラウド型ソフトウェア)の契約・アカウント・利用状況・コストを一元的に可視化し、棚卸しや退職者アカウントの停止までを支援するツールです。個々のSaaSの管理画面を一つずつ開いて確認していた作業を集約し、情シスの運用負荷を下げる役割を担います。

SaaS管理ツールでできること

製品によって強みは分かれますが、SaaS管理ツールが備える機能は共通して次の4つが中心になります。

  • SaaSとアカウントの可視化:どのSaaSを誰が使い、どのアカウントが有効かを一覧化し、契約と利用実態のずれを見えるようにします。
  • 利用状況の把握と棚卸し:ログイン頻度や最終利用日から、使われていないアカウント・重複契約を洗い出します。
  • アカウントの付与・停止(プロビジョニング):入社・退職・異動に合わせて、複数SaaSのアカウントをまとめて作成・削除します。
  • コスト・契約管理:ライセンス数や契約更新日を集約し、無駄なコストの削減や更新漏れの防止につなげます。

IDaaS・IT資産管理ツールとの違い

SaaS管理ツールは、隣接する2つのカテゴリと混同されがちです。選定を誤らないよう、境界を整理しておきます。

IDaaS(アイデアス、Identity as a Service)は、SSO(シングルサインオン)や多要素認証を中心に、SaaSへのログイン認証とアクセス権限を統制するサービスです。「誰がログインできるか」を管理する点に主眼があり、「どのSaaSにいくら払い、どれだけ使われているか」というコスト・利用状況の可視化までは範囲外のことが多くなります。

退職者アカウントの停止を主目的にするなら、ID統制に強い製品も候補になります。ただし可視化・棚卸しが主目的なら、後述の利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプと併せて検討してください。

SaaSのコスト可視化や棚卸しよりも、ログイン認証とアクセス権限の統制そのものを主目的にしたい場合は、IDaaSを検討したほうが目的に合います。主要なIDaaSの機能・料金・選び方は以下の記事で比較しています。

IT資産管理ツールは、PCやモバイル端末などのハードウェア、ソフトウェアライセンスの管理を主とするツールです。SaaS管理ツールがクラウド上のサービス契約とアカウントを対象にするのに対し、こちらは物理的なIT資産まで含めて管理します。両者の機能を兼ね備え、SaaSとIT資産を一体で扱える製品もあります。

SaaS管理ツールが求められる背景と情シスの課題

需要が高まっている背景には、情シスが直面する具体的な課題があります。

クラウドサービスの普及にともない、SaaSの導入判断が各部門に分散するようになりました。その結果、社内の誰も全体像を把握できないまま契約とアカウントだけが積み上がる状態が生まれています。

実態を示す調査もあります。SaaSは導入済みだがID管理システムは未導入という企業の情シス担当者を対象にした調査では、退職者・異動後のアカウント管理や未使用アカウントの発生に課題を感じる声が多数を占めました。

63.9%が「退職者や異動後のSaaSアカウントを適切に管理できていない」と回答。60.2%が、現在利用しているSaaSにおいて「未使用アカウントがある」と回答(「かなりある」が20.4%、「ややある」が39.8%)。

出典:情報システム部門を対象に「SaaSアカウント管理」の実態を調査|株式会社SmartHR(2025年6月9日公表。SaaSツールを導入しているがID管理システムは未導入の企業に勤める情報システム担当者108名、2025年4月17〜18日のインターネット調査)

これらの課題は、大きく3つのリスクに整理できます。第一に、退職者アカウントの放置です。退職や異動の後もアカウントが有効なままだと、不正アクセスや情報漏えいの経路になりかねません。実際に漏えいやそのおそれが生じた場合には、個人情報保護法上の報告義務(第26条)の対象となることもあります。

第二に、コストの無駄です。使われていないライセンスや、部門ごとに重複契約したSaaSに料金を払い続けているケースは少なくありません。第三に、利用実態の不可視化です。誰が何を使っているかが分からないと、棚卸しもコスト削減も着手できません。

出典・参考資料(1件)

シャドーIT・シャドーAI(生成AIの無断利用)の把握

近年はもう一つ、シャドーITという課題が重みを増しています。情シスの承認を経ずに現場が個別契約したSaaSは、棚卸しや権限管理の網から漏れ、セキュリティの死角になります。

さらに、生成AIサービスの業務利用が広がり、シャドーAIとも呼ばれる無断利用の把握が新たな論点になりました。機密情報の入力による漏えいリスクをふまえ、どのAIサービスが使われているかを検知・可視化する機能を備えるSaaS管理ツールも登場しています。

SaaS管理ツールの3つのタイプ

SaaS管理ツールは強み別に3つのタイプへ整理できます。自社が何を最優先で解決したいかで、選ぶべきタイプが変わります。

タイプ主眼こんな課題の企業に向く該当する主なサービス
利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプ利用状況・ライセンス消化の可視化と、未利用アカウント・重複契約の棚卸し/コスト削減まず現状を見える化し、無駄なSaaSコストを減らしたいマネーフォワード Admina、freee IT管理、dxeco、ワスレナイ など
セキュリティ・ID統制に強いタイプSSO・多要素認証・アカウント自動付与/停止によるID統制と退職者アカウント停止退職者アカウント停止や不正アクセス対策を確実にしたいGMOトラスト・ログイン、HENNGE One、Gluegent Gate など
デバイス・IT資産まで統合するタイプSaaSに加えPC・モバイル等のIT資産まで一元管理し、情シス業務全般をカバーSaaSも端末も含めて情シス業務をまとめて効率化したいジョーシス、OPTiM サスマネ、Freshservice など

ツールによっては、利用状況の可視化とデバイス統合の両方に強いものもあります。以降の比較表と個別紹介で、各サービスがどの機能をどこまでカバーするかを具体的に確認できます。

SaaS管理ツールの選び方(比較ポイント)

自社に合うSaaS管理ツールを絞り込む観点は、次の6つに整理できます。連携数・可視化・オフボーディング・デバイス管理・料金は後半の比較表でも横並びに確認できるので、気になる軸から読み進めてください。

連携できるSaaSの数・範囲で選ぶ

自社で使っているSaaSがツール側の連携対象に含まれていなければ、可視化も自動化も働きません。まず確かめたいのは、利用中の主要SaaS(グループウェア、チャット、ストレージ、業務システムなど)が連携対象に入っているかどうかです。

連携対応数は製品差が大きく、数十件規模の製品から数百件規模の製品まで開きがあります。公表値の数え方(連携実績数・SSO連携の上限・検知用データベースの収録数)も各社で異なります。公式に数を公表していない製品もあるため、自社の主要SaaSが対象かどうかは問い合わせで確かめておくと確実です。

ただし数だけでなく、アカウントの発行・削除まで双方向で連携できるのか、参照(読み取り)のみなのかで、運用の自動化度は大きく変わります。

アカウント連携・自動化(SCIM等)の方式で選ぶ

入退社のたびに複数SaaSのアカウントを手作業で作成・削除していると、工数がかさむうえに削除漏れも起きます。この作業を自動化できるかは、連携方式で決まります。

標準規格のSCIM(スキム、アカウント情報を自動同期する仕組み)やAPIに対応していれば、人事システムやIDマスタの変更を各SaaSへ自動で反映できます。連携が公式APIによるものか、SCIM準拠か、あるいは手動連携が中心かを確認すると、自動化できる範囲を見極められます。

コスト管理・利用状況の可視化で選ぶ

可視化の深さは製品差が出やすい部分です。ダッシュボードで最終利用日まで追えるか、集計単位が部署別か個人別か、契約ライセンス数と実利用数の差を自動で突き合わせられるかどうかが、棚卸しの精度を左右します。

ID統制を主眼とする製品では、この可視化が限定的か、機能として持たない場合があります。可視化・棚卸しを重視するなら、比較表の「利用状況の可視化・棚卸し」列で対応状況を確認してから候補に入れてください。

IT資産・デバイス管理の範囲で選ぶ

端末まで一元化したい場合は、SaaSアカウントと利用端末をひも付けて管理できるかを確かめます。対応OS(Windows・macOS・iOS・Android)の範囲や、貸与端末の回収状況まで追えるかも見ておきたい点です。入退社時の対応を端末回収まで含めて漏れなく進められるかが分かれ目です。

一方、既にIT資産管理ツールを別途運用している場合は、SaaS管理に特化した製品を選び、役割を分けるほうが運用しやすいこともあります。自社の既存ツール構成を前提に範囲を決めます。

セキュリティ要件(SSO・多要素認証)で選ぶ

退職者アカウント停止や不正アクセス対策を最優先するなら、対応している認証方式(ワンタイムパスワード・証明書認証・生体認証・端末認証)を確かめます。アクセス権限をどの単位で制御できるかが、要件充足の分かれ目になります。

自社の情報セキュリティ方針で求める認証方式(多要素認証の種類、端末認証の要否など)に対応しているかを見ます。ISO/IEC 27001などの第三者認証の取得状況も判断材料になります。

認証の強度、とくに多要素認証の方式を軸に対策を固めたい場合は、専用の多要素認証システムを比較する視点も役立ちます。認証方式・料金・タイプ別の選び方は以下の記事で解説しています。

料金・無料プランで選ぶ

料金体系は、1IDあたりの月額課金や、要問い合わせの個別見積もりなど製品によって異なります。まず無料プランやトライアルの有無を確認し、小さく始めて効果を見極める進め方も選択肢になります。

費用を比べる際は、月額料金だけでなく初期費用や最低契約ID数、連携数による差も含めて見比べる必要があります。料金の詳細は各社で変動するため、後半の比較表で無料プランの有無と課金単位を確認したうえで、最新の見積もりは公式資料で取り寄せるのが確実です。

6つのポイントを自社の状況に当てはめるのが難しい場合は、次の診断ツールで課題を選ぶだけで、適したタイプの目安を確認できます。

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【比較表】SaaS管理ツールをタイプ別に比較

15サービスを3つのタイプ別に比較します。連携できるSaaS数、利用状況の可視化・棚卸し、退職者アカウント停止、シャドーIT検知、デバイス管理、料金の観点で横並びに整理しました。生成AIの無断利用まで検知できるかは各社で異なるため、個別紹介で触れています。サービス名をクリックすると、各サービスの個別紹介に移動できます。

利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプの比較

← 横にスクロールできます →
サービス名マネーフォワード Adminafreee IT管理dxeco/デクセコITboardワスレナイAssist SaaS Managerzooba
提供会社マネーフォワードi株式会社freee株式会社株式会社オロアイティクラウド株式会社株式会社SHIFTソニービズネットワークス株式会社株式会社zooba
連携できるSaaS数380以上(うち双方向連携200種類以上)記載なし(公式未公表)2,000以上(dxeco独自のSaaSデータベース収録数。第三者媒体記載・公式未確認)100〜無制限(プラン別)200以上記載なし(公式未公表)記載なし(公式未公表)
利用状況の可視化・棚卸し対応対応対応対応対応対応対応
退職者アカウント停止人事・IDマスタ連携で自動停止(双方向連携200種類以上)人事マスタ連携で自動削除(タイマー設定可)タスク管理で対応(一部連携先は自動削除)退職者・休眠アカウントを検知し削除削除漏れ検知・作業予約で対応退職者の保有アカウントを可視化し通知退職者の利用状況を検知し棚卸し
シャドーIT検知対応対応対応対応対応記載なし対応
デバイス・IT資産管理対応対応対応記載なし対応対応限定
料金(無料プラン)無料プランあり(50ID以下)/以降300円/ID・月(税別)300円/ユーザー・月(最低50ID)/無料プランなし要問い合わせ(無料トライアルあり)要問い合わせ(初期費用なし・年間契約)/無料プランなし基本機能が永年無料SaaS管理のみ300円/両機能500円(1アカウント・月、最低30アカウント)/無料プランなし要問い合わせ(無料トライアルあり)
詳細情報オンライン相談を予約公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※各社公式サイトの公開情報にもとづく(2026年8月時点)。公式に公開がない項目は「記載なし」と表示し、出典を明記した第三者情報を参考として併記しています。連携数の数え方(連携実績数・SSO連携の上限・検知用データベースの収録数)は各社で異なります。料金は税区分・プラン・契約条件で変わるため、最新の詳細は各社にご確認ください。

セキュリティ・ID統制に強いタイプの比較

← 横にスクロールできます →
サービス名GMOトラスト・ログインHENNGE OneLOCKEDGluegent GateKeyspider
提供会社GMOグローバルサイン株式会社HENNGE株式会社株式会社onetapサイオステクノロジー株式会社株式会社アクシオ
連携できるSaaS数無制限(SSO連携)480以上記載なし(公式未公表)無制限(上位プラン)56(公式の連携実績ページ掲載数)
利用状況の可視化・棚卸し限定(上位プラン)非対応限定(権限棚卸し)限定限定(ID棚卸し)
退職者アカウント停止IDプロビジョニングで自動停止(上位プラン)一部SaaSのみ自動停止(2024年7月時点で2サービス)SaaSアカウントの自動同期・権限棚卸しで対応人事マスタ連携で自動停止(SCIM/API)人事システム起点で自動停止(プロビジョニング)
シャドーIT検知限定(上位プラン)限定(CASB)記載なし非対応非対応
デバイス・IT資産管理非対応非対応対応限定(端末認証)非対応
料金(無料プラン)無料プランあり(SSO)/SaaS管理は290円/ID・月〜、SSOプロ+SaaS管理は500円/ID・月(税抜・最小30ID)Identity Edition 300円/ID・月〜(最小200ID)/無料プランなし要問い合わせProfessional 250円/1ユーザー・月(税抜)/Connects 100円/1ライセンス・月/無料プランなし要問い合わせ
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※各社公式サイトの公開情報にもとづく(2026年8月時点)。公式に公開がない項目は「記載なし」と表示し、出典を明記した第三者情報を参考として併記しています。連携数の数え方(連携実績数・SSO連携の上限・検知用データベースの収録数)は各社で異なります。料金は税区分・プラン・契約条件で変わるため、最新の詳細は各社にご確認ください。

デバイス・IT資産まで統合するタイプの比較

← 横にスクロールできます →
サービス名ジョーシスOPTiM サスマネFreshservice
提供会社ジョーシス株式会社株式会社オプティムFreshworks Inc.
連携できるSaaS数350以上記載なし(公式未公表)記載なし(公式未公表)
利用状況の可視化・棚卸し対応対応対応
退職者アカウント停止退職処理ワークフローで自動停止(事前スケジュール可)人事マスタ連携で自動停止(2025年5月提供開始)退職時に全アプリのアクセスを即時失効
シャドーIT検知対応対応対応
デバイス・IT資産管理対応対応対応
料金(無料プラン)要問い合わせ要問い合わせ(100〜500IDのスタンダード/501ID〜のカスタム)本体$19/エージェント・月〜+SaaS管理アドオン$1/従業員・月(Pro以上・14日無料トライアル)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト

※各社公式サイトの公開情報にもとづく(2026年8月時点)。公式に公開がない項目は「記載なし」と表示し、出典を明記した第三者情報を参考として併記しています。連携数の数え方(連携実績数・SSO連携の上限・検知用データベースの収録数)は各社で異なります。料金は税区分・プラン・契約条件で変わるため、最新の詳細は各社にご確認ください。

気になる製品が絞れたら、複数社の資料をまとめて取り寄せると、料金や連携範囲を同じ条件で見比べられます。

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SaaS管理ツールをタイプ別に紹介

各サービスの提供元・特徴・向いている企業を個別に紹介します。まずは利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプからです。

利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプ

SaaSの利用状況を見える化し、棚卸しとコスト削減を進めたい企業に向くサービスです。

1. マネーフォワード Admina(マネーフォワードi株式会社)

マネーフォワード Admina

「情シス向け業務OS」を掲げるSaaS・IT資産管理プラットフォームです。SaaSアカウントの可視化・棚卸しや入退社時のアカウント発行・停止、シャドーIT検知、コスト管理、デバイス管理までを一元化します。株式会社マネーフォワードの100%子会社であるマネーフォワードi株式会社が提供しており、2023年に旧称「マネーフォワード IT管理クラウド」から名称変更されました。

50ID以下は全機能を無料で利用でき、51ID以上は1IDあたり月額300円(税別)という料金設計で、中小規模の情シス体制でも導入しやすい点が特徴です。連携可能なSaaS数は公式トップページに380以上と記載(2026年8月時点)され、うちアカウント発行・削除の双方向連携に対応するSaaSは200種類を突破しています(2025年11月時点)。

Google Workspace・Microsoft 365・Azure ADと連携して退職者アカウントを自動判定します。不要なアカウントを3クリックで削除できるオフボーディングの自動化にも強みがあります。内部統制の観点では、Admina単体でSOC 2 Type 1(2023年3月受領)とSOC 2 Type 2(2023年7月受領)の報告書を受領しています。

2. freee IT管理(freee株式会社)

freee IT管理

クラウド会計を主力とするfreee株式会社が提供する、SaaS・IT資産管理サービスです。2021年に「Bundle by freee」として提供開始し、2025年12月17日に現在の「freee IT管理」へ名称変更されました。SaaSアカウントの棚卸し・自動発行・削除、シャドーITの検知、ITコストの可視化を主軸としています。

特徴は、freee会計・freee固定資産・freeeカードの支払データとSaaSアカウント情報を突合してシャドーITを検知する仕組みを備える点です。会計・カード・固定資産を自社で持つグループならではの連携で、2026年4月には、ChatGPT・Claude・Geminiなどを含む15,000以上のAIツール検知に対応しています。

SCIM APIを標準搭載し、2026年6月からは標準未対応のSaaSでもSCIM APIを公開していればユーザー自身でカスタム連携を設定できる「カスタムSCIM連携」を追加しました。料金は初期費用0円、年契約・年払いで1ユーザー月額300円(最低50ID)です。

3. dxeco/デクセコ(株式会社オロ)

dxeco(デクセコ)

dxeco(デクセコ)は、SaaSの「探す・契約する・運用する・支払う・見直す」というライフサイクル全体を管理対象とするSaaS管理ツールです。1999年設立の株式会社オロが開発・提供し、2021年7月にα版をリリースしました。契約情報とアカウント情報を一元化し、シャドーIT把握・アカウント棚卸し・利用実態に基づくコスト最適化を主眼としています。

Google Chrome拡張機能で従業員のSaaS利用状況を収集し、契約外・未把握のシャドーITを検出したうえで、アンケートやヒアリングで用途を確認する運用フローが組める点が特徴です。入退社時のアカウント発行・削除、デバイス配布・返却はタスクとして管理でき、一部の連携先ではアカウントの作成・削除自動化にも対応します。

外部連携では、HENNGE OneとのAPI連携(2025年9月発表)により、HENNGE One側でユーザー情報が削除されるとdxeco側のアカウント情報も自動削除される仕組みを提供します。ほかにDirectCloudとの自動アカウント連携やTrustlogin経由のSCIMプロトコルでのID同期にも対応しています。料金は初期費用・月額費用とも要問い合わせで、無料トライアルが用意されています。

4. ITboard(アイティクラウド株式会社)

ITboard

SB C&S(ソフトバンクグループ)とアイティメディア株式会社の合弁で2018年に設立されたアイティクラウド株式会社が、2020年11月から提供するSaaS管理プラットフォームです。利用中のSaaSを登録・連携すると、サービス別・ユーザー別・部署別の利用状況台帳を自動生成できます。

ブラウザログをもとに、許可なく利用されているSaaSを個人単位で「利用SaaS・回数・日時」まで可視化します。あわせて、退職者や休眠アカウントの削除漏れ・放置を検知して削除する機能も備えます。契約情報を集約して更新時期を管理し、コストの月次推移をダッシュボードで可視化できる点も特徴です。

料金は初期費用なしの年間契約で、公式サイトでは管理対象のID数に応じた個別見積もりと案内されています。第三者レビューサイトにはスタンダード30,000円/月〜、プレミアム50,000円/月〜との掲載もあります。接続可能サービス数はスタンダードが100個まで、プレミアムが無制限です。初期導入・設定に加え、月次定例会を中心に専属担当者が運用まで伴走するサポート体制を備えています。

5. ワスレナイ(株式会社SHIFT)

ワスレナイ

東証プライム上場の株式会社SHIFTが2023年7月から外販を開始した、SaaS・IT資産管理ツールです。初期費用・月額費用ともに0円で永年無償という料金設計が特徴です。対象は一元管理・可視化・棚卸し・未利用アカウント検知・シャドーIT検知・入退社時のアカウント自動処理などの基本機能で、導入時のオンラインサポートや運用時のチャット対応も無償で提供されます。

SaaSだけでなくPCやスマートフォンなどのハードウェアも「人」を軸に紐づけて一元管理でき、異動・退職時のデバイス回収漏れ防止にも対応します。連携SaaS数は公式LP記載で200種類以上あり、シャドーIT検知には検出したアカウントの利用を承認する「ゲスト承認」機能も備えます。

2024年には生成AIツールの利用状況・コスト・リスクを可視化する「AI管理機能」を追加し、SaaS管理から生成AI管理へ対応範囲を広げています。運営元の株式会社SHIFTがISMS(ISO/IEC 27001)を取得しており、2024年度グッドデザイン賞も受賞しています。

6. Assist SaaS Manager(ソニービズネットワークス株式会社)

Assist SaaS Manager

ソニービズネットワークス株式会社が「NURO Biz」ブランドで2025年6月17日に提供を開始した、SaaS・デバイス管理クラウドサービスです。中小企業の情報システム部門を主な対象とし、複数SaaS導入によって管理業務が煩雑化する課題への対応として開発されました。同社は法人向けICTソリューションを展開する企業で、SaaS/デバイス管理領域では新規参入にあたります。

特徴は、SaaS情報・デバイス情報・従業員情報を1つのプラットフォームに紐づけて一元管理する構成にあります。SaaSごとの契約期間・販売代理店・料金・利用従業員をまとめて管理し、API連携できないSaaSはCSVデータインポートで補完できます。一部SaaSではアカウントごとの最終利用日も表示でき、未使用ライセンスの洗い出しに活用できます。

従業員情報管理機能では、退職者に紐づくSaaSアカウントとデバイスをまとめて可視化し、ライセンス停止漏れ・デバイス回収漏れの防止を意図した通知設定機能を備えます。料金は年間契約で、SaaS管理・デバイス管理の両機能を含むスタンダードプランが1アカウントあたり月額500円、単機能プランは各300円、最低30アカウントからの提供です。

7. zooba(株式会社zooba)

zooba(ズーバ)

zooba(ズーバ)は、「情シス業務を受付から実行まで支援する、情シスAIエージェント」を掲げるSaaS・IT資産管理プラットフォームです。株式会社zoobaが2023年5月に正式ローンチしました。SaaSアカウント・利用状況・コストの管理、AIによる社内問い合わせ自動対応、デバイス・備品管理、シャドーIT・退職者アカウント検知の4領域を柱としています。

シャドーIT検知は、Google Workspace・Microsoft Entra IDのログイン履歴から未登録アプリを自動検知する方式です。監査・棚卸しではSlackやTeams上でアンケートを完結させて自動リマインドで回答率を高める運用フローを提供します。2025年4月のアップデートで、従業員IDから退職済みメンバーを特定する機能も追加されました。

AIヘルプデスクはSlack・Microsoft Teams・Chatwork・Google Chat上で動作します。SharePointやNotion、Google Drive、Boxなどをナレッジソースにできるほか、日本語ナレッジからのリアルタイム多言語翻訳にも対応します。

運営元の株式会社zooba本体でISMS(ISO/IEC 27001)を取得しており、料金は人数と用途に応じた見積もり方式です。

セキュリティ・ID統制に強いタイプ

SSO・多要素認証やアカウントの自動付与・停止で、ID統制と退職者アカウント停止を確実にしたい企業に向くサービスです。

このタイプはID統制が本体のため、SaaSの利用状況やコストの可視化は限定的か、機能として持たない製品もあります。可視化・棚卸しやコスト削減が主目的の場合は、利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプの製品と併用するか、比較表の「利用状況の可視化・棚卸し」列を確認したうえで選んでください。

8. GMOトラスト・ログイン(GMOグローバルサイン株式会社)

GMOトラスト・ログイン(TrustLogin by GMO)公式サイト

GMOグローバルサイン株式会社が提供する、クラウド型ID管理サービス(IDaaS)です。本体はシングルサインオン(SSO)・多要素認証・アクセス制御が中核です。上位プランではSaaSアカウントの自動作成・停止、利用状況の可視化、コスト分析といったSaaS管理機能を追加できます。

料金体系は上位の「SSOプロ+SaaS管理」プランが500円/ID・月(税抜、最小30ID・12か月契約)で、IDプロビジョニング・台帳管理・シャドーIT対策・コスト分析を含みます。SSO連携アプリ数は全プラン共通で上限なしとされており、SaaSが増えても連携数に応じた追加課金が発生しない料金設計です。

運営元のGMOグローバルサイン株式会社は2003年設立で、SSL電子証明書の認証局事業を主軸とするGMOインターネットグループの企業です。ISO/IEC 27001およびISO/IEC 27017を取得しており、SSOによるID統制と、退職者アカウントの停止・棚卸しを一つの契約でまとめたい企業に向く選択肢です。

9. HENNGE One(HENNGE株式会社)

HENNGE One公式サイト

東京証券取引所上場企業の約20%が利用し、契約ユーザー数300万超・契約企業数3,731社(2026年3月末時点)を公表しているHENNGE株式会社の統合セキュリティ基盤です。SSO(シングルサインオン)・多要素認証・アクセス制御を中心に、メール誤送信対策やクラウドアクセスの監視(CASB)まで一つのライセンスでまとめられます。

料金は全機能統合のUltra Suite Proが1,000円/ID・月から、Identity EditionのIdPが300円/ID・月から選べます。最小契約IDはUltra Suiteが100ID〜、Identity Editionが200ID〜です。連携先SaaSが増えてもSSO利用に追加費用は発生しない料金設計が特徴で、2026年10月から提供プラン体系の全面刷新が予定されています。

一方、HENNGE One単体にはSaaS利用状況の可視化・ライセンス棚卸し・コスト最適化の機能は搭載されておらず、株式会社オロが提供する「dxeco」との連携で補う設計になっています。退職者アカウント停止は連携先SaaSへの自動反映(プロビジョニング)に対応していますが対応SaaSは限定的なため、ID統制と認証基盤の整備を主目的とする企業向けの選択肢です。

10. LOCKED(株式会社onetap)

LOCKED公式サイト

LOCKED Series は、株式会社onetap(2015年設立)が提供する、SSO・ID管理・端末管理・脅威対策の4プロダクトを1つのブランドに束ねたスイート型ソリューションです。

SSO・多要素認証を担う LOCKED MSO、ID管理・権限統制の LOCKED DAS、端末管理の LOCKED MDM、脅威対策の LOCKED ATP から、必要な機能を選んで導入できます。

SaaS管理ツールとしての主軸は「LOCKED DAS」で、SaaSアカウントの自動同期と権限棚卸しに対応します。SSOのLOCKED MSOと組み合わせるとログイン集約からアカウント管理までを一つのブランドで完結でき、認証方式はSAML・WS-Fed・Radius・代理認証に対応します。MDMまで含めるとID課金だけで端末数の制限なく端末管理まで運用できます。

料金は初期費用・月額とも要お問い合わせ(ID課金制)で、公式サイトに具体単価の掲載はありません。導入は要件定義から設定代行、定例会議、ユーザー教育までを専任チームが伴走する体制で、対応SaaS数の一覧も公表されていないため、導入前にデモや資料で自社利用SaaSとの連携可否を確認するのが確実です。

11. Gluegent Gate(サイオステクノロジー株式会社)

Gluegent Gate(グルージェント ゲート)公式サイト

2011年にリリースされ、累計25万ユーザーの導入実績を持つIDaaSです。サイオステクノロジー株式会社が提供し、SSO(シングルサインオン)・多要素認証・統合ID管理をひとまとめに扱えます。SAML・OpenID Connect・プロキシ認証・フェデレーションに対応し、FIDO/FIDO2デバイス認証や生体認証もサポートします。

2026年5月に製品ラインナップを刷新し、ユーザー単位課金の「Professional」(250円/1ユーザー・月、税抜)を新設。1ユーザーあたりのSSO連携数を無制限にした料金設計で、利用SaaSが増えても追加費用がかかりません。人事マスタやActive Directoryと連携した自動プロビジョニングにより、退職者・異動者の連携先SaaSアカウント削除まで自動で反映できます。

一方、SaaSの利用状況・ライセンスコストの可視化やシャドーIT発見といった、SaaS管理専業ツールが備える機能の公式ページ上での明記は限定的です。ダッシュボードで「サービスへのログイン数」「利用されていないユーザー」の確認はできますが、棚卸しやコスト最適化を主目的にする場合は他ツールとの組み合わせを検討する必要があります。

12. Keyspider(株式会社アクシオ)

Keyspider(キースパイダー)公式サイト

日本企業向けに開発された国産のクラウドID管理サービスで、開発元のKeyspider株式会社は2026年5月に株式会社アクシオ(SWCCグループ会社)の完全子会社となりました。ID(アカウント)のライフサイクル管理と権限の統合管理を担うIGA(Identity Governance and Administration)製品として位置づけられています。

人事システムを起点に、SaaSとオンプレミスの社内システム双方へユーザー・組織・権限データを同期します。異動・入社の発令日に合わせたタイミング指定同期や、退職者IDの自動停止・権限剥奪に対応します。業務委託向けの承認ワークフロー、監査ログ、条件を指定したID棚卸しリスト作成など、日本の人事制度に合わせた機能構成が特徴です。

料金は要お問い合わせ(ユーザー数に応じた年間契約)で、公式サイトに具体単価の掲載はありません。SCIM・SQL・LDAPに加え、API非対応のレガシー環境にも同期できます。一方でSaaSの利用状況やライセンスコストのダッシュボード可視化は公式ページ上で確認できないため、可視化・コスト最適化が主目的の場合は要件を事前に照合してください。

デバイス・IT資産まで統合するタイプ

SaaSに加えて端末やIT資産まで一元管理し、情シス業務全般を効率化したい企業に向くサービスです。

13. ジョーシス(ジョーシス株式会社)

ジョーシス(Josys)公式サイト

ラクスル株式会社の社内DXツールから2022年に外部提供を開始したSaaS/デバイス統合管理クラウドです。SaaSアカウントとPC・モバイル端末を同一画面で棚卸しし、入社時のアカウント付与から退職時の停止までをワークフローで自動化できます。

2025年9月には、Gartner® Magic Quadrant™ for SaaS Management Platformsに2回連続で選出されたと公式が発表しています。公式事例ページでは導入企業数1,000社以上と案内されています。ネイティブ連携は350以上で、2026年2月にはノーコードでSaaS間連携を組めるAI連携ビルダーを追加提供しています。

料金は日本向けプランが個別見積もりで、SaaS/デバイス管理業務そのものを月額8万円〜で委託できるアウトソーシング(BPO)オプションも用意されています。ISO/IEC 27001とSOC 2 Type 2を取得済みで、ツール導入と業務代行を組み合わせて情シスの運用負荷を下げたい企業に向きます。

14. OPTiM サスマネ(株式会社オプティム)

OPTiM サスマネ公式サイト

OPTiM サスマネは、東証プライム上場の株式会社オプティムが2024年3月に正式提供を開始したSaaS管理ツールです。API連携に依存しない専用エージェントアプリを端末に導入することで、SaaSだけでなくオンプレミスソフトウェアや自社開発ソフトの利用状況までを同一画面で可視化できます。

2025年5月には、人事マスター(Microsoft 365・SmartHR等)と連動する自動プロビジョニング機能を追加しました。2026年2月には部署・チーム単位で管理画面の操作権限を分離できるグループ管理機能を加えています。カオナビとのAPI連携(2024年10月)も含め、複数部門にまたがる分散IT運用への対応を進めています。

料金は100〜500IDのスタンダードプランと501ID以上のカスタムプランの2系統で、いずれも詳細は要問い合わせです。運営会社はモバイルデバイス管理(MDM)製品を10年以上提供してきた背景があり、SaaSと端末・オンプレ資産までを同じ枠組みで棚卸ししたい情シスに合います。

15. Freshservice(Freshworks Inc.)

Freshservice公式サイト

Freshservice は Nasdaq 上場の Freshworks Inc. が提供する、ITサービス管理のクラウドプラットフォームです。ヘルプデスク・IT資産管理・IT運用管理を担い、SaaS管理は上位プラン(Pro 以上)で使えるアドオンモジュールとして位置づけられています。

ヘルプデスク・チケット管理と同じ基盤の上で、SaaS棚卸し・シャドーIT検知・退職者のアクセス即時失効を扱える構成です。

SaaS管理側では、契約更新の90日以上前にアラートを飛ばすProactive Renewal Managementを備えます。ログイン履歴からアクティブ/非アクティブユーザーを比較してライセンスを適正化する機能や、退職者発生時に全アプリケーションへのアクセスを即座に失効させる機能が公式に案内されています。IT資産管理や構成情報の管理基盤と同一基盤で連携できる点も、本体機能と組み合わせて活きます。

料金は本体プランが Starter 19米ドル/エージェント・月から(年払い)です。SaaS Management アドオンは公式サポートページで1米ドル/従業員・月と案内されており、Pro以上のプランで利用できます。課金単位はプラン改定で変わるため、最新条件は営業窓口でご確認ください。

無料トライアルは14日間で、SaaS管理単体ではなくヘルプデスクやIT資産管理まで含めて情シス業務を1つの基盤に集約したい企業の選択肢になります。

SaaS管理ツールを導入するメリット

ここでは、SaaS管理ツールを導入して得られる効果を整理します。大きく分けて、業務効率化・コスト最適化・セキュリティと内部統制の向上の3点です。

業務効率化では、各SaaSの管理画面を個別に開いて確認していた作業が集約され、入退社時のアカウント対応もまとめて実行できます。手作業が減ることで、削除漏れや設定ミスといったヒューマンエラーの抑制にもつながります。

コスト最適化では、未利用アカウントや重複契約が可視化され、不要なライセンスの削減や契約更新の見直しが進みます。支払っている料金と実際の利用実態を突き合わせられる点が、コスト削減の起点になります。

セキュリティと内部統制の面では、退職者アカウントの停止漏れやシャドーITを抑え、誰がどのSaaSにアクセスできるかを統制できます。アクセス権限の棚卸しを定期的に回せるようになり、監査対応の負荷も下げられます。

SaaS管理ツール導入の注意点とよくある失敗

導入の効果は大きい一方で、進め方を誤ると期待どおりに機能しないこともあります。ここでは、導入前に押さえておきたい注意点とよくある失敗を挙げます。

まず、導入と運用にはコストと手間がかかります。ツール利用料に加えて、初期設定や既存アカウント情報の登録・移行に一定の工数が必要です。連携するSaaSが多いほど初期の作業量は増えるため、段階的に対象を広げる計画を立てておくと無理がありません。

よくある失敗の一つが、IDaaSとの役割の混同です。SSOによるログイン統制はIDaaSの得意分野ですが、部門が個別契約したSaaSのコストや利用状況までは把握できないことがあります。可視化・棚卸しが目的なら、その機能を備えたSaaS管理ツールを選ぶ必要があります。

もう一つは、導入すれば自動で棚卸しが完結すると考えてしまうことです。ツールはあくまで可視化と自動化の基盤で、棚卸しのルールや運用責任者を社内で決めておかないと、可視化した情報が活用されないまま終わります。導入時に運用フローをあわせて設計することが、失敗を避ける鍵になります。

退職者アカウント停止(オフボーディング)とSaaS棚卸しの実務手順

多くの情シスが最初に取り組む「棚卸し」と「退職者アカウント停止」を、実務の手順に落として解説します。ツール導入の有無にかかわらず進め方の型は共通するので、導入前の現状整理にも役立ちます。

SaaS棚卸しの手順(棚卸しチェックリスト付き)

SaaS棚卸しは、契約・アカウント・利用状況を突き合わせて「不要なもの」を特定する作業です。次の順序で進めると、抜け漏れを抑えられます。

  1. 利用中のSaaSと契約内容(ライセンス数・料金・更新日)を洗い出す
  2. 各SaaSのアカウント一覧を取得し、在籍者名簿と突き合わせる
  3. ログイン頻度・最終利用日から、未利用アカウントと休眠契約を特定する
  4. 不要なアカウントを停止し、余剰ライセンスを解約・減数する
  5. 棚卸しの頻度と責任者を決め、定期的に繰り返す運用に落とす

着手前の確認用に、次のチェックリストを活用してください。

  • 契約中のSaaSを一覧化できているか(部門契約・現場契約も含む)
  • 各SaaSのアカウントと利用者を対応づけられているか
  • 未利用・重複・退職者のアカウントを判別する基準があるか
  • 棚卸しの実施頻度と責任者が決まっているか

退職者アカウント停止(オフボーディング)の手順

退職者アカウントの停止は、退職・異動の情報を起点に、対象者が使っていた全SaaSのアカウントを漏れなく無効化する作業です。手作業では削除漏れが起きやすいため、次の流れで確実に進めます。

  1. 人事からの退職・異動情報を受け取り、対象者を特定する
  2. 対象者が利用していたSaaSとアカウントを一覧で把握する
  3. 各SaaSのアカウントを停止・削除し、共有アカウントのパスワードを変更する
  4. 貸与端末の回収と、端末に紐づくアクセス権の解除を行う
  5. 停止結果を記録し、対応漏れがないかを確認する

この一連の作業は、人事システムやIDマスタと連携できるSaaS管理ツールを使うと自動化できます。次の章で、その仕組みを詳しく見ていきます。

人事・IDマスタ連携とシャドーIT・AI検知の仕組み

製品ごとの差が出やすい2つの仕組み——入退社アカウントの自動化と、シャドーIT・AIの検知方式を解説します。選定時に中身を理解しておくと、比較表の違いが読み解きやすくなります。

人事・IDマスタ連携による入退社アカウントの自動付与/停止(SCIM等)

入退社アカウントの自動化は、人事システムやIDマスタを「正」の情報源とし、その変更を各SaaSへ自動反映する仕組みで成り立ちます。入社時にはまとめてアカウントを作成し、退職時には一括で停止できるため、削除漏れを構造的に防げます。

反映の手段には、標準規格のSCIMを使う方式と、各SaaSの公式APIを使う方式があります。SCIMに対応するSaaSであれば設定が共通化しやすく、対応していないSaaSはAPI連携や手動連携で補います。自社の主要SaaSがどの方式で連携できるかが、自動化できる範囲を左右します。

シャドーIT・シャドーAIの検知方式の違い(ブラウザ拡張/IDマスタ/API連携)

シャドーITの検知は、情シスが把握していないSaaS利用を見つけ出す機能です。検知の方式は主に3つに分かれ、カバーできる範囲が異なります。

  • ブラウザ拡張型:従業員のブラウザからアクセス先を検知する方式で、Webサービスの利用実態を幅広く捉えられます。
  • IDマスタ・アカウント連携型:SSOやアカウント発行の記録から利用中のSaaSを把握する方式で、認証を経たサービスを確実に捉えます。
  • API連携型:会計・決済データや各SaaSのAPIから契約・利用を検出する方式で、部門決済で契約されたサービスの発見に役立ちます。

生成AIサービスの無断利用(シャドーAI)も、これらの検知方式で可視化の対象になります。どの方式を採るかで見つけやすいシャドーITの種類が変わるため、自社で懸念する利用形態に合った方式の製品を選ぶと効果的です。

まとめ

SaaS管理ツールは、増え続けるSaaSの可視化・棚卸しから、退職者アカウントの停止、コストの最適化までを担うツールです。製品は利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプ、セキュリティ・ID統制に強いタイプ、デバイス・IT資産まで統合するタイプの3つに分かれ、自社が最優先で解決したい課題によって適したタイプが変わります。

選ぶ際は、連携できるSaaSの範囲・自動化の方式・可視化の深さ・IT資産管理の範囲・セキュリティ要件・料金の6つの観点で、自社の要件に照らして絞り込むのが基本の進め方です。

課題別に整理すると出発点は次のとおりです。現状を見える化して無駄なコストを削りたいなら、利用状況の可視化・コスト最適化に強いタイプ。退職者アカウントの停止と不正アクセス対策を最優先するなら、セキュリティ・ID統制に強いタイプ。端末まで含めて情シス業務全般をまとめたいなら、デバイス・IT資産まで統合するタイプです。判断に迷う場合は、選定診断ツールで自社の課題から候補を確認してください。

候補が絞れたら、複数サービスの資料を取り寄せ、連携対象や料金を具体的に比べてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. どのような企業がSaaS管理ツールを導入していますか?

利用するSaaSが増えて情シスが全体像を把握できなくなった企業が中心で、企業規模を問わず導入されています。部門ごとに個別契約が増えた、入退社の対応が手作業で追いつかない、といった状態が導入の入口になります。無料プランや少人数から始められる製品もあるため、まず可視化から着手する進め方が一般的です。

Q. すでにIDaaS(SSO)を使っている場合、SaaS管理ツールは併用すべきですか?

可視化やコスト削減が目的なら併用を検討する価値があります。IDaaSは連携設定済みのSaaSへのログインを統制しますが、部門が個別に契約したSaaSは統制の外に置かれ、利用状況やコストの集計も対象外のことが多いためです。IDaaS側でアカウント統制を担い、SaaS管理ツールで可視化・棚卸しを担う分担が実務的です。

Q. 無料のSaaS管理ツールでも実務で使えますか?

基本機能を無料で提供する製品もあり、可視化や棚卸しから始めるには十分な場合があります。無料の範囲や有料オプションの内容は製品ごとに異なるため、自社に必要な機能(連携数・自動化・サポート)が無料枠に含まれるかを確認したうえで、小さく試すのが現実的です。

Q. 退職者のSaaSアカウント停止は自動化できますか?

人事システムやIDマスタと連携できる製品なら、退職・異動情報を起点に複数SaaSのアカウント停止を自動化できます。SCIMや公式APIに対応していれば、対応SaaSへの反映を自動化でき、手作業による削除漏れを防げます。対応範囲は製品によって異なるため、自社の主要SaaSが連携対象かを確認します。

Q. 導入から運用開始までどのくらいかかりますか?

製品と連携するSaaSの本数によって幅があり、公式に期間を示している製品では契約後おおむね1か月程度からとされています。対象を段階的に広げる計画を立て、棚卸しのルールや運用責任者をあわせて決めておくと、導入後に情報が活用されないまま終わる事態を避けられます。

Q. 中小企業でも導入できますか?

無料プランや少人数から始められる料金体系の製品があり、中小企業でも導入できます。まず利用中のSaaSの可視化・棚卸しから着手し、効果を確認しながら対象や機能を広げる進め方が向いています。

Q. SaaS管理ツールでIT資産(PC・端末)の管理もできますか?

SaaSに加えてPCやモバイル端末などのIT資産まで一元管理できる製品があります。SaaSアカウントと利用端末を紐づけて管理できれば、入退社時の対応を端末回収まで含めて漏れなく進められます。IT資産管理を別ツールで運用している場合は、SaaS管理に特化した製品と役割を分ける選択肢もあります。

Q. SaaS管理ツールの選び方で最も重視すべき点は何ですか?

自社が最優先で解決したい課題(可視化・棚卸し/退職者アカウント停止/IT資産統合)を決め、それに合うタイプを選ぶことです。そのうえで、利用中の主要SaaSが連携対象か、自動化の方式(SCIM・API)、料金・無料プランを確認して絞り込みます。

Q. SaaS管理ツールを導入すると、どのくらいコストを削減できますか?

削減幅は未利用アカウントと重複契約がどれだけあるかで決まるため、導入前の棚卸しで把握するのが先決です。たとえば1IDあたり月1,000円のSaaSを100人分契約していて1割が未利用なら、年間で12万円分の余地がある計算になります。まず可視化して自社の未利用率を確かめ、削減見込みを試算してから投資判断に進むと社内の合意を得やすくなります。

Q. 情シスの担当者が少なくても運用できますか?

担当者が限られる体制ほど、手作業の棚卸しやアカウント削除を自動化できる効果は大きくなります。選ぶ際は、初期設定を代行してもらえるか、運用のサポート体制があるか、運用業務そのものを委託できるオプションがあるかを確認します。無料プランや少人数向けの料金体系から始め、対象SaaSを段階的に広げる進め方が現実的です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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