暗号資産のウォレットや取引所、運用サービスの説明を読んでいると、「ノンカストディアル型」「カストディアル型」という言葉に出会います。意味がはっきりしないまま、どちらが自分に合うのか判断できずに止まっている方も多いはずです。
ノンカストディアルとは、暗号資産を動かすための「秘密鍵」を、取引所や事業者などの第三者に預けず、自分自身で管理する方式のことです。反対に、第三者が秘密鍵を預かって管理するのがカストディアル方式です。両者の最大の違いは「秘密鍵を誰が持つか」、言い換えれば「資産の最終的なコントロールと責任が誰にあるか」にあります。
この記事では、ノンカストディアルの意味とカストディアルとの違いを対比表で整理し、メリット・デメリット、具体的にどのウォレット・サービスがどちらに当たるか、そして自社・自分の状況ではどちらを選ぶべきかまでを解説します。あわせて、法人が暗号資産を保有・運用する際の「自社で管理するか、事業者に運用を委託するか」という選択についても取り上げます。
目次
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ノンカストディアルとは(秘密鍵を第三者に預けず自分で管理する方式)
ノンカストディアル(non-custodial)とは、暗号資産の秘密鍵を第三者に預けず、保有者自身が管理する方式を指します。「カストディ(custody)」は英語で「保管・管理」を意味し、その頭に否定を表す「ノン(non)」が付いた言葉です。つまり、第三者による保管に依存しない、自己管理型という意味になります。
ここでいう秘密鍵とは、暗号資産を送金・移動するための署名に使う「鍵」のことです。銀行口座でいえば、残高を動かす最終的な権限そのものに近い存在で、これを握っている者が資産を実質的に支配します。ハードウェアウォレット発行元であるLedgerの用語解説も、次のように定義しています。
ノンカストディアル(自己保管・自己管理型)ウォレットは、秘密鍵を取引所などのサードパーティに預けるのではなく、その所有者が秘密鍵を独占的に管理できるウォレットのことです。
出典:ノンカストディアルウォレット(用語集)|Ledger Academy(ledger.com)
一方のカストディアル方式では、取引所や金融サービス事業者などが利用者に代わって秘密鍵を保有・管理します。決済大手のStripeも、非管理型(ノンカストディアル)を「自分自身で秘密鍵を保有し、外部の第三者が資金にアクセスしたり動かしたりすることはできません」と説明し、管理型(カストディアル)は外部の事業者が秘密鍵を保有して管理する形態としており、定義は各社の用語解説で一致しています。

要するに、ノンカストディアルは「自分の資産を自分で持つ」方式、カストディアルは「事業者に預ける」方式です。次章では、この違いが実際の使い勝手やリスクにどう表れるかを対比表で確認します。
カストディアルとの違い(対比表で一目化)
ここからは、ノンカストディアルとカストディアルの違いを、実務判断に直結する観点で整理します。鍵を誰が管理するかという一点から、資産の凍結や事業者倒産時の扱いまで、両者の性質は対照的です。
| 観点 | ノンカストディアル(自己管理型) | カストディアル(事業者管理型) |
|---|---|---|
| 秘密鍵の管理者 | 利用者本人 | 取引所・事業者などの第三者 |
| 資産の最終的なコントロール | 本人が保持 | 事業者に依存 |
| 出金の制限・口座凍結 | 原則なし(本人がいつでも動かせる) | 事業者の判断・システム状況で制限されることがある |
| 事業者の倒産・ハッキング時 | 事業者の破綻は直接影響しにくい(鍵を自分が持つため) | 預けた資産が返還されない・失われる可能性がある |
| トラブル時のサポート・復旧 | 基本的に自己解決(第三者による復旧は不可) | 事業者のサポート・アカウント復旧を受けられる |
| 本人確認(KYC) | 不要な場合が多い | 原則必要 |
| 向いている人 | 自分で鍵を管理でき、資産を自分で支配したい人 | 手軽さ・サポートを重視する初心者など |
表の「本人確認(KYC)」の行を補足すると、ノンカストディアルで本人確認が不要になりやすいのは、間に立つ事業者がいないためです。匿名利用を目的とするものではなく、手軽に始められる利点である一方、トラブル時に頼れる窓口も無いという裏返しの側面があります。
特に見落とされがちなのが、「事業者の倒産・ハッキング時」の行です。カストディアル方式で資産を預けたままにしていると、事業者側の破綻が自分の資産の喪失に直結することがあります。
実例が、2022年11月に経営破綻した暗号資産取引所FTXです。米商品先物取引委員会(CFTC)は、一連の不正行為によりFTXの顧客預託金80億ドル超が失われたと指摘しており、顧客資産がグループ会社の資金と混同して扱われていたとしています。米証券取引委員会(SEC)も、顧客資金がグループのアラメダ・リサーチへ流用されていたとして提訴しました。
破綻に伴い出金は停止され、預けていた資産を自由に動かせなくなった利用者が続出しました。破綻後の資産の返還は法的な破産手続きを通じて進められましたが、その手続きは長期に及び、利用者は自分の判断で資産を動かせない状態に置かれました。カストディアル方式で資産を預けたままにするリスクが、現実に表れた出来事です。
これは、カストディアル方式が抱える「資産の管理と可用性を事業者に依存する」というリスクが顕在化した典型例です。ノンカストディアルであれば、こうした事業者の破綻から資産を切り離せる一方で、後述するように自己管理ならではの重い責任も伴います。
出典は以下のとおりです。
出典・参考資料(2件)
ノンカストディアルのメリット・デメリット
対比表で違いを押さえたところで、ノンカストディアルを選ぶ場合のメリットとデメリットを、対称的に整理します。自己管理の自由と責任は表裏一体です。
メリットは、資産を完全に自分でコントロールできる点にあります。秘密鍵を自分が握っているため、事業者の都合による出金制限や口座凍結を受けません。取引所の破綻やアカウント停止といった外部要因からも資産を切り離せます。第三者の審査や許可を介さずに送金できる自由度の高さも、自己管理型ならではの特徴です。
デメリットは、その自由と引き換えに、資産を守る責任のすべてを自分が負う点です。秘密鍵やリカバリーフレーズ(復元用の単語列)を紛失すると、資産にアクセスできなくなります。ウォレットの初期設定やバックアップの管理には一定の知識が必要で、暗号資産に不慣れな人にとっては学習コストが高くなりがちです。ソフトウェアウォレットの場合、自分の端末がマルウェアなどの標的になるリスクにも自分で備えなければなりません。
秘密鍵やリカバリーフレーズを失うと資産が戻らない理由
ノンカストディアルで最も重い注意点が、秘密鍵やリカバリーフレーズを失うと資産を取り戻せない、という不可逆性です。銀行のパスワード再発行のような救済がなぜ効かないのか、仕組みから確認しておきましょう。
ノンカストディアルでは、秘密鍵を持っているのは自分だけで、事業者はその控えを持っていません。銀行であれば、本人確認を経て事業者側がパスワードを再発行できます。これは、事業者が口座と残高を管理しているからこそ可能な救済です。
ノンカストディアルにはそもそも「控えを持つ第三者」が存在しません。鍵を再発行できる主体がいないため、鍵やリカバリーフレーズを失えば、その資産に二度とアクセスできなくなります。Ledgerの用語解説も「秘密鍵とウォレットの安全性確保はユーザーが全責任を負います」と明記しています。
具体的な備えとしては、リカバリーフレーズを紙に書いて複数の安全な場所に分散して保管し、スクリーンショットやクラウド保存は避けるのが基本です。自己管理の自由は重い責任とセットであり、この一手間がリスクを大きく下げます。
具体例:どのウォレット・サービスがどちらか
ここからは、自分が使っている、あるいは検討中のウォレットやサービスがどちらに当たるのかを判定できるよう、代表的な例を挙げます。
- カストディアル(事業者管理型):bitFlyerやBinanceなどの暗号資産取引所の口座、事業者が資産を預かって運用するサービスなど。ログインID・パスワードで使い、秘密鍵を意識せず利用できるものは、多くがこちらに当たります。普段、取引所のアプリで暗号資産を保有しているなら、それはカストディアルです。
- ノンカストディアル(自己管理型):MetaMaskなどのソフトウェアウォレット、Ledger・Trezor・Tangemなどのハードウェアウォレット。利用開始時にリカバリーフレーズを自分で控える形式のものは、秘密鍵を自分で管理するタイプです。
おおまかな見分け方として、「リカバリーフレーズを自分で保管する」ならノンカストディアル、「事業者のログイン情報だけで使い、パスワードを再発行できる」ならカストディアルと考えると整理しやすくなります。両者の性質を組み合わせたハイブリッド型のサービスもありますが、迷ったときは、そのサービスで自分が秘密鍵(リカバリーフレーズ)を管理するかどうかを公式のヘルプで確認すれば判断できます。
ウォレットの3分類(ソフトウェア・ハードウェア・ペーパー)
ノンカストディアルウォレットは、鍵の保管方法によって大きく3つに分けられます。用途や求める安全性に応じて選択肢が変わります。
- ソフトウェアウォレット:スマートフォンアプリやブラウザ拡張機能として使うタイプ。手軽ですが、端末がインターネットに接続されているぶん、マルウェアなどのリスクに備える必要があります。
- ハードウェアウォレット:秘密鍵を専用の物理デバイス内に保管し、インターネットから切り離すタイプ。オンラインの攻撃を受けにくく、まとまった資産の保管に向きます。
- ペーパーウォレット:鍵や復元情報を紙などに記録して物理的に保管する方法。オンラインリスクは避けられますが、紙自体の紛失・劣化には注意が必要です。
ノンカストディアルとカストディアル、どちらを選ぶか
では、自分はどちらを選べばよいのでしょうか。結論からいえば、どちらが絶対に優れているというものではなく、目的・金額・自分で鍵を管理できるかで選び分けるのが基本です。
手軽さやサポートを重視し、少額から始めたい初心者には、カストディアル方式が向きます。取引所の口座であれば、パスワードを忘れても再発行でき、操作もわかりやすいためです。一方、資産を自分で完全に支配したい、まとまった金額を長期で保有する、といった場合は、事業者の破綻リスクから資産を切り離せるノンカストディアル方式が選択肢になります。
両者は排他的なものではありません。日常的に使う少額は取引所(カストディアル)に、長期保有する資産はハードウェアウォレット(ノンカストディアル)に、というように使い分ける考え方も一般的です。自分がどこまで自己管理の責任を負えるかを起点に、組み合わせを考えると判断しやすくなります。
【法人向け】自社で暗号資産を管理するか、事業者に運用を委託するか
ここからは、暗号資産を保有・運用する法人の担当者向けの内容です。個人で暗号資産を使う場合は、前章までで自分に合う方式を判断できます。
法人が暗号資産を保有・運用する場面でも、「秘密鍵を誰が持つか」という同じ選択が問われます。自社で鍵を管理する(ノンカストディアル)か、事業者に預けて運用(ステーキングやレンディング)を委託するか、という分岐です。
ここで注意したいのは、事業者に運用を委託する場合でも、カストディの形態はサービスによって分かれるという点です。顧客が資産の管理主体を保持したまま運用に参加できる方式もあれば、暗号資産の所有権をいったん事業者へ移す「消費貸借」型のように、事業者の信用リスクを利用者が負う方式もあります。
以下では、法人向けのステーキング・レンディングサービス3社を、この観点も含めて比較します。
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なお、委託先を検討する前に、ステーキングやレンディングそのものの仕組みや、想定利回り・リスク・税金を押さえておきたい場合は、以下の解説記事が参考になります。
| サービス名 | HyperLending | デジタルアセットステーク(Fintertech) | ステーキングサービス(Next Finance Tech) |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ICHIZEN HOLDINGS | Fintertech株式会社 | 株式会社Next Finance Tech |
| カストディ形態 | 消費貸借(所有権が事業者へ移転) | 消費貸借(所有権が事業者へ移転) | ノンカストディアル方式(カタログ掲載情報。顧客が管理主体を保持とされる) |
| 対象通貨 | BTC・ETH・XRP・HYPE・USDT・USDC(法人向け) | ETH(イーサリアム)のみ | ETH・SOL・BTC(BabylonのFinality Provider経由) |
| 最低数量・条件 | 要問い合わせ(法人向けは個別案内) | 最低10 ETH(日本円受取は100 ETH〜) | 要問い合わせ |
| 想定利回り | 最大10%(HYPEは4%)・変動制 (貸借料率/2026年8月時点、公式要確認) | 年率1.85%・変動制 (貸借料率/月次更新・2026年8月時点) | 要問い合わせ(ステーキング報酬・非公開) |
| 分別管理・事業者リスク | 分別管理なし・倒産時に返還されない可能性 | 分別管理なし・倒産時に返還されない可能性 | カタログ掲載情報では管理主体を保持するとされる(分別管理・スラッシング補償の有無は要確認) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
各サービスの特徴を個別に見ていきます。仕組みやリスク開示は各社の公式情報にもとづいて整理しています。
HyperLending(株式会社ICHIZEN HOLDINGS)

保有する暗号資産を貸し出して毎月の貸借料を受け取れるのが、株式会社ICHIZEN HOLDINGSの暗号資産レンディング(貸暗号資産)サービス「HyperLending」です。同社が外部委託せず自社で運用し、法人向けにはBTC・ETH・XRP・HYPEに加えてUSDT・USDCに対応します。
想定年率は変動制で、法人向けはBTC・ETH・XRP・USDT・USDCが最大10%、HYPEが4%とされています(2026年8月時点。最新値は公式サイトで要確認)。
このサービスは消費貸借契約にもとづくため、貸し出した暗号資産の所有権はいったん事業者へ移ります。同社は公式のセキュリティ・リスク情報ページで、次のように説明しています。
本サービスは、お客様資産を単に保管・管理するカストディ業務とは異なり、消費貸借契約に基づいてお客様から暗号資産を受け取り返還義務を負う構造であるため、現行の解釈では暗号資産交換業には該当しないと解されています。
出典:セキュリティ・リスク情報|HyperLending(hyperlending.jp)
同社の説明によれば、消費貸借契約では預けた暗号資産を分別管理する法的義務はなく、同社が経営破綻などに陥った場合、暗号資産が全部または一部返還されない可能性があるとされています。手軽に貸借料を得られる一方で、事業者の信用リスクを利用者が負う構造である点を理解しておく必要があります。
デジタルアセットステーク(Fintertech)

デジタルアセットステーク(消費貸借)は、大和証券グループとクレディセゾンの合弁会社であるFintertech株式会社が提供するサービスです。利用者が保有するイーサリアム(ETH)を同社に貸し出すと、同社がそのETHでステーキングを行い、収益の一部を貸借料として毎月還元します。
自分でバリデーター運用の環境を用意する必要がなく、最低10 ETH以上を預けるだけで貸借料を得られる点が訴求軸です。貸借料率は月次で更新され、2026年8月時点は年率1.85%です。
このサービスも消費貸借契約であり、貸し出したETHの所有権はいったん事業者へ移ります。同社は公式FAQで、次のように説明しています。
「デジタルアセットステーク(消費貸借)」は資金決済法上の暗号資産交換業には該当せず、お預かりした暗号資産については分別管理を行っておりません。
出典:よくあるご質問|デジタルアセットステーク(消費貸借)・Fintertech(staking.fintertech.jp)
同社の説明では、万一倒産した場合には返還債務が不履行となる可能性があるとされています。HyperLendingと同様に、事業者に運用を委託する消費貸借型であり、金融グループ系の運営であっても、暗号資産交換業の登録を伴わない点は変わりません。手軽さと引き換えに負う事業者の信用リスクを踏まえて検討することが大切です。
ステーキングサービス(Next Finance Tech)

ここまでの2社と異なるのが、株式会社Next Finance Techが提供するステーキングサービスです。暗号資産交換所や金融機関、事業会社などの法人顧客に向けたステーキングインフラを提供しています。
ETH・SOLでは、ネットワークの取引を検証する「バリデーター」としてノードを運用し、暗号資産を拠出して報酬を得るネイティブステーキングを行います。BTCについては、Bitcoin向けのステーキングプロトコル「Babylon」で検証の確定を担う役割(Finality Provider)として参画しています。
消費貸借型が暗号資産の所有権を事業者へ移すのに対し、ネイティブステーキングの委託は、資産の所有権や管理主体を移さずに検証に参加する仕組みとされます。公開されている情報では、本サービスは「ノンカストディアル方式で顧客が資産管理の主体性を保持できる」方式と説明されています。
同社は2025年4月にコインチェックグループ(マネックスグループ傘下)の完全子会社となりました。料金体系や想定利回りは公開されておらず、個別見積もりが基本となるため、詳細は問い合わせが必要です。なお、ステーキング特有のスラッシング(バリデーターの不正・障害による預け資産の減少)への補償の有無は、公式サイトでは明示されていません。
まとめ
ノンカストディアルとは、暗号資産の秘密鍵を第三者に預けず、自分自身で管理する方式です。カストディアルとの最大の違いは「秘密鍵を誰が持つか」であり、それは資産の最終的なコントロールと責任が誰にあるかを意味します。
自己管理型は、事業者の破綻や凍結から資産を切り離せる自由がある一方、鍵を失えば資産が戻らないという重い責任を伴います。どちらを選ぶかは、目的・金額・自分で鍵を管理できるかで決めるのが基本で、両者を使い分ける考え方も有効です。法人が運用を委託する場合も、そのサービスが顧客に管理主体を残すのか、消費貸借のように所有権を移す(事業者の信用リスクを負う)のかを見極めることが、判断の分かれ目になります。
自社の運用方針やリスク許容度に照らして、各サービスの契約形態とリスク開示を確認し、自分(自社)に合う保管・運用の手段を選んでください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ノンカストディアルとは何ですか?
A. ノンカストディアルとは、暗号資産を動かすための「秘密鍵」を、取引所や事業者などの第三者に預けず、自分自身で管理する方式です。「カストディ(custody=保管・管理)」に否定を表す「ノン(non)」が付いた言葉で、第三者による保管に依存しない自己管理型を指します。
反対に、取引所などの第三者が秘密鍵を預かって管理するのがカストディアル方式です。両者の最大の違いは「秘密鍵を誰が持つか」、つまり資産の最終的なコントロールと責任が誰にあるかにあります。
Q. カストディアルとノンカストディアルはどちらが安全ですか?
A. ノンカストディアルとカストディアルは、どちらが一律に安全とはいえず、避けられるリスクの種類が異なります。ノンカストディアルは事業者の倒産や口座凍結から資産を切り離せる一方、秘密鍵やリカバリーフレーズを失うと復旧できません。
カストディアルは事業者のサポートやアカウント復旧を受けられる一方、事業者の破綻・ハッキング時に預けた資産が返還されない可能性があります。自分で鍵を管理できるか、どのリスクを重く見るかを起点に選び分けるのが基本です。
Q. 取引所に暗号資産を預けたままにするのは危険ですか?
A. 取引所に暗号資産を預けたままにする場合、取引所(カストディアル方式)の破綻や出金停止が起きると、預けた資産を自由に動かせなくなる可能性がある点に注意が必要です。実例として、2022年11月に経営破綻した暗号資産取引所FTXでは出金が停止され、米商品先物取引委員会(CFTC)は一連の不正行為により顧客預託金80億ドル超が失われたと指摘しています。
日常的に使う少額にとどめ、長期保有する分は自己管理のウォレットに移すなど、預ける金額と期間を見極めることが大切です。
Q. リカバリーフレーズ(秘密鍵)を無くしたら資産はどうなりますか?
A. ノンカストディアルでは、秘密鍵やリカバリーフレーズを失うと、その資産に二度とアクセスできなくなります。鍵の控えを持つ第三者が存在せず、銀行のパスワード再発行のような救済ができないためです。事業者が口座と残高を管理しているカストディアルとは異なり、鍵を再発行できる主体がいないことがこの不可逆性の理由です。自己管理型では、リカバリーフレーズのバックアップと保管が最重要のポイントになります。
Q. 法人が暗号資産を運用するとき、ノンカストディアルとカストディアルのどちらを選ぶべきですか?
A. 法人の場合も、「秘密鍵を自社で管理するか、事業者に預けて運用を委託するか」を、運用目的・社内の管理体制・許容できるリスクから判断するのが基本です。自社で鍵を管理すれば事業者の破綻から資産を切り離せますが、鍵の管理体制やバックアップの責任を自社で負うことになります。
ステーキングやレンディングを事業者に委託する場合は、そのサービスが顧客に資産の管理主体を残す方式か、消費貸借のように所有権を移す方式かを確認することが、判断の分かれ目になります。
Q. ステーキングやレンディングを事業者に委託すると、資産はどの方式で管理されますか?
A. ステーキングやレンディングを事業者に委託する場合の管理方式は、サービスによって分かれます。顧客が資産の管理主体を保ったまま運用に参加できるノンカストディアル方式のサービスもあれば、暗号資産の所有権をいったん事業者へ移す「消費貸借」型のように、事業者の信用リスクを利用者が負う方式もあります。
消費貸借型では、預けた暗号資産を分別管理する法的義務がなく、事業者が経営破綻などに陥った場合に全部または一部が返還されない可能性があるとされます。委託前に、各サービスの契約形態とリスク開示を確認することが重要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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