銀行・信用金庫・証券会社・暗号資産交換業などの金融機関では、反社会的勢力の排除が一般企業以上に厳しく求められます。
取引先の反社チェックが基本的にはガイドラインや社内規程にもとづく取り組みである一般企業と異なり、金融機関には犯罪収益移転防止法(犯収法)による取引時確認や、金融庁のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(以下、マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン)による継続的な顧客管理など、法令・当局指針にもとづく具体的な義務が課されています。
「今のやり方で当局検査に耐えられるのか」「口座開設のフローに反社照合とマネロン対策を組み込めているのか」を確認しようとしても、一般企業向けの反社チェック情報では金融機関に固有の要件までは分かりません。
本記事では、金融機関に求められる反社チェック・AML(マネー・ローンダリング対策)の要件を、犯収法や金融庁の指針といった根拠とともに整理します。口座開設時に確認すべきことから、継続的な顧客管理、反社会的勢力と判明した場合の対応、要件を満たすツールの選び方までを解説します。自社の現行フローに抜けがないかを点検する材料としてご活用ください。
目次
金融機関に求められる反社チェック・AML要件の全体像
ここからは、金融機関に法令・当局上どのような対応が求められているのかを整理します。反社チェックを「やったほうがよい取り組み」ではなく「果たすべき義務」として捉えるための土台です。
反社チェックが法令上の義務となる金融機関と、一般企業との違い
一般企業の反社チェックは、政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(企業暴排指針)や各都道府県の暴力団排除条例、社内規程を踏まえた取り組みが中心です。チェックの手法そのものを一律に定めた法律はありません。
一方、金融機関は犯収法上の「特定事業者」にあたり(銀行・信用金庫・証券会社のほか、暗号資産交換業者も特定事業者に含まれます)、顧客との取引開始時に本人確認などを行う取引時確認が法律で義務づけられています。
加えて、金融庁のマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインが継続的な顧客管理や制裁リストとの照合の態勢整備を求め、総合的な監督指針が反社会的勢力の排除を監督上の着眼点として位置づけています。このように金融機関では、法律・当局指針・(証券会社であれば)自主規制規則という複数の層で、反社チェックとマネロン対策が具体的に求められます。
遮断対象となる反社会的勢力の定義
反社会的勢力の範囲は、暴力団だけを指すものではありません。企業暴排指針は、暴力団などの組織属性に着目する属性要件と、不当要求などの行為に着目する行為要件の両面から捉えることを求めています。
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|犯罪対策閣僚会議幹事会(法務省掲載版)
属性要件だけで判断すると、暴力団関係企業を装う先や共生者を見落とすおそれがあります。行為要件まで含めて確認することが、金融機関の審査でも前提となります。
根拠となる法令・指針と求められる措置の対応表
金融機関に求められる主な措置と、その根拠となる法令・指針の対応関係を整理すると、以下のとおりです。犯収法が法律上の義務、金融庁のガイドライン・監督指針が態勢整備の求め、日証協の規則が証券会社の自主規制という役割分担になっています。
| 求められる措置 | 取引時確認(本人特定事項・取引目的・職業/事業内容) | 実質的支配者の確認(法人顧客) | ハイリスク取引の厳格な確認 | 制裁リストとの照合(取引フィルタリング) | 継続的な顧客管理(定期的な再照合) | 疑わしい取引の届出(STR) | 確認記録・取引記録の保存(各7年) | 反社でない旨の確約・関係遮断(暴排条項) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 犯収法 | 第4条1項 | 第4条1項4号 | 第4条2項 | — | — | 第8条 | 第6条・第7条 | — |
| マネロン・テロ資金供与対策GL | 態勢整備を要請 | 態勢整備を要請 | Ⅲ-2(3)(ⅱ) | Ⅲ-2(3)(ⅲ) | Ⅲ-2(3)(ⅱ)⑩ | Ⅲ-2(3)(ⅴ) | Ⅲ-2(3)(ⅳ) | — |
| 総合的な監督指針 | 事前審査(未然防止) | — | — | — | 事後検証 | — | — | 関係解消 |
| 日証協 反社関係遮断規則(証券) | 第7条(審査) | — | — | — | 第7条4項(定期審査) | — | — | 第5条(確約)・第6条(暴排条項) |
※上記は各法令・指針が求める措置の対応関係を整理したものです。条番号・章番号は2026年7月時点の各原典にもとづきます。
それぞれの措置を、口座開設という入口から継続的な管理、判明時の対応まで順に見ていきます。
口座開設時の反社チェック実務フロー(入口)
ここでは、口座開設・取引開始の時点で確認すべきことを、実務の流れに沿って整理します。受付から本人確認、実質的支配者の確認、反社データベースや制裁リストとの照合、リスクの判定と承認・謝絶という順序が基本になります。

取引時確認と実質的支配者の確認
取引開始時に金融機関が行う取引時確認は、犯収法第4条第1項で次のとおり義務づけられています。確認すべき事項は、本人特定事項・取引を行う目的・職業または事業の内容・(法人の場合の)実質的支配者の4つです。
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第1項|e-Gov法令検索
- 特定事業者(略)は、顧客等との間で、(略)取引(略)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。
- 一 本人特定事項(略)
- 二 取引を行う目的
- 三 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容
- 四 当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項
実質的支配者の確認は法人顧客が対象です。株式会社であれば議決権の一定割合を保有する個人などをたどり、最終的に事業を支配する自然人まで確認する必要があります。本人確認はオンラインで完結するeKYC(電子的な本人確認)で行う金融機関も増えていますが、確認すべき事項そのものは犯収法が定める4項目で変わりません。
反社データベース照合と制裁リスト照合
本人特定事項を確認したうえで、その顧客が反社会的勢力に該当しないか、また経済制裁の対象になっていないかを照合します。反社会的勢力の照合には、新聞記事データベースや独自の反社情報データベース、インターネット上の公知情報などが使われます。
制裁リストとの照合は、マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインが取引フィルタリングの態勢として求めています。
出典:マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン Ⅲ-2(3)(ⅲ)|金融庁
- 制裁対象取引について、リスクに応じて検知するため、以下を含む、取引フィルタリングに関する適切な体制を構築し、整備すること
- イ.取引の内容(送金先、取引関係者(その実質的支配者を含む)、輸出入品目等)について照合対象となる制裁リストが最新のものとなっているか、及び制裁対象の検知基準がリスクに応じた適切な設定となっているかを検証するなど、的確な運用を図ること
- ロ.国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定された際には、遅滞なく照合するなど、国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じた必要な措置を講ずること
制裁対象者との取引の制限や資産の凍結は、外国為替及び外国貿易法(外為法)にもとづく措置であり、財務省が経済制裁の対象者リストを公表しています。照合対象には、この財務省の対象者リストのほか、国連安全保障理事会決議にもとづくリストや、OFAC(米国財務省外国資産管理室)などが含まれます。リストは随時更新されるため、最新の状態を保ちながら照合できる仕組みが求められます。
海外取引先の制裁リスト照合は、OFAC(米国)・EU・国連など参照すべきリストが複数にわたり、どのリストをどう照合するかが実務の悩みどころになります。各リストの具体的な照合手順や対応ツールは、以下の記事で詳しく解説しています。
証券会社に義務づけられる確約と審査
証券会社の場合、日本証券業協会(日証協)の「反社会的勢力との関係遮断に関する規則」が、口座開設時の対応をより具体的に定めています。初めて口座を開設する顧客からは、反社会的勢力でない旨の確約を受けることが義務づけられています。
出典:反社会的勢力との関係遮断に関する規則 第5条・第7条|日本証券業協会
- (反社会的勢力でない旨の確約)第5条 会員は、初めて有価証券の売買その他の取引等に係る顧客の口座を開設しようとする場合は、あらかじめ、当該顧客から反社会的勢力でない旨の確約を受けなければならない。
- (審査の実施)第7条 会員は、初めて有価証券の売買その他の取引等に係る口座を開設しようとする顧客に関し、当該顧客が反社会的勢力に該当するか否かあらかじめ審査するよう努めなければならない。
- 2 会員は、前項に掲げる顧客に関し、前項に定めるほか、本協会とあらかじめ取り決めた方法による審査を行わなければならない。
第7条第2項の「本協会とあらかじめ取り決めた方法による審査」は、具体的には日証協の反社情報照会システムへの照会を指します。同システムは、反社会的勢力情報の集約・活用と、警察庁などが保有する暴力団員情報の照会を行うためのもので、日証協の用語集も「自主規制規則において、初めて(略)口座を開設しようとする顧客に関し、反社情報照会システムへの照会を行うことを会員に対して義務付けている」と説明しています。
リスクの判定と承認・謝絶
照合の結果を踏まえ、その顧客・取引のリスクを判定します。犯収法は、なりすましの疑いがある取引や、本人特定事項を偽っていた疑いがある顧客との取引、特定国等に居住・所在する顧客との取引、外国PEPs(外国政府等において重要な地位を占める者)との取引などをハイリスク取引と位置づけています。
これらの取引には、より厳格な確認が求められます(第4条第2項および同法施行令)。こうした高リスクと判定された先については、資産・収入の状況の確認を加えるなど、確認の水準を引き上げたうえで承認・謝絶を判断します。
継続的な顧客管理(中間)で行うこと
反社チェック・マネロン対策は、口座開設時の一度きりの確認では終わりません。取引開始後も、顧客のリスクに応じて定期的に再照合し、取引をモニタリングし、疑わしい取引があれば届け出るという継続的な顧客管理が求められます。ここが、当局検査で不足を指摘されやすい部分です。
顧客リスクに応じた定期的な再照合
マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインは、継続的な顧客管理を対応が求められる事項として明記し、顧客のリスクに応じて確認の頻度を変えることを求めています。
出典:マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン Ⅲ-2(3)(ⅱ)⑩|金融庁
- 後記「(ⅴ)疑わしい取引の届出」における【対応が求められる事項】のほか、以下を含む、継続的な顧客管理を実施すること
- イ.取引類型や顧客属性等に着目し、これらに係る自らのリスク評価や取引モニタリングの結果も踏まえながら、調査の対象及び頻度を含む継続的な顧客管理の方針を決定し、実施すること
- (ロ・ハ 略)
- ニ.各顧客のリスクが高まったと想定される具体的な事象が発生した場合等の機動的な顧客情報の確認に加え、定期的な確認に関しても、確認の頻度を顧客のリスクに応じて異にすること
- ホ.継続的な顧客管理により確認した顧客情報等を踏まえ、顧客リスク評価を見直し、リスクに応じたリスク低減措置を講ずること
すべての顧客を一律の頻度で再確認するのではなく、リスクの高い顧客はより頻繁に、低い顧客は相応の頻度で確認するという運用が想定されています。契約時の反社照合が問題なくても、その後に状況が変わる可能性があるため、定期的な再照合の仕組みが必要になります。
取引モニタリングと疑わしい取引の届出
日々の取引を監視し、資金洗浄などが疑われる取引を検知した場合は、疑わしい取引の届出(STR)を行います。これは犯収法第8条にもとづく法律上の義務です。
特定事業者(略)は、特定業務に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか、又は顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰法第十条の罪若しくは麻薬特例法第六条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、これらの疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第8条第1項|e-Gov法令検索
マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインも、疑わしい取引の届出について「犯収法に定める法律上の義務であり、(略)金融機関等が、同法に則って、届出等の義務を果たすことは当然である」と述べ、届出の前提となる取引モニタリングの態勢整備を求めています。また、犯収法は届出を行おうとすること・行ったことを顧客に漏らすこと(漏えい)を禁じています。
確認記録・取引記録の保存
取引時確認を行ったら、その内容を確認記録として作成し、保存する義務があります。犯収法第6条は、確認記録を契約終了日などから7年間保存することを定めています。
特定事業者は、取引時確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならない。
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第6条|e-Gov法令検索
2 特定事業者は、確認記録を、特定取引等に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から、七年間保存しなければならない。
確認記録とは別に、行った取引そのものの記録(取引記録)も、犯収法第7条により取引日から7年間保存する必要があります。確認記録と取引記録は別物であり、いずれも7年間の保存が求められる点に注意が必要です。
現行フローの抜けを洗い出すチェックリスト
ここまでの要件を、自社の現行フローと突き合わせるためのチェックリストにまとめます。抜けが見つかりやすいのは、口座開設時の確認そのものよりも、開設後の継続的な管理の部分です。
- 口座開設時に、本人特定事項・取引目的・職業/事業内容・(法人は)実質的支配者を確認しているか
- 反社データベースに加え、財務省や国連の制裁リストと照合しているか
- 制裁リストを最新の状態に保ち、更新のたびに再照合できているか
- 顧客リスクに応じて、開設後も定期的に再照合しているか(一度きりで終わっていないか)
- 取引をモニタリングし、疑わしい取引を検知・届出できる態勢があるか
- 確認記録・取引記録を7年間保存できているか
反社判明時の対応と過剰な排除の是正(出口・バランス)
反社会的勢力と判明した場合の関係遮断(出口)は重要ですが、当局は「排除すればよい」という一辺倒の運用を求めているわけではありません。判明時の対応と、過剰な排除を避けるための当局の考え方を整理します。
暴力団排除条項による契約解消
取引開始後に相手方が反社会的勢力だと判明した場合に備え、契約書や取引約款に暴力団排除条項(暴排条項)を盛り込んでおくことが有効とされています。企業暴排指針は暴排条項を次のように説明しています。
(略)契約書や契約約款の中に、①暴力団を始めとする反社会的勢力が、当該取引の相手方となることを拒絶する旨や、②当該取引が開始された後に、相手方が暴力団を始めとする反社会的勢力であると判明した場合や相手方が不当要求を行った場合に、契約を解除してその相手方を取引から排除できる旨を盛り込んでおくことが有効である。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(脚注)|犯罪対策閣僚会議幹事会(法務省掲載版)
証券会社の場合は、日証協の反社関係遮断規則第6条が、契約書・取引約款への暴排条項の記載を定めています。判明時に速やかに関係を解消できるよう、契約段階で条項を備えておくことが実務の基本です。
元暴力団員の口座開設支援という当局の見解
一方で、過去に暴力団員だったことだけを理由に口座開設を一律に拒否することは、当局が求める対応ではありません。警察庁と金融庁は2022年(令和4年)2月1日に、暴力団を離脱した人の就労のための口座開設を支援する枠組みを各金融団体に周知しています。
口座開設に係る反社会的勢力の排除に向けた取組みは、口座の利用が個人の日常生活に必要な範囲内である等、反社会的勢力を不当に利するものではないと合理的に判断される場合にまで、一律に排除を求める趣旨のものではありません。
出典:暴力団離脱者の口座開設支援について(金監督第172号)|金融庁監督局総務課長(警察庁通達 別添2)
この周知は、全国銀行協会・全国地方銀行協会・第二地方銀行協会・全国信用組合中央協会などの各金融団体宛てに同じ文面で発出されています。排除の徹底と、生活に必要な口座の確保という2つの要請のバランスをとることが求められています。
クロと断定できないグレーな案件の扱い
反社会的勢力の疑いはあるものの、確証が得られないグレーな案件の扱いも実務上の悩みどころです。この点について金融庁は、監督指針の改正に係るパブリックコメントで見解を示しています。疑いを認知したが、警察からの情報提供が得られず、他に断定できる情報も入手できなかった場合の扱いについて、次のように回答しています。
出典:コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.77(平成26年6月4日)|金融庁
- (コメント)金融機関において契約当事者が反社会的勢力に該当するとの疑いを認知したものの、警察から当該契約当事者が反社会的勢力に該当する旨の情報提供が得られず、かつ、他に当該契約当事者が反社会的勢力に該当すると断定するに足りる情報を入手し得なかった場合に、期限の利益の喪失等の特段の措置を講じないことは必ずしも利益供与となるものではなく、また、必ずしも金融機関の業務の適切性が害されていると評価されるものではないと解されるが、そのような理解でよいか。
- (金融庁の考え方)ご指摘の場合は、様々な手段を尽くしたものの反社会的勢力であると判断できなかった場合と理解されますので、ご理解のとおりと考えます。
様々な手段を尽くしても断定できなかった場合には、期限の利益の喪失などの措置を講じなくても差し支えない、という趣旨です。
あわせて、暴力団を離脱してから相当の期間(5年が一つの目安とされることが多い)が経過した元構成員をどう扱うか(いわゆる元暴5年条項)といった、時間の経過を踏まえた判断も実務では論点になります。こうした過剰な排除は、口座開設の拒否をめぐって金融機関が提訴されるなど、自社側のリスクにもなり得ます。
反社チェック・AML対応を怠った場合の帰結
反社チェック・AML対応は、過小と過剰のどちらに振れてもリスクがあります。反社会的勢力を取引から排除できない「過小排除」は、当局検査での指摘や行政処分、さらには刑事責任につながります。逆に前章で見た「過剰な排除」は、口座開設拒否をめぐる訴訟という別のリスクを招きます。ここでは、対応を怠った(過小排除の)場合の帰結を確認します。

当局検査・業務改善命令・行政処分のリスク
金融庁の総合的な監督指針は、反社会的勢力による被害の防止を監督上の着眼点として位置づけ、公共性を有する金融機関には反社会的勢力を金融取引から排除することを求めています。
特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む金融機関においては、金融機関自身や役職員のみならず、顧客等の様々なステークホルダーが被害を受けることを防止するため、反社会的勢力を金融取引から排除していくことが求められる。
出典:主要行等向けの総合的な監督指針 Ⅲ-3-1-4(平成26年6月改正時点)|金融庁
監督指針は、反社会的勢力との取引を未然に防止するための事前審査(未然防止)、取引開始後の事後検証、判明時の関係解消という着眼点で態勢を求めています。地方銀行・信用金庫などにも、中小・地域金融機関向けの監督指針でほぼ同じ内容が適用されます。態勢が不十分と判断されれば、当局検査での指摘や業務改善命令の対象になり得ます。
口座開設をめぐる刑事責任
反社会的勢力の側が身分を偽って口座を開設する行為には、刑事責任が問われることもあります。最高裁判所の2014年(平成26年)4月7日決定(刑集68巻4号715頁)は、暴力団員でないことを偽って預金口座の開設を申し込む行為を、詐欺罪にいう人を欺く行為に当たるとしました。金融機関にとって、申込者が反社会的勢力かどうかは取引に応じるかを判断する重要な事項である、という位置づけが示されたものです。
要件を満たす反社チェック・AMLツールと体制の整備
ここまで整理した要件を、手作業だけで継続的に満たし続けるのは容易ではありません。特に、制裁リストの最新化・全顧客の定期的な再照合・取引モニタリング・記録の保存といった継続的な管理は、専用のツールを活用して仕組み化することで、当局が求める態勢に近づけられます。マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインも、こうした管理におけるITシステムの活用を前提としています。
ここで取り上げるのは、反社会的勢力・制裁対象のスクリーニングを担うツールが中心です。口座開設時の本人確認そのものを担うeKYCサービスは別のカテゴリのソリューションであり、反社チェックと組み合わせて口座開設フローを構成します。本記事では反社・制裁の照合を担うツールにしぼって整理します。
ツールを選ぶ際は、金融機関の要件と機能を照らし合わせることが出発点になります。反社会的勢力の照合に使えるデータソース(新聞記事データベース・独自の反社情報データベース・Web情報)の網羅性は、口座開設時の照合の精度に直結します。
前述のとおり外国PEPsや特定国等の顧客との取引は犯収法上のハイリスク取引にあたるため、財務省や国連の制裁リスト、外国PEPsへの対応は、制裁リスト照合の要件を満たすうえで確認したい機能です。継続的な顧客管理のためには、登録済みの顧客を自動で定期再照合する機能や、取引モニタリングの機能があるかが判断材料になります。
確認記録・取引記録を7年間保存し、検索できる形で管理できるか、eKYCなど本人確認の仕組みと連携できるかも、実務では重要です。次の比較表で、こうした観点から各サービスを整理します。
金融機関の反社チェック・AML対応を支援するサービスの比較
以下は、金融機関の反社チェック・AML対応に活用できるサービスの比較表です。データソースの範囲、制裁リスト・PEPsへの対応、継続的なモニタリングの有無、記録保存・本人確認との連携、料金体系を整理しています。
| サービス名 | RiskAnalyze(リスクアナライズ) | RISK EYES(リスクアイズ) | 日経リスク&コンプライアンス | RoboRoboコンプライアンスチェック | JCIS WEB DB Ver.3 | Sansan リスクチェック | DQ反社チェック | Riskdog |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | KYCコンサルティング株式会社 | ソーシャルワイヤー株式会社 | 株式会社日本経済新聞社 | オープン株式会社 | 日本信用情報サービス株式会社 | Sansan株式会社 | 株式会社ディークエストホールディングス | Baseconnect株式会社 |
| データソース | 国内約1,000媒体を1時間おきに自動収集 海外240以上の国・地域のリスク情報 | WEB記事・新聞・ブログ/掲示板 制裁リスト・独自の反社DB(5系統) | 日経テレコン(1975年〜の国内記事) ダウ・ジョーンズのグローバルウォッチリスト(400万件以上) | ネット記事・SNS・新聞記事DB ワールドチェック・官報DB・海外DB(約190ヵ国・約540万件)と連携 | 自社構築のリスク情報DB(全国紙・地方紙・WEB・行政処分・独自調査) 海外リスク情報 約500万件(DB照合型) | LSEG(旧Refinitiv/World-Check) KYCC(新聞・公知情報)※Sansanの名刺・取引先データを照合 | WEB・新聞記事+専門調査員の目視チェック 海外は現地メディア・判例等(世界調査業協会ネットワーク) | 統合リスクデータ基盤(企業540万社・リスクデータ1.5億件) ニュース4,000媒体以上・SNS |
| 制裁リスト・PEPs照合 | ●海外PEPs・制裁(Sanction)に対応 | △制裁リスト(日米)に対応。PEPsの明示なし | ●PEPs(200ヵ国以上)・各国制裁・OFACに対応 | ●ワールドチェック連携で制裁・PEPs・AMLに対応 | △従量の海外リスク検索でPEPs(約140万件)に対応 | ●World-Check連携で制裁・各国制裁リストに対応 | △従量の海外調査(riskey Global)で制裁・PEPs対応 | ●制裁対象・PEPs(30万件)に対応 |
| 継続的モニタリング | △一括再検索・同一ワード再検索に対応(自動アラートの明示なし) | ●リスクアラートで5段階自動通知・差分検索 | ●ウォッチリストを24時間365日更新・TPRMで継続管理 | △定期的な再照合に対応(自動モニタリング機能の明示なし) | △再検索が1年以内無料(定期再照合向き。自動アラートの明示なし) | △一括再チェックで最新DBに再照合(自動アラートの明示なし) | ●riskeyのモニタリングでヒット時に自動通知 | ●登録先を常時監視し即時アラート |
| 記録保存・eKYC/本人確認連携 | ●調査証跡をクラウドに7年間自動保存/API・OEM連携 | △法人番号で検索結果を一元管理/API連携(保存年数・eKYCの明示なし) | ●調査記録をTPRMで一元管理/API・データフィード連携 | ●取引判断・証跡を一元管理しPDF/CSVで出力/API・RPA連携 | ●KYC・eKYC・AMLコンサルに対応/API・登記情報照会 | △名刺・取引先データ基盤で結果を管理(保存年数・eKYCの明示なし) | △調査報告書をWeb管理画面で保管・PDF化(保存年数・eKYCの明示なし) | △法人確認(登記・許認可)に対応/API連携(記録保存年数・eKYCの明示なし) |
| 料金体系 | 初期費用無料 月額27,500円〜(ライト/年600検索) スタンダード月額50,000円(年1,200検索) | 初期費用無料 月額最低15,000円(税別) +検索300円/件(1媒体ごと) | 要問い合わせ (ID利用料+検索単価×件数、1年契約) | 初期費用無料 従量プラン月額0円〜/ミニマム月額5,000円〜 1件250円〜(税抜) | 初期費用無料 年間ID利用料+検索従量(単価は要見積もり) 海外検索500円/件〜 | 要問い合わせ (Sansanのオプション費用) | 初期費用無料 従量プラン月額0円/1件500円〜 ツール型(riskey)月額10,000円〜(税別) | 要問い合わせ (最低契約12ヶ月) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
金融機関の反社チェック・AML対応に活用できるサービス
ここからは、前掲の比較表で取り上げたサービスを個別に紹介します。自社が満たすべき要件と照らし合わせながら、候補を絞り込む参考にしてください。
1. RiskAnalyze(リスクアナライズ)(KYCコンサルティング株式会社)

RiskAnalyzeは、KYC/AMLを専業とするレグテック企業のKYCコンサルティング株式会社が提供するWEBサービス型のツールです。個人名・法人名を入力すると、反社会的勢力とのつながり・逮捕歴・行政処分・訴訟歴・風評を調べ、判定済みの調査レポートを1件あたり最短0.4秒で表示します。
AML/CFT対応として海外のPEPs・制裁(Sanction)情報にも対応し、金融機関が求める制裁リスト照合を1つのツールで完結できます。
データソースは、国内約1,000媒体を1時間おきに自動収集し、海外は240以上の国・地域のリスク情報を収録します。調査の証跡はクラウド上に7年間自動保存されるため、犯収法の確認記録保存にも活用しやすい設計です。API利用料は無料で、CRM・基幹システムやeKYC系への組み込み(API/OEM)に対応します。
情報セキュリティ管理体制はISO/IEC 27001:2022を取得済みで(2025年7月16日登録)、累計導入企業数は1,300社に達しています(2025年6月時点)。
料金は初期費用が無料で、ライトプランが月額27,500円(年間600検索)、スタンダードプランが月額50,000円(年間1,200検索)、それ以上はプロフェッショナルプランの個別見積もりです。税区分は公式料金ページに記載がありません(2026年6月時点)。
2. RISK EYES(リスクアイズ)(ソーシャルワイヤー株式会社)

東証グロース市場に上場するソーシャルワイヤー株式会社が運営するRISK EYESは、WEBニュースや新聞記事などの公知情報を使って取引先・従業員をスクリーニングする反社チェック専用ツールです。
検索対象はWEB記事・新聞記事・ブログ/掲示板・制裁リスト・独自のアンチソーシャルDBの5系統で、反社会的勢力との関係の疑い・犯罪関与・不祥事の有無を確認します。制裁リスト検索は日米が公表するリストに対応するため、海外取引先の制裁照合にも使えます。
継続的顧客管理の観点では、登録対象に関するリスク報道を懸念レベル5段階で自動通知するリスクアラート(モニタリング)を備えます。定期チェックでは、前回ヒットしなかった新規記事だけを調べる差分検索により、全件再調査の手間を減らせます。既存システムと連携するAPIも用意されています。
料金は初期費用が無料で、月間の最低利用料金が15,000円(税別)、検索費用は1媒体あたり300円/検索です(リスクアラートは300円/社)。無料トライアルも利用できます。導入の目安として、サービス提供後に株式を公開した企業は59社と公式サイトが掲示しています(2026年4月時点)。
3. 日経リスク&コンプライアンス(株式会社日本経済新聞社)

日経リスク&コンプライアンスは、株式会社日本経済新聞社が取引先のコンプライアンスリスク・レピュテーションリスクを特定・監視するために提供するスクリーニングソリューションです。
1975年以降蓄積してきた国内記事データベース「日経テレコン」と、ダウ・ジョーンズ提供のグローバルウォッチリスト(400万件以上)を組み合わせ、ネガティブニュース照合とウォッチリスト照合を提供します。反社チェックにとどまらず、AML・経済安全保障対応・M&Aデューデリジェンス・IPO準備といった用途を公式に掲げている点が特徴です。
ウォッチリスト照合では、PEPs(重要公的地位者、200ヵ国以上・22職種分類)、各国の制裁リスト、OFAC対象企業5万4千社以上、国有企業29万7千社以上を対象とし、ウォッチリストは24時間365日更新されます。国内のネガティブ報道は50紙以上を横断し、言語理解研究所の自然言語処理技術で同名異人や無関係記事のノイズを抑えます。
調査記録はTPRM(取引先リスク管理)プラットフォーム上で一元管理でき、継続的顧客管理の運用に向きます。導入層は金融機関・証券・上場企業が中心で、伊予銀行・内藤証券・外為どっとコムなどが公式に掲示されています。料金は非公開で要お問い合わせです(ID利用料に検索単価×検索件数を加える従量併用型、1年契約でID利用料12か月分のデポジットが必要、審査を経た無料トライアルあり)。
4. RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

オープン株式会社が提供するRoboRoboコンプライアンスチェックは、取引先や採用候補者の法令遵守・反社チェックを自動化するクラウド型サービスです。
インターネット記事検索・新聞記事DB検索・海外情報DB検索を組み合わせ、生成AI/LLMによる記事の要約・解析と、AIによる注目度の3段階自動判別を備えます。上場企業に求められるコンプライアンスチェックの要件という観点でSBI証券が監修しており、証券・上場準備の文脈を意識した設計です。
照合能力を支えるのは、外部データベースとの連携です。ネット検索・SNS・新聞記事に加え、LSEG社のワールドチェック(World-Check)、官報データベース、約190ヵ国・約540万件の海外法人・個人データベースと連携し、制裁・PEPs・AMLのスクリーニングに対応します。
2023年から2026年5月までの約3年間で200社超がRoboRoboを利用して上場を果たし、累計導入社数は10,000社を突破しました(2026年2月時点)。
料金は初期費用が無料で、従量プランが月額0円から、ミニマムプランがインターネット検索で月額最低5,000円から、1件あたりはインターネット検索250円・新聞併用350円が目安です(公式が料金を画像で掲示しているため、金額は2026年6月時点の値です。すべて税抜)。セキュリティは公式表現どおり「ISMSに準拠」で、認証取得の断定はできません。
5. JCIS WEB DB Ver.3(日本信用情報サービス株式会社)

日本信用情報サービス株式会社が手がけるJCIS WEB DB Ver.3は、法人名・個人名を自社構築のリスク情報データベースに照合するDB照合型の反社チェック・コンプライアンスチェックシステムです。
新聞記事の横断検索だけに頼らず、全国紙・地方紙・WEBニュース・行政処分・独自調査・海外リスク情報を統合したデータベースへ照合します。CSVによる一括検索(最大5,000件)、API連携(即時検索)、登記情報PDFの自動解析照会をそろえます。
海外リスク情報検索を使うと、金融のKYC/AML要件に対応できます。シンガポールのARI社と提携し、約500万件の海外リスク情報とPEPs約140万件超を照会でき、事業内容にもKYC・eKYC・AMLコンサルティングを明記しています。海外検索は基本利用料500円/件、詳細情報検索1,500円/件(いずれも税込)です。
料金は初期費用が不要で、年間ID利用料(前払い・要見積もり)に月々の検索費用(検索件数×単価、単価は要見積もり)を加える構成で、最低契約期間は1年です。一度検索した対象の再検索が1年以内なら無料のため、定期的な再照合を続ける継続モニタリング用途ではコストを抑えやすくなっています。運営会社はプライバシーマークを取得済みです(2026年6月時点)。
6. Sansan リスクチェック(Sansan株式会社)

Sansan リスクチェックは、営業DXサービス「Sansan」のオプション機能として提供される取引リスク検知機能です。Sansanに蓄積した取引先・名刺の企業情報を外部のリスク情報データベースと自動照合し、反社会的勢力との関係・マネーロンダリング・テロ資金供与などの取引リスクを検知します。
独立した反社チェック専用ツールではなく、名刺・取引先データ管理の延長線上にリスク検知を載せた構成である点を、選定時にはおさえておく必要があります(Sansan本体の契約が前提です)。
LSEG(旧Refinitiv)のWorld-Check等を通じて、反社・制裁・テロ資金供与・マネーロンダリング・顧客デューデリジェンスをスクリーニングし、各国の制裁リストにも対応します。核心になるのは、こうした連携データベースの中身です。新聞記事・公知情報ベースのKYCコンサルティングのデータも併用します。
過去に未検知だった取引先を最新データベースに対してまとめて再照合する一括再チェックは、継続的な再照合の運用に役立ちます。料金は初期費用・月額とも要問い合わせです。2019年の機能開発発表当時はSansan本体の月額利用料の20%程度が追加費用としてかかる想定と示されましたが、これは当時の想定値であり、現行の料金ページでは金額が開示されていません。
7. DQ反社チェック(株式会社ディークエストホールディングス)

DQ反社チェックは、20年以上の調査実績を持つ株式会社ディー・クエスト(調査事業を担う事業会社で、提供はグループのディークエストホールディングス)が運営する、Webセルフチェックツールと専門調査員による調査代行を組み合わせたハイブリッド型のサービスです。
1件単位の即時チェックから、500件以上の取引先一斉スクリーニング、海外調査までを対象とします。システムによる自動検索に加えて専門調査員の目視チェックを併用し、ノイズ除去や関連度の精査を人が担う点を訴求しています。
制裁リスト・PEPsの照合は、従量課金の海外調査「riskey Global」を通じて提供されます(世界調査業協会ネットワークを利用、1件10,000円〜。ただし公式サイト内でトップページは40,000円〜と表記が分かれており、利用前の確認が必要です)。
継続監視はriskeyのモニタリング(リスクアラート)が担い、ハイリスク先の強化版顧客管理(EDD)には聞き取りを含む深度調査「riskey DeepSearch」が向きます。料金は入会金・月額費が無料の完全従量制プランを持ち、ツール型のriskey本体は月額10,000円から、一括調査は500円/件、リスク検索は2,500円からです(健全性調査は要見積もり、いずれも税別、2026年6月時点)。
8. Riskdog(Baseconnect株式会社)

Riskdogは、法人営業支援データベース「Musubu」を運営するBaseconnect株式会社が2025年1月にリリースしたAI与信リスク管理サービスです。同社が蓄積した企業データ基盤を活用し、与信管理・コンプライアンスチェック(反社チェック)・法人確認を1つのプラットフォームに統合しています。
企業名または法人番号を入力すると、AIが企業・役員に紐づくリスク情報を自動収集・解析し、スクリーニング済みの形で提示します。
制裁対象・PEPsを含む統合リスクデータ基盤(制裁対象・PEPsは30万件)を持ち、登録した取引先のリスク事象を常時監視して即時アラートするリスクモニタリング、登記・許認可情報による法人確認を備えます。
公式サイトは「2025年1月のリリース以降、金融業界を中心にご利用いただいている」と述べていますが、導入社数・導入企業名は公表されていません。運営会社のBaseconnectはISO/IEC 27001を取得していますが(2020年10月)、Riskdogが認証適用範囲に含まれるかは公式に明示されていません。
料金について公式が明確に公開しているのは最低契約期間12ヶ月のみで、標準プラン月額50,000円・リスクチェック500円/月・1社・モニタリング50円/月・1社といった金額は公式ページで公開されておらず、最新額は問い合わせが必要です。2025年提供開始の新しいサービスのため、公開されている情報は限定的です。
ここで取り上げたのは、金融機関のAML要件との相性という観点で絞り込んだサービスです。以下の記事では反社チェックツール全体について、料金・データソース・選び方を詳しく比較・解説しています。今回のサービスも含め、幅広く候補を比較検討したい方はこちらもご覧ください。
反社チェックツールおすすめ16選を比較|料金・データソース・精度で失敗しない選び方
取引先や株主、採用候補の反社チェックを、担当者が新聞記事やインターネットを手作業で検索して進めていませんか。1件ずつ調べる方法は時間がかかるうえ、調べ漏れ(見落とし)と、同姓同名による誤判定(過検知)の両方が起きやすく、調査の質が担当者の経…
まとめ
金融機関の反社チェックは、一般企業と異なり、犯収法の取引時確認や疑わしい取引の届出、金融庁のマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインが求める継続的な顧客管理・制裁リスト照合など、法令・当局指針にもとづく具体的な義務として組み立てられています。口座開設という入口の確認だけでなく、開設後の定期的な再照合・取引モニタリング・記録の保存という継続的な管理までを、自社のフローに組み込めているかが要点です。
同時に、過去の経歴だけを理由に口座を一律に拒否しない、断定できないグレーな案件では慎重に判断するといった、過剰な排除を避ける当局の考え方も踏まえる必要があります。まずは本記事のチェックリストで自社の現行フローの抜けを洗い出し、不足する部分については、要件を満たすツールの活用を検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 金融機関の反社チェックとは何ですか?
A. 金融機関の反社チェックとは、顧客が暴力団などの反社会的勢力に該当しないかを確認し、取引から排除するための一連の審査です。
一般企業の反社チェックが政府の指針や暴力団排除条例、社内規程を踏まえた取り組みであるのに対し、金融機関では犯罪収益移転防止法(犯収法)の取引時確認や、金融庁のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインが求める継続的な顧客管理など、法令・当局指針にもとづく具体的な義務として組み立てられる点が異なります。
Q. 金融機関の反社チェックは法的な義務ですか?
A. 金融機関の反社チェック・AML対応は、取引時確認や疑わしい取引の届出など、犯収法にもとづく法律上の義務を含みます。
加えて、金融庁のマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインが継続的な顧客管理や制裁リスト照合の態勢整備を求め、証券会社には日本証券業協会(日証協)の自主規制規則が反社情報照会システムへの照会を義務づけています。手法が各社の裁量に任される一般企業の反社チェックとは異なり、金融機関では法律・当局指針・自主規制規則という複数の層で具体的に求められます。
Q. 金融機関は口座開設時に何を確認しなければなりませんか?
A. 口座開設時には、本人特定事項・取引を行う目的・職業または事業の内容・(法人の場合の)実質的支配者という4項目の確認(取引時確認)が、犯収法第4条第1項で義務づけられています。
これに加えて、確認した本人特定事項をもとに反社データベースや制裁リストと照合し、リスクを判定したうえで承認・謝絶を判断します。証券会社の場合は、反社会的勢力でない旨の確約を受けることと、日証協の反社情報照会システムへの照会も必要です。
Q. 反社チェックと本人確認(KYC・eKYC)はどう違いますか?
A. 本人確認(KYC・eKYC)は「顧客が申告どおりの人物・法人か」を確かめる手続きで、反社チェックは「その顧客が反社会的勢力や制裁対象でないか」を照合する手続きです。
両者は目的が異なり、eKYCで本人確認をオンライン完結させても、確認した本人特定事項をもとに反社データベース・制裁リストと照合する反社チェックは別途必要です。犯収法の取引時確認は本人確認を含む枠組みであり、口座開設フローの中では本人確認と反社チェックが連続して行われます。
Q. 継続的な顧客管理での再照合はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
A. 一律の頻度は定められておらず、顧客のリスクに応じて確認の頻度を変えることが求められます。金融庁のマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインは、リスクの高い顧客はより頻繁に、低い顧客は相応の頻度で確認し、顧客のリスクが高まったと想定される事象が発生した場合には機動的に確認するよう求めています。口座開設時の一度きりの照合で終わらせず、開設後も定期的に再照合する仕組みが必要です。
Q. 元暴力団員の口座開設は必ず断らなければなりませんか?
A. 過去に暴力団員だったことだけを理由に、口座開設を一律に拒否することは当局が求める対応ではありません。
警察庁と金融庁は2022年(令和4年)2月、暴力団を離脱した人の就労のための口座開設を支援する枠組みを各金融団体に周知しており、口座の利用が日常生活に必要な範囲内であるなど反社会的勢力を不当に利するものでないと合理的に判断される場合にまで、一律に排除を求める趣旨ではないとしています。排除の徹底と、生活に必要な口座の確保という2つの要請のバランスをとる判断が求められます。
Q. 証券会社の反社情報照会システムとは何ですか?
A. 反社情報照会システムとは、日証協が運営する、反社会的勢力情報の集約・活用と、警察庁などが保有する暴力団員情報の照会を行うための仕組みです。
日証協の自主規制規則は、初めて有価証券の売買などの取引に係る口座を開設しようとする顧客について、この反社情報照会システムへの照会を会員(証券会社)に義務づけています。証券会社の口座開設審査では、反社会的勢力でない旨の確約を受けたうえで、同システムへの照会による審査を行うことが基本になります。
Q. 反社チェックの確認記録は何年保存する必要がありますか?
A. 取引時確認の内容を記録した確認記録と、行った取引そのものの記録である取引記録は、いずれも犯収法により7年間の保存が義務づけられています。確認記録は取引に係る契約が終了した日などから、取引記録は取引が行われた日から、それぞれ7年間の保存が必要です。確認記録と取引記録は別物であり、どちらも保存対象となる点に注意が必要です。
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