保険募集の研修資料やチェックリスト、監査の書類で「意向把握」という言葉をくり返し目にします。日々の業務で使ってはいても、いざ「意向把握とは正確には何か」と問われると、自分の言葉で説明しづらいと感じる募集人の方は少なくありません。
意向把握は、保険業法が保険募集の基本ルールとして定めた義務です。言葉の意味があいまいなままだと、意向把握シートの記入も、後輩への指導も、監査での説明もあやふやになってしまいます。
この記事では、意向把握の定義と法的根拠から、混同されやすい意向確認との違い、意向把握シートに書く項目と記録の残し方、2026年6月に施行された改正保険業法をめぐる動向までを整理します。自社の意向把握の運用を見直したい保険代理店の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
意向把握とは?保険募集で求められる義務をわかりやすく解説
意向把握とは、保険を募集する側が、契約を勧める過程で顧客がどのような保険に入りたいのか(意向)を確認し、その意向に沿った提案を行う一連の行為を指します。ここでいう「意向」とは、どんなリスクに備えたいのか、どのような保障を、どの程度の保険料で望んでいるのか、といった顧客のニーズのことです。
保険業法では、意向把握は単独で完結するものではなく、把握した意向に沿った契約の提案、契約内容の説明、契約と意向が合致しているかを顧客が確認する機会の提供、という一連のプロセスとして求められています。意向把握は、募集の入口で顧客の意向を掴み、それを軸に提案から最終確認までをつなげる、この流れの起点にあたります。
「意向把握」という言葉は、この一連のプロセス全体を広く指すこともあれば、その入口にあたる「顧客の意向を把握する」行為だけを狭く指すこともあります。次章以降では、両者を区別しながら解説します。
この義務は、努力目標ではなく法律上のルールです。次章では、その根拠となる条文と制度の位置づけを確認します。
意向把握が求められる法的根拠|保険業法第294条の2と監督指針
ここからは、意向把握の法的な位置づけを確認します。意向把握義務は、保険業法(平成7年法律第105号)第294条の2に定められています。
保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結、保険募集又は自らが締結した若しくは保険募集を行った団体保険に係る保険契約に加入することを勧誘する行為その他の当該保険契約に加入させるための行為に関し、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等(略)の提案、当該保険契約の内容の説明及び保険契約の締結等に際しての顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない。
保険業法第294条の2|e-Gov法令検索
この条文が求めているのは、次の4つの行為です。整理すると、意向把握が募集プロセス全体を貫く義務であることがわかります。
- 顧客の意向を把握する
- その意向に沿った契約の締結等を提案する
- 当該契約の内容を説明する
- 締結等に際し、意向と契約内容が合致していることを顧客が確認する機会を提供する
意向把握・確認義務は、保険募集の基本的なルールとして、平成26年改正保険業法によって新設され、2016年(平成28年)5月29日に施行されました。あわせて、情報提供義務や保険募集人に対する体制整備義務も整備されています。
条文を具体的にどう運用するかは、金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」II-4-2-2(3)(法第294条の2関係)が示しています。監督指針は、意向把握・確認の方法について、次のように述べています。
意向把握・確認の方法については、顧客が、自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ、その意向に保険契約の内容が対応しているかどうかを判断したうえで保険契約を締結するよう図っているか。(略)取り扱う商品や募集形態を踏まえ、保険会社又は保険募集人の創意工夫による方法で行っているか。
保険会社向けの総合的な監督指針 II-4-2-2(3)|金融庁
ここで重要なのは、意向把握の方法が画一的に法定されているわけではなく、「創意工夫による方法」として各社に委ねられている点です。この考え方は、後述する意向把握シートの様式や、意向把握の方法の類型を理解する土台になります。
出典・参考資料(3件)
意向把握と意向確認の違い(タイミング・内容・目的で対比)
意向把握とあわせて混同されやすいのが「意向確認」です。両者は別々の行為ですが、どちらも第294条の2が定める一連のプロセスの一部であり、担う役割とタイミングが異なります。
意向把握は、募集の入口で顧客のニーズを掴む段階です。これに対して意向確認は、契約締結の直前に、最終的な意向と提案した契約内容が合致しているかを顧客に確かめてもらう段階を指します。条文でいえば、意向確認は4つの行為のうち「意向と契約内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供」に対応します。
| 区分 | 意向把握 | 意向確認 |
|---|---|---|
| タイミング | 募集プロセスの入口〜提案前 | 契約締結の直前(最終段階) |
| 確認する内容 | 顧客が求める保障の目的・内容・保険料などの意向(ニーズ) | 最終的な意向と、提案した契約内容が合致しているか |
| 目的 | 意向に沿った商品を提案するための前提を整える | 意向と契約のミスマッチを防ぎ、顧客が確認する機会を確保する |
※上記は保険業法第294条の2の一連のプロセスにおける役割の整理です。
両者を切り分けて捉えると、募集の流れが整理しやすくなります。入口で意向を把握し、その意向を軸に提案・説明を行い、最後に意向と契約内容の合致を確認してもらう。この起点と終点の関係が、意向把握と意向確認の違いです。
意向把握の方法|実務で使われる3つの類型
ここからは、意向把握を具体的にどう行うかを見ていきます。前述のとおり、監督指針は意向把握の方法を画一的に定めず「創意工夫による方法」に委ねています。そのうえで、監督指針が例示する方法は、実務では募集形態に応じて次の3つの類型で呼び分けられることが多くあります。
「意向把握型」「意向推定型」「損保型」は、監督指針が定める正式な名称ではなく、実務上の通称です。ここでは監督指針が示す方法との対応を添えて解説します。

意向把握型:顧客から意向を聞き取って提案する方法
意向把握型は、監督指針が示す方法(ア)に対応します。保険金額や保険料を含めた個別プランを提案するにあたり、まず顧客の意向を把握し、その意向に基づいた個別プランを提案します。そのうえで、最終的な顧客の意向が確定した段階で、当初把握した主な意向と比較し、相違があればその点を確認する、という流れです。保険ショップなど、顧客のニーズを対面で聞き取れる募集形態に向いています。
意向推定型:顧客属性から意向を推定する方法
意向推定型は、監督指針の(注2)に対応します。性別や年齢等の顧客属性や生活環境等に基づいて意向を推定し、それを踏まえて提案する方法です。提案型のビジネスなど、事前に顧客の詳細なニーズを聞き取ることが難しい募集形態で用いられます。推定した意向と最終的な意向がずれていないかを確認するプロセスは、意向把握型と同様に必要です。
損保型:必要な補償が明確な場合の把握方法
損保型は、監督指針の(注3)に対応します。自動車や不動産の購入等に伴う補償のように、顧客が必要とする補償を具体的にイメージしやすい場合の、意向の把握・説明・提案の方法です。あらかじめ必要な補償の輪郭が定まっている分、顧客の主な意向や情報を把握したうえで個別プランを作成・提案します。意向を一から聞き取る意向把握型と比べ、必要な補償が明確な状態から出発する点で、意向を掴む起点が異なります。
出典・参考資料(1件)
意向把握から意向確認までの実務の流れ
ここでは、意向把握が実際の募集でどのような流れになるかを、時系列で確認します。監督指針が示す一連のプロセスに沿うと、大きく次の3つのステップになります。

- 意向を把握する:募集の入口で、顧客がどのような保障を、何のために、どの程度の保険料で望むのかを把握します。
- 比較・提案し、説明する:把握した意向に沿って商品を絞り込み、個別プランを提案したうえで、契約内容を説明します。
- 最終的な意向との合致を確認する:契約締結の直前に、最終的な意向と提案内容が合致しているかを顧客に確認してもらいます。当初の意向と相違があれば、その点を確認します。
この流れは、営業ノウハウとして任意に組み立てるものではなく、保険業法と監督指針が求める募集プロセスに沿ったものです。各ステップで顧客の意向を軸に据えることが、意向把握義務を果たす前提になります。
当初の意向をいつの時点で捉えるか
実務で判断に迷いやすいのが、「当初の意向」をいつの時点で把握するかです。この点について、金融庁は平成26年改正保険業法に係るパブリックコメントで、次のような考え方を示しています。
「事前に把握した顧客の意向」に係る「把握すべき時期」については、商品特性や募集形態を踏まえ、募集過程のいずれかの時期とすることは可能です。(略)商品特性や募集形態にもよりますが、例えば、「最終的な顧客の意向が確定した段階」の直前等を「把握すべき時期」として定めた場合、適切かつ的確な意向把握は困難なものと考えます。
「平成26年改正保険業法(2年以内施行)に係る政府令・監督指針案」に対するパブリックコメントの結果等について(No.338)|金融庁
当初意向を把握する時期は募集過程のいずれかで構いませんが、最終的な意向が固まる直前に設定してしまうと、適切な意向把握とはいえなくなります。当初意向は、個別プランの提案・説明の前に把握し、帳票等で残しておくことが求められます。
意向把握シートとは|様式・書く項目・記録の残し方
意向把握を実務に落とし込む道具が「意向把握シート」です。ここでは、決まった様式があるのか、何を書くのか、監査で示せる記録をどう残すのか、という3点を整理します。
意向把握シートに決まった法定様式はあるか
意向把握シートに、法律で定められた決まった様式はありません。前述のとおり、監督指針は意向把握の方法を「創意工夫による方法」として各社に委ねており、様式や書面の作り方も一律には定めていないためです。パブリックコメントでも、意向把握書面について顧客の署名や押印までを必ずしも求めるものではない、との考え方が示されています。
ただし、様式が自由であることは、記録が不要であることを意味しません。後述のとおり、意向把握に用いた帳票等を保存する措置は監督指針が求めています。自社の募集形態に合った様式を設計しつつ、記録として残せる形にすることが実務のポイントです。
意向把握シートに書く項目と記入イメージ
様式が自由とはいえ、意向把握シートに盛り込むべき項目には共通性があります。実際に代理店や金融機関が用いている意向把握アンケートを踏まえると、次のような項目を設けるのが一般的です。
- 相談のきっかけ・目的:なぜ保険を検討しているのか(新規加入・見直し・ライフイベントなど)
- 備えたいリスク・保障の内容:死亡・医療・就業不能・老後資金など、どのリスクに備えたいか
- 保障の対象・期間:誰のための保障か、いつまでの保障を望むか
- 予算・保険料の希望:毎月・毎年どの程度の保険料を想定しているか
- 優先順位:保障の手厚さと保険料のどちらを重視するか
記入イメージを具体的に示します。相談のきっかけ欄には、「子どもの誕生を機に、万一のときの生活保障を準備したい」といった顧客の言葉をそのまま書き残します。
備えたいリスクは世帯主の死亡・就業不能、保障の対象・期間は末子が独立するまでの約20年、予算は月1万円程度まで、優先順位は保険料より保障の手厚さを重視、という具合に各欄を具体的に埋めていきます。
項目名だけを並べるのではなく、このように顧客の言葉で具体的に書き残すことで、後から当初意向を読み取れる記録になります。
記入にあたっては、選択式のチェック項目と自由記述を組み合わせると、意向を漏れなく捉えやすくなります。把握した当初意向と、提案後に確定した最終意向を並べて記録しておくと、両者を比較したうえで相違点を確認したという証跡にもなります。
監査で示せる記録の残し方・保存
意向把握シートは、作って終わりではなく、後から適切に把握したことを検証できる形で残すことが重要です。監督指針は、意向把握に係る体制整備として、次のように帳票等の保存を求めています。
保険会社又は保険募集人のいずれか、又は双方において、意向把握に係る業務の適切な遂行を確認できる措置を講じているか。例えば、適切な方法により、保険募集のプロセスに応じて、意向把握に用いた帳票等(例えば、アンケートや設計書等)であって、(略)顧客の最終的な意向と比較した顧客の意向に係るもの及び最終的な意向に係るものを保存するなどの措置を講じているか。
保険会社向けの総合的な監督指針 II-4-2-2(3)(体制整備関係)|金融庁
当初の意向と最終的な意向の両方について、意向把握に用いたアンケートや設計書等を保存しておくことが、監督上の確認項目になっています。紙やエクセルでの管理でも保存自体は可能ですが、記録の抜け漏れや紛失、属人化のリスクが伴います。監査や自己点検の際に、意向把握が適切に行われた証跡をすぐに示せる状態にしておくことが求められます。
出典・参考資料(1件)
意向把握の記録は、代理店が行う自己点検でも確認される項目の一つです。2026年から本格運用される代理店自己点検チェックシートの内容と、システムでどこまで対応できるかは、以下の記事で整理しています。
2026年本格運用前に確認したい代理店自己点検チェックシートとシステム機能の対応関係
2026年度、損害保険協会が主導する「代理店自己点検チェックシート」の本格運用が始まります。すでに2025年度からトライアルが開始されており、複数の保険会社が代理店に対して提出を求め始めている状況です。 このチェックシートへの対応を「書類仕…
2026年6月施行の改正保険業法と意向把握をめぐる動向
意向把握の実務は、法改正の動向とあわせて捉えておく必要があります。ここでは、2026年6月に施行された改正保険業法と、比較推奨販売をめぐる金融庁の方針を確認します。
保険業法の一部を改正する法律(令和7年法律第54号)は、2026年6月1日に施行されました。この改正は、顧客本位の業務運営の徹底を背景としています。
意向把握と関わりが深いのが、比較推奨販売の見直しです。金融庁は改正案(2025年12月17日公表)で、比較推奨販売について、顧客の意向に沿った選別を経ずに特定商品を提示・推奨する類型(いわゆる「ハ方式」に相当する取扱い)を削除し、顧客の意向に沿って選別する方式へ整理する方向を示しています。
ただし、比較推奨販売に関する部分の最終的な内容は別途公表するとされており、この記事の作成時点では確定・施行に至っていません。現行の保険業法施行規則第227条の2にも、いわゆるハ方式に相当する類型が残っています。動向としては「ハ方式を廃止して顧客の意向に沿った方式へ一本化する方針が示された段階」と捉え、確定した情報は金融庁の公表を確認するのが安全です。
本記事では比較推奨販売そのものの中身までは立ち入りませんが、イ・ロ・ハ方式の違いやハ方式廃止の背景を詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。

【2026年法改正対応】保険代理店の比較推奨販売(イ・ロ・ハ方式)とは?ハ方式廃止の背景と対策まで分かりやすく解説
2026年6月1日に施行予定の改正保険業法(令和7年法律第54号)に合わせ、金融庁は関連する施行規則・監督指針等の見直しを進めています。 特に注目されているのが、比較推奨販売に関する情報提供類型の整理です。施行規則改正案では、情報提供類型が…
この方針のもとで金融庁が改正案として示しているのが、記録・証跡の保存に関する体制整備です。改正案では、比較推奨販売の適切性を確認・検証できるよう、次のように定めています。
比較推奨販売の適切性等の確認・検証に必要となる記録や証跡等の保存期間等を社内規則等にて定めた上で、比較推奨販売の適切性に関して、効率的かつ効果的に確認・検証しているか。
「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について(保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)関係)|金融庁
また改正案は、提示・推奨の基準や理由を形式的に説明したように装う運用を戒めています。合理的かつ具体性のある説明を装いながら、実質的には代理店都合で商品を選別・推奨することのないよう留意すべきとされ、意向把握から絞り込み、推奨理由の説明・記録までを一貫して残すことの重要性が増しています。
意向把握そのものの義務が変わるわけではありませんが、把握した意向と推奨の対応関係を記録・証跡として残す実務の比重は、こうした動向のなかで高まっているといえます。
出典・参考資料(3件)
意向把握の記録・証跡化を効率化するシステム活用
ここまで見てきたように、意向把握は「把握する」だけでなく「記録として残し、後から検証できる状態にする」ことが求められます。この記録・証跡化を紙やエクセルで運用すると、担当者の事務負担が増えるうえ、抜け漏れや属人化が起きやすくなります。
そこで有効なのが、保険代理店業務に特化した保険代理店システムの活用です。意向把握から比較・提案、記録の保管までを一つのシステムで処理でき、監査や自己点検の際にも証跡を示しやすくなります。次章では、意向把握や記録の機能を備えた代表的なサービスを比較します。
意向把握・記録機能を持つ保険代理店システム比較
ここからは、意向把握や比較推奨の記録に対応した保険代理店システムを紹介します。料金や機能を比較し、自社の規模や運用に合うサービスを検討してみてください。
| サービス名 | hokan | YouWill-CRM |
|---|---|---|
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 200,000円(税別) |
| 月額費用 | 要お問い合わせ | 3,000円/人〜 (Standardプラン・最少5人) |
| 意向把握の記録 | ● | ● |
| 比較推奨の記録 | ● | ● |
| 監査・自己点検対応 | 募集プロセス管理で 活動記録・報告を テンプレート化 | 点検表で記録に不備が ある契約を一覧抽出 |
| 主な特徴 | 顧客管理から意向把握・ 満期更改までを 単一基盤で一元管理する統合型 | 「必要十分」を掲げた シンプル設計。低コストで 導入しやすい |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
hokan(株式会社hokan)

hokanは、株式会社hokanが提供する保険代理店業務に特化したクラウド型のシステムです。顧客・契約管理から意向把握・比較推奨、満期更改までを単一のプラットフォームで一元管理し、乗合代理店で起きやすい情報の分断や属人化の解消を主眼に設計されています。
意向把握から商品提案までをペーパーレスで記録でき、推奨商品の設定にも柔軟に対応します。活動記録や報告をテンプレート化する募集プロセス管理機能により、監査に向けた証跡を確保しやすい点が特徴です。比較推奨の記録やロ方式での運用にも対応しやすく、自己点検で問われる証跡の整備を支えます。
料金は要お問い合わせで、公式サイトの料金シミュレーションから確認できます。意向把握の記録と監査対応を、業務特化の機能で標準的に固めたい代理店に適しています。
YouWill-CRM(トラストオフィス株式会社)

「シンプルで使いやすくて安い」を掲げるYouWill-CRMは、トラストオフィス株式会社が提供する保険代理店特化型の顧客管理システムです。生命保険・損害保険の契約データを一元管理し、意向把握・比較推奨・満期更改・点検表の出力までを必要十分な機能でカバーします。
意向把握の記録は、チェックボックスと補足の文章を組み合わせ、当初の意向・絞り込みの結果・推奨の理由・最終決定の理由まで網羅的に残せる設計です。監査・自己点検には「点検表」機能が用意されており、意向把握や比較推奨の記録に不備がある契約を一覧で確認できます。高齢者募集や外貨建て保険など、詳細なヒアリングが必要な契約には必須入力のチェックが働きます。
料金は月額3,000円/人からと低コストで、初期費用は初期設定支援として200,000円(税別)です。記録を現場に定着させる第一歩を重視する、中小規模やコスト重視の代理店に向いた選択肢です。
意向把握では、顧客のニーズをそのまま並べるだけでなく、備えたい保障の優先度の差をどう扱うかが実務上の論点になります。この点について、開発元であるトラストオフィス株式会社の小守氏は、独自インタビューで意向の「重み付け」の考え方を次のように説明しています。

お客様の意向には、もともと重みがあると考えています。たとえば車を選ぶときに、「大家族だから3列シートは必須」「スライドドアはあった方がいいけれど、なくても困らない」というように、同じ「ニーズ」でも優先度には差があります。保険商品を選ぶときも全く同じで、必ず備えたい保障もあれば、あったら良い程度の特約もあります。
YouWill-CRMのスコアリング方式では、お客様にヒアリングした意向を「必須・重要・あったら良い」の3段階で整理し、必須なら5点、重要なら3点、あったら良いなら1点という形で重み付けをしていきます。もし重みを付けずに一律にニーズを並べてしまうと、本当は重要度の低いはずの条件が上位に来てしまうことがあります。お客様が本当に求めている条件を正しく上に出すために、この重み付けの考え方を採用しています。
ここでは意向把握・記録機能に絞って2つのサービスを取り上げましたが、保険代理店システムは機能や料金、対応領域が幅広く分かれます。全体を比較して自社に合うシステムを選びたい方は、以下の記事で主要21サービスの機能・選び方を詳しく解説しています。
まとめ
意向把握とは、保険業法第294条の2に基づき、顧客の意向を把握し、その意向に沿った提案・説明を行い、最終的に意向と契約内容が合致していることを顧客が確認する機会を提供する、という一連の義務です。募集の入口で意向を掴む意向把握と、契約直前に合致を確かめる意向確認は、同じプロセスの別の段階として区別できます。
意向把握シートに法定様式はありませんが、意向把握に用いた帳票等を保存する措置は監督指針が求めています。2026年6月施行の改正保険業法をめぐっては、比較推奨販売の見直しが進められており、把握した意向と推奨の対応関係を記録・証跡として残す実務の比重が高まっています。
意向把握の記録と監査対応の負担を軽減するには、専用の保険代理店システムの活用が有効です。MCB FinTechカタログでは、これらのシステムの資料を無料で一括請求できます。自社の規模や運用に合うシステムを、ぜひ比較検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 意向把握と意向確認は何が違うのですか?
A. 意向把握は募集の入口で顧客のニーズを掴む段階、意向確認は契約締結の直前に意向と契約内容が合致しているかを顧客に確かめてもらう段階です。どちらも保険業法第294条の2が定める一連のプロセスの一部で、意向把握が起点、意向確認がその終点にあたります。募集の流れは「入口で意向を把握し、その意向を軸に提案・説明を行い、最後に意向と契約内容の合致を確認してもらう」という関係で整理できます。
Q. 意向把握シートに決まった法定様式はありますか?
A. 意向把握シートに、法律で定められた決まった様式はありません。金融庁の監督指針が意向把握の方法を「創意工夫による方法」として各社に委ねているためで、パブリックコメントでも顧客の署名や押印までを必ずしも求めるものではない、との考え方が示されています。
ただし様式が自由であることは記録が不要であることを意味せず、意向把握に用いた帳票等を保存する措置は監督指針が求めています。自社の募集形態に合った様式を、記録として残せる形で設計することが実務のポイントです。
Q. 前年と同条件・比較不要のチェックだけで、意向把握や説明を省略できますか?
A. 省略できません。意向把握は保険業法第294条の2が定める法律上の義務であり、チェック欄を埋めるだけで意向把握や契約内容の説明を省略することはできません。むしろ2026年6月施行の改正保険業法をめぐる金融庁の改正案では、提示・推奨の基準や理由を形式的に説明したように装う運用が戒められており、把握した意向と推奨の対応関係を記録として残す重要性はむしろ高まっています。
Q. 意向把握型・意向推定型・損保型のどれを選べばよいですか?
A. 3つの型は優劣で選ぶものではなく、自社の募集形態に合わせて使い分けます。対面で顧客のニーズを聞き取れる保険ショップ等は意向把握型、事前に詳細を聞き取りにくい提案型ビジネスは意向推定型、自動車や不動産の購入に伴う補償など必要な補償が明確な場合は損保型が対応します。いずれも監督指針が示す方法で、意向把握の方法は「創意工夫による方法」として各社に委ねられています。
Q. 2026年6月施行の改正保険業法で、意向把握の実務は何が変わりますか?
A. 意向把握義務そのものが変わるわけではありませんが、比較推奨販売の見直しにより、把握した意向と推奨の対応関係を記録・証跡として残す実務の比重が高まっています。
いわゆる「ハ方式」を廃止して顧客の意向に沿った方式へ整理する方向は金融庁の改正案で示された方針であり、比較推奨販売に関する部分の最終的な内容は別途公表するとされ、記事作成時点では確定・施行に至っていません。確定した情報は金融庁の公表で確認するのが安全です。
Q. 意向把握の記録はどこまで保存すべきですか?
A. 当初の意向と最終的な意向の両方について、意向把握に用いたアンケートや設計書等の帳票を保存することが、監督指針上の確認項目とされています。紙やエクセルでも保存自体は可能ですが、記録の抜け漏れ・紛失・属人化のリスクが伴います。監査や自己点検の際に、意向把握が適切に行われた証跡をすぐ示せる状態にしておくことが求められます。
出典・参考資料(3件)
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