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保険代理店のDXとは?変えるべき業務と進め方・システムをわかりやすく解説

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複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店では、申込書は紙、顧客や満期の管理はExcelと手書きメモ、という運用がいまも珍しくありません。更新もれや二度手間が起きやすく、乗合先や法令からは記録・体制整備の徹底を求められ、「DXを進めなければ」という圧力だけが強まっているのではないでしょうか。

ただ「DX」という言葉は大きく、自社の業務に引き寄せて考えないと、何から手をつければよいのか見えてきません。大切なのは、DXを抽象的な変革論として捉えるのではなく、満期管理・顧客/契約情報の一元管理・契約手続きの電子化・意向把握の記録といった、日々の具体的な業務のどれを・何に変えることなのかを押さえることです。

この記事では、保険代理店のDXで変える対象業務を一覧で示し、なぜ今それが必要なのか、どこから手をつけるのか、そして実現手段となる保険代理店向けシステムを機能・料金で比較しながら解説します。

保険代理店のDXとは?まず変える対象業務を押さえる

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を使って業務やビジネスモデルを変革することです。保険代理店のDXは、紙やExcel、担当者の記憶に頼って回してきた代理店業務を、システムで一元化・自動化し、組織として回せる形に変えることを指します。まず押さえたいのは、自社のどの業務がDXの対象になるのかです。

下の表は、乗合代理店の主な業務について、紙・Excel運用でよくある状態と、DXで変わる姿を並べたものです。自社の日々の作業をなぞりながら、どこに手を入れられそうかを確認してみてください。

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業務領域顧客・契約情報の管理満期・更新・異動の管理申込・契約手続き意向把握・比較推奨の記録(体制整備)募集人・手数料の管理見込み客対応・情報提供
今のよくある状態(紙・Excel)保険会社ごとの証券・Excel台帳・紙ファイルに情報が分散し、担当者しか全体を把握できないExcelとカレンダーの手入力で管理し、更新もれ・連絡もれのリスクが残る紙の申込書に押印・郵送。記入もれの差し戻しや保管の手間がかかる意向確認書面や推奨理由の記録が紙・個人管理で、証跡の一貫性を保ちにくい手数料計算や募集人の実績管理をExcelで手作業。集計に時間がかかる対面・電話が中心で、対応履歴が個人に留まりフォローが漏れやすい
DXで変わる姿顧客に紐づけて契約・履歴を一元管理。誰でも最新情報を検索でき、属人化を解消満期・更改をシステムが自動で抽出・通知し、対応進捗を可視化電子申込・電子契約でペーパーレス化。記入チェックと保管を電子化意向把握から提案・比較推奨までの記録をシステムで残し、監査証跡を確保手数料計算や実績集計を自動化し、経営判断に使えるデータに対応履歴を共有し、オンラインでの情報提供やフォローを仕組み化

※上記は一般的な傾向です。実際に変えられる範囲は導入するシステムや自社の運用によって異なります。

「デジタル化」と「DX」はどう違うのか

紙をPDFにする、ExcelをクラウドのExcelに置き換える、といった作業は「デジタル化(既存業務のツール置き換え)」にとどまります。DXは、その先で業務のやり方そのものを変えることを指します。たとえば、契約情報を一元管理したうえで満期対応を自動化し、意向把握の記録まで一続きの流れにする、というように、個々の作業の効率化ではなく、業務プロセス全体を組み替えるのがDXです。

そのため、DXの出発点は「どのツールを入れるか」ではなく、「どの業務を、どういう流れに変えたいか」を決めることにあります。上の対象業務のうち、自社で最も手間や不安が大きいところから着手するのが現実的です。

なぜ今、保険代理店にDXが必要なのか

ここからは、DXが「あった方がよい」ではなく「今取り組むべき」と言われる理由を、乗合先の要請・法令・自社運用の3つの角度から整理します。

乗合先(保険会社)からの電子化・体制整備の要請

複数の保険会社と契約する乗合代理店は、乗合先から募集品質や体制整備の状況を確認され、電子的な手続きへの対応を求められる場面が増えています。紙とExcelのままでは、求められた記録や証跡をすぐに示せず、対応のたびに手作業が発生します。日常業務のデータをシステムに集約しておくことが、乗合先との関係を保つうえでも効いてきます。

こうした要請の背景には2026年の法改正があるとよく語られますが、現場が感じている変化はそれだけではありません。保険代理店向けCRMを提供するトラストオフィスの小守氏は、代理店を評価する軸そのものが動いていると話します。

小守氏
トラストオフィス株式会社 代表取締役
小守氏
独自インタビューより

ただ、法改正だけが背景ではありません。業界全体として「規模」から「品質」へと評価軸が変化してきていることも大きな流れです。数年前までは、代理店の規模が大きいことそのものが評価される傾向がありました。しかし最近は、保険会社様からも業務品質がしっかり求められるようになっています。面談記録の整備や必要な研修の受講といった基本動作ができていないと、同じ手数料を稼いでいても評価面で差が付いてしまう状況になってきています。数字だけを追うのではなく、業務の質をきちんと整えることが、代理店様にとってますます重要になっている実感があります。

保険業法の記録・体制整備義務と、2026年改正による比較推奨の厳格化

保険募集人には、顧客の意向を把握して記録し(意向把握義務)、乗合代理店として複数商品を比較・推奨する際の方針や理由を残す体制を整える義務(体制整備義務)があります。これらは2014年(平成26年)の保険業法改正で新設され、2016年に施行された、規模を問わず適用される既存の義務です。DXで新たに生じる話ではなく、すでに求められている記録・体制整備を、どう確実に回すかという課題です。

そのうえで、2026年6月1日に施行された保険業法の改正(令和7年改正)では、乗合代理店の比較推奨販売の適正化が柱の一つとなりました。比較・推奨の理由をより明確に記録・説明することが求められる方向で、紙や個人管理のままでは証跡の一貫性を保ちにくくなります。改正の具体的な内容と中小規模の代理店への影響は、記事後半の「保険業法の記録・体制整備義務とDX」で条文とあわせて解説します。

紙・Excel運用のままだと何が困るのか

紙とExcel、担当者個人の管理に頼った運用には、いくつかの弱点があります。満期や更新の連絡もれ、同じ情報を複数の台帳に入力する二度手間、担当者が不在だと状況が分からない属人化、そして退職時の引き継ぎの難しさです。

保険代理店の数そのものも減少しています。日本損害保険協会の統計では、2024年度末の損害保険代理店の実在数は140,138店で、前年度末から7.0%減少しました。限られた人数で品質を保つには、手作業を減らして組織で回せる仕組みへ移すことが避けて通れなくなっています。

出典・参考資料(1件)

保険代理店DXの進め方——どこから手をつけるか

ここからは、いきなり全部を変えようとして頓挫しないための、現実的な進め方を解説します。数人から十数人規模の代理店でも取り組める順序で整理します。

段階的に進める4つのステップ

DXは一度にすべてを変える必要はありません。効果が見えやすく、負担の小さいところから順に広げていくのが定石です。

保険代理店DXを段階的に進める4つのステップ。STEP1 可視化・ペーパーレス化(紙の帳票や台帳を電子化し情報の所在を整理)、STEP2 顧客・契約情報の一元管理(データを一つのシステムに集約し満期・更新の抜けを防ぐ)、STEP3 意向把握・比較推奨の記録の電子化(提案や比較推奨の理由を記録し監査証跡として残す)、STEP4 顧客接点のデジタル化(オンラインの情報提供やフォロー、電子契約へ広げる)の順に矢印でつないだ図。
  1. 可視化・ペーパーレス化:紙の申込書・帳票や台帳を電子化し、どこに何の情報があるかを整理する。まず現状を「見える」状態にする段階です。
  2. 顧客・契約情報の一元管理:分散した顧客・契約データを一つのシステムに集約し、誰でも最新情報を検索できるようにする。満期・更新の抜けもここで防ぎます。
  3. 意向把握・比較推奨の記録の電子化:意向把握から提案、比較推奨の理由までをシステム上で記録し、監査証跡として残せるようにする段階です。
  4. 顧客接点のデジタル化:オンラインでの情報提供やフォロー、電子契約など、顧客との接点をデジタルに広げる。土台が整ってから取り組むと定着しやすくなります。

すべてを同時に進める必要はなく、まずはステップ1・2で情報の分散と属人化を解消するだけでも、更新もれや二度手間は大きく減らせます。

現場が使いこなせるか——つまずきやすい点と対策

DXでよくあるつまずきは、システムを入れたのに現場で使われず、結局Excelに戻ってしまうことです。募集人ごとのITの得手不得手や、これまでのやり方を変えることへの抵抗が背景にあります。

対策としては、いきなり全機能を使わせるのではなく、入力項目を絞って「まずは顧客情報だけ入れる」ところから始めること、そして経営者自身が使う姿勢を示すことが有効です。

初期費用や社内の反発が心配な場合は、月額制で小さく始められるシステムを選び、効果を確認しながら広げる進め方がリスクを抑えられます。操作のしやすさや入力の負担は、契約前にデモやトライアルで現場のメンバーに触ってもらって見極めるのが確実です。

経営者の関与がなぜ定着を左右するのか。現役の損害保険代理店でもある株式会社エムアイシーの丸宮氏は、導入を主導する立場の違いが結果を分けると、自社の経験から振り返ります。

丸宮氏
株式会社エムアイシー 代表取締役
丸宮氏
独自インタビューより

導入後に日常的な運用の中心となるのは、事務担当者の方が多い傾向にあります。一方で、導入を主導されるのは、やはり経営者の方が多いです。

これまでの経験上、経営者ではない方が中心となって導入を進めたものの、社内全体の運用ルールや意識づけまで浸透せず、十分に活用しきれなかったケースもありました。システムは、単に導入すれば定着するものではありません。顧客情報や対応履歴を社内で共有し、組織として活用していくためには、経営者が方針を示し、社員の皆様と一緒に運用していくことが重要です。

保険代理店のDXを実現するシステムと選び方

DXの対象業務と進め方が見えたら、それを実現する手段となるのが保険代理店向けのシステムです。ここでは、汎用のCRMや単機能ツールではなく、保険代理店業務に特化して顧客・契約・意向把握・満期更改などを扱えるシステムを取り上げ、選び方と主要サービスを比較します。

システム選びで見る4つの観点

自社に合うシステムを選ぶときは、次の4つの観点で見比べると判断しやすくなります。下の比較表のカラムとも対応しています。

  • 法令対応:意向把握の記録や比較推奨の方針・理由の記録に対応し、監査証跡を残せるか。体制整備義務への対応で差が出ます。
  • 他システム・データ連携:保険会社の共同ゲートウェイ(共同GW)連携やExcelからの取り込みに対応し、既存データを移行しやすいか。
  • 満期・更改管理:満期や更新をシステムが自動で抽出・通知し、対応の抜けを防げるか。
  • 費用:初期費用と月額(1IDあたりの単価や最低利用人数)が自社の規模に合うか。小さく始められるかも確認します。

主要システムの機能・料金を比較

本記事で取り上げる保険代理店向けシステムを、上記の観点で比較したものが次の表です。各サービスの詳しい紹介は表の下に続きます。

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比較項目hokanYouWill-CRM保険マネージャー for Business保険VOS
初期費用要問い合わせ200,000円(税別)0円要問い合わせ
月額費用(1ID/1人)要問い合わせ
(料金シミュレーション制)
3,000円/人〜
(最少5人。Core 2,000円/人〜は最少30人)
0円〜(フリープラン)
550円・2,200円(1アカウント)
4,000円/ID
(別途 電子証明書200円/ID)
意向把握・比較推奨の記録(体制整備)要問い合わせ意向把握は対応・比較推奨は要確認
満期・更改管理
共同GW・データ連携要問い合わせ
詳細情報公式資料を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る

※上記は各社公式情報にもとづく一般的な傾向です。最新の機能・料金は各社にご確認ください。

DXを支える主要システム(個別紹介)

ここからは、比較表で取り上げた各システムを個別に紹介します。各システムの詳しい機能・料金は、以下の紹介や公式情報とあわせて確認してください。

1. hokan(株式会社hokan)

hokanのウェブサイト

hokanは、保険代理店業務に特化したクラウド型の顧客・契約管理システムです。顧客情報・契約管理・意向把握・比較推奨・満期更改・案件管理までを単一のプラットフォームで扱い、複数の保険会社を扱う乗合代理店で起きがちな情報の分断と属人化を解消することを主眼に設計されています。

意向把握から商品提案までをペーパーレスで記録し、募集プロセスの活動記録をテンプレートで残せるため、比較推奨や意向把握の監査証跡を確保しやすい点が特徴です。保険会社の共同ゲートウェイ(共同GW)連携により既契約情報を一括で取り込め、Excelからの取り込みにも対応するため、紙・Excel運用からの移行の負担を抑えられます。料金は料金シミュレーション形式で、詳細は資料で確認できます。

2. YouWill-CRM(トラストオフィス株式会社)

YouWill-CRMのウェブサイト

生命保険・損害保険の両方に対応した保険代理店向けCRMが、トラストオフィス株式会社のYouWill-CRMです。満期更改の管理や意向把握の記録に対応し、顧客・契約情報を一元管理できます。

料金は公式サイトで公開されており、2026年7月時点で、Standardプランが1人あたり月額3,000円(最少5人から)、Coreプランが1人あたり月額2,000円(最少30人から)、初期設定支援が200,000円(いずれも税別)です。

情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得しており、料金体系が明確なため、費用を見通しながら導入を検討したい代理店に向いています。

3. 保険マネージャー for Business(株式会社TFPグループ)

保険マネージャー for Businessのウェブサイト

全従業員がMDRT(生命保険・金融サービスの優績者で構成される国際的な組織)会員という乗合代理店を運営する株式会社TFPグループが、自社の業務効率化のノウハウをもとに提供するのが保険マネージャー for Businessです。顧客・契約情報の一元管理に加え、手数料計算の自動化に対応しています。

料金は初期費用0円で、2026年7月時点で、機能を絞ったフリープランが月額0円、ライトプランが月額550円、スタンダードプランが月額2,200円です。少人数・家族経営の代理店が費用をかけずに始めやすい価格帯で、まず小さく試してから広げたい場合の選択肢になります。

ただし、意向把握・比較推奨の記録機能の有無は公式サイトで明示されていないため、体制整備の記録を重視する場合は資料や問い合わせで確認することをおすすめします。

4. 保険VOS(SD Financial Technology株式会社)

保険VOSのウェブサイト

保険VOSは、SD Financial Technology株式会社(ソシオ・ダイバシティグループ)が提供する保険代理店特化型のCRM・営業支援システムです。顧客管理・営業支援に加え、コンプライアンス対応やグループウェア機能を備えています。

料金は2026年7月時点で、1IDあたり月額4,000円に電子証明書200円/IDが加わる体系です。情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得し、公式サイトでは全国約600社の導入を掲げています。初期費用や最低利用ID数、意向把握や比較推奨(乗合代理店が複数商品から推奨する際の方式)の記録への対応レベルは、資料や問い合わせで確認するとよいでしょう。

ここで紹介した4つのほかにも、保険代理店向けのシステムは数多くあります。次の記事では、主要な保険代理店システムの機能・料金を横並びで比較し、保険業法改正への対応まで含めた選び方を詳しく解説しています。自社に合うシステムをじっくり比較検討したい方は、あわせてご覧ください。

また、DXの手段の一つとして、業務の自動化や顧客対応にAI(人工知能)を取り入れる動きも広がっています。AI活用の事例や費用、始め方まで知りたい場合は、次の記事もあわせて参考にしてください。

保険業法の記録・体制整備義務とDX

保険代理店のDXが「業務効率化」だけの話にとどまらないのは、意向把握や比較推奨の記録が法令上の要請と結びついているためです。ここでは、DXの対象業務が保険業法のどの義務に対応するのかを、条文を引きながら確認します。

まず、保険募集人には顧客の意向を把握し、それに沿った提案・説明を行う「意向把握義務」があります。保険業法(以下、法)第294条の2は次のように定めています。

保険会社等(…)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結、保険募集(…)に関し、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等(…)の提案、当該保険契約の内容の説明及び保険契約の締結等に際しての顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない。

出典:保険業法 第294条の2(顧客の意向の把握等)|e-Gov法令検索

さらに、複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店では、比較・推奨した内容を提供する体制を整える義務があります。法第294条の3第1項は、業務運営に関する措置として次のように定めています。

保険募集人は、保険募集の業務(…)に関し、(…)内閣府令で定めるところにより、保険募集の業務に係る重要な事項の顧客への説明、保険募集の業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱い、(…)二以上の所属保険会社等を有する場合における当該所属保険会社等が引き受ける保険に係る一の保険契約の契約内容につき当該保険に係る他の保険契約の契約内容と比較した事項の提供、(…)その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならない。

出典:保険業法 第294条の3第1項(業務運営に関する措置)|e-Gov法令検索

これらの意向把握義務・体制整備義務は、2014年(平成26年)の保険業法改正で新設され2016年に施行された、規模を問わない既存の義務です。意向確認書面や比較推奨の理由の記録を、紙や担当者個人の管理で残すのではなく、システムで一貫して記録・保管できるようにすることが、DXの重要な対象業務になります。

加えて、2026年6月1日に施行された保険業法の改正(令和7年改正)では、乗合代理店の比較推奨販売の適正化が図られました。いわゆる「ハ方式」(自社の推奨方針にもとづく推奨)が廃止され、顧客の意向を踏まえた比較・推奨と、その理由の記録・説明がより強く求められます。記録や証跡の確保が一層重要になるため、システムによる記録の電子化は、義務を果たす現実的な手段になります。

ただし、この2026年改正で新たに義務づけられた体制整備の強化(法令等遵守責任者の設置など)の対象は、手数料等の規模が大きい「特定大規模乗合保険募集人」です。数人から十数人規模の中小の代理店が、2026年改正で直ちに新しい義務を負うわけではありません。

とはいえ、意向把握や比較推奨の記録という既存の義務は規模を問わず適用されます。その記録・証跡をシステムで確実に残せるようにしておくことに変わりはありません。

出典・参考資料(2件)

契約手続きの電子化は法的に有効か

申込・契約手続きの電子化を進めるうえで気になるのが、電子契約が紙の押印と同じ効力を持つのかという点です。電子署名及び認証業務に関する法律(以下、電子署名法)第3条は、本人による電子署名が行われた電磁的記録について、次のように定めています。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(…)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第3条|e-Gov法令検索

つまり、適正な電子署名が行われていれば、電子契約も文書として真正に成立したものと推定されます。あわせて、電子で授受した契約書などの取引データは、電子帳簿保存法により電子データのまま保存することが求められます(2024年1月以降)。電子化は保存要件まで含めた業務として設計する必要があり、保存や検索に対応したシステムを使うことが、要件を満たすうえでも役立ちます。

出典・参考資料(2件)

まとめ

保険代理店のDXは、抽象的な変革論ではなく、顧客・契約情報の一元管理、満期・更新の管理、契約手続きの電子化、意向把握・比較推奨の記録といった、日々の具体的な業務を一つずつ変えていくことです。まずは情報の分散と属人化を解消するところから始め、段階的に広げるのが現実的です。

意向把握や比較推奨の記録は保険業法上の要請とも結びついており、システムによる記録の電子化は、これらの義務を果たす手段として効いてきます。自社の規模や課題に合うシステムを、機能・費用の両面から比較して、まずは資料請求で具体的に検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 保険代理店のDXとは何ですか?

A. 保険代理店のDXとは、紙やExcel、担当者の記憶に頼って回してきた代理店業務を、システムで一元化・自動化し、組織として回せる形に変えることです。顧客・契約情報の一元管理、満期・更新の管理、申込・契約手続きの電子化、意向把握・比較推奨の記録といった日々の具体的な業務が対象になります。紙をPDFにするようなツールの置き換え(デジタル化)にとどまらず、業務プロセス全体を組み替える点が特徴です。

Q. 保険代理店のDXは何から始めればよいですか?

A. 保険代理店のDXは、紙・台帳の可視化とペーパーレス化、そして分散した顧客・契約情報の一元管理から始めるのが現実的です。効果が見えやすく負担の小さいこの2段階だけでも、満期・更新の抜けや、同じ情報を複数の台帳に入力する二度手間を大きく減らせます。意向把握・比較推奨の記録の電子化や顧客接点のデジタル化は、土台が整ってから段階的に広げると定着しやすくなります。

Q. ITが苦手な募集人が多くても保険代理店のDXは進められますか?

A. ITが苦手な募集人が多い代理店でも、入力項目を絞って「まずは顧客情報だけ入れる」ところから小さく始めれば、保険代理店のDXは進められます。いきなり全機能を使わせると現場で使われずExcelに戻りがちなため、経営者自身が使う姿勢を示すことが有効です。操作のしやすさや入力の負担は、契約前にデモやトライアルで現場のメンバーに触ってもらって見極めると確実です。

Q. 保険代理店のDXは効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 保険代理店のDXは、着手する業務によって効果が見えるまでの期間が異なり、情報の一元化やペーパーレス化のように負担の小さい領域ほど早く実感しやすい傾向があります。全体を一度に変えようとせず、更新もれや二度手間といった身近な課題から段階的に取り組むことで、早い段階で手応えを得ながら対象範囲を広げられます。

Q. 保険代理店のDXにかかる費用を抑える方法はありますか?

A. 保険代理店のDXの費用は、初期費用0円や月額0円〜数百円で始められるプランを持つシステムを選び、月額制で小さく試してから広げることで抑えられます。本記事で紹介したシステムにも、初期費用0円・月額0円のプランや、1人あたり月額数千円のプランがあり、自社の規模に合わせて選べます。国のIT導入補助金など公的な支援制度の対象になる場合もあるため、導入前に確認しておくとよいでしょう。

Q. 保険代理店のDXを社内に定着させるには何が大切ですか?

A. 保険代理店のDXを定着させるには、現場が無理なく使い続けられる仕組みをつくることが最も大切です。入力項目を絞って始める、経営者自身が率先して使う、効果を確認しながら段階的に機能を広げる、といった進め方が、システムを入れたのにExcelに戻ってしまう事態を防ぎます。

Q. 保険代理店のDXは2026年の保険業法改正で義務化されますか?

A. 保険代理店のDX(システム化)そのものは、2026年の保険業法改正で義務化されたわけではありません。顧客の意向を把握して記録する意向把握義務と、比較・推奨の方針や理由を残す体制整備義務は、2014年(平成26年)の改正で新設され2016年に施行された、規模を問わず適用される既存の義務です。

2026年6月1日施行の改正では、比較推奨販売の適正化として「ハ方式」が廃止され、顧客の意向を踏まえた比較・推奨とその記録・説明がより強く求められるようになりました。法令等遵守責任者の設置といった体制整備の強化が新たに義務づけられたのは手数料等の規模が大きい「特定大規模乗合保険募集人」で、中小規模の代理店が新たな義務の対象になるわけではありません。

DXは、これらの記録・体制整備を紙や個人管理に頼らず確実に果たすための手段という位置づけです。

出典・参考資料(2件)

Q. 汎用のCRMやExcelでは保険代理店のDXに対応できませんか?

A. 汎用のCRMやExcelでも顧客管理はできますが、満期・更改の自動抽出や、意向把握・比較推奨の記録といった保険代理店特有の業務には、代理店業務に特化したシステムのほうが対応しやすいです。

汎用ツールは項目設計や法令対応を自前で作り込む必要があり、体制整備の監査証跡を一貫して残しにくい面があります。特化型システムは保険会社の共同ゲートウェイ(共同GW)連携や意向把握の記録機能を標準で備えるものが多く、紙・Excel運用からの移行の負担も抑えられます。

Q. 小規模・少人数の保険代理店でもシステムを導入できますか?

A. 小規模・少人数の保険代理店でも、最低利用人数や料金プランが自社の規模に合うシステムを選べば導入できます。本記事で紹介したシステムには、月額0円から使えるものや最少5人から利用できるものがある一方、最少30人からのプランもあるため、契約前に最低利用ID数と1IDあたりの単価を確認することが大切です。まずは小さく始めて効果を見ながら広げれば、費用と現場の負担を抑えられます。

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