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保険代理店に将来性はある?「なくなる・いらない」の理由と生き残る代理店の条件

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「保険はネットで入る時代」「AIが営業を代替する」といった話を耳にするたびに、保険代理店はこの先なくなるのか、あと10年この仕事で食べていけるのかという不安がよぎる経営者や募集人は少なくありません。

本記事は、その問いに結論から答えます。そのうえで、代理店数の推移や募集チャネルの変化を公式統計で確かめ、「なくなる・いらない」と言われる理由の正体を一つずつ言語化し、「なくなる代理店」と「残る代理店」の分かれ目、2026年6月に施行された改正保険業法が求めること、そして今日から打てる具体策までを整理します。

将来への漠然とした不安を、自社の打ち手に変えたい保険代理店の経営者・業務責任者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

保険代理店はなくなるのか?結論は「なくならない、ただし二極化する」

結論から言えば、保険代理店という業態そのものはなくなりません。ただし、従来のやり方を変えない代理店は淘汰され、業界は「残る代理店」と「消える代理店」に二極化します

理由はシンプルです。保険は商品が複雑で、家計や事業のリスクに合わせて選ぶ必要があり、契約後のアフターフォローや事故対応も欠かせません。この「対面で相談しながら選び、長く付き合う」価値は、ネットやAIだけでは完全には置き換わりません。一方で、単に商品を並べて売るだけの代理店は、ネット販売や大型代理店との価格・効率の競争で立ち行かなくなります。

このように「代理店が消える」のではなく、「選ばれない代理店が消え、選ばれる代理店が残る」というのが実態に近い姿です。次章以降で、その根拠となる数字と、分かれ目の具体を順に見ていきます。

数字で見る保険代理店の将来性

ここからは、「なくなる」という不安の実態を、業界団体の公式統計で確かめます。「なんとなく減っている」ではなく、何年から何年で、どれだけ変化したのかを数字で押さえます。

代理店数は減っている。ただし「消滅」ではなく「集約」

損害保険の代理店数は、実際に減少が続いています。日本損害保険協会の統計によると、損害保険代理店の実在数は2023年度末の150,652店から、2024年度末には140,138店へと、1年で10,514店(△7.0%)減少しました。内訳は新設4,334店に対し廃止14,848店で、差し引き10,514店の純減です。

生命保険でも同じ傾向です。生命保険協会の統計では、法人代理店数は9年連続で減少し2024年度は31,339店、個人代理店数は10年連続で減少し43,959店となっています。代理店で保険を扱う使用人数も7年連続で減少しています。

ただし、この減少は「保険代理店という業態の消滅」を意味しません。損保の統計では、募集形態別の元受正味保険料に占める代理店扱の比率は89.7%を占めており、保険流通の主役は依然として代理店です。減っているのは主に小規模・零細の代理店で、契約や人材はより体制の整った代理店へ集約されている、というのが数字の読み方です。

出典・参考資料(2件)

ネット・ダイレクト販売はどこまで伸びたか

「ネットに顧客を奪われる」という不安についても、数字で見ると実態が掴めます。損保協会の統計では、通信販売などの直扱(ダイレクト)が元受正味保険料に占める比率は9.4%で、1割弱にとどまっています。保険仲立人(保険ブローカー)扱は0.9%です。

ダイレクトは自動車保険など商品性がシンプルな分野で存在感を高めていますが、法人保険や事業性リスク、複数のリスクを組み合わせた設計が必要な領域では、対面の代理店が依然として選ばれています。ネットが伸びる領域と、代理店の価値が残る領域は分かれている、と捉えるのが実態に近いといえます。

出典・参考資料(1件)

募集人の高齢化・後継者問題という構造課題

代理店数の減少を後押しするもう一つの要因が、経営者・募集人の高齢化と後継者不在です。これは保険代理店に限らず、中小企業全体に共通する構造課題でもあり、経営者の高齢化と後継者不足による廃業リスクは、業種を問わず広く指摘されています。

実際、前掲のとおり新設を大きく上回る廃止が続いており、事業を引き継ぐ新規参入よりも退出のほうが大幅に多い状況です。技術的に消えるというより、「担い手がいなくなって畳む」代理店が積み上がっている、というのが数字の示す現実です。

「なくなる・いらない」と言われる理由(脅威の正体)

ここでは、「保険代理店はなくなる」「いらない」と言われる理由を、避けずに一つずつ言語化します。漠然とした不安の正体を掴めば、どこに手を打つべきかが見えてきます。

ネット・ダイレクト販売の拡大

自動車保険や医療保険など、比較的シンプルな商品はネットで直接加入する消費者が増えています。前章のとおりダイレクトの比率はまだ1割弱ですが、価格の分かりやすさと手続きの手軽さで、単純な商品ほど代理店を通さない流れが進んでいます。「並べて売るだけ」の代理店にとっては、この領域が直接の脅威になります

AI・非対面営業による販売スタイルの変化

オンライン面談やAIによる提案支援が広がり、「対面でなければ売れない」という前提が崩れつつあります。ただし、これは代理店を不要にするというより、代理店の働き方を変える動きです。AIは提案の下地づくりや事務作業を肩代わりする一方、顧客の背景を汲んで判断する部分は人に残ります。変化に乗れる代理店には追い風にもなります。

AIを実務にどう取り入れるか(導入事例・費用・始め方)は保険代理店のAI活用ガイドで具体的に解説しています。

手数料水準・募集ルール規制の強まり

保険会社による手数料体系の見直しや、募集ルール・体制整備への要求の強まりも、代理店経営を圧迫します。後述する改正保険業法をはじめ、顧客本位の業務運営や記録・証跡の整備が求められる方向にあり、対応の体力がない代理店ほど負担が重くのしかかります。

ただし、これは「食べていけるか」を分ける裏返しの条件でもあります。顧客本位の対応と体制整備の質を示せる代理店ほど、保険会社からの評価にもつながりやすいとされ、収益基盤を守りやすくなると考えられるためです。規制対応はコストであると同時に、後述する「残る側」に回るための条件でもあります。

募集人の高齢化・後継者不在

前章で触れたとおり、担い手の高齢化と後継者不足は、廃業の直接的な引き金になっています。属人的な営業スタイルで長年やってきた代理店ほど、代表が引退すると事業を引き継げず、顧客ごと他の代理店へ移管されるケースが目立ちます。

大型代理店への集約・M&Aによる「静かな淘汰」

近年は、代理店同士の合併や大型代理店による吸収、保険会社直轄化といった再編が進んでいます。前掲の損保統計では代理店数の減少が全都道府県で生じており、この集約・退出が全国的に進んでいることがうかがえます。派手な倒産ではなく、委託解除や廃業という形で静かに退出が進む——これが「淘汰」の実際の姿です。

出典・参考資料(1件)

なくなる代理店と残る代理店|自社はどちら側か

ここまでの脅威を踏まえると、「消える代理店」と「残る代理店」の分かれ目が見えてきます。以下の対比に自社を当てはめると、いま自分がどちら側に立っているかを確認できます。

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分かれ目となる観点商品提案の起点顧客情報の管理対応する領域法令・体制整備への対応事業の継続性
残る代理店顧客の意向を起点に複数社を比較し、推奨理由を説明・記録できる契約・意向・履歴を一元管理し、担当者が変わっても引き継げる法人・事業性保険や資産形成相談など、対面の価値が残る領域に強い顧客本位・記録の電子化を仕組みで担保し、業務品質を示せる後継者・M&A・組織化を視野に、代表交代後も事業が続く設計
消える代理店特定商品ありきで並べて売る。比較・記録が属人的Excel・紙・個人の記憶に依存し、退職・引退で情報が失われるネットで代替できるシンプルな商品の販売に依存している改正対応が後手で、体制整備の負担に体力を割けない代表個人に依存し、引退=廃業につながりやすい

※上記は生き残りの分かれ目を一般化した整理です。自社の状況に当てはめてご確認ください。

もし「消える代理店」側の項目に思い当たる点があっても、悲観する必要はありません。分かれ目のほとんどは、後半で紹介する打ち手で移動できます。たとえば一社専属でも、特定分野の専門性や顧客本位の対応で「残る側」に回ることは十分に可能です。重要なのは、どの項目から手を付けるかを決めることです。

2026年改正保険業法が中小代理店に求めること

生き残りの条件を考えるうえで避けて通れないのが、改正保険業法です。ここでは、施行日と改正の全体像を公式資料で確認したうえで、「大手代理店に課される義務」と「中小代理店に実際に及ぶこと」を切り分けて整理します。

改正保険業法(令和7年法律第54号、2026年6月1日施行、改正5本柱)の射程を大手と中小で区別した図。左は特定大規模乗合(複数社を扱い手数料等の規模が一定水準を超える大手)が対象の新設義務で、営業所ごとの法令等遵守責任者・本店の統括責任者の設置、苦情処理・内部監査体制の整備。右は中小・専業代理店に実際に及ぶことで、保険業法294条の3の規模に応じた体制整備、比較推奨販売ルールの見直し、顧客本位の徹底と過度な便宜供与の禁止。中小には新設の管理職設置義務は直接課されず、意向把握・比較推奨・顧客本位の業務を記録・証跡として残す形に整えることが要点。

改正法は2026年6月1日に施行済み。改正は5本柱

まず時点を正確に押さえます。保険業法の一部を改正する法律(令和7年法律第54号)は、2026年(令和8年)6月1日にすでに施行されています。「2026年4月〜5月施行予定」といった記載を見かけることがありますが、施行日は政令で令和8年6月1日と確定しており、現時点では施行済みです。改正の主な内容は、金融庁の公表資料で次の5点として整理されています。

主な改正の内容は以下のとおりです。
(1)特定大規模乗合保険募集人(注)に対する体制整備義務の強化(保険募集の業務関連)
(2)特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化(兼業業務関連)
(3)保険会社等に対する体制整備義務の強化
(4)保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止
(5)保険仲立人の活用促進に向けた対応等

出典:令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果の公表について|金融庁(令和8年3月30日)

出典・参考資料(2件)

新設の法令等遵守責任者・統括責任者の設置義務は「大手」向け

改正の目玉である法令等遵守責任者・統括責任者の設置義務は、「特定大規模乗合」に該当する大規模な代理店が対象です。「特定大規模」に当たるのは、複数の保険会社を扱い(乗合)、かつ手数料等の規模が一定水準を超える大規模な代理店です。該当する代理店には、営業所ごとの法令等遵守責任者や本店の統括責任者の設置、苦情処理・内部監査体制の整備が求められます。

裏を返せば、数名〜数十名規模の中小・専業代理店に、この新義務が直接課されるわけではありません。「改正保険業法で中小代理店に管理職の設置が義務化された」という理解は、射程を取り違えています。まずは自社が「特定大規模」に当たるかどうかを確認することが出発点になります。

中小の代理店に実際に及ぶこと

では、中小代理店には何が及ぶのでしょうか。実際に効いてくるのは、次の3点です。

  • 規模に応じた体制整備義務:2014年改正で導入された保険業法第294条の3により、複数保険会社の商品を扱うかどうかなど「業務の特性や規模に応じた体制整備」がすべての募集人に求められています。中小代理店に及ぶ体制整備の基盤は、新義務ではなくこの既存規定です。
  • 比較推奨販売ルールの見直し:乗合代理店が複数商品を比較・推奨する際の情報提供ルールの改正が進んでおり、意向把握から絞り込み、推奨理由の説明・記録までの業務フロー整備が求められる方向です(イ・ロ・ハ方式の見直しなど詳しい仕組みは保険代理店の比較推奨販売(イ・ロ・ハ方式)とは?で解説しています)。
  • 顧客本位の徹底と過度な便宜供与の禁止:改正5本柱の一つで、顧客の利益を害する運用を避ける方向が明確化されています。

このように、中小代理店にとっての改正保険業法対応の要点は、「管理職を置くこと」ではなく、意向把握・比較推奨・顧客本位の業務を、記録・証跡として残せる形に整えることです。これは後述するシステム化の打ち手と直結します。

出典・参考資料(2件)

生き残るために今日から打てる手

ここからは、「残る代理店」に近づくための具体策を整理します。すべてを一度に行う必要はありません。自社の弱い項目から着手するのが現実的です。

乗合化で複数社比較のニーズに応える

一社専属で特定の商品しか提案できない体制は、「顧客の意向に沿って複数社を比較したい」という現在のニーズと噛み合いにくくなっています。乗合代理店化して複数の保険会社を取り扱えるようにすることで、顧客本位の比較提案が可能になり、選ばれる理由をつくれます

損保統計でも乗合代理店の比率は23.6%と、専属より少数ながら着実な存在感を持っています。ただし乗合化は取扱商品が増える分、比較推奨の記録や管理の負担も増えるため、後述のシステム化とセットで考えるのが有効です。

専属と乗合それぞれのメリット・デメリットや、乗合化を選ぶ際の判断材料は、次の記事で詳しく整理しています。

法人・事業性保険や資産形成相談への専門特化

ネットで代替されにくい領域に軸足を移すのも有効な打ち手です。法人の事業リスクに合わせた保険設計、事業承継や退職金対策、資産形成を含めたトータルな相談などは、対面での提案力が価値を持ち続ける領域です。「何でも扱う」から「この分野なら任せられる」へと専門性を打ち出すことで、価格競争から抜け出しやすくなります

業務効率化・顧客管理のシステム化

属人的なExcel・紙の管理から、顧客・契約・意向把握・満期更改を一元管理できる仕組みへ移行することは、生き残りの土台になります。情報が個人に依存していると、担当者の退職や代表の引退で顧客ごと失われますが、システムで一元管理していれば引き継ぎが可能です

さらに、意向把握や比較推奨の記録を電子的に残せる仕組みは、前章で見た改正保険業法対応(顧客本位・記録の整備)にも直結します。こうした保険代理店向けの業務システムについては、後半のセクションで具体的なサービスを紹介します。

事業承継・M&Aという選択肢

後継者が見つからない場合、廃業して顧客を手放す前に、事業承継やM&A(合併・売却)で事業と顧客を残す選択肢があります。近年は代理店同士の統合や大型代理店による吸収が活発で、顧客基盤や地域での信頼を評価してもらえるケースも少なくありません。「畳む」以外の出口を早めに検討しておくことが、顧客にとっても自社にとっても損失を抑える道になります。

生き残りを支える保険代理店システム(主要2サービス)

ここでは、前章の打ち手のうち「業務効率化・顧客管理のシステム化」と「顧客本位の提案力強化」を支えるサービスを紹介します。生き残りの2つの軸——業務・法令対応を固める顧客管理と、提案の質を高める営業支援——に沿って、代表的な2サービスを取り上げます。

網羅的な比較は以下の記事に譲ります。機能・料金・選び方まで含めて保険代理店システムを一覧で比較検討したい方は、主要21サービスを網羅した次の記事もあわせてご覧ください。

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比較項目hokanPocket FP Pro
主な役割顧客・契約管理の一元化顧客本位の提案力強化
顧客・契約情報の一元管理×
意向把握・比較推奨の記録×
共同GW連携(既契約の自動取込)×
提案ストーリー構築・営業支援×
提案力の育成・コーチング×(月1回ロープレ無料)
AIによる提案支援×
初期費用要お問い合わせ0円
月額費用要お問い合わせ3,300円
(年払36,300円)
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約

※ 上表は各サービスの公表情報(2026年7月時点)に基づく機能・料金の比較です。hokanの初期・月額費用は料金シミュレーション制のため要お問い合わせ、Pocket FP Proの料金は税込表示です。●は対応、×は非対応で、2社は「業務効率化・顧客管理・法令対応」と「顧客本位の提案力」という異なる軸を担う補完関係にあります。

hokan(株式会社hokan)

hokan(保険代理店向け顧客・契約管理クラウド)の公式サイト

hokanは、保険代理店業務に特化したクラウド型の顧客・契約管理システムです。顧客情報・契約管理・意向把握・比較推奨・満期更改・案件管理までを単一のプラットフォームで扱い、Excelや紙、複数システムに分散しがちな情報を一元化します。

特徴は、汎用CRMではなく保険代理店の実務に合わせて機能が作り込まれている点です。意向把握から商品提案までをペーパーレスで記録し、活動記録・報告のテンプレートで監査証跡を残せるため、改正保険業法が求める顧客本位・記録の整備と整合します。

保険会社の共同ゲートウェイ(共同GW)連携により既契約情報を自動で取り込める点も、乗合代理店の手入力負担を抑えます。中小から大規模まで対応し、業務効率化と法令対応を同時に固めたい代理店にとって有力な選択肢です。

Pocket FP Pro(SBIインシュアランスラボ株式会社)

次世代ライフプランソフト「Pocket FP Pro」の公式サイト

提案力そのものを底上げしたい代理店に向くのが、SBIインシュアランスラボが提供する次世代ライフプランソフト「Pocket FP Pro」です。ヒアリングから課題整理、保障分析、ライフプラン作成、提案ストーリーの構築までを一気通貫で支援する、コーチング付きの営業支援ツールと位置づけられています。

単に資料を作るのではなく、「何を、どの順番で、どのように伝えるか」というコンサルティングフローを型化しているのが特徴です。経験の浅い募集人でも一定品質の提案を組み立てやすく、顧客の意向をメモとして残しながら「なぜこの提案に至ったか」を納得感を持って共有できます。ネットで代替されにくい対面の提案力を、属人性に頼らず高めたい代理店に適しています。

提案の質が担当者ごとに大きく分かれてしまう——この課題認識は、Pocket FP Proが生まれた背景にもあります。開発を主導したSBIインシュアランスラボの森氏は、業界の現状について次のように語っています。

森氏
SBIインシュアランスラボ株式会社 CAIO兼プロダクト推進部長
森氏
独自インタビューより

一般のお客様がお金の相談をする相手として、ファイナンシャルプランナーや保険募集人、保険ショップのスタッフなど、さまざまな窓口があります。しかし、同じような商品を取り扱っていても、担当者によって提案の品質に大きな差が生じているのが現状です。商品知識の違いだけでなく、一度きりの相談で終わってしまうケースもあれば、ライフプラン全体を踏まえて長期的に伴走するケースもあり、経験や考え方によって対応にばらつきが生まれています。本来、お客様にとって理想的なのは、特定の商品ありきではなく、まず課題を整理し、必要保障額を見極め、資産形成とのバランスまで含めて総合的に相談できる環境だと考えています。そして、お客様自身が納得したうえで意思決定できる状態をつくることこそが、ファイナンシャルプランナーの本来の役割だと思っています。

まとめ:二極化のなかで「残る側」に回るために

保険代理店はなくなりません。しかし、公式統計が示すとおり代理店数の減少と集約は続いており、業界は「残る代理店」と「消える代理店」に二極化しています。分かれ目は、顧客本位の比較提案ができるか、情報を仕組みで一元管理できるか、ネットに代替されにくい領域に強みを持てるか、そして改正保険業法が求める記録・体制整備に対応できるか、という点にあります。

これらはいずれも、乗合化・専門特化・システム化・事業承継といった打ち手で移動できる分かれ目です。将来への不安を「自社の次の一手」に変えるために、まずは自社が弱い項目を一つ選び、そこから着手してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 保険代理店は今後なくなりますか?「やばい」というのは本当ですか?

A. 保険代理店という業態は、今後もなくなりません。ただし従来型のまま変わらない代理店は淘汰され、業界は「残る代理店」と「消える代理店」に二極化します。損害保険では代理店扱が元受正味保険料の89.7%を占め、通信販売などの直扱は9.4%にとどまるなど、保険流通の主役はいまも代理店です。

「やばい」と言われるのは業界全体の終わりではなく、変化に対応できない代理店から静かに退出が進んでいることを指しています。

Q. 保険代理店は10年後どうなりますか?

A. 保険代理店は10年後、数の上では減少と集約が続く一方で、顧客本位の比較提案・情報のシステム管理・対面価値の高い領域に強みを持つ代理店が残る二極化が進むと考えられます。損保代理店数は2023年度末の150,652店から2024年度末には140,138店へと、1年で10,514店(△7.0%)減少しており、この集約の流れは今後も続く見通しです。

減っているのは主に小規模・零細の代理店で、契約や人材はより体制の整った代理店へ移っていきます。

Q. 保険代理店が廃業したら、預かっている顧客の契約はどうなりますか?

A. 保険代理店が廃業しても、顧客が結んだ保険契約そのものは有効に継続し、多くは他の代理店や保険会社の直接扱いへ引き継がれます。契約は保険会社との間で成立しているため、代理店が廃業しても補償が消えるわけではありません。

ただし、これまでの担当者によるきめ細かなフォローは途切れがちで、顧客にとっては不利益になり得ます。だからこそ、後継者が不在の場合でも、廃業の前に事業承継やM&Aで顧客ごと引き継ぐ選択肢を検討する価値があります。

Q. 改正保険業法で、中小・専業の保険代理店にも管理職(法令等遵守責任者)の設置が義務付けられますか?

A. 中小・専業の保険代理店に、法令等遵守責任者・統括責任者の設置が直接義務付けられることはありません。この新設義務の対象は「特定大規模乗合」に当たる大手代理店(乗合かつ手数料等の規模が一定水準を超える代理店)に限られます。中小代理店に実際に及ぶのは、保険業法第294条の3に基づく規模に応じた体制整備、比較推奨販売ルール、顧客本位の業務運営です。

要点は「管理職を置くこと」ではなく、意向把握・比較推奨・顧客本位の業務を記録・証跡として残せる形に整えることにあります。改正法(令和7年法律第54号)は2026年6月1日に施行済みです。

出典・参考資料(2件)

Q. 一社専属と乗合代理店では、保険代理店としてどちらに将来性がありますか?

A. 将来性という観点では、顧客の意向に沿って複数社を比較・提案できる乗合代理店のほうが優位とされています。「複数社を比べて選びたい」という顧客ニーズに応えやすく、顧客本位の比較提案で選ばれる理由をつくれるためです。

ただし乗合化は取扱商品が増える分、比較推奨の記録や管理の負担も増えるため、顧客管理のシステム化とセットで進めるのが現実的です。損保統計でも乗合代理店の比率は23.6%と、着実な存在感を持っています。

Q. 保険代理店の仕事は、AIや非対面営業に奪われてなくなりますか?

A. 保険代理店の仕事が、AIや非対面営業だけで完全に置き換わることはありません。AIは提案の下地づくりや事務作業を肩代わりする一方、顧客の背景を汲んで判断する部分は人に残るため、AIは代理店を不要にするというより「働き方を変える」存在です。

とくに法人保険や、複数のリスクを組み合わせた設計が必要な領域では、対面での提案力が価値を持ち続けます。変化を取り込める代理店にとっては、AIの活用はむしろ生産性を高める追い風になります。

Q. 後継者がいない保険代理店は、将来に向けてどうすればよいですか?

A. 後継者がいない保険代理店は、廃業して顧客を手放す前に、事業承継やM&A(合併・売却)で事業と顧客を残す選択肢を早めに検討することが有効です。近年は代理店同士の統合や大型代理店による吸収が活発で、顧客基盤や地域での信頼を評価してもらえるケースも少なくありません。

あわせて、顧客・契約情報を個人の記憶や紙・Excelではなくシステムで一元管理しておくと、引き継ぎがスムーズになり、事業の価値も高まります。

Q. 保険代理店が生き残るために、まず何から始めればよいですか?

A. 保険代理店が生き残るには、「残る代理店」と「消える代理店」を分ける項目のうち、自社が最も弱い一つから着手することが現実的な第一歩です。主な打ち手は、乗合化による複数社比較への対応、法人・事業性保険や資産形成相談への専門特化、顧客・契約・意向把握を一元管理する業務のシステム化、後継者不在に備えた事業承継・M&Aの検討です。

なかでも顧客管理のシステム化は、業務効率化と、改正保険業法が求める記録・証跡の整備を同時に満たせるため、優先度の高い施策といえます。

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